JPH11242812A - 非磁性下地層を有する磁気記録媒体用基体及び該基体を用いた磁気記録媒体 - Google Patents

非磁性下地層を有する磁気記録媒体用基体及び該基体を用いた磁気記録媒体

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JPH11242812A
JPH11242812A JP35333798A JP35333798A JPH11242812A JP H11242812 A JPH11242812 A JP H11242812A JP 35333798 A JP35333798 A JP 35333798A JP 35333798 A JP35333798 A JP 35333798A JP H11242812 A JPH11242812 A JP H11242812A
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泰幸 田中
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一之 林
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面平滑であって、スティフネスが大きく、
且つ、少ないカーボンブラック量で光透過率が小さいと
ともに、表面電気抵抗値が低い磁気記録媒体用基体及び
磁気記録媒体を得る。 【解決手段】 非磁性支持体と該非磁性支持体上に形成
される非磁性粒子粉末と結合剤樹脂とを含む非磁性下地
層とからなる磁気記録媒体用基体において、前記非磁性
粒子粉末は平均長軸径0.02〜0.3μmの針状ヘマ
タイト粒子粉末又は針状含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面
にアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物
が被覆され、該オルガノシラン化合物被覆に平均粒子径
0.002〜0.05μmのカーボンブラック微粒子粉
末が付着している鉄系黒色針状複合粒子粉末であって、
上記カーボンブラック微粒子粉末の総量が前記針状ヘマ
タイト粒子粉末又は針状含水酸化鉄粒子粉末100重量
部に対し、1〜20重量部であることを特徴とする非磁
性下地層を有する磁気記録媒体用基体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表面平滑であって、ス
ティフネスが大きく、且つ、少ないカーボンブラック量
で光透過率がより小さいとともに表面電気抵抗値が低い
非磁性下地層を有する磁気記録媒体用基体及び該基体を
用いた磁気記録媒体を提供することを目的とする。
【0002】
【従来の技術】近年、ビデオ用、オーディオ用磁気記録
再生用機器の長時間記録化、小型軽量化が進むにつれ
て、磁気テープ、磁気ディスク等の磁気記録媒体に対す
る高性能化、即ち、高密度記録化、高出力特性、殊に周
波数特性の向上、低ノイズ化の要求が益々強まってい
る。
【0003】殊に、ビデオテープの高画像高画質化に対
する要求は益々強まっており、従来のビデオテープに比
べ、記録されるキャリアー信号の周波数が益々高くなっ
ている。即ち、短波長領域に移行しており、その結果、
磁気テープの表面からの磁化深度が著しく浅くなってい
る。
【0004】短波長信号に対して、磁気記録媒体の高出
力特性、殊に、S/N比を向上させるためには、例え
ば、株式会社総合技術センター発行「磁性材料の開発と
磁粉の高分散化技術」(1982年)第312頁の「‥
‥塗布型テープにおける高密度記録のための条件は、短
波長信号に対して、低ノイズで高出力特性を保持できる
ことであるが、その為には保磁力Hcと残留磁化Brが
‥‥共に大きいことと塗布膜の厚みがより薄いことが必
要である。‥‥」なる記載の通り、磁気記録層の薄層化
が強く要求されている。
【0005】磁気記録層の薄層化が進む中で、いくつか
の問題が生じている。第一に、磁気記録層の平滑化と厚
みむらの問題であり、周知の通り、磁気記録層を平滑で
厚みむらがないものとするためには、ベースフィルムの
表面もまた平滑でなければならない。この事実は、例え
ば、工学情報センター出版部発行「磁気テープ−ヘッド
走行系の摩擦摩耗発生要因とトラブル対策−総合技術資
料集(−以下、総合技術資料集という−)」(昭和62
年)第180及び181頁の「‥‥硬化後の磁性層表面
粗さは、ベースの表面粗さ(バック面粗さ)に強く依存
し両者はほぼ比例関係にあり、‥‥磁性層はベースの上
に塗布されているからベースの表面を平滑にすればする
ほど均一で大きなヘッド出力が得られS/Nが向上す
る。‥‥」なる記載の通りである。
【0006】第二に、ベースフィルムもまた磁性層と同
様に薄層化が進んでおり、その結果、ベースフィルムの
スティフネスが問題となってきている。この事実は、例
えば、前出「磁性材料の開発と磁粉の高分散化技術」第
77頁の「‥‥高密度記録化が今の磁気テープに課せら
れた大きなテーマであるが、このことは、テープの長さ
を短くしてカセットを小型化していく上でも、また長時
間記録に対しても重要となってくる。このためにはフィ
ルムベースの厚さを減らすことが必要な訳である。‥‥
このように薄くなるにつれてテープのスティフネスが急
激に減少してしまうためレコーダーでのスムーズな走行
がむずかしくなる。ビデオテープの薄型化にともない長
手方向、幅方向両方向に渡ってのこのスティフネスの向
上が大いに望まれている。‥‥」なる記載の通りであ
る。
【0007】ところで、現在、特にビデオテープ等の磁
気記録媒体の磁気テープ終端の判定は、磁気記録媒体の
光透過率の大きい部分をビデオデッキによって検知する
ことにより行われている。磁気記録媒体の薄層化や磁気
記録層中に分散されている磁性粒子粉末の超微粒子化に
伴って磁気記録層全体の光透過率が大きくなるとビデオ
デッキによる検知が困難となるため、磁気記録層にカー
ボンブラック等を添加して光透過率を小さくすることが
行われている。そのため、現行のビデオテープにおいて
は磁気記録層へのカーボンブラック等の添加は必須とな
っている。
【0008】しかし、非磁性のカーボンブラック等を多
量に添加することは、高密度記録化を阻害するばかりで
なく、薄層化をも阻害する原因となる。磁気テープの表
面からの磁化深度を浅くして、磁気テープの薄層化をよ
り進めるためには、磁気記録層に添加するカーボンブラ
ック等の非磁性粒子粉末をできるだけ少なくすることが
強く要求されている。
【0009】そこで、磁気記録層に添加するカーボンブ
ラック量を可及的に少なくしても光透過率が小さい磁気
記録媒体が強く要求されており、この点からも基体の改
良が強く要求されている。
【0010】更に、上述した光透過率を小さくする点か
らだけではなく、磁気記録媒体の表面電気抵抗値を下げ
る点からも磁気記録層中にカーボンブラックを添加する
ことが従来から行なわれている。
【0011】この事実について、以下に説明する。
【0012】磁気記録媒体の表面電気抵抗値が高い場合
には、静電的な帯電量の増加を招来することともあいま
って、磁気記録媒体の製造時や使用時に、磁気記録媒体
の切断くずや塵埃等が磁気記録媒体表面に付着し、その
結果、ドロップアウトが増加するという問題がある。
【0013】そこで、磁気記録媒体の表面電気抵抗値を
10Ω/sq程度に低下させるために、磁気記録層中
に磁性粒子粉末100重量部に対し約5重量部程度以上
のカーボンブラック等の導電性化合物を添加することが
一般的に行なわれている。
【0014】しかし、磁気記録層中に磁性に関与しない
カーボンブラック等を増加させることは、上述した通
り、磁気記録媒体の電磁変換特性を低下させ、磁気記録
層の薄層化を阻害する原因となる。
【0015】磁気記録層の薄層化や非磁性支持体の薄層
化に伴って、磁気記録層を形成するための基体を改良し
て、表面平滑でスティフネスを大きくする試みが種々行
われており、ベースフィルム等の非磁性支持体上に針状
ヘマタイト粒子粉末や針状含水酸化第二鉄粒子粉末等の
鉄を主成分とする非磁性粒子粉末を結合剤中に分散させ
てなる下地層(以下、非磁性下地層という。)を少なく
とも1層設けることが行われており、既に、実用化され
ている(特公平6−93297号公報、特開昭62−1
59338号公報、特開昭63−187418号公報、
特開平4−167225号公報、特開平4−32591
5公報、特開平5−73882号公報、特開平5−18
2177号公報、特開平5−347017号公報、特開
平6−60362号公報等)。
【0016】また、非磁性下地層用の非磁性粒子粉末と
しては、基体の表面をより平滑化してスティフネスを大
きくするためにビヒクル中への分散性等を改善する目的
で粒子表面をアルミニウムの水酸化物、アルミニウムの
酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物等で処理
した非磁性粒子粉末が知られている(特許第25713
50号公報、特許第2582051号公報、特開昭6−
60362号公報、特開昭9−22524号公報、特開
昭9−27117号公報)。
【0017】また、磁気記録層中に添加するカーボンブ
ラック量を少なくして磁気記録媒体の光透過率を小さく
するために、非磁性下地層用の非磁性粒子粉末として黒
褐色針状ヘマタイト粒子粉末や黒褐色針状含水酸化第二
鉄粒子粉末を使用することも知られている(特開平7−
66020号、特開平8−259237号公報、特開平
9−167333号公報等)。
【0018】また、磁気記録媒体の表面電気抵抗値を低
下させるために、非磁性下地層用の非磁性粒子粉末とし
て、非磁性酸化鉄粒子粉末とカーボンブラック粒子粉末
との混合粉末を用いることも知られている(特開平1−
213822号、特開平1−300419号、特開平6
−236542号公報、特開平9−297911号公報
等)。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】磁気記録層の薄層化は
もちろん、非磁性支持体の薄層化に伴って、表面平滑で
あって、スティフネスが大きく、且つ、磁気記録層中の
カーボンブラック量を可及的に少なくしても光透過率が
より小さく、しかも、表面電気抵抗値の低い磁気記録媒
体は、現在最も要求されているところであるが、このよ
うな諸特性を十分満たす磁気記録媒体は未だ得られてい
ない。
【0020】即ち、前出公知の針状ヘマタイト粒子粉
末、針状含水酸化第二鉄粒子粉末及びこれら粒子粉末の
粒子表面をアルミニウムの水酸化物等で被覆した粒子粉
末を非磁性下地層用非磁性粒子粉末として用いて製造し
た基体は、表面が平滑で、スティフネスが大きいもので
はあるが、前記非磁性粒子粉末が暗赤色乃至黄褐色であ
るため、光透過率を小さくすることは困難であった。そ
して、基体の表面電気抵抗値は1013Ω/sq程度と
大きいものであった。
【0021】前出公知の黒褐色針状ヘマタイト粒子粉末
や黒褐色針状含水酸化第二鉄粒子粉末を非磁性下地層用
非磁性粒子粉末として用いて製造した基体は、前記暗赤
色の針状ヘマタイト粒子粉末や黄褐色の針状含水酸化第
二鉄粒子粉末を用いた場合に比べ、非磁性下地層の黒色
度を改良できることに起因して、基体の光透過率を小さ
くすることができるが、未だ十分なものとは言えない。
そして、基体の表面電気抵抗値は1012Ω/sq程度
と大きいものであった。
【0022】前出の特開平1−213822号公報、特
開平1−300419号公報及び特開平9−29791
1号公報の各公報に記載の非磁性粒子粉末は、非磁性酸
化鉄粒子粉末と該非磁性酸化鉄粒子粉末100重量部に
対し25重量部以上のカーボンブラック粒子粉末との混
合粉末を使用するものであり、各種黒色顔料の中ではも
っとも黒色度が優れているカーボンブラック微粒子粉末
を多量に用いたことに起因して、基体の光透過率を小さ
くし、表面電気抵抗値を低くすることはできるが、カー
ボンブラック微粒子粉末は、粒子サイズが平均粒子径
0.002〜0.05μm程度の微粒子であって、比表
面積値が大きく、溶剤による濡れが悪いのでビヒクル中
や樹脂中への分散が困難であり、表面平滑であってステ
ィフネスが大きい基体を得ることは困難である。また、
かさ密度が0.1g/cm程度と低く、かさ高い粉末
であるため取り扱いが困難で、作業性が悪いものであっ
た。また、発ガン性等の安全、衛生面からの問題も指摘
されている。
【0023】即ち、非磁性下地層中に添加するカーボン
ブラック微粒子粉末は、使用量が多量になるほど得られ
る基体の光透過率は小さくなる傾向にあるが、使用量を
多量にするとビヒクル中への分散が益々困難となって作
業性が悪くなり、また、安全、衛生上からも好ましくな
い。
【0024】前出特開平6−236542号公報に記載
の公知の非磁性粒子粉末は、非磁性酸化鉄粒子粉末と該
非磁性酸化鉄粒子粉末100重量部に対しストラクチャ
ー構造を有するカーボンブラック微粒子粉末を1〜1
7.6重量部程度使用するものであり、導電性の高い特
別のカーボンブラック微粒子粉末を使用することにより
少ないカーボンブラック量で基体の表面電気抵抗値を低
下させるものではあるが、カーボンブラック量が少ない
ため光透過率を小さくすることは困難である。
【0025】そこで、本発明は、表面平滑であって、ス
ティフネスが大きく、且つ、少ないカーボンブラック量
で光透過率が小さいとともに、表面電気抵抗値が低い磁
気記録媒体用基体及び磁気記録媒体を得ることを技術的
課題とする。
【0026】
【課題を解決する為の手段】前記技術的課題は、次の通
りの本発明によって達成できる。
【0027】即ち、本発明は、非磁性支持体と該非磁性
支持体上に形成される非磁性粒子粉末と結合剤樹脂とを
含む非磁性下地層とからなる磁気記録媒体用基体におい
て、前記非磁性粒子粉末は平均長軸径0.02〜0.3
μmの針状ヘマタイト粒子粉末又は針状含水酸化鉄粒子
粉末、必要により、該粒子の粒子表面にアルミニウムの
水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及
びケイ素の酸化物から選ばれた1種又は2種以上が被覆
されている針状ヘマタイト粒子粉末又は針状含水酸化鉄
粒子粉末のいずれかの粒子の表面にアルコキシシランか
ら生成するオルガノシラン化合物が被覆されており、該
オルガノシラン化合物被覆に平均粒子径0.002〜
0.05μmのカーボンブラック微粒子粉末が付着して
いる鉄系黒色針状複合粒子粉末であって、上記カーボン
ブラック微粒子粉末の総量が前記針状ヘマタイト粒子粉
末又は針状含水酸化鉄粒子粉末100重量部に対し、1
〜20重量部であることを特徴とする非磁性下地層を有
する磁気記録媒体用基体である。
【0028】また、本発明は、前記非磁性下地層を有す
る磁気記録媒体用基体の上に、磁性粒子粉末と結合剤樹
脂とを含む磁気記録層を設けた磁気記録媒体である。
【0029】本発明の構成をより詳しく説明すれば、次
の通りである。
【0030】先ず、本発明に係る非磁性下地層を有する
磁気記録媒体用基体について述べる。
【0031】本発明に係る非磁性下地層を有する磁気記
録媒体用基体は、非磁性支持体と該非磁性支持体上に形
成される非磁性粒子粉末と結合剤樹脂とを含む非磁性下
地層とからなる。
【0032】本発明における非磁性粒子粉末は、芯粒子
である平均長軸径0.02〜0.3μmの針状ヘマタイ
ト粒子粉末又は針状含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面に、
アルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物が
被覆されており、該オルガノシラン化合物被覆に平均粒
子径0.002〜0.05μmのカーボンブラック微粒
子粉末が付着している鉄系黒色針状複合粒子粉末からな
る。
【0033】針状ヘマタイト粒子粉末は、通常、赤色を
呈しており、針状含水酸化鉄粒子粉末は、通常、黄色を
呈しているが、より黒色度の優れた鉄系黒色針状複合粒
子粉末を得るためには、針状ヘマタイト粒子粉末に対し
Mnを5〜40重量%含有させた公知の黒褐色の針状ヘ
マタイト粒子粉末及び針状含水酸化鉄粒子粉末に対しM
nを5〜40重量%含有させた黒褐色針状含水酸化鉄粒
子粉末が好ましい。
【0034】芯粒子の形状は針状である。ここで「針
状」とは、文字どおりの針状はもちろん、紡錘状や米粒
状などを含む意味である。
【0035】芯粒子の粒子サイズは、平均長軸径が0.
02〜0.3μmであり、好ましくは0.025〜0.
25μm、より好ましくは0.03〜0.2μmであ
る。
【0036】平均長軸径が0.3μmを超える場合に
は、得られる鉄系黒色針状複合粒子粉末の平均長軸径も
また0.3μmを超える大粒子となり、これを用いて得
られた塗膜表面は十分な平滑性を有さない。平均長軸径
が0.02μm未満の場合には、粒子の微細化による分
子間力の増大により凝集を起こしやすいため、ビヒクル
中への分散性が低下する。
【0037】芯粒子粉末は、平均短軸径が0.01〜
0.15μm、軸比(平均長軸径/平均短軸径)(以
下、「軸比」という。)が2〜20、BET比表面積値
が35〜250m/g、長軸径の幾何標準偏差値が
1.50以下であることが好ましい。
【0038】平均短軸径は、上記平均長軸径の上限値及
び下限値と同様の理由により、0.0125〜0.12
5がより好ましく、更により好ましくは0.015〜
0.1μmである。
【0039】芯粒子の軸比が20を超える場合には、ビ
ヒクル中での粒子の絡み合いが多くなり、分散性が悪く
なったり粘度が増加することがある。軸比が2未満の場
合には、十分なスティフネスを有する塗膜を得ることが
困難である。ビヒクル中での分散性及び得られる塗膜の
スティフネスを考慮すれば、軸比は2.5〜18の範囲
がより好ましく、更により好ましくは3〜15の範囲で
ある。
【0040】BET比表面積値は、上記平均長軸径など
の上限値及び下限値と同様の理由により、38〜200
/gがより好ましく、更により好ましくは40〜1
80m/gである。
【0041】長軸径の幾何標準偏差値が1.50を超え
る場合には、存在する粗大粒子が塗膜の表面平滑性に悪
影響を与えるために好ましくない。塗膜の表面平滑性を
考慮すれば、好ましくは1.48以下、より好ましくは
1.45以下である。工業的な生産性を考慮すれば得ら
れる芯粒子粉末の長軸径の幾何標準偏差値の下限値は
1.01である。
【0042】芯粒子粉末の黒色度は、マンガンを含有し
ていない針状ヘマタイト粒子粉末の場合、通常L値の
下限値が18を越え、上限値は38、好ましくは36で
あり、マンガン含有針状ヘマタイト粒子粉末の場合、通
常L値の下限値が18を越え、上限値は30、好まし
くは28である。マンガンを含有していない針状含水酸
化鉄粒子粉末の場合、通常L値の下限値が18を越
え、上限値は40、好ましくは38であり、マンガン含
有針状含水酸化鉄粒子粉末の場合、通常L値の下限値
が18を越え、上限値は32、好ましくは30である。
【0043】L値が上限値を超える場合には、黒色度
に優れた鉄系黒色針状複合粒子粉末を得ることが困難と
なる。
【0044】芯粒子粉末の体積固有抵抗値は、通常5×
10Ω・cm以下である。
【0045】本発明におけるアルコキシシランから生成
するオルガノシラン化合物(以下、「オルガノシラン化
合物」という。)は、化1で表わされるアルコキシシラ
ンから、乾燥乃至加熱工程を経て生成するオルガノシラ
ン化合物である。
【化1】RSiX4−a R:−C,−(CHCHCH,−n−C
2m+1 X:−OCH,−OC m:1〜18の整数 a:0〜3の整数
【0046】アルコキシシランとしては、具体的には、
メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラ
ン、テトラエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラ
ン、ジフェニルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシ
シラン、メチルトリメトキシシラン、テトラメトキシシ
ラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメト
キシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルト
リメトキシシラン等が挙げられる。
【0047】カーボンブラック微粒子粉末の脱着率及び
付着効果を考慮すると、メチルトリエトキシシラン、メ
チルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、
イソブチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシ
シランから生成するオルガノシラン化合物が好ましく、
メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン
から生成するオルガノシラン化合物が最も好ましい。
【0048】オルガノシラン化合物の被覆量は、オルガ
ノシラン化合物被覆針状ヘマタイト粒子粉末又は針状含
水酸化鉄粒子粉末に対し、Si換算で0.02〜5.0
重量%であることが好ましく、より好ましくは0.03
〜2.0重量%であり、更により好ましくは0.05〜
1.5重量%である。
【0049】0.02重量%未満の場合には、黒色度及
び体積固有抵抗値を改良できる程度にカーボンブラック
微粒子粉末を十分付着させることが困難である。
【0050】5.0重量%を超える場合には、カーボン
ブラック微粒子粉末を十分付着させることはできるが、
効果が飽和しており必要以上に添加する意味がない。
【0051】カーボンブラック微粒子粉末は、市販のフ
ァーネスブラック、チャンネルブラック等を使用するこ
とができ、具体的には、#3050、#3150、#3
250、#3750、#3950、MA100、MA
7、#1000、#2400B、#30、MA77、M
A8、#650、MA11、#50、#52、#45、
#2200B、MA600等(商品名:三菱化学株式会
社(製))シースト9H、シースト7H、シースト6、
シースト3H、シースト300、シーストFM等(商品
名、東海カーボン株式会社(製))等が使用できる。オ
ルガノシラン化合物との親和性を考慮すれば、#315
0、#3250、MA100、MA7、#1000、#
2400B、#30が好ましく、更に、導電性を考慮す
れば、#3150、#3250がより好ましい。
【0052】カーボンブラック微粒子粉末の平均粒子径
は0.002〜0.05μmが好ましく、より好ましく
は0.002〜0.035μm程度である。
【0053】カーボンブラック微粒子の平均粒子径が
0.002μm未満の場合には、カーボンブラック微粒
子があまりに微細となるため、取扱いが困難となる。
【0054】0.05μmを超える場合には、カーボン
ブラック微粒子の粒子サイズが芯粒子の粒子サイズに対
して大きくなりすぎるため、アルコキシシラン被覆への
付着強度が不十分となり、カーボンブラック微粒子粉末
の脱着率が増加し、その結果、ビヒクル中への分散性が
低下する。
【0055】芯粒子の平均長軸径とカーボンブラック微
粒子粉末の平均粒子径との比は2以上が好ましい。2よ
りも小さくなると、カーボンブラック微粒子の粒子サイ
ズが芯粒子の粒子サイズに対して大きくなりすぎるた
め、アルコキシシラン被覆への付着強度が不十分とな
り、カーボンブラック微粒子の脱着率が増加し、その結
果、ビヒクル中への分散性が低下する。芯粒子の平均長
軸径とカーボンブラック微粒子粉末の平均粒子径との比
の上限値は150である。
【0056】カーボンブラック微粒子粉末の付着量は、
芯粒子粉末100重量部に対し1〜20重量部である。
【0057】1重量部未満の場合には、カーボンブラッ
ク微粒子粉末の付着量が不十分であり、体積固有抵抗値
が十分に低減できないばかりか、十分な黒色度も得られ
ない。
【0058】20重量部を超える場合には、十分な黒色
度及び体積固有抵抗値が得られるがカーボンブラック微
粒子粉末が粒子表面から脱離しやすくなり、その結果、
ビヒクル中への分散性が低下する場合がある。
【0059】鉄系黒色針状複合粒子粉末の粒子形状や粒
子サイズは、芯粒子の粒子形状や粒子サイズに大きく依
存し、芯粒子にほぼ相似する粒子形状を有し、芯粒子よ
りも若干大きい粒子サイズを有している。
【0060】即ち、本発明における鉄系黒色針状複合粒
子粉末は、平均長軸径が0.021〜0.35μmであ
り、好ましくは0.026〜0.30μm、より好まし
くは0.026〜0.27μmである。平均短軸径は
0.0105〜0.175μm、好ましくは0.013
〜0.15μm、より好ましくは0.013〜0.13
5μm、軸比は2〜20、好ましくは2.5〜18、よ
り好ましくは3〜15であって、BET比表面積値は3
5〜250m/g、好ましくは38〜200m
g、より好ましくは40〜180m/gである。
【0061】本発明における鉄系黒色針状複合粒子粉末
は、長軸径の粒度分布が幾何標準偏差値で1.50以下
であることが好ましい。1.50を超える場合には、存
在する粗大粒子が塗膜の表面平滑性に悪影響を与えるた
めに好ましくない。塗膜の表面平滑性を考慮すれば、好
ましくは1.48以下、より好ましくは1.45以下で
ある。工業的な生産性を考慮すれば得られる鉄系黒色針
状複合粒子の長軸径の幾何標準偏差値の下限値は1.0
1である。
【0062】本発明における鉄系黒色針状複合粒子粉末
の黒色度は、上限値がL値で23.5である。L
が23.5を超える場合には、明度が高くなり、黒色度
が十分とは言えず、これを用いて得られる磁気記録媒体
の光透過率を十分に低減することが困難となる。黒色度
のより好ましい上限値はL値が23.0である。芯粒
子としてマンガン含有針状ヘマタイト粒子粉末及びマン
ガン含有針状含水酸化鉄粒子粉末を用いて得られた鉄系
黒色針状複合粒子粉末の黒色度は、上限値がL 値で2
2.0であり、好ましい上限値はL値で21.0であ
る。下限値はL 値が15程度である。
【0063】本発明における鉄系黒色針状複合粒子粉末
の体積固有抵抗値は、1×10Ω・cm以下であるこ
とが好ましく、より好ましくは1×10Ω・cm〜5
×10Ω・cm、更により好ましくは5×10Ω・
cm〜1×10Ω・cmである。体積固有抵抗値が1
×10Ω・cmを超える場合は、得られる磁気記録媒
体の表面電気抵抗値を十分に低減することが困難とな
る。
【0064】本発明における鉄系黒色針状複合粒子粉末
のカーボンブラックの脱着率は20%以下が好ましく、
より好ましくは10%以下である。カーボンブラックの
脱着率が20%を超える場合には、非磁性塗料の製造時
において、脱離したカーボンブラックによりビヒクル中
での均一な分散が阻害される場合がある。
【0065】鉄系針状黒色複合粒子粉末は、必要によ
り、芯粒子粉末の粒子表面をあらかじめ、アルミニウム
の水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物
及びケイ素の酸化物から選ばれた1種又は2種以上(以
下、「アルミニウムの水酸化物等による被覆」とい
う。)で被覆しておいてもよく、アルミニウムの水酸化
物等で被覆しない場合に比べ、ビヒクル中における分散
性が向上する。
【0066】アルミニウムの水酸化物等の被覆量は、芯
粒子粉末に対しAl換算、SiO2換算又はAl換算量
とSiO2 換算量との総和で0.01〜50重量%が好
ましい。
【0067】0.01重量%未満である場合には、ビヒ
クル中への分散性改良効果が得られない。
【0068】50重量%を超える場合には、ビヒクル中
への分散性改良効果が十分に得られるため、必要以上に
被覆する意味がない。
【0069】アルミニウムの水酸化物等で被覆されてい
る本発明における鉄系黒色針状複合粒子粉末は、アルミ
ニウムの水酸化物等で被覆されていない本発明における
鉄系黒色針状複合粒子粉末の場合とほぼ同程度の粒子サ
イズ、幾何標準偏差値、BET比表面積値、体積固有抵
抗値及び黒色度L値を有している。
【0070】本発明における非磁性支持体としては、現
在、磁気記録媒体に汎用されているポリエチレンテレフ
タレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボ
ネート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリ
アミドイミド、ポリイミド等の合成樹脂フィルム、アル
ミニウム、ステンレス等金属の箔や板及び各種の紙を使
用することができ、その厚みは、その材質により種々異
なるが、通常好ましくは1.0〜300μm、より好ま
しくは2.0〜200μmである。
【0071】磁気ディスクの場合、非磁性支持体として
はポリエチレンテレフタレートが通常用いられ、その厚
みは、通常50〜300μm、好ましくは60〜200
μmである。磁気テープの場合は、ポリエチレンテレフ
タレートの場合、その厚みは、通常3〜100μm、好
ましくは4〜20μm、ポリエチレンナフタレートの場
合、その厚みは、通常3〜50μm、好ましくは4〜2
0μm、ポリアミドの場合、その厚みは、通常2〜10
μm、好ましくは3〜7μmである。
【0072】本発明における非磁性下地層は、塗膜厚さ
が0.2〜10.0μmの範囲が好ましい。0.2μm
未満の場合には、非磁性支持体の表面粗さを改善するこ
とが困難となり、スティフネスも不十分となりやすい。
磁気記録媒体の薄層化及び塗膜のスティフネスを考慮す
れば、より好ましくは0.5〜5.0μmの範囲であ
る。
【0073】本発明における非磁性下地層の結合剤樹脂
は、磁気記録媒体の製造にあたって汎用されている各種
結合剤樹脂が使用でき、具体的には、塩化ビニル−酢酸
ビニル共重合体、ウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル−マレイン酸共重合体、ウレタンエラストマー、ブタ
ジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリビニルブチラ
ール、ニトロセルロース等セルロース誘導体、ポリエス
テル樹脂、ポリブタジエン等の合成ゴム系樹脂、エポキ
シ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイソシアネート、電子線
硬化型アクリルウレタン樹脂等とその混合物を使用する
ことができる。
【0074】また、各結合剤樹脂には−OH、−COO
H、−SO M、−OPO、−NH 等の極
性基(但し、MはH、Na、Kである。)が含まれてい
てもよい。本発明に係る針状へマタイト粒子の分散性を
考慮すれば、極性基として−COOH、−SOMが含
まれている結合剤樹脂が好ましい。
【0075】非磁性下地層における鉄系黒色針状複合粒
子粉末と結合剤樹脂との配合割合は、結合剤樹脂100
重量部に対し、鉄系黒色針状複合粒子粉末が5〜200
0重量部、好ましくは100〜1000重量部である。
【0076】鉄系黒色針状複合粒子粉末が5重量部未満
の場合には、非磁性塗料中の鉄系黒色針状複合粒子粉末
が少なすぎるため、塗膜にした時に、鉄系黒色針状複合
粒子粉末の連続分散した層が得られず、塗膜表面の平滑
性及び基体のスティフネスが不十分となる。2000重
量部を超える場合には、結合剤樹脂の量に対して鉄系黒
色針状複合粒子粉末が多すぎるため、非磁性塗料中で鉄
系黒色針状複合粒子粉末が十分に分散されず、その結
果、塗膜にした時に、表面が十分平滑な塗膜が得られ難
い。また、鉄系黒色針状複合粒子粉末が結合剤樹脂によ
って十分にバインドされないために、得られた塗膜はも
ろいものとなりやすい。
【0077】尚、非磁性下地層に、通常の磁気記録媒体
の製造に用いられる潤滑剤、研磨剤、帯電防止剤等が必
要により結合剤樹脂100重量部に対し0.1〜50重
量部程度含まれていてもよい。
【0078】粒子表面がアルミニウムの水酸化物等によ
って被覆されていない鉄系黒色針状複合粒子粉末を用い
た本発明に係る基体は、塗膜の光沢度が170〜280
%、好ましくは175〜280%、より好ましくは18
0〜280%、塗膜表面粗度Raが2.0〜12.0n
m、好ましくは2.0〜11.5nm、より好ましくは
2.0〜11.0nm、ヤング率が117〜150、好
ましくは119〜150、より好ましくは121〜15
0、塗膜の線吸収係数が1.30〜5.0μm −1好ま
しくは、1.35〜5.0μm−1、表面電気抵抗値が
1×10〜1012Ω/sq、好ましくは1×10
〜5×1011Ω/sq、より好ましくは1×10
1×1011Ω/sqである。
【0079】粒子表面がアルミニウムの水酸化物等によ
って被覆されている鉄系黒色針状複合粒子粉末を用いた
本発明に係る基体は、塗膜の光沢度が175〜280
%、好ましくは180〜280%、より好ましくは18
5〜280%、塗膜の表面粗度Raが2.0〜11.5
nm、好ましくは2.0〜11.0nm、より好ましく
は2.0〜10.5nm、ヤング率が118〜150、
好ましくは120〜150、より好ましくは122〜1
50、塗膜の線吸収係数が1.30〜10.0μm−1
好ましくは、1.35〜10.0μm−1、表面電気抵
抗値が1×10〜1×1012Ω/sq好ましくは1
×10〜5×1011Ω/sqより好ましくは1×1
〜1×1011Ω/sqである。
【0080】次に、本発明に係る磁気記録媒体について
述べる。
【0081】本発明に係る磁気記録媒体は、基体と該基
体の上に設けた、磁性粒子粉末と結合剤樹脂とを含む磁
気記録層とからなる。
【0082】磁性粒子粉末は、マグヘマイト粒子粉末、
マグネタイト粒子粉末、マグヘマイトとマグネタイトと
の中間酸化物であるベルトライド化合物粒子粉末等の磁
性酸化鉄粒子粉末、該磁性酸化鉄粒子粉末にFe以外の
Co、Al、Ni、P、Zn、Si、B等の異種元素を
含有させた磁性酸化鉄粒子粉末、これら磁性酸化鉄粒子
にCo等を被着させたCo被着型磁性酸化鉄粒子粉末、
鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末、鉄以外のCo、A
l、Ni、P、Zn、Si、B及び希土類金属等を含有
する鉄合金磁性粒子粉末、Ba,Sr又はBa−Srを
含有する板状マグネトプランバイト型フェライト粒子粉
末並びに該フェライト粒子粉末にCo、Ni、Zn、M
n、Mg、Ti、Sn、Zr等の2価及び4価の金属か
ら選ばれた保磁力低減剤の1種又は2種以上を含有させ
た板状マグネトプランバイト型フェライト粒子粉末等の
いずれをも用いることができる。
【0083】なお、近年の磁気記録媒体の高密度記録化
を考慮すれば、磁性粒子粉末としては、Co被着型磁性
酸化鉄粒子粉末、鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末及
び鉄以外のCo、Al、Ni、P、Zn、Si、B、希
土類金属等を含有する鉄合金磁性粒子粉末等が好まし
い。
【0084】磁性粒子粉末の粒子の形状は、針状はもち
ろん、紡錘状、米粒状、立方状、板状等のいずれであっ
てもよい。ここで「針状」とは、文字通りの針状はもち
ろん、紡錘状や米粒状などを含む意味である。
【0085】磁性粒子粉末は、平均長軸径(板状粒子の
場合は平均粒子径)が0.01〜0.50μm、好まし
くは0.03〜0.30μmであって、平均短軸径(板
状粒子の場合は平均厚み)が0.0007〜0.17μ
m、好ましくは0.003〜0.10μmであり、幾何
標準偏差値は2.5以下、好ましくは1.01〜2.3
である。
【0086】また、粒子形状が針状の磁性粒子の場合、
軸比は3以上、好ましくは5以上であり、磁性塗料とし
た時のビヒクル中における分散性を考慮すれば、その上
限値は15であり、好ましくは10である。
【0087】粒子形状が板状の磁性粒子の場合、板状比
(粒子の平均粒子径と粒子の平均厚みの比)(以下、
「板状比」という。)は2以上、好ましくは3以上であ
り、磁性塗料とした時のビヒクル中における分散性を考
慮すれば、その上限値は20であり、好ましくは15で
ある。
【0088】磁性粒子粉末の磁気特性は、針状磁性酸化
鉄粒子やCo被着型針状磁性酸化鉄粒子粉末の場合、保
磁力値が250〜1700Oe、好ましくは300〜1
700Oeであって、飽和磁化値が60〜90emu/
g、好ましくは65〜90emu/gである。
【0089】鉄を主成分とする針状金属磁性粒子又は鉄
合金磁性粒子の場合、保磁力値が800〜3500O
e、好ましくは900〜3500Oeであって、飽和磁
化値が90〜170emu/g、好ましくは100〜1
70emu/gである。
【0090】板状マグネトプランバイト型フェライト粒
子の場合、保磁力値が500〜4000Oe、好ましく
は650〜4000Oeであって、飽和磁化値が40〜
70emu/g、好ましくは45〜70emu/gであ
る。
【0091】磁気記録層における結合剤樹脂には、非磁
性下地層を形成する場合に用いた前記結合剤樹脂を使用
することができる。
【0092】本発明における磁気記録層の塗膜厚さは、
0.01〜5.0μmの範囲である。0.01μm未満
の場合には、均一な塗布が困難で塗りむら等が生じやす
くなるため好ましくない。5.0μmを超える場合に
は、反磁界の影響のため、所望の電磁変換特性が得られ
にくくなる。好ましくは0.05〜1.0μmの範囲で
ある。
【0093】磁気記録層における磁性粒子粉末と結合剤
樹脂との配合割合は、結合剤樹脂100重量部に対し、
磁性粒子粉末が200〜2000重量部、好ましくは3
00〜1500重量部である。
【0094】磁気記録層中には、通常用いられる潤滑
剤、研磨剤、帯電防止剤等が必要により含まれていても
よい。
【0095】本発明に係る磁気記録媒体は、非磁性粒子
粉末としてアルミニウムの水酸化物等によって被覆され
ていない本発明に係る鉄系黒色針状複合粒子粉末を用い
た場合には、保磁力値が250〜4000Oe、好まし
くは300〜4000Oe、角形比(残留磁束密度Br
/飽和磁束密度Bm)が0.85〜0.95、好ましく
は0.86〜0.95、塗膜の光沢度が130〜300
%、好ましくは140〜300%、塗膜の表面粗度Ra
が12.0nm以下、好ましくは2.0〜11.0n
m、より好ましくは2.0〜10.0nm、ヤング率が
122〜160、好ましくは124〜160、塗膜の線
吸収係数が1.20〜5.00μm−1、好ましくは
1.30〜5.00μm−1、塗膜の表面電気抵抗値が
1×1010Ω/sq以下、好ましくは7.5×10
Ω/sq以下、より好ましくは5×10Ω/sq以下
である。
【0096】本発明に係る磁気記録媒体は、非磁性粒子
粉末として粒子表面がアルミニウムの水酸化物等によっ
て被覆されている本発明に係る鉄系黒色針状複合粒子粉
末を用いた場合には、保磁力値が250〜4000O
e、好ましくは300〜4000Oe、角形比(残留磁
束密度Br/飽和磁束密度Bm)が0.85〜0.9
5、好ましくは0.86〜0.95、塗膜の光沢度が1
35〜300%、好ましくは145〜300%、塗膜の
表面粗度Raが11.5nm以下、好ましくは2.0〜
10.5nm、より好ましくは2.0〜9.5nm、ヤ
ング率が124〜160、好ましくは126〜160、
塗膜の線吸収係数が1.20〜5.00μm −1、好ま
しくは1.30〜5.00μm−1、塗膜の表面電気抵
抗値が1×1010Ω/sq以下、好ましくは7.5×
10Ω/sq以下、より好ましくは5×10Ω/s
q以下である。
【0097】高密度記録等を考慮して、磁性粒子粉末と
して殊に、鉄を主成分とする針状金属磁性粒子又は鉄合
金磁性粒子を用い、非磁性粒子粉末としてアルミニウム
の水酸化物等によって被覆されていない本発明に係る鉄
系黒色針状複合粒子粉末を用いた場合には、保磁力値が
800〜3500Oe、好ましくは900〜3500O
e、角形比(残留磁束密度Br/飽和磁束密度Bm)が
0.85〜0.95、好ましくは0.86〜0.95、
塗膜の光沢度が185〜300%、好ましくは190〜
300%、塗膜表面粗度Raが9.5nm以下、好まし
くは2.0〜9.0nm、より好ましくは2.0〜8.
5nm、ヤング率が122〜160、好ましくは124
〜160、塗膜の線吸収係数が1.20〜5.00μm
−1、好ましくは1.30〜5.00μm−1、塗膜の
表面電気抵抗値が1×1010Ω/sq以下、好ましく
は7.5×10Ω/sq以下、より好ましくは5×1
Ω/sq以下である。
【0098】磁性粒子粉末として殊に、鉄を主成分とす
る針状金属磁性粒子又は鉄合金磁性粒子を用い、非磁性
粒子粉末として粒子表面がアルミニウムの水酸化物等に
よって被覆されている本発明に係る鉄系黒色針状複合粒
子粉末を用いた場合には、保磁力値が800〜4000
Oe、好ましくは900〜3000Oe、角形比(残留
磁束密度Br/飽和磁束密度Bm)が0.85〜0.9
5、好ましくは0.86〜0.95、塗膜の光沢度が1
90〜300%、好ましくは195〜300%、塗膜表
面粗度Raが9.0nm以下、好ましくは2.0〜8.
5nm、より好ましくは2.0〜8.0nm、ヤング率
が124〜160、好ましくは126〜160、塗膜の
線吸収係数が1.20〜5.00μm−1、好ましくは
1.30〜5.00μm−1、塗膜の表面電気抵抗値が
1×1010Ω/sq以下、好ましくは7.5×10
Ω/sq以下、より好ましくは5×10Ω/sq以下
である。である。
【0099】次に、本発明における鉄系黒色針状複合粒
子粉末の製造法について述べる。
【0100】芯粒子である針状含水酸化鉄粒子粉末は、
第一鉄塩水溶液と水酸化アルカリ、炭酸アルカリ又は水
酸化アルカリ・炭酸アルカリとを反応して得られる水酸
化第一鉄コロイド、炭酸鉄及び鉄含有沈殿物のいずれか
を含む懸濁液中に酸素含有ガスを通気して酸化する、所
謂、湿式法により針状ゲータイト粒子粉末を生成し、該
針状ゲータイト粒子粉末を濾別、水洗、乾燥することに
より得ることができる。針状ヘマタイト粒子粉末は、該
針状ゲータイト粒子粉末を空気中250〜850℃で加
熱脱水することにより得ることができる。
【0101】マンガン含有の針状ヘマタイト粒子粉末
は、後出の方法により得られるマンガン含有針状ゲータ
イト粒子粉末を空気中250〜850℃で加熱すること
により得ることができる。
【0102】マンガン含有針状ゲータイト粒子粉末は、
針状ゲータイト粒子粉末を生成する前記湿式法において
全Feに対し8〜150原子%のマンガンの存在下で反
応させてゲータイト粒子にマンガンを含有させることに
より得られる。
【0103】尚、針状ゲータイト粒子の生成反応中に、
粒子粉末の長軸径、短軸径、軸比等の諸特性向上のため
に、通常添加されているNi、Zn、P、Si等の異種
元素が添加されていても支障はない。
【0104】また、針状ヘマタイト粒子粉末を得るため
の針状ゲータイト粒子粉末の加熱処理に先立って、あら
かじめ針状ゲータイト粒子を焼結防止剤で被覆処理して
おくことが必要である。焼結防止剤による被覆処理は、
針状ゲータイト粒子粉末を含む水懸濁液中に焼結防止剤
を添加し、混合攪拌した後、濾別、水洗、乾燥すればよ
い。
【0105】焼結防止剤としては、通常使用されるヘキ
サメタリン酸ナトリウム、ポリリン酸、オルトリン酸等
のリン化合物、3号水ガラス、オルトケイ酸ナトリウ
ム、メタケイ酸ナトリウム、コロイダルシリカ等のケイ
素化合物、ホウ酸等のボロン化合物、酢酸アルミニウ
ム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミ
ニウム、アルミン酸ソーダ等のアルミニウム化合物、硫
酸チタニル等のチタニウム化合物を使用することができ
るが、好ましくは、オルトリン酸、コロイダルシリカ、
ホウ酸、酢酸アルミニウムである。
【0106】芯粒子粉末のアルコキシシランによる被覆
は、芯粒子粉末とアルコキシシランの溶液とを機械的に
混合攪拌したり、芯粒子粉末にアルコキシシラン溶液を
噴霧しながら機械的に混合攪拌すればよい。添加したア
ルコキシシランは、ほぼ全量が芯粒子粉末の粒子表面に
被覆される。
【0107】アルコキシシランを均一に粒子表面に被覆
するためには、芯粒子粉末の凝集をあらかじめ粉砕機を
用いて解きほぐしておくことが好ましい。混合攪拌のた
めの機器としてはエッジランナー、ヘンシェルミキサー
を使用することが出来る。
【0108】混合攪拌時における条件は、芯粒子粉末の
粒子表面にアルコキシシランができるだけ均一に被覆さ
れるように量割合、線荷重、攪拌速度、混合攪拌時間等
を適宜調整すればよく、処理時間は20分間以上が好ま
しい。
【0109】アルコキシシランの添加量は、芯粒子粉末
100重量部に対して0.15〜45重量部が好まし
い。0.15重量部未満の場合には、黒色度を向上さ
せ、且つ、体積固有抵抗値を十分低減できる程度にカー
ボンブラック微粒子粉末を付着させることが困難であ
る。45重量部を超える場合には、カーボンブラック微
粒子粉末を十分付着させることができるが、必要以上に
添加する意味がない。
【0110】次いで、芯粒子粉末の粒子表面にアルコキ
シランを被覆した後、カーボンブラック微粒子粉末を添
加し、混合攪拌してアルコキシラン被覆にカーボンブラ
ック微粒子粉末を付着させた後、乾燥乃至加熱処理す
る。
【0111】カーボンブラック微粒子粉末は、少量ずつ
を時間をかけながら、殊に5〜60分間程度をかけて添
加するのが好ましい。
【0112】混合攪拌時における条件は、カーボンブラ
ック微粒子粉末が均一に付着する様に、量割合、線荷
重、攪拌速度、混合攪拌時間等を適宜、調整すればよ
く、処理時間は15分間以上が好ましい。
【0113】カーボンブラック微粒子粉末の添加量は、
芯粒子粉末100重量部に対して1〜20重量部であ
る。1重量部未満の場合には、カーボンブラック微粒子
粉末の付着量が不十分であり、黒色度を向上させ、且
つ、体積固有抵抗値を十分に低減することが困難とな
る。20重量部を超える場合には、十分な黒色度及び体
積固有抵抗値を得ることはできるが、カーボンブラック
微粒子粉末の付着量が多くなるため粒子表面からカーボ
ンブラック微粒子粉末が脱離しやすくなり、その結果、
ビヒクル中における分散性が低下する。
【0114】乾燥乃至加熱工程における処理温度範囲
は、通常40〜200℃が好ましく、より好ましくは6
0〜150℃であり、処理時間は、10分〜12時間が
好ましく、30分〜3時間がより好ましい。アルコキシ
シランは、この乾燥乃至加熱工程によりオルガノシラン
化合物となる。
【0115】芯粒子粉末は、必要により、アルコキシシ
ランの溶液との混合攪拌に先立って、あらかじめ、アル
ミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の
水酸化物及びケイ素の酸化物から選ばれる1種又は2種
以上の化合物で被覆しておいてもよい。
【0116】アルミニウムの水酸化物等による被覆は、
芯粒子粉末を分散して得られる水懸濁液に、アルミニウ
ム化合物、ケイ素化合物又は当該両化合物を添加して混
合攪拌することにより、又は、必要により、混合攪拌後
にpH値を調整することにより、前記芯粒子粉末の粒子
表面に、アルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化
物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物から選ばれる
1種又は2種以上の化合物を被着し、次いで、濾別、水
洗、乾燥、粉砕する。必要により、更に、脱気・圧密処
理等を施してもよい。
【0117】アルミニウム化合物としては、酢酸アルミ
ニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸ア
ルミニウム等のアルミニウム塩や、アルミン酸ナトリウ
ム等のアルミン酸アルカリ塩、アルミナゾル等が使用で
きる。
【0118】アルミニウム化合物の添加量は、芯粒子粉
末に対しAl換算で0.01〜50重量%である。0.
01重量%未満である場合には、粒子表面に十分な量の
アルミニウムの水酸化物等を被覆することが困難であ
り、ビヒクル中への分散性改良効果が得られない。50
重量%を超える場合には、被覆効果が飽和するため、必
要以上に添加する意味がない。
【0119】ケイ素化合物としては、3号水ガラス、オ
ルトケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、コロイ
ダルシリカ等が使用できる。
【0120】ケイ素化合物の添加量は、芯粒子粉末に対
しSiO換算で0.01〜50重量%である。0.0
1重量%未満である場合には、粒子表面に十分な量のア
ルミニウムの酸化物等を被覆することが困難であり、ビ
ヒクル中への分散性改良効果が得られない。50重量%
を超える場合には、被覆効果が飽和するため、必要以上
に添加する意味がない。
【0121】アルミニウム化合物とケイ素化合物とを併
せて使用する場合の添加量は、芯粒子粉末に対し、Al
換算量とSiO換算量との総和で0.01〜50重量
%が好ましい。
【0122】次に、本発明に係る磁気記録媒体用基体の
製造法について述べる。
【0123】本発明に係る磁気記録媒体用基体は、非磁
性支持体上に鉄系黒色針状複合粒子粉末と結合剤樹脂と
溶剤とを含む非磁性塗料を塗布して非磁性下地層を形成
した後、乾燥することにより製造する。
【0124】溶剤としては、現在磁気記録媒体に汎用さ
れているメチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサ
ノン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン及
びその混合物等を使用することができる。
【0125】溶剤の使用量は、鉄系黒色針状複合粒子粉
末100重量部に対しその総量で50〜1000重量部
である。50重量部未満の場合は非磁性塗料とした場合
に粘度が高くなりすぎ塗布が困難となる。1000重量
部を超える場合には、塗膜を形成する際の溶剤の揮散量
が多くなりすぎ工業的に不利となる。
【0126】次に、本発明に係る磁気記録媒体の製造法
について述べる。
【0127】本発明に係る磁気記録媒体は、基体上に、
磁性粒子粉末と結合剤樹脂と溶剤とを含む塗膜組成物を
塗布して塗布膜を形成した後、乾燥して磁気記録層を形
成することにより製造する。
【0128】溶剤としては、非磁性下地層を形成する際
に用いた溶剤と同じものが使用できる。
【0129】溶剤の使用量は、磁性粒子粉末100重量
部に対しその総量で65〜1000重量部である。65
重量部未満では磁性塗料とした場合に粘度が高くなりす
ぎ塗布が困難となる。1000重量部を超える場合に
は、塗膜を形成する際の溶剤の揮散量が多くなりすぎ工
業的に不利となる。
【0130】
【発明の実施の形態】本発明の代表的な実施の形態は、
次の通りである。
【0131】針状ヘマタイト粒子、針状含水酸化鉄粒子
及び鉄系黒色針状複合粒子の平均長軸径及び平均短軸
径、カーボンブラック微粒子粉末の平均粒子径は、電子
顕微鏡写真(×30000)を縦方向及び横方向にそれ
ぞれ4倍に拡大した写真に示される粒子約350個につ
いて長軸径、短軸径をそれぞれ測定し、その平均値で示
した。
【0132】軸比は、平均長軸径と平均短軸径との比し
た。
【0133】粒子の幾何標準偏差値は、下記の方法によ
り求めた値で示した。即ち、上記拡大写真に示される粒
子の粒子径を測定した値を、その測定値から計算して求
めた粒子の実際の粒子径と個数から統計学的手法に従っ
て対数正規確率紙上に横軸に粒子の粒子径を、縦軸に所
定の粒子径区間のそれぞれに属する粒子の累積個数(積
算フルイ下)を百分率でプロットする。
【0134】そして、このグラフから粒子の個数が50
%及び84.13%のそれぞれに相当する粒子径の値を
読みとり、幾何標準偏差値=積算フルイ下84.13%
における粒子径/積算フルイ下50%における粒子径
(幾何平均径)に従って算出した値で示した。幾何標準
偏差値が1に近いほど、粒子の粒度分布が優れているこ
とを意味する。
【0135】比表面積値はBET法により測定した値で
示した。
【0136】針状ヘマタイト粒子粉末又は針状含水酸化
鉄粒子粉末の内部や表面に存在するMn量、Al量及び
Si量並びにアルコキシシランから生成するオルガノシ
ラン化合物に含有されるSi量のそれぞれは「蛍光X線
分析装置3063M型」(理学電機工業株式会社製)を
使用し、JIS K0119の「けい光X線分析通則」
に従って測定した。
【0137】鉄系黒色針状複合粒子に付着しているカー
ボンブラック量は、「堀場金属炭素・硫黄分析装置EM
IA−2200型」(株式会社堀場製作所製)を用いて
炭素量を測定することにより求めた。
【0138】鉄系黒色針状複合粒子粉末の黒色度は、試
料0.5gとヒマシ油1.5ccとをフーバー式マーラ
ーで練ってペースト状とし、このペーストにクリアラッ
カー4.5gを加え、混練、塗料化してキャストコート
紙上に6milのアプリケーターを用いて塗布した塗布
片(塗膜厚み:約30μm)を作製し、 該塗料片につい
て、多光源分光測色計MSC−IS−2D(スガ試験機
株式会社製)を用いて測定し、JIS Z 8729に定
めるところに従って表色指数L値で示した。
【0139】ここでL値は、明度を表わし、L値が
小さいほど黒色度が優れていることを示す。
【0140】針状ヘマタイト粒子、針状含水酸化鉄粒子
及び鉄系黒色針状複合粒子の各粒子の体積固有抵抗値
は、まず、粒子粉末0.5gを測り取り、KBr錠剤成
形器(株式会社島津製作所)を用いて、140Kg/c
の圧力で加圧成形を行い、円柱状の被測定試料を作
製した。
【0141】次いで、被測定試料を温度25℃、相対湿
度60%環境下に12時間以上暴露した後、この被測定
試料をステンレス電極の間にセットし、ホイートストン
ブリッジ(TYPE2768 横河北辰電気株式会社
製)で15Vの電圧を印加して抵抗値R(Ω)を測定し
た。
【0142】次いで、被測定(円柱状)試料の上面の面
積A(cm)と厚みt(cm)を測定し、次式にそれ
ぞれの測定値を挿入して、体積固有抵抗値X(Ω・c
m)を求めた。 X(Ω・cm)=R×(A/t)
【0143】鉄系黒色針状複合粒子に付着しているカー
ボンブラック微粒子粉末の脱着率(T%)は、下記の方
法により求めた値で示した。T(%)が0に近いほど、
粒子からのカーボンブラック微粒子粉末の脱離量が少な
いことを示す。
【0144】鉄系黒色針状複合粒子粉末3gとエタノー
ル40mlを50mlの沈降管に入れ、20分間超音波
分散を行った後、120分静置し、比重差によって鉄系
黒色針状複合粒子粉末と脱離したカーボンブラックを分
離した。次いで、この鉄系黒色針状複合粒子粉末に再度
エタノール40mlを加え、更に20分間超音波分散を
行った後120分静置し、鉄系黒色針状複合粒子粉末と
脱離したカーボンブラックを分離した。この鉄系黒色針
状複合粒子粉末を100℃で1時間乾燥させ、前述の
「堀場金属炭素・硫黄分析装置EMIA−2200型」
(株式会社堀場製作所製)を用いて炭素量を測定し、下
記式に従って求めた値をカーボンブラックの脱着率(T
%)とした。
【0145】T(%)={(Wa−We)/Wa}×10
0 Wa:鉄系黒色針状複合粒子粉末のカーボンブラック微
粒子粉末付着量 We:脱着テスト後の鉄系黒色針状複合粒子粉末のカー
ボンブラック微粒子粉末付着量
【0146】塗料粘度は、得られた塗料の25℃におけ
る塗料粘度を、E型粘度計EMD−R(株式会社東京計
器製)を用いて測定し、ずり速度D=1.92sec
−1における値で示した。
【0147】非磁性下地層及び磁気記録層の塗膜表面の
光沢度は、「グロスメーターUGV−5D」(スガ試験
機株式会社製)を用いて塗膜の45°光沢度を測定して
求めた。
【0148】表面粗度Raは、「Surfcom−57
5A」(東京精密株式会社製)を用いて塗布膜の中心線
平均粗さを測定した。
【0149】塗膜のスティフネスは、「オートグラフ」
(株式会社島津製作所製)を用いて塗膜のヤング率を測
定して求めた。ヤング率は市販ビデオテープ「AV T
−120(日本ビクター株式会社製)」との相対値で表
した。相対値が高いほど塗膜のスティフネスが良好であ
ることを示す。
【0150】磁気特性は、「振動試料型磁力計VSM−
3S−15」(東英工業株式会社製)を使用し、外部磁
場10KOeまでかけて測定した。
【0151】光透過の程度は、「自記光電分光光度計U
V−2100」(株式会社島津製作所製)を用いて磁気
記録媒体用基体及び磁気記録媒体について測定した光透
過率の値を下記式に挿入して算出した線吸収係数で示し
た。線吸収係数は、その値が大きいほど、光を透しにく
いことを示す。
【0152】尚、光透過率の値を測定するにあたって
は、上記基体及び磁気記録媒体に用いた非磁性支持体と
同一の非磁性支持体をブランクとして用いた。
【0153】線吸収係数(μm−1)=〔ln(1/
t)〕/FT t:λ=900nmにおける光透過率(−) FT:測定に用いたフィルムの塗布層(非磁性下地層の
膜厚もしくは非磁性下地層の膜厚と磁気記録層の膜厚と
の総和)の厚み(μm)
【0154】塗布膜の表面電気抵抗値は、被測定塗布膜
を温度25℃、相対湿度60%環境下に12時間以上暴
露した後、幅6.5mmの金属製の電極に、幅6mmに
スリットした塗布膜を、塗布面が金属製電極に接触する
ように置き、その両端に各170gのおもりを付け、電
極に塗布膜を密着させた後、電極間に500Vの直流電
圧をかけて表面電気抵抗値を測定した。
【0155】磁気記録媒体を構成する非磁性支持体、非
磁性下地層及び磁気記録層の各層の厚みは、下記のよう
にして測定した。
【0156】デジタル電子マイクロメーターK351C
(安立電気株式会社製)を用いて、先ず、非磁性支持体
の膜厚(A)を測定する。次に、非磁性支持体と該非磁
性支持体上に形成された非磁性下地層との厚み(B)
(非磁性支持体の厚みと非磁性下地層の厚みとの総和)
を同様にして測定する。
【0157】更に、非磁性下地層上に磁気記録層を形成
することにより得られた磁気記録媒体の厚み(C)(非
磁性支持体の厚みと非磁性下地層の厚みと磁気記録層の
厚みとの総和)を同様にして測定する。そして、非磁性
下地層の厚みは(B)−(A)で示し、磁気記録層の厚
みは(C)−(B)で示した。
【0158】<鉄系黒色針状複合粒子粉末の製造>硫酸
第一鉄水溶液、硫酸マンガン水溶液、水酸化ナトリウム
水溶液及び炭酸ナトリウム水溶液とを用いて、前記湿式
法によりMn含有針状ゲータイト粒子粉末を生成させた
後、650℃で30分加熱処理することにより得られた
(特開平7−66020号公報に記載の製造方法)図1
の電子顕微鏡写真(×60000)に示すMn含有針状
ヘマタイト粒子粉末(平均長軸径0.151μm、平均
短軸径0.0220μm、軸比6.9、幾何標準偏差値
1.35、比表面積値50.9m/g、Mn含有量1
3.3重量%、黒色度L値29.7、体積固有抵抗値
7.5×10Ω・cm)20kgを、凝集を解きほぐ
すために、純水150lに攪拌機を用いて邂逅し、更
に、「TKパイプラインホモミクサー」(製品名、特殊
機化工業株式会社製)を3回通してMn含有針状ヘマタ
イト粒子粉末を含むスラリーを得た。
【0159】続いて、このMn含有針状ヘマタイト粒子
粉末を含むスラリーを横型サンドグラインダー「マイテ
ィーミルMHG−1.5L」(製品名、井上製作所株式
会社製)を用いて、軸回転数2000rpmにおいて5
回パスさせて、Mn含有針状ヘマタイト粒子粉末を含む
分散スラリーを得た。
【0160】得られた分散スラリーは、325mesh
(目開き44μm)における篩残分は0%であった。こ
の分散スラリーを濾別、水洗して、Mn含有針状ヘマタ
イト粒子粉末のケーキを得た。このMn含有針状ヘマタ
イト粒子粉末のケーキを120℃で乾燥した後、乾燥粉
末11.0kgをエッジランナー「MPUV−2型」
(製品名、株式会社松本鋳造鉄工所製)に投入して、6
0kg/cmで30分間混合攪拌を行い、粒子の凝集を
軽く解きほぐした。
【0161】次に、メチルトリエトキシシラン220g
を200mlのエタノールで混合希釈して得られるメチ
ルトリエトキシシラン溶液をエッジランナーを稼動させ
ながら粒子の凝集を解きほぐした上記Mn含有針状ヘマ
タイト粒子粉末に添加し、引き続き60kg/cmの線
荷重で60分間混合攪拌を行った。
【0162】次に、図2の電子顕微鏡写真(×6000
0)に示すカーボンブラック微粒子粉末(粒子形状:粒
状、粒子径0.022μm、幾何標準偏差値1.68、
比表面積134m/g、黒色度L値16.6)55
0gを、エッジランナーを稼動させながら10分間かけ
て添加し、更に60kg/cmの線荷重で60分間、混
合攪拌を行い、メチルトリエトキシシラン被覆にカーボ
ンブラック微粒子粉末を付着させて、鉄系黒色針状複合
粒子粉末を得た。
【0163】得られた鉄系黒色針状複合粒子粉末を、乾
燥機を用いて105℃で60分間熟成し、残留している
水分、エタノール等を揮散させた。この鉄系黒色針状複
合粒子粉末は、図3の電子顕微鏡写真(×60000)
に示す通り、平均長軸径が0.151μm、平均短軸径
が0.0222μm、軸比が6.8であった。幾何標準
偏差値は1.35であり、BET比表面積値は52.5
/g、黒色度L値は19.8、体積固有抵抗値
3.3×10Ω・cm、カーボンブラック微粒子粉末
の脱着率は6.5%であり、メチルトリエトキシシラン
から生成するオルガノシラン化合物の被覆量はSi換算
で0.31重量%であった。図3に示す電子顕微鏡写真
に示される通り、カーボンブラック微粒子粉末がほとん
ど認められないことから、カーボンブラック微粒子粉末
のほぼ全量がメチルトリエトキシシラン被覆層に付着し
ていることが認められた。
【0164】比較のため、メチルトリエトキシシランを
被覆することなく、Mn含有針状ヘマタイト粒子粉末と
カーボンブラック微粒子粉末とを同様にエッジランナー
で混合攪拌して得られた処理粒子粉末の電子顕微鏡写真
(×60000)を図4に示す。図4の電子顕微鏡写真
に示される通り、カーボンブラック微粒子粉末がMn含
有針状ヘマタイト粒子粉末の粒子表面に付着しておら
ず、針状粒子と粒状粒子とが混在していることが認めら
れた。
【0165】<非磁性下地層の製造>上記鉄系黒色針状
複合粒子粉末12gと結合剤樹脂溶液(スルホン酸ナト
リウム基を有する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂3
0重量%とシクロヘキサノン70重量%)及びシクロヘ
キサノンとを混合して混合物(固形分率72%)を得、
この混合物を更にプラストミルで30分間混練して混練
物を得た。
【0166】この混練物を1.5mmφガラスビーズ9
5g、追加の結合剤樹脂溶液(スルホン酸ナトリウム基
を有するポリウレタン樹脂30重量%、溶剤(メチルエ
チルケトン:トルエン=1:1)70重量%)、シクロ
ヘキサノン、メチルエチルケトン及びトルエンとともに
140mlガラス瓶に添加し、ペイントシェーカーで6
時間混合・分散を行って塗料組成物を得た。
【0167】得られた非磁性塗料の組成は、下記の通り
であった。
【0168】 鉄系黒色針状複合粒子粉末 100重量部 スルホン酸ナトリウム基を有する 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂 10重量部 スルホン酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂 10重量部 シクロヘキサノン 44.6重量部 メチルエチルケトン 111.4重量部 トルエン 66.9重量部
【0169】得られた非磁性塗料の塗料粘度は384c
Pであった。
【0170】次いで、上記非磁性塗料を厚さ12μmの
ポリエチレンテレフタレートフィルム上にアプリケータ
ーを用いて55μmの厚さに塗布し、次いで、乾燥させ
ることにより非磁性下地層を形成した。非磁性下地層の
厚みは3.3μmであった。
【0171】得られた非磁性下地層は、光沢度が198
%、表面粗度Raが6.4nmであった。基体は、ヤン
グ率(相対値)が121、塗膜の線吸収係数が1.83
μm −1、表面電気抵抗値が1.7×10Ω/sqで
あった。
【0172】<磁気記録媒体の製造>鉄を主成分とする
針状金属磁性粒子粉末(平均長軸径0.115μm、平
均短軸径0.0182μm、軸比6.3、保磁力値19
10Oe、飽和磁化値131emu/g、)12g、研
磨剤(商品名:AKP−50、住友化学株式会社製)
1.2g、カーボンブラック(商品名:#3250B、
三菱化成株式会社製)0.12g、結合剤樹脂溶液(ス
ルホン酸ナトリウム基を有する塩化ビニル−酢酸ビニル
共重合樹脂30重量%とシクロヘキサノン70重量%)
及びシクロヘキサノンとを混合して混合物(固形分率7
8%)を得、この混合物を更にプラストミルで30分間
混練して混練物を得た。
【0173】この混練物を1.5mmφガラスビーズ9
5g、追加結合剤樹脂溶液(スルホン酸ナトリウム基を
有するポリウレタン樹脂30重量%、溶剤(メチルエチ
ルケトン:トルエン=1:1)70重量%)、シクロヘ
キサノン、メチルエチルケトン及びトルエンとともに1
40mlガラス瓶に添加し、ペイントシェーカーで6時
間混合・分散を行って磁性塗料を得た。その後、潤滑剤
及び硬化剤を加え、更に、ペイントシェーカーで15分
間混合・分散した。
【0174】得られた磁性塗料の組成は下記の通りであ
った。 鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末 100重量部 スルホン酸ナトリウム基を有する 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂 10重量部 スルホン酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂 10重量部 研磨剤(AKP−30) 10重量部 カーボンブラック(#3250B) 1.0重量部 潤滑剤(ミリスチン酸:ステアリン酸ブチル=1:2) 3.0重量部 硬化剤(ポリイソシアネート) 5.0重量部 シクロヘキサノン 65.8重量部 メチルエチルケトン 164.5重量部 トルエン 98.7重量部
【0175】磁性塗料を前記非磁性下地層の上にアプリ
ケーターを用いて15μmの厚さに塗布した後、磁場中
において配向・乾燥し、次いで、カレンダー処理を行っ
た後、60℃で24時間硬化反応を行い0.5インチ幅
にスリットして磁気テープを得た。磁気記録層の厚みは
1.2μmであった。
【0176】得られた磁気テープは、保磁力値が203
7Oe、角型比(Br/Bm)が0.87、光沢度が2
23%、表面粗度Raが6.3nm、ヤング率(相対
値)が133、線吸収係数が2.08cm−1、表面電
気抵抗値1.3×10Ω/sqであった。
【0177】
【作用】本発明において最も重要な点は、平均粒子径
0.02〜0.3μmの針状ヘマタイト粒子粉末又は針
状含水酸化鉄粒子粉末、必要により、該粒子粉末の粒子
表面にアルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化
物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物から選ばれた
1種又は2種以上が被覆されている針状ヘマタイト粒子
粉末又は針状含水酸化鉄粒子粉末のいずれかの粒子の表
面にアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合
物が被覆されており、該オルガノシラン化合物被覆に平
均粒子径0.002〜0.05μmのカーボンブラック
微粒子粉末が付着している鉄系黒色針状複合粒子粉末を
非磁性下地層用非磁性粒子粉末として用いた場合には、
非磁性下地層の表面平滑性と基体のスティフネスを向上
させることができ、当該非磁性下地層の上に磁気記録層
を設けた場合に、表面平滑で、スティフネスを大きくで
きるとともに磁気記録層中のカーボンブラック量を可及
的に減少させても、光透過率がより小さく、表面電気抵
抗値が低い磁気記録媒体を得ることができるという事実
である。
【0178】本発明に係る基体及び磁気記録媒体の表面
平滑性が優れている理由について、本発明者は、針状ヘ
マタイト粒子粉末又は針状含水酸化鉄粒子粉末の粒子内
部や粒子表面に含有されているSi、Al、Fe等の金
属元素とカーボンブラック微粒子粉末が付着しているア
ルコキシシランが有しているアルコキシ基との間で、メ
タロシロキサン結合(≡Si−O−M(但し、MはS
i、Al、Fe等の針状ヘマタイト粒子粉末又は針状含
水酸化鉄粒子粉末に含まれている金属原子である。))
が形成されることにより、カーボンブラック微粒子粉末
が付着しているオルガノシラン化合物が針状ヘマタイト
粒子粉末又は針状含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面に強固
に結合することに起因して、鉄系黒色針状複合粒子粉末
の粒子表面から脱離するカーボンブラック微粒子粉末が
少ないく、その結果、鉄系黒色針状複合粒子粉末のビヒ
クル中での分散が阻害されないこと及び、鉄系黒色針状
複合粒子粉末の粒子表面に付着しているカーボンブラッ
ク微粒子粉末によって粒子表面に凹凸が生じ、その結
果、鉄系黒色針状複合粒子相互間の面接触が抑制される
ことによるものと考えている。
【0179】磁気記録層中のカーボンブラック量を可及
的に減少させても磁気記録媒体の光透過率が小さくなる
理由について、本発明者は、微粒子であることに起因し
て、通常は凝集体として挙動するカーボンブラック粒子
粉末が、本発明における鉄系黒色針状複合粒子粉末の場
合は針状ヘマタイト粒子粉末又は針状含水酸化鉄粒子粉
末の粒子表面にオルガノシラン化合物を介して均一且つ
緻密に付着されていることによって、1次粒子近くまで
凝集が解きほぐされた状態で存在し、カーボンブラック
微粒子の個々がより効果的に機能しているものと考えて
いる。
【0180】磁気記録層中のカーボンブラック量を可及
的に減少させても磁気記録媒体の表面電気抵抗値が低く
なる理由について、本発明者は、非磁性下地層中に均一
に分散している鉄系黒色針状複合粒子粉末の粒子表面に
均一且つ緻密に付着しているカーボンブラック微粒子が
相互に接触しながら連綿と連なっていることにより、非
磁性下地層自体の表面電気抵抗値を大きく低下させるこ
とができたことによるものと考えている。
【0181】
【実施例】次に、実施例並びに比較例を挙げる。
【0182】芯粒子1〜5 各種の針状ヘマタイト粒子粉末及び針状ゲータイト粒子
粉末を準備し、上記発明の実施の形態と同様にして凝集
が解きほぐされた針状ヘマタイト粒子粉末及び針状ゲー
タイト粒子粉末を得た。
【0183】この針状ヘマタイト粒子粉末及び針状ゲー
タイト粒子粉末の諸特性を表1に示す。尚、芯粒子5
は、硫酸第一鉄水溶液、硫酸マンガン水溶液、水酸化ナ
トリウム水溶液及び炭酸ナトリウム水溶液とを用いて、
前記湿式法により得られたMn含有針状ゲータイト粒子
粉末(特開平7−66020号公報に記載の製造方法)
であり、芯粒子3は、該黒褐色針状ゲータイト粒子粉末
を空気中630℃で加熱脱水して得られた黒褐色針状ヘ
マタイト粒子粉末である。
【0184】
【表1】
【0185】芯粒子6 芯粒子1の凝集が解きほぐされた針状ヘマタイト粒子粉
末20kgと水150lとを用いて、前記発明の実施の
形態と同様にして針状ヘマタイト粒子粉末を含むスラリ
ーを得た。得られた針状ヘマタイト粒子粉末を含む再分
散スラリーのpH値を10.5とした。次に、該スラリ
ーに水を加えスラリー濃度を98g/lに調整した。こ
のスラリー150lを加熱して60℃とし、このスラリ
ー中に1.0mol/lのNaAlO溶液5444m
l(針状ヘマタイト粒子粉末に対してAl換算で1.0
重量%に相当する)を加え、30分間保持した後、酢酸
を用いてpH値を7.5に調整した。この状態で30分
間保持した後、濾過、水洗、乾燥、粉砕して粒子表面が
アルミニウムの水酸化物により被覆されている針状ヘマ
タイト粒子粉末を得た。
【0186】得られた粒子表面がアルミニウムの水酸化
物により被覆されている針状ヘマタイト粒子粉末は、電
子顕微鏡写真観察の結果、平均長軸径が0.143μ
m、平均短軸径0.0210μm、軸比6.8であっ
た。また、平均長軸径の幾何標準偏差値は1.37であ
り、BET比表面積値は54.9m/g、黒色度L
値は28.4、体積固有抵抗値は4.6×10Ω・c
mであった。蛍光X線分析の結果、アルミニウムの含有
量はAl換算で0.98重量%であった。
【0187】芯粒子7〜10 芯粒子の種類、表面処理工程における添加物の種類及び
量を種々変えた以外は芯粒子6と同様にして表面処理を
した粒子粉末を得た。
【0188】この時の主要処理条件を表2に、得られた
表面処理済芯粒子粉末の諸特性を表3に示す。
【0189】
【表2】
【0190】
【表3】
【0191】実施例1〜5、比較例1〜5 芯粒子粉末の種類、アルコキシシランの有無、種類及び
添加量、アルコキシシラン被覆工程におけるエッジラン
ナー処理条件、カーボンブラック微粒子粉末の種類及び
添加量、カーボンブラック微粒子粉末の付着工程におけ
るエッジランナーによる処理条件を種々変えた以外は、
前記発明の実施の形態と同様にして鉄系黒色針状複合粒
子粉末を得た。使用したカーボンブラック微粒子粉末A
乃至Cの諸特性を表4に示すとともに、この時の主要処
理条件を表5に、得られた鉄系黒色針状複合粒子粉末の
諸特性を表6に示す。実施例1〜5の各実施例で得られ
た鉄系黒色針状複合粒子粉末は、電子顕微鏡観察の結
果、カーボンブラック微粒子粉末がほとんど認められな
いことから、カーボンブラック微粒子粉末のほぼ全量が
アルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物被
覆に付着していることが確認された。
【0192】
【表4】
【0193】
【表5】
【0194】
【表6】
【0195】実施例6 粒子表面がアルミニウムの水酸化物で被覆されている針
状ヘマタイト粒子粉末(芯粒子6)11.0kgをエッ
ジランナー「MPUV−2型」(株式会社松本鋳造鉄工
所製)に投入して、30kg/cmで30分間混合攪拌
を行い、粒子の凝集を解きほぐした。
【0196】次に、メチルトリエトキシシラン220g
を200mlのエタノールで混合希釈して得られるメチ
ルトリエトキシシラン溶液を、エッジランナーを稼動さ
せながら、粒子の凝集を解きほぐした芯粒子粉末6に添
加し、引き続き60kg/cmの線荷重で45分間混合
攪拌を行った。
【0197】次に、カーボンブラック粒子A(粒子形
状:粒状、粒子径0.022μm、幾何標準偏差値1.
78、BET比表面積値133.5m/g、吸油量8
4ml/100g、黒色度L値14.6)550gを
エッジランナーを稼動させながら10分間かけて添加
し、更に45kg/cmの線荷重で60分間、混合攪拌
を行い、メチルトリエトキシシラン被覆にカーボンブラ
ック微粒子粉末を付着させて、鉄系黒色針状複合粒子粉
末を得た。
【0198】得られた鉄系黒色針状複合粒子粉末を、乾
燥機を用いて105℃で60分間熟成し、残留した水
分、エタノール等を揮散させた。この鉄系黒色針状複合
粒子粉末は、電子顕微鏡観察の結果、平均長軸径が0.
143、平均短軸径0.0212μm、軸比6.7であ
った。長軸径の幾何標準偏差値は1.37であり、BE
T比表面積値は55.3m/g、黒色度L値は1
9.8、体積固有抵抗値は5.8×10Ω/sqであ
り、メチルトリエトキシシランから生成するオルガノシ
ラン化合物の被覆量はSi換算で0.31重量%であっ
た。尚、電子顕微鏡写真観察の結果、カーボンブラック
微粒子粉末がほとんど認められないことから、カーボン
ブラック微粒子粉末のほぼ全量がメチルトリエトキシシ
ランから生成するオルガノシラン化合物被覆に付着して
いることが認められた。
【0199】実施例7〜10 芯粒子粉末の種類、アルコキシシランの種類及び添加
量、アルコキシシラン被覆工程におけるエッジランナー
処理条件、カーボンブラック微粒子粉末の種類及び添加
量、カーボンブラック微粒子粉末の付着工程におけるエ
ッジランナー処理条件を種々変えた以外は、前記実施例
6と同様にして鉄系黒色針状複合粒子粉末を得た。実施
例7〜10の各実施例で得られた鉄系黒色針状複合粒子
粉末は、電子顕微鏡観察の結果、カーボンブラック微粒
子粉末がほとんど認められないことから、カーボンブラ
ック微粒子粉末のほぼ全量がアルコキシシランから生成
するオルガノシラン化合物被覆に付着していることが認
められた。
【0200】この時の主要処理条件を表5に、得られた
鉄系黒色針状複合粒子の諸特性を表6に示す。
【0201】<非磁性下地層の製造> 実施例11〜20及び比較例6〜18 実施例1〜10、芯粒子1〜5、カーボンブラックA〜
C及び比較例1〜5の各非磁性粒子粉末を用いて前記発
明の実施の形態と同様にして非磁性下地層を得た。
【0202】この時の主要製造条件及び諸特性を表7に
示す。
【0203】
【表7】
【0204】<磁気記録媒体の製造> 実施例21〜30及び比較例19〜31 非磁性下地層の種類及び磁性粒子粉末の種類を種々変化
させた以外は、前記発明の実施の形態と同様にして磁気
記録媒体を製造した。
【0205】尚、使用した磁性粒子粉末(1)乃至
(4)の諸特性を表8に示す。
【0206】
【表8】
【0207】この時の主要製造条件及び諸特性を表9及
び表10に示す。
【0208】
【表9】
【0209】
【表10】
【0210】
【発明の効果】本発明に係る磁気記録媒体用基体は、非
磁性下地層用非磁性粒子粉末として、分散性と黒色度に
優れ、且つ、体積固有抵抗値の低い鉄系黒色針状複合粒
子粉末を用いることにより、非磁性下地層の表面平滑性
と基体としてのスティフネスを向上させることができる
ので、高密度記録の磁気記録媒体用基体として好ましい
ものである。
【0211】本発明に係る磁気記録媒体は、上記磁気記
録媒体用基体を用いることにより、表面平滑で、スティ
フネスを大きくできるとともに磁気記録層中のカーボン
ブラック量を可及的に減少させても光透過率がより小さ
く、しかも、表面電気抵抗値が低い磁気記録媒体を得る
ことができるので、高密度記録用として好ましいもので
ある。
【0212】そして、本発明における鉄系黒色針状複合
粒子粉末は、ビヒクル中への分散性が優れているので、
取り扱いやすく作業性に優れており、工業的に好ましい
ものである。
【0213】また、本発明に係る磁気記録媒体は、カー
ボンブラック微粒子粉末の使用量が少ないので、安全
上、衛生上からも好ましいものである。
【0214】
【図面の簡単な説明】
【図1】 発明の実施の形態で使用した針状ヘマタイト
粒子粉末の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×6000
0)である。
【図2】 発明の実施の形態で使用したカーボンブラッ
ク微粒子粉末の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×60
000)である。
【図3】 発明の実施の形態で得られた鉄系黒色針状複
合粒子の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×6000
0)である。
【図4】 比較のために示した針状ヘマタイト粒子粉末
とカーボンブラック微粒子粉末との混合粉末の粒子構造
を示す電子顕微鏡写真(×60000)である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森井 弘子 広島県広島市中区舟入南4丁目1番2号戸 田工業株式会社創造センター内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体と該非磁性支持体上に形成
    される非磁性粒子粉末と結合剤樹脂とを含む非磁性下地
    層とからなる磁気記録媒体用基体において、前記非磁性
    粒子粉末は平均長軸径0.02〜0.3μmの針状ヘマ
    タイト粒子粉末又は針状含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面
    にアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物
    が被覆され、該オルガノシラン化合物被覆に平均粒子径
    0.002〜0.05μmのカーボンブラック微粒子粉
    末が付着している鉄系黒色針状複合粒子粉末であって、
    上記カーボンブラック微粒子粉末の総量が前記針状ヘマ
    タイト粒子粉末又は針状含水酸化鉄粒子粉末100重量
    部に対し、1〜20重量部であることを特徴とする非磁
    性下地層を有する磁気記録媒体用基体。
  2. 【請求項2】 非磁性支持体と該非磁性支持体上に形成
    される非磁性粒子粉末と結合剤樹脂とを含む非磁性下地
    層とからなる磁気記録媒体用基体において、前記非磁性
    粒子粉末は平均長軸径0.02〜0.3μmの針状ヘマ
    タイト粒子粉末又は針状含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面
    に下層としてアルミニウムの水酸化物、アルミニウムの
    酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物から選ば
    れた1種又は2種以上が被覆され、上層としてアルコキ
    シシランから生成するオルガノシラン化合物が被覆され
    ており、該オルガノシラン化合物被覆に平均粒子径0.
    002〜0.05μmのカーボンブラック微粒子粉末が
    付着している鉄系黒色針状複合粒子粉末であって、上記
    カーボンブラック微粒子粉末の総量が前記針状ヘマタイ
    ト粒子粉末又は針状含水酸化鉄粒子粉末100重量部に
    対し、1〜20重量部であることを特徴とする非磁性下
    地層を有する磁気記録媒体用基体。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の非磁性下地
    層を有する磁気記録媒体用基体の上に、磁性粒子粉末と
    結合剤樹脂とを含む磁気記録層を設けた磁気記録媒体。
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