JPH11241227A - スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント - Google Patents
スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントInfo
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Abstract
目ずれが無く良好な印刷精度が得られるスクリーン紗用
モノフィラメントを提供する。 【解決手段】芯鞘複合型のポリエステルモノフィラメン
トであって、鞘成分がビカット軟化温度67〜78℃の
ポリエステルであり、鞘:芯の面積比が50:50〜8
0:20の範囲であることを特徴とするスクリーン紗用
ポリエステルモノフィラメント。
Description
ノフィラメントに関する。さらに詳しくは、精密スクリ
ーン印刷に好適なスクリーン紗用モノフィラメントに関
するものである。
はシルクが広く使用されてきたが、近年合繊メッシュ、
ステンレスメッシュが広く使われるようになった。特
に、弾性回復性、コストパフォーマンスに優れる合繊メ
ッシュが好んで使われている。中でも、ポリエステルモ
ノフィラメントは寸法安定性に優れるなどスクリーン用
適性が高く、広く普及している。
おいては、近時急速に高分解能の高精密印刷の必要性が
高まっており、スクリーン紗は細繊度フィラメントをハ
イメッシュ製織する方向へと進んでいる。ハイメッシュ
製織においては走行フィラメントと小ピッチ配列の筬刃
の接触頻度及び摩擦力が増大し、フィラメントの表面が
削りとられてのヒゲ状または粉状のスカムが発生しやす
い。生じたスカムは織機の汚れとなるばかりではなく、
その一部がスクリーン紗の中に織り込まれてしまうと精
密印刷時の印刷の欠点となる。
まで数多くの改善技術の提案がされている。例えば、特
開昭62−276048号公報では、ポリエステルを芯
とし、ナイロンなどの削れにくいポリマーを鞘とする複
合モノフィラメントが提案されている。該モノフィラメ
ントではナイロンの使用によってスカムの発生を防止す
ることはできるが、ナイロンの高吸湿性による寸法安定
性の不足、及びナイロンの低薬品耐性によるスクリーン
使用分野の制限など、スクリーン素材として完全に満足
できるまでには至っていない。
は、ポリエステルを芯とし、ガラス転移温度(Tg)が
35〜73℃である共重合ポリエステルを鞘とする複合
モノフィラメントが提案されている。共重合としてTg
を下げることによってポリマーのソフト性を向上させた
提案の複合フィラメントは、確かにスカムの発生度合を
軽減させる効果を有するものの、スカム発生要因をTg
中心にみる該提案では、スカム発生の完全防止には至っ
ていないのが実情である。
のスクリーン紗用モノフィラメントの欠点であった製織
時のスカム発生を完全に防止し、更には、目ずれが無く
良好な印刷精度が得られるスクリーン紗用モノフィラメ
ントを提供することを目的とする。
鞘複合型のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメン
トであって、鞘成分がビカット軟化温度67〜78℃の
ポリエステルであり、鞘:芯の面積比が50:50〜8
0:20の範囲であることを特徴とするスクリーン紗用
ポリエステルモノフィラメントとすることによって達成
できる。
本発明には、高分解能及び精密な水準の印刷を目的とし
て、250〜400メッシュ(本/インチ)の高密度ス
クリーンを得るため7〜20dの細繊度モノフィラメン
トを用いる。スクリーンの紗張り工程においては、紗の
寸法安定上、一定値以上の張力が必要とされる。張力
は、強度(g/d)×メッシュによって定まる。ハイメ
ッシュ化を進める場合、一般的にはより細繊度のモノフ
ィラメントを用いればよいが、繊度を半分にしてもメッ
シュ値は倍にはならない。そのため、d値が小さいほど
強度は高目が要求される。7〜20dモノフィラメント
の場合で、必要強度は5.6g/d以上である。
的に高破断強度を得るため、ポリマー分子が低配向状態
となるよう紡糸し、捲きとった後に、高倍率延伸して高
配向化される。高配向度延伸糸は、物性の一面として脆
くなり、曲げ、剪断、削れなどに対し弱くなる。その結
果、ハイメッシュスクリーン製織時、筬により摩耗され
る度合が大きくなる。ハイメッシュスクリーン製織上、
フィラメントの高破断強度保持とスカム発生防止の2点
を同時に満足することは、良好なスクリーンを得るため
の重要な課題である。
2種の繊維形成性ポリマーからなる芯鞘型複合フィラメ
ントとすることによって克服した。本発明に用いられる
芯成分のポリエステルの種類としては、ポリエチレンテ
レフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート
(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)のよ
うな芳香族ポリエステル、または、ポリエチレンサクシ
ネート、ポリカプロラクトンのような脂肪族ポリエステ
ルがあげられる。なかでも、PETは溶融紡糸を行う際
の操業性、製造コスト競争力などの観点より特に好まし
く用いられる。
d以上のフィラメント強度を得るためIVについて0.
60〜0.90の高粘度域のポリマーを用いることが好
ましい。特に好ましくは、0.65〜0.85のIVを
有するPETが用いられる。
とは、ポリエチレンテレフタレートの酸成分及びグリコ
ール成分に第3(4)成分を含有するものである。この
うち、酸成分に用いられる共重合モノマーとしては、イ
ソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウム
スルホイソフタル酸、ビスフェノールAなどの芳香族ジ
カルボン酸類、及び/またはシクロヘキサンジカルボン
酸などの脂環族ジカルボン酸であり、重合性及びポリマ
ーへのソフト性付与の面からイソフタル酸が最も好適に
用いられる。このような共重合モノマーは共重合ポリエ
ステルの耐熱性を保持しつつ結晶性を降下する作用を発
揮する。
モノマーとしては、ネオペンチルグリコール、ジエチレ
ングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール、ポリブチレングリコールなどの脂肪族ジ
オール類であり、重合性及びポリマーへのソフト性付与
効果の面からネオペンチルグリコールが最も好適に用い
られる。このような共重合モノマーはポリエステルを効
果的にソフト化する作用を発揮する。
合比率は、スクリーン紗用複合モノフィラメントに適し
た物性が得られることを基準に適正範囲が決められる。
ルグルコール共重合のポリエチレンテレフタレートの場
合、好ましい共重合比率は、イソフタル酸が、ポリエス
テルの酸成分中8〜20モル%、最も好ましくは12〜
17モル%であり、ネオペンチルグリコールが、ポリエ
ステルのグリコール成分中5〜14モル%、最も好まし
くは8〜11モル%である。
ントは、ハイメッシュスクリーン製作上必要な5.6g
/d以上の強度を確保するため、高粘度域のIVポリマ
ーを使用する。芯ポリマーのIVは前記通り0.60〜
0.90であり、鞘ポリマーは0.60〜0.80であ
る事が好ましい。鞘ポリマーの特に好ましいIV範囲
は、0.63〜0.72である。
7〜78℃であり、ハイメッシュスクリーン用の筬によ
る摩耗対策として十分なソフト性及び強じん性を保持す
る。ビカット軟化温度が67℃未満の場合はポリマー物
性が過度にソフトとなり、一方、78℃を超える場合は
硬く脆くなるためいずれも製織時筬による摩耗を受けや
すく、好ましくない。
本発明の複合モノフィラメントを用いたスクリーン紗
は、特定温度に加熱すると鞘ポリマーが溶融的に軟化し
織交点が接着する。織交点の接着は、くり返しの印刷に
よって生ずることの多い目ずれ欠点発生防止法として活
用される。接着条件は、フィラメントのデニール当り1
g以上の張力下160〜200℃×30秒加熱が好適で
ある。200℃を超える加熱温度は、ポリマー劣化をま
ねくことがあり一般的には用いられない。
は、従来公知の重合方法によって得られる。例えばポリ
エチレンテレフタレートの場合、ジメチルテレフタレー
トのエステル交換反応から始めるDMT法、またはテレ
フタル酸の加圧エステル化から始める直接重合法があ
り、いずれを用いてもよい。
剤、例えば、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤等、及
び各種粒子類、例えば、酸化チタン、酸化ケイ素、炭酸
カルシウム等を配合してもよい。
知の複合紡糸法によって得られる。本発明の複合モノフ
ィラメントの鞘の横断面形状は特に限定されないが、円
形が最適である。異型断面糸は、感光乳剤の硬化工程で
ハレーションを生じて印刷制度を低下させたり、紗張り
時フィラメントのねじれによって緊張フィラメントの直
線性が不完全となり、目開きの均一精度を低下させたり
することがあるので特別の場合を除き用いられない。
が、フィラメント表層への露出のないことが好ましい。
紗張り後のスクリーンの寸法安定性上芯の形状及び配置
は、鞘と同心的配置の単一円形が最適である。
度、製織時筬による摩耗への耐性、融着性に関係して適
正範囲が存在し、芯:鞘=50:50〜80:20、特
に好ましくは60:40〜70:30である事が必要で
ある。鞘成分の比率が上記範囲を上回ると、フィラメン
ト強力が不足する。また鞘成分の比率が上記範囲を下回
ると厚みの不均一による薄皮部の摩擦損傷、または織交
点の融着力不足を生じる。
説明する。なお、実施例中の評価は以下の方法に従っ
た。
6−1982規定に従い、長さ及び幅をそれぞれ20m
mに、厚みを4mmに成型した試料樹脂板を東洋精機製
作所(株)製、HDT、VSPTテスター、S−3M型
ビカット軟化温度試験装置の加熱浴槽内にセットし、昇
温速度50℃/時間下断面積1mm2 の円形断面の針を
荷重1000gで押しあて、針の下端が試料板に1mm
の深さだけ侵入したときの温度を測定した。
準じ、島津製作所(株)製のAGS−1KNGオートグ
ラフ引張試験機を用い、試料糸長20cm、定速引張速
度20cm/分の条件で試料が伸長破断した時の強度及
び伸度を求めた。
り、回転数300rpmでスクリーン織物を製織し、筬
の汚れが進行して正常な製織を維持できず、停機せざる
をえなくなった時点までの製織長を求めた。評価として
は、製織長が500m以上のものを良好○、500m未
満のものを不良×とした。
観察し、歪み無しを○、歪み有を×と判定した。
みを観察し、歪み無しを○歪み有を×と判定した。
レートポリマーを芯成分とし、イソフタル酸とネオペン
チルグリコールの量を変化させたIVが0.69±0.
01の共重合ポリエチレンテレフタレートポリマーを鞘
成分として、従来公知の複合紡糸方法に従い、オリフィ
ス径φ0.35の紡糸口金を用い、芯:鞘の複合比(面
積比)が67:33の複合モノフィラメントを紡糸温度
295℃、捲取速度1500m/分で紡糸した。得られ
た未延伸モノフィラメントを捲上げから約1日後に、速
度800m/分、78℃ローラーヒーター及び150℃
プレートヒーター通しで延伸して、破断伸度が24±2
%の12.0d複合モノフィラメントを得た。該モノフ
ィラメントを製織し、仕上加工及び2g/d張力下17
0℃×30秒の融着加工をほどこして300メッシュの
ハイメッシュ紗とした。ポリマーの組成、物性、及びモ
ノフィラメントの特性、並びに製織の評価結果を表1に
示す。
硬すぎるため、また比較例2(実験No.5)はポリマ
ーが柔らかすぎるため製織時スカム発生が多く、安定的
製織が困難であったが、本発明に準じた実施例1〜3
(実験No.2〜4)は、安定な製織状態と良好な品質
のハイメッシュスクリーン紗が得られた。
とし、イソフタル酸15モル%及びネオペンチルグリコ
ール10モル%を共重合したIV0.70のポリエチレ
ンテレフタレートを鞘成分として、芯:鞘複合比を変化
したモノフィラメントを実施例1の方法に準じて、紡
糸、延伸、製織し、評価した。結果を表2に示す。
のため紗張り張力が低下した結果、スクリーン寸法安定
性が不良であり、比較例4(実験No.10)は製織時
鞘層が一部破れての芯の露出があり、スカムもわずかに
発生して製織性不良であったが、本発明の実施例4〜6
(実験No.7〜9)は、製織時のスカム発生が無く、
スクリーンの寸法安定性も良好なハイメッシュスクリー
ンが得られた。
合モノフィラメントは、鞘成分として製織時スカム発生
をすることの無い、ソフト性など優れた物性を有する特
定組成の共重合ポリエステルポリマーを用い、芯成分と
してモノフィラメントの高い引張強力など優れた力学特
性を与えるポリエステルを用いていることにより、従来
問題となっていたハイメッシュスクリーン製織時のスカ
ム発生の問題を解消し、更には目ずれが無く良好な印刷
精度が得られるスクリーン紗の供給も可能とした。
Claims (4)
- 【請求項1】 芯鞘複合型のスクリーン紗用ポリエステ
ルモノフィラメントであって、鞘成分が、ビカット軟化
温度67〜78℃のポリエステルであり、芯:鞘の面積
比が50:50〜80:20の範囲であることを特徴と
するスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント。 - 【請求項2】 単糸デニール(d)が7〜20dの範囲
である請求項1記載のスクリーン紗用ポリエステルモノ
フィラメント。 - 【請求項3】 芯成分が固有粘度(IV)0.60〜
0.90のポリエチレンテレフタレートであり、鞘成分
がIV0.60〜0.80で、イソフタル酸8〜20モ
ル%、及びネオペンチルグリコール5〜14モル%共重
合のポリエチレンテレフタレートである請求項1または
2記載のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメン
ト。 - 【請求項4】 破断強度が5.6g/d以上である請求
項1〜3いずれか一項記載のスクリーン紗用ポリエステ
ルモノフィラメント。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04224898A JP3299500B2 (ja) | 1998-02-24 | 1998-02-24 | スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント |
Applications Claiming Priority (1)
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JP04224898A JP3299500B2 (ja) | 1998-02-24 | 1998-02-24 | スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH11241227A true JPH11241227A (ja) | 1999-09-07 |
JP3299500B2 JP3299500B2 (ja) | 2002-07-08 |
Family
ID=12630736
Family Applications (1)
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JP04224898A Expired - Lifetime JP3299500B2 (ja) | 1998-02-24 | 1998-02-24 | スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3299500B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008291385A (ja) * | 2007-05-24 | 2008-12-04 | Teijin Fibers Ltd | スクリーン紗用芯鞘型モノフィラメント |
JP2009256822A (ja) * | 2008-04-15 | 2009-11-05 | Teijin Fibers Ltd | スクリーン紗用モノフィラメント |
JP2011006799A (ja) * | 2009-06-23 | 2011-01-13 | Teijin Fibers Ltd | スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントおよびその製造方法 |
-
1998
- 1998-02-24 JP JP04224898A patent/JP3299500B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP2009256822A (ja) * | 2008-04-15 | 2009-11-05 | Teijin Fibers Ltd | スクリーン紗用モノフィラメント |
JP2011006799A (ja) * | 2009-06-23 | 2011-01-13 | Teijin Fibers Ltd | スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントおよびその製造方法 |
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JP3299500B2 (ja) | 2002-07-08 |
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