JPH11231233A - マイクロシャッタアレイ及びその製造方法 - Google Patents

マイクロシャッタアレイ及びその製造方法

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JPH11231233A
JPH11231233A JP10032275A JP3227598A JPH11231233A JP H11231233 A JPH11231233 A JP H11231233A JP 10032275 A JP10032275 A JP 10032275A JP 3227598 A JP3227598 A JP 3227598A JP H11231233 A JPH11231233 A JP H11231233A
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micro
film
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shutter array
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Yoshihiko Suzuki
美彦 鈴木
Katsushi Nakano
勝志 中野
Shinya Hara
信也 原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 入射光の光量を大きくすることができ、か
つ、光照射で生ずる構造体の発熱が生じても光学性能へ
の影響が少ないマイクロシャッタアレイを提供する。 【解決手段】 入射した帯状光は、異方性エッチングで
形成したシリコン斜面からなる反射面16で反射し、ス
リット列11を透過するが、薄膜遮光部材12で遮光さ
れる。駆動用電極14及び15に電圧を印加すると、薄
膜遮光部材12上の薄膜コイル13に通電される。ま
た、薄膜遮光部材12の長手方向と平行に外部磁場Bが
印加されている。よって、薄膜コイル13に通電された
薄膜遮光部材12にはローレンツ力が働き、その厚み方
向に変形する。これにより、スリット列の開口部が薄膜
遮光部材12で覆われなくなり、光が通過することがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光の通過をオンオ
フする微小な光学素子に関するものであり、更に詳しく
は、1次元又は2次元方向に亘って光の通過を制御でき
るマイクロシャッタアレイに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体製造技術(マイクロマシニ
ング技術)を利用して、様々な微小機械の研究開発が活
発に行われている。面内に微小なミクロサイズミラーを
集積化した光学素子についても研究の成果が活用されて
いる。従来報告されている微小光学素子においては、十
数μm角の金属ミラーを基板面上に多数個集積し、これ
らのミラーを基板上に設けた電極とミラー間の静電気力
により駆動してミラーの角度を変化させ、個々のミラー
の反射角度を制御する方式が用いられている。(例え
ば、Technical Digest of the 14th Sensor Symposium,
1996,pp297.)
【0003】図9は、従来の微小光学素子の概略断面構
造を示す図である。図9において、81は基板、82は
電極層、83は駆動電極膜、84は反射ミラー部、85
はポスト部である。基板81上に電極層82を設け、駆
動電極膜83を電極層82に対向させて設ける。電極8
2上にポスト部82で支えられた可動ミラー部を形成す
る。それにより、可動ミラー部を、駆動電極膜83とポ
スト部85で連結された反射ミラー部84とから構成す
る。片側の電極層82に電圧を印加すると駆動電極膜8
3が基板側に引き寄せられ、ポスト部85の基部を中心
にした回転力が発生し、可動ミラー部83、84が傾
く。すなわち、反射ミラー部84が傾く。これにより反
射ミラーに入射した光の反射方向が制御される。このよ
うに、図9に示す微小光学素子は、特定の反射方向に反
射した光のみを投影することにより投影機用の光学素子
として利用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
た従来のマイクロミラーでは、自立した薄膜部からの反
射光を用いるため、入射する光により反射ミラー部84
の温度が上昇し、反射ミラー部84が反る等の経時的変
化が生じやすい等の問題点がある。このため、入射する
光強度に制限が生じ、明るい投影機器を実現する妨げに
なっている。また、反射ミラー部84のうねりや初期撓
みのばらつきにより、反射性能が面内でばらつくという
問題も有している。
【0005】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、入射光の光量を大きくすることができ、かつ、
光照射で生ずる構造体の発熱が生じても光学性能への影
響が少ないマイクロシャッタアレイを提供することを課
題とする。
【0006】
【課題を解決する手段】前記課題を解決するための第1
の手段は、光を反射する反射面と、反射面を通過する光
が通過する位置に設けられたスリット列と、スリット列
の開口部を覆うように設けられた複数の薄膜遮光部材を
有してなり、前記薄膜遮光部材は電気的に駆動され、ス
リット列の開口部を通過する光を遮光したり通過させた
りするものであって、前記反射面、スリット列及び薄膜
遮光部材が、マイクロマシニング工程により一体として
製作されたものであることを特徴とするマイクロシャッ
タアレイ(請求項1)である。
【0007】本手段においては、光が反射面で反射さ
れ、スリット列に照射される。又は、逆にスリット列を
通過した光は反射面で反射される。スリット列の開口部
を通過した光は、スリット列の開口部を覆うように設け
られた薄膜遮光部材によって遮断される。薄膜遮光部材
を電気的に駆動すると、薄膜遮光部材が変形したり、移
動したりしてスリット列の開口部を覆わないようにな
り、対応する部分の光が通過して外部に投射される。駆
動する薄膜遮光部材を選択することにより、1次元のシ
ャッタアレイとして作動させることができる。
【0008】本手段においては、強力な光を入射して薄
膜遮光部材の形状に経時変化が生じたとしても、薄膜遮
光部材が光を遮りさえすればよいので素子の光学性能に
は影響が無い。よって、強い光をオンオフすることがで
きる。
【0009】また、本手段においては、反射面、スリッ
ト列及び薄膜遮光部材がマイクロマシニング工程により
一体として製作されるので、微小な構造のものとするこ
とができ、かつ、多数のマイクロシャッタアレイを容易
に製作することができる。なお、マイクロマシニング工
程とは、リソグラフィ、エッチング、リフトオフ法、気
相成長法等、半導体製造に使用される技術を利用して微
小な機械部品、電気部品を製造する工程のことをいう。
【0010】前記課題を解決するための第2の手段は、
前記第1の手段であって、反射面が、異方性エッチング
で形成されたシリコン基板面であることを特徴とするも
の(請求項2)である。
【0011】本手段においては、反射面をシリコン基板
を異方性エッチングで形成することにより、容易に鏡面
特性を持つ反射面を製造することができる。また、異方
性エッチングで形成された反射面は、シリコン基板の厚
み方向に対して傾いているので、シリコン基板面方向
(厚み方向に直角な方向)から投射された光を、略厚み
方向へ向かう光に変換することができる。マイクロマシ
ニング工程を利用して、光発生機構を同じ基板に組み込
む場合、光発生機構から投射される光は基板面方向への
光とすることが製作上好ましい。よって、前記のような
反射面とすることにより、このような光発生機構からの
光を、基板面から投射される光に変換することができ
る。
【0012】前記課題を解決するための第3の手段は、
前記第1の手段又は第2の手段であって、薄膜遮光部材
は熱膨張率の異なる薄膜を積層して構成され、通電によ
り発生する熱によりバイモルフ動作をすることを特徴と
するもの(請求項3)である。
【0013】本手段においては、例えば薄膜遮光部材に
電熱発熱部(薄膜ニクロム線等)を一体形成しておき、
通常の状態では、薄膜遮光部材がスリットの開口部を覆
うようにしておく。電熱発熱部に通電することにより熱
を発生させると、薄膜遮光部材は、それを構成する積層
薄膜の熱膨張率の違いにより変形し、シャッタの開口部
を覆わなくなる。よって、通電によりシャッタの開閉を
制御できる。
【0014】前記課題を解決するための第4の手段は、
前記第1の手段又は第2の手段であって、薄膜遮光部材
には薄膜コイルが一体形成され、前記薄膜遮光部材は、
前記薄膜コイルに流れる電流と外部磁場とで発生するロ
ーレンツ力により駆動されることを特徴とするもの(請
求項4)である。
【0015】薄膜コイルに電流を流すと、外部磁場の影
響によりローレンツ力が発生し、それにより薄膜遮光部
材が変形又は移動する。よって、通電によりシャッタの
開閉を制御することができる。
【0016】前記課題を解決するための第5の手段は、
前記第1の手段又は第2の手段であって、薄膜遮光部材
は、静電気力により駆動されることを特徴とするもの
(請求項5)である。
【0017】この手段においては、静電アクチュエータ
により薄膜遮光部材を変形又は移動させる。よって、通
電によりシャッタの開閉を制御することができる。
【0018】前記課題を解決するための第6の手段は、
前記第1の手段から第5の手段のいずれかであって、反
射面が回転可能であることを特徴とするもの(請求項
6)である。
【0019】本手段においては、反射面を回転させるこ
とにより、マイクロシャッタアレイから投射される光の
方向が変化する。反射面の回転軸とスリット列の並び方
向とが同じになるようにしておけば、例えばx軸方向位
置の光のオンオフ制御を薄膜遮光部材で制御し、それを
反射面の回転でy軸方向にスキャニングすることによ
り、2次元の光シャッタとして使用できる。
【0020】前記課題を解決するための第7の手段は、
前記第1の手段から第5の手段のいずれかのマイクロシ
ャッタアレイを、反射面の方向が接合面に対して対称に
なるようにして2個接合し、接合面に中心を有する回動
軸を設けたことを特徴とするもの(請求項7)である。
【0021】本手段に係るマイクロシャッタアレイに光
を投射すると、光は前記接合面を境にして分割され、そ
れぞれマイクロシャッタアレイの反射面で反射される。
そして、第1のマイクロシャッタアレイの反射面で反射
された光は、第1のマイクロシャッタアレイの薄膜遮光
部材で制御され、第2のマイクロシャッタアレイの反射
面で反射された光は、第2のマイクロシャッタアレイの
薄膜遮光部材で制御される。光学系により、これら2分
割されて、各々のマイクロシャッタアレイで制御された
光を、光学系により、再び結合した光として投影する。
【0022】このようにすれば、マイクロシャッタアレ
イが1つのときの1/2の角度の回動により、同じ投影
面積をカバーすることができる。これにより、薄膜遮光
部材から光線が外れることなく、投影面積を大きくとる
ことができる。
【0023】前記課題を解決するための第8の手段は、
前記第1の手段から第5の手段のいずれかであって、前
記反射面とは別の第2の反射面を有し、第2の反射面の
位置が変化することにより、光の照射方向が変化するこ
とを特徴とするもの(請求項8)である。
【0024】本手段においては、第2の反射面の位置変
化により光の照射方向が変化するので、光の照射の変化
方向を、スリット列の並び方向と直角になるようにして
おけば、例えばx軸方向位置の光のオンオフ制御を薄膜
遮光部材で制御し、それを第2の反射面の位置変化でy
軸方向にスキャニングすることにより、2次元の光シャ
ッタとして使用できる。第2の反射面は、前記(第1
の)反射面、スリット、薄膜遮光部材を製作するのと同
一のマイクロマシニング工程で製作することもできる。
【0025】前記課題を解決するための第9の手段は、
前記第4の手段の内第2の手段の製造方法であって、 (a)基板材料として(100)面方位のシリコン基板を
用意し、この基板の両面に窒化珪素膜を成膜し、次に、
この窒化珪素膜をドライエッチング法によりパターニン
グして、遮光スリットを形成する工程 (b)酸化珪素膜を上面全面に形成し、更に、この上面に
窒化珪素膜を成膜する工程 (c)窒化珪素膜上に、金属膜をパターニングして駆動用
のコイルを製作する工程 (d)上面の窒化珪素膜を、レジストをマスクとしてドラ
イエッチング法により部分的に除去してカンチレバー構
造体をパターニングする工程 (e)基板の酸化珪素膜を湿式のエッチング液で除去する
工程 (f)基板を、シリコンの異方性エッチング液に浸漬して
不要なシリコン部分をエッチングする工程 を有してなるマイクロシャッタアレイの製造方法(請求
項8)である。
【0026】この手段によれば、反射面、スリット列及
び薄膜遮光部材がマイクロマシニング工程により一体と
して製作されるので、微小な構造のものとすることがで
き、かつ、多数のマイクロシャッタアレイを容易に製作
することができる。
【0027】前記課題を解決するための第10の手段
は、前記第8の手段の内第5の手段の製造方法であっ
て、 (a)基板材料として(100)面方位のシリコン基板を
用意し、基板の両面に窒化珪素膜を成膜し、次にこの窒
化珪素膜をドライエッチング法によりパターニングし
て、遮光スリットを形成する工程 (b)酸化珪素膜を上面全面に形成し、次にこの酸化珪素
膜をドライエッチング法によりパターニングして、犠牲
層のパターンを形成する工程 (c)この上面にポリシリコン膜を成膜し、更に、このポ
リシリコン膜をドライエッチング法によりパターニング
して、静電駆動方式の櫛歯型アクチュエータの固定極と
可動極を形成する工程 (d)基板異方性エッチング液に浸漬して、窒化珪素膜を
エッチングマスクとして基板のシリコン部分をエッチン
グする工程 (e)基板のシリコン部分を熱酸化法により酸化し、シリ
コン酸化膜を形成する工程 (f)この基板の上面から、メカニカルマスクを用いて部
分的にポリシリコン膜を成膜し、次に、ポリシリコン膜
をドライエッチング法によりパターニングして、スキャ
ナ用ミラーを形成する工程 (g)湿式のエッチング液によりシリコン酸化膜を除去し
てスキャナ用ミラーをリリースする工程 を有してなるマイクロシャッタアレイの製造方法(請求
項10)である。
【0028】この手段においても、反射面、スリット
列、薄膜遮光部材、スキャナ用ミラーがマイクロマシニ
ング工程により一体として製作されるので、微小な構造
のものとすることができ、かつ、多数のマイクロシャッ
タアレイを容易に製作することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下本発明の一実施の形態による
マイクロシャッタアレイについて、図面を参照して説明
する。図1は、本発明の第1の実施の形態であるマイク
ロシャッタアレイの概略構造を示す図で、(a)は平面
図、(b)は断面図である。図1において、10は基板
部、11はスリット列、12は薄膜遮光部材、13は駆
動用の薄膜コイル、14、15は駆動用電極、16は反
射面、17はスペーサである。
【0030】本素子は、シリコンからなる基板部10
と、スリット列11と、薄膜遮光部材12とを有し、薄
膜遮光部材12上には、駆動用薄膜コイル13が一体形
成されている。駆動用電極14及び15に電圧を印加す
ると、薄膜遮光部材12上の薄膜コイル13に通電され
る。また、薄膜遮光部材12の長手方向と平行に外部磁
場Bが印加されている。よって、薄膜コイル13に通電
された薄膜遮光部材12にはローレンツ力が働き、その
厚み方向に変形する。この例では、aからlまでの合計12
点の光が制御される。図示の状態では、a,d,gの3カ所
の薄膜遮光材の薄膜コイルに通電され、薄膜遮光材がロ
ーレンツ力によりベンディングして、光が透過した状態
を示している。ここで、該薄膜遮光材を熱膨張率の異な
る2種の材料(例えば窒化珪素薄膜又は酸化珪素薄膜
と、ニクロム薄膜)で構成し、同様なコイルに通電して
生ずる熱により、発生するベンディンクを利用しても構
わない。
【0031】駆動されていない薄膜遮光部材では、図1
(b)に示すように、紙面左から帯状光が入射され、異
方性エッチングで形成したシリコン斜面からなる反射面
16で反射し、スリット列11を透過するが、薄膜遮光
部材12で遮光される。このように、本発明のマイクロ
シャッタアレイによれば、個々の薄膜遮光部材12の駆
動により光の透過の有無が制御される。本実施の形態で
は、強力な光を入射して薄膜遮光材の形状に経時変化が
生じたとしても、遮光材が光を遮りさえすればよいので
素子の光学性能には影響が無い。また、用いたい光即ち
通過した光はシリコン斜面からの反射光であるため素子
が経時変化を持つことは無い。
【0032】図2は、本発明の第2の実施の形態である
マイクロシャッタアレイの概略構造を示す図であり、
(a)は平面図、(b)は断面図である。図2において、
21は基板部、22はスキャナー、23はスリット列、
24は薄膜遮光部材、25は静電アクチュエータ、26
は駆動電極、27は可撓性ばね、28はスペーサ、29
は反射面、30はポストである。
【0033】本素子は、シリコンからなる基板21と、
スリット列23と、薄膜遮光部材24とを有しており、
薄膜遮光部材24は、基板21に固定されたポスト30
に接続された可撓性バネ27により柔らかく連結されて
いる、又薄膜遮光部材24の端部は静電アクチュエータ
25に連結され、端子26に電圧を印加することにより
静電気力により端子側に引き寄せられる。実施例では、
aからlまでの合計12点の光が制御される。図示の状態で
は、a,d,gの3カ所の薄膜遮光材が駆動されている。
【0034】図2(b)に示すように、紙面上部から帯
状光が入射され、透過した光はスリット列23を通過
し、異方性エッチングで形成したシリコン斜面からなる
反射面29で反射し、静電駆動スキャナー22に入射さ
れる。静電駆動スキャナーはスキャナー22の電位を制
御することにより、入射光の反射方向を変化させること
が可能である。このように、本実施の形態の薄膜マイク
ロミラーによれば、個々の薄膜遮光部材24の駆動によ
り一方向(例えばx軸方向)の光の透過の有無が制御さ
れる。そして、静電スキャナ22の駆動により、それと
直角な方向(y方向)への光の投射が制御される。よっ
て、本実施の形態は、2次元の光シャッタアレイとして
用いることができる。
【0035】本実施の形態では、強力な光を入射して薄
膜遮光材の形状に経時変化が生じたとしても、遮光材が
光を遮りさえすればよいので素子の光学性能には影響が
無い。また、用いたい光即ち通過した光はシリコン斜面
からの反射光或いは厚膜構造のスキャナーで反射するた
め素子が経時変化を持つことは無い。実際、本実施の形
態において、白色光源の光量を従来の2倍の光量として
も、投影画像の劣化が生じることが無かった。
【0036】図3は、本発明の第3の実施の形態である
マイクロシャッタアレイの概略構造を示す断面図であ
る。本素子は、シリコンからなる基板31と、スリット
列32と、薄膜遮光部材33とを有しており、光のオン
オフについての作動原理は第1の実施の形態で示したも
のと同じである。
【0037】紙面上部から帯状光が入射され、透過した
光はスリット32を通過し、異方性エッチングで形成し
たシリコン斜面からなる反射面35で反射される。さら
に本実施の形態においては、基板31に接続された回転
軸34を、外部駆動により回転させることができる。従
って、反射面35で反射した光を紙面の上下方向に走査
することができるので、2次元光シャッタアレイとして
使用できる。
【0038】本発明のマイクロシャッタアレイを用いた
光学システムの例を図4示す。図4は、マイクロシャッ
タアレイを投影機に用いた例のシステム構成図である。
【0039】レーザ光源41から出た発散光をコリメー
トレンズ42により帯状の平行光とし、マイクロシャッ
タアレイ43に入射する。制御装置46により、マイク
ロシャッタアレイ43を動作させ入射光を紙面上方に二
次元的に反射させ、カラーフィルター44と投影レンズ
45を介して、カラー画像をスクリーン47上に投影す
ることができる。
【0040】図5は、本発明の第4の実施の形態である
マイクロシャッタアレイの概略構造を示す断面図であ
る。図5に示す実施の形態では、図3に示した実施の形
態と同様なマイクロシャッタアレイが2個、反射面の方
向が接合面に対して対称になるようにして接合され、接
合面に中心を有する回動軸が設けられている。図4にお
いて、91は複合マイクロシャッタアレイ、92は光
源、93はレンズ、94はカラーフィルタ、95、9
5’はミラー、96は投影レンズ、97はスクリーン、
101、101’はシリコンからなる基板、102、1
02’は紙面に垂直な方向へ形成されたスリット列、1
03、103’はスリット列に対応させた薄膜遮光部
材、104、104’はシリコンからなる反射面、10
5は回動軸である。
【0041】基板101、101’は台形状の側面形状
を有し、互いに底面が接合されて接合面を形成してい
る。基板101、101’の底面(接合面)は、複合マ
イクロシャッタアレイ91の平衡状態で、レンズ93の
光軸とほぼ同一平面状にあり、基板101、101’と
反射面104、104’のなす角度は、54.7°(ウエッ
トエッチングによる結晶特有の角度)である。基板10
1、101’の底面と平行な上面には、スリット列10
2、102’、薄膜遮光部材103、103’が形成さ
れている。
【0042】光源92から出た光は、レンズ93により
平行光束とされて、カラーフィルタ94を通過した後、
イメージスキャナ1の反射面104、104’に入射
し、イメージスキャナの接合面を境にして上下に2分割
される。そして、上側の反射面104で反射された光は
上側のマイクロシャッタアレイ(スリット列102、薄
膜遮光部材103)で制御され、下側の反射面104’
で反射された光は下側のマイクロシャッタアレイ(スリ
ット列102’、薄膜遮光部材103’)で制御され
る。
【0043】駆動用電極に通電しない状態では、薄膜遮
光部材103,103’は真っ直ぐな状態であり、反射
面104、104’で反射した光は薄膜遮光部材10
3、103’に遮られる。各マイクロシャッタアレイに
おいては、駆動用電極(図1において図示せず、図2参
照)に電圧を印加すると、薄膜遮光部材103、10
3’上の薄膜コイル(図1において図示せず、図2参
照)に通電される。薄膜遮光部材103、103’の長
手方向と平行に外部磁場が設けられているので、薄膜遮
光部材103、103’がローレンツ力により、図示の
ようにベンディングして、光を通過させる。薄膜遮光部
材103、103’を、熱膨張率の異なる2種の材料を
張り合わせて構成し、コイルに通電して発生する熱によ
りベンデリングさせるようにしてもよい。
【0044】薄膜遮光部材103、103’を通過した
光は、ミラー95、95’で反射され、投影レンズ96
を介してスクリーン97に投影される。この際、複合マ
イクロシャッタアレイ91で上下に分割された光は、ミ
ラー95、95’、レンズ96を介して光学的に結合さ
れて、もとの光束に戻る。
【0045】複合マイクロシャッタアレイ91は、回動
軸105の周りに、ある周波数で回動される。これによ
り、平面状の光が紙面上下方向に走査されることにな
る。走査に合わせて、マイクロシャッタアレイの薄膜遮
光部材103、103’を動作させることにより、2次
元の画像が得られる。
【0046】このように、複合マイクロシャッタアレイ
91は、2つのマイクロシャッタアレイを接合して構成
されているので、同じ投影面を得るのに、マイクロシャ
ッタアレイを1つ使用した場合の半分の回動角を与えれ
ばよい。逆にいえば、同じ回動角で2倍の走査範囲が得
られるので、投影面積を大きくすることが可能である。
【0047】次に、図1を用いて説明した本発明の第1
の実施の形態であるマイクロシャッタアレイの製造方法
の例を図6を用いて説明する。
【0048】はじめに、基板材料として(100)面方
位のシリコン基板51を用意し、この基板51の両面に
窒化珪素膜52を厚さ2μm成膜する(5a)。次に、
この窒化珪素膜52をドライエッチング法によりパター
ニングして、遮光スリット52を形成する(5b,5
i)。更に、厚さ500nmの酸化珪素膜53を上面全面に
形成する(5c、5j)。次に、この上面に窒化珪素膜
54を2μm成膜する(5d)。更に、リフトオフ法に
より、ニクロム、金等の金属膜をパターニングして駆動
用のコイル55を製作する(5e、5k)。
【0049】その後、上面の窒化珪素膜を54を、レジ
ストをマスクとしてドライエッチング法により部分的に
除去してカンチレバー構造体をパターニングする(5
f、5l)。次に、基板51の酸化珪素膜53を湿式の
エッチング液で除去する。このとき、右端の酸化珪素膜
53は、上下の窒化珪素膜52、54に挟まれて保護さ
れているため、除去されずに残る(5g、5m)。最後
に、基板51を、シリコンの異方性エッチング液である
TMAH又はKOHの水溶液に浸漬して不要なシリコン
部分をエッチングする。このとき、エッチング除去され
るシリコン斜面は、エッチング速度が極めて遅い(11
1)面で構成される(5h)。このようにして、マイク
ロマシニング工程を用いて、第1の実施の形態であるマ
イクロシャッタアレイを一括して多量に製作することが
可能である。
【0050】次に、図2を用いて説明した、本発明の第
2の実施の形態であるマイクロシャッタアレイの製造方
法の例を図7、図8を用いて説明する。
【0051】はじめに、基板材料として(100)面方
位のシリコン基板61を用意し、基板61の両面に窒化
珪素膜62を厚さ2μm成膜する(6a)。次に、窒化
珪素膜62をドライエッチング法によりパターニングし
て、遮光スリット62を形成する(6b、6g)。更
に、厚さ500nmの酸化珪素膜63を上面全面に成膜する
(6c、6h)。次に、酸化膜63をドライエッチング
法によりパターニングして、犠牲層のパターン63を形
成する(6d、6i)。なお、図6iにおいて、楕円状
の形状は、窒化珪素膜が露出している部分で、基板61
に固定されるポストの付け根になる部分である。
【0052】次に、この上面にポリシリコン膜64を2
μm成膜する(6e、6j)。更に、ポリシリコン膜6
4をドライエッチング法によりパターニングして、静電
駆動方式の櫛歯型アクチュエータの固定極65と可動極
66を形成する(6f、6k)。図6kにおいて楕円状
の形状をしている部分は、窒化珪素膜を介して基板61
に固定されたポストであり、ポストと可動極66を結合
している線状の部分は弾性体となる部分である。これら
は、共にポリシリコンで形成されている。
【0053】次に、基板61をTMAH等の水溶液に浸
して、基板61のシリコン部分をエッチングする。この
ときのエッチングマスクは窒化珪素膜であり、(11
1)面で構成される斜面が形成される(7a、7f)。
次に、基板61のシリコン部分を熱酸化法により酸化
し、酸化膜67を形成する(7b)。この基板の上面か
ら、メカニカルマスクを用いて部分的にポリシリコン膜
68を成膜する(7c、7g)。次に、ポリシリコン膜
68をドライエッチング法によりパターニングして、ス
キャナ用ミラー69を形成する(7d、7h)。最後
に、湿式のエッチング液により酸化膜を除去してスキャ
ナ用ミラー69をリリースする(7e、7i)。このよ
うにして、マイクロマシニング工程を用いて、第2の実
施の形態であるマイクロシャッタアレイを一括して多量
に製作することが可能である。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
入射光の光量の制約が大きく、かつ、光照射で生ずる構
造体の発熱が生じても経時変化が少ないマイクロシャッ
タアレイを実現することができる。さらに、本発明のマ
イクロシャッタアレイは、マイクロマシニング工程を用
いて製造することが可能であり、大量生産が可能なた
め、低価格なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の概略構造を示す図
である。
【図2】本発明の第2の実施の形態の概略構造を示す図
である。
【図3】本発明の第3の実施の形態の概略構造を示す図
である。
【図4】本発明のマイクロシャッタアレイを用いた光学
システムの例を示す図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態の概略構造を示す図
である。
【図6】本発明の第1の実施の形態であるマイクロシャ
ッタアレイの製造方法を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態であるマイクロシャ
ッタアレイの製造方法を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態であるマイクロシャ
ッタアレイの製造方法を示す図である。
【図9】従来の微小光学素子の概略断面構造を示す図で
ある。
【符号の説明】
10…基板部(シリコン)、11…スリット列、12…
薄膜遮光部材、13…駆動コイル、14…駆動電極、1
5…駆動電極、16…シリコン斜面、17…スペーサ、
21…基板部(シリコン)、22…スキャナー、23…
スリット列、24…薄膜遮光部材、25…静電アクチュ
エータ、26…駆動電極、27…可撓性ばね、28…ス
ペーサ、29…反射面(シリコン斜面)、31…基板部
(シリコン)、32…スリット列、33…薄膜遮光部
材、34…回転軸、35…反射面(シリコン斜面)、9
1…複合マイクロシャッタアレイ、92…光源、93…
レンズ、94…カラーフィルタ、95、95’…ミラ
ー、96…投影レンズ、97…スクリーン、101、1
01’…基板、102、102’…スリット列、10
3、103’…薄膜遮光部材、104、104’…反射
面、105…回動軸

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光を反射する反射面と、前記反射面を通
    過する光が通過する位置に設けられたスリット列と、前
    記スリット列の開口部を覆うように設けられた複数の薄
    膜遮光部材を有してなり、前記薄膜遮光部材は電気的に
    駆動され、前記スリット列の開口部を通過する光を遮光
    したり通過させたりするものであって、前記反射面、前
    記スリット列及び前記薄膜遮光部材が、マイクロマシニ
    ング工程により一体のものとして製作されたものである
    ことを特徴とするマイクロシャッタアレイ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のマイクロシャッタアレ
    イであって、前記反射面が、異方性エッチングで形成さ
    れたシリコン基板面であることを特徴とするマイクロシ
    ャッタアレイ。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載のマイクロ
    シャッタアレイであって、前記薄膜遮光部材は熱膨張率
    の異なる薄膜を積層して構成され、通電により発生する
    熱によりバイモルフ動作をすることを特徴とするマイク
    ロシャッタアレイ。
  4. 【請求項4】 請求項1又は請求項2に記載のマイクロ
    シャッタアレイであって、前記薄膜遮光部材には薄膜コ
    イルが一体形成され、前記薄膜遮光部材は、前記薄膜コ
    イルに流れる電流と外部磁場とで発生するローレンツ力
    により駆動されることを特徴とするマイクロシャッタア
    レイ。
  5. 【請求項5】 請求項1又は請求項2に記載のマイクロ
    シャッタアレイであって、前記薄膜遮光部材は、静電気
    力により駆動されることを特徴とするマイクロシャッタ
    アレイ。
  6. 【請求項6】 請求項1から請求項5のうちいずれか1
    項に記載のマイクロシャッタアレイであって、前記反射
    面が回転可能であることを特徴とするマイクロシャッタ
    アレイ。
  7. 【請求項7】 請求項1から請求項5のうちいずれか1
    項に記載のマイクロシャッタアレイを、前記反射面の方
    向が接合面に対して対称になるようにして2個接合し、
    接合面に中心を有する回動軸を設けたことを特徴とする
    マイクロシャッタアレイ。
  8. 【請求項8】 請求項1から請求項5のうちいずれか1
    項に記載のマイクロシャッタアレイであって、前記反射
    面とは別の第2の反射面を有し、第2の反射面の位置が
    変化することにより、光の照射方向が変化することを特
    徴とするマイクロシャッタアレイ。
  9. 【請求項9】 請求項4に記載のマイクロシャッタアレ
    イの内、請求項2に係るものの製造方法であって、 (a)基板材料として(100)面方位のシリコン基板を
    用意し、この基板の両面に窒化珪素膜を成膜し、次に、
    この窒化珪素膜をドライエッチング法によりパターニン
    グして、遮光スリットを形成する工程 (b)酸化珪素膜を上面全面に形成し、更に、この上面に
    窒化珪素膜を成膜する工程 (c)窒化珪素膜上に、金属膜をパターニングして駆動用
    のコイルを製作する工程 (d)上面の窒化珪素膜を、レジストをマスクとしてドラ
    イエッチング法により部分的に除去してカンチレバー構
    造体をパターニングする工程 (e)基板の酸化珪素膜を湿式のエッチング液で除去する
    工程 (f)基板を、シリコンの異方性エッチング液に浸漬して
    不要なシリコン部分をエッチングする工程 を有してなるマイクロシャッタアレイの製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項8に記載のマイクロシャッタア
    レイの内、請求項5に係るものの製造方法であって、 (a)基板材料として(100)面方位のシリコン基板を
    用意し、基板の両面に窒化珪素膜を成膜し、次にこの窒
    化珪素膜をドライエッチング法によりパターニングし
    て、遮光スリットを形成する工程 (b)酸化珪素膜を上面全面に形成し、次にこの酸化珪素
    膜をドライエッチング法によりパターニングして、犠牲
    層のパターンを形成する工程 (c)この上面にポリシリコン膜を成膜し、更に、このポ
    リシリコン膜をドライエッチング法によりパターニング
    して、静電駆動方式の櫛歯型アクチュエータの固定極と
    可動極を形成する工程 (d)基板異方性エッチング液に浸漬して、窒化珪素膜を
    エッチングマスクとして基板のシリコン部分をエッチン
    グする工程 (e)基板のシリコン部分を熱酸化法により酸化し、シリ
    コン酸化膜を形成する工程 (f)この基板の上面から、メカニカルマスクを用いて部
    分的にポリシリコン膜を成膜し、次に、ポリシリコン膜
    をドライエッチング法によりパターニングして、スキャ
    ナ用ミラーを形成する工程 (g)湿式のエッチング液によりシリコン酸化膜を除去し
    てスキャナ用ミラーをリリースする工程 を有してなるマイクロシャッタアレイの製造方法。
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