JP3941205B2 - マイクロシャッタアレイ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光の通過をオンオフする微小な光学素子に関するものであり、更に詳しくは、1次元又は2次元方向に亘って光の通過を制御できるマイクロシャッタアレイに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体製造技術(マイクロマシニング技術)を利用して、様々な微小機械の研究開発が活発に行われている。面内に微小なミクロサイズミラーを集積化した光学素子についても研究の成果が活用されている。従来報告されている微小光学素子においては、十数μm角の金属ミラーを基板面上に多数個集積し、これらのミラーを基板上に設けた電極とミラー間の静電気力により駆動してミラーの角度を変化させ、個々のミラーの反射角度を制御する方式が用いられている。(例えば、Technical Digest of the 14th Sensor Symposium,1996,pp297.)
【0003】
図9は、従来の微小光学素子の概略断面構造を示す図である。図9において、81は基板、82は電極層、83は駆動電極膜、84は反射ミラー部、85はポスト部である。基板81上に電極層82を設け、駆動電極膜83を電極層82に対向させて設ける。電極82上にポスト部82で支えられた可動ミラー部を形成する。それにより、可動ミラー部を、駆動電極膜83とポスト部85で連結された反射ミラー部84とから構成する。片側の電極層82に電圧を印加すると駆動電極膜83が基板側に引き寄せられ、ポスト部85の基部を中心にした回転力が発生し、可動ミラー部83、84が傾く。すなわち、反射ミラー部84が傾く。これにより反射ミラーに入射した光の反射方向が制御される。このように、図9に示す微小光学素子は、特定の反射方向に反射した光のみを投影することにより投影機用の光学素子として利用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した従来のマイクロミラーでは、自立した薄膜部からの反射光を用いるため、入射する光により反射ミラー部84の温度が上昇し、反射ミラー部84が反る等の経時的変化が生じやすい等の問題点がある。このため、入射する光強度に制限が生じ、明るい投影機器を実現する妨げになっている。また、反射ミラー部84のうねりや初期撓みのばらつきにより、反射性能が面内でばらつくという問題も有している。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、入射光の光量を大きくすることができ、かつ、光照射で生ずる構造体の発熱が生じても光学性能への影響が少ないマイクロシャッタアレイを提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決する手段】
前記課題を解決するための第1の手段は、光を反射する反射面と、前記反射面を通過する光が通過する位置に設けられたスリット列と、前記スリット列の開口部を覆うように設けられた複数の薄膜遮光部材を有してなり、前記薄膜遮光部材は電気的に駆動され、前記スリット列の開口部を通過する光を遮光したり通過させたりするものであり、前記反射面、前記スリット列及び前記薄膜遮光部材が、マイクロマシニング工程により一体のものとして製作されたものであるマイクロシャッタアレイであって、前記反射面が回転可能であり、当該マイクロシャッタアレイに入力する光が、前記開口部を通過してから前記反射面で反射されることを特徴とするマイクロシャッタアレイ(請求項1)である。
前記課題を解決するための第2の手段は、光を反射する反射面と、前記反射面を通過する光が通過する位置に設けられたスリット列と、前記スリット列の開口部を覆うように設けられた複数の薄膜遮光部材を有してなり、前記薄膜遮光部材は電気的に駆動され、前記スリット列の開口部を通過する光を遮光したり通過させたりするものであり、前記反射面、前記スリット列及び前記薄膜遮光部材が、マイクロマシニング工程により一体のものとして製作されたものであるマイクロシャッタアレイを、前記反射面の方向が接合面に対して対称になるようにして2個接合し、接合面に中心を有する回動軸を設けたことを特徴とするマイクロシャッタアレイ(請求項2)である
前記課題を解決するための第3の手段は、光を反射する反射面と、前記反射面を通過する光が通過する位置に設けられたスリット列と、前記スリット列の開口部を覆うように設けられた複数の薄膜遮光部材を有してなり、前記薄膜遮光部材は電気的に駆動され、前記スリット列の開口部を通過する光を遮光したり通過させたりするものであり、前記反射面、前記スリット列及び前記薄膜遮光部材が、マイクロマシニング工程により一体のものとして製作されたものであるマイクロシャッタアレイであって、前記反射面とは別の第2の反射面を有し、第2の反射面の位置が変化することにより、光の照射方向が変化し、当該マイクロシャッタアレイに入力する光が、前記開口部を通過してから前記反射面で反射し、その後で、前記第2の反射面で反射することを特徴とするマイクロシャッタアレイ(請求項3)である。
【0007】
これらの手段においては、光が反射面で反射され、スリット列に照射される。又は、逆にスリット列を通過した光は反射面で反射される。スリット列の開口部を通過した光は、スリット列の開口部を覆うように設けられた薄膜遮光部材によって遮断される。薄膜遮光部材を電気的に駆動すると、薄膜遮光部材が変形したり、移動したりしてスリット列の開口部を覆わないようになり、対応する部分の光が通過して外部に投射される。駆動する薄膜遮光部材を選択することにより、1次元のシャッタアレイとして作動させることができる。
【0008】
これらの手段においては、強力な光を入射して薄膜遮光部材の形状に経時変化が生じたとしても、薄膜遮光部材が光を遮りさえすればよいので素子の光学性能には影響が無い。よって、強い光をオンオフすることができる。
【0009】
また、これらの手段においては、反射面、スリット列及び薄膜遮光部材がマイクロマシニング工程により一体として製作されるので、微小な構造のものとすることができ、かつ、多数のマイクロシャッタアレイを容易に製作することができる。なお、マイクロマシニング工程とは、リソグラフィ、エッチング、リフトオフ法、気相成長法等、半導体製造に使用される技術を利用して微小な機械部品、電気部品を製造する工程のことをいう。
さらに、前記第1の手段においては、反射面を回転させることにより、マイクロシャッタアレイから投射される光の方向が変化する。反射面の回転軸とスリット列の並び方向とが同じになるようにしておけば、例えばx軸方向位置の光のオンオフ制御を薄膜遮光部材で制御し、それを反射面の回転でy軸方向にスキャニングすることにより、2次元の光シャッタとして使用できる。
前記第2の手段に係るマイクロシャッタアレイに光を投射すると、光は前記接合面を境にして分割され、それぞれマイクロシャッタアレイの反射面で反射される。そして、第1のマイクロシャッタアレイの反射面で反射された光は、第1のマイクロシャッタアレイの薄膜遮光部材で制御され、第2のマイクロシャッタアレイの反射面で反射された光は、第2のマイクロシャッタアレイの薄膜遮光部材で制御される。光学系により、これら2分割されて、各々のマイクロシャッタアレイで制御された光を、光学系により、再び結合した光として投影する。
このようにすれば、マイクロシャッタアレイが1つのときの1/2の角度の回動により、同じ投影面積をカバーすることができる。これにより、薄膜遮光部材から光線が外れることなく、投影面積を大きくとることができる。
前記第3の手段においては、第2の反射面の位置変化により光の照射方向が変化するので、光の照射の変化方向を、スリット列の並び方向と直角になるようにしておけば、例えばx軸方向位置の光のオンオフ制御を薄膜遮光部材で制御し、それを第2の反射面の位置変化でy軸方向にスキャニングすることにより、2次元の光シャッタとして使用できる。第2の反射面は、前記(第1の)反射面、スリット、薄膜遮光部材を製作するのと同一のマイクロマシニング工程で製作することもできる。
【0010】
前記課題を解決するための第4の手段は、前記第1の手段から第3の手段のいずれかであって、反射面が、異方性エッチングで形成されたシリコン基板面であることを特徴とするもの(請求項4)である。
【0011】
本手段においては、反射面をシリコン基板を異方性エッチングで形成することにより、容易に鏡面特性を持つ反射面を製造することができる。また、異方性エッチングで形成された反射面は、シリコン基板の厚み方向に対して傾いているので、シリコン基板面方向(厚み方向に直角な方向)から投射された光を、略厚み方向へ向かう光に変換することができる。マイクロマシニング工程を利用して、光発生機構を同じ基板に組み込む場合、光発生機構から投射される光は基板面方向への光とすることが製作上好ましい。よって、前記のような反射面とすることにより、このような光発生機構からの光を、基板面から投射される光に変換することができる。
【0012】
前記課題を解決するための第5の手段は、前記第1の手段から第4の手段のいずれかであって、薄膜遮光部材は熱膨張率の異なる薄膜を積層して構成され、通電により発生する熱によりバイモルフ動作をすることを特徴とするもの(請求項5)である。
【0013】
本手段においては、例えば薄膜遮光部材に電熱発熱部(薄膜ニクロム線等)を一体形成しておき、通常の状態では、薄膜遮光部材がスリットの開口部を覆うようにしておく。電熱発熱部に通電することにより熱を発生させると、薄膜遮光部材は、それを構成する積層薄膜の熱膨張率の違いにより変形し、シャッタの開口部を覆わなくなる。よって、通電によりシャッタの開閉を制御できる。
【0014】
前記課題を解決するための第6の手段は、前記第1の手段から第4の手段のいずれかであって、薄膜遮光部材には薄膜コイルが一体形成され、前記薄膜遮光部材は、前記薄膜コイルに流れる電流と外部磁場とで発生するローレンツ力により駆動されることを特徴とするもの(請求項6)である。
【0015】
薄膜コイルに電流を流すと、外部磁場の影響によりローレンツ力が発生し、それにより薄膜遮光部材が変形又は移動する。よって、通電によりシャッタの開閉を制御することができる。
【0016】
前記課題を解決するための第7の手段は、前記第1の手段から第4の手段のいずれかであって、薄膜遮光部材は、静電気力により駆動されることを特徴とするもの(請求項7)である。
【0017】
この手段においては、静電アクチュエータにより薄膜遮光部材を変形又は移動させる。よって、通電によりシャッタの開閉を制御することができる。
【0027】
前記課題を解決するための第8の手段は、前記第3の手段の内第7の手段の製造方法であって、
(a)基板材料として(100)面方位のシリコン基板を用意し、基板の両面に窒化珪素膜を成膜し、次にこの窒化珪素膜をドライエッチング法によりパターニングして、遮光スリットを形成する工程
(b)酸化珪素膜を上面全面に形成し、次にこの酸化珪素膜をドライエッチング法によりパターニングして、犠牲層のパターンを形成する工程
(c)この上面にポリシリコン膜を成膜し、更に、このポリシリコン膜をドライエッチング法によりパターニングして、静電駆動方式の櫛歯型アクチュエータの固定極と可動極を形成する工程
(d)基板異方性エッチング液に浸漬して、窒化珪素膜をエッチングマスクとして基板のシリコン部分をエッチングする工程
(e)基板のシリコン部分を熱酸化法により酸化し、シリコン酸化膜を形成する工程
(f)この基板の上面から、メカニカルマスクを用いて部分的にポリシリコン膜を成膜し、次に、ポリシリコン膜をドライエッチング法によりパターニングして、スキャナ用ミラーを形成する工程
(g)湿式のエッチング液によりシリコン酸化膜を除去してスキャナ用ミラーをリリースする工程
を有してなるマイクロシャッタアレイの製造方法(請求項8)である。
【0028】
この手段においても、反射面、スリット列、薄膜遮光部材、スキャナ用ミラーがマイクロマシニング工程により一体として製作されるので、微小な構造のものとすることができ、かつ、多数のマイクロシャッタアレイを容易に製作することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下本発明の一実施の形態によるマイクロシャッタアレイについて、図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態であるマイクロシャッタアレイの概略構造を示す図で、(a)は平面図、(b)は断面図である。図1において、10は基板部、11はスリット列、12は薄膜遮光部材、13は駆動用の薄膜コイル、14、15は駆動用電極、16は反射面、17はスペーサである。
【0030】
本素子は、シリコンからなる基板部10と、スリット列11と、薄膜遮光部材12とを有し、薄膜遮光部材12上には、駆動用薄膜コイル13が一体形成されている。駆動用電極14及び15に電圧を印加すると、薄膜遮光部材12上の薄膜コイル13に通電される。また、薄膜遮光部材12の長手方向と平行に外部磁場Bが印加されている。よって、薄膜コイル13に通電された薄膜遮光部材12にはローレンツ力が働き、その厚み方向に変形する。この例では、aからlまでの合計12点の光が制御される。図示の状態では、a,d,gの3カ所の薄膜遮光材の薄膜コイルに通電され、薄膜遮光材がローレンツ力によりベンディングして、光が透過した状態を示している。ここで、該薄膜遮光材を熱膨張率の異なる2種の材料(例えば窒化珪素薄膜又は酸化珪素薄膜と、ニクロム薄膜)で構成し、同様なコイルに通電して生ずる熱により、発生するベンディンクを利用しても構わない。
【0031】
駆動されていない薄膜遮光部材では、図1(b)に示すように、紙面左から帯状光が入射され、異方性エッチングで形成したシリコン斜面からなる反射面16で反射し、スリット列11を透過するが、薄膜遮光部材12で遮光される。このように、本発明のマイクロシャッタアレイによれば、個々の薄膜遮光部材12の駆動により光の透過の有無が制御される。本実施の形態では、強力な光を入射して薄膜遮光材の形状に経時変化が生じたとしても、遮光材が光を遮りさえすればよいので素子の光学性能には影響が無い。また、用いたい光即ち通過した光はシリコン斜面からの反射光であるため素子が経時変化を持つことは無い。
【0032】
図2は、本発明の第2の実施の形態であるマイクロシャッタアレイの概略構造を示す図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。図2において、21は基板部、22はスキャナー、23はスリット列、24は薄膜遮光部材、25は静電アクチュエータ、26は駆動電極、27は可撓性ばね、28はスペーサ、29は反射面、30はポストである。
【0033】
本素子は、シリコンからなる基板21と、スリット列23と、薄膜遮光部材24とを有しており、薄膜遮光部材24は、基板21に固定されたポスト30に接続された可撓性バネ27により柔らかく連結されている、又薄膜遮光部材24の端部は静電アクチュエータ25に連結され、端子26に電圧を印加することにより静電気力により端子側に引き寄せられる。実施例では、aからlまでの合計12点の光が制御される。図示の状態では、a,d,gの3カ所の薄膜遮光材が駆動されている。
【0034】
図2(b)に示すように、紙面上部から帯状光が入射され、透過した光はスリット列23を通過し、異方性エッチングで形成したシリコン斜面からなる反射面29で反射し、静電駆動スキャナー22に入射される。静電駆動スキャナーはスキャナー22の電位を制御することにより、入射光の反射方向を変化させることが可能である。このように、本実施の形態の薄膜マイクロミラーによれば、個々の薄膜遮光部材24の駆動により一方向(例えばx軸方向)の光の透過の有無が制御される。そして、静電スキャナ22の駆動により、それと直角な方向(y方向)への光の投射が制御される。よって、本実施の形態は、2次元の光シャッタアレイとして用いることができる。
【0035】
本実施の形態では、強力な光を入射して薄膜遮光材の形状に経時変化が生じたとしても、遮光材が光を遮りさえすればよいので素子の光学性能には影響が無い。また、用いたい光即ち通過した光はシリコン斜面からの反射光或いは厚膜構造のスキャナーで反射するため素子が経時変化を持つことは無い。
実際、本実施の形態において、白色光源の光量を従来の2倍の光量としても、投影画像の劣化が生じることが無かった。
【0036】
図3は、本発明の第3の実施の形態であるマイクロシャッタアレイの概略構造を示す断面図である。本素子は、シリコンからなる基板31と、スリット列32と、薄膜遮光部材33とを有しており、光のオンオフについての作動原理は第1の実施の形態で示したものと同じである。
【0037】
紙面上部から帯状光が入射され、透過した光はスリット32を通過し、異方性エッチングで形成したシリコン斜面からなる反射面35で反射される。さらに本実施の形態においては、基板31に接続された回転軸34を、外部駆動により回転させることができる。従って、反射面35で反射した光を紙面の上下方向に走査することができるので、2次元光シャッタアレイとして使用できる。
【0038】
本発明のマイクロシャッタアレイを用いた光学システムの例を図4示す。図4は、マイクロシャッタアレイを投影機に用いた例のシステム構成図である。
【0039】
レーザ光源41から出た発散光をコリメートレンズ42により帯状の平行光とし、マイクロシャッタアレイ43に入射する。制御装置46により、マイクロシャッタアレイ43を動作させ入射光を紙面上方に二次元的に反射させ、カラーフィルター44と投影レンズ45を介して、カラー画像をスクリーン47上に投影することができる。
【0040】
図5は、本発明の第4の実施の形態であるマイクロシャッタアレイの概略構造を示す断面図である。図5に示す実施の形態では、図3に示した実施の形態と同様なマイクロシャッタアレイが2個、反射面の方向が接合面に対して対称になるようにして接合され、接合面に中心を有する回動軸が設けられている。図4において、91は複合マイクロシャッタアレイ、92は光源、93はレンズ、94はカラーフィルタ、95、95’はミラー、96は投影レンズ、97はスクリーン、101、101’はシリコンからなる基板、102、102’は紙面に垂直な方向へ形成されたスリット列、103、103’はスリット列に対応させた薄膜遮光部材、104、104’はシリコンからなる反射面、105は回動軸である。
【0041】
基板101、101’は台形状の側面形状を有し、互いに底面が接合されて接合面を形成している。基板101、101’の底面(接合面)は、複合マイクロシャッタアレイ91の平衡状態で、レンズ93の光軸とほぼ同一平面状にあり、基板101、101’と反射面104、104’のなす角度は、54.7°(ウエットエッチングによる結晶特有の角度)である。基板101、101’の底面と平行な上面には、スリット列102、102’、薄膜遮光部材103、103’が形成されている。
【0042】
光源92から出た光は、レンズ93により平行光束とされて、カラーフィルタ94を通過した後、イメージスキャナ1の反射面104、104’に入射し、イメージスキャナの接合面を境にして上下に2分割される。そして、上側の反射面104で反射された光は上側のマイクロシャッタアレイ(スリット列102、薄膜遮光部材103)で制御され、下側の反射面104’で反射された光は下側のマイクロシャッタアレイ(スリット列102’、薄膜遮光部材103’)で制御される。
【0043】
駆動用電極に通電しない状態では、薄膜遮光部材103,103’は真っ直ぐな状態であり、反射面104、104’で反射した光は薄膜遮光部材103、103’に遮られる。各マイクロシャッタアレイにおいては、駆動用電極(図1において図示せず、図2参照)に電圧を印加すると、薄膜遮光部材103、103’上の薄膜コイル(図1において図示せず、図2参照)に通電される。薄膜遮光部材103、103’の長手方向と平行に外部磁場が設けられているので、薄膜遮光部材103、103’がローレンツ力により、図示のようにベンディングして、光を通過させる。薄膜遮光部材103、103’を、熱膨張率の異なる2種の材料を張り合わせて構成し、コイルに通電して発生する熱によりベンデリングさせるようにしてもよい。
【0044】
薄膜遮光部材103、103’を通過した光は、ミラー95、95’で反射され、投影レンズ96を介してスクリーン97に投影される。この際、複合マイクロシャッタアレイ91で上下に分割された光は、ミラー95、95’、レンズ96を介して光学的に結合されて、もとの光束に戻る。
【0045】
複合マイクロシャッタアレイ91は、回動軸105の周りに、ある周波数で回動される。これにより、平面状の光が紙面上下方向に走査されることになる。走査に合わせて、マイクロシャッタアレイの薄膜遮光部材103、103’を動作させることにより、2次元の画像が得られる。
【0046】
このように、複合マイクロシャッタアレイ91は、2つのマイクロシャッタアレイを接合して構成されているので、同じ投影面を得るのに、マイクロシャッタアレイを1つ使用した場合の半分の回動角を与えればよい。逆にいえば、同じ回動角で2倍の走査範囲が得られるので、投影面積を大きくすることが可能である。
【0047】
次に、図1を用いて説明した本発明の第1の実施の形態であるマイクロシャッタアレイの製造方法の例を図6を用いて説明する。
【0048】
はじめに、基板材料として(100)面方位のシリコン基板51を用意し、この基板51の両面に窒化珪素膜52を厚さ2μm成膜する(5a)。次に、この窒化珪素膜52をドライエッチング法によりパターニングして、遮光スリット52を形成する(5b,5i)。更に、厚さ500nmの酸化珪素膜53を上面全面に形成する(5c、5j)。次に、この上面に窒化珪素膜54を2μm成膜する(5d)。更に、リフトオフ法により、ニクロム、金等の金属膜をパターニングして駆動用のコイル55を製作する(5e、5k)。
【0049】
その後、上面の窒化珪素膜を54を、レジストをマスクとしてドライエッチング法により部分的に除去してカンチレバー構造体をパターニングする(5f、5l)。次に、基板51の酸化珪素膜53を湿式のエッチング液で除去する。このとき、右端の酸化珪素膜53は、上下の窒化珪素膜52、54に挟まれて保護されているため、除去されずに残る(5g、5m)。最後に、基板51を、シリコンの異方性エッチング液であるTMAH又はKOHの水溶液に浸漬して不要なシリコン部分をエッチングする。このとき、エッチング除去されるシリコン斜面は、エッチング速度が極めて遅い(111)面で構成される(5h)。
このようにして、マイクロマシニング工程を用いて、第1の実施の形態であるマイクロシャッタアレイを一括して多量に製作することが可能である。
【0050】
次に、図2を用いて説明した、本発明の第2の実施の形態であるマイクロシャッタアレイの製造方法の例を図7、図8を用いて説明する。
【0051】
はじめに、基板材料として(100)面方位のシリコン基板61を用意し、基板61の両面に窒化珪素膜62を厚さ2μm成膜する(6a)。次に、窒化珪素膜62をドライエッチング法によりパターニングして、遮光スリット62を形成する(6b、6g)。更に、厚さ500nmの酸化珪素膜63を上面全面に成膜する(6c、6h)。次に、酸化膜63をドライエッチング法によりパターニングして、犠牲層のパターン63を形成する(6d、6i)。なお、図6iにおいて、楕円状の形状は、窒化珪素膜が露出している部分で、基板61に固定されるポストの付け根になる部分である。
【0052】
次に、この上面にポリシリコン膜64を2μm成膜する(6e、6j)。更に、ポリシリコン膜64をドライエッチング法によりパターニングして、静電駆動方式の櫛歯型アクチュエータの固定極65と可動極66を形成する(6f、6k)。図6kにおいて楕円状の形状をしている部分は、窒化珪素膜を介して基板61に固定されたポストであり、ポストと可動極66を結合している線状の部分は弾性体となる部分である。これらは、共にポリシリコンで形成されている。
【0053】
次に、基板61をTMAH等の水溶液に浸して、基板61のシリコン部分をエッチングする。このときのエッチングマスクは窒化珪素膜であり、(111)面で構成される斜面が形成される(7a、7f)。次に、基板61のシリコン部分を熱酸化法により酸化し、酸化膜67を形成する(7b)。この基板の上面から、メカニカルマスクを用いて部分的にポリシリコン膜68を成膜する(7c、7g)。次に、ポリシリコン膜68をドライエッチング法によりパターニングして、スキャナ用ミラー69を形成する(7d、7h)。最後に、湿式のエッチング液により酸化膜を除去してスキャナ用ミラー69をリリースする(7e、7i)。
このようにして、マイクロマシニング工程を用いて、第2の実施の形態であるマイクロシャッタアレイを一括して多量に製作することが可能である。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、入射光の光量の制約が大きく、かつ、光照射で生ずる構造体の発熱が生じても経時変化が少ないマイクロシャッタアレイを実現することができる。さらに、本発明のマイクロシャッタアレイは、マイクロマシニング工程を用いて製造することが可能であり、大量生産が可能なため、低価格なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の概略構造を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態の概略構造を示す図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態の概略構造を示す図である。
【図4】本発明のマイクロシャッタアレイを用いた光学システムの例を示す図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態の概略構造を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態であるマイクロシャッタアレイの製造方法を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態であるマイクロシャッタアレイの製造方法を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態であるマイクロシャッタアレイの製造方法を示す図である。
【図9】従来の微小光学素子の概略断面構造を示す図である。
【符号の説明】
10…基板部(シリコン)、11…スリット列、12…薄膜遮光部材、13…駆動コイル、14…駆動電極、15…駆動電極、16…シリコン斜面、17…スペーサ、21…基板部(シリコン)、22…スキャナー、23…スリット列、24…薄膜遮光部材、25…静電アクチュエータ、26…駆動電極、27…可撓性ばね、28…スペーサ、29…反射面(シリコン斜面)、31…基板部(シリコン)、32…スリット列、33…薄膜遮光部材、34…回転軸、35…反射面(シリコン斜面)、91…複合マイクロシャッタアレイ、92…光源、93…レンズ、94…カラーフィルタ、95、95’…ミラー、96…投影レンズ、97…スクリーン、101、101’…基板、102、102’…スリット列、103、103’…薄膜遮光部材、104、104’…反射面、105…回動軸

Claims (8)

  1. 光を反射する反射面と、前記反射面を通過する光が通過する位置に設けられたスリット列と、前記スリット列の開口部を覆うように設けられた複数の薄膜遮光部材を有してなり、前記薄膜遮光部材は電気的に駆動され、前記スリット列の開口部を通過する光を遮光したり通過させたりするものであり、前記反射面、前記スリット列及び前記薄膜遮光部材が、マイクロマシニング工程により一体のものとして製作されたものであるマイクロシャッタアレイであって、前記反射面が回転可能であり、当該マイクロシャッタアレイに入力する光が、前記開口部を通過してから前記反射面で反射されることを特徴とするマイクロシャッタアレイ。
  2. 光を反射する反射面と、前記反射面を通過する光が通過する位置に設けられたスリット列と、前記スリット列の開口部を覆うように設けられた複数の薄膜遮光部材を有してなり、前記薄膜遮光部材は電気的に駆動され、前記スリット列の開口部を通過する光を遮光したり通過させたりするものであり、前記反射面、前記スリット列及び前記薄膜遮光部材が、マイクロマシニング工程により一体のものとして製作されたものであるマイクロシャッタアレイを、前記反射面の方向が接合面に対して対称になるようにして2個接合し、接合面に中心を有する回動軸を設けたことを特徴とするマイクロシャッタアレイ。
  3. 光を反射する反射面と、前記反射面を通過する光が通過する位置に設けられたスリット列と、前記スリット列の開口部を覆うように設けられた複数の薄膜遮光部材を有してなり、前記薄膜遮光部材は電気的に駆動され、前記スリット列の開口部を通過する光を遮光したり通過させたりするものであり、前記反射面、前記スリット列及び前記薄膜遮光部材が、マイクロマシニング工程により一体のものとして製作されたものであるマイクロシャッタアレイであって、前記反射面とは別の第2の反射面を有し、第2の反射面の位置が変化することにより、光の照射方向が変化し、当該マイクロシャッタアレイに入力する光が、前記開口部を通過してから前記反射面で反射し、その後で、前記第2の反射面で反射することを特徴とするマイクロシャッタアレイ。
  4. 請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載のマイクロシャッタアレイであって、前記反射面が、異方性エッチングで形成されたシリコン基板面であることを特徴とするマイクロシャッタアレイ。
  5. 請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載のマイクロシャッタアレイであって、前記薄膜遮光部材は熱膨張率の異なる薄膜を積層して構成され、通電により発生する熱によりバイモルフ動作をすることを特徴とするマイクロシャッタアレイ。
  6. 請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載のマイクロシャッタアレイであって、前記薄膜遮光部材には薄膜コイルが一体形成され、前記薄膜遮光部材は、前記薄膜コイルに流れる電流と外部磁場とで発生するローレンツ力により駆動されることを特徴とするマイクロシャッタアレイ。
  7. 請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載のマイクロシャッタアレイであって、前記薄膜遮光部材は、静電気力により駆動されることを特徴とするマイクロシャッタアレイ。
  8. 請求項3に記載のマイクロシャッタアレイの内、請求項7に係るものの製造方法であって、
    (a)基板材料として(100)面方位のシリコン基板を用意し、基板の両面に窒化珪素膜を成膜し、次にこの窒化珪素膜をドライエッチング法によりパターニングして、遮光スリットを形成する工程
    (b)酸化珪素膜を上面全面に形成し、次にこの酸化珪素膜をドライエッチング法によりパターニングして、犠牲層のパターンを形成する工程
    (c)この上面にポリシリコン膜を成膜し、更に、このポリシリコン膜をドライエッチング法によりパターニングして、静電駆動方式の櫛歯型アクチュエータの固定極と可動極を形成する工程
    (d)基板異方性エッチング液に浸漬して、窒化珪素膜をエッチングマスクとして基板のシリコン部分をエッチングする工程
    (e)基板のシリコン部分を熱酸化法により酸化し、シリコン酸化膜を形成する工程
    (f)この基板の上面から、メカニカルマスクを用いて部分的にポリシリコン膜を成膜し、次に、ポリシリコン膜をドライエッチング法によりパターニングして、スキャナ用ミラーを形成する工程
    (g)湿式のエッチング液によりシリコン酸化膜を除去してスキャナ用ミラーをリリースする工程
    を有してなるマイクロシャッタアレイの製造方法。
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