JPH11245057A - ベイナイト鋼レールのテルミット溶接金属またはそのテルミット剤 - Google Patents

ベイナイト鋼レールのテルミット溶接金属またはそのテルミット剤

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JPH11245057A
JPH11245057A JP34014298A JP34014298A JPH11245057A JP H11245057 A JPH11245057 A JP H11245057A JP 34014298 A JP34014298 A JP 34014298A JP 34014298 A JP34014298 A JP 34014298A JP H11245057 A JPH11245057 A JP H11245057A
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JP
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weight
thermite
weld metal
carbon equivalent
bainite
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JP34014298A
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Kenichi Karimine
健一 狩峰
Koichi Uchino
耕一 内野
Daisuke Hiragami
大輔 平上
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ベイナイト鋼レールのテルミット溶接金属、
テルミット剤を提供する。 【解決手段】 wt% で、C:0.1〜0.6%,Si:1.0 超〜4.0 %
以下、Mn:0.1〜2.5%、Al:0.05〜1.5%を含有し、さらにCr:
0.2〜2.5%、Mo:0.05〜1.5%の1種または2種を含有し、
必要に応じてNi:0.1〜3.5%、Cu;0.1〜1.5%、V:0.005〜0.3
%Ti:0.001〜0.3%、Nb:0.01〜0.05%、B:0.0001〜0.005% の
1種または2種以上を含有し、残部がFe及び不可避不
純物であり、しかも、下記式で表す炭素当量が0.5〜
1.5%の範囲であることを特徴とするベイナイト鋼レ
ールのテルミット溶接金属。Ceq%=C%+Si%/24+Mn%/6+Ni%
/40+Cr%/5+Mo%/4+V%/16

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はベイナイト鋼レール
のテルミット溶接金属または、そのテルミット剤に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、軌道保守コストの低減や騒音振動
の低減のために溶接によって継目を連続化するロングレ
ール化が普及しつつある。テルミット溶接は酸化鉄とア
ルミニウムの化学反応を利用した溶接法であり、レール
の現地溶接法として広く使われている。このテルミット
溶接法は、鋳型で覆った溶接部の上方に反応るつぼを設
置し、るつぼ内でのテルミット剤の反応によって生成し
た溶融鉄を、るつぼ底部の流出孔を開口させて溶接部に
注入し、母材を溶融、接合する溶接法である。
【0003】テルミット剤はアルミニウム、酸化鉄、鉄
粉粒、合金材から構成される。アルミニウム、酸化鉄は
反応原料、鉄粉粒は溶融鉄の温度調整および補助鉄源、
合金材は成分調整用原料として配合される。テルミット
剤は耐火物製るつぼ内に装入、堆積され、点火剤により
反応が開始される。テルミット剤の一部で反応が開始す
ると、高温の生成物が新たな反応源となって次々に反応
伝播し、るつぼ全体に反応がおよぶ。上記反応により溶
融鉄と溶融スラグが生成するが、両者は比重差によりる
つぼ内で上下に分離し、注入の際には、溶融鉄が鋳型内
の溶接部に先に充満し、引き続き溶融スラグが押し湯部
分に注入される。高温の溶融鉄の注入により母材の開先
面が溶融し、溶接継手が形成される。
【0004】レール鋼には強度、耐摩耗性が要求され、
通常800MPa級の高炭素パーライト鋼が使用されて
きた。そのテルミット溶接には溶接金属がレール鋼とほ
ぼ同等の高炭素となるテルミット剤が一般的に使用され
てきた。このような従来のテルミット剤は、特公昭35
−6966号公報、特公昭38−18215号公報、特
公昭38−26554号公報などにおいて開示されてい
る。特公昭35−6966号公報はレール用のテルミッ
ト剤に関連し、合金原料の配合量を規定しているが、合
金原料自身の成分を規定するものではなく、テルミット
剤組成さらに溶接金属の組成、金属組織についても規定
されていない。特公昭38−18215号公報は、銅系
材料を溶接するためのテルミット剤、特公昭38−26
554号公報は鋳鉄を溶接するためのテルミット剤に関
するものであるが、いずれも、レール溶接用のテルミッ
ト剤成分、さらには溶接金属組成、組織を規定するもの
ではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記パーライト鋼レー
ルを高速軌道において使用すると、車輪との接触部に表
面損傷を生じる場合があり、これがレールの交換周期を
縮める場合がある。この表面損傷は、車輪との接触面直
下に生じる微細な疲労亀裂を起点として進展する。
【0006】表面損傷を防止するためには、亀裂が発
生、進展する前に、亀裂の起点と思われる微細な塑性変
形部が磨耗により除去されることが有効である。従っ
て、耐表面損傷性を向上させるためには、耐磨耗性能を
低下させることが有効となる場合がある。ただし、強度
や硬さが低下すると車輪との接触による塑性変形が増大
するという問題を生じる。また、強度、硬さを維持しな
がら耐摩耗性能を変えるためには金属組織を変えること
が必要となる。
【0007】そこで、従来の高炭素レールに見られるパ
ーライト鋼に比較し、ベイナイト鋼は同一強度レベルで
の耐摩耗性能が低いということから、ベイナイト鋼は塑
性変形を防止しつつ、耐表面損傷性を改善する効果が期
待される。
【0008】ベイナイト鋼レールは特開平2−2824
48号公報、特開平8−92696号公報、特開平9−
87804号公報などに開示されているように、C、S
i、Mn、Cr、Mo、V、Nb、Ti、Ni、Cu、
Bなどを含有し残部がFeおよび不可避不純物からなる
熱間圧延鋼材である。
【0009】ベイナイト鋼レールとは上述した成分を含
有し、金属組識がベイナイト組識を有する点に特長があ
るが、このベイナイト鋼レールに従来の高炭素テルミッ
ト剤を適用した場合、溶接金属部の炭素量が高すぎるた
め、溶接金属組織がパーライト組織となり、ベイナイト
組織を有する母材レールと金属組織的に不連続となる。
この場合、耐磨耗性能が母材レールと溶接金属部で明ら
かに異なるため、磨耗形状が不均一となり、騒音振動を
招くことから、削正や、レール交換などの軌道保守費用
の増加を招くことがある。また、溶接金属がパーライト
組織の場合、表面直下の微細な疲労亀裂が磨耗で除去さ
れずに進展し、表面損傷に至る懸念もある。
【0010】オーステナイト組織がベイナイト組織やマ
ルテンサイト組織に変態する場合、合金組成によっては
未変態オーステナイト組織が常温まで残る場合がある。
これは残留オーステナイトと呼ばれる。残留オーステナ
イト組織はベイナイト組織やマルテンサイト組織に比
べ、強度は低いが、延性や靱性に優れるという長所があ
る。また、加工が加えられると加工誘起マルテンサイト
を生じて硬化する。従って、ベイナイト組織やマルテン
サイト組織中に部分的にオーステナイト組織が存在する
場合、高い延性、靱性を有するとともに、加工を受ける
場合には加工後に高い強度が得られる。レール鋼の場
合、レール頭部表面は車輪との接触により加工を受け
る。従って、レール鋼が残留オーステナイト組織を有す
る場合、使用期間中の車輪との接触により、頭部強度が
増加し、耐塑性変形能が向上することが期待される。
【0011】このようにして本発明者らは、レール鋼が
ベイナイト組織である場合、溶接金属もベイナイト組織
を主体とし、かつ、その一部にオーステナイト組織を残
留させることによって、延靭性と強度を併せ持たせるこ
とが可能であることを知見して本発明に至った。すなわ
ち本発明は、ベイナイト鋼レールのテルミット溶接金属
をベイナイト組織を主体とし、かつその一部にオーステ
ナイト組織を残留させるための溶接金属の化学組成、ま
たそのための適正なテルミット剤を提供することを目的
とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、2本のレール
端部を間隔を設けて対向設置し、レール端部間の隙間と
その周囲を取り囲む耐火物鋳型によって構成される空間
に高温の溶融金属を流し込み、レールを溶接するテルミ
ット溶接によって、前記2本のレール端部間に形成され
た溶接金属を規定するものであって、その要旨は、
(1)重量%で、C:0.1〜0.6%、 Si:
1.0%を超えて4.0%以下、Mn:0.1〜2.5
%、 Al:0.05〜1.5%を含有し、さらにC
r:0.2〜2.5%、 Mo:0.05〜1.5%
の1種または2種を含有し、またさらに必要に応じてN
i:0.1〜3.5%、 Cu;0.1〜1.5%、
V:0.005〜0.3%、 Ti:0.001〜0.
3%、Nb:0.01〜0.05%、B:0.0001
〜0.005%の1種または2種以上を含有し、残部が
Fe及び不可避不純物であり、しかも、下記(1)式で
表す炭素当量が0.5〜1.5%の範囲であることを特
徴とするベイナイト鋼レールのテルミット溶接金属。 炭素当量=C%+Si%/24+Mn%/6+Ni%/40+Cr%/5 +Mo%/4+V%/16・・・・・・・・(1) (2)母材として、重量%で、C:0.05〜0.6
%、 Si:0.1〜2.0%、Mn:0.1〜2.
5%を含有し、さらにCr:0.01〜4.0%、M
o:0.05〜3.0%の1種または2種を含有し、ま
たさらに必要に応じてNi:0.1〜4.0%、 C
u:0.04〜2.0%、V:0.005〜0.3%、
Ti:0.005〜0.05%、Nb:0.01〜
0.05%、B:0.0001〜0.005%の1種ま
たは2種以上を含有し、残部がFe及び不可避不純物で
あることを特徴とするベイナイト鋼レールを用い、アル
ミニウム、酸化鉄、鉄粉粒、合金材から構成されるテル
ミット剤であって、全テルミット剤に対する重量%で、
C:0.05〜0.9%、 Si:1.2%を超えて
5.0%以下、Mn:0.2〜6.0%を含有し、さら
にCr:0.2〜3.1%、 Mo:0.02〜2.
0%の1種または2種以上と不可避不純物を含有し、ま
たさらに必要に応じてNi:0.1〜5.3%、 C
u:0.1〜2.5%、V:0.005〜0.4%、
Ti:0.002〜1.5%、Nb:0.01〜0.0
6%、B:0.0001〜0.0015%の1種または
2種以上と不可避不純物を含有し、かつ(1)式で表す
炭素等量が0.5〜2.0重量%の範囲であることを特
徴とするテルミット剤を用いて形成された、重量%で、
C:0.1〜0.6%、 Si:1.0を超えて
4.0%以下、Mn:0.1〜2.5%、 Al:
0.005〜1.5%を含有し、さらにCr:0.2〜
2.5%、 Mo:0.05〜1.5%の1種または
2種を含有し、またさらに必要に応じてNi:0.1〜
3.5%、 Cu:0.1〜1.5%、V:0.00
5〜0.3%、 Ti:0.001〜0.3%、Nb:
0.01〜0.05%、B:0.0001〜0.005
の1種または2種以上を含有し、残部がFe及び不可避
不純物であり、かつ、上記(1)式で表す炭素等量が
0.5〜1.5重量%の範囲であることを特徴とするベ
イナイト鋼レールのテルミット溶接金属。 炭素等量=C%+Si%/24+Mn%/6+Ni%/40+Cr%/5 +Mo%/4+V%/16・・・・・・・・(1) (3)溶接金属のベイナイト組織の割合が70%以上で
あり、かつ、残留オーステナイト組織の割合が1〜30
%であることを特徴とする前記(1)〜(2)項に記載
のベイナイト鋼レールのテルミット溶接金属。 (4) アルミニウム、酸化鉄、鉄粉粒、合金材から構
成されるテルミット剤であって、全テルミット剤に対す
る重量%で、C:0.05〜0.9%、 Si:1.
2%を超えて5.0%以下、Mn:0.2〜6.0%を
含有し、さらにCr:0.2〜3.1%、 Mo:
0.02〜2.0%の1種または2種以上と不可避不純
物を含有し、またさらに必要に応じてNi:0.1〜
5.3%、 Cu:0.1〜2.5%、V:0.00
5〜0.4%、 Ti:0.002〜1.5%、Nb:
0.01〜0.06%、B:0.0001〜0.001
5%の1種または2種以上と不可避不純物を含有し、か
つ(1)式で表す炭素等量が0.5〜2.0重量%の範
囲であることを特徴とするテルミット剤。 炭素等量=C%+Si%/24+Mn%/6+Ni%/40+Cr%/5 +Mo%/4+V%/16・・・・・・・・(1) である。
【0013】上記範囲の合金量を有するベイナイト鋼レ
ール、テルミット剤を用いることにより、溶接金属がベ
イナイト組織を主体とし、かつ、その一部にオーステナ
イト組織を残留させることができる。その結果、溶接金
属に延靭性と強度を併せ持たせ、しかもベイナイト鋼レ
ールと同等の耐表面損傷性、耐摩耗特性を付与すること
が可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。ま
ず、母材として使用するベイナイト鋼レールの成分組成
について説明する。
【0015】レール鋼において、Cは一定の強度を確保
するとともにベイナイト変態に欠くべからざる元素であ
り、0.05重量%未満ではレール鋼としての最低限の
耐摩耗性を確保することができない。また、0.6重量
%を超えるとパーライト組織が相当量生成して耐摩耗性
を向上させてしまい、亀裂の起点と思われる微細な塑性
変形部を摩耗により除去することを狙いとした本来の目
的を達成できなくする。
【0016】Siはベイナイト組織素地に固溶して強度
(高度)を向上させる元素であるが、0.1重量%未満
ではその効果が弱く、2.0重量%を超えるとレール製
造時に表面疵を生成させることがあるため好ましくな
い。
【0017】Mnは焼き入れ性を高め、安定してベイナ
イト組織を生成させるために欠かかせない元素である
が、0.1重量%未満ではその効果が少なく、2.5重
量%を超えると摩耗を抑制するパーライト組織が混入す
るため好ましくない。
【0018】レール鋼においてCrとMoの1種または
2種以上を添加する。Crはフェライト変態を遅滞さ
せ、強度(高度)を確保するために有効な元素である
が、0.01重量%未満ではその効果が少なく、4.0
重量%を超えるとベイナイト変態速度を過剰に抑制する
ことによりマルテンサイト組織を多量に混入させてしま
うため、好ましくない。
【0019】Moはベイナイト組織の安定化に有効な元
素であるが、0.05重量%未満ではその効果が得られ
ず、3.0重量%を超えると炭化物の粗大化が生じるば
かりか、ベイナイト変態速度を過剰に抑制することによ
りマルテンサイト組織を多量に混入させてしまうため、
好ましくない。
【0020】レール鋼において必要に応じて、Cu、N
i、V、Ti、Nb、Bの1種または2種以上を添加す
る。Niはオーステナイト組識を安定化する元素であ
り、焼き入れ性を向上させてベイナイト組識を微細化さ
せ、靭性の向上に寄与する。ただし、Ni量が0.1重
量%未満ではその効果が得られず、4.0重量%を超え
て添加してもそれ以上の効果が期待できない。
【0021】Cuは耐食性を向上させるために添加され
ることがあるが、0.04重量%未満ではその効果が得
られず、2.0重量%を越える添加はレール圧延時の熱
間脆性を顕在化させるため好ましくない。
【0022】Vは変態を遅滞させて鋼材の強度を増加さ
せると共に、V(C,N)の析出によりベイナイト組織
を強化するために有効である。ベイナイト鋼レールでは
Cは0.05重量%以上、Nは不可避不純物として0.
001重量%前後含まれており、VはこれらC,Nと結
合する。ただしV量が0.005重量%未満ではその効
果が得られず、0.3重量%を超えるとV(C,N)の
粗大化によってかえって脆化が生じるため好ましくな
い。
【0023】Tiは、析出したTiNが高温でも溶解し
ないことを利用して、レール圧延時のオーステナイト粒
を細粒にして、変態後の組織を微細化して延性を向上す
るために添加されることがある。ただしTi量が0.00
5重量%未満ではその効果が得られず、0.05重量%
を超えるとTiNの粗大化によってかえって延靭性を損
なうことがあるため好ましくない。
【0024】Nbはオーステナイト粒の微細化元素であ
り、レール鋼の靭性および延性を改善するために添加さ
れることがある。Nb量は0.01重量%未満ではその
効果が得られず、0. 05重量%を超えるとNbの金属
間化合物が生成し脆化を引き起こすため好ましくない。
【0025】Bはベイナイト変態の際に、フェライトの
生成を抑制する効果があるため、ベイナイト組織を安定
的に生成させるために有効であるが、0.0001重量
%未満ではその効果が弱く、0.005重量%超えて添
加すると粗大な炭窒化物が生成し、延靭性を損なうため
好ましくない。
【0026】また、P、Sはレール鋼に不可避不純物と
して含まれる。P、Sいずれも0.03重量%以上にな
ると延靭性が著しく劣化するため、精練過程で0.03
重量%以下に抑制することが好ましい。
【0027】溶接金属組織はその化学組成と溶接時の冷
却速度によって決定される。また、鋼材の硬化性ないし
焼き入れ性は(1)式で示す炭素当量(Ceq)を指標
として表される。 Ceq(%)=C%+Si%/24+Mn%/6+Ni%/40 +Cr%/5+Mo%/4+V%/16・・・・・・(1)
【0028】テルミット溶接の場合、ベイナイト変態域
である500℃〜300℃での冷却速度は本発明者らの
測定によると、10〜15℃/分である。また、ベイナ
イト系溶接金属におけるベイナイト組織の分率が体積比
率で70%未満であると母材レールとの耐磨耗性能の差
が現れ、使用中に偏磨耗が生じ、騒音、振動の発生源と
なる危険性があるため好ましくない。
【0029】一方、残留オーステナイト組織の比率は体
積比率で30%を超えるのは過大であり、溶接金属の強
度が低下し、車輪との接触によって生じる塑性変形量が
過大となり、好ましくない。逆に残留オーステナイト組
織の比率が1%未満であれば、延性、靱性を向上させる
効果が期待できない。残留オーステナイト含有による延
靱性、強度の向上効果を最大限得るために、さらに好ま
しい残留オーステナイトの組織分率は5〜15%であ
り、フェライト、パーライト、マルテンサイトの各組織
は極力少ないことが好ましい。
【0030】前記のテルミット溶接の冷却速度で、溶接
金属におけるベイナイト組織比率を70体積%以上とす
るためには、本発明者らの実験によるとCeqの範囲を
0.5〜1.5の範囲とすることが適当であった。Ce
qが0.5未満ではフェライト変態が主体的となり、ベ
イナイトの組織分率が70%未満となる。逆にCeqが
1.5重量%を超えると焼き入れ性が過大となり、マル
テンサイトの体積比率が増加し、溶接金属が脆化するた
め好ましくない。さらに、ベイナイト組織および残留オ
ーステナイトを合わせた組織分率を増大し、90%以上
にするためには、Ceqは0.6〜1.0%とすること
がより好ましい。
【0031】テルミット剤における各種合金原料の配合
量は、狙いとする溶接金属組成と、各元素の溶鋼への歩
留まり、母材レールとの相互希釈を考慮して決める必要
がある。テルミット溶接における母材からの希釈率は約
20%である。溶鋼への各元素の歩留まりは、各元素が
酸化されて、スラグオフされやすいか否かによって影響
され、溶接法によって溶鋼の温度が異なることから、そ
の酸化傾向が変わり、その結果、歩留まりが異なってく
る。テルミット溶接では反応るつぼの予熱状態や前回の
反応の残熱状態などの変動要因のため、溶鋼温度が溶接
毎に変化し、2200℃±100℃程度である。各元素
の歩留まりは本発明者らの実験によるとTiが飛び抜け
て低く約6%程度、次いでMn、Bが低く約50%程
度、C、Si、Cr、Mo、Ni、V、Cu、Nbの歩
留まりは約90%程度であった。
【0032】溶接金属におけるCeqを制御すること
は、テルミット剤中のCeqを制御することにつなが
る。テルミット剤のCeqが0.5重量%未満では溶接
金属のCeqが下限値の0.5重量%に達しない場合が
あり、また、2.0重量%を越えると溶接金属のCeq
が上限値の1.5重量%を超える場合があり、好ましく
ない。
【0033】以下、溶接金属およびテルミット剤におけ
る各種合金元素の添加目的、添加量の範囲限定理由につ
いて説明する。Cは溶接材料に使用される場合、溶接金
属の強度調整、組織制御を目的として用いられる。溶接
金属中のC量が0.1重量%未満では強度が不足し、使
用中の塑性変形が増大する。また、残留オーステナイト
を生成するためには、未変態オーステナイト相にCが濃
化してオーステナイト相を安定化することが必要であ
り、C量が0.1重量%未満ではこの効果が得られな
い。逆にC量が0.6重量%を超えるとフェライト・パ
ーライト変態が促進され、ベイナイト組織が生じにくく
なる。このため0.6重量%を超えるCの含有は好まし
くない。適正な強度を確保しつつ、ベイナイト組織を主
体として未変態オーステナイトを適度に残すためには、
Cは0.2〜0.4重量%がより望ましい。
【0034】テルミット剤全体に対するCの配合量は
0.05重量%未満ではテルミット溶鋼への歩留まり、
母材との希釈を考慮すると溶接金属の最低限である0.
05重量%未満となるため好ましくなく、逆に0.9重
量%を超えると溶接金属の最大限である0.6重量%を
上回るため好ましくない。
【0035】Siは溶接材料に使用される場合、主に溶
接金属の脱酸剤として用いられるが、テルミット溶接の
場合にはアルミニュームが主な脱酸元素として機能する
ため、あえて脱酸を目的としてSiを添加する必要はな
い。一方、Siはパーライト組織においてフェライト層
を強化し、耐疲労損傷性を向上させる元素で、レール材
に通常含有される。Siは変態の際に炭化物の生成を抑
制する働きがある。鋼中のSi含有量が高いと、初析フ
ェライト相もしくはベイナイト相中の炭化物生成が押さ
えられ、未変態オーステナイト中に炭素が濃化される現
象が起こる。炭素はオーステナイトを安定化させるた
め、未変態オーステナイトへのC濃化が著しくなると、
オーステナイトが常温まで残留するようになる。
【0036】Si量が1.0重量%を超えるとフェライ
ト、ベイナイト中の炭化物析出を抑制する効果が顕れ、
逆にSi量が4.0重量%を超えると、残留オーステナ
イト量が過大となり、使用中の塑性変形が過大となるた
め好ましくない。残留オーステナイトの組織分率が30
体積%以下で、かつ安定して得られるより望ましいSi
の範囲は1.5〜3.5重量%である。
【0037】テルミット剤全体に対するSiの配合量は
1.2重量%未満では溶接金属のSi量が下限値の1.
0重量%に達しないため、残留オーステナイトが得られ
にくく、5.0重量%を超えると溶接金属の最大限であ
る4.0重量%を上回るため好ましくない。
【0038】一般にMnが溶接材料に使用される場合、
Siと同様、溶接金属の脱酸剤として用いられるが、テ
ルミット溶接ではSiと同様に、脱酸を目的としてMn
を添加する必要はない。テルミット溶接金属に対するM
n添加は、溶接金属の焼き入れ性を増加させることによ
って、ベイナイト鋼の強度を高めるために行う。また、
材料特性に有害なSをMnSとして固定し、無害化する
効果もある。溶接金属中のMn量が0.1重量%未満で
は強度向上、S固定の効果が無く、逆に2.5重量%を
超えると焼き入れ性が過大となり、溶接金属がマルテン
サイト変態し、脆化するため好ましくない。安定したベ
イナイト組織と、適正な強度、延性を得る上で、Mn量
は0.6〜1.5重量%がより望ましい。
【0039】テルミット剤全体に対するMnの配合量は
0.2重量%未満では歩留まり、母材希釈を考慮すると
溶接金属の最低限である0.1重量%を下回り、逆に
6.0重量%を超えると溶接金属の最大限である2.5
重量%を上回るため好ましくない。
【0040】Cr、Moは変態を遅滞させ、鋼材の強度
を増加するのに効果的な元素で、溶接金属中にCr、M
oの1種または2種を含有することによって、ベイナイ
ト組織を安定して得ることができる。テルミット溶接金
属中にCrを含有させる場合、0.2重量%未満では効
果が無く、2.5重量%を超えると焼き入れ性が過大と
なり、溶接金属中のマルテンサイト量が増大し、脆化す
るため好ましくない。テルミット溶接金属中のMoは
0.05重量%未満では効果が無く、逆に1.5重量%
を超えると焼き入れ性が過大となり、溶接金属中のマル
テンサイト量が増加して脆化するため好ましくない。ベ
イナイト組織が安定して得られ、強度、延性のバランス
のとれた溶接金属を得る上で、より望ましいCr、Mo
の範囲はCrが0.3〜2.0重量%、Moが0.1〜
0.6重量%の範囲である。
【0041】テルミット剤全体に対するCrの配合量は
0.2重量%未満では歩留まり、母材希釈を考慮すると
溶接金属の最低限である0.2重量%を下回るため好ま
しくなく、逆に3.1重量%を超えると溶接金属の最大
限である2.5重量%を上回るため好ましくない。
【0042】テルミット剤全体に対するMoの配合量は
0.02重量%未満では歩留まり、母材希釈を考慮する
と溶接金属の最低限である0.05重量%を下回るため
好ましくなく、逆に2.0重量%を超えると溶接金属の
最大限である1.5重量%を超えるため好ましくない。
【0043】Alは強い脱酸元素で、溶接金属の清浄度
に影響を与えるが、それ自体は鋼材の組織、強度に与え
る影響は小さい。一方、Alはテルミット反応原料であ
り、その配合量は溶鋼温度を変化させる場合がある。す
なわち、過剰なアルミはテルミット反応に寄与せず、溶
接金属の温度低下を引き起こす。Alは溶接金属中では
固溶アルミと酸化アルミの状態で存在する。本発明者ら
の実験によると、固溶アルミと酸化アルミを合計した全
Al量が1.5重量%を超える場合は、テルミット剤中
のAl添加量が過剰である。このような場合、溶接金属
の温度が低下し、レール鋼の溶け込み量が低下し欠陥を
生じやすくなる。反対に、溶接金属中の全Al量が0.
005重量%未満となる場合、溶接金属の脱酸が不十分
であり、ブローホールや介在物などの溶接欠陥が生じ易
くなる。テルミット剤におけるAlの配合量は後述する
ように、酸化鉄との配合率によって決める必要がある。
【0044】以下に説明するNi,Cu,V,Ti,N
b,Bは溶接金属の組織制御、材質制御のために有効で
あるため、必要に応じて添加する元素である。Niはオ
ーステナイト組織を安定化する元素であり、必要に応じ
て含有する。残留オーステナイト組織を得ようとする場
合には0.1%以上のNiの添加により、残留オーステ
ナイト組織をより安定的に得ることができる。ただし、
添加量が過剰となり、溶接金属中のNi量が3.5重量
%を超すと溶接金属に凝固割れ欠陥が発生しやすくなる
ため好ましくない。
【0045】テルミット剤全体に対するNiの配合量は
0.1重量%未満ではテルミット溶鋼への歩留まり、母
材との希釈を考慮すると溶接金属の最低限である0.1
重量%を下回るため好ましくなく、逆に5.3重量%を
超えると溶接金属の最大限である3.5重量%を上回る
ため好ましくない。
【0046】Cuはレール鋼の耐食性を向上させる元素
で、耐食性レール材には2.0重量%未満含有される場
合がある。耐食性レール鋼の溶接金属では必要に応じて
Cuを含有させることが望ましい。ただしCuは0.1
重量%未満ではその効果が弱く、溶接金属中のCu量が
1.5重量%を超すと溶接部に熱間脆性が起きて表面き
ずを発生する可能性があるため望ましくない。
【0047】テルミット剤全体に対するCuの配合量は
0.1重量%未満では歩留まり、母材希釈を考慮すると
溶接金属のCu量がその最低限である0.1重量%を下
回るため好ましくなく、逆に2.5重量%を超えると溶
接金属の最大限である1.5重量%を上回るため好まし
くない。
【0048】Vもまた変態を遅滞させて、必要に応じて
鋼材の強度を増加させる元素である。ただし、0.00
5重量%未満ではその効果が弱く、0.3重量%を超え
て含有しても、効果が頭打ちとなるため添加の意味がな
い。ベイナイト組織が安定して得られ、強度、延性のバ
ランスのとれた溶接金属を得るために、より望ましいV
の範囲は、0.005〜0.15重量%の範囲である。
【0049】テルミット剤全体に対するVの配合量は
0.005重量%未満では歩留まり、母材希釈を考慮す
ると溶接金属の最低限である0.005重量%を下回る
ため好ましくなく、逆に0.4重量%を超えると溶接金
属の最大限である0.3重量%を上回るため好ましくな
い。
【0050】Tiは析出したTiNが再結晶粒の成長を
抑制して結晶粒を微細化して、変態後の組織を微細化
し、延性を向上するために添加される。溶接金属中のT
i量が0.001重量%未満ではその効果が少なく、逆
に0.3重量%を超えるとTiNの粗大化によってかえ
って延靭性を損なうため好ましくない。
【0051】テルミット剤全体に対するTiの配合量は
0.002重量%未満では歩留まり、母材希釈を考慮す
ると溶接金属の最低限である0.01重量%を下回るた
め好ましくなく、逆に1.5重量%を超えると溶接金属
の最大限である0.3重量%を上回るため好ましくな
い。
【0052】Nbはオーステナイト粒の微細化を介して
溶接金属の靭性および延性を改善するために添加される
が、溶接金属中のNb量が0.01重量%未満ではその
効果が少なく、0.05重量%を超えるとNbの金属間
化合物が生成し脆化を引き起こすため好ましくない。
【0053】テルミット剤全体に対するNbの配合量は
0.01重量%未満では歩留まり、母材希釈を考慮する
と溶接金属の最低限である0.01重量%を下回るため
好ましくなく、逆に0.06重量%を超えると溶接金属
の最大限である0.05重量%を上回るため好ましくな
い。
【0054】Bはオーステナイト粒の微細化を介して溶
接金属の靭性および延性を改善するために添加される
が、溶接金属中のB量が0.0001重量%未満ではそ
の効果が少なく、0.005重量%を超えるとBの金属
間化合物が生成し脆化を引き起こすため好ましくないと
される。
【0055】テルミット剤全体に対するBの配合量は
0.0001重量%未満では歩留まり、母材希釈を考慮
すると溶接金属の最低限である0.0001重量%未満
となるため好ましくなく、逆0.015重量%を超える
と溶接金属の最大限である0.005重量%を上回るケ
ースが生じるため好ましくない。
【0056】また、P,Sは溶剤に配合される各種フェ
ロアロイやレール鋼に不可避的に含まれているため、溶
接金属にも不可避的に混入する。P、Sはいずれも溶接
金属の凝固の最終段階で凝固割れを助長しやすい元素で
あるため、溶接金属中のP,Sはいずれも0.03%以
下であることが望ましい。そのためにはテルミット剤中
のP,Sをいずれも0.03%以下に抑制することが望
ましく、使用するフェロアロイ等の原材料としてP,S
含有量の低いものを選択することが必要である。
【0057】本発明の実施形態について、以下その具体
的な実施例に基づき説明する。テルミット剤はアルミニ
ウム、酸化鉄、鉄粉粒、合金材から構成される。アルミ
ニウム、酸化鉄は反応原料、鉄粉粒は溶融鉄の温度調整
および補助鉄源用原料、合金材は成分調整用原料として
配合される。
【0058】テルミット剤における酸化鉄とアルミニウ
ムの反応は(2)式、(3)式に示す反応式に従う。 2Al+3FeO→Al2 3 +3Fe・・・・・・・・・・・(2) 2Al+Fe2 3 →Al2 3 +2Fe・・・・・・・・・・(3) 酸化鉄の組成は酸化鉄の生成温度によって異なる。この
ため酸化鉄中の酸素含有量は酸化度の低いFeOと酸化
度の高いFe2 3 の構成比率に応じて約22〜30%
の間で変化する。アルミニウムの配合量は使用する酸化
鉄の酸素含有量に応じて決める必要がある。その結果、
酸化鉄とアルミニウムの配合比率は酸化鉄の酸素含有量
に応じて、重量割合で10:2〜10:3.5の範囲と
なる。また、上述したように合金元素の歩留まりは溶鋼
温度に応じて変化するため、あらかじめ合金元素の歩留
まりが明らかな温度域に溶鋼温度を調整することが望ま
しい。
【0059】この温度調整を目的として、鉄粉粒がテル
ミット剤の全重量に対し30重量%以下配合される。鉄
粉粒と合金材の合計量が30重量%を超えると、溶鋼h
温度が下がりすぎ、母材の溶け込み不良や気泡の未浮上
によるブローホールなどの溶接欠陥の頻度が高くなるた
め好ましくない。
【0060】上記の諸点からテルミット剤全体に対する
酸化鉄、アルミニウムの配合比率はおおよそ以下の様に
決まってくる。すなわち、重量%でアルミニウム:10
%〜28%、酸化鉄 :57%〜78%また、酸化
鉄中の酸素がテルミット剤全体に対して占める割合は重
量%で、酸素 :11%〜25%程度、となる。
【0061】アルミニウムの下限配合量は鉄粉粒、合金
材の配合量が多く、しかも酸化鉄の酸化度が低い場合に
相当する。これより低いアルミニウム配合量ではアルミ
ニウムの不足のため酸化鉄が十分還元されず、反応熱が
不足する。また、アルミニウムの上限配合量は、合金材
と鉄粉粒の配合量が少なく、しかも酸化鉄の酸化度が高
い場合に相当する。酸化鉄中の酸素とアルミニウムの収
支上、これ以上のアルミニウムは必要無い。一方、酸化
鉄の下限配合量は鉄粉粒、合金材の配合量が多く、しか
も酸化鉄の酸化度が高い場合に相当する。酸化鉄の酸化
度が高い場合、酸化鉄の還元に要するアルミニウムが多
く必要で、酸化鉄の配合量は相対的に減るためである。
また、酸化鉄の上限配合量は、合金材と鉄粉粒の配合量
が少なく、しかも酸化鉄の酸化度が低い場合に相当す
る。
【0062】本発明の実施例では、酸化鉄として酸素含
有量が約25重量%、残部がFeと不可避不純物からな
る熱間圧延ミルスケールを用い、アルミニウムとの配合
比率は重量割合で10:3とした。また、本発明の実施
例では溶鋼温度を2200℃程度とするために、粒サイ
ズ2〜4mmの軟鋼スクラップ粒を補助鉄源として約1
3重量%配合した。
【0063】酸化鉄とアルミニウムの使用量に応じて溶
鋼とアルミナスラグの生成量が決まる。テルミット反応
により生じる溶鋼に加え、温度調整のために配合される
鉄粉粒と、合金材として配合されるフェロアロイからも
溶鋼が供給される。テルミット溶接では、レール端面と
鋳型内面によって構成される隙間を充満し、さらにレー
ル頭部上面に押し湯金属を形成させるだけの溶鋼量が必
要である。この量はレール形状、鋳型形状により異なっ
てくる。本発明者らが、アルミニウムと酸化鉄の配合
量、レールサイズ、鋳型形状を検討した結果、単位長さ
あたり60kg/mのJIS形状レールを使用する場合、ア
ルミニウムとミルスケールの配合合計量を約10kgと
すると生成溶鋼量が約6kgとなり、該60kg/mレール
を溶接するのに十分な溶鋼量が得られた。
【0064】合金元素の添加はフェロシリコン、フェロ
マンガン、フェロクロム、フェロモリブデン、フェロバ
ナジューム、フェロボロン、フェロニオブ等のフェロア
ロイのテルミット剤への配合により行った。これらのう
ち、フェロマンガン、フェロクロムには炭素含有量に応
じて高炭素タイプ、低炭素タイプが市販されており、狙
いとする炭素添加量に応じて、高炭素タイプと低炭素タ
イプを適宜配合することにより、狙いとするC、Mn、
Crを得ることができる。これら高Cフェロアロイから
の炭素量だけでは、溶接金属の炭素量が不足する場合に
は、グラファイト材を用いてC 量を調整した。使用した
グラファイト材は重量%でC20%を含む造粒成形材で
あり、Cの残部はFeと少量のSiO2 (水ガラス成分)
である。
【0065】本発明で採用したこれらフェロアロイの成
分例を表1に示す。なお、必要に応じて溶融金属に含有
させるNi、Cuは、合金原料として金属ニッケル(N
i>99重量%)、金属銅(Cu>99重量%)を使用
した。
【0066】
【表1】 酸化鉄とアルミニウムの粒サイズはテルミット反応の速
度に影響を与える。適正な粒サイズの材料が反応する
と、高温の生成物が未反応テルミット剤中へ浸透し、こ
れが新たな反応源となって次々に反応伝播し、るつぼ全
体に反応がおよぶ。粒サイズが粗すぎる場合には酸化鉄
とアルミニウムの接触面積が少ないため反応が進みにく
い。反対に粒径が細かすぎる場合、生成した溶融金属の
未反応テルミット剤中への浸透が困難であるため、反応
速度はやはり遅くなる。アルミニウムは粒サイズが0.
1〜1.0mmに調整された工業用アルミニウムが安価で
ありサイズ的にも好ましい。また、酸化鉄は製鉄工程で
生じる圧延ミルスケールが安価に、大量に入手すること
が可能である。使用したミルスケールの素材形状は厚み
0.1〜0.5mmの片状で、長さ、幅サイズを0.1〜
3.0mmに粉砕調整して使用した。
【0067】合金原料の粒サイズは0.1mm未満の細粒
の場合、テルミット反応の際にテルミット剤中の空気の
膨張によって生じる激しい沸騰現象と上昇気流によって
合金材料が舞い上がり、歩留まりが低下するため好まし
くない。逆に5mm を越える粗粒の場合は溶融が不十分に
なり、固体のまま鋳込まれる危険性がある。この場合、
溶接金属の組成が不均一となり、狙いとする組成が得ら
れない。従って、合金原料のサイズは0.1mm以上5mm
以内にする必要がある。また、炭素はグラファイト材か
ら添加することも可能であるが、この場合にも、粉末グ
ラファイトを鉄粉などと混ぜ合わせて水ガラスなどで結
合・造粒して0.1mm以上5mm以内にサイズ調整するこ
とにより、歩留まり低下を防止することができる。
【0068】また、溶鋼温度調整用に添加する鉄粉粒の
サイズについても合金原料と同様、巻き上がり、溶け残
りの防止のために、0.1mm以上5mm以内のものを使用
することが望ましい。
【0069】溶接工程は、従来のパーライト鋼レール溶
接と同じ標準工程とした。すなわち、2本のレール鋼の
端面を20〜30mmの隙間を開けて設置し、その隙間を
2分割型の鋳型を用いて取り囲む。鋳型は珪砂を水ガラ
スで混練して型枠で造形し、炭酸ガスで硬化させたもの
を用いた。テルミット剤は耐火物製るつぼ内に装入、堆
積され、点火剤により反応が開始される。テルミット剤
の一部で反応が開始すると、高温の生成物が新たな反応
源となって次々に反応伝播し、るつぼ全体に反応がおよ
ぶ。テルミット反応により溶融鉄と溶融アルミナスラグ
が生成するが、両者は比重差によりるつぼ内で上下に分
離し、注入の際には、溶融鉄が鋳型内の溶接部、押し湯
部に先に充満し、引き続き溶融スラグが押し湯の上部に
注入される。るつぼから溶接部への溶融物の注入は、る
つぼ底部に装着された耐火物栓が、溶融物の顕熱により
溶融、開口することによって実現される。反応に要する
時間は約20秒、融鉄の温度は約2200℃である。テ
ルミット剤の反応に先立ち、鋳型の注湯口から予熱バー
ナーを挿入し、レール断面、鋳型内面を乾燥、予熱す
る。予熱ガスはプロパン−酸素ガスが用いられ、レール
端面の温度は1000℃以上に達する。予熱所要時間は
1.5〜2.5分である。
【0070】高温の融鉄の注入により母材の端面が溶融
する。溶接金属は4〜5分間で凝固する。レール頭部に
形成される押し湯部は、凝固完了後、油圧式の押し抜き
装置によって熱間除去される。珪砂製鋳型はハンマーに
より容易に破壊でき、頭部より上側の鋳型は余盛押し抜
きの直前にハンマーにより除去される。頭部押し湯の熱
間押し抜き後、レール頭部は数mmの余剰金属層を残した
状態で大気中に露出する。レール頭部の表面温度が20
0℃以下に下がると、溶接部の変態はほとんど終わって
いる。従って、この温度以下になれば溶接部を水冷して
も良い。さらに柱部、底部の鋳型が除去され、レール頭
部の仕上げ研磨、溶接部の検査が行われる。
【0071】
【実施例】以下、本発明を実施例と比較例と共に、さら
に詳しく説明する。ベイナイト鋼レールを化学組成の種
々異なるテルミット剤を用いて溶接し、溶接金属の化学
組成、組織分率を求めた。化学組成、組織分率測定位置
は溶接部中央、レール頭部表面下5mm位置である。化学
組成分析はブロック試料に対する発光分光分析により行
った。また、組織分率はミクロ研磨後、3%ナイタル液
でエッチングし、光学顕微鏡を用いて点算法により行っ
た。ただし残留オーステナイト組織とフェライト組織は
顕微鏡観察だけでは判別が困難であるため、X線組織分
析法によって、残留オーステナイト量を求めた。
【0072】被溶接材であるベイナイト鋼レールには表
2の2種類のレールを用いた。レールI は合金元素量、
Ceqが低く、引張り強度が900MPa 程度の軽軸重軌
道用ベイナイト鋼レールである。一方レールIIは合金元
素量、Ceqが高い、引張り強度が1200MPa 程度の
高軸重用ベイナイト鋼レールである。
【0073】
【表2】 以下、溶接結果を表3、表4を用いて説明する。表3は
テルミット剤の原料配合率とテルミット剤全体に対する
各種合金元素の含有率を示している。表4は溶接金属の
化学組成と組織分率の測定結果をしている。
【0074】表3の符号(A)〜(P)は本発明例で、
このうち、(A)〜(F)は請求項8の基本組成のテル
ミット剤を用い、請求項3に記載の基本組成のベイナイ
ト鋼レールを用い、請求項1、3、8に該当する実施例
である。(A)はCr添加、(B)はMo添加、(C)
〜(F)はCr、Mo添加の例である。(A)は母材レ
ールからの希釈により、溶剤には含まれないMoが溶接
金属に混入してきている。また、(B)は母材レールか
らの希釈により、溶剤には含まれないCrが溶接金属に混
入してきている。
【0075】(A)〜(C)はいずれも含有元素量、炭
素当量が最適範囲であり、ベイナイト組織と適正量の残
留オーステナイトが得られた。(D)はC、Siを高め
にした実施例で、残留オーステナイト量が増大した。
(E)は合金成分、炭素当量を押さえ気味にした実施例
で、旧オーステナイト粒界に初析フェライト層が少量認
められた。ただしベイナイト組織の体積比率は80%を
超え、残留オーステナイト量も適正であるため実用性能
としては問題ない。(F)は合金成分を増加し、炭素当
量も高めた実施例であり、マルテンサイト組織が生じた
が、その量は少量であり、ベイナイト組織の体積比率も
80%を超えているので溶接部の実用性能としては問題
ない。
【0076】符号(G)〜(N)は請求項9の選択添加
元素を加えたテルミット剤を用い、請求項4に記載の基
本組成のベイナイト鋼レールを用い、請求項2、4、9
に該当する実施例で、Cr、Moに加え、(G)はN
i、(H)はCu、(I)はV、(J)はTi、(K)
はNb、(L)はBをそれぞれ添加した実施例である。
いずれの実施例も金属組織はベイナイトを主体とし、3
0%以下のオーステナイトが残留した。
【0077】符号(M)、(N)はCr、Moに加えて
Ni、Cu、V、Nb、Ti、Bを複合添加した実施例
である。(M)は各元素の含有量、炭素当量が最適範囲
であり、ベイナイト組織を主体として適正な残留オース
テナイトが得られた。(N)は合金成分を押さえ気味に
して、炭素当量もやや低めとした実施例で、旧オーステ
ナイト粒界に初析フェライト層の生成が認められたが、
ベイナイト組織の比率は80体積%を越えており、残留
オーステナイト量も適正であるため溶接部の実用性能と
しては問題ない。
【0078】符号(O)は特許請求項第8項の基本的な
テルミット剤を用い、請求項5に記載の選択添加元素を
加えたベイナイト鋼レール(レールII)を用い、請求項
2、5、8に該当する実施例である。この例のテルミッ
ト剤は実施例(F)と同じであるが、レール鋼に含まれ
るNi、Cu、Nb、V、Ti、Bが溶接金属に混入し
ている。その結果、実施例(F)に比べ溶接金属のCe
qがやや高まり、マルテンサイト組織がやや増加した。
ただし、ベイナイト組織の比率は70体積%を越えてお
り、溶接部の実用性能としては問題ない。
【0079】符号(P)は特許請求項第9項の選択添加
元素を加えたテルミット剤を用い、請求項6に記載の選
択添加元素を加えたベイナイト鋼レール(レールII)を
用い、請求項2、6、9に該当する実施例である。この
例でもベイナイト組織を主体として適正な残留オーステ
ナイトが得られた。
【0080】符号(a)〜(g)は比較のために、種々
合金原料の配合率を変化させたテルミット剤を試作し、
基本組成のベイナイト鋼レール(レールI )を溶接した
比較例である。(a)は従来のパーライト系溶接材料の
適用例である。溶接金属のほぼ全体がパーライト組織と
なり、ベイナイト組織を有する母材との組織の違いによ
り耐摩耗性能が大きく異なるため、使用中の摩耗量の偏
差が生じる可能性があるため好ましくない。(b)、
(c)は合金成分を押さえ過ぎたため、Ceqが本発明
範囲に達していない。その結果、初析フェライト相、パ
ーライト相が増加しベイナイト組織の比率が70体積%
以下まで下がった例で、強度低下が生じるため好ましく
ない。
【0081】(d)、(e)は合金成分を必要以上に添
加したものである。(d)はC,Mn、Cr量とCeq
が、(e)はMo、Ni、Ceqが本発明の範囲を超え
ており、マルテンサイト相が多量に生じたため溶接金属
が脆化しており好ましくない。(f)はC、Siが本発
明の範囲を超えた例で、残留オーステナイトが過剰に生
じてベイナイト組織の比率が70体積%以下まで下がっ
ており、強度低下の悪影響が大きくなるため好ましくな
い。(g)はCr、Ceqが本発明の範囲を超えた例
で、マルテンサイト量が増加し、ベイナイト組織の比率
が70体積%以下まで下がっており、溶接部の脆化が生
じるため好ましくない。
【0082】(h)は(g)と同じテルミット剤を、選
択添加元素を加えたベイナイト鋼レール(レールII)を
用いた比較例であるが、各元素の含有量は本発明の範囲
内であるが、Ceqが本発明の範囲を超えている。その
結果、ベイナイト相の比率が70体積%以下に低下し、
これに伴いマルテンサイト、パーライト相の分率が増加
し、溶接部の耐摩耗性が上昇する、あるいは脆化する、
などのため好ましくない。
【0083】
【表3】
【0084】
【表4】
【0085】
【発明の効果】以上、本発明に示したベイナイト鋼レー
ル、およびそのテルミット剤を用いて溶接することによ
り、溶接金属の体積比率にして70%以上がベイナイト
組織となり、一部にオーステナイト組織を残留させるこ
とができる。その結果、高い強度と延性、靱性を有し、
かつベイナイト鋼レールと同等の耐摩耗性、耐表面損傷
性がテルミット溶接金属に付与されるため、偏摩耗、局
部損傷が少なく、従って騒音・振動が少ない、保守費用
の点で優れた軌道を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22C 38/46 C22C 38/46 38/56 38/56 // B23K 101:26

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、 C :0.1〜0.6%、 Si:1.0%超〜4.0%、 Mn:0.1〜2.5%、 Al:0.05〜1.5% を含有し、さらに Cr:0.2〜2.5%、 Mo:0.05〜1.5%の1種または2種 を含有し、残部がFe及び不可避不純物であり、しか
    も、下記(1)式で表す炭素当量が0.5〜1.5%の
    範囲であることを特徴とするベイナイト鋼レールのテル
    ミット溶接金属。 炭素当量=C%+Si%/24+Mn%/6+Ni%/40+Cr%/5 +Mo%/4+V%/16・・・・・・(1)
  2. 【請求項2】重量%で、 C :0.1〜0.6%、 Si:1.0%超〜4.0%、 Mn:0.1〜2.5%、 Al:0.05〜1.5% を含有し、さらに Cr:0.2〜2.5%、 Mo:0.05〜1.5%の1種または2種 を含有し、またさらに Ni:0.1〜3.5%、 Cu;0.1〜1.5%、 V :0.005〜0.3%、 Ti:0.001〜0.3%、 Nb:0.01〜0.05%、 B :0.0001〜0.005%の1種または2種以
    上 を含有し、残部がFe及び不可避不純物であり、しか
    も、下記(1)式で表す炭素当量が0.5〜1.5%の
    範囲であることを特徴とするベイナイト鋼レールのテル
    ミット溶接金属。 炭素当量=C%+Si%/24+Mn%/6+Ni%/40+Cr%/5 +Mo%/4+V%/16・・・・・・・・(1)
  3. 【請求項3】 母材として、重量%で、 C :0.05〜0.6%、 Si:0.1〜2.0%、 Mn:0.1〜2.5% を含有し、さらに Cr:0.01〜4.0%、 Mo:0.05〜3.0%の1種または2種 を含有し、残部がFe及び不可避不純物であることを特
    徴とするベイナイト鋼レールを用い、アルミニウム、酸
    化鉄、鉄粉粒、合金材から構成されるテルミット剤であ
    って、全テルミット剤に対する重量%で、 C :0.05〜0.9%、 Si:1.2%超〜5.0%、 Mn:0.2〜6.0% を含有し、さらに Cr:0.2〜3.1%、 Mo:0.02〜2.0%の1種または2種以上 と不可避不純物を含有し、かつ下記(1)式で表すCe
    qが0.5〜2.0重量%の範囲であることを特徴とす
    るテルミット剤を用いて形成された、重量%で、 C :0.1〜0.6%、 Si:1.0超〜4.0%、 Mn:0.1〜2.5%、Al:0.005〜1.5% を含有し、さらに Cr:0.2〜2.5%、 Mo:0.05〜1.5%の1種または2種 を含有し、残部がFe及び不可避不純物であり、かつ、
    下記(1)式で表す炭素等量が0.5〜1.5重量%の
    範囲であることを特徴とするベイナイト鋼レールのテル
    ミット溶接金属。 炭素等量=C%+Si%/24+Mn%/6+Ni%/40+Cr%/5 +Mo%/4+V%/16・・・・・・(1)
  4. 【請求項4】 母材として、重量%で、 C :0.05〜0.6%、 Si:0.1〜2.0%、 Mn:0.1〜2.5% を含有し、さらに Cr:0.01〜4.0%、 Mo:0.05〜3.0%の1種または2種 を含有し、残部がFe及び不可避不純物であることを特
    徴とするベイナイト鋼レールを用い、 アルミニウム、酸化鉄、鉄粉粒、合金材から構成される
    テルミット剤であって、全テルミット剤に対する重量%
    で、 C :0.05〜0.9%、 Si:1.2%超〜5.0%、 Mn:0.2〜6.0% を含有し、さらに Cr:0.2〜3.1%、 Mo:0.02〜2.0%の1種または2種以上と不可
    避不純物を含有し、またさらにNi:0.1〜5.3
    %、 Cu:0.1〜2.5%、 V :0.005〜0.4%、 Ti:0.002〜1.5%、 Nb:0.01〜0.06%、 B:0.0001〜0.0015%の1種または2種以
    上と不可避不純物を含有し、かつ下記(1)式で表す炭
    素等量が0.5〜2.0重量%の範囲であることを特徴
    とするテルミット剤を用いて形成された、重量%で、 C :0.1〜0.6%、 Si:1.0%超〜4.0%、 Mn:0.1〜2.5%、 Al:0.005〜1.5% を含有し、さらに Cr:0.2〜2.5%、 Mo:0.05〜1.5%の1種または2種 を含有し、残部がFe及び不可避不純物であり、かつ、
    下記(1)式で表す炭素等量が0.5〜1.5重量%の
    範囲であることを特徴とするベイナイト鋼レールのテル
    ミット溶接金属。 炭素等量=C%+Si%/24+Mn%/6+Ni%/40+Cr%/5 +Mo%/4+V%/16・・・・・・・・(1)
  5. 【請求項5】 母材として、重量%で、 C :0.05〜0.6%、 Si:0.1〜2.0%、 Mn:0.1〜2.5% を含有し、さらに Cr:0.01〜4.0%、 Mo:0.05〜3.0%の1種または2種 を含有し、またさらに Ni:0.1〜4.0%、 Cu:0.04〜2.0%、 V :0.005〜0.3%、 Ti:0.005〜0.05%、 Nb:0.01〜0.05%、 B :0.0001〜0.005%の1種または2種以
    上 を含有し、残部がFe及び不可避不純物であることを特
    徴とするベイナイト鋼レールを用い、アルミニウム、酸
    化鉄、鉄粉粒、合金材から構成されるテルミット剤であ
    って、全テルミット剤に対する重量%で、 C :0.05〜0.9%、 Si:1.2%超〜5.0%以下、 Mn:0.2〜6.0% を含有し、さらに Cr:0.2〜3.1%、 Mo:0.02〜2.0%の1種または1種以上 と不可避不純物を含有し、かつ下記(1)式で表す炭素
    等量が0.5〜2.0重量%の範囲であることを特徴と
    するテルミット剤を用いて形成された、重量%で、 C :0.1〜0.6%、 Si:1.0%超〜4.0%、 Mn:0.1〜2.5%、 Al:0.005〜1.5% を含有し、さらに Cr:0.2〜2.5%、 Mo:0.05〜1.5%の1種または2種 を含有し、またさらに Ni:0.1〜3.5%、 Cu:0.1〜1.5%、 V :0.005〜0.3%、 Ti:0.001〜0.3%、 Nb:0.01〜0.05%、 B :0.0001〜0.005の1種または2種以上 を含有し、残部がFe及び不可避不純物であり、かつ、
    下記(1)式で表す炭素等量が0.5〜1.5重量%の
    範囲であることを特徴とするベイナイト鋼レールのテル
    ミット溶接金属。 炭素等量=C%+Si%/24+Mn%/6+Ni%/40+Cr%/5 +Mo%/4+V%/16・・・・・・・・(1)
  6. 【請求項6】 母材として、重量%で、 C :0.05〜0.6%、 Si:0.1〜2.0%、 Mn:0.1〜2.5% を含有し、さらに Cr:0.01〜4.0%、 Mo:0.05〜3.0%の1 種または2 種 を含有し、またさらに Ni:0.1〜4.0%、 Cu:0.04〜2.0%、 V :0.005〜0.3%、 Ti:0.005〜0.05%、 Nb:0.01〜0.05%、 B :0.0001〜0.005%の1種または2種以
    上 を含有し、残部がFe及び不可避不純物であることを特
    徴とするベイナイト鋼レールを用い、 アルミニウム、酸化鉄、鉄粉粒、合金材から構成される
    テルミット剤であって、全テルミット剤に対する重量%
    で、 C :0.05〜0.9%、 Si:1.2%超5.0%、 Mn:0.2〜6.0% を含有し、さらに Cr:0.2〜3.1%、 Mo:0.02〜2.0%の1種または2種以上 と不可避不純物を含有し、またさらに Ni:0.1〜5.3%、 Cu:0.1〜2.5%、 V :0.005〜0.4%、 Ti:0.002〜1.5%、 Nb:0.01〜0.06%、 B :0.0001〜0.0015%の1種または2種
    以上 と不可避不純物を含有し、かつ下記(1)式で表す炭素
    等量が0.5〜2.0重量%の範囲であることを特徴と
    するテルミット剤を用いて形成された、重量%で、 C :0.1〜0.6%、 Si:1.0%超〜4.0%、 Mn:0.1〜2.5%、 Al:0.005〜1.5% を含有し、さらに Cr:0.2〜2.5%、 Mo:0.05〜1.5%の1種または1種 を含有し、またさらに Ni:0.1〜3.5%、 Cu:0.1〜1.5%、 V :0.005〜0.3%、 Ti:0.001〜0.3%、 Nb:0.01〜0.05%、 B :0.0001〜0.005の1種または2種以上 を含有し、残部がFe及び不可避不純物であり、かつ、
    下記(1)式で表す炭素等量が0.5〜1.5重量%の
    範囲であることを特徴とするベイナイト鋼レールのテル
    ミット溶接金属。 炭素等量=C%+Si%/24+Mn%/6+Ni%/40+Cr%/5 +Mo%/4+V%/16・・・・・・・・(1)
  7. 【請求項7】 溶接金属のベイナイト組織の割合が70
    %以上であり、かつ、残留オーステナイト組織の割合が
    1〜30%であることを特徴とする請求項1乃至6のい
    ずれか1項に記載のベイナイト鋼レールのテルミット溶
    接金属。
  8. 【請求項8】 アルミニウム、酸化鉄、鉄粉粒、合金材
    から構成されるテルミット剤であって、全テルミット剤
    に対する重量%で、 C :0.05〜0.9%、 Si:1.2%超〜5.0%、 Mn:0.2〜6.0% を含有し、さらに Cr:0.2〜3.1%、 Mo:0.02〜2.0%の1種または2種以上 と不可避不純物を含有し、かつ下記(1)式で表す炭素
    等量が0.5〜2.0重量%の範囲であることを特徴と
    するテルミット剤。 炭素等量=C%+Si%/24+Mn%/6+Ni%/40+Cr%/5 +Mo%/4+V%/16・・・・・・・・(1)
  9. 【請求項9】 アルミニウム、酸化鉄、鉄粉粒、合金材
    から構成されるテルミット剤であって、全テルミット剤
    に対する重量%で、 C :0.05〜0.9%、 Si:1.2%超〜5.0%、 Mn:0.2〜6.0% を含有し、さらに Cr:0.2〜3.1%、 Mo:0.02〜2.0%の1種または2種以上 と不可避不純物を含有し、またさらに Ni:0.1〜5.3%、 Cu:0.1〜2.5%、 V :0.005〜0.4%、 Ti:0.002〜1.5%、 Nb:0.01〜0.06%、 B:0.0001〜0.0015%の1種または2種以
    上 と不可避不純物を含有し、かつ下記(1)式で表す炭素
    等量が0.5〜2.0重量%の範囲であることを特徴と
    するテルミット剤。 炭素等量=C%+Si%/24+Mn%/6+Ni%/40+Cr%/5 +Mo%/4+V%/16・・・・・・・・(1)
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