JPH1123803A - 反射防止膜およびそれを配置した表示装置 - Google Patents

反射防止膜およびそれを配置した表示装置

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JPH1123803A
JPH1123803A JP9176191A JP17619197A JPH1123803A JP H1123803 A JPH1123803 A JP H1123803A JP 9176191 A JP9176191 A JP 9176191A JP 17619197 A JP17619197 A JP 17619197A JP H1123803 A JPH1123803 A JP H1123803A
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refractive index
layer
film
fine particles
antireflection film
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JP9176191A
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English (en)
Inventor
Tomokazu Yasuda
知一 安田
Yutaka Adegawa
豊 阿出川
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 広範な波長領域において一様に低い反射率
(反射率1%以下)を示し、同時に膜強度、耐久性、対
汚れ付着性、耐熱性に優れた反射防止膜を低コストで、
また、大量かつ大面積製造の適性のある方法で提供す
る。 【解決手段】 平均粒径が200nm以下の重合体微粒
子を含む層を有し、該微粒子の少なくとも1種が非球形
の形状を有していることを特徴とする反射防止膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置(L
CD)等の画像表示装置の表面の反射率低下に有効な反
射防止膜及び反射防止膜を有する表示装置に関する。特
に、量産性と対汚染性に優れ、同時に、高い膜強度を実
現する反射防止膜およびそれを配置した表示装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、液晶表示装置の普及、大型化や野
外使用化に伴い、その使用条件下でのタフネス化、例え
ば、反射光耐性(視認性確保)、防汚性や耐熱性の向上
が求められている。表示装置の視認性向上は該装置の主
機能に関わる課題であり、当然その重要性も高く、活発
に視認性向上のための施策が検討されている。一般に視
認性を低下させるのは外光の表面反射による景色の写り
込みであり、これらに対する対処として最表面に反射防
止膜を設ける方法が一般的に行われる。しかしながら、
この反射防止膜はその機能発現のために最表面に設けら
れるため、必然的に反射防止膜の性能に対してタフネス
化の観点から多くの高品質化の課題が集中してくる。例
えば、極限までの反射率低下(反射率1%以下)、指紋
や油脂等の付着防止や易除去性、炎天下や自動車室内の
ような高温環境下での諸性能の維持などである。
【0003】従来、可視光の波長域を全てカバーできる
性能を有する広波長域/低反射率の反射防止膜として
は、金属酸化物等の透明薄膜を積層させた多層膜が用い
られてきた。単層膜では単色光に対しては有効であるも
のの、ある程度の波長域を有する光に対しては有効に反
射防止できないのに対し、このような多層膜においては
積層数が多いほど広い波長領域で有効な反射防止膜とな
るためである。そのため、従来の反射防止膜には、物理
又は化学蒸着法等の手段によって金属酸化物等を3層以
上積層したものが用いられてきた。しかしながら、この
ような多層蒸着した反射防止膜は、予め最適に設計され
た各層の屈折率と膜厚との関係に従い、その膜厚を高精
度に制御した蒸着を何回も行う必要があり、非常に高コ
ストなものであり、かつ、広い面積の膜を得ることの非
常に困難な大量製造適性に乏しいものであった。また、
これらの多層蒸着型の反射防止膜では、表面の耐傷性あ
るいは指紋付着性等の対汚染性に乏しく、この改善のた
めには例えば新たに含フッ素樹脂からなる層を塗設する
などの反射防止を犠牲にしかねない加工が必須であっ
た。
【0004】一方、上述のような多層膜による方法の他
に、空気との界面において屈折率が徐々に変化する様な
膜によって有効な反射防止効果を得る方法が従来知られ
ている。例えば、特開平2−245702号公報には、
ガラス基板とMgF2 の中間の屈折率を持つSiO2
微粒子とMgF2 超微粒子を混合してガラス基板に塗布
し、ガラス基板面から塗布膜面に向かって徐々にSiO
2 の混合比を減少させてMgF2 の混合比を増加させる
事により、塗布面とガラス基板との界面における屈折率
変化が緩やかとなり、反射防止効果が得られる事が記載
されている。
【0005】また、特開平5−13021号公報には、
エチルシリケート中に分散したMgF2 、SiO2 を有
する超微粒子を用いた二層からなる反射防止膜が開示さ
れている。例えば、第一層は、MgF2 /SiO2 が7
/3の層で、第二層は、MgF2 /SiO2 が1/1の
層で、第一層の屈折率が1.42そして第二層の屈折率
が1.44である。従って、屈折率変化は大きいとは言
えず、充分な反射防止効果は得られない。
【0006】また、特開平7−92305号公報には、
コア部とその周囲のシェル部からなる屈折率1.428
の超微粒子からなり、空気と微粒子とから形成された表
面が凹凸の上層部(低屈折率)と、微粒子のみから形成
された下層部とからなる反射防止膜が開示されている。
そして、上記超微粒子のコア部が、メタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸、トリフルオロエチルアクリレート、
N−イソブトキシメチルアクリルアミドから形成され、
シェル部がスチレン、アクリル酸、アクリル酸ブチルか
ら形成されている。
【0007】更に、特開平7−168006号公報に
は、空気と微粒子(例、MgF2 )とから形成された表
面が凹凸の上層部(低屈折率)、微粒子のみの中層部
(中屈折率)、及び微粒子とバインダーから形成された
下層部とからなる反射防止膜が開示されている。
【0008】しかしながら、前記の特開平2−2457
02号公報、特開平5−13021号公報、特開平7−
92305号公報及び特開平7−168006号公報に
記載の反射防止膜は、空気に対する屈折率が膜厚方向に
徐々に変化する原理を利用したものである。これらの反
射防止膜は、その作成に、煩雑な操作と、熟練した技術
が必要であり、また得られる膜も満足な反射防止効果が
得られていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、広範
な波長領域において一様に低い反射率(反射率1%以
下)を示し、同時に膜強度、耐久性、対汚れ付着性、耐
熱性に優れた反射防止膜を低コストで、また、大量かつ
大面積製造の適性のある方法で提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述の課題は下記の反射
防止膜によって解決される。 (1)平均粒径が200nm以下の不飽和モノマーから
形成された重合体微粒子を含む層を有し、該微粒子の少
なくとも1種が非球形の形状を有することを特徴とする
反射防止膜。 (2)該微粒子が少なくとも0.3重量分率以上のフッ
素原子を含むことを特徴とする上記(1)に記載の反射
防止膜。 (3)該層が少なくとも5体積%以上の空隙を有するこ
とを特徴とする上記(1)または(2)に記載の反射防
止膜。 (4)該微粒子の少なくとも一種が反応性基を含有する
重合体から成ることを特徴とする上記(1)ないし
(3)に記載の反射防止膜。 (5)該層が低屈折率層であって、それよりも高い屈折
率を有する層の上に形成されたことを特徴とする上記
(1)ないし(3)に記載の反射防止膜。 (6)前記反射防止膜のヘイズ値が3ないし30%であ
ることを特徴とする上記(1)ないし(3)に記載の反
射防止膜。 (7)上記(1)ないし(3)の反射防止膜を配置した
表示装置。
【0011】本発明の反射防止膜は、上記微粒子とミク
ロボイドからなる低屈折率層が、それよりも高い屈折率
を有する高屈折率層の上に形成された2層よりなること
が好ましい。またこれらの層が支持体(好ましくは透明
フィルム)上に設けられていることが好ましい。また、
本発明の反射防止膜は、上記微粒子とミクロボイドから
なる低屈折率層が、それよりも高い屈折率を有する高屈
折率層の上に形成され、更に高屈折率層が、それよりも
低く且つ低屈折率層よりも高い屈折率を有する中屈折率
層の上に形成された3層よりなることが好ましい。また
これらの層が支持体(好ましくは透明フィルム)上に設
けられていることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の反射防止膜によって得ら
れる優れた反射防止膜について以下に説明する。以下の
説明では本発明の「非球形の形状を有する微粒子」を
「非球形微粒子」、「球形の形状を有する微粒子」を
「球形粒子」、製膜して得られる反射防止膜中の空隙を
「ミクロボイド」と称する。本発明の反射防止膜は、基
本的に非球形微粒子から形成された低屈折率層からな
る。そして、低屈折率層は、上記微粒子を少なくとも2
個以上積み重ねることにより微粒子間に形成されたミク
ロボイドを有する。
【0013】本発明の反射防止膜の代表的な構成例を図
1に示す。低屈折率層11が透明フィルム(支持体)1
3上に形成されている。低屈折率層には、非球形の微粒
子同士の間に形成されたミクロボイドが形成されてい
る。低屈折率層では、少なくとも2個の微粒子が膜厚方
向に重ねられることにより、微粒子間にミクロボイドが
形成される。従って、ミクロボイドは、一般に低屈折率
層内で均一に配置している。微粒子は、一般に溶剤の除
去または加熱により、溶融あるいは軟化して互いに密着
する。あるいは、微粒子が官能基(反応性基)を有する
場合には、官能基間の反応により粒子同士が結合するこ
とができる。微粒子を、極く少量のバインダーあるいは
シランカップリング剤を用いて密着させることもでき
る。低屈折率層は、一般に透明フィルムの表面、あるい
は透明フィルム上に設けられた最上層の表面に設けられ
る。
【0014】上記微粒子は、一般に1個の粒子の厚さ
で、平面方向に配置されさ粒子層を形成し、更に複数の
粒子層を重ねて本発明の低屈折率層を形成している。こ
のため、粒子間に形成されるミクロボイドは、粒子の大
きさがほぼ同じであるので、通常ボイドの大きさ、その
間隔において均一に形成されている。本発明の低屈折率
層はミクロでは微粒子であるが、マクロでは一つの層と
みなすことができる。
【0015】本発明の低屈折率層の表面の空気の屈折率
は1であり、本発明の非球形微粒子の屈折率は空気の屈
折率1よりも高く、一般に1.25から1.50の間に
ある。そして本発明の低屈折率層は、空気層の屈折率と
微粒子自体の屈折率の間に位置することになる。従っ
て、本発明の低屈折率層の屈折率は、非球形微粒子を光
の波長に対して充分に小さくすることによって、膜の透
明性を損なうことなく素材の屈折率よりもミクロボイド
の体積分率の分だけ低くすることができる。非球形微粒
子の平均粒径は、球体換算で一般に5〜200nmの範
囲にあり、5〜50nmが好ましい。また低屈折率層の
層厚は、一般に5〜400nmの範囲にあり、50〜2
00nmが好ましい。本発明は非球形粒子を用いること
で、球形粒子を用いる場合に比べて効率的にボイドを形
成できる点が特徴である。本発明の非球形有機ポリマー
粒子は、Wadellの実用球形度が0.5以上0.90以下
であることを特徴としている。Wadellの実用球形度は次
式で表される。真球では、Wadellの実用球形度=1.0
0であり、Wadellの実用球形度の値が小さいほど、非球
形の度合いが大きいものとなる。久保輝一郎他編;粉体
−理論と応用−(丸善株式会社)〔1979〕、あるいは、
H. Wadell; J. Geol., 40, 443 (1932); 41, 310 (193
3) に詳しく記されている。
【0016】
【数1】
【0017】本発明の非球形ポリマー粒子は、好ましく
は、Wadellの実用球形度が0.55以上0.85以下で
あり、特に好ましくは、Wadellの実用球形度が0.60
以上0.80以下である。
【0018】また、本発明の非球形粒子の製造法には特
に制限はなく、工業的に入手可能なあらゆる粒子を用い
ることができる。例えば、不定形の粒子を得るために通
常の水溶媒と界面活性剤を用いた乳化重合系、有機溶媒
と高分子分散剤を用いた分散重合系や有機溶媒を用いた
溶液重合、沈殿重合法で得られるポリマー粉体や粒子を
粉砕しても良い(粉砕法)。この場合、粉砕手段は特に
問わず、例えば、ボールミルやサンドグラインダー、超
音波破砕や高速粒子衝突法等の方法を用いて、乾式、湿
式いずれの方式でも調製可能である。また、金平糖形状
の粒子は、上記の乳化重合や分散重合により調製した一
次粒子の存在下でその粒子形成成分と相溶性が低いポリ
マーを与えるモノマー成分を添加しながら、一次粒子の
表面に二次粒子を析出・沈着させながら重合させること
で容易に得ることができる(沈着法)。この場合、一次
粒子は、架橋ラテックスを用いて、追加添加されるモノ
マーによる膨潤が起こらない様に粒子設計することが特
に好ましい。ラグビーボールや円盤状の形状の粒子は、
上記の乳化重合や分散重合により調製した粒子をその粒
子を構成するポリマー成分の貧溶媒とその貧溶媒に可溶
なポリマーバインダーと一緒に(例えば、ポリメチルメ
タクリレート粒子、水、ポリビニルアルコールの組み合
わせ等)塗布乾燥してフイルム状に製膜し、得られたフ
イルムを粒子構成成分のガラス転移温度以上の温度で応
力をかけて延伸、その後、再び、バインダー溶剤でフイ
ルムを溶かして粒子を遠心分離や濾過等で取り出すこと
により容易に得られる(延伸法)。この場合、延伸方向
を一方向とすることでラグビーボール形状の粒子が、二
方向以上とすることで円盤状の粒子が得られる。この方
法では、フイルムの代わりに上記組成のブロックを調製
し、同様にガラス転移点以上の温度で三次元的に延伸す
ることで容易に種々の変形した粒子を調製することがで
きる点で非常に有効である。また、非常に微細な粒子が
凝集してできるライチ果実状の粒子は通常の分散重合系
でポリマーの生成に伴う析出過程をコントロールするこ
とで非常に容易に調製できる(分散重合法)。例えば、
水を含んでも良い親水性有機液体中で、該親水性有機液
体に溶解する高分子分散剤を加え、該親水性有機液体に
は溶解するが生成するポリマーは該親水性有機液体から
析出するような少なくとも1つのエチレン性不飽和基を
有する2種以上のビニルモノマーを加えて重合する反応
操作によって粉砕分級することなく直接得ることも可能
である。
【0019】本発明でいう平均粒径とは,波長633n
mのHe−Neレーザによるレーザー回折法による体積
換算に相当する平均粒径 D(4,3)である。D
(4,3)は、次式により定義される。
【0020】
【数2】
【0021】ここで、Dは、0.1μmから80μmの
範囲を64分割した区間の粒径であり、n(D) は分布関
数を表す。
【0022】本発明の反射防止膜の別の代表例を図2に
示す。高屈折率層22が透明フィルム(支持体)23上
に形成され、さらに低屈折率層21が高屈折率層22上
に形成されている。反射防止膜を構成する層数の増加
は、通常反射防止膜が適用可能な光の波長範囲を拡大す
る。これは、金属化合物を用いる従来の多層膜の形成の
原理に基づくものである。
【0023】上記二層を有する反射防止膜では、高屈折
率層22及び低屈折率層21がそれぞれ下記の条件
(1)及び(2)を一般に満足する。 mλ/4×0.7<n1 1 <mλ/4×1.3 (1) nλ/4×0.7<n2 2 <nλ/4×1.3 (2) 上記式に於て、mは正の整数(一般に、1、2又は3)
を表わし、n1 は高屈折率層の屈折率を表わし、d1
高屈折率層の層厚(nm)を表わし、nは正の奇数(一
般に、1)を表わし、n2 は低屈折率層の屈折率を表わ
し、そしてd2は低屈折率層の層厚(nm)を表わす。
高屈折率層の屈折率n1 は、一般に透明フィルムより少
なくとも0.05高く、そして、低屈折率層の屈折率n
2 は、一般に高屈折率層の屈折率より少なくとも0.1
低くかつ透明フィルムより少なくとも0.05低い。更
に、高屈折率層の屈折率n1 は、一般に1.5〜1.7
の範囲にある。
【0024】上記条件(1)及び(2)は、従来から良
く知られた条件であり、例えば、特開昭59−5040
1号公報に記載されている。
【0025】本発明の反射防止膜の他の代表例を図3に
示す。中屈折率層32が透明フィルム(支持体)33上
に形成され、高屈折率層34が中屈折率層32上に形成
され、さらに低屈折率層31が高屈折率層34上に形成
されている。中屈折率層32の屈折率は、高屈折率層3
4と低屈折率層31との間の値を有する。図3の反射防
止膜は、図2の反射防止膜に比較して、更に適用可能な
光の波長領域が拡がっている。
【0026】上記三層を有する反射防止膜では、中、高
及び低屈折率層がそれぞれ下記の条件(3)〜(5)を
一般に満足する。 hλ/4×0.7<n3 3 <hλ/4×1.3 (3) kλ/4×0.7<n4 4 <kλ/4×1.3 (4) jλ/4×0.7<n5 5 <jλ/4×1.3 (5) 上記式に於て、hは正の整数(一般に、1、2又は3)
を表わし、n3 は中屈折率層の屈折率を表わし、d3
中屈折率層の層厚(nm)を表わし、kは正の整数(一
般に、1、2又は3)を表わし、n4 は高屈折率層の屈
折率を表わし、d4 は高屈折率層の層厚(nm)を表わ
し、jは正の奇数(一般に、1)を表わし、n5 は低屈
折率層の屈折率を表わし、そしてd5 は低屈折率層の層
厚(nm)を表わす。中屈折率層の屈折率n3 は、一般
に1.5〜1.7の範囲にあり、高屈折率層の屈折率n
4 は、一般に1.7〜2.2の範囲にある。
【0027】本発明において用いられる非球形微粒子の
平均粒径は、5〜200nmの範囲が一般的で、5〜5
0nmである。このような微粒子は、例えば、ポリマー
ラテックスとして製造、入手可能である。微粒子の粒径
が増大すると膜表面での散乱が増加し、200nmを超
えると散乱光に色付きが生じ、好ましくない。本発明の
反射防止膜に使用される樹脂としては、結晶性、非晶性
のいずれのものも用いることができる。これまで結晶性
を有する樹脂は光線透過率を低減させるために光学材料
の膜としては用いることができなかったが、光の波長よ
りも充分に小さな粒径を有する微粒子を用いることによ
って、結晶性を有するものであっても光線透過率を低減
すること無く反射防止膜として用いることができる。
【0028】本発明の微粒子は含フッ素重合体であるこ
とが好ましく、モノマー単位はがフッ素原子を含有して
いるものであれば特に制限はない。これらのモノマーの
具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えば
フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフ
ルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフル
オロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソールな
ど)、アクリル、メタクリル酸の部分または完全フッ素
化アルキルエステル誘導体類、完全または部分フッ素化
ビニルエーテル類などであり、これらの任意のモノマー
を任意の比率で組み合わせて共重合により目的のポリマ
ーを得ることができる。代表的なモノマーの一般式を下
記に挙げる。
【0029】
【化1】
【0030】但し、R1 は水素原子、メチル基、または
フッ素原子を表わし、p及びnは、それぞれ正の整数を
表わす;
【0031】
【化2】
【0032】(但し、nは整数である)
【0033】
【化3】
【0034】(但し、xは1〜4の整数である)
【0035】本発明の非球形微粒子を形成するポリマー
には上記の含フッ素モノマーの他にフッ素原子を含有し
ないモノマーを使用しても良い。使用可能なモノマー単
位には特に限定はなく、例えば、オレフィン類(エチレ
ン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリ
デンなど)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル
など)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレ
ングリコールジメタクリレートなど)、スチレン誘導体
(スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−
メチルスチレンなど)、ビニリエーテル類(メチルビニ
ルエーテルなど)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プ
ロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニルなど)、アクリルアミ
ド類(N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロ
ヘキシルアクリルアミドなど)、メタクリルアミド類、
アクリロニトリル誘導体などを挙げることができる。
【0036】本発明では、パーフルオロ―2,2―ジメ
チル―1,3―ジオキソールの単独重合体或いはテトラ
フルオロエチレンとの共重合体を含む弗素樹脂が、それ
自身の屈折率が約1.30と非常に低いために好まし
い。
【0037】弗素樹脂の屈折率は、弗素原子の含有量に
比例してほぼ直線的に低下し、低屈折率層の屈折率はミ
クロボイドの含有量の増加と共にさらに低下する。この
両方の含有量を増加させることにより、低屈折率層の屈
折率を充分に低くすることができる。従って、弗素樹脂
は、一般に0.30重量分率以上(好ましくは、0.3
0〜0.75重量分率、特に0.35〜0.75重量分
率)の弗素原子を含み、低屈折率層が、一般に0.05
〜0.50体積分率のミクロボイドを含み、さらに0.
10〜0.50体積分率が好ましく、特に0.10〜
0.28体積分率が好ましい。
【0038】単分散の粒径を有する球形微粒子を最密充
填した場合には、微粒子間に26%(0.26体積分
率)の空隙(ミクロボイド)が形成され、単純立方充填
とした場合は48%に増える。実際の系(低屈折率層)
では、粒径と粒子形状にある程度の分布が存在するため
に、これらの値通りにはならない。また、低屈折率層を
形成する条件(即ち、微粒子同士の融着方法や融着条
件)によっても空隙率は変化する。ミクロボイドの含有
量が高すぎると、膜の機械的強度が低下するため、ミク
ロボイドの体積分率は0.50以下とするのが好まし
い。極少量のバインダーを用いる場合には、バインダー
と微粒子との比率によって空隙率は変化する。このよう
にして形成されたミクロボイド(空隙)が、数十〜数百
nm(光の波長以下)の大きさであれば、素材を屈折率
の点から選択し、形成されるミクロボイドの体積分率を
調節することにより、目的の屈折率を有する透明な膜を
形成することができる。
【0039】層としての屈折率は前述のようにミクロボ
イドの含有量の増加に伴い低下する。このため、本発明
の反射防止膜が充分な低屈折率を有するには、本発明の
重合体微粒子からなる層が含有するミクロボイドの量は
5体積%ないし50体積%が好ましく、特に好ましいの
は8体積%ないし35体積%である。
【0040】本発明における反射防止膜の重合体粒子に
は結晶性、非晶性のいずれのものも用いる事ができる。
また、本発明に用いる重合体粒子のガラス転移点(T
g)は特に制限が無く製膜時のボイド保持の観点から、
Tgが製膜温度以上であることが好ましい。しかしなが
ら、Tgが製膜温度より高いと粒子の融着が妨げられ連
続膜が形成されず、膜強度が悪化する懸念があるため後
述の併用バインダーの使用の実態に応じて融着効果とボ
イド保持効果をTgで最適な領域に調製したものを用い
ることが望ましい。
【0041】本発明に用いられる非球形微粒子は一つの
反射防止膜内に任意の2種以上の粒子を任意の割合で混
合して用いても良い。また、本発明の非球形微粒子と本
発明外である球形微粒子を併用しても良い。この場合、
併用する本発明外のポリマー微粒子に特に制限はないが
通常の乳化重合で得られる粒子でも良いし、別途に調製
した有機溶媒系の溶液重合により得られる水不溶性ポリ
マーの乳化物でも、水溶性ポリマーであっても良い(以
下バインダーと称す)。
【0042】低屈折率層に少量のバインダーを使用する
場合、微粒子間に形成されるミクロボイドを埋め過ぎな
いように、微粒子間の密着が得られる必要最低限の量用
いる必要がある。バインダーの好ましい例としては、ポ
リビニルアルコール、ポリオキシエチレン等の水溶性樹
脂;ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレー
ト等のアクリル系樹脂、ジアセチルセルロース、ニトロ
セルロース等のセルロース誘導体等を挙げることができ
る。本発明の微粒子が水分散物である場合には、上記水
溶性樹脂の使用が好ましい。該微粒子が有機溶媒に分散
されている場合には、用いられる溶媒に充分に溶解し、
微粒子や支持体との親和性があり、透明性の高いもの
(即ち上記アクリル系樹脂及びセルロース誘導体)が好
ましく用いられる。また、重合基を有するバインダーを
用いる事により、微粒子層を形成後にUV、加熱等の処
理によって架橋を行うこともできる。バインダーの添加
量は、バインダーが表記水溶性ポリマーの場合には、本
発明の低屈折率膜を構成する成分の25重量%以下が好
ましく、特に10重量%以下が好ましい。バインダーが
表記球形粒子の場合には本発明の低屈折率膜を構成する
成分の50重量%以下が好ましく、特に25重量%以下
が好ましい。
【0043】本発明の反射防止膜は、一般に、支持体と
その上に設けられた低屈折率層からなる。支持体は通
常、透明フィルムである。透明フィルムを形成する材料
としては、セルロース誘導体(例、ジアセチルセルロー
ス、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニル
セルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニ
ルセルロース及びニトロセルロース)、ポリアミド、ポ
リカーボネート(例、米国特許番号3023101号に
記載のもの)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテ
レフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエ
タン−4,4’−ジカルボキシレート及び特公昭48−
40414号公報に記載のポリエステル)、ポリスチレ
ン、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン及びポリメチルペンテン)、ポリメチルメタクリレー
ト、シンジオタクチックポリスチレン、ポリスルホン、
ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエー
テルイミド及びポリオキシエチレンを挙げることができ
る。トリアセチルセルロース、ポリカーボネート及びポ
リエチレンテレフタレートが好ましい。透明フィルムの
屈折率は1.40〜1.60が好ましい。
【0044】本発明の反射防止膜が、多層膜である場
合、一般に、低屈折率層は、低屈折率層より高い屈折率
を有する少なくとも一層の層(即ち、前記の高屈折率
層、中屈折率層)と共に用いられる。上記より高い屈折
率を有する層を形成するための有機材料としては、熱可
塑性樹脂(例、ポリスチレン、ポリスチレン共重合体、
ポリカーボネート、ポリスチレン以外の芳香環、複素
環、脂環式環状基を有するポリマー、またはフッ素以外
のハロゲン基を有するポリマー);熱硬化性樹脂組成物
(例、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ないしエポキシ
樹脂などを硬化剤とする樹脂組成物);ウレタン形成性
組成物(例、脂環式ないしは芳香族イソシアネートおよ
びポリオールの組み合わせ);およびラジカル重合性組
成物(上記の化合物(ポリマー等)に二重結合を導入す
ることにより、ラジカル硬化を可能にした変性樹脂また
はプレポリマーを含む組成物)などを挙げることができ
る。高い皮膜形成性を有する材料が好ましい。上記より
高い屈折率を有する層は、有機材料中に分散した無機系
微粒子も使用することができる。上記に使用される有機
材料としては、一般に無機系微粒子が高屈折率を有する
ため有機材料単独で用いられる場合よりも低屈折率もの
も用いることができる。そのような材料例として、上記
に述べた有機材料の他、アクリル系を含むビニル系共重
合体、ポリエステル、アルキド樹脂、繊維素系重合体、
ウレタン樹脂およびこれらを硬化せしめる各種の硬化
剤、硬化性官能基を有する組成物など、透明性があり無
機系微粒子を安定に分散せしめる各種の有機材料を挙げ
ることができる。
【0045】さらに有機置換されたケイ素系化合物をこ
れに含めることができる。これらのケイ素系化合物は一
般式:
【0046】R11 a R12 b SiX4−(a+b) (ここでR11及びR12は、それぞれアルキル基、アルケ
ニル基、アリル基、またはハロゲン、エポキシ、アミ
ノ、メルカプト、メタクリロイルないしシアノで置換さ
れた炭化水素基を表わし、Xは、アルコキシル基、アル
コキシアルコキシル基、ハロゲン原子ないしアシルオキ
シ基から選ばれた加水分解可能な基を表わし、a+bが
1または2である条件下で、a及びbはそれぞれ0、1
または2である。)で表わされる化合物ないしはその加
水分解生成物である。
【0047】これらに分散される無機系微粒子の好まし
い無機化合物としては、アルミニウム、チタニウム、ジ
ルコニウム、アンチモンなどの金属元素の酸化物を挙げ
ることができる。これらの化合物は、微粒子状で、即ち
粉末ないしは水および/またはその他の溶媒中へのコロ
イド状分散体として、市販されている。これらをさらに
上記の有機材料または有機ケイ素化合物中に混合分散し
て使用する。
【0048】上記より高い屈折率を有する層を形成する
材料として、被膜形成性で溶剤に分散し得るか、それ自
身が液状である無機系材料(例、各種元素のアルコキシ
ド、有機酸の塩、配位性化合物と結合した配位化合物
(例、キレート化合物)、活性無機ポリマー)を挙げる
ことができる。これらの好適な例としては、チタンテト
ラエトキシド、チタンテトラ−i−プロポキシド、チタ
ンテトラ−n−プロポキシド、チタンテトラ−n−ブト
キシド、チタンテトラ−sec −ブトキシド、チタンテト
ラ−tert−ブトキシド、アルミニウムトリエトキシド、
アルミニウムトリ−i−プロポキシド、アルミニウムト
リブトキシド、アンチモントリエトキシド、アンチモン
トリブトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジル
コニウムテトラ−i−プロポキシド、ジルコニウムテト
ラ−n−プロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−ブト
キシド、ジルコニウムテトラ−sec −ブトキシド及びジ
ルコニウムテトラ−tert−ブトキシドなどの金属アルコ
レート化合物;ジイソプロポキシチタニウムビス(アセ
チルアセトネート)、ジブトキシチタニウムビス(アセ
チルアセトネート)、ジエトキシチタニウムビス(アセ
チルアセトネート)、ビス(アセチルアセトンジルコニ
ウム)、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニ
ウムジ−n−ブトキシドモノエチルアセトアセテート、
アルミニウムジ−i−プロポキシドモノメチルアセトア
セテート及びトリ−n−ブトキシドジルコニウムモノエ
チルアセトアセテートなどのキレート化合物;さらには
炭酸ジルコニールアンモニウムあるいはジルコニウムを
主成分とする活性無機ポリマーなどを挙げることができ
る。上記に述べた他に、屈折率が比較的低いが上記の化
合物と併用できるものとしてとくに各種のアルキルシリ
ケート類もしくはその加水分解物、微粒子状シリカとく
にコロイド状に分散したシリカゲルも使用することがで
きる。
【0049】本発明の反射防止膜は、表面にアンチグレ
ア機能(即ち、入射光を表面で散乱させて膜周囲の景色
が膜表面に移るのを防止する機能)を有するように処理
することができる。例えば、このような機能を有する反
射防止膜は、透明フィルムの表面に微細な凹凸を形成
し、そしてその表面に反射防止膜(例、低屈折率層等)
を形成することにより得られる。上記微細な凹凸の形成
は、例えば、無機又は有機の微粒子を含む層を透明フィ
ルム表面に形成することにより行なわれる。あるいは、
弗素樹脂微粒子とは異なる、50nm〜2μmの粒径を
有する微粒子を低屈折率層形成用塗布液に、弗素樹脂微
粒子の0.1〜50重量%の量で導入し、反射防止膜の
最上層に凹凸を形成しても良い。アンチグレア機能を有
する(即ち、アンチグレア処理された)反射防止膜は、
一般に、3〜30%のヘイズを有する。
【0050】本発明の反射防止膜(アンチグレア機能を
有する反射防止膜が好ましい)は、液晶表示装置(LC
D)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロル
ミネッセンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置
(CRT)等の画像表示装置に組み込むことができる。
このような反射防止膜を有する画像表示装置は、入射光
の反射が防止され、視認性が格段に向上する。本発明の
反射防止膜を備えた液晶表示装置(LCD)は、たとえ
ば、下記の構成を有する。透明電極を有する一対の基板
とその間に封入されたネマチック液晶からなる液晶セ
ル、及び液晶セルの両側に配置された偏光板からなる液
晶表示装置であって、少なくとも一方の偏光板が表面に
本発明の反射防止膜を備えている液晶表示装置。
【0051】本発明の反射防止膜の低屈折率層は、たと
えば、この層を形成するための塗布液(水及び/又は有
機溶剤中に分散した弗素樹脂微粒子)を、カーテンフロ
ーコート、ディップコート、スピンコート、ロールコー
ト等の塗布法によって、透明フィルムあるい高又は中屈
折率層等に塗布し、乾燥することにより形成される。
【0052】本発明においては、中間層としてハードコ
ート層、防湿防止層、帯電防止層等を、透明フィルム上
に設けることもできる。ハードコート層としては、アク
リル系、ウレタン系、エポキシ系のポリマー及び/又は
オリゴマー及びモノマー(例、紫外線硬化型樹脂)の他
に、シリカ系の材料も使用することができる。
【0053】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明
するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0054】(非球形微粒子の合成) 1)P1の合成 攪拌装置、温度計、還流冷却管を装着した2000mlの
ガラス製三口フラスコに、メタクリル酸ヘキサフルオロ
イソプロピル30g、エチレングリコールジメタクリレ
ート10g、エタノール900g、ポリビニルピロリド
ン90gをそれぞれ添加し、攪拌しながら、窒素気流下
で60℃に昇温し、ジメチル2,2′−アゾビス(2−
メチルプロピオネート)3.0gを加え、6時間加熱攪
拌を続け重合した。これを室温まで冷却後、ろ過後、遠
心分離にて沈降させた。得られた沈降物をエタノールに
て洗浄し真空乾燥して白色粉体の目的物37g(収率9
2.5%)を得た。得られた非球形粒子をエタノールで
希釈し、粒子径測定装置(コールター社N4型)を用い
て粒径分布測定をした。平均粒径48.4nm、変動係
数〔=(粒径の標準偏差/平均粒径)×100〕35
%。
【0055】得られた非球形粒子分散物を希釈し、銅板
上に微量載せ乾燥してAuコートした。この試料を走査型
電子顕微鏡(SEM)〔JEOL JSM-5400 ;加速電圧:20
kV〕で形態観察、50個の粒子の投影面積に等しい円の
直径、及び粒子の投影像に外接する最小円の直径を計測
したところ、それぞれ平均で、39.50nm、54.
93nmであった。これより、Wadellの実用球形度を計
算すると0.72であった。
【0056】P1の非球形の粒子の他に、前述の一般的
な方法に準じてP2〜P7の粒子を合成した。(P1〜
P7)を下記の表1にまとめて示す。
【0057】
【表1】
【0058】実施例1(反射防止層の塗設と性能評価) 上記の表1に記載の微粒子を用いて、表2の組成で調製
した分散液(E1〜E10)をトリアセチルセルロース
(以下TACと称す)フィルム上にスピンコータを用い
て塗布し、90℃で90分乾燥し、膜厚100nmの低
屈折率層を形成した。得られた膜(X1〜X10)につ
いて屈折率、空隙率、視感反射率の測定および膜表面強
度測定を実施した。低屈折率層の空隙率は層の屈折率を
測定し、用いた層構成成分の組成から得られる層の屈折
率の計算値との差から空気の体積分率を逆算した。膜表
面強度は、指先、ティッシュ、消しゴム、爪先でそれぞ
れこすり、目視観察し、指先こすりで傷付くものを0、
ティッシュこすりで傷付くものを1、消しゴムこすりで
傷付くものを2、爪先こすりで傷付くものを3、どの方
法でも傷が認められないものを4とした。結果を表3に
示した。
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】上記実施例1で用いた本発明の微粒子を表
2に示すとおり本発明外の粒子(NP1〜NP2)に置
き換えた外は実施例1と同じにして比較サンプル溶塗布
溶液(F1〜F4)を調製し、同条件で製膜して比較サ
ンプル(Y1〜Y4)を得た。得られた膜を上記実施例
1と同じ方法で膜の屈折率、視感反射率(光波長400
nm〜800nmの平均反射率値)の測定およびサファ
イヤ針による膜強度測定を実施した。結果を表3に併せ
て示した。
【0062】実施例2(重層型反射防止フイルムの作
成) (1)第1層(ハードコート層)の塗設 25重量部のジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサア
クリレート(商品名:DPHA、日本化薬(株)製)、
25重量部のウレタンアクリレートオリゴマー(商品
名:UV−6300B、日本合成化学工業(株)製)、
2重量部の光重合開始剤(商品名:イルガキュア−90
7、チバ−ガイギー社製)及び0.5重量部の増感剤
(商品名:カヤキュア−DETX、日本化薬(株)製)
を50重量部のメチルエチルケトンに溶解した塗布液
を、90μmの厚みを有するTACフィルム上にワイヤ
ーバーを用いて塗布し、次いで塗布膜に紫外線照射して
ハードコート層(層厚:5μm)を形成した。 (2)第2層(中屈折率層)の塗設 TiO2 の微分散液とバインダーとしてポリメチルメタ
クリレート(屈折率:1.48)を含む塗布液(固形
分:2重量%、TiO2 /バインダー=22/78、重
量比)を、ハードコート層の上にワイヤーバーを用いて
塗布し、100℃で乾燥して、中屈折率層(屈折率:
1.62、層厚:78nm)を形成した。 (3)第3層(高屈折率層)の塗設 TiO2 の微分散液と上記バインダーを含む塗布液(固
形分:2重量%、TiO2 /バインダー=68/32、
重量比)を、中屈折率層の上にワイヤーバーを用いて塗
布し、100℃で乾燥して、高屈折率層(屈折率:2.
00、層厚:127nm)を形成した。
【0063】(4)第4層(低屈折率層)の作成 ジペンタエリスルトールヘキサアクリレート6g、光重
合開始剤(商品名:イルガキュア907、チバガイギー
社製)0.5g、光増感剤(商品名:カヤキュアーDE
TX、日本化薬社製)0.2g酢酸エチル20gをドデ
シルベンゼンスルホン酸ナトリウム1gを用いて水10
0gに乳化分散した乳化物液と先に合成した非球形粒子
P1 14gとを混合、攪拌して、塗布溶液を調製し
た。この液を上記で作成した第3層の上にワイヤーバー
を用いて厚さ0.10μmに塗布し、これを乾燥後、1
00℃に加熱して12W/cmの高圧水銀灯を用いて1
分間紫外線照射し架橋した。その後室温まで放冷した。
こうして得られた第1層〜第4層を塗設したフイルムは
視感の表面反射率0.4%、膜表面強度4(実施例1に
説明の方法による)の表面物性を示すものであった(反
射防止フイルム:ARF1)。
【0064】P1をそれぞれ下記の表4に示す素材と
し、塗布液の固形分濃度が同じになる様に調液量を変え
た外は上記例に同じ方法で反射防止フイルムARF2〜
6を得た。これらのフイルムの表面性能を表4に併せて
示す。同時に第4層に使用した化合物を本発明外の粒子
に変え、塗布液の固形分濃度を同じになる様に調液量を
変えた外は上記例に同じ方法で比較フイルムCF1〜2
を得た。これらの表面性能も表4に併せて示す。
【0065】
【表4】
【0066】本実施例から明らかなように、本発明の反
射防止膜は非常に低い反射率と広い波長領域を有する優
れた反射防止性能を有するだけでなく、十分に強靱な膜
強度を有していることがわかる。また、球形の粒子に比
べ同じ製膜条件下でよりボイド率の高い膜を与えること
ができる。
【0067】実施例3(反射防止フイルムを設置した表
示装置の作成) 上記実施例2で作成した反射防止フィルムX2を日本電
気株式会社より入手したパーソナルコンピューターPC
9821NS/340Wの液晶ディスプレイ表面に貼り
付け、表示装置サンプルを作成し、その表面反射による
風景映り込み程度を目視にて評価した。同様に上記方法
で用いる反射防止フィルムを上記実施例2で作成したフ
ィルムX3、X5、Y1、Y3を用いて表示装置サンプ
ルを作成した。本発明の反射防止フィルムX2、X3、
X5を設置した表示装置は周囲の風景映り込みが殆どな
く、快適な視認性を示したのに対し、比較用フィルムY
1、Y3を設置した表示装置は周囲の映り込みが多く、
視認性が劣るものであった。
【0068】
【発明の効果】本発明では非球形微粒子を用いて膜を塗
設することによって空隙を有する膜の製膜工程上、高い
効率で空隙を形成することができる。これによって反射
防止膜として非常に良好な光学特性を発現し、膜強度、
耐傷性等の膜物性に優れた、安価で大面積な反射防止膜
を製造適性を有した形で提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の反射防止膜の代表的な一例の断面図を
示す。
【図2】本発明の反射防止膜の代表的な別の一例の断面
図を示す。
【図3】本発明の反射防止膜の代表的な他の一例の断面
図を示す。
【符号の説明】
11、21、31 低屈折率層 22、34 高屈折率層 32 中屈折率層 13、23、33 透明フィルム

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径が200nm以下の不飽和モノ
    マーから形成された重合体微粒子を含む層を有し、該微
    粒子の少なくとも1種が非球形の形状を有することを特
    徴とする反射防止膜。
  2. 【請求項2】 該微粒子が少なくとも0.3重量分率以
    上のフッ素原子を含むことを特徴とする請求項1に記載
    の反射防止膜。
  3. 【請求項3】 該層が少なくとも5体積%以上の空隙を
    有していることを特徴とする請求項1または2に記載の
    反射防止膜。
  4. 【請求項4】 該微粒子の少なくとも一種が反応性基を
    含有する重合体から成ることを特徴とする請求項1ない
    し3に記載の反射防止膜。
  5. 【請求項5】 該層が低屈折率層であって、それよりも
    高い屈折率を有する層の上に形成されたことを特徴とす
    る請求項1ないし3に記載の反射防止膜。
  6. 【請求項6】 前記反射防止膜のヘイズ値が3ないし3
    0%であることを特徴とする請求項1ないし3に記載の
    反射防止膜。
  7. 【請求項7】 平均粒径が200nm以下の不飽和モノ
    マーから形成された重合体微粒子を含む層を有し、該微
    粒子の少なくとも1種が非球形の形状を有する反射防止
    膜を配置したことを特徴とする表示装置。
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