JPH11243036A - 固体電解質形成用ペースト組成物及びこれを用いた固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

固体電解質形成用ペースト組成物及びこれを用いた固体電解コンデンサの製造方法

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JPH11243036A
JPH11243036A JP4312598A JP4312598A JPH11243036A JP H11243036 A JPH11243036 A JP H11243036A JP 4312598 A JP4312598 A JP 4312598A JP 4312598 A JP4312598 A JP 4312598A JP H11243036 A JPH11243036 A JP H11243036A
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acid
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Yasuhiro Yano
康洋 矢野
Takashi Dodo
隆史 堂々
Takehiro Shimizu
健博 清水
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Hitachi Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 導電性に優れ、一回の塗布で所定の膜厚を得
ることができる固体電解質層形成用ペースト組成物及び
これを用いた製造時間が短く、漏れ電流特性、耐熱性、
耐湿性及び外形寸法の精度を向上できる固体電解コンデ
ンサの製造方法の提供。 【解決手段】 (A)二酸化マンガン粉末、(B)分散
剤 及び(C)分散媒を必須成分とする固体電解質形成
用ペースト組成物及びこれを用いた固体電解コンデンサ
の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンデンサをはじ
めとする電子部品に電極層を形成する際の固体電解質形
成用ペースト組成物及びこれを用いた固体電解コンデン
サの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来タンタルコンデンサを初めとする電
子部品の固体電解質の形成には、硝酸マンガン溶液を熱
分解する方式が採られている。すなわちタンタル等の弁
作用金属の粉末からなる焼結体を陽極体として用いて、
この焼結体に化成処理をして、Ta25の酸化被膜を形
成する。次に、任意の濃度の硝酸マンガン等の水溶液中
に化成後の焼結体を浸漬し、任意の温度で焼成すること
で硝酸マンガンは熱分解して二酸化マンガン等になる。
さらに焼成後、加熱により損傷した酸化被膜を修復する
ために再化成処理をする。そしてこの浸漬、焼成及び再
化成の工程を数回から数10回繰り返して任意の厚さの
二酸化マンガン層等を形成する。二酸化マンガン層等を
形成後、カーボン、銀ペースト等を順次塗布して陰極層
を形成する。そして塗布後に外部リードを半田付けし
て、樹脂ディップ法、樹脂モールド法等により樹脂外装
する製造方法が採られている。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】本方式において焼結体を硝酸マンガン水溶
液中に浸漬した後、化成処理の熱分解工程の際に、一度
に形成可能な塗膜の厚さが非常に薄いため、所定の厚さ
の電解質層を形成するために熱分解工程を数回から10
数回繰り返す必要があり、それに要する時間とエネルギ
ーコストが大きいという欠点を有している。また、硝酸
マンガンを熱分解するために、熱分解工程でNOxを発
生し、これらの分解ガスの処理といった環境上の問題も
ある。また固体電解コンデンサの性能上の問題しては、
本方式では二酸化マンガン層等の厚さが均一になりにく
く、この厚さが薄い場合には、カーボン層が酸化被膜に
直接接触して漏れ電流が増大し易い問題がある。また、
焼結体が角状のときには、角部分で二酸化マンガン層等
が他の部分よりも厚くなるため、樹脂モールド法により
樹脂外装する際に、角部分の外装が薄くなり耐熱性や耐
湿性が低下する欠点がある。また樹脂ディップ法により
樹脂外装する際には寸法がバラつき易く、樹脂外装の収
縮時に角部にストレスがかかり特性が劣化し易い問題が
ある。
【0004】上記の問題について、特開昭51−765
59号公報では二酸化マンガン粉末を水、アルコール、
シンナー、四塩化炭素、炭酸アンモニウム等の揮発性溶
剤中に混入する方法が開示されている。しかし、この方
法では溶液中の二酸化マンガン粉末が分散しにくく、保
管中に粒子同士の凝集・沈降が起こり、均一な塗膜を得
るのが困難であるという欠点がある。また、特開平7ー
233298号公報では導電ペーストに使用されている
金属粉の一部を二酸化マンガン粉末に置き換える方法が
開示されているが、この方法では、固体電解質としての
性質が充分発揮されないといった問題がある。さらに特
開平8−69559号公報には二酸化マンガン粉が沈降
しにくくかつ均一な塗膜を形成可能な固体電解質形成用
ペースト組成物を得る方法が開示されているが、塗膜乾
燥後においてムラやクラックが生じるといった問題があ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の欠点を
補い、二酸化マンガン粉末が沈降しにくく均一な塗膜を
形成可能で、かつ塗膜乾燥後においてムラやクラックの
発生を低減する固体電解質形成用ペースト組成物及びこ
の組成物を用いた固体電解コンデンサの製造時間を短縮
及び、漏れ電流特性や耐熱性、耐湿性等と外形寸法の精
度を向上した固体電解コンデンサの製造方法を提供する
ものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A)二酸化
マンガン粉末、(B)分散剤及び(C)分散媒を必須成
分とする固体電解質形成用ペースト組成物に関する。
【0007】本発明においては、シラン系、チタネート
系、アルミニウム系またはジルコニウム系のカップリン
グ剤を含む上記の固体電解質形成用ペースト組成物であ
ることが好ましい。
【0008】本発明においては、(A)二酸化マンガン
粉末の平均粒径が0.01〜50μmである上記の固体
電解質形成用ペースト組成物であることが好ましい。
【0009】本発明においては、(A)二酸化マンガン
粉末がβ型結晶構造を含む上記の固体電解質形成用ペー
スト組成物であることが好ましい。
【0010】本発明においては、(B)分散剤が、
(a)ポリリン酸、トリポリリン酸、テトラポリリン
酸、メタリン酸、ヘキサメタリン酸、およびピロリン酸
のような縮合リン酸またはその塩の単独または2種以上
の組合せ、(b)オルトケイ酸、メタケイ酸のようなケ
イ酸またはその塩の単独または2種以上の組合せ、
(c)セルロースおよびその誘導体、ポリグリコール
類、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアク
リルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテ
ル、水溶性アルキッド、ポリマレイン酸共重合体、ポリ
エチレンイミンおよびポリビニルアルコールから選ばれ
る水溶性高分子樹脂の中から(a)または(b)の単
独、または(a)、(b)及び(c)の2種以上の組合
せである上記の固体電解質形成用ペースト組成物である
ことが好ましい。
【0011】本発明においては、(C)分散媒がアルコ
ール系、エチレングリコール系及びプロピレングリコー
ル系から選ばれる有機溶剤、または純水である上記の固
体電解質形成用ペースト組成物であることが好ましい。
【0012】本発明は、上記の固体電解質形成用ペース
ト組成物を用いることを特徴とする固体電解コンデンサ
の製造方法に関する。
【0013】本発明は、上記の固体電解質形成用ペース
ト組成物の製造方法において、弁作用金属の粉末から得
られる焼結体を形成した後、または焼結体を半導体母液
に浸漬し熱分解した後に、該固体電解質形成用ペースト
組成物に浸漬、乾燥して半導体層を形成する固体電解コ
ンデンサの製造方法であることが好ましい。
【0014】
【本発明の実施の形態】以下に本発明の固体電解質形成
用ペースト組成物とこれを用いた固体電解コンデンサの
製造方法について詳細に説明する。本発明における
(A)二酸化マンガン粉末としては、例えば、α型、β
型、γ型またはε型の結晶構造を含む粉末が挙げられる
が、導電性を考慮するとβ型結晶構造を含む二酸化マン
ガン粉末が好ましい。β型結晶構造を含む二酸化マンガ
ンは二酸化マンガンを250℃〜500℃で1時間から
5時間加熱することで容易に得ることができる。
【0015】本発明における(A)二酸化マンガン粉末
の粒径は、導電性およびペーストの塗布性等を考慮する
と、平均粒径が0.01〜50μmのものが好ましく、
0.01〜10μmのものがより好ましい。平均粒径が
0.01μm未満では凝集が激しいため均一に塗膜を形
成することが難しい傾向があり、また50μmを越える
と分散状態において沈降しやすくなる傾向がある。ま
た、二酸化マンガン粉末の形状は、球状、不定形、破砕
状などが例示されるが、これら使用には特に制限はな
い。
【0016】本発明における二酸化マンガン粉末の配合
量は、(A)二酸化マンガン粉末(B)分散剤 および
(C)分散媒の総量100重量部に対して、1〜90重
量部とすることが好ましく、5〜80重量部とすること
がより好ましく、20 〜70重量部とすることがさら
に好ましい。この配合量が1重量部未満では、塗膜の形
成が難しく、固体電解質としての機能が低下する傾向が
あり、90重量部を越えるとペーストとしての塗布性お
よび基材との接着性が低下する傾向がある。
【0017】本発明に用いる(B)分散剤は、二酸化マ
ンガン粉末の分散性を向上させるものであり、二酸化マ
ンガン粉末と容易に結合するものであれば特に制限され
ないが、ポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリ
ウム、テトラポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリ
ウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリ
ウムのような縮合リン酸塩、オルトケイ酸ナトリウム、
メタケイ酸ナトリウムのようなケイ酸塩、セルロース、
メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチ
ルスルロース、ヒドロキシエチルスルロース等のセルロ
ース誘導体、ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール等のポリグリコール類、ポリアクリル酸、ポ
リアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリビニル
ピロリドン、水溶性アルキッド、ポリビニルエーテル、
ポリマレイン酸共重合体、ポリエチレンイミンおよびポ
リビニルアルコールの単独あるいは2種以上の組合せが
好ましいものとして例示される。
【0018】本発明における(B)分散剤の配合量は、
(A)二酸化マンガン粉末(B)分散剤および(C)分
散媒の総量100重量部に対して0.5〜40重量部と
することが好ましく、1〜20重量部とすることがより
好ましく、2〜10重量部とすることが特に好ましい。
配合量が0.5重量部未満では二酸化マンガンの分散が
不十分の傾向があり、また40重量部を越えると導電性
が低下して固体電解質としての性能が劣化する傾向があ
る。
【0019】本発明における(C)分散媒としては、分
散剤を溶解し二酸化マンガン粉末の分散安定性を保持で
きるものであれば特に制限されないが、アルコール系、
エチレングリコール系またはプロピレングリコール系の
有機溶剤、純水または硝酸マンガン等のマンガン塩を溶
解した純水が好ましいものとして例示される。
【0020】本発明における(C)分散媒の配合量は、
(A)二酸化マンガン粉末(B)分散剤および(C)分
散媒の総量100重量部に対して10〜95重量部とす
ることが好ましく、20〜90重量部とすることがより
好ましく、25〜80重量部とすることがさらに好まし
い。配合量が10重量部未満では、二酸化マンガン粉末
の分散が不十分となる傾向があり、また95重量部を越
えると塗膜の膜厚が薄くなりすぎて一度に十分な膜厚を
得ることができない傾向がある。
【0021】本発明においては、カップリング剤の使用
が二酸化マンガンの安定的な分散に有効である。カップ
リング剤の使用方法としては、固体電解質形成用ペース
トに直接添加して用いる方法または二酸化マンガン粉末
をカップリング剤で処理して用いる方法が挙げられる。
二酸化マンガン粉末を処理する方法としては、例えば、
二酸化マンガン粉末に直接カップリング剤を添加し攪拌
混合する方法(乾式処理法)とヘキサン、トルエン等の
溶剤にカップリング剤を予め溶解し、その中に二酸化マ
ンガン粉末を入れ混合攪拌した後、溶剤を除去・乾燥さ
せる方法(湿式処理法)等が挙げられる。
【0022】カップリング剤としては、二酸化マンガン
粉末を分散樹脂で分散媒中に分散する際に、二酸化マン
ガン粉末を樹脂になじみやすく、分散安定性を向上させ
ることができるものであれば特に制限されないが、シラ
ン系、アルミニウム系、チタネート系およびジルコニウ
ム系のカップリング剤が好ましいものとして例示され
る。
【0023】本発明におけるカップリング剤の添加量
は、二酸化マンガン粉末100重量部に対して0.1〜
10重量部が好ましく、0.3〜5重量部がより好まし
く、0.5〜2重量部さらに好ましい。カップリング剤
の添加量が0.1重量部未満では二酸化マンガンの分散
性が低下する傾向があり、また10重量部を越えると二
酸化マンガン粉末表面の導電性が低下する傾向がある。
【0024】本発明の固体電解質形成用ペースト組成物
は、ペーストおよび塗膜にした際の硬化物特性に悪影響
を及ぼさない限り、例えば抗酸化剤やキレート剤、その
他種々の機能を有する添加剤、改質剤等を添加すること
は差し支えない。また、導電性を付与するためにカーボ
ンブラック、グラファイトカーボン等を併用することも
できる。これらの使用量は、二酸化マンガン粉末100
重量部に対して0.5〜10重量部とするのが好まし
い。
【0025】本発明の固体電解質形成用ペースト組成物
は、所定量の(A)二酸化マンガン粉末、(B)分散剤
および(C)分散媒等を通常の攪拌機、らいかい機、
3本ロール、ロールミル等を用いて均一に混練或いは分
散することで容易に得ることができ、固体電解質として
の特性を変えることなく、一度の塗布で均一かつ膜厚の
厚い塗膜を得ることができるものであり、タンタルコン
デンサ等の固体電解質層として好適に使用することがで
きる。
【0026】本発明は固体電解質形成用ペースト組成物
を用いた固体電解コンデンサの製造方法に関する。例え
ば、固体電解コンデンサは、弁作用金属の粉末から得ら
れる焼結体に陽極酸化被膜を形成した後、あるいは焼結
体を半導体母液に浸漬し熱分解した後に、該固体電解質
形成用ペースト組成物に浸漬し、乾燥して半導体層を形
成して固体電解コンデンサが製造される。
【0027】より具体的に本発明の製造法を説明すれ
ば、タンタル等の弁作用金属を、タンタルリード線等の
一端に埋め、他端を引き出してプレスで圧縮成型し、真
空中で2000℃程度の温度で数10分間加熱して焼結
体を形成する。次にこの焼結体をタンタル線等の箇所で
ステンレス等の金属製バーに溶接した後、焼結体を硝酸
やリン酸等の化成液中で電圧を印加して化成し、Ta2
5の陽極酸化被膜を形成する。陽極酸化被膜を形成後
に、本発明の固体電解質形成用ペースト組成物中に焼結
体を数秒間浸漬し二酸化マンガン層を主とした半導体層
を形成する。あるいは焼結体を硝酸マンガン溶液等の半
導体母液中に浸漬して液を含浸させ、200〜350℃
の温度で焼成して熱分解して焼結体内部に二酸化マンガ
ン層等を主とした半導体層を形成する。乾燥あるいは熱
分解後、再化成して焼結により損傷した陽極酸化被膜を
修復する。浸漬、乾燥あるいは焼成及び再化成の工程を
必要に応じて2〜3回繰返す。ついで本発明の固体電解
質形成用ペースト組成物中に焼結体を数秒間浸漬する。
具体的には、浸漬後常温で乾燥し、次いで160〜22
0℃、好ましくは180〜200℃の温度で乾燥して二
酸化マンガン層等の半導体層を形成する。尚、この浸
漬、乾燥工程は充分な厚さの半導体層を得るために、必
要に応じて2回以上繰返してもよい。半導体層を形成
後、カーボン、銀ペースト等を順次塗布して陰極層を形
成し、焼結体をリードフレームに接続するか、端子を焼
結体から引き出したタンタルリード線等及び陰極層に接
続する。最後に樹脂ディップ法や樹脂モールド法等によ
り樹脂外装を形成する。
【0028】
【実施例】以下実施例および比較例を挙げて本発明を具
体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに制限される
ものではない。 実施例1 二酸化マンガン粉末(三井金属製,RB−A)を450
℃で1.5時間の加熱処理して得られたβ型結晶構造を
含む二酸化マンガン粉末(平均粒径:2μm)100重
量部にn−ヘキサン60重量部 およびプレンアクトA
L−M(味の素製、アルミ系カップリング剤)1重量部
を添加し、ロールミルで攪拌混合を行った。その後、n
−ヘキサンを除き、表面処理したβ型結晶構造を含む二
酸化マンガン粉末を得た。上記の表面処理したβ型結晶
構造を含む二酸化マンガン粉末100重量部に、トリポ
リりん酸ナトリウム(和光純薬社製)5重量部および純
水40重量部を乳鉢中で予備混合後、3本ロールにて混
練し、固体電解質形成用ペースト組成物を得た。この固
体電解質形成用ペースト組成物の導電性、分散性、塗膜
厚を測定した結果を表1に示す。
【0029】導電性は、スクリーン印刷により約50μ
mの塗膜をセラミック板上に形成し、硬化後4端子法に
よりデジタルマルチメータを用いて測定した。分散性
は、粒ゲージを用いて、JIS−K5400の方法に準
じて測定した。また、塗膜厚の測定は1×2cmのセラ
ミック板をペースト中に約3秒間ディップ後引き上げ、
200℃で20分乾燥後に塗膜厚をマイクロメータを用
いて測定した。塗布性は乾燥後の塗膜の表面状態を目視
により観察して評価した。表1において、塗膜の表面状
態が◎は良好、○は普通、×は不可をそれぞれ表す。
【0030】実施例2 分散剤がオルトケイ酸ナトリウム(和光純薬社製)5重
量部であること以外は実施例1と同様に行い、得られた
導電性ペースト組成物の導電性、分散性、塗布膜厚を表
1に示した。
【0031】実施例3 分散剤がトリポリリン酸ナトリウム(和光純薬社製)
2.5重量部とオルトケイ酸ナトリウム(和光純薬社
製)2.5重量部であること以外は実施例1と同様に行
い、得られた導電性ペースト組成物の導電性、分散性、
塗布膜厚を表1に示した。
【0032】実施例4 分散剤がトリポリりん酸ナトリウム(和光純薬社製)
2.5重量部とカルボキシメチルセルロース(東京化成
社製)2.5重量部であること以外は実施例1と同様に
行い、得られた導電性ペースト組成物の導電性、分散
性、塗布膜厚を表1に示した。
【0033】実施例5 分散剤がポリアクリル酸ソーダ(AC−103)2.5
重量部とカルボキシメチルセルロース2.5重量部であ
ること以外は実施例1と同様に行い、得られた導電性ペ
ースト組成物の導電性、分散性、塗布膜厚を表1に示し
た。
【0034】実施例6 二酸化マンガン粉末の平均粒径が0.01μm以下であるこ
と以外は実施例1と同様に行い、得られた導電性ペース
ト組成物の導電性、分散性、塗布膜厚を表1に示した。
【0035】実施例7 二酸化マンガン粉末の平均粒径が50μm以上であるこ
と以外は実施例1と同様に行い、得られた導電性ペース
ト組成物の導電性、分散性、塗布膜厚を表1に示した。
【0036】比較例1 分散剤がポリアクリル酸ソーダ(AC−103)5重量
部であること以外は実施例1と同様に行い、得られた導
電性ペースト組成物の導電性、分散性、塗膜厚膜を表1
に示す。表1の結果より、本発明の導電性ペースト組成
物は、分散性が良好でかつ導電性に優れ、一度の塗布で
塗膜のムラやクラックを防ぎ所定の膜厚を得ることがで
きることが判明した。
【0037】
【表1】 *AL−M(味の素社製、アルミニウム系カップリング
剤) **CMC(カルボキシメチルセルロース) ***沈降、凝集が激しく塗膜形成が困難なため測定不
【0038】実施例8 直径0.24mmのタンタルリード線の一端を埋め、他端
を引き出したタンタルの微粉末をプレスして1.97mm
×2.1mm×2.8mm角の成形体をつくり、この成形体
を真空中で約2000℃で数10分間焼結した後、硝酸
により化成してTa25の陽極酸化被膜を形成した。化
成後、焼結体を硝酸マンガン溶液中に浸漬し、200℃
で30分焼成した後、再化成した。そしてこの一連の処
理を4回繰返した。次に実施例1で作製した固体電解質
形成用ペースト組成物を原液として、純水により原液:
純水=1:7(容積比)に希釈した液中に焼結体を数秒
間浸漬して200℃で20分乾燥した。そしてこの浸
漬、乾燥の処理を2回繰返して二酸化マンガン層を形成
した後、カーボン及び銀ペースト等を順次塗布して陰極
層を形成した。陰極層形成後は、焼結体をリードフレー
ムに接続し、樹脂モールド法で樹脂外装を形成して固体
電解コンデンサを作製した。樹脂モールドは、トランス
ファーモールド法を用いてエポキシ樹脂で外装して行っ
た。
【0039】比較例2 二酸化マンガン層を形成するのに、焼結体を硝酸マンガ
ン溶液中に浸漬し、化成による熱分解、再化成の工程を
8回繰返すだけで、実施例1で作製した固体電解質形成
用ペースト組成物を使用しないこと以外は、実施例8と
同じ条件で従来法による固体電解コンデンサを作製し
た。
【0040】実施例8及び比較例2で作製した定格16
V35μFのタンタルチップ型固体電解コンデンサの特
性を評価した結果を表2に示す。ここで静電容量及びイ
ンピーダンスはインピーダンスアナライザーで測定し
た。また、漏れ電流はコンデンサの定格16Vを印可
し、5分後の電流値を測定した。試料数は各々500個
とした。表2から明らかなように、実施例8は比較例2
と同等の特性を示している。すなわち実施例8は硝酸マ
ンガン溶液に浸漬して熱分解する等の一連の工程を従来
法である比較例の1/2の回数にしても良好な特性を示
すことがわかった。
【0041】
【表2】
【0042】実施例9 実施例8に示した、焼結体を硝酸マンガン溶液中に同じ
条件で浸漬、焼成、再化成する一連の処理を3回繰返し
た後、実施例1で作製した固体電解質形成用ペースト組
成物を原液として、純水により原液:純水=1:5(容
積比)に希釈した液中に焼結体を数秒間浸漬して100
〜280℃で乾燥した。そしてこの浸漬、乾燥の処理を
2回繰返して二酸化マンガン層を形成した以外は、実施
例8と同じ条件で固体電解コンデンサを作製した。
【0043】実施例10 実施例1で作製した固体電解質形成用ペースト組成物を
原液として、純水を用いて原液:純水(容積比)=1:
10に希釈した以外は実施例6と同じ条件で固体電解コ
ンデンサを作製した。
【0044】比較例3 焼結体を硝酸マンガン溶液中に浸漬し、化成による熱分
解、再化成の工程を6回繰返すこと以外は、比較例2と
同じ条件で従来法による固体電解コンデンサを作製し
た。
【0045】実施例9、10及び比較例3で作製した定
格7V22μFのタンタルチップ型固体電解コンデンサ
の等価直列抵抗ESRと漏れ電流LCを測定した結果を
図1及び図2に示す。ここで試料数は実施例9、10及
び比較例3ともに各乾燥温度ごとに20個づつとした。
【0046】図1から明らかなように、実施例9及び1
0の等価直列抵抗ESRは乾燥温度が160℃以上の場
合に比較例3とほぼ同等となっている。また図2から明
らかなように、実施例9及び10の漏れ電流LCは乾燥
温度が220℃よりも低ければ、比較例3と同等かそれ
以下になっている。従って、乾燥温度が160〜220
℃であれば、ESR及びLCの両特性ともに比較例3と
同等以上の特性が得られており、180〜200℃がよ
り好ましい乾燥温度の範囲であることも明らかである。
【0047】
【発明の効果】請求項1記載の固体電解質形成用ペース
ト組成物は、導電性に優れ、かつ一度の塗布で所定の膜
厚を得ることができるため、タンタルコンデンサ素子の
固体電解質層の形成に好適である。請求項2記載の発明
によれば、請求項1記載の組成物が効果を奏し、更に塗
膜の均一性を向上させることができ、使用時の安定性に
優れる効果が得られる。請求項3記載の発明によれば、
請求項2の発明の効果に加えて、二酸化マンガン粉末の
粒径を限定することで塗膜の均一性を向上させ、膜質の
均一な塗膜を作製することができる。請求項4記載の発
明によれば、β型の結晶構造を含む二酸化マンガン粉末
を用いることで、二酸化マンガン粉末自体の導電性を向
上させ、塗膜の抵抗を下げることが可能となる。請求項
5記載の発明によれば、分散剤として無機リン酸塩、ケ
イ酸塩、および水溶性高分子樹脂の単独または2種以上
の組合わせを使用することで、分散媒に容易に分散で
き、均一な塗膜が形成可能で、塗膜乾燥時におけるムラ
やクラックを低減し安定な固体電解質形成用ペースト組
成物を得ることができる。請求項6記載の発明によれ
ば、分散媒としてアルコール系、エチレングリコール系
及びプロピレングリコール系から選ばれる有機溶剤、ま
たは純水を用いることにより、二酸化マンガン粉末が容
易に分散でき、かつ安定な固体電解質層を形成可能なペ
ースト組成物を得ることができる。請求項7及び8記載
の発明によれば、記載の固体電解質形成用ペースト組成
物を用いた製造時間を短縮でき、漏れ電流特性や、耐熱
性、耐湿性、外形寸法等の精度を向上できる固体電解コ
ンデンサの製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例9、10及び比較例3の等価直
列抵抗ESRの特性グラフである。
【図2】本発明の実施例9、10及び比較例3の漏れ電
流LCの特性グラフである。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)二酸化マンガン粉末、(B)分散
    剤及び(C)分散媒を必須成分とする固体電解質形成用
    ペースト組成物。
  2. 【請求項2】 シラン系、チタネート系、アルミニウム
    系またはジルコニウム系のカップリング剤を含む請求項
    1記載の固体電解質形成用ペースト組成物。
  3. 【請求項3】 (A)二酸化マンガン粉末の平均粒径が
    0.01〜50μmである請求項1または2記載の固体
    電解質形成用ペースト組成物。
  4. 【請求項4】 (A)二酸化マンガン粉末がβ型結晶構
    造を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体電解
    質形成用ペースト組成物。
  5. 【請求項5】 (B)分散剤が(a)ポリリン酸、トリ
    ポリリン酸、テトラポリリン酸、メタリン酸、ヘキサメ
    タリン酸、およびピロリン酸のような縮合リン酸または
    その塩の単独または2種以上の組合せ、(b)オルトケ
    イ酸、メタケイ酸のようなケイ酸またはその塩の単独ま
    たは2種以上の組合せ、(c)セルロースおよびその誘
    導体、ポリグリコール類、ポリアクリル酸、ポリアクリ
    ル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリド
    ン、ポリビニルエーテル、水溶性アルキッド、ポリマレ
    イン酸共重合体、ポリエチレンイミンおよびポリビニル
    アルコールから選ばれる水溶性高分子樹脂の中から
    (a)または(b)の単独、または(a)、(b)及び
    (c)の2種以上の組合せである請求項1〜4のいずれ
    か1項に記載の固体電解質形成用ペースト組成物。
  6. 【請求項6】 (C)分散媒がアルコール系、エチレン
    グリコール系及びプロピレングリコール系から選ばれる
    有機溶剤、または純水である請求項1〜5のいずれか1
    項に記載の固体電解質形成用ペースト組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の固
    体電解質形成用ペースト組成物を用いることを特徴とす
    る固体電解コンデンサの製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の固体電解質形成用ペース
    ト組成物の製造方法において、弁作用金属の粉末から得
    られる焼結体を形成した後、または焼結体を半導体母液
    に浸漬し熱分解した後に、該固体電解質形成用ペースト
    組成物に浸漬、乾燥して半導体層を形成する固体電解コ
    ンデンサの製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006352055A (ja) * 2005-06-17 2006-12-28 Epcos Ag 電気素子用の電極、電気素子、及び電極の製造方法

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