JPH11243140A - 半導体基板用搬送ボックス - Google Patents

半導体基板用搬送ボックス

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JPH11243140A
JPH11243140A JP10288702A JP28870298A JPH11243140A JP H11243140 A JPH11243140 A JP H11243140A JP 10288702 A JP10288702 A JP 10288702A JP 28870298 A JP28870298 A JP 28870298A JP H11243140 A JPH11243140 A JP H11243140A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 実用上効果的な微粒子又はガス状有害成分の
除去機能を有する半導体基板用搬送ボックスを提供す
る。 【解決手段】 半導体を出入できる開閉機構を有する半
導体基板用搬送ボックス21において、該ボックス21
には、ボックス内を清浄化するための光照射による光電
子又は光触媒を用いる気体清浄化装置A-2、又は、該装
置に電力を供給するバッテリー搭載充電機能付き電源装
置を一体化した気体清浄化ユニットを有することを特徴
とする半導体基板用搬送ボックスとしたものであり、前
記気体清浄化装置には、光照射のための紫外線源と、光
電子放出のための光電子放出材又は光触媒を備え、電源
装置を一体化した場合は、電源装置における発熱を気体
清浄化装置に伝えるための放熱体を備えるのが良く、ま
た、前記搬送ボックスは、材料を合成樹脂製とすること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体基板用搬送
ボックスに係り、特に半導体、液晶、精密機械工業など
の先端産業におけるSiウエハ、ガラス基板、金属被覆
基板等の基板を収納して搬送する搬送ボックス(キャリ
アボックス)に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のクリーンルームにおける空気清浄
を、半導体製造工場における空気清浄を例に、図18を
用いて説明する。図18において、外気1は先ずプレフ
ィルタ2で粗粒子が除去され、次いで空調機3で空調さ
れ、中性能フィルタ4で除塵される。次に、クリーンル
ーム5の天井部に設置されているHEPAフィルタ(高
性能フィルタ)6で微細な粒子が除去され、クリーンル
ーム5はクラス100〜1,000が維持される(「洗
浄設計」p.11〜24、Summer1988)。7-1、7
-2はファン、矢印は空気の流れを示す。従来のクリーン
ルームにおける空気清浄は、微粒子除去を目的としてい
るので、図18のように構成されていた。このような構
成では、微粒子除去には効果的であるが、ガス状有害成
分の除去には効果がない。
【0003】一方、図18のような大部屋方式のクリー
ンルームでは超クリーン化に対してコストがかかり過ぎ
るという課題がある(BREAK THROUGH、5
号p.38〜41、1993)。ところで、今後半導体
産業では製品の高品質化、精密化が増々進み、これに伴
い、微粒子(粒子状物質)は当然のこと、微粒子に加え
てガス状物質が汚染物として関与する。即ち、従来は微
粒子除去のみで十分であったのが、今後は、ガス状物質
(ガス状有害成分)の制御も重要となってくる。これ
は、前記図18に示した、従来のクリーンルームのフィ
ルタでは、微粒子のみしか除去されず、外気からのガス
状有害成分は、除去されずにクリーンルームに導入され
てしまうので問題になるためである。
【0004】即ち、クリーンルームにおいては、微粒子
(粒子状物質)や、今までの除塵フィルタ(例、HEP
A、ULPAフィルタ)では捕集、除去されず、クリー
ンルーム内に導入されてしまう自動車の排気ガス、民生
品として広く使用されている高分子樹脂製品からの脱ガ
スなどに起因する炭化水素(H.C.)と呼ばれる有機
性ガスやNH3 、アミンのような塩基性(アルカリ性)
ガスなどのガス状物質が、ガス状有害成分として問題と
なる。この内、H.C.はガス状有害成分として通常の
空気(室内空気及び外気)中の極低濃度のものが汚染を
もたらすので、除去する必要がある。また、最近ではク
リーンルームの構成材や使用器具(例、ウエハ収納ボッ
クス)の高分子樹脂類からの脱ガスがH.C.発生源と
して問題となっている((社)日本機械工業連合会、平
成6年度報告書、平成7年3月、p.41〜49、19
95)。
【0005】これらのガス状物質は、クリーンルーム内
における作業で発生したものも問題となる。即ち、該ガ
ス状物質の起因として通常のクリーンルームでは、外気
から導入されたガス状物質(クリーンルームでのフィル
タでは、ガス状物質は除去できないので、外気中のガス
状物質は導入されてしまう)に、前記のクリーンルーム
内で発生したガス状物質が加わるので、外気に比べてク
リーンルーム中のガス状物質は高濃度となり、ウエハ基
材や基板を汚染する。即ち、上記の汚染物質(微粒子、
ガス状有害成分)がウエハ、半製品、製品の基板表面に
付着すれば、微粒子は、基板表面の回路(パターン)の
断線や短絡を引き起こし欠陥を生じさせる。また、ガス
状物質として、 H.C.は、ウエハ(基板)表面に
付着すると、接触角の増加をもたらし、H.C.は基板
とレジストとの親和性(なじみ)に影響を与える。そし
て、親和性が悪くなるとレジストの膜厚に悪影響を与え
たり、基板とレジストとの密着性に悪影響を与える(空
気清浄、第33巻、第1号、p.16〜21、199
5)。また、H.C.はウエハの酸化膜の耐圧劣化(信
頼性の低下)を引き起こす(第39回応用物理学関係連
合講演会予稿集、p.686、1992)。
【0006】 NH3 は、アンモニウム塩の生成など
をもたらし、ウエハにくもり(解像不良)を引き起こす
(リアライス社、最新技術講座、資料集、半導体プロセ
スセミナー、1996年10月29日、p.15〜2
5、1996)。このような原因により、微粒子はもと
よりこれらのガス状汚染物質は、半導体製品の生産性
(歩留り)を低下させる。特に、ガス状有害成分として
の上記のガス状物質は上述の発生起因により、また最近
では省エネの観点でクリーンルーム空気の循環を多くし
て用いるので、クリーンルーム中のガス状物質の濃度は
濃縮され、外気に比べかなりの高濃度となっており、基
材や基板に付着し、該表面を汚染する。この汚染の程度
は、基材や基板の接触角で表わすことができ、汚染が激
しいと接触角が大きい。接触角が大きい基材や基板は、
その表面に成膜しても膜の付着強度が弱く(なじみが悪
い)、歩留りの低下をまねく。
【0007】ここで、接触角とは水によるぬれの接触角
のことであり、基板表面の汚染の程度を示すものであ
る。即ち、基板表面に疎水性(油性)の汚染物質が付着
すると、その表面は水をはじき返してぬれにくくなる。
すると基板表面と水滴との接触角は大きくなる。従って
接触角が大きいと汚染度が高く、逆に接触角が小さいと
汚染度が低い。特に、最近省エネの点でクリーンルーム
の空気を循環使用するため、クリーンルーム内のガス状
有害成分は徐々に高まってしまい、基材や基板を汚染す
ることになる。
【0008】このような汚染物質から基板を汚染防止す
る対策として、(1)ロボットによる搬送が有効であ
る。即ち、人は発塵・発ガス源になっているので、クリ
ーン度維持のために人の介在をなくすることが重要であ
る(月刊 Semicondactor world、1月号、p.112〜
116、1997)。 (2)また、クリーン化という点では、今後の空間のク
リーン化は清浄空間を限定(局所化)する局所クリーン
化(ミニエンバイロメント)が効果的であると提案され
ている( NIKKEI MICRODEVICES、7月号、p.136
〜141、1995、 Proceedings of IES,p.37
3〜378、1994)。現在、このようなミニエンバ
イロメントとして、Siウエハを合成樹脂(プラスチッ
ク)製ボックスに収納し、搬送する方式が検討されてい
るが、(1) 内部から突発的に発塵が起きた場合、かえっ
て粒子汚染が深刻になる、(2) ボックス材料からの脱ガ
ス(発ガス)に対する対策が必要、(3) (1)(2)により、
ボックス自身を定期洗浄する工程が増えるので、煩雑に
なり、実用上問題である等の指摘がある(KANOMAX エア
ロゾルセミナー、p.1〜10、1996)。このよう
な中にあって、本発明者らは、局所クリーン化技術とし
て光電子や光触媒を用いる空間のクリーン化方式を提案
してきた。
【0009】例えば 1) 光電子による清浄方式(粒子
状物質の除去):特公平3−5859号、特公平6−7
4909号、特公平8−211号、特公平7−1213
67号公報、 2) 光触媒による清浄方式(ガス状有害成
分の除去):特開平9−168722号、特開平9−2
05046号公報、 3) 光電子と光触媒の併用方式(粒
子とガスの同時除去):特開平1−266864号公報
がある。これらの清浄方式は適用先(装置の種類)や要
求性能によっては、前記の清浄方式で効果的であるが、
適用先や要求性能によっては、使用法を適宜改善する必
要があった。この改善においては、実用上一層効果的に
なるよう改善するという問題があった。その問題の1つ
として、前記のこれらの清浄方式は紫外線等の光源によ
る発熱により気体を流動化させ清浄化を行っている。即
ち、前記清浄方式の適用先によっては、該気体の流動化
を如何に効果的に行うかが重要であり、改善すべき問題
であった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、上
記従来技術に鑑み、半導体、液晶、精密機械工業などの
先端産業において、製品の高品質化、精密化、微細化が
進むにつれ要望が高まるミニエンバイロメントの半導体
基板用搬送ボックスとして、実用上効果的な微粒子又は
ガス状有害成分の除去機能を有する半導体基板用搬送ボ
ックスを提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明では、半導体基板を出入できる開閉機構を有
する半導体基板用搬送ボックスおいて、該ボックスに
は、ボックス内を清浄化するための光照射による光電子
又は光触媒を用いる気体清浄化装置を一体化した気体清
浄化ユニットを有することを特徴とする半導体基板用搬
送ボックスとしたものである。また、本発明では、半導
体基板を出入できる開閉機構を有する半導体基板用搬送
ボックスにおいて、該ボックスには、ボックス内を清浄
化するための光照射による光電子又は光触媒を用いる気
体清浄化装置と、該装置に電力を供給するバッテリー搭
載充電機能付き電源装置とを一体化した気体清浄化ユニ
ットを有することを特徴とする半導体基板用搬送ボック
スとしたものである。
【0012】前記搬送ボックスは、材料を合成樹脂とす
るのがよく、また前記気体清浄化ユニットは、電源装置
を一体化した場合、電源装置における発熱を気体清浄化
装置に伝えるための放熱体を備えるのがよい。また、前
記気体清浄化ユニットが、電源装置を一体化していない
場合は、本搬送ボックスの搬送の合い間(搬送以外のと
き)に、ロードポートや工程待ち中の待機場所、ストッ
カ等に設置された電力供給装置への接続により電力供給
を受けて作動するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の半導体基板用搬送ボック
スは、半導体基板をボックス内に収納や搬出用の出入で
きる開閉機構を有し、ボックス内を清浄化するための光
照射による光電子又は光触媒を用いる気体清浄化装置
(気体清浄化ユニット)が一体化されており、該ユニッ
トはボックスから適宜取り外しできるものである。前記
気体清浄化装置は、ボックスの搬送としての本来の利用
の合い間(搬送以外の間)に、ロードポートや工程待ち
中の待機場所、ストッカ等に設置された電力供給装置へ
の接続により、電力供給を受け作動し、これにより基板
が収納されたボックス内の気体の清浄化が行われる。ま
た、本発明の半導体基板用搬送ボックスは、半導体基板
をボックス内に収納や搬出用の出入できる開閉機構を有
し、ボックス内を清浄化するための光照射による光電子
又は光触媒を用いる気体清浄化装置と、該装置に電力を
供給するためのバッテリー搭載充電機能付き電源装置と
を有して、それらは一体化されており(気体清浄化ユニ
ット)、該ユニットはボックスから適宜取り外しできる
ものである。
【0014】更に、該ユニットには、電源装置からの発
熱を光電子又は光触媒を用いる気体清浄化装置に伝える
放熱体を備えることができる。これらの本発明のボック
スは、半導体基板を収納し、搬送及び/又は保管できる
ものであり、密閉可能な容器であれば何れでも良い。例
えば、金属製、合成樹脂製がある。この内金属製のもの
では、軽量である点でAl製が好ましい。また、合成樹
脂の場合は、加工性、剛性、耐久性に優れ、発ガスが少
ない材料であれば何れでも良いが、透明性のものであれ
ばなお好ましい。例えば、ABS、アクリル等の汎用プ
ラスチック及びポリカーボネイト(P.C.)等のエン
ジニアリングプラスチック、更にポリエーテルイミド等
のスーパーエンジニアリングプラスチックがある。
【0015】ボックスの開閉機構は、後述の本発明の光
電子又は光触媒を用いる気体清浄化装置が設置できる密
閉可能な前記のボックスであって、基板を適宜に収納及
び取り出しができるものであれば何れでも良い。例え
ば、ボックスの開閉機構は、ボックスドアとウエハー押
さえ、シール材からなり、一体化されており、ボックス
ドアをドアオープナー(SEMI標準)と係合させ水平
方向にボックス本体より引き出した後に下方行に引き下
げる事により、ボックスドアはボックス本体から開放さ
れる。このようなボックスの例としては、開閉ドアの位
置と、基板の収納形態(基板をオーブンカセットに収納
するか否か)から、 1) 横開き一体型搬送ボックス、2)
オープンカセット収納型横開き搬送ボックス、 3) オ
ーブンカセット収納型底開き搬送ボックスがある。
【0016】次に、本発明の特徴である前記開閉機構を
有するボックスに、取り外しが適宜にできる光電子又は
光触媒による気体清浄化装置について述べる。該装置
は、ボックス内の1部に設置することにより、ボックス
内の汚染物質を装置内での発熱を利用した気体の流れ
(自然循環)により、効果的に除去するものである。先
ず、光電子による清浄化装置について、次にその構成を
説明する。光電子による清浄化装置は、光電子放出材、
紫外線ランプ、光電子放出のための電場用電極材、荷電
微粒子捕集材、より構成され、微粒子の除去を行うもの
である。光電子放出材は、紫外線の照射により光電子を
放出するものであれば何れでも良く、光電的な仕事関数
が小さなもの程好ましい。効果や経済性の面から、B
a,Sr,Ca,Y,Gd,La,Ce,Nd,Th,
Pr,Be,Zr,Fe,Ni,Zn,Cu,Ag,P
t,Cd,Pb,Al,C,Mg,Au,In,Bi,
Nb,Si,Ti,Ta,U,B,Eu,Sn,P,W
のいずれか又はこれらの化合物又は合金又は混合物が好
ましく、これらは単独で又は二種以上を複合して用いら
れる。複合材としては、アマルガムの如く物理的な複合
材も用いうる。
【0017】例えば、化合物としては酸化物、ほう化
物、炭化物があり、酸化物にはBaO,SrO,Ca
O,Y2 5 ,Gd2 3 ,Nd2 3 ,ThO2 ,Z
rO2 ,Fe2 3 ,ZnO,CuO,Ag2 O,La
2 3 ,PtO,PbO,Al23 ,MgO,In2
3 ,BiO,NbO,BeOなどがあり、またほう化
物にはYB6 ,GdB6 ,LaB5 ,NdB6 ,CeB
6 ,EuB6 ,PrB6 ,ZrB2 などがあり、さらに
炭化物としてはUC,ZrC,TaC,TiC,Nb
C,WCなどがある。また、合金としては黄銅、青銅、
リン青銅、AgとMgとの合金(Mgが2〜20wt
%)、CuとBeとの合金(Beが1〜10wt%)及
びBaとAlとの合金を用いることができ、上記Agと
Mgとの合金、CuとBeとの合金及びBaとAlとの
合金が好ましい。酸化物は金属表面のみを空気中で加熱
したり、或いは薬品で酸化することによっても得ること
ができる。
【0018】さらに他の方法としては使用前に加熱し、
表面に酸化層を形成して長期にわたって安定な酸化層を
得ることもできる。この例としてはMgとAgとの合金
を水蒸気中で300〜400℃の温度の条件下で、その
表面に酸化膜を形成させることができ、この酸化薄膜は
長期間にわたって安定なものである。また、光電子を放
出する物質を別の物質に付加して使用することができ
る。この例として、紫外線透過性物質に光電子を放出し
得る物質を付加したものがある(特公平7−93098
号、特開平4−243540号)。後述の紫外線源との
一体化、例えば紫外線ランプ表面への光電子放出材の付
加がある(特開平4−243540号)。一体化により
コンパクトになるので適用ボックスの種類によっては好
ましい。
【0019】光電子放出材の形状や構造は後述のごと
く、装置(ユニット)の形状、構造あるいは希望する効
果等により異なり、適宜決めることができる。光電子放
出材からの光電子放出のための照射源は、照射により光
電子を放出するものであれば何れでも良く、紫外線が通
常好ましい。紫外線の種類は、光電子放出材がその照射
により、光電子を放出するものであれば何れでも良い。
該紫外線源は紫外線を発するものであれば、何れでも使
用できるが、コンパクト化の点で水銀灯、例えば殺菌ラ
ンプが好ましい。次に、本発明の特徴である紫外線源、
光電子放出材、電極、荷電微粒子捕集材、の位置や形状
について述べる。これらは、要求性能により適宜後述の
光触媒と共に、紫外線源を囲み設置され、有害ガス及び
微粒子を含む気体の清浄化装置(ユニット)として一体
化していることに特徴がある。
【0020】光電子放出材の位置や形状は、紫外線源か
ら放出される紫外線を囲むように(照射面積が広くでき
るように)設置できるものであればいずれでも良い。通
常、紫外線源からの紫外線は円周方向に放射状に放出さ
れるため、この紫外線を囲むように円周方向に設置でき
るものであれば良い。光電子放出材からの光電子の放出
は、電場下での紫外線照射で効果的である。そのための
電極の位置や形状は、光電子放出材との間に電場(電
界)が形成できるものであれば何れも使用できる。電極
材料とその構造は、周知の荷電装置において使用されて
いるもので良い。電極材料は導体であれば何れも使用で
き、この例としてタングステン、SUSあるいはCu−
Znの線、棒状、網状、板状がある。これらを1種類又
は2種類以上組合わせて光電子放出材の近傍に電場が形
成できるように設置する(特開平2−303557
号)。
【0021】荷電微粒子の捕集材(集じん材)は、通常
の荷電装置における集じん板、集じん電極等各種電極材
や静電フィルター方式が一般的であるが、スチールウー
ル電極、タングステンウール電極のようなウール状構造
のものも有効である。エレクトレック材も好適に使用で
きる。光電子放出材、電極材、荷電微粒子の捕集材の好
適な組合わせ方は、ボックスの形状、構造、要求性能、
経済性などにより適宜決めることができ、空間部への設
置により後述の清浄化空間部に存在する微粒子などの汚
染物質が本装置内に迅速に移動できるものであれば良
い。光電子放出材と電極の位置と形状は、紫外線源を囲
み、紫外線源、光電子放出材、電極、荷電微粒子捕集材
が一体化でき、紫外線源から放出された紫外線が有効利
用され、かつ光電子の放出と該光電子による微粒子の荷
電・捕集が効果的に行えるようにボックスの形状、効
果、経済性等を考慮して予備試験等により、決めること
ができる。例えば、棒(円筒)状の紫外線ランプを用い
る場合は、紫外線が円周方向に放射状に放出されるた
め、この円周方向の放射状の紫外線を光電子放出材に出
来るだけ多く照射するほど光電子放出量が多くなる。
【0022】次に、光触媒による清浄化装置を説明す
る。光触媒は、ガス状有害成分の除去を行うものであ
り、光源からの光照射により励起され、接触角増加に関
与する有機性ガス(非メタン炭化水素、H.C)を接触
角の増加に関与しない形態に分解あるいは、付着しても
影響を及ぼさない安定な形態に変換するものであればい
ずれでもよい。通常、半導体材料が効果的であり、容易
に入手出来、加工性も良いことから好ましい。効果や経
済性の面から、Se,Ge,Si,Ti,Zn,Cu,
Al,Sn,Ga,In,P,As,Sb,C,Cd,
S,Te,Ni,Fe,Co,Ag,Mo,Sr,W,
Cr,Ba,Pbのいずれか、又はこれらの化合物、又
は合金、又は酸化物が好ましく、これらは単独で、また
2種類以上を複合して用いる。
【0023】例えば、元素としてはSi,Ge,Se、
化合物としてはAlP,AlAs,GaP,AlSb,
GaAs,InP,GaSb,InAs,InSb,C
dS,CdSe,ZnS,MoS2 ,WTe2 ,Cr2
Te3 ,MoTe,Cu2 S,WS2 、酸化物としては
TiO2 ,Bi2 3 ,CuO,Cu2 O,ZnO,M
oO3 ,InO3 ,Ag2 O,PbO,SrTiO3
BaTiO3 ,Co34 ,Fe2 3 ,NiOなどが
ある。適用先によっては、金属材を焼成し、金属表面に
光触媒の形成を行うことができる。この例として、Ti
材を焼成し、その表面にTiO2 の形成を行う光触媒が
ある。光触媒は、前記光電子放出材と同様に光源を囲み
設置され、気体の清浄化装置(ユニット)として一体化
していることに特徴がある。また、要求性能によっては
前記の光電子を用いる清浄化装置に一体化し行うことが
でき、本発明の特徴である。
【0024】即ち、光触媒の気体清浄化装置における設
置位置は、例えば、(1)紫外線ランプへの直接の付
加、(2)紫外線源をガラス状物質あるいはガラス材で
囲み、該ガラス状物質の表面への付加、(3)紫外線源
に対向する円周方向の壁面への付加、(4)あるいは光
触媒を板状、綿状、網状、ハニカム状、膜、円筒状ある
いは繊維状などの適宜の材料にコーティングしたり、あ
るいは包み、又は挟み込んで装置内に固定して用いても
よい。例として、ゾルゲル法によるガラス板への二酸化
チタンのコーティングがある。光触媒は、粉体状のまま
でも用いることが出来るが、焼結、蒸着、スパッタリン
グ、塗布、焼付け塗装などの周知の方法で適宜の形状に
して用いることが出来る。
【0025】これらは、ボックスの形状、光源の種類や
形状、光触媒の種類、希望する効果、経済性などにより
適宜選択することができる。また、光触媒作用の向上の
ために、上記光触媒にPt,Ag,Pd,RuO2 ,C
3 4 の様な物質を加えて使用することも出来る。該
物質の添加は、光触媒作用が加速されるので好ましい。
これらは、一種類又は複数組合せて用いることができ
る。添加の方法は、含浸法、光還元法、スパッタ蒸着
法、混練法など周知手段を適宜用いることができる。光
照射のための光源としては、光触媒材が吸収する波長を
発するものであれば何れでも良く、可視及び/又は紫外
線領域の光が効果的であり、周知の光源を適宜用いるこ
とが出来る。例として、水銀灯として殺菌ランプ、ブラ
ックライト、蛍光ケミカルランプ、UV−B紫外線ラン
プがある。
【0026】汚染物質の除去として、ガス状有害成分の
みを除去する場合は可視光の光源が使用でき、また、前
記紫外線ランプ、例えば殺菌ランプが効果的である。殺
菌ランプは、光触媒への有効照射光量(光触媒が吸収し
て光触媒作用を発揮する照射)を強くでき、光触媒作用
が加速されるので、好ましい。光触媒によるガス状有害
成分の除去機構に関して、接触角を増加させる有機性ガ
スの除去について説明すると、収容物(ウエハ、ガラス
材など)や収容物上の薄膜の種類、性状によって異なる
が、本発明者らの研究によると次のように考えられる。
すなわち、通常クリーンルーム装置における収容物表面
の接触角を増加させる有機性ガス(H.C)で共通して
言えることは、高分子量のH.Cが主であり、その構造
として−CO、−COO結合(親水性を有する)を持つ
ことである。このH.Cは親水部(−CO、−COO結
合部)を有する疎水性物質(H.Cの基本構造の−C−
C−の部分)と考えることができる。
【0027】具体例で説明すると、通常のクリーンルー
ムにおけるガラス基板などの収容物表面の接触角を増加
させる有機性ガスは、C16〜C20の高分子量H.C、例
えばフタル酸エステル、高級脂肪酸フェノール誘導体で
あり、これらの成分に共通することは化学的構造とし
て、−CO、−COO結合(親水性を有する)を持つ
(空気清浄、第33巻、第1号、p16〜21、199
5)ことである。これらの汚染有機性ガスの起因は、高
分子製品の可塑剤、離型剤、酸化防止剤などであり、高
分子製品の存在する個所が発生源である(「空気清浄」
第33巻、第1号、p16〜21、1995)。光触媒
によるこれらの有機性ガスの処理メカニズムの詳細は不
明であるが、次のように推定できる。すなわち、これら
の有機性ガスは−CO、−COO結合の部分がウエハや
ガラス表面のOH基と水素結合し、その上部は疎水面と
なり、結果としてウエハやガラス表面は疎水性になり、
接触角が大きくなり、その表面に成膜すると膜の付着力
は弱い。
【0028】即ち、有機性ガスが存在する雰囲気に光触
媒を設置すると、光触媒は吸着作用を有するので、H.
Cはその活性部である−CO、−COO結合部が、光触
媒表面へ吸着し、光触媒作用を受け別の安定な形態に変
換される。その結果として、有機性ガスは安定な形態と
なり(低分子の物質まで変換され)、ウエハやガラス基
板上には付着しないか、又は付着しても疎水性を示さな
いと考えられる。光触媒は、前記H.Cの分解・除去の
他に、アンモニアやアミンのような塩基性ガス(ガス状
有害成分)の除去にも効果的である。本ボックスにおけ
る気体の清浄化は、光電子によるもの、光触媒によるも
のを要求性能、経済性等により夫々単独で用いることが
でき、本発明の特徴である。
【0029】即ち、微粒子(粒子状物質)のみが問題と
なる場合は、光電子による清浄化装置を、H.CやNH
3 、アミンのようなガス状有害成分のみが問題となる場
合は光触媒による清浄化装置を用いることができる。本
発明では、ボックス内に前記の清浄化装置(ユニット)
を設置することにより、ボックス内で発塵や発ガスがあ
っても除去される。即ち、本ボックスは、セルフクリー
ニング機能を有するボックスである。本発明のボックス
は、任意に取り付け、あるいは取り外しが容易な前記の
光電子又は光触媒を用いるユニット状の気体清浄化装置
が一体化されており、電力供給装置と接続して作動し清
浄化されるか、又は、バッテリー搭載充電機能付き電源
装置と、前記清浄化装置とが一体化され、気体清浄化ユ
ニットとして取り付けられて清浄化されており、本発明
の特徴である。
【0030】先ず、本発明の気体清浄化装置と電力供給
装置との接続は、図6にその概略のブロック図を示して
おり、次に説明する。本発明のボックス10には、光電
子又は光触媒を用いる気体清浄化装置A-2を備えてい
る。ここで、ボックス10は気体清浄化装置A-2と一体
化されている。本発明のボックスは、基板の搬送(キャ
リア)に用いるものであるが、実用においては、搬送以
外の例えばロードポート、工程待ち待機場所、ストッカ
での滞留時間の比率が多いことから、気体清浄化装置A
-2は搬送以外において、該ロードポート、工程待ちの場
所、ストッカに設置された電力供給装置14における電
源13からの電力の供給を受け、ボックス10内の気体
の清浄化が実施される。
【0031】即ち、気体清浄化装置A-2が一体化された
本発明のボックス10は、搬送の合い間は、電力供給装
置14、例えば半導体加工装置のロードポートや、工程
待ち中の待機場所、ストッカー等に設置され、前記のご
とくして電力供給を受けることにより、ボックス内は清
浄化される。これにより、ボックス内は前記の光電子又
は光触媒を用いる気体の清浄化が、ボックスの待機中
(一般的な設置や夜間の設置など)に行われるので、基
板が収納されたボックス内の空間は超クリーン空間が創
出される。次に、本発明の気体清浄化装置と電源装置と
の一体化については、図7にその概略のブロック図を示
しており、それを用いて説明する。本発明のボックス1
0には、バッテリー搭載充電機能付き電源装置A-1と、
光電子又は光触媒を用いる気体清浄化装置A-2を備えて
いる。ここで、該電源装置A-1を気体清浄化装置A-2
一体化されている(気体清浄化ユニット、A)。
【0032】即ち、電源装置A-1は、充電回路11、バ
ッテリー12、気体清浄化装置A-2に、電力を供給する
電源13より成り、適宜電力供給装置(電力供給ステイ
ション)14から電力の供給を受け、充電回路11を介
してバッテリー12に充電される。本発明のボックス
は、搬送(キャリヤ)に用いるものであり、搬送中にお
ける気体清浄化装置A-2は、前記のごとく該電源装置A
-1におけるバッテリー12に充電された電力の電源13
からの供給により、連続運転される。バッテリー12
は、充電でき、適宜に電力供給できるものであれば何れ
でも良く、例えばLiイオン電池、Ni−水素電池があ
る。気体清浄化ユニットAが一体化された本発明のボッ
クス10は、搬送の合間は、電力供給装置14、例えば
半導体加工装置のロードボートや、工程待ち中に待機場
所ストッカー等に設置され、前記のごとくしてバッテリ
ー12に電力供給を受ける。これにより、ボックス内
は、前記の光電子又は光触媒を用いる気体の清浄化が、
ボックスの搬送中や設置中、即ち連続的に行われるの
で、ボックス内は超クリーン空間が維持される。
【0033】次に、本発明の特徴である電源装置A-1
らの発熱の利用について説明する。電源装置A-1内に
は、使用により発熱が多い電子部品(例、パワートラン
ジスター、パワーFET)と、発熱が少ない電子部品が
あり、本発明では発熱が多い電子部品からの熱を、前記
気体清浄化装置A-2に伝え、気体の流れを促進させるも
のである。これを図8(a)、(b)により、説明す
る。先ず、図8(a)について説明する。作動により発
生する電子部品15からの発熱は、放熱板16を介し
て、気体清浄化装置A-2の壁面17に伝えられる。18
は、該熱を効率良く伝えるための熱導伝シートである。
18は該シート以外に熱導伝グリース、エポキシ樹脂接
着剤が使用できる。ここで、放熱板16は熱を効率良く
伝える材料であれば何れでも良く、例えば、Cu、Al
がある。通常、重量が軽いこと、コストが比較的安価な
ことからAlが好ましい。19はプリント配線基板20
上に設置された発熱が少ない電子部品である。
【0034】このようにして、発熱の多い電子部品15
からの発熱が気体清浄化装置A-2の壁面に伝えられる。
該発熱の有効利用により、該装置A-2における気体の循
環量が加速されるので、ボックス内の清浄化は効果的に
実施される。本発明の前記気体の清浄化は、紫外線ラン
プ等の光源からの発熱によって引き起こされる気体の流
れによるため、本質的にゆるやかであるが、前記の電子
部品からの発熱の利用により気体の流れが加速されるの
で効果的になる。次に、図8(b)を説明する。図8
(b)は、放熱板16を壁面17を介して、前記の気体
清浄化装置の内部に直接設置するものである。図8
(b)において、図8(a)と同一符号は同じ意味を表
わす。
【0035】本発明は、通常のクリーンルームにおける
空気中をはじめ各種気体中例えばN2 、Ar中でも同様
に使用できる。本ボックスは、電力供給により連続して
清浄空間が得られるので、搬送のみならずストックボッ
クス(ストッカ)としても使用でき、本発明の特徴であ
る。ボックスの種類や要求性能によっては、気体の流れ
の加速のために、内部にヒータやランプなどの加熱源の
設置を行うことができる。該設置により、汚染物質の除
去が加速されるので、適宜に用いることができる。本発
明の気体清浄化装置又は気体清浄化ユニットのボックス
への一体化は、無発ガス性のパッキン材を介して、ある
いは磁石(磁力)による等、周知の接合方法を用いて行
うことができる。
【0036】
【実施例】次に、実施例を示すが、本発明はこれらの実
施例に何ら限定されるものではない。 参考例1 半導体工場におけるウエハ搬送ボックス21を図1を用
いて説明する。図1は横開き一体型搬送ボックスであ
る。半導体工場では、クラス1,000のクリーンルー
ムで高品質な製品が製造されている。ウエハ22は、高
品質(微細化、精密化)な製品に加工(成膜等)される
ので、ガス状物質や微細な粒子状物質(微粒子)の影響
を受ける。即ち、クラス1,000のクリーンルームに
はガス状有害成分として、外気からの導入H.Cに加え
て、クリーンルーム構成材、器具類からの脱ガス起因の
非メタン炭化水素が1.1〜1.5ppm存在する。一
方、作業者からも汚染物質(ガス状物質、微粒子)の発
生があるため、人の近傍はウエハ22にとって、ダーテ
ィな環境である。
【0037】このため、ウエハ22はウエハ搬送ボック
ス21に収納され、各プロセス(例、成膜工程)に搬送
し、高品質製品へと加工される。該ボックス21の開閉
機構は、ボックスドア23、ウエハ押さえ24、シール
材25から成り、一体化されており、ボックスドア23
をドアオープナー(図示せず、SEMI標準)と係合さ
せ水平方向にボックス本体より引き出した後に、下方行
に引き下げる事により、ボックスドア23はボックス本
体21から開放される。該ボックス21は、クリーンル
ーム用自動搬送ロボットがロボットフランジ26を保持
し、半導体加工装置のロードボートに載置し、ボックス
ドア23の開放後にウエハ22をクリーンルーム用スカ
ラーロボットにより、1枚毎にローディング及びアンロ
ーディングされる。また、ボックスドア23を閉じた後
に、再びクリーンルーム用自動搬送ロボットにより、次
工程加工装置に搬送される。
【0038】該ボックス21には、紫外線ランプ27、
光触媒28、光電子放出材29、光電子放出板からの光
電子放出用電極30、荷電微粒子捕集材31より成る気
体清浄化装置A-2が設置されている。該清浄化装置A-2
の作動のための電源からの電力供給は、前記の図6のご
とくであり、ボックス21内の空気清浄は、該装置A-2
により実施される。該装置A-2は、ロードポートやスト
ッカに設置された電力供給装置からの電力の供給を受け
るので、長時間にわたり清浄化が実施される(清浄空間
が維持される)。すなわち、ボックス21には、ウエハ
22に付着する、ウエハの接触角を増加させるガス状有
害成分(有害ガス)としての炭化水素(H.C)及びウ
エハに付着すると断線や短絡を起こすことから欠陥を生
じ、歩留まりの低下をもたらす微粒子が存在する。これ
らの汚染物質は、ウエハ22のボックス21への収納や
取り出しのためのボックス21の開閉毎に、クリーンル
ームからボックス21内に侵入する。
【0039】ここで、該H.Cは、紫外線ランプ27か
らの紫外線が照射された光触媒28による光触媒作用に
より分解され、接触角を増加させない形態に変換され
る。また、微粒子(粒子状物質)は、紫外線ランプ27
が照射された光電子放出材29から放出される光電子3
3により荷電され、荷電微粒子となり、該荷電微粒子は
荷電微粒子の捕集材として電極31に捕集され、ウエハ
22の存在する清浄化空間部Bは超清浄化される。ボッ
クス中のH.C及び微粒子の気体清浄化装置A-2への移
動は、該装置A-2中の紫外線ランプ27の照射により生
ずる気体清浄化装置A-2内の上下のわずかな温度差で引
き起こされる空気の流れ(図1中34-1〜34-6)によ
る。ここで、ボックスの材質はP.C.製、紫外線ラン
プは殺菌ランプ(254nm)、光触媒はAl材にTi
2 を付加、光電子放出材はAl材にAuを付加、光電
子放出用の電極は網状SUS(10V/cm)、荷電微
粒子捕集材はSUS材(500V/cm)である。
【0040】図1中35は、しゃ光材で、紫外線ランプ
27からの紫外線のウエハ21への照射を妨ぐものであ
る。また、36は、仕切り板であり、前記の紫外線照射
による空気の流れ34-1〜34-6を、ウエハ近傍に効果
的に流すためのものである。このようにして、ボックス
21内の空気中の有害ガス及び微粒子は処理され、ボッ
クス21内空気は、ウエハなど基板を収納しておくと、
接触角が増加しない、かつ、クラス1よりも超清浄な空
間が保持される。ウエハなどの基板は、接触角が増加し
ないので、該基板表面に成膜した場合、付着力が強く成
膜できる効果がある(H.C濃度:0.1ppm以下、
NH3 濃度:1ppb以下)。気体清浄化装置A-2は、
ウエハが収納されたボックスの清浄化空間部Bと、切り
離しが可能であり、それらはパッキン材を介して接合さ
れている。切り離しは、それぞれ定期保守時、例えば1
回/年毎に行われる。これにより、ボックスにおけるウ
エハが収納される清浄化空間部(B)の容器、気体清浄
化装置(A-2)の保守、管理が容易にできる。37は、
キネマティックカップリングであり、位置決めのVみぞ
である。
【0041】実施例1 半導体工場におけるウエハ搬送ボックスを図2に示す。
本工場におけるウエハは、ガス状物質の影響が無視でき
るので微粒子除去のみを行う。図2のボックス21で
は、気体清浄化装置A-2が設置され、該装置A-2は、紫
外線ランプ27、光電子放出材29、光電子放出材29
からの光電子放出のための電極30、荷電微粒子捕集材
31より成る。ボックス21内の空気清浄は、前記図6
のごとく該気体清浄化装置A-2へのロードポートやスト
ッカに設置された電力供給装置からの電力供給により実
施される。即ち、ボックス21には、ウエハ22に付着
すると断線や短絡を起こすことから欠陥を生じ、歩留ま
りの低下をもたらす微粒子が存在する。微粒子は、ウエ
ハ22のボックス21への収納や取り出しのためのボッ
クス21の開閉毎に、クリーンルーム(クラス1,00
0)からボックス21内に侵入する。
【0042】ここで、微粒子は、紫外線ランプ27から
の紫外線が照射された光電子放出材29から放出される
光電子33により荷電され、荷電微粒子となり、該荷電
微粒子は荷電微粒子捕集材31に捕集され、ウエハ22
の存在する清浄化空間部Bは超清浄化される。気体清浄
化装置A-2による清浄化(空気清浄)は、前記のように
電力供給装置より電力の供給を受けるので、長時間にわ
たり実施される。このようにして、ボックス21内はク
ラス1よりも清浄な超清浄空間が維持される。図2にお
いて、図1と同一符号は、同じ意味を示す。
【0043】実施例2 半導体工場におけるウエハ搬送ボックスを図3に示す。
本工場では、クラス10よりも清浄なクリーン空間にお
ける使用のため、微粒子の影響が無視できるのでガス状
有害成分除去のみを行う。図3のボックス21の気体清
浄化装置A-2は、紫外線ランプ27、光触媒28により
成る。ボックス21内の空気清浄は、前記図6のごとく
該気体清浄化装置A-2へのロードポートやストッカに設
置された電力供給装置からの電力供給により実施され
る。即ち、ボックス21には、ウエハ22に付着する
と、ウエハの接触角を増加させるガス状有害成分(有害
ガス)としてのH.CやNH3 が存在する。該有害ガス
は、ウエハ22のボックス21への収納や取り出しのた
めのボックス21の開閉毎に、クリーンルームからボッ
クス内に侵入する。また、ウエハの種類によっては、ウ
エハ表面からの発生(有害ガスの発生)がある。
【0044】ここで、これらの有害ガスは、紫外線ラン
プ27からの紫外線が照射された光触媒28による光触
媒作用により分解され、接触角を増加させない形態に変
換され、ウエハ22の存在する清浄化空間部Bは超清浄
化される。気体清浄化装置A-2による清浄化(空気清
浄)は、前記のような電力供給装置より電力の供給を受
けるので、長時間にわたり実施される。ボックス21で
は、ウエハ22表面から有害ガスの発生があっても、セ
ルフクリーニング的に空間は清浄化される。このように
して、ボックス21内の空気中有害ガスは処理されボッ
クス21内空気は、ウエハなど基板を収納しておくと接
触角が増加しない有害ガスが除去された清浄空気とな
る。(H.C濃度:0.1ppm以下、NH3 濃度:1
ppb以下)。図3において、図1と同一符号は同じ意
味を示す。
【0045】参考例2 参考例1の図1に示したウエハ搬送ボックス21の別の
タイプのボックスを図4に示す。図4は、オープンカセ
ット収納型横開き搬送ボックスであり、図1のボックス
内に、ウエハ22を保持したオープンカセット38を収
納するものである。本ボックスの開閉機構では、ウエハ
22はオープンカセット38に保持されるのでウエハ押
さえ(図1中24)はない。図4において、図1と同一
符号は同じ意味を示す。
【0046】参考例3 参考例1の図1に示したウエハ搬送ボックスの別のタイ
プのボックスを図5に示す。図5は、オープンカセット
収納型底開き搬送ボックスであり、ボックス21は、そ
の底部にボックスドア23、シール材25から成るボッ
クス21の開閉機構を有する。即ち、該ボックス21
は、底開きのボックスであり、ボックス21のボックス
ドア23、シール材25から成る開閉機構は、ボックス
ドア23に、エレベータ機構付きオープナー(図示せ
ず)を係合させ、垂直方向に下降させる事により作動
し、これよりボックスドア23は開放される。該ボック
ス21内は、ウエハ22を保持したオープンカセット3
8を収納するものである。図5において、図1と同一符
号は同じ意味を示す。
【0047】実施例3 図2又は図3に示した有害ガス又は微粒子除去のための
清浄化装置を一体化した構成のウエハ搬送ボックスを、
クラス1,000の半導体工場に設置し、下記試料ガス
を入れ、紫外線照射を行い、ウエハ搬送ボックス内に収
納したウエハ上の接触角及び該ボックス内の微粒子濃
度、非メタン炭化水素濃度を測定した。ここで、電源装
置への電力供給は、クリーンルームにおけるストッカの
電力供給装置に接続することにより行った。 1)搬送ボックスの大きさ ; 35リットル、P.
C.製 2)清浄化装置 (1)紫外線源 ; 殺菌ランプ4W。 (2)光触媒材 ; Al板上に、TiO2 をゾルゲル
法で付加。 (3)光電子放出材 ; Al板上にAuを付加。 (4)光電子放出用の電極 ; 格子状SUS材、20
V/cm。 (5)荷電微粒子の捕集材(電極板) ; SUS板、
800V/cm。
【0048】3)試料ガス(入口) 媒体ガス : 空気、 微粒子濃度 : クラス1,000、 非メタン炭化水素濃度 : 1.5ppm 4)ウエハ ; 12インチ 5)測定器 接触角の測定 ; 水滴式接触角計 微粒子濃度の測定 ; 光散乱式パーティクルカウンタ
ー(>0.1μm) 非メタン炭化水素濃度の測定 ; ガスクロマトグラフ 尚、微粒子濃度(クラス)は、1ft3 中に含まれる
0.1μm以上の微粒子の総個数を示す。
【0049】結果 (1)ウエハ上の接触角 ボックスに収納したウエハ上の接触角について、保持時
間との関係を図15に示す。図15において、清浄化
を、光触媒と光電子の両方で行ったものを−〇−印、本
発明の光触媒のみで行ったものを−△−印、光電子のみ
で行ったものを−□−印、清浄化なしのものを−●−印
で示す。 (2)ボックス内の微粒子濃度(クラス) 1時間後、2時間後、1日後、1週間後のボックス内の
微粒子濃度(クラス)を表1に示す。比較として、清浄
化を光電子と触媒の両方で行ったもの、清浄化なしのも
のを表1に示す。
【0050】
【表1】 ──:測定せず (3)ボックス内の非メタン炭化水素濃度(ppm) 上記と同時間、また同じ比較で評価を行い、表2に示
す。
【0051】
【表2】
【0052】非メタン炭化水素の空間中における除去
を、ウエハ上でも確認するために、前記の条件における
ボックスにウエハを収納し、ウエハ上のフタル酸エステ
ル(DOP、DBP)を調べた。 測定法:前記の条件の空気に16時間暴露したウエハ上
の付着物を脱離させ、GC/MS法によりフタル酸エス
テルを測定。その結果、光触媒を設置しないものは、い
ずれもフタル酸エステルを検出した。これに対し、本発
明の光触媒を設定したものは、フタル酸エステルは不検
出であった。
【0053】参考例4 半導体工場におけるウエハ搬送ボックス21を図9、図
10を用いて説明する。図9、10は横開き一体型搬送
ボックスであり、図10は図9の側面図である。半導体
工場では、クラス1,000のクリーンルームで高品質
な製品が製造されている。ウエハ22は、高品質(微細
化、精密化)な製品に加工(成膜等)されるので、ガス
状物質や微細な粒子状物質(微粒子)の影響を受ける。
即ち、クラス1,000のクリーンルームにはガス状有
害成分として、外気からの導入H.Cに加えて、クリー
ンルーム構成材、器具類からの脱ガス起因の非メタン炭
化水素が1.1〜1.5ppm存在する。一方、作業者
からも汚染物質(ガス状物質、微粒子)の発生があるた
め、人の近傍はウエハ22にとって、ダーティな環境で
ある。このため、ウエハ22はウエハ搬送ボックス21
に収納され、各プロセス(例成膜工程)に搬送し、高品
質製品へと加工される。
【0054】該ボックス21の開閉機構は、ボックスド
ア23、ウエハ押さえ24、シール材25から成り、一
体化されており、ボックスドア23をドアオープナー)
図示せず、SEMI標準)と係合させ水平方向にボック
ス本体より引き出した後に、下方行に引き下げる事によ
り、ボックスドア23はボックス本体21から開放され
る。該ボックス21は、クリーンルーム用自動搬送ロボ
ットがロボットフランジ26を保持し、半導体加工装置
のロードボートに載置し、ボックスドア23の開放後に
ウエハ22をクリーンルーム用スカラーロボットによ
り、1枚毎にローディング及びアンローディングされ
る。また、ボックスドア23を閉じた後に、再びクリー
ンルーム用自動搬送ロボットにより、次工程加工装置に
搬送される。該ボックス21には、紫外線ランプ27、
光触媒28、光電子放出材29、光電子放出板からの光
電子放出用電極30、荷電微粒子捕集材31より成る気
体清浄化装置A-2と、該気体清浄化装置A-2に電力を供
給するバッテリー12搭載充電機能付き電源装置A-1
り成る気体清浄化ユニットA(A-1+A-2)が設置され
ている。
【0055】該ユニットAにおける該電源装置A-1と該
気体清浄化装置A-2は、前記の図7、8のごとくであ
り、ボックス21内の空気清浄は、該ユニットAにより
実施される。気体清浄化装置A-2による清浄化(空気清
浄)は、前記の電源装置A-1より電力の供給を受けるの
で、長時間にわたり連続して実施される。すなわち、ボ
ックス21には、ウエハ22に付着する、ウエハの接触
角を増加させるガス状有害成分(有害ガス)としての炭
化水素(H.C)及びウエハに付着すると断線や短絡を
起こすことから欠陥を生じ、歩留まりの低下をもたらす
微粒子が存在する。これらの汚染物質は、ウエハ22の
ボックス21への収納や取り出しのためのボックス21
の開閉毎に、クリーンルームからボックス21内に侵入
する。
【0056】ここで、該H.Cは、紫外線ランプ27か
らの紫外線が照射された光触媒28による光触媒作用に
より分解され、接触角を増加させない形態に変換され
る。また、微粒子(粒子状物質)は、紫外線ランプ27
が照射された光電子放出材29から放出される光電子3
3により荷電され、荷電微粒子となり、該荷電微粒子は
荷電微粒子の捕集材として電極31に捕集され、ウエハ
22の存在する清浄化空間部Bは超清浄化される。ボッ
クス中のH.C及び微粒子の気体清浄化装置A-2への移
動は、該装置A-2中の紫外線ランプ27の照射、及び電
源装置A-1からの発熱により生ずる気体清浄化装置A-2
内の上下のわずかな温度差で引き起こされる空気の流れ
(図9中34-1〜34-6)による。ここで、ボックスの
材質はP.C.製、紫外線ランプは殺菌ランプ(254
nm)、光触媒はAl材にTiO2 を付加、光電子放出
材はAl材にAuを付加、光電子放出用の電極は網状S
US(10V/cm)、荷電微粒子捕集材はSUS材
(500V/cm)である。
【0057】図9中35は、しゃ光材で、紫外線ランプ
27からの紫外線のウエハ21への照射を妨ぐものであ
る。また、36は、仕切り板であり、前記の紫外線照射
と電源装置からの発熱による空気の流れ34-1〜34-6
を、ウエハ近傍に効果的に流すためのものである。この
ようにして、ボックス21内の空気中の有害ガス及び微
粒子は処理され、ボックス21内空気は、ウエハなど基
板を収納しておくと、接触角が増加しない、かつ、クラ
ス1よりも超清浄な空間が保持される。ウエハなどの基
板は、接触角が増加しないので、該基板表面に成膜した
場合、付着力が強く成膜できる効果がある(H.C濃
度:0.1ppm以下、NH3 濃度:1ppm以下)。
気体清浄化ユニットAは、ウエハが収納されたボックス
の清浄化空間部Bと、切り離しが可能であり、それらは
パッキン材を介して接合されている。切り離しは、それ
ぞれ定期保守時、例えば1回/年毎に行われる。これに
より、ボックスにおける清浄化空間部(B)の容器、気
体清浄化ユニット(A)の保守、管理が容易にできる。
37は、キネマティックカップリングであり、位置決め
のVみぞである。
【0058】実施例4 半導体工場におけるウエハ搬送ボックスを図11に示
す。本工場におけるウエハは、ガス状物質の影響が無視
できるので微粒子除去のみを行う。図11のボックス2
1における気体清浄化装置A-2は、紫外線ランプ27、
光電子放出材29、光電子放出材29からの光電子放出
のための電極30、荷電微粒子捕集材31より成る。ボ
ックス21内の空気清浄は、前記図7、8のごとく該気
体清浄化装置A-2と、前記の該気体清浄化装置A-2に電
力を供給するバッテリー12、搭載充電機能付き電源装
置A-1より成る気体清浄化ユニットA(A-1+A-2)よ
り実施される。
【0059】即ち、ボックス21には、ウエハ22に付
着すると断線や短絡を起こすことから欠陥を生じ、歩留
まりの低下をもたらす微粒子が存在する。微粒子は、ウ
エハ22のボックス21への収納や取り出しのためのボ
ックス21の開閉毎に、クリーンルーム(クラス1,0
00)からボックス21内に侵入する。ここで、微粒子
は、紫外線ランプ27からの紫外線が照射された光電子
放出材29から放出される光電子33により荷電され、
荷電微粒子となり、該荷電微粒子は荷電微粒子捕集材3
1に捕集され、ウエハ22の存在する清浄化空間部Bは
超清浄化される。気体清浄化装置A-2による清浄化(空
気清浄)は、前記の電源装置A-1より電力の供給を受け
るので、長時間にわたり連続して行われる。このように
して、ボックス21内はクラス1よりも清浄な超清浄空
間が維持される。図11において、図9、10と同一符
号は、同じ意味を示す。
【0060】実施例5 半導体工場におけるウエハ搬送ボックスを図12に示
す。本工場では、クラス10よりも清浄なクリーン空間
における仕様のため、微粒子の影響が無視できるのでガ
ス状有害成分除去のみを行う。図12のボックス21の
気体清浄化装置A-2は、紫外線ランプ27、光触媒28
により成る。ボックス21内の空気清浄は、前記図7、
8のごとく該気体清浄化装置A-2と、前記の該気体清浄
化装置A-2に電力を供給するバッテリー搭載充電機能付
き電源装置A-1より成る気体清浄化ユニットA(A-1
-2)より実施される。即ち、ボックス21には、ウエ
ハ22に付着すると、ウエハの接触角を増加させるガス
状有害成分(有害ガス)としてのH.CやNH3 が存在
する。該有害ガスは、ウエハ22のボックス21への収
納や取り出しのためのボックス21の開閉毎に、クリー
ンルームからボックス内に侵入する。また、ウエハの種
類によっては、ウエハ表面からの発生(有害ガスの発
生)がある。
【0061】ここで、これらの有害ガスは、紫外線ラン
プ27からの紫外線が照射された光触媒28による光触
媒作用により分解され、接触角を増加させない形態に変
換され、ウエハ22の存在する清浄化空間部Bは超清浄
化される。気体清浄化装置A-2による清浄化(空気清
浄)は、前記の電源装置A-1より電力の供給を受けるの
で、長時間にわたり連続して実施される。ボックス21
では、ウエハ22表面から有害ガスの発生があっても、
セルフクリーニング的に空間は清浄化される。このよう
にして、ボックス21内の空気中有害ガスは処理されボ
ックス21内空気は、ウエハなど基板を収納しておくと
接触角が増加しない有害ガスが除去された清浄空気とな
る。(H.C濃度:0.1ppm以下、NH3 濃度:1
ppb以下)。図12において、図9、10と同一符号
は同じ意味を示す。
【0062】参考例5 参考例4の図9、10に示したウエハ搬送ボックス21
の別のタイプのボックスを図13に示す。図13は、オ
ープンカセット収納型横開き搬送ボックスであり、図
9、10のボックス内に、ウエハ22を保持したオープ
ンカセット38を収納するものである。本ボックスの開
閉機構では、ウエハ22はオープンカセット38に保持
されるのでウエハ押さえ(図9、11、12)はない。
図13において、図9、10と同一符号は同じ意味を示
す。
【0063】参考例6 参考例4の図9、10に示したウエハ搬送ボックスの別
のタイプのボックスを図14に示す。図14は、オープ
ンカセット収納型横開き搬送ボックスであり、ボックス
21は、その底部にボックスドア23、シール材25か
ら成るボックス21の開閉機構を有する。即ち、該ボッ
クス21は、底開きのボックスであり、ボックス21の
ボックスドア23、シール材25から成る開閉機構は、
ボックスドア23に、エレベータ機構付きオープナー
(図示せず)を係合させ、垂直方向に下降させる事によ
り作動し、これよりボックスドア23は開放される。該
ボックス21内は、ウエハ22を保持したオープンカセ
ット38を収納するものである。図14において、図
9、10と同一符号は同じ意味を示す。
【0064】実施例6 図11、図12に示した構成のウエハ搬送ボックスをク
ラス1,000の半導体工場に設置し、内部に図11、
図12に示した有害ガス又は微粒子除去のための清浄化
装置と図7、8に示した構成をなす該装置に電圧を供給
するためのバッテリー搭載充電機能付き電源装置よりな
る気体清浄化ユニットを設置し、下記試料ガスを入れ、
紫外線照射を行い、ウエハ搬送ボックス内に収納したウ
エハ上の接触角及び該ボックス内の微粒子濃度、非メタ
ン炭化水素濃度を測定した。ここで、電源装置への電力
供給は、クリーンルームにおけるストッカの電力供給装
置から行った。 1)搬送ボックスの大きさ ; 35リットル、P.
C.製 2)清浄化装置 (1)紫外線源 ; 殺菌ランプ4W。 (2)光触媒材 ; Al板上に、TiO2 をゾルゲル
法で付加。 (3)光電子放出材 ; Al板上にAuを付加。 (4)光電子放出用の電極 ; 格子状SUS材、20
V/cm。 (5)荷電微粒子の捕集材(電極板) ; SUS板、
800V/cm。
【0065】3)電源装置 (1)充電回路 ; バッテリーを最適条件で充電する
ために、電圧モニター回路を備えたもの。 (2)バッテリー ; Liイオン電池。 (3)電源 ; 清浄化装置に必要な種類の電圧(殺菌
ランプ点灯用:20〜50kHzのAC電圧、光電子放
出用の電極用;DC100V、荷電微粒子の捕集材用:
DC1,000V)を供給するためのDC−DCコンバ
ータ及びDC−ACコンバータを備えたもの。 (4)空気循環量の加速に用いた発熱が多い電子部品
;DC−DCコンバータ、DC−ACコンバータ及び
充電回路に用いたパワートランジスターとパワーFE
T。 (5)放熱板 ; Al板(厚さ:2mm)。
【0066】4)試料ガス(入口) 媒体ガス : 空気、 微粒子濃度 : クラス1,000、 非メタン炭化水素濃度 : 1.5ppm 5)ウエハ ; 12インチ 6)測定器 接触角の測定 ; 水滴式接触角計 微粒子濃度の測定 ; 光散乱式パーティクルカウンタ
ー(>0.1μm) 非メタン炭化水素濃度の測定 ; ガスクロマトグラフ 尚、微粒子濃度(クラス)は、1ft3 中に含まれる
0.1μm以上の微粒子の総個数を示す。
【0067】結果 (1)ウエハ上の接触角 ボックスに収納したウエハ上の接触角について、保持時
間との関係を図16に示す。図16において、清浄化
を、光触媒と光電子の両方で行ったものを−〇−印、本
発明の光触媒のみで行ったものを−△−印、光電子のみ
で行ったものを−□−印、清浄化なしのものを−●−印
で示す。 (2)ボックス内の微粒子濃度(クラス) 1時間後、2時間後、1日後、1週間後のボックス内の
微粒子濃度(クラス)を表3に示す。比較として、清浄
化を光電子と光触媒の両方で行ったもの、清浄化なしの
ものを表3に示す。
【0068】
【表3】 −:測定せず (3)ボックス内の非メタン炭化水素濃度(ppm) 上記と同時間、また同じ比較で評価を行い、表4に示
す。
【0069】
【表4】
【0070】非メタン炭化水素の空間中における除去
を、ウエハ上でも確認するために、前記の条件における
ボックスにウエハを収納し、ウエハ上のフタル酸エステ
ル(DOP、DBP)を調べた。 測定法:前記の条件の空気に16時間暴露したウエハ上
の付着物を脱離させ、GC/MS法によりフタル酸エス
テルを測定。その結果、光触媒を設置しないものは、い
ずれもフタル酸エステルを検出した。これに対し、本発
明の光触媒を設置したものは、いずれもフタル酸エステ
ルは不検出であった。前記における本発明の光触媒を設
置したものにおいて、放熱板を取り外して試験を行っ
た。結果を図17に示す。図面は、非メタン炭化水素濃
度と、保持時間との関係を示す。図17において、本発
明のものを−〇−印、比較としての放熱板を取り外した
ものを−▲−印で示す。図17から、放熱板の設置によ
り、本清浄化装置による除去速度が早くなることが分か
る。図17中↓は、検出限界(0.1ppm)以下を示
す。
【0071】
【発明の効果】本発明によれば、次のような効果を奏す
ることができた。 1)半導体基板用搬送ボックスにおいて、ボックスは開
閉機構を有し、ボックス内を清浄化するための光電子又
は光触媒を用いる気体清浄化装置、又は、該装置に電力
を供給するバッテリー搭載充電機能付き電源装置を備え
ることにより、 (1)ボックス内は、気体清浄化装置により清浄化さ
れ、更に、該清浄化は電源装置からの電力の供給を受け
るので長時間にわたり連続して実施できた。 (2)開閉機構により、ロボットによるハンドリングが
できるボックスとなった。 (3)該気体清浄化装置の設置においては、適用ボック
スの種類、要求性能、経済性等により、光電子による清
浄方式(微粒子の除去のみ)、光触媒による清浄方式
(ガス状有害成分の除去のみ)を適宜に選択できた。即
ち、実用上効果的な清浄方式となり、適用範囲が広がっ
た。
【0072】(4)ボックス(ウエハ収納空間)中微粒
子又はガス状有害成分が効果的に除去された。即ち、微
粒子除去ではクラス1よりも清浄な空間、ガス状有害成
分除去では、接触角が増加しない清浄な空間が簡便に創
出できた。 (5)電源装置を一体化して備えていない場合でも、基
板収納ボックスの滞留時間は、実際の搬送にかかる時間
に対して、ロードポート、ストッカ、工程待ちなど、搬
送以外の所の時間がかなり多い。従って、搬送以外の場
所に電力供給装置を設置することにより、合理的に本発
明の清浄化装置による清浄化が長時間にわたり実施され
た。
【0073】2)前記1)における該気体清浄化装置に
よる清浄化において、該電源装置における発熱を気体清
浄化装置に伝えることにより、ボックス内の気体の流れ
が加速され、光電子又は光触媒による汚染物質の除去が
効果的となった。 3)前記1)における気体清浄化装置を一体化し、ボッ
クスから取り外しができるようにしたことにより、 (1)ボックスの清浄化空間部と切り離しできるので、
清浄化空間部や該ユニットの保守、管理が容易となっ
た。 (2)本発明のボックスのみならず、他の適宜のボック
スにも取り付けることができ適用範囲が広がった。
【0074】4)前記により、 (1)基板の収納や搬出に伴うボックス内への侵入汚染
物質は当然のこと、基板表面からの発ガスや発塵、ボッ
クス材料からの発ガスや発塵も除去され、ボックス内は
セルフクリーニング的に超清浄化された。 (2)ボックス材料として、発ガスが懸念されるプラス
チック材料が使用できる。プラスチックは軽いので実用
上有効となった。 (3)電源装置からの電力の供給を受け、連続的に清浄
化が実施される(超清浄空間を維持)ので、ストックボ
ックス(ストッカ)としても好適に使用できる。 (4)実用上効果的なボックスとなったので、広い分野
における基板の搬送ボックスに使用できるようになっ
た。 (5)適用範囲が広がり、実用性が向上した。 (6)今後、半導体は高品質化、微細化、精密化が増々
進むと同時に、その基板サイズも大型化していき、ロボ
ットや基板収納ボックスの使用は必須になるが、このよ
うなプロセスにおける基板収納ボックス(搬送、ストッ
ク用)として好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例1の横開き一体型搬送ボックスの一例を
示す断面図。
【図2】本発明の横開き一体型搬送ボックスの他の例を
示す断面図。
【図3】本発明の横開き一体型搬送ボックスの他の例を
示す断面図。
【図4】参考例2のオープンカセット収納型横開き搬送
ボックスの一例を示す断面図。
【図5】参考例3のオープンカセット収納型横開き搬送
ボックスの一例を示す断面図。
【図6】本発明の気体清浄化ユニットと電力供給装置と
を接続したブロック図。
【図7】本発明の気体清浄化装置と電源装置を一体化し
たブロック図。
【図8】電源装置からの発熱を利用するための説明図。
【図9】参考例4の横開き一体型搬送ボックスの別の一
例を示す断面図。
【図10】図9の側面図。
【図11】本発明の横開き一体型搬送ボックスの他の例
を示す断面図。
【図12】本発明の横開き一体型搬送ボックスの他の例
を示す断面図。
【図13】参考例5のオープンカセット収納型横開き搬
送ボックスの一例を示す断面図。
【図14】参考例6のオープンカセット収納型底開き搬
送ボックスの一例を示す断面図。
【図15】保持時間(日)による接触角(度)の変化を
示すグラフ。
【図16】保持時間(日)による接触角(度)の変化を
示すグラフ。
【図17】保持時間(時間)による非メタン炭化水素濃
度(ppm)の変化を示すグラフ。
【図18】従来のクリーンルームにおける空気清浄を示
す概略図。
【符号の説明】
10:ボックス、11:充電回路、12:バッテリー、
13:電源、14:電力供給装置、15:電子部品(発
熱)、16:放熱板、17:壁面、18:熱導伝シー
ト、19:電子部品(発熱が少ない)、20:配線基
板、21:ウエハ搬送ボックス、22:ウエハ、23:
ボックスドア、24:ウエハ押えシール、25:シール
材、26:ロボットフランジ、27:紫外線ランプ、2
8:光触媒、29:光電子放出材、30:光電子放出用
電極、31:荷電微粒子捕集材、33:光電子、34
1-6 :空気の流れ、35:遮光材、36:仕切り板、3
7:キネマティックカップリング、38:オープンカセ
ット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 廣瀬 全孝 広島県広島市中区白島九軒町24丁目3番 504号

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体基板を出入できる開閉機構を有す
    る半導体基板用搬送ボックスにおいて、該ボックスに
    は、ボックス内を清浄化するための光照射による光電子
    又は光触媒を用いる気体清浄化装置を一体化した気体清
    浄化ユニットを有することを特徴とする半導体基板用搬
    送ボックス。
  2. 【請求項2】 半導体基板を出入できる開閉機構を有す
    る半導体基板用搬送ボックスにおいて、該ボックスに
    は、ボックス内を清浄化するための光照射による光電子
    又は光触媒を用いる気体清浄化装置と、該装置に電力を
    供給するバッテリー搭載充電機能付き電源装置とを一体
    化した気体清浄化ユニットを有することを特徴とする半
    導体基板用搬送ボックス。
  3. 【請求項3】 前記搬送ボックスは、材料が合成樹脂で
    あることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体基
    板用搬送ボックス。
  4. 【請求項4】 前記気体清浄化ユニットは、電源装置に
    おける発熱を気体清浄化装置に伝えるための放熱体を備
    えることを特徴とする請求項2に記載の半導体基板用搬
    送ボックス。
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