JPH11234038A - 偏波適応フェーズドアレーアンテナ - Google Patents

偏波適応フェーズドアレーアンテナ

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JPH11234038A
JPH11234038A JP4624198A JP4624198A JPH11234038A JP H11234038 A JPH11234038 A JP H11234038A JP 4624198 A JP4624198 A JP 4624198A JP 4624198 A JP4624198 A JP 4624198A JP H11234038 A JPH11234038 A JP H11234038A
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array antenna
wave
equation
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Masato Tanaka
正人 田中
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 偏波が未知の到来電波の偏波状態を同定で
き、また、同定した偏波に合わせて偏波状態を可変し、
その楕円偏波ビームを走査できるフェーズドアレーアン
テナを提供する。 【解決手段】 直線偏波の素子アンテナを用いたアレー
アンテナで各素子アンテナをボアサイト軸の回りにp
(n−1)π/Nラジアンの開店(Nは全素子数、nは
素子番号、pは1≦p≦N−1の整数)を与えて配置
し、各素子アンテナに移相器を取付けて、電力分配器と
接合すると共に、各素子アンテナの出力のうち最低3素
子の受信電力を検出できるフェーズドアレーアンテナを
基本構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は偏波が未知の到来電
波の偏波状態を同定でき、また、同定した偏波に合わせ
て偏波状態を可変し、その楕円偏波ビームを操作できる
フェーズドアレーアンテナに関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、偏波が未知の到来電波に対して
偏波状態を同定し、同定した偏波に合わせて偏波状態を
可変にできるアンテナを構成することは困難である。例
えば、ミリ波構内通信用アンテナにおいて、ミリ波構内
通信では親局から子局に直接到達した電波を使用する
が、親局と子局の間に人などが入り込んで直接波が遮断
されたときに、壁などで反射された電波を使用すること
も考えられる。
【0003】しかしながら、円偏波が壁などにぶつかっ
て反射された場合、一般に逆旋の楕円偏波となり、楕円
偏波率は壁の材質や電波の入射角に依存する。そして、
壁などで反射された電波を利用しようとすると不確定な
偏波に適合するアンテナが必要になるが従来のアンテナ
ではこれを容易に受信することができなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、到来電波の偏
波状態を同定するためには、楕円偏波率、楕円の傾き角
(Tilte angle )、偏波の回転方向の3つのパラメータ
が必要である。一般に、到来電波の電界の振幅と位相を
直交する2方向で測定することにより上記の楕円偏波の
3つのパラメータが分かるが、位相を正確に測定するに
は高価な装置が必要である。
【0005】また、同定した偏波に合わせて楕円偏波ビ
ームを走査しようとした場合にフェーズドアレーアンテ
ナとしては、図11に示す2点給電のマイクロストリッ
プアンテナを用いて構成される図12のようなフェーズ
ドアレーアンテナが考えられる。このフェーズドアレー
では、ビーム走査用の移相器以外に素子アンテナの偏波
を変化させるための移相器が各素子アンテナに取付けて
あり、これにより素子アンテナ自体の偏波を可変させる
ことができ、楕円偏波のビームを走査可能である。
【0006】ただし、図12の構成のフェーズドアレー
アンテナではビーム走査用の移相器以外に素子アンテナ
用移相器が必要であり、また、2点給電マイクロストリ
ップアンテナであることから2電力分配器が各素子アン
テナに必要となり、コストが高くなる問題がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上記従来の欠点
に鑑み提案されたもので、直線偏波の素子アンテナから
なるフェーズドアレーであって、各素子アンテナから受
信電力(または受信電圧の振幅値)およびフェーズドア
レーアンテナで円偏波の回転方向を左旋と右旋に切り替
えたときの受信電力(又は受信電圧の振幅値)を検出す
ることにより、位相の測定を行うことなく到来電波の偏
波状態を同定できるフェーズドアレーアンテナを提供す
るものである。
【0008】また、同定した偏波状態に適合した偏波の
ビームを走査可能であるフェーズドアレーアンテナを提
供するものである。
【0009】なお、このフェーズドアレーは、ビーム走
査した方向の偏波を左旋円偏波又は右旋円偏波に切り替
えるのに、フェーズドアレーにスイッチ等の能動デバイ
スを付加することなく、給電位相量を変えるだけで設定
できる。また、給電位相量を変えるだけでビーム走査し
た方向の偏波を所望の楕円偏波に設定できる。
【0010】具体的には、複数の直線偏波の素子アンテ
ナからなるアレーアンテナであって、上記各素子アンテ
ナをボアサイト軸の周りにp(n−1)π/Nラジアン
の回転(Nは全素子数,nは素子番号,Pは1≦P≦N
−1の整数)を与えて配置し、更に上記各素子アンテナ
はそれぞれ移相器を介して電力分配器と結合すると共
に、上記各素子アンテナからの受信電力(又は受信電圧
の振幅値)およびアレーアンテナの合成波の偏波を左旋
円偏波と右旋円偏波に切り替えたときの受信電力(又は
受信電圧の振幅値)を検出することにより、位相の測定
を行わずに到来電波の偏波状態を同定することを特徴と
するフェーズドアレーアンテナを提供する。
【0011】更に、複数の直線偏波の素子アンテナから
なるアレーアンテナであって、上記各素子アンテナをボ
アサイト軸の周りにp(n−1)π/Nラジアンの回転
(Nは全素子数,nは素子番号,Pは1≦P≦N−1の
整数)を与えて配置し、更に上記各素子アンテナはそれ
ぞれ移相器を介して電力分配器と結合すると共に、上記
各素子アンテナからの受信電力(又は受信電圧の振幅
値)およびアレーアンテナの合成波の偏波を左旋円偏波
と右旋円偏波に切り替えたときの受信電力(又は受信電
圧の振幅値)を検出することにより、位相の測定を行わ
ずに到来電波の偏波状態を同定し、その偏波状態に適合
した偏波のアンテナビームを形成することを特徴とする
偏波適応フェーズドアレーアンテナを提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。図1に示すように、直線偏波の素子
アンテナを用いたアレーアンテナで各素子アンテナをボ
アサイト軸の回りにp(n−1)π/Nラジアンの回転
(Nは全素子数、nは素子番号、pは1≦p≦N−1の
整数)を与えて配置し、各素子アンテナに移相器を取り
付けると共に、さらに各素子アンテナの受信電力(電圧
の振幅値)を取り出せるフェーズドアレーが本発明の実
施形態における基本構成である。なお、直線偏波の素子
アンテナとしては、図2のマイクロストリップアンテナ
等がある。
【0013】未知の偏波を同定するには、楕円偏波率
(軸比)、傾き角、偏波の回転方向がわかればよい。そ
こで、各素子アンテナの出力のうち最低3素子の受信電
力(又は受信電圧の振幅値)をモニターすることにより
楕円偏波率(軸比)と傾き角がわかる。
【0014】次に、本アレーアンテナを円偏波切替アン
テナとして動作させることにより偏波の回転方向がわか
る。すなわち右旋偏波動作させたときのアレーの受信電
力(又は受信電圧の振幅値)と左旋偏波動作させたとき
のアレーの受信電力(又は受信電圧の振幅値)を比較し
たときに値が大きい方の偏波回転がその楕円偏波の回転
方向となる。また、右旋偏波の受信電力(又は受信電圧
の振幅値)と左旋偏波の受信電力(又は受信電圧の振幅
値)を用いれば楕円偏波率(軸比)も求めることができ
る。
【0015】左旋・右旋円偏波を切り替えるには、次の
ようにする。上記したフェーズドアレーの各素子アンテ
ナを図3のXY平面上に配置し、(θ0 ,φ0 )方向に
ビーム走査した方向の偏波を左旋・右旋円偏波に切り替
えるには、各素子アンテナに与える位相Un (θ0 ,φ
0 )を下記の数式1とする。
【0016】
【数1】
【0017】なお、数式1において、変数は下記のよう
に定義される。 n:素子番号 dn :素子アンテナの位置を示す位置ベクトル r(θ0 ,φ0 ):ビーム走査方向(θ0 ,φ0 )の単
位ベクトル k0 :自由空間中の波数 この数式1の第1項はビーム走査用の位相である。第2
項は円偏波用の位相であり、数式2で表される。
【0018】
【数2】
【0019】なお、数式2において、変数は下記のよう
に定義される。 p:1≦p≦N−1の整数 N:アレー素子数 n:素子アンテナの番号 数式2の位相と素子アンテナのボアサイト軸回りの回転
角p(n−1)π/Nラジアンにより、円偏波が得られ
る。ここでmは円偏波の回転方向を決める係数であり、
m=0のとき左旋円偏波、m=1のとき右旋円偏波とな
る。
【0020】フェーズドアレーでは、数式1で表される
位相は移相器により与えられることから、mの制御は容
易に可能であり、このことから、ビーム走査した方向の
偏波を右旋・左旋円偏波に切り替えることが可能であ
る。
【0021】偏波適応ビーム走査においては、到来電波
の偏波状態を同定し、その偏波状態に適合した偏波のア
ンテナビームを形成する。
【0022】偏波状態が可変なフェーズドアレーとして
動作をさせるためには図3の平面フェーズドアレーの各
素子アンテナへ数式3で表される位相Vn (θ0
φ0 )を与える。
【0023】
【数3】
【0024】なお、数式3においてnは素子番号をあら
わす。この数式3の第1項はビーム走査用の位相であ
る。第2項は数式2で表される円偏波用の位相である。
また、第3項のΔΨn は合成電界を楕円偏波にするため
の位相であり、ΔΨn の与えかたにより楕円偏波率と楕
円の傾き角(tiltangle)が決まる。数式3で
表される位相Vn (θ0 ,φ0 )は各素子アンテナに接
続されている移相器により実現可能である。
【0025】
【実施例】本発明の第1実施例を以下に示す。到来電波
の偏波状態を同定する機能について、図4に示す4素子
アレーで説明する。
【0026】簡単のためにアレーアンテナの正面方向か
ら未知の偏波を持つ電波について偏波同定を行うことと
する。また、電波の形式はC.W.とする。通信波を扱
う場合はCMA方式のアダプティブアレーと同様に出力
電圧の包絡線が一定な位相変調や周波数変調の信号の包
絡線をモニターすれば同等の性能となり得る。
【0027】図15に示すように、楕円偏波の異なる3
方向の電圧の振幅が与えられたときの楕円偏波率と傾き
角について考える。簡単のために、3方向のうち、1つ
の方向をS軸方向、もう1つの方向をT軸方向とする。
残りの方向は、S軸からξだけ回転した方向とする。そ
して、各3方向の電圧の振幅値をそれぞれa,b,cと
すると楕円偏波率ARは数式4で与えらる。
【0028】
【数4】
【0029】また、傾き角τは数式5で与えられる。
【0030】
【数5】
【0031】ここで、
【0032】
【数6】
【0033】初めに、図4の4素子アレーが図3のXY
平面上に配列されており、この4素子アレーのボアサイ
ト方向(Z軸方向)から図5の楕円偏波が到来したとす
る。簡単のために、4素子アレーのうち素子番号1と素
子番号3の素子アンテナの直線偏波の方向が各々図3の
X軸とY軸に一致しており、かつ、各々図5の楕円偏波
のS軸とT軸と一致しているとする。素子番号3の素子
アンテナの直線偏波の方向は図5の楕円偏波のξ=π/
4の方向となる。素子番号1、2、3の各素子アンテナ
の受信電圧の振幅値a1 、b1 、c1 とすると、qは数
式7で与えられる。
【0034】
【数7】
【0035】このqとa=a1 、b=b1 、c=c1
数式4と数式5に代入することにより、楕円偏波率と傾
き角が求まる。
【0036】次に、図4の4素子アレーのボアサイト方
向から離れた方向から楕円偏波が到来した場合について
考える。ただし、到来方向は未知であるとする。
【0037】一般に、θがボアサイト方向から離れると
素子アンテナのE面パターンとH面パターンは一致しな
くなるが、よく用いられるマイクロストリップ円形パッ
チアンテナ等ではかなり広い範囲までほぼ一致するとみ
なせる。このため、広い範囲のθに対して、素子アンテ
ナはアジマス方向(φ方向)にわたってほぼ均一な受信
利得があるとみなせる。
【0038】簡単のため、(θ、0)方向から図5の楕
円偏波が到来したとする。素子アンテナがアジマス方向
(φ方向)にわたって均一な受信利得がある場合、図3
のXY平面上の素子アンテナが受信した偏波は、図5の
楕円偏波をXY平面に投影した楕円偏波と見かけ上等価
値であり、したがって、素子番号1、2、3の各素子ア
ンテナの受信電圧の振幅値a2 、b2 、c2 と図5の楕
円偏波のa、b、cとの関係は数式8で表される。
【0039】
【数8】
【0040】数式8を数式4と数式5に代入することに
より、未知の電波が斜め方向から到来する場合でも、到
来方向が既知の場合に、素子アンテナの受信電圧の振幅
値を検出することにより偏波状態の固定ができる。
【0041】次に図4の4素子アレーを円偏波切替アン
テナとして動作させることにより偏波の回転方向がわか
る。すなわち右旋偏波動作させたときのアレーの受信電
力(又は受信電圧の振幅値)と左旋偏波動作させたとき
のアレーの受信電力(又は受信電圧の振幅値)を比較し
たときに値が大きい方の偏波回転がその楕円偏波の回転
方向となる。以上により、到来電波の楕円偏波率、傾き
角、偏波の回転方向が特定できる。
【0042】以下、図4の素子アレーを円偏波切替アン
テナとして動作させる原理について説明する。
【0043】まず、はじめに、アレーのボアサイト方向
での動作を考える。各素子アンテナをボアサイト軸の回
りに(n−1)π/4ラジアンの回転(nは素子番号、
p=1)を与えて配置された後の各素子アンテナの偏波
は、図6(1)のようになる。各素子アンテナは直線偏
波である。直線偏波は、図6(2)のように右旋円偏波
成分と左旋円偏波成分に分解できる。アレーのボアサイ
ト方向に右旋円偏波のビームを走査するには、各素子ア
ンテナに数式9の位相をあたえる。
【0044】
【数9】
【0045】この数式9は、数式2でm=1の場合であ
る。なお、数式9でnは素子番号をあらわす。この場
合、図7のように、右旋円偏波成分に対しては各素子ア
ンテナの電界ベクトルが同位相で合成されるが、左旋円
偏波成分に対しては各素子アンテナの電界ベクトルが合
成されると零になるようにはたらく。したがって、アレ
ー全体としては右旋円偏波が得られ、左旋円偏波成分は
零となる。逆に、アレーのボアサイト方向に左旋円偏波
のビームを走査するには、各素子アンテナに数式10の
位相をあたえる。
【0046】
【数10】
【0047】この数式10は、数式2でm=0の場合で
ある。なお、数式10でnは素子番号をあらわす。この
場合、図8のように、左旋成分は同位相で合成される
が、右旋成分は零となる。フェーズドアレーにおいて
は、位相の制御は移相器でおこなえることから、右旋円
偏波用の給電位相と左旋円偏波用の給電位相の切り替え
は容易である。
【0048】次に、ビームをある方向に走査した場合を
考える。フェーズドアレーでビームを走査した方向(θ
0 ,φ0 )での第n番目の素子アンテナの電界は数式1
1で表される。
【0049】
【数11】
【0050】ここで、Ee (θ0 )、Eh (θ0 )はそ
れぞれθ=θ0 方向でのE面電界およびH面電界、eθ
、eφ はそれぞれθ方向、φ方向の単位ベクトル、j
は虚数単位である。数式11の第1項は左旋楕円偏波、
第2項は右旋楕円偏波を表している。アレーのボアサイ
ト方向すなわちθ0 =0方向ではEe (0)=E
h (0)となることから数式11の第1項は左旋円偏
波、第2項は右旋円偏波となり、直線偏波が左旋円偏波
と右旋円偏波に分解できる。
【0051】一般にθがボアサイト方向から離れるとE
e (θ0 )とEh (θ0 )は一致しなくなるが、よく用
いられるマイクロストリップ円形パッチアンテナ等では
かなり広い範囲までほぼ一致するとみなせる。このた
め、ビームをある方向に走査したときの動作は、上記で
検討したアレーのボアサイト方向での動作とほとんど同
じことになり、左旋・右旋円偏波を切替てビーム走査で
きることになる。
【0052】本発明の第2実施例を以下に示す。到来電
波の偏波状態を同定し、その偏波状態に適合した偏波の
アンテナビームを形成する機能について説明する。
【0053】まず、第1実施例のようにして到来電波の
偏波状態を同定し、この情報をもとに偏波の回転方向に
関係するmを決め、後述するように、数式12、数式1
3で与えられる軸比ARと傾き角τが、到来電波の偏波
状態を同定により求めた軸比と傾き角に一致するように
各素子アンテナに与える偏波可変用位相量ΔΨn を決め
る。この場合、ある軸比とある傾き角を実現できるΔΨ
n の組み合わせは幾通りも存在することから、ΔΨn
求め方は、たとえば、デジタル移相器を用いている場
合、あらかじめすべての組み合わせのテーブルを作成し
ておき、それを引用する。
【0054】以下に、ビーム走査した方向での偏波を所
望の楕円偏波に設定できることを説明する。第1実施例
の場合と同じで、素子アンテナとしてマイクロストリッ
プ円形パッチアンテナ等を用い、Ee (θ0 )とE
h (θ0 )がかなり広い範囲までほぼ一致するとみなせ
る場合について考える。図1のフェーズドアレーで、
(θ0 ,φ0 )方向にビーム走査するように数式3で表
される位相で給電したときの(θ0 ,φ0 )方向での楕
円偏波率(軸比)ARと傾き角τは数式12、数式13
で表され、数式3の中の偏波可変用位相ΔΨn に依存す
る。
【0055】
【数12】
【0056】
【数13】
【0057】ここで、Θn は数式2で表される円偏波用
の位相であり各素子アンテナ毎に固定である。以上によ
り、各素子アンテナに与える偏波可変用位相ΔΨn を適
当に選ぶことにより、楕円偏波率ARと傾き角τを変え
ることができる。
【0058】ここで、楕円偏波率ARと傾き角τは偏波
可変用位相ΔΨn の関数であることから、偏波可変用位
相ΔΨn に依存して同時に変化するように見え、楕円偏
波率ARと傾き角τを独立に変化させることができない
ように見えるが、実は偏波可変用位相ΔΨn の組み合わ
せの選び方により独立に変化させることが可能である。
例えば、図4に示す4素子アレーにおいて偏波可変用位
相ΔΨn の組み合わせを、次の2つのケースとした場合
の楕円偏波率ARと傾き角τを比べてみる。この場合の
円偏波用位相Θn は数式2でm=1とし、右旋円偏波に
してある。
【0059】ケース1
【0060】
【数14】
【0061】ケース2
【0062】
【数15】
【0063】ケース1の場合の偏波状態は図9のように
なる。このときの楕円偏波率AR1と傾き角τ1は、数
式16となる。
【0064】
【数16】
【0065】ケース2の場合の偏波状態は図10のよう
になる。このときの楕円偏波率AR2と傾き角τ2は数
式17となり、ケース1と比べると、楕円偏波率は等し
いが、傾き角が異なる。
【0066】
【数17】
【0067】したがって、偏波可変用位相ΔΨn の組み
合わせを選ぶことにより、楕円偏波率ARと傾き角τを
独立に変えることができる。
【0068】以上、本発明を図面に記載された実施形態
に基づいて説明したが、本発明は上記した実施形態だけ
ではなく、特許請求の範囲に記載した構成を変更しない
限りどのようにでも実施することができる。
【0069】
【発明の効果】以上要するに、本発明によれば、下記に
示すような多大な効果を奏する。直線偏波の素子アンテ
ナからなるフェーズドアレーであって、各素子アンテナ
の受信電力(又は受信電圧の振幅値)のうち最低3素子
の受信電力(又は受信電圧の振幅値)およびフェーズド
アレーアンテナで円偏波の回転方向を左旋と右旋に切り
替えたときの受信電力(又は受信電圧の振幅値)を検出
することにより、位相の測定を行うことなく到来電波の
偏波状態を同定できる。
【0070】また、同定した偏波状態に適合した偏波の
ビームを走査可能である。
【0071】なお、このフェーズドアレーは、ビーム走
査した方向の偏波を左旋円偏波または右旋円偏波に切り
替えるのに、フェーズドアレーにスイッチ等の能動デバ
イスを付加することなく、給電位相量を変えるだけで設
定できる。また、給電位相量を変えるだけでビーム走査
した方向の偏波を所望の楕円偏波に設定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】到来電波の偏波状態を同定するフェーズドアレ
ーの基本構成を示すブロック図である。
【図2】直線偏波の素子アンテナを示す構成図である。
【図3】平面上に配置したフェーズドアレーの各素子ア
ンテナと座標系の関係をしめす概念図である。
【図4】到来電波の偏波状態を同定する4素子フェーズ
ドアレーの構成を示すブロック図である。
【図5】楕円偏波と3方向の振幅の関係を示す概念図で
ある。
【図6】(1),(2)は右旋円偏波成分と左旋円偏波
成分への分解を示す概念図である。
【図7】右旋円偏波の生成の状態を示す概念図である。
【図8】左旋円偏波の生成の状態を示す概念図である。
【図9】(1),(2),(3)は4素子アレーにおけ
る偏波可変用位相ΔΨn の組み合わせのケース1を示す
概念図である。
【図10】(1),(2),(3)は4素子アレーにお
ける偏波可変用位相ΔΨn の組み合わせのケース2を示
す概念図である。
【図11】2点給電による素子アンテナを示す構成図で
ある。
【図12】従来の偏波可能な素子アンテナによる楕円偏
波ビーム走査用フェーズドアレーの構成を示すブロック
図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年3月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】具体的には、複数の直線偏波の素子アンテ
ナからなるアレーアンテナであって、上記各素子アンテ
ナをボアサイト軸の周りにp(n−1)π/Nラジアン
の回転(Nは全素子数,nは素子番号,Pは1≦P≦N
−1の整数)を与えて配置し、更に上記各素子アンテナ
はそれぞれ移相器を介して電力分配器と結合すると共
に、各素子アンテナの受信電力(又は受信電圧の振幅
値)を取り出して検出し、上記各素子アンテナのうちで
到来楕円偏波に対して回転方向が異なる3方向以上の素
子アンテナの受信電力(又は受信電圧の振幅値)に基づ
いて、到来電波の楕円偏波率と楕円の傾き角を求め、
レーアンテナの合成波の偏波を左旋円偏波と右旋円偏波
に切り替えたときの受信電力(又は受信電圧の振幅値)
の大きさを比較することに基づいて、楕円偏波の回転方
向を求めることにより、位相の測定を行わずに到来電波
の偏波状態を同定することを特徴とするフェーズドアレ
ーアンテナを提供する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】更に、複数の直線偏波の素子アンテナから
なるアレーアンテナであって、上記各素子アンテナをボ
アサイト軸の周りにp(n−1)π/Nラジアンの回転
(Nは全素子数,nは素子番号,Pは1≦P≦N−1の
整数)を与えて配置し、更に上記各素子アンテナはそれ
ぞれ移相器を介して電力分配器と結合すると共に、各素
子アンテナの受信電力(又は受信電圧の振幅値)を取り
出して検出し、上記各素子アンテナのうちで到来楕円偏
波に対して回転方向が異なる3方向以上の素子アンテナ
の受信電力(又は受信電圧の振幅値)に基づいて、到来
電波の楕円偏波率と楕円の傾き角を求め、アレーアンテ
ナの合成波の偏波を左旋円偏波と右旋円偏波に切り替え
たときの受信電力(又は受信電圧の振幅値)の大きさを
比較することに基づいて、楕円偏波の回転方向を求め
ことにより、位相の測定を行わずに到来電波の偏波状態
を同定し、その偏波状態に適合した偏波のアンテナビー
ムを形成することを特徴とする偏波適応フェーズドアレ
ーアンテナを提供する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】
【数1】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正内容】
【0023】
【数3】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正内容】
【0027】図5に示すように、楕円偏波の異なる3方
向の電圧の振幅が与えられたときの楕円偏波率と傾き角
について考える。簡単のために、3方向のうち、1つの
方向をS軸方向、もう1つの方向をT軸方向とする。残
りの方向は、S軸からξだけ回転した方向とする。そし
て、各3方向の電圧の振幅値をそれぞれa,b,cとす
ると楕円偏波率ARは数式4で与えらる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正内容】
【0028】
【数4】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正内容】
【0032】
【数6】
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正内容】
【0034】
【数7】
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正内容】
【0038】簡単のため、(θ、0)方向から図5の楕
円偏波が到来したとする。素子アンテナがアジマス方向
(φ方向)にわたって均一な受信利得がある場合、図3
のXY平面上の素子アンテナが受信した偏波は、図5の
楕円偏波をXY平面に投影した楕円偏波と見かけ上等
あり、したがって、素子番号1、2、3の各素子アン
テナの受信電圧の振幅値a、b、cと図5の楕円
偏波のa、b、cとの関係は数式8で表される。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の直線偏波の素子アンテナからなる
    アレーアンテナであって、上記各素子アンテナをボアサ
    イト軸の周りにp(n−1)π/Nラジアンの回転(N
    は全素子数,nは素子番号,Pは1≦P≦N−1の整
    数)を与えて配置し、更に上記各素子アンテナはそれぞ
    れ移相器を介して電力分配器と結合すると共に、上記各
    素子アンテナからの受信電力(又は受信電圧の振幅値)
    およびアレーアンテナの合成波の偏波を左旋円偏波と右
    旋円偏波に切り替えたときの受信電力(又は受信電圧の
    振幅値)を検出することにより、位相の測定を行わずに
    到来電波の偏波状態を同定することを特徴とするフェー
    ズドアレーアンテナ。
  2. 【請求項2】 複数の直線偏波の素子アンテナからなる
    アレーアンテナであって、上記各素子アンテナをボアサ
    イト軸の周りにp(n−1)π/Nラジアンの回転(N
    は全素子数,nは素子番号,Pは1≦P≦N−1の整
    数)を与えて配置し、更に上記各素子アンテナはそれぞ
    れ移相器を介して電力分配器と結合すると共に、上記各
    素子アンテナからの受信電力(又は受信電圧の振幅値)
    およびアレーアンテナの合成波の偏波を左旋円偏波と右
    旋円偏波に切り替えたときの受信電力(又は受信電圧の
    振幅値)を検出することにより、位相の測定を行わずに
    到来電波の偏波状態を同定し、その偏波状態に適合した
    偏波のアンテナビームを形成することを特徴とする偏波
    適応フェーズドアレーアンテナ。
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