JPH1123498A - 二次イオン質量分析方法 - Google Patents

二次イオン質量分析方法

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JPH1123498A
JPH1123498A JP9183397A JP18339797A JPH1123498A JP H1123498 A JPH1123498 A JP H1123498A JP 9183397 A JP9183397 A JP 9183397A JP 18339797 A JP18339797 A JP 18339797A JP H1123498 A JPH1123498 A JP H1123498A
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thin film
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secondary ion
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Toshiya Hayashi
俊哉 林
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NEC Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】固体試料に含有される微量成分元素が試料表面
の被測定領域の二次元方向に均一、不均一に存在するに
関らず、被測定領域の所望位置における深さ方向の微量
成分濃度の絶対値と濃度分布をただ一箇所で且つ一回の
測定によって知ることが出来る迅速、簡便且つ高精度の
二次イオン質量分析方法を提供する。 【解決手段】 試料中の測定対象元素の濃度分布が変化
しない範囲の温度に於いて、試料の被測定領域上に試料
と同じ主成分またはその酸化物からなる薄膜を形成さ
せ、該薄膜中に既知濃度の測定対象元素をドープした
後、該薄膜表面に一次イオンを照射し、放出されてくる
二次イオンの強度分布、膜厚及び対象元素の既知導入量
から、測定対象元素の濃度の絶対値を換算して求め、ま
た深さ方向に於ける濃度プロファイルを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無機質材料の表層
中の微量成分を測定する二次イオン質量分析法(以下S
IMSと略称する。)に関する。また、IC、ULSI
等の不純物半導体中のキャリア不純物について深さ方向
の濃度分布(濃度プロファイル)を測定するSIMSの
改良に関する。
【0002】
【従来の技術】SIMSは、アルゴン、酸素等の正イオ
ン(一次イオン)を収束させて試料表面に照射し、試料
からスパッタされて放出されるイオン(以下、二次イオ
ンと略記する)を質量分析して濃度を測定する方法であ
る。一般にSIMSによる測定対象元素の濃度測定で
は、濃度未知試料中の測定対象元素から発生した二次イ
オンを質量分析することによって得られた二次イオン強
度の深さ方向における分布を濃度分布に換算する必要が
ある。
【0003】従来この換算には、予め既知濃度を含有す
る試料を測定して二次イオン強度と濃度の検量線を作製
しておく必要があった。即ち、濃度未知試料と主成分の
組成が等しい材料中にイオン注入法等を用いて既知濃度
の測定対象元素を導入することによって作製した標準試
料についてSIMS測定を行い、得られた測定対象元素
及び主成分の二次イオン強度の深さ方向分布と、予めイ
オン注入のドース量から計算された相対感度係数とを用
いる換算方法が行われている。
【0004】しかし一般にSIMSでは、二次イオン強
度は、試料片の試験台への装着状態や一次イオン電流、
或は試料室の真空度等と云った測定条件により変動する
ことが問題である。従って、被測定試料である未知濃度
試料と標準濃度試料とが上記のように別個のものである
従来の濃度換算方法では、夫々別に測定を行わなくては
ならないため、測定精度の低下が避けられず、また測定
時間の増大が大きな欠点である。
【0005】これらの欠点を改良するため、例えば特開
昭60−206146号には次のような方法が開示され
ている。即ち、先ず被測定試料内で測定対象元素の深さ
方向での濃度プロファイルが同一であるべき幾つかの領
域のうち一つにのみ既知濃度の測定対象元素をイオン注
入する。次に、このイオン注入領域のSIMS測定によ
って得たイオン注入ピークの二次イオン強度と、ドース
量計算によって求めたイオン注入ピークの濃度との関係
から相対的にイオン注入の影響の無くなった深さの絶対
濃度を求める。更に非イオン注入領域のSIMS測定を
行い、イオン注入領域において上記イオン注入の影響が
無くなった深さでの濃度と同濃度になる深さの位置に二
次イオン強度を重ね合わせることによって、被測定領域
の表面からの測定対象元素の深さ方向の濃度プロファイ
ルを得ている。
【0006】しかしこの方法では、試料表面に元来存在
している測定対象元素の濃度に相当する量以上の元素を
イオン注入しなければならず、予め試料表面の測定対象
元素の濃度を知っておく必要がある。もし、イオン注入
の事前に測定対象元素濃度が不明の場合は、イオン注入
前に試料表面について全く別の濃度分析方法を行わねば
ならず、従来の方法は煩雑であり実用的でない。
【0007】更に根本的な問題は、測定対象元素の深さ
方向の濃度分布が試料片表面の縦横の二次元方向におい
て均一でない試料の場合には、濃度プロファイルが同一
であるべき部分を予め正確に選択できる場合を除いて、
従来のSIMS法を用いて深さ方向の濃度分布を得るこ
とが出来ない点である。
【0008】また従来の方法では、測定対象元素の深さ
方向の濃度分布を求めるためにはイオン注入領域と非イ
オン注入領域の両方を測定する必要があるために、測定
時間の大幅な短縮は期待できない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、SIMSを
用いた不純物の深さ方向の濃度分布測定を行うに際し、
試料中の測定対象元素の分布が試料片表面の二次元方向
に関して均一、不均一であるに関わらず、試料片の所望
の領域での深さ方向の濃度の絶対値と濃度分布を高精度
で容易に測定することができ、且つ測定時間を大幅に短
縮出来る二次イオン質量分析方法を提供することを課題
とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、定量用
の標準試料の測定と被測定試料の測定とを同一試料片の
同一箇所で且つ一回のSIMS測定で行うことが出来
る。即ち、試料片中の測定対象元素の濃度分布を変化さ
せない温度範囲において、主成分が該試料と同じ組成の
材料若しくは該材料の酸化物からなる薄膜であって微量
成分として既知濃度の測定対象元素を含有している薄膜
により該試料片の被測定領域上を被覆し、該薄膜表面に
一次イオンを照射して放出されてくる二次イオンを質量
分析することにより、該試料片の深さ方向における測定
対象元素の濃度プロファイルを測定することを特徴とす
る分析方法の発明である。
【0011】試料片中の測定対象元素の濃度分布を変化
させない温度範囲において前記被覆を行う薄膜の形成手
段として、第1の本発明では、先ず主成分が該試料と同
じ組成の材料若しくは該材料の酸化物からなる薄膜を形
成した後、該薄膜に既知濃度の測定対象元素をドープ、
好ましくはイオン注入法により導入する。また前記被覆
を行う薄膜の形成手段として、第2の本発明では、既知
濃度の測定対象元素を含有し且つ主成分が該試料と同じ
組成の材料若しくは該材料の酸化物からなる薄膜を一操
作により、好ましくは気相堆積法(CVD)により形成
する。以下、各発明の方法について説明する。
【0012】第1の本発明において、先ず被測定領域の
表面に試料の主成分組成と等しい組成の材料若しくは該
材料の酸化物からなる薄膜を形成させる。薄膜の形成方
法は当該業界で公知の全ての方法を包含する。例えばデ
バイス製造プロセスにおける不純物注入の分析等に関し
て本発明を適用する場合は、薄膜の形成方法としては半
導体を損傷しない気相堆積法CVDが実用的観点から特
に好ましい。
【0013】本発明の方法において、上記薄膜を形成す
る際の温度は、試料中の測定対象元素の深さ方向の濃度
分布を変化させない範囲でなければならない。試料片の
被測定領域を過度の高温に曝すと成分原子の固相拡散等
が起こり、濃度分布の変化を来すからである。
【0014】次に、上記薄膜中に既知濃度の測定対象元
素を導入する。導入の方法は試料の態様に依り、ドライ
プロセスであれウエットプロセスであれ当業界で使用さ
れる全ての方法を包含する。例えばデバイス製造プロセ
スにおけるシリコンウェハ中のドーピング不純物の絶対
濃度の測定に関して本発明を適用する場合は、導入方法
として濃度分布を乱さないイオン注入法が特に好まし
い。
【0015】次いで、上記のようにして既知濃度の測定
対象元素を導入した薄膜の表面に一次イオンを照射し、
該薄膜及び試料中の測定対象元素の深さ方向の二次イオ
ン強度プロファイルを同時に測定する。得られた薄膜中
の測定対象元素の導入深さ方向の二次イオンプロファイ
ルと導入量の理論計算値から、二次イオン強度を絶対濃
度に換算するための相対感度係数を求め、この係数を用
いて試料中の測定対象元素の深さ方向の二次イオン強度
プロファイルを濃度プロファイルに変換する。こうし
て、従来のように試料片と別に標準試料の測定を行うこ
とを要せずに、試料の深さ方向における測定対象元素の
濃度分布を測定することが出来る。
【0016】本発明の方法に於て、被測定領域上に形成
する薄膜の作用は次の通りである。即ち、試料片上で任
意の所望の被測定領域上に、測定対象元素の深さ方向の
濃度分布を変化させること無く、測定対象元素が既知濃
度で存在する薄膜を形成することによって、この薄膜表
面から測定対象元素のSIMS測定を行えば、ただ一測
定箇所を一回測定するのみで、定量標準用の測定対象元
素の注入イオン強度プロファイルと試料中の測定対象元
素のイオン強度プロファイルとを同時に測定することが
できる。
【0017】ただし本発明の方法において、被測定領域
上に被測定試料と同じ組成の酸化膜を堆積した後に、該
酸化膜中に測定対象元素のイオン注入を行った場合、通
常のSIMS測定条件では酸化膜中と被測定試料中とで
測定対象元素の二次イオンのイールドが変化することが
問題であり、これに因り定量に用いる相対感度係数が変
化し、通常のSIMS測定条件では正確な定量を行うこ
とができない。
【0018】然し、例えばジョン・ワイリー・アンド・
サンズ社、1989年刊、「セカンダリー・イオン・マ
ス・スペクトロメトリー」に記載されて当業界公知とな
っている手法のように、SIMS装置の試料室に酸素ガ
スを導入し、試料表面に存在する酸素濃度を飽和するま
で高めた上で正の酸素一次イオンを照射して分析を行う
ことによって、酸化膜以外(即ち被測定試料例えば基板
及び酸化膜と基板との界面)の二次イオンイールドを酸
化膜と等しくしてから測定を行う方法、或は一次イオン
としてプラスの酸素イオンに代えてセシウムイオンを用
い、主成分組成の違いの影響による二次イオンイールド
の変化の影響を受け難いセシウムと測定対象元素とのク
ラスターイオンを二次イオンとして検出する方法を使用
することによって、正確な定量を行うことが可能であ
る。
【0019】第2の本発明では、前記試料片の被測定領
域上に、主成分が該試料と同組成の材料若しくは該材料
の酸化物からなり且つ微量成分として既知濃度の測定対
象元素を含有する薄膜を一挙に形成、即ち測定対象元素
の含有と薄膜の形成を一操作によって行う。この際に、
前記試料片中の測定対象元素の濃度分布を変化させない
温度範囲において薄膜を形成させなければならない。こ
のような薄膜形成方法として、前記試料と同組成の主成
分を生成するガスと測定対象元素を生成する微量ガスと
を量的比率の制御下に用いて比較的低温で薄膜を成長す
ることができるCVDが特に好ましい。
【0020】第3の本発明では、前記試料片中の測定対
象元素の濃度分布を変化させない温度範囲において、該
試料片の被測定領域上に、測定対象元素をドープしてい
ない第1の薄膜と、該第1の薄膜の上に既知濃度の測定
対象元素を含有する第2の薄膜とを重ねて形成する。こ
の際に、上記と同じ理由により前記試料片中の測定対象
元素の濃度分布を変化させない温度範囲において第1薄
膜及び第2薄膜を形成することが必要であり、形成方法
としては比較的低温で薄膜を成長することができるCV
Dが特に好ましい。第1の薄膜に測定対象元素をドープ
しないのは、測定対象元素が含まれると、これが所謂イ
オンのノックオン効果により試料片中の測定対象元素と
混合し、第1の薄膜と被測定試料との界面を正しく測定
できない惧れがあるからである。従って、界面位置の特
定を妨げない程度の低濃度であれば測定対象元素が意図
されずに含有されていても良い。
【0021】本発明の方法に於て、被測定領域上に形成
した第1の薄膜の上に第2の薄膜を重ねて形成してなる
薄膜の作用は次の通りである。即ち、この薄膜表面から
SIMS測定を行えば、ただ一測定箇所を一回測定する
のみで、水素の二次イオン強度分布から第1の薄膜と被
測定試料との界面位置を測定でき、第2の薄膜中の測定
対象元素の二次イオン強度と既知濃度から相対感度係数
を算出でき、被測定試料中の測定対象元素の二次イオン
強度分布から濃度プロファイルを求めることが出来る。
つまり、第1の薄膜は深さ方向の距離を、また第2の薄
膜は濃度の絶対値を、夫々精確に算出するための基準値
を与えている。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明における試料の被測定領域
は、例えば半導体装置のように試料片の固体表面に存在
するパターン等、二次元方向に於て或る微細な広がりを
持つ対象部位であり、本発明の分析方法は、半導体装置
に限らず無機質材料を微量成分により表面修飾したも
の、その他上記同様の態様の固体試料に適用される。
【0023】また、本発明を適用する試料中の測定対象
元素は、微量成分としてこのような被測定領域の表面近
傍で深さ方向に分布して存在する。本発明の分析法は、
このように試料中に分布する測定対象元素についての深
さ方向の絶対濃度及び濃度分布の測定に適用される。
【0024】本発明の具体的な実施形態を説明するため
若干の実施例を示すが、本発明はここに示された試料の
種類や操作方法に限定されるものではない。なお、測定
対象元素のドース量は、注入時のイオンがクラスターイ
オンである場合も含めると単位面積当たりのイオン数で
表示するのが原則であるが、本実施形態では単原子イオ
ンの注入であるので、原子/cm2 で(濃度は、原子/
cm3 )表示した。
【0025】[実施例1]本発明の一実施態様について
図面を参照して説明する。図2(a)は試料片及び被測
定領域を示す平面図、また図2(b)は図2(a)のA
−B部分の断面図である。図2(a)に示すように試料
片1は、シリコン基板内の被測定領域2の表面及び図2
(b)に断面として現れている該領域の深さ方向の部分
3にのみ濃度未知のボロンが存在する。しかもボロン
は、断面3の深さ方向に濃度が分布して存在している。
【0026】被測定領域上への薄膜の形成例 SIMS測定を行うための試料片の加工工程を上記A−
B部分と同一の断面について図3(a)、(b)に示し
た。まず被測定領域上にシリコン基板と同じ組成の薄膜
を形成するために試料片1をCVD装置に導入し、同装
置のチャンバー内にシラン(SiH4 )ガスを導入しな
がら、試料片1上に成長温度500℃において図3
(a)に示すようにアモルファスシリコン膜4(すなわ
ち、本発明で云う主成分が試料片と同組成の材料からな
る薄膜)を0.2μmの厚みに成長させた。
【0027】薄膜への既知濃度元素の導入 次に、試料1をCVD装置から出して、図3(a)に示
すように、アモルファスシリコン膜4にボロンイオン5
を加速電圧5keV、ドース量がlx1014原子/cm
2 の条件でイオン注入した。こうして図3(b)に示す
ように試料1であるシリコン基板の被測定領域上に既知
濃度のボロンが含まれたアモルファスシリコン膜6を形
成した。
【0028】二次イオン強度分布の測定 次いで、アモルファスシリコン膜6を形成した試料片1
の表面(即ち膜6の表面)の図2(a)における被測定
領域2に対応する箇所に、SIMS装置を用いて正の酸
素イオンを照射し、ボロン、シリコン及びアモルファス
シリコン膜中に含まれている水素について、深さ方向の
二次イオン強度と測定時間の関係を測定し、図4に示し
た。
【0029】こうして二次イオン強度分布を測定する
と、アモルファスシリコン膜6と試料片のシリコン基板
1の界面において、図4に示したように水素の二次イオ
ン強度11の変化が観測される。この水素二次イオン強
度分布11から、図3(b)におけるアモルファスシリ
コン層6とシリコン基板1の界面位置の特定を行うこと
ができる。
【0030】相対感度係数の算出 図4を使用して、アモルファスシリコン膜中のボロンの
二次イオン強度分布13、シリコンの二次イオン強度
(主成分が同一であるから一定)12、及びイオン注入
によるボロンのドース量(lx1014原子/cm2 )か
ら相対感度係数を算出した。
【0031】絶対濃度及び濃度分布の算定 上記相対感度係数、及びSIMS測定によって生じたク
レーターの深さの値を用いて図1に示すように被測定領
域2のボロンの深さ方向の絶対濃度及び濃度分布21を
知ることができた。
【0032】[実施例2]本発明の別の一実施態様につ
いて図5を参照して説明する。図5は試料片の構造を示
す断面図、図6(a)、(b)は、SIMS測定を行う
ための試料の加工工程を示した断面図である。図5に示
すように、試料片51にはシリコン基板の表面に濃度未
知のヒ素がドーピングされている。試料中に含有される
ヒ素の深さ方向の濃度分布をSIMSを用いて測定する
ために試料51をCVD装置に導入し、図6(a)に示
すように試料51上に成長温度500℃でシリコン酸化
膜52を0.2μmの厚みに成長させた。
【0033】次に、試料51をCVD装置から出し、図
6(b)に示すようにシリコン酸化膜52に加速電圧3
0keV、ドース量5x1015原子/cm2 の条件でヒ
素イオン53をイオン注入した。こうして試料51であ
るシリコン基板上に既知濃度のヒ素が含まれたアモルフ
ァスシリコン酸化膜54を形成した。
【0034】次いで、この試料51の酸化膜54の被測
定領域に相当する表面に、SIMS装置を用いてセシウ
ムイオンを照射し、それぞれヒ素、シリコンとセシウム
とのクラスターイオン(CsAs+ 、CsSi+ )の深
さ方向における二次イオン強度分布を測定し、図7に示
した。
【0035】図7では、シリコン酸化膜54と試料であ
るシリコン基板51との界面を境として、組成中のシリ
コン含有率が増えた分だけ二次イオンであるCsSi+
イオン強度61が増加するので、酸化膜54と試料51
の界面位置の特定を行うことができた。
【0036】次に、図7のCsAs+ の二次イオン強度
分布62、CsSi+ の二次イオン強度分布61のう
ち、シリコン酸化膜54中におけるCsAs+ の二次イ
オン強度、同じくシリコン酸化膜54中のCsSi+ の
二次イオン強度分布、イオン注入によるヒ素のドース量
(5x1015原子/cm2 )から相対感度係数を算出し
た。更に、図7の試料51の被測定領域におけるCsA
s+ の二次イオン強度分布、CsSi+ の二次イオン強
度、SIMS測定によって生じたクレーターの深さの値
を用いて、図8に示すように被測定領域51にドーピン
グされたヒ素の深さ方向の濃度分布71を知ることがで
きた。クラスターイオン形成の手法を用いると、上記の
ように主成分酸化物の薄膜を用いる場合にも、酸化の影
響を受けずに正確な定量を行うことが出来る。
【0037】[実施例3]本発明の別の一実施態様につ
いて図面を参照して説明する。図9(a)は試料片の被
測定領域を示す平面図、図9(b)は図9(a)のA−
B部分の断面図である。試料101は、シリコン基板内
の表面近くの特定領域102にのみ未知濃度のボロンが
存在する領域を有する。
【0038】被測定領域上への薄膜の形成例 SIMS測定を行うための試料片の加工工程を上記A−
B部分と同一の断面について図10(a)、(b)に示
した。前記試料101をCVD装置に導入し、同装置の
チャンバー内にシランガスを導入しながら、試料101
上に成長温度500℃で図10(a)に示すようにノン
ドープ・アモルファスシリコン膜104(即ち、本発明
で云う第1の薄膜)を0.05μmの厚みに成長させ
た。続いて図10(b)に示すように、シランガスとジ
ボラン(B2 H6 )ガスを流量比一定に保ちながら導入
し、前記ノンドープ・アモルファスシリコン膜104上
にボロンを1×1017原子/cm3 の濃度で均一に含有
するアモルファスシリコン膜105(即ち、本発明で云
う第2の薄膜)を0.15μmの厚みに成長させた。こ
うして試料101の被測定領域102の上に測定対象元
素ボロンをドープしていない薄膜104が形成され、そ
の上に既知濃度のボロンを含有する薄膜105が積層さ
れて形成された測定試料を作製した。
【0039】二次イオン強度分布の測定 次いで、上記測定試料の被測定領域102に相当する箇
所にSIMS装置を用いて酸素イオンを照射し、ボロ
ン、シリコン、及びアモルファスシリコン膜中に含まれ
る水素の深さ方向の二次イオン強度分布を測定し、図1
1に示した。測定試料101とノンドープ・アモルファ
スシリコン膜104との界面において、水素の二次イオ
ン強度111が図11のように変化するので、ノン・ド
ープ及びドープを併せた積層アモルファスシリコン膜と
測定試料101との界面位置を特定することが出来る。
【0040】相対感度係数の算出 図11を使用して、ドープ・アモルファスシリコン膜1
05中のボロンの二次イオン強度分布112、シリコン
の二次イオン強度(主成分が同一なので一定)113、
及びボロンが均一に含まれるドープ・アモルファスシリ
コン膜105中の既知ボロン濃度(1×1017/cm3
)から相対感度係数を算出した。
【0041】絶対濃度及び濃度分布の算定 上記相対感度係数、及びSIMS測定によって生じたク
レーターの深さの値を用いて図12に示すように被測定
領域102におけるボロンの深さ方向の絶対濃度及び濃
度分布121を知ることが出来た。本実施形態によれ
ば、濃度の絶対値及び深さの絶対値がより明瞭かつ精確
に示される。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、測定試料上に主成分組
成が測定試料と等しい薄膜若しくは主成分の酸化物から
なる薄膜を形成して、この薄膜に既知濃度の測定対象元
素を導入して被測定試料を製作する手法、或は測定試料
上に主成分組成が測定試料と等しいか若しくは主成分の
酸化物であり且つ既知濃度の測定対象元素を含有してい
る薄膜を形成させて被測定試料を作製する手法を用いる
ので、この薄膜表面上から二次イオン質量分析を行う
と、標準試料としての薄膜と被測定試料とを一回の照射
で同時に分析できる。
【0043】従って、従来のように別個の標準試料を測
定すること無しに、当業界において通常広く使用されて
いるCVD装置とSIMS装置を用いて、被測定試料の
深さ方向の測定対象元素の濃度分布を知ることができ、
迅速、簡便且つ高精度の測定方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様(実施例1)により測定さ
れたシリコン基板の深さ方向におけるボロンの濃度分布
を示した図である。
【図2】(a)本発明の一実施態様(実施例1)におい
て、試料片の被測定領域を示す平面図である。 (b)本発明の一実施態様(実施例1)において、試料
片の被測定領域の深さ方向断面を示す断面図である。
【図3】(a)本発明の一実施態様(実施例1)におけ
る試料片の加工工程を説明した断面図である。 (b)本発明の一実施態様(実施例1)における加工済
み試料片の断面図である。
【図4】本発明の一実施態様(実施例1)により測定さ
れたボロン、シリコン及び水素の二次イオン強度と測定
時間の関係を示した図である。
【図5】本発明の別の一実施態様(実施例2)におい
て、試料片の被測定領域の深さ方向断面を示す断面図で
ある。
【図6】(a)本発明の一実施態様(実施例2)におけ
る試料片の加工工程を説明した断面図である。 (b)本発明の一実施態様(実施例2)における加工済
み試料片の断面図である。
【図7】本発明の一実施態様(実施例2)によって得ら
れたシリコンとセシウム、及びヒ素とセシウムのクラス
ターイオン(CsSi+ 、CsAs+ )の二次イオン強
度と測定時間の関係を示した図である。
【図8】本発明の一実施態様(実施例2)によって得ら
れたヒ素の深さ方向の濃度分布を示した図である。
【図9】(a)本発明の別の一実施態様(実施例3)に
おいて、試料片の被測定領域を示す平面図である。 (b)本発明の一実施態様(実施例3)において、試料
片の被測定領域の深さ方向断面を示す断面図である。
【図10】(a)本発明の一実施態様(実施例3)にお
ける試料片の加工工程を説明した断面図である。 (b)本発明の一実施態様(実施例3)における加工済
み試料片の断面図である。
【図11】本発明の一実施態様(実施例3)により測定
されたボロン、シリコン及び水素の二次イオン強度と測
定時間の関係を示した図である。
【図12】本発明の一実施態様(実施例3)によって得
られたボロンの深さ方向の濃度分布を示した図である。
【符号の説明】
1・・・試料片(シリコン基板) 2・・・被測定領域 3・・・測定対象元素(ボロン)存在領域 4・・・薄膜(アモルファスシリコン膜) 5・・・イオン注入(ボロンイオン) 6・・・既知濃度のボロンがイオン注入されたアモルフ
ァスシリコン膜 11・・水素の測定時間に対する二次イオン強度分布 12・・シリコンの測定時間に対する二次イオン強度分
布 13・・ボロンの測定時間に対する二次イオン強度分布 21・・実施例1で得た測定対象元素(ボロン)の深さ
方向濃度分布 51・・被測定試料(シリコン基板) 52・・シリコン酸化膜 53・・イオン注入(ヒ素イオン) 54・・既知濃度のヒ素がイオン注入されたシリコン酸
化膜 61・・CsSi+ クラスターイオンの測定時間に対す
るイオン強度分布 62・・CsAs+ クラスターイオンの測定時間に対す
るイオン強度分布 71・・実施例2で得た測定対象元素(ヒ素)の深さ方
向濃度分布 101・被測定試料(シリコン基板) 102・測定対象元素(ボロン)存在領域 104・ノンドープ・アモルファスシリコン膜 105・既知濃度のボロンが含まれるアモルファスシリ
コン膜 111・水素の測定時間に対する二次イオン強度分布 112・ボロンの測定時間に対する二次イオン強度分布 113・シリコンの測定時間に対する二次イオン強度分
布 121・実施例3で得た測定対象元素(ボロン)の深さ
方向濃度分布

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】試料片中の測定対象元素の濃度分布が変化
    しない温度範囲において、該試料片の被測定領域上に、
    主成分が該試料と同組成の材料若しくは該材料の酸化物
    からなる薄膜を形成し、該薄膜中へ既知濃度の測定対象
    元素を導入した後、該薄膜表面に一次イオンを照射して
    該試料片の深さ方向における測定対象元素の濃度プロフ
    ァイルを測定することを特徴とする二次イオン質量分析
    方法。
  2. 【請求項2】 被測定領域上に形成された薄膜中への既
    知濃度の測定対象元素の導入方法がイオン注入法である
    こと特徴とする請求項1記載の二次イオン質量分析方
    法。
  3. 【請求項3】 試料片中の測定対象元素の濃度分布が変
    化しない温度範囲において、該試料片の被測定領域上
    に、主成分が該試料と同組成の材料若しくは該材料の酸
    化物からなり且つ既知濃度の測定対象元素を含有する薄
    膜を形成した後、該薄膜表面に一次イオンを照射して該
    試料片の深さ方向における測定対象元素の濃度プロファ
    イルを測定することを特徴とする二次イオン質量分析方
    法。
  4. 【請求項4】 前記試料片の被測定領域上に主成分が該
    試料と同組成の材料若しくは該材料の酸化物からなり且
    つ測定対象元素をドープしてない薄膜を形成した後、該
    薄膜の上に前記既知濃度の測定対象元素を含有する薄膜
    を形成することを特徴とする請求項3記載の二次イオン
    質量分析方法。
  5. 【請求項5】 被測定領域上への前記薄膜または前記既
    知濃度の測定対象元素を含有する薄膜の形成に気相堆積
    法を用いることを特徴とする請求項1、3または4記載
    の二次イオン質量分析方法。
  6. 【請求項6】 被測定試料が半導体素子または半導体装
    置であり、測定対象元素がドーピングされた不純物であ
    る請求項1、2、3、4または5記載の二次イオン質量
    分析方法。
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