JPH11235791A - 耐久性のある装飾体 - Google Patents

耐久性のある装飾体

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JPH11235791A
JPH11235791A JP5884098A JP5884098A JPH11235791A JP H11235791 A JPH11235791 A JP H11235791A JP 5884098 A JP5884098 A JP 5884098A JP 5884098 A JP5884098 A JP 5884098A JP H11235791 A JPH11235791 A JP H11235791A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 意匠性が高く、深みや暖かみがある図柄を、
非常に耐久性ある状態で有する装飾体、特に装飾セラミ
ック体を、簡便かつ安価に、確実に提供する。 【解決手段】 耐熱基材表面に図柄層を形成してなるも
のにおいて、この図柄層を紫外線吸収能力の高い分子団
を側鎖に有するアクリレートを含む樹脂からなるカバー
コート層で覆う。図柄は、転写法で容易に形成でき、カ
バーコート層は多層からなるものであってもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱基材表面に着
色図柄層を形成してなる耐久性ある装飾体とその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、セラミックの表面を加飾して食器
や置物、住宅材等の多種多様な装飾セラミック体(製
品)が生産されている。このような製品を作製する技術
として、従来から無機顔料を水転写した後、焼結する方
法や画像処理と昇華染料を用いた乾式転写を組み合わせ
た方法がある。
【0003】しかしながら、水転写法は、無機顔料をシ
ルクスクリーンで印刷するため、版下を作製する工程や
焼成工程を必要とし、簡単かつ安価に製品を作製するこ
とは困難であった。また、画像処理と昇華染料による乾
式転写とを組み合わせた方法も知られているが、この方
法は、セラミック基板の表面に昇華染料が吸着できる樹
脂層を予め固着させて転写下地を準備する必要があり、
また、製品の形状や大きさに限度があるなど、作業性及
び経済性に問題があった。更に、耐候性の高い製品を得
ることも困難であった。なお、かかる従来の方法では、
染料か転写下地のごく表面にしか浸透しないため、意匠
の深みや表情に乏しく、暖かみのある製品を作成するこ
とも困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、意匠性が
高く、深みや暖かみがあり、耐候性も耐久性も十分ある
装飾体、特に装飾セラミック体を、簡便かつ安価に作製
する技術を提供しようとして、種々検討を重ねた結果、
離型シートの離型面にカバーコートとなる樹脂をコート
した転写シートに電子トナーで画像を形成した後、セラ
ミック体の表面に画像とカバーコート樹脂とを同時に熱
転写する方法を見い出した。
【0005】しかし、この熱転写シートは、カバーコー
トとして、熱可塑性の樹脂を主体とした樹脂層を離型紙
に薄く塗布するものであり、しかも、図柄の鮮明さを得
るために、アクリル系樹脂を選定すると、画像の鮮明さ
は優れているが、カバーコートでの紫外線透過が大き
く、このため図柄の耐紫外線が弱いという欠点があっ
た。そこで、樹脂層に紫外線吸収剤を混入する方法を採
用したが、実際の屋外使用では1カ月も経たずに脱色が
目立ってしまう場合があった。そこで、その原因を鋭意
調査した結果、紫外線吸収剤が予想を越えるスピードで
揮発していること、さらに、複雑な光反応によって色素
が脱色することを見出した。
【0006】更に、カバーコート樹脂は傷付きやすく、
また、カバーコート樹脂上の汚れが取れにくいといった
問題点を解決のため、熱転写した後に、表面に熱硬化性
樹脂をコーティングする方法を本発明者らは提案してい
たが、この方法では、スプレー装置や塗布装置を必要と
し、均一に塗膜を形成するに熟練を必要とするなどの問
題があった。
【0007】本発明は、このような問題を解決して、意
匠性が高く、深みや暖かみがあり、耐候性も耐久性も十
分ある装飾体、特に装飾セラミック体を、簡便かつ安価
に、確実に提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、セラミック体
等の耐熱基材表面に着色図柄層を形成してなる装飾体
を、図柄層の表面を紫外線吸収能力の高い分子団を側鎖
に有するアクリレートを含む樹脂からなるカバーコート
層で覆われたものとすることにより上記課題を解決し
た。
【0009】この製品は、離型シートの離型面に、紫外
線吸収能力の高いアクリレートを含む樹脂を溶媒で希釈
して塗布し、厚みが20〜50μmの樹脂層を形成し、
溶媒を蒸発させて転写シートとし、この転写シートの樹
脂層上に着色図柄を形成し、図柄を有する転写材とな
し、しかる後、耐熱基材の上に前記転写材の図柄面を載
せ、加熱・加圧し、その後に離型シートを剥離し、前記
図柄とカバーコート層を転写した基材を、130℃以上
で30秒ないし5分程度の熱処理するという方法で、容
易に得ることができる。
【0010】例えば、パルプからなる紙に離型剤を塗布
した離型紙またはポリオレフィンフィルム等の離型シー
トの離型面に、熱硬化性樹脂を含有する樹脂を塗布、ま
たは必要に応じて密度の高い樹脂を中間に塗布し、しか
る後、実質的に熱可塑性を有する樹脂をその上に塗布し
て、厚みが20〜50μm塗布の樹脂層で、紫外線吸収
能の耐久性の高く、しかも、可視光線による光反応によ
る退色を防ぐ樹脂層を形成して転写シートを製造し、こ
の転写シートの樹脂面に、電子コピーやシルクスクリー
ン印刷等で所望の図柄を形成し、図柄を有する転写シー
トとし、しかる後、所望の基材上に前記図柄を有する転
写シートの図柄面を載せ、加熱・加圧してその後に離型
シートを剥離することによって図柄とカバーコートを転
写して耐久性の高い、また、美観を備えた装飾体とする
のである。以下、本発明をさらに詳しく説明する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明では、基材として、130
℃以上の加熱30秒で大きく変形したり、変質しない程
度の耐熱性ある製品、例えばセラミック、ガラス、金
属、フイルム、プラスチック、布、紙、木、コンクリー
ト、セメント2次製品などがいずれも使用できる。しか
し、基材は熱転写および熱硬化樹脂の熱処理温度に耐え
て、温度、湿度の変化にも寸法が安定であることが、図
柄を安定に転写する上から必要であり、また、製品(装
飾体)の屋外における耐久性をも良好に保つためには、
基材としてセラミック、ガラスを使用するのが好まし
い。
【0012】さらに、転写し易さの点から、表面の光沢
率が20%以下の微細な凹凸のあるセラミックが好まし
く用いられ、特に積層成形した薄型大判セラミック板
は、5mm以下の薄板でも、強度が高く、軽量で扱い易
く、しかも、表面の平面性、熱転写での樹脂膜保持性が
良好であるので好適である。なお、かかる積層セラミッ
ク板は、大画面の製作に適すだけでなく、密度が2.0
以上であり、下地の酸素透過性や湿度透過性が少なく、
図柄の層の色素の光酸化が少ない点でも、使用し易い。
また、自立性があるので、額縁や他の基材によるバッキ
ング補強が必ずしも必要でなく、シンプルな装飾体とし
て活用できる利点もある。
【0013】なお、本発明において、離型シートとして
は図柄を転写するために使用される通常の離型シート
(離型紙や離型性を有するプラスチックフィルム等)が
いずれも使用できるものであり、離型シートの離型面上
に図柄層を形成するためには、前述した如く種々の方法
が適用できる。電子トナーやインクジェットによる、い
わゆるカラーコピーが手軽に、かつ安価に画像層を形成
できるが、静電プロッターは大画面作製に適しており、
またスクリーン印刷、グラビア印刷、凸版印刷、平版印
刷などは染料及び有機・無機顔料又は無機微粒子と定着
樹脂に耐紫外線の強いものを選択使用でき、屋外用途に
適用し易く、コスト面からも大量生産に向いている。ま
た、手書きなどで図柄を作製してもよい。また装飾体を
構成する図柄は、いわゆる絵画や写真など鑑賞的なもの
だけでなく、電子回路図などのように物理的機能(例え
ば電磁気機能)を有するものであってもよい。
【0014】なお、図柄中の着色成分は、有機・無機の
微粒子であって、着色しているものであればよく、電導
性や蓄光性を持つものであってもよい。図柄が鑑賞用の
場合には、光吸収能力の大きい有機系の染料又は顔料
が、図柄の鮮明さの点から好ましく用いられるが、耐候
性の点から、非水性のものを使用するのが好ましく、ま
た、これらを固定するための定着樹脂としては、アクリ
ル系、スチレン系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ
オレフィン系などの樹脂が使用できる。
【0015】離型シート上には、転写後図柄のカバーコ
ート層となる樹脂層を形成し、その上に転写する図柄を
形成するのが一般的であるが、このカバーコート層とし
ては、少なくとも図柄を形成する面を主として熱可塑性
樹脂からなるものとするのが、熱転写による基材への図
柄の固着性という点で好ましい。
【0016】図柄作製方法は電子トナーやインクジェッ
トによる、いわゆるカラーコピーやコンピューター駆動
のカラープリンターが手軽に、かつ安価に画像層を形成
できるが、静電プロッターは大画面作製に適しており、
スクリーン印刷、グラビア印刷、凸版、平版などは顔料
・染料およびその定着樹脂は耐紫外線の強いものが使
え、屋外用途に好ましく、コスト面から大量生産に向い
ている。また、手書きなどで図柄を作製してもよい。
【0017】前述のカバーコート層は図柄の鮮明度を保
ち、かつ市販のカラコピー機にでも図柄を印刷できるよ
うに、樹脂の乾燥厚さを20〜40μmとするのが好ま
しいが、耐久性を重視してカバーコート層を2回重ねる
ことも可能である。
【0018】このような樹脂層の耐候性を高めるため
に、樹脂中に紫外線吸収剤を添加することは通常行われ
ているが、熱転写時の高温処理と、またカバーコート層
内の溶媒の揮発時に、添加された紫外線吸収剤は多量に
揮発してしまい、また、屋外に置いておくと、短期間に
紫外線吸収剤が揮発してしまうため、この方法は実用性
がないことが判明した。
【0019】なお、分子量が600位の紫外線吸収剤で
は長期屋外使用には耐えることができず、蒸気圧の少な
い酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムなどの無機質の
紫外線吸収剤を用いると、オーバーコート層が白濁する
傾向があり、多量に使うことにも限界があった。
【0020】本発明では、このような白濁を起こさず、
熱転写でも性能が低下しない樹脂層を、紫外線吸収能力
の高い分子団(例えばベンゾトリアゾール基)を側鎖に
有するアクリレートを含む樹脂の使用により可能とし
た。
【0021】オーバーコート層の耐久性は紫外線に対す
るだけでなく、耐溶媒性、耐磨耗性も必要であり、この
ためにはオーバーコート層の表面が熱硬化性で架橋構造
をもたせることにより、達成することができる。しか
し、一方で、架橋剤成分と図柄層の色素が反応して対光
性を著しく低下させることがあるため、本発明では、オ
ーバーコート層を多層に形成し、図柄層に接する層には
反応性架橋剤を含まない熱可塑性樹脂で形成させること
によって、この問題が解決し、一層耐久性の高い装飾体
の製造を可能とした。
【0022】オーバーコート樹脂層の熱硬化性樹脂は、
反応性アクリレートからなる樹脂で、樹脂中の水酸基価
が1〜0.01mgモル/g樹脂であるアクリル系樹脂
を使用するのが好ましく、架橋成分としてメラミン、ウ
レタン、アルキッド、ポリエーテル、ポリエステル、シ
ロキサン、オキサゾリン、多価アルコールなどを併用す
るのがよい。転写後の表面層は耐久性のみでなく、光沢
など意匠性も必要であるので、熱硬化性樹脂と熱可塑性
樹脂を好ましい比率で混合使用してもよい。
【0023】オーバーコート層は熱転写前はタックがな
く、柔軟であってカラーコピー機にスムーズに通り、熱
転写の130〜200℃で架橋反応が進み、常温では反
応がほとんど進まないことが熱転写の操作安定から好ま
しい。このために高温で反応するメラミン、高温で反応
するブロックイソシアネートによるウレタン、高温で反
応するエポキシなどが好ましく使用される。
【0024】カバーコート層は溶媒をほとんど含まない
ようにするのが好ましい。溶媒が多いと粘着性があるば
かりでなく、熱転写時に高温にさらされたとき、トナー
の樹脂層を溶解して反応性の高い架橋剤が色素と何らか
の反応を起こして、光に敏感な色素との複合体を形成し
て太陽光の可視光によってもすぐに退色してしまうとい
う問題がある。
【0025】このような光退色には、酸素が関与する部
分も確認でき、カバーコート層の樹脂の中に酸化防止剤
を入れると、退色がかなり抑制されることが判明した。
しかし、通常の酸化防止剤は、紫外線吸収剤と同じく、
熱転写時およびその後の大気中への暴露で揮発しやす
い。従って、カバーコート層を形成するアクリル系樹脂
として、ヒンダードアミンを側鎖に有するハルスハイブ
リッド型アクリレートを使用するのが好ましい。
【0026】また、カバーコート樹脂によって顔料への
酸素移動を押さえるため、即ち酸素の拡散を防止するた
めに、カバーコート層を3層以上の樹脂層とし、その中
の一層にポリビニルアルコール、塩化ビニリデン系樹
脂、紫外線硬化型樹脂等の緻密な樹脂層を設けることに
よって退色速度はさらに改善できる。また、基材に予め
ポリビニルアルコール、塩化ビニリデン系ラテックス、
紫外線硬化樹脂等を固着してからカバーコート層を転写
すると一層耐久性を高めることができる。
【0027】光褪色には紫外線だけでなく、可視光線も
作用する部分があるため、反応性の架橋剤を減らした
り、酸素移動を遅くしたりしても、光褪色を完全に防ぐ
ことが難しい。このため、光で励起した色素のエネルギ
ーをできるだけ取り除く工夫が必要となる。図柄層に接
する樹脂層にはβ−カロチン、α−トコフェノール、ト
リプトファンなどの1重項酸素の消光剤およびNKX−
113〔株式会社日本感光色素研究所製のビス(ジチオ
ベンジル)ニッケル〕などの近赤外吸色素であって図柄
層内色素の励起3重項の消光剤となる成分を0.1〜5
%添加すると、さらに褪色速度が改善できる。なお、該
消光剤は、図柄層を形成するトナー中に予め所定量を添
加されてもよい。
【0028】また、本発明の装飾体を得るには、離型シ
ートの離型面に、熱硬化性樹脂を含有する樹脂を塗布、
または必要に応じて架橋密度の高い樹脂を中間に塗布
し、しかる後、熱可塑性樹脂をその上に塗布して厚みが
20〜50μmの樹脂層を形成して転写シートを形成
し、該転写シートの樹脂面に電子コピーやシルクスクリ
ーン印刷等の適当な手段で図柄を形成し、所望の図柄を
有する転写シートとし、しかる後に、基材上に前記転写
シートの図柄面を載せ、加熱・加圧し、その後に離型シ
ートを剥離して、基材上にカバーコート層で覆われた図
柄を転写すればよい。更に、必要に応じて、転写された
カバーコート層の上に、図柄を有する又は図柄のない転
写シートを重ねて転写して、最初に転写された図柄の上
にカバーコート層を2層に重ねたもの、または更に同一
又は他の図柄を重ねて転写して本発明の装飾体を得たて
よい。
【0029】本発明の技術は、図柄とカバーコート層を
一度に基材に熱転写するものであるが、すでに図柄が他
の方法で基材に形成されているときには、その図柄の上
にカバーコート層のみを熱転写することにより、図柄の
耐久性を大幅に延ばすことができる。
【0030】本発明の技術は、1回の熱転写に限定する
ものではなく、2回3回と重ねて転写することもできる
ことも特徴の一つであって、耐久性の更なる向上のため
だけではなく、違った図柄を重ねることによって立体的
な奥行きがある図柄を作り出すことができる。
【0031】基材はセラミック以外に、紙、キャンパ
ス、フイルムなどに転写することも可能である。磁気シ
ートを基材とした場合には、金属面に取り付け取り外し
が自由な装飾体を得ることができ、用途が広がる。
【0032】基材が金属やガラスのような平滑な場合に
は、カバーコート層との固着性を高めるために、図柄層
に接するカバーコート層の樹脂層の固着性を改善するた
めにエポキシ樹脂やウレタン樹脂を混合するのが好まし
い。
【0033】本発明では、基材に直接転写シートを加
熱、加圧して固着して図柄を熱転写するのが好ましい
が、コンクリートやアスファルト等の路面や床あるいは
壁面を直接基材とする場合には、基材に予め接着剤性を
有する反応性樹脂または接着性樹脂を敷衍してから、本
発明に従った図柄を有する転写シートの図柄面を密着さ
せ、しかる後、離型シートを剥離して、装飾体としても
よい。この場合、耐磨耗性を高めるためにカバーコート
層の上にさらに透明なアクリル系樹脂層等を敷衍しても
よい。
【0034】
【実施例】実施例1 本実施例では、基材として5層の積層セラミック(東レ
株式会社製の大型磁器板、厚み=3.5mm、表面反射
率=1%、密度=2.1)をA3サイズにカットしたも
のを使用し、また、離型シートとしてパルプからなる紙
にシリコーン系離型剤を塗布したものを使用した。ま
ず、離型シートのその離型剤上に、反応性アクリレート
からなるアクリル系樹脂〔日本触媒社製のユーダブルU
V6010:ベンゾトリアゾール環を側鎖にもつ、水酸
基価58(固形物基準)の反応性、ハルスハイブリッド
型アクリレートからなる樹脂〕と高分子量のアクリル系
樹脂〔日本触媒社製のユーダブルS5140:ラッカー
タイプのアクリル系樹脂〕を、固形分で2:1の割合で
混合したものに、架橋剤としてメラミン(三井サイテッ
ク社製のサイメル303)をUV6010に対し固形分
で10%混合し、得られた樹脂液をトルエン/キシレン
溶媒で希釈して得たコーティング液を、基材に塗布し、
乾燥後の厚みが30μmの樹脂層(カバーコート層とな
る)を形成して転写シートとする。この転写シートを、
富士ゼロックス社製のカラーコピー機を通し、転写シー
トの樹脂層上に、浜田泰介画伯による赤富士の絵の写真
を、電子コピーして、図柄を有する転写シートとした。
前記基材上に、この転写シートの図柄面を載せ、130
℃加熱・加圧し、その後に、離型シートを剥離し、さら
に160℃で2分加熱養生することによって、カバーコ
ート層に覆われた図柄を、基材上に安定して転写でき
た。転写された図柄は、光沢及び色調共に申し分ないで
きばえであった。この製品の図柄面(赤富士の絵)を西
日の当たる屋外に放置したが、3カ月後も微妙な色調に
全く変化なかった。
【0035】比較例1 基材および離型シートは、実施例1と同じものを用意
し、離型シートに塗布する樹脂を高分子量のアクリル系
樹脂(日本触媒社製のユーダブルS5140)のみと
し、これに紫外線吸収剤チヌビン400(チバガイギー
社製の分子量約600のベンゾトリアゾール系分子)を
5%添加したものを、乾燥厚で30μmとなるように塗
布した。得られた転写シートを、実施例1と同じ条件で
基材に転写して屋外に放置したところ、約2週間後に図
柄の赤み成分が少し褪色した。
【0036】比較例2 比較例1と全く同じ条件で樹脂層に酸化防止剤としてチ
ヌビン123〔チバガイギー社製のHALS(Hindard
Amine Light Stabilizer)〕を1%添加した。図柄を転
写した基材を屋外に放置したところ、約4週間後に図柄
の赤みが少し退色していることが認められた。
【0037】実施例2 基材及び離型シート共に実施例1と同じものを準備し、
離型シートの離型剤の上に、反応性アクリル系樹脂〔日
本触媒社製のユーダブルUV6010〕に、架橋剤とし
てメラミン(三井サイテック社製のサイメル303)を
固形分比率で25%となる割合で添加し、トルエン/キ
シレン溶媒で希釈したコーティング液を塗布し、乾燥
後、さらにアクリル系樹脂〔日本触媒社製のユーダブル
UV6540:非架橋型で、ベンゼントリアゾール環を
側鎖に有し、かつハルスハイブリッド型であるアクリル
系樹脂〕をトルエン溶媒で希釈したものを塗布し、乾燥
して、全厚が30μmの樹脂層を形成し、転写シートと
した。なお、ユーダブルUV6540には、NKZ−1
13を消光剤として0.2%添加した。この転写シート
に、実施例1と同様の方法で、案内地図をカラーコピー
し、案内地図の図柄を有する転写シートとした。この転
写シートの図柄を実施例1と同様の方法で基材に熱転写
し、その製品を屋外に放置したが、半年後も、図柄に実
質的な変色は認められなかった。
【0038】実施例3 実施例2と全く同じ条件で基材に図柄を転写した後、ポ
リビニルアルコールの水溶液を、転写した製品の表面に
塗布、乾燥して厚さ約2〜3μmのポリビニルアルコー
ル皮膜を形成した後、再度実施例2と同じ転写シートの
カバーコート樹脂(ただし、図柄を設けていないもの)
を重ねて熱転写した。得られた製品を屋外に設置した
が、1年後も図柄に変色は認められなかった。
【0039】実施例4 実施例1と同じ基材と離型シートを用意して、離型シー
トにまず紫外線硬化型のアクリル系樹脂を塗布し、紫外
線を照射して少し硬化させ、その上に実施例2と同じ樹
脂層を塗布形成し、乾燥して全厚40μmの樹脂層を形
成させた。この熱転写シートを用いて実施例1と同じ条
件で装飾体を得て、これを屋外に設置したが、1年後も
図柄に変色は認められなかった。
【0040】
【発明の効果】本発明では、種々の図柄を有し、屋外で
も安定して使用できる耐久性のある装飾体を容易に提供
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B44C 1/165 B44C 1/165 C

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐熱基材表面に着色図柄層を形成してな
    るものであり、該図柄層が、紫外線吸収能力の高い分子
    団を側鎖に有するアクリレートを含む樹脂からなるカバ
    ーコート層で覆われていることを特徴とする耐久性のあ
    る装飾体。
  2. 【請求項2】 前記カバーコート層が多層からなるもの
    であり、前記図柄層に接する層が実質的に熱可塑性樹脂
    からなることを特徴とする請求項1記載の装飾体。
  3. 【請求項3】 前記カバーコート層の少なくとも一部が
    架橋型樹脂からなることを特徴とする請求項1又は請求
    項2に記載の装飾体。
  4. 【請求項4】 前記紫外線吸収能力の高い分子団がベン
    ゾトリアゾール環を有する分子団からなることを特徴と
    する請求項1記載の装飾体。
  5. 【請求項5】 前記架橋型樹脂が、水酸基を有する反応
    型アクリレートからなり、水酸基の少なくとも一部が、
    メラミン、イソシアネート、エポキシ、アルキッド、ポ
    リエーテル、ポリエステル、シロキサン、オキサゾリ
    ン、多価アルコール及び酸無水物からなる群から選ばれ
    る架橋成分と結合していることを特徴とする請求項2又
    は請求項3に記載の装飾体。
  6. 【請求項6】 前記紫外線吸収能力の高い分子団を側鎖
    に有するアクリレートを含む樹脂が、ヒンダードアミン
    を側鎖に有するハルスハイブリッド型アクリレートから
    なることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記
    載の装飾体。
  7. 【請求項7】 前記カバーコート層が少なくとも3層か
    らなり、その中の1層がポリビニルアルコール、塩化ビ
    ニリデン系樹脂又は紫外線硬化樹脂であることを特徴と
    する請求項1〜6のいずれか1項に記載の装飾体。
  8. 【請求項8】 前記図柄層及び前記カバーコート層の少
    なくとも一層が消光剤を0.01〜5%含むことを特徴と
    する請求項1〜7いずれか1項に記載の装飾体。
  9. 【請求項9】 離型シートの離型面に、紫外線吸収能力
    の高い分子団を側鎖に有するアクリレートを含む樹脂を
    溶媒で希釈して塗布し、厚みが20〜50μmの樹脂層
    を形成し、溶媒を蒸発させて転写シートとし、この転写
    シートの樹脂層上に着色図柄を形成し、図柄を有する転
    写シートとなし、しかる後、耐熱基材の上に前記転写シ
    ートの図柄面を載せ、加熱・加圧し、その後に離型シー
    トを剥離し、前記図柄とカバーコート層を転写した基材
    を、130℃以上で熱処理することを特徴とする耐久性
    ある装飾体の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記耐熱基材が、厚さ5mm以下で表面
    反射率が20%以下で、密度が2.0以上のセラミックか
    らなることを特徴とする請求項9の方法。
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JP2012116191A (ja) * 2010-12-03 2012-06-21 Pantech Co Ltd 防水部材、その製造方法、部材及び端末

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