JPH11240988A - シラン架橋ポリオレフィン樹脂組成物及び絶縁ケーブル - Google Patents

シラン架橋ポリオレフィン樹脂組成物及び絶縁ケーブル

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JPH11240988A
JPH11240988A JP20291898A JP20291898A JPH11240988A JP H11240988 A JPH11240988 A JP H11240988A JP 20291898 A JP20291898 A JP 20291898A JP 20291898 A JP20291898 A JP 20291898A JP H11240988 A JPH11240988 A JP H11240988A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形表面の平滑性と耐熱性に優れたシラン架
橋ポリオレフィン樹脂組成物を提供すること、および水
架橋工程不要の絶縁ケーブルを提供すること。 【解決手段】 (1)ベースポリマー、(2)有機不飽
和シラン及び遊離ラジカル発生剤を含有させたキャリヤ
ーポリマーA、及び(3)シラノール縮合触媒及び酸化
防止剤を含有させたキャリヤーポリマーBからなるシラ
ン架橋ポリオレフィン樹脂組成物において、ベースポリ
マーが密度が0.910〜0.945g/cm3でメルト
インデックスが0.5〜5g/10minの直鎖状中低
密度ポリエチレンからなり、押出し直後の加熱変形率
(JIS K 6723)が40%以下であるシラン架橋ポリオレ
フィン樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ベースポリマー、
有機不飽和シラン等を高濃度に含有したキャリヤーポリ
マーA及びシラノール縮合触媒等を含有したキャリヤー
ポリマーBにより一工程でシラン架橋できる方法を用い
製造したシラン架橋樹脂組成物、及びそれを使用した絶
縁ケーブルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンは優れた機械的特性、電気
的性質、耐薬品性、耐候性、耐寒性等を有することから
多くの産業分野において使用されている。電力・絶縁ケ
ーブルの分野でも良く用いられているが、更に耐熱性、
耐ストラッキング性、耐候性等を向上させるため架橋処
理する場合が多く、最近では保守点検の容易さやコスト
ダウン等の点から架橋ポリエチレンを高電圧用ケーブル
に利用するケースも増加してきている。
【0003】ポリエチレンを架橋させる簡便な方法とし
ては、化学架橋、電子線照射架橋及び温水架橋(有機シ
ラン化合物を媒体として進行するもの)が広く知られて
おり、その1つである温水架橋は、化学架橋や電子線照
射架橋に比べ架橋装置コストも格段に安いうえ架橋のコ
ントロールもしやすいという利点を有している。その温
水架橋ポリエチレンの代表的な例としては、該ポリオレ
フィンに遊離ラジカル発生剤の存在下で有機不飽和シラ
ンをグラフト反応させてシラングラフト化した後、この
シラングラフトマーをシラノール縮合触媒の存在下で水
分と接触させて架橋させる所謂シラン架橋法が一般に知
られている。例えば特公昭48-1711号公報、特開昭57-49
109号公報等に開示されている。
【0004】しかしながら、温水架橋は装置コストにお
いて有用性が高いものの他の架橋方法に比べ多大な工数
を必要とする。例えば、シラン架橋ポリオレフィン樹脂
を押出被覆して被覆電線を製造後、ドラムに巻き取り、
次いでこのドラムを80℃程度の温水又は高温高湿槽に
放置することにより架橋処理を行う。処理後、ドラムを
乾燥室に入れ被覆電線を乾燥させてから、シース掛けを
行い出荷用ドラムに巻き取るという工程が実施されてい
る。また、この工程内での問題としては架橋処理時のド
ラムの腐食がありコストを上げる要因となっている。
【0005】これまでに水架橋可能な樹脂を押出被覆し
た電線の架橋処理時間を短縮しようとする試みが、様々
なされてきた。例えば、変性シラン化合物に触媒や助剤
を添加し架橋を促進させる方法が知られており、特開昭
57−208006号公報、特開昭62−106947
号公報に開示されている。また、水架橋樹脂被覆電線の
架橋時に水分との接触を高め、架橋時間を短縮する方法
も知られており、特開昭60−254520号公報、特
開昭60−26510号公報に開示されている。さらに
超音波雰囲気中で水架橋樹脂被覆電線の架橋処理を行う
ことにより水架橋樹脂内部への水の拡散を進行させ架橋
処理時間を短縮する方法についても、特開平4−331
241号公報により開示されている。しかしながら、こ
れら上記の方法はすべて温水や蒸気処理による架橋処理
の時間を短縮しているにすぎず、水架橋工程を削除し短
縮しているものではない。
【0006】また、温水架橋ポリエチレンは化学架橋や
電子線照射架橋に比べ耐熱性等の向上効果が低いという
欠点があった。そのため、耐熱性を効果的に向上させる
ため直鎖状中低密度ポリエチレンをベースレジンに使用
する例が増加してきている。しかしながら、低密度ポリ
エチレン等に比べ融点や溶融粘度が高い直鎖状中低密度
ポリエチレンをベースレジンとして用いると、押出機内
で発熱し早期架橋を生じたり、ダイスとの摩擦により成
形表面が荒れてしまうという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これら上記
の問題を解決したもので、特に成形表面の平滑性と耐熱
性に優れたシラン架橋ポリオレフィン樹脂組成物を提供
するものである。さらに、このシラン架橋ポリオレフィ
ン樹脂組成物により押出被覆した電線において、架橋処
理工程を削除し、すぐにシース掛けができる絶縁ケーブ
ルを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1)ベース
ポリマー、(2)実質的に水が存在しない条件下で一般
式RR’SiY2(Rは1価のオレフィン性不飽和炭化
水素基、Yは加水分解しうる有機基、R’は脂肪族不飽
和炭化水素以外の1価の炭化水素基あるいはYと同じも
の)で表される有機不飽和シラン及び遊離ラジカル発生
剤を含有させたキャリヤーポリマーA、及び(3)シラ
ノール縮合触媒及び酸化防止剤を含有させたキャリヤー
ポリマーBからなるシラン架橋ポリオレフィン樹脂組成
物において、ベースポリマーが密度が0.910〜0.
945g/cm3でメルトインデックスが0.5〜5g/
10minの直鎖状中低密度ポリエチレンからなり、押
出し直後の加熱変形率(JIS K 6723)が40%以下であ
ることを特徴とするシラン架橋ポリオレフィン樹脂組成
物である。好ましい形態としては、ベースポリマーが密
度が0.910〜0.945g/cm3でメルトインデッ
クスが0.5〜5g/10minの直鎖状中低密度ポリ
エチレンで、単独もしくは2種以上配合した時の溶融粘
度が6500〜15000ポイズであり且つダイスウェ
ルが1.50以上(200℃の条件下、直径1mm、長
さ10mmのキャピラリーを用い240sec-1のせん断
速度で測定)であり、または、ベースポリマーが溶融粘
度が6500〜15000ポイズであり且つダイスウェ
ルが1.50以上(200℃の条件下、直径1mm、長
さ10mmのキャピラリーを用い240sec-1のせん断
速度で測定)の直鎖状中低密度ポリエチレン45〜90
重量部と、9000〜11000ポイズを持つ直鎖状中
低密度ポリエチレン10〜55重量部との混合物からな
るシラン架橋ポリオレフィン樹脂組成物である。更に好
ましい形態としては、キャリアーポリマーAがエチレン
ーエチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレンー
メチルメタクリレート共重合体(EMMA)、少なくと
も1個のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロッ
クと、少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする
重合体ブロックよりなるブロック共重合体を水素添加し
て得られる水添ブロック共重合体及びこれらの混合物か
らなる群より選ばれ、キャリアーポリマーBがポリエチ
レン、ポリプロピレン、エチレンとαーオレフィンの共
重合からなる群より選ばれ、キャリヤーポリマーAとB
の合計量が3〜15重量%であるシラン架橋ポリオレフ
ィン樹脂組成物である。また、これらのシラン架橋ポリ
オレフィン樹脂組成物で電線被覆を行った絶縁ケーブル
であり、電線被覆を行い、被覆後の水架橋工程を削除
し、すぐにシース掛けした絶縁ケーブルである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。本
発明のベースポリマーに使用する直鎖状中低密度ポリエ
チレンとは、チーグラー系触媒、クロム系触媒等の各種
触媒を用い、中低圧化又は高圧化において、気相法、溶
液法、懸濁重合法等の各種の重合法によるエチレンを主
成分としたαーオレフィンとの共重合体であり、密度が
0.910〜0.945g/cm3でメルトインデックス
が0.5〜5g/10minのものである。上記α−オ
レフィンとしては、C3〜C12の例えばプロピレン、
ブテン−1、ペンテン−1、オクテン−1、4−メチル
ペンテン−1、4−メチルヘキセン−1、4,4−ジメ
チルペンテン−1、ノネン−1、デセン−1、ウンデセ
ン−1、ドデセン−1等を挙げることができる。使用す
る直鎖状中低密度ポリエチレンの密度が0.910g/
cm3未満では耐熱性の低下を引き起こし、0.945
g/cm3を超えると押出加工性の低下を引き起こす。
【0010】本発明のベースポリマーの溶融粘度は、6
500〜15000ポイズで、ダイスウェルは1.50
以上(200℃の条件下、直径1mm、長さ10mmの
キャピラリーを用い240sec-1のせん断速度で測定)
のものが好ましい。ベースポリマーの溶融粘度が、65
00ポイズ未満又は15000ポイズを超えると外観不
良を引き起こす。又、ダイスウェルが1.50未満にな
る場合も同様に外観不良を引き起こす。更に好ましく
は、6500〜10000ポイズであり且つダイスウェ
ルが1.50以上の直鎖状中低密度ポリエチレン45〜
90重量部と、9000〜11000ポイズを持つ直鎖
状中低密度ポリエチレン10〜55重量部との混合物か
らなるベースポリマーである。溶融粘度が9000〜1
1000ポイズである直鎖状中低密度ポリエチレンの添
加量が、10重量部未満では耐熱性の向上効果が低下す
る。又、55重量部を超えると押出加工性の低下を引き
起こす。
【0011】本発明の有機不飽和シランは、ベースレジ
ン相互の架橋点となるべくベースレジンにグラフト化さ
れるものである。本発明において使用される有機不飽和
シランとしては、一般式RR'SiY2(Rは1価のオレフィン
性不飽和炭化水素基、Yは加水分解しうる有機基、R'は
脂肪族不飽和炭化水素以外の1価の炭化水素基あるいは
Yと同じもの)で表される化合物が使用される。R'がYと
同一で一般式RSiY3で表される有機不飽和シランを使用
するのが望ましく、例えばビニルトリメトキシシラン、
ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラ
ン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシ
ラン等が挙げられる。これらの添加量としてはポリマー
の全重量を基準にして0.1〜5重量%、好ましくは
0.7〜3重量%である。0.1重量%未満では充分な
グラフト化が起こらず、又5重量%を超えると成形不良
を起こすとともに経済的でなくなる。
【0012】本発明の遊離ラジカル発生剤は、シラング
ラフト化反応の開始剤として働く。本発明において使用
される遊離ラジカル発生剤には、重合開始作用の強い種
々の有機過酸化物及びパーエステル、例えばジクミルパ
ーオキサイド、α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシ
ジイソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルパーオキサ
イド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−ベンゾイ
ルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス
(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオ
キシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘ
キサノエート等が挙げられる。これらの添加量としては
ポリマーの全重量を基準にして0.01〜0.5重量
%、好ましくは0.05〜0.2重量%である。0.0
1重量%未満では充分なシラングラフト化反応が進行せ
ず、また0.5重量%を超えると押出加工性が低下する
とともに成形表面が悪くなる。
【0013】遊離ラジカル発生剤をシランに溶解させた
液体混合物で本発明のキャリヤーポリマーAを膨潤させ
ることにより、遊離ラジカル発生剤とシランをキャリヤ
ーポリマーAに加入することができる。この時シランを
高濃度に加入させる為にはキャリヤーポリマーAの予熱
が必要であるが、ポリマーが溶融しないように結晶融点
以下の温度でなければならない。又キャリヤーポリマー
Aは、粒状形であり且つ架橋するベースポリマー及びシ
ランと相溶性の個体でなければならない。相溶性とは、
キャリヤーポリマーAがシランと容易に反応してはなら
ず、且つベースポリマーに分散可能或いは可溶性でなけ
ればならないことを意味する。適したキャリヤーポリマ
ーAは非吸湿性である。即ちシランの早期加水分解及び
縮合の可能性を最小にする為に水分の吸収が比較的遅い
のが好ましい。何れにしても、キャリヤーポリマーAは
実質的に水が存在すべきでない。本発明のキャリヤーポ
リマーAはグラニュール、或いはペレットの形の粒状物
にするのが普通であり、好ましい形はペレットである。
【0014】本発明において使用されるキャリヤーポリ
マーAとしては、エチレンーエチルアクリレート共重合
体(EEA)、エチレンーメチルメタクリレート共重合
体(EMMA)、少なくとも1個のビニル芳香族化合物
を主体とする重合体ブロックと、少なくとも1個の共役
ジエン化合物を主体とする重合体ブロックよりなるブロ
ック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重
合体、例えば水添スチレンーイソプレンブロック共重合
体(SEPS)、水添スチレンーブタジエンブロック共
重合体(SEBS)等であり、及びこれらの混合物をあ
げることができる。
【0015】シラノール縮合触媒及び酸化防止剤等を本
発明のキャリアーポリマーBと混練し造粒することによ
りキャリアーポリマーBに加入することができる。又キ
ャリヤーポリマーBは粒状形であり且つ架橋するベース
ポリマーと相溶性の固体でなければならない。本発明の
キャリヤーポリマーBはグラニュール、或いはペレット
の形の粒状物にするのが普通であり、好ましい形はペレ
ットである。本発明において使用されるキャリヤーポリ
マーBとしては、例えばポレエチレン、ポリプロピレ
ン、エチレンとα−オレフィンの共重合体、α−オレフ
ィンとしてはC3〜C12の例えばプロピレン、ブテン
−1、ペンテン−1、オクテン−1、4−メチルペンテ
ン−1、4−メチルヘキセン−1、4,4−ジメチルペ
ンテン−1、ノネン−1、デセン−1、ウンデセン−
1、ドデセン−1等であり、及びこれらの混合物を挙げ
ることができる。
【0016】本発明のシラノール縮合触媒としては、ジ
ブチル錫ジラウレート、酢酸第一錫、ジブチル錫ジアセ
テート、ジブチル錫ジオクトエート、ナフテン酸鉛、カ
プリル酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、チタン酸テトラブ
チルエステル、ステアリン酸鉛、ステアリン酸亜鉛、ス
テアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステア
リン酸カルシウム等の有機金属化合物が挙げられる。こ
れらの添加量としては、ポリマーの全重量を基準として
0.01〜0.2重量%、好ましくは0.02〜0.1
重量%である。0.01重量%未満では十分な架橋反応
が進まず、又0.2重量%を超えると押出時に押出機内
で局部的に架橋が進行し外観が著しく悪化する。又シラ
ノール縮合触媒はキャリヤーポリマーBに加入しなけれ
ばならない。これはキャリヤーポリマーAに加入すると
シランの縮合によるオリゴマー化を促進し外観悪化を引
き起こす為である。
【0017】本発明の酸化防止剤はポリオレフィンを加
工する際に通常用いられるもので特に限定するものでは
ないが、キャリヤーポリマーBに加入しなければならな
い。これはキャリヤーポリマーAに加入するとラジカル
捕捉により架橋を阻害する為である。その他添加剤を加
入する場合においても架橋を阻害する可能性のある添加
剤はキャリヤーポリマーBに加入しなければならない。
【0018】キャリヤーポリマーの添加量はキャリヤー
ポリマーAとBの合計量が3〜15重量%の範囲で添加
される。3重量%未満では充分なグラフト化が起こら
ず、又15重量%を超えると成形不良を起こすとともに
経済的でなくなる。その他の添加剤としては所望により
通常に使用される添加剤、例えば中和剤、紫外線吸収
剤、帯電防止剤、顔料、分散剤、増粘剤、金属劣化防止
剤、防カビ剤、流動調整剤、その他の無機質充填剤等、
または他の合成樹脂を含有させることもできる。
【0019】本発明の架橋ポリオレフィン樹脂組成物
は、加熱変形特性が極めて優れており各種の用途に使用
できる。押出後の蒸気処理や温水処理といった後架橋処
理工程を行えば、更に耐熱性が向上するが、この工程を
省略することも可能である。その為、耐熱性や柔軟性を
必要とする絶縁ケーブル類の製造に特に適しており、電
線被覆を行った後、水架橋工程を行わずにシースをかけ
ることが可能である。このためには、押出し直後の加熱
変形率が40%以下であることが必要である。
【0020】
【実施例】以下の実施例は本発明を説明するが、これは
単なる例示であり本発明はこれに限定されるものではな
い。以下に実施例を挙げて説明する。 《キャリヤーポリマーAの製造》表1に示すような配合
割合に従って、まずキャリヤーポリマーAをスーパーミ
キサーに投入し攪拌混合し80℃に予熱する。次に不飽
和シランに遊離ラジカル発生剤を溶かした液体混合物を
スーパーミキサーに投入し攪拌しながらキャリヤーポリ
マーAに10分間で含浸させた。 《キャリヤーポリマーBの製造》表2に示すような配合
割合に従って、キャリヤーポリマーB、シラノール縮合
触媒、酸化防止剤等を加圧ニーダーを用いて混練、造粒
した。
【0021】使用した原材料は次のとおりである。 (1)EEA:エチレンーエチルアクリレート共重合体(E
A含量;23重量%) (2)SEPS:水添スチレンーイソプレンブロック共重
合体(スチレン含量;30重量%) (3)L−LDPE(1):直鎖状低密度ポリエチレン
(密度;0.924g/cm3、MI;
3.0g/10min) (4)VTMOS:ビニルトリメトキシシラン (5)DCP:ジクミルパーオキサイド (6)LDPE:低密度ポリエチレン(密度;0.925g/c
m3、MI;1.5g/10min) (7)PP:ポリプロピレン(ホモポリマー、MI(230゜
C);2.0g/10min) (8)DBTDL:ジブチルスズジラウレート (9)酸化防止剤:フェノール系酸化防止剤/イルガノッ
クス1010(チバガイギー(株)製) (10)滑剤:低分子量ポリエチレン/サンワックス171
P(三洋化成工業(株)製) (11)L−LDPE(2):直鎖状中低密度ポリエチレン
(密度;0.917g/cm3、MI;0.7g/10min) (12)L−LDPE(3):直鎖状中低密度ポリエチレン
(密度;0.919g/cm3、MI;2g/10min) (13)L−LDPE(4):直鎖状中低密度ポリエチレン
(密度;0.920g/cm3、MI;2g/10min) (14)L−LDPE(5):直鎖状中低密度ポリエチレン
(密度;0.920g/cm3、MI;4g/10min) (15)L−LDPE(6):直鎖状中低密度ポリエチレン
(密度;0.925g/cm3、MI;1.7g/10min) (16)L−LDPE(7):直鎖状中低密度ポリエチレン
(密度;0.924g/cm3、MI;1g/10min) (17)L−LDPE(8):直鎖状中低密度ポリエチレン
(密度;0.920g/cm3、MI;1g/10min)
【0022】評価方法は次のとおりである。 (18)シラン含浸性:スーパーミキサーでVTMOS/DCP液体
混合物を加熱攪拌した時の含浸性を評価した。 ○:含浸性良好、×:含浸性不可 (19)キャピログラフによる溶融粘度及びダイスウェルの
測定 溶融粘度及びダイスウェルは、東洋精機製のキャピログ
ラフを用い測定した。測定は200℃で行い、測定した
範囲はせん断速度20〜6000sec-1で文章中及び表
中の数値は240sec-1の時のものである。 (20)テープ押出外観(ブツのあるなしの確認): 50mmφの押出機 130-160-180-190-180℃ L/D:20 圧縮比 3.5 テープダイ:巾 100mm リップ間
隔 1mmt スクリュー回転数 40rpm テープ外観(ブツ)評価:○>△>×の順とし、○のレ
ベルを合格とした。(21)加熱変形率(%):JIS K 6723
による。 (22)被覆電線押出外観(成形表面の評価): 50mmφの押出機 130-160-180-190-180℃ L/D:24 圧縮比 4.0 導体径 0.8mmφ 被覆厚 1.00mmφ スクリュー回転数 40 rpm 被覆電線の外観評価:○>△>×の順とし、○のレベル
を合格とした。
【0023】表3、4に示した配合のポリオレフィン系
ベースポリマーとキャリアーポリマーA及びキャリアー
ポリマーBを表5〜7の比率で混合し押出機を用いてテ
ープを押出した。この押出テープの加熱変形率の評価を
行った。又、テープ押出時と同様の配合で電線押出も行
い、成形表面の平滑性について評価した。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】
【0027】
【表4】
【0028】
【表5】
【0029】
【表6】
【0030】
【表7】
【0031】表から明らかなように、実施例1〜3は押
出加工性及び成形表面の平滑性が良好で、かつ非常に優
れた耐熱性を示している。すなわち、加熱変形率が押出
直後に40%以下になっており架橋処理工程を削除する
ことが可能である。これに対し比較例には全て平滑性に
難があり、押出加工性及び耐熱性のバランスがとれてい
ない。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、成形表面の平滑性に優
れ耐熱性に優れたシラン架橋ポリオレフィンを得ること
ができ、電線被覆に使用した場合に水架橋処理工程を削
減し、すぐにシース掛けを実施することができる。この
ことにより、製品の生産性が大幅に向上するだけでなく
製造コストが大幅に削減され、絶縁ケーブルの製造に大
きく貢献するものである。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)ベースポリマー、(2)実質的に
    水が存在しない条件下で一般式RR’SiY2(Rは1
    価のオレフィン性不飽和炭化水素基、Yは加水分解しう
    る有機基、R’は脂肪族不飽和炭化水素以外の1価の炭
    化水素基あるいはYと同じもの)で表される有機不飽和
    シラン及び遊離ラジカル発生剤を含有させたキャリヤー
    ポリマーA、及び(3)シラノール縮合触媒及び酸化防
    止剤を含有させたキャリヤーポリマーBからなるシラン
    架橋ポリオレフィン樹脂組成物において、ベースポリマ
    ーが密度が0.910〜0.945g/cm3でメルトイ
    ンデックスが0.5〜5g/10minの直鎖状中低密
    度ポリエチレンからなり、押出し直後の加熱変形率(JI
    S K 6723)が40%以下であることを特徴とするシラン
    架橋ポリオレフィン樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ベースポリマーが密度が0.910〜
    0.945g/cm3でメルトインデックスが0.5〜5
    g/10minの直鎖状中低密度ポリエチレンで、単独
    もしくは2種以上配合した時の溶融粘度が6500〜1
    5000ポイズであり且つダイスウェルが1.50以上
    (200℃の条件下、直径1mm、長さ10mmのキャ
    ピラリーを用い240sec-1のせん断速度で測定)であ
    る請求項1記載のシラン架橋ポリオレフィン樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】 ベースポリマーが、溶融粘度が6500
    〜15000ポイズであり且つダイスウェルが1.50
    以上(200℃の条件下、直径1mm、長さ10mmの
    キャピラリーを用い240sec-1のせん断速度で測定)
    の直鎖状中低密度ポリエチレン45〜90重量部と、9
    000〜11000ポイズを持つ直鎖状中低密度ポリエ
    チレン10〜55重量部との混合物からなる請求項1記
    載のシラン架橋ポリオレフィン樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 キャリアーポリマーAがエチレンーエチ
    ルアクリレート共重合体(EEA)、エチレンーメチル
    メタクリレート共重合体(EMMA)、少なくとも1個
    のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックと、
    少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体
    ブロックよりなるブロック共重合体を水素添加して得ら
    れる水添ブロック共重合体及びこれらの混合物からなる
    群より選ばれた請求項1〜3記載のシラン架橋ポリオレ
    フィン樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 キャリアーポリマーBがポリエチレン、
    ポリプロピレン、エチレンとαーオレフィンの共重合か
    らなる群より選ばれた請求項1〜4記載のシラン架橋ポ
    リオレフィン樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 キャリヤーポリマーAとBの合計量が3
    〜15重量%である請求項1〜5記載のシラン架橋ポリ
    オレフィン樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6記載のシラン架橋ポリオレ
    フィン樹脂組成物で電線被覆を行ったことを特徴とする
    絶縁ケーブル
  8. 【請求項8】 請求項1〜6記載のシラン架橋ポリオレ
    フィン樹脂組成物で電線被覆を行い、被覆後の水架橋工
    程を削除し、すぐにシース掛けしたことを特徴とする絶
    縁ケーブル。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012149163A (ja) * 2011-01-19 2012-08-09 Furukawa Electric Co Ltd:The シラン架橋樹脂成形体の製造方法及びそれを用いた成形体

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