JPH11229664A - 免震部材被覆用耐火壁及び耐火免震構造 - Google Patents

免震部材被覆用耐火壁及び耐火免震構造

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JPH11229664A
JPH11229664A JP3167198A JP3167198A JPH11229664A JP H11229664 A JPH11229664 A JP H11229664A JP 3167198 A JP3167198 A JP 3167198A JP 3167198 A JP3167198 A JP 3167198A JP H11229664 A JPH11229664 A JP H11229664A
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JP
Japan
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fire
seismic isolation
isolation member
covering
resistant
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JP3167198A
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English (en)
Inventor
Hitoshi Morimoto
仁志 森本
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3M Co
Original Assignee
Minnesota Mining and Manufacturing Co
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 取り付け/取り外し作業が容易で、かつ免震
部材への火災焔の到達を効果的に防止できる免震部材被
覆用耐火壁、及び耐火免震構造を提供する。 【解決手段】 耐火免震構造12は、互いに離隔した梁
14と支柱16との間に配置され、梁14と支柱16と
の双方に固定された免震部材18と、免震部材18を耐
火被覆する耐火壁10とを備える。耐火壁10は、免震
部材18から離れて免震部材18の外周面を被覆する筒
状の耐火被覆板20を備える。耐火被覆板20の軸方向
第1端は、支柱16に固定される固定端22であり、固
定端22の反対側の軸方向第2端は、梁14との間に隙
間28を形成する自由端24である。耐火被覆板20の
自由端24を含む領域は、環状の熱膨脹性部材30から
形成される。熱膨脹性部材30は、耐火被覆板20の自
由端24近傍に火災焔が到達したときに、膨張して隙間
28を塞ぎ、免震部材18の延焼を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築物の上部構造
と下部構造との間に配置された免震部材を耐火被覆する
免震部材被覆用耐火壁に関する。さらに本発明は、その
ような耐火壁と免震部材とを組み合わせて構成される耐
火免震構造に関する。
【0002】
【従来の技術】免震構造は、通常、建築物の基礎部分の
基礎平面から上方へ突出する下部構造としての支柱と、
その基礎部分の上に配置される最下階室の床部分から基
礎部分に向かって下方へ突出する上部構造としての梁と
の間に形成される。従来の免震構造としては、例えば高
減衰ゴム等のゴム板と鋼板等の支持板とを交互に複数枚
積層して形成した免震積層体を含む免震部材を使用する
ものが知られている。この種の免震部材は、建築物の上
部構造と下部構造との間に両構造に固定して設置され、
上部構造の荷重を支える一方で下部構造の振動を上部構
造に伝達しないようになっている。
【0003】しかしこの種の免震部材は、積層体部分に
可燃性の材料を使用しているので、火災が生じたときに
は免震部材が燃焼、崩壊し、上部構造の荷重を支持でき
なくなる危惧がある。そこで従来、免震部材の周囲を耐
火壁で囲み、免震部材を延焼から保護するようにした耐
火免震構造が採用されている。
【0004】特許第2608186号公報は、互いに離
間した上部構造と下部構造との間に両構造に固定して配
置された免震部材と、免震部材の外周面を非接触に覆っ
て配置された耐火壁とを含んでなる耐火免震構造を開示
する。この耐火壁は、上部構造と下部構造との各々にそ
れぞれの一端で固定されるとともに他端で互いに密接し
た上下2つの耐火板と、それら耐火板の内壁面に近接し
て配置された不燃性カーテンとから構成される。したが
って免震部材は、耐火壁によって完全に外部と隔離され
ている。このような構成により、地震によって下部構造
と上部構造との間に相対変位が生じた場合にも、上下の
耐火板の間の隙間を通って火災焔が免震部材にまで及ぶ
ことを防止している。しかも、上下の耐火板に分割され
た耐火壁は、震動時に剪断方向へ変形する免震部材に接
触しないように配置することが容易であるので、免震部
材の免震機能を損なうことがない。
【0005】しかしながらこのような構造では、耐火壁
を構成する上下の耐火板の各々を上部及び下部構造に固
定したので、免震部材の保守、点検等のためにそれら耐
火板を取り外して再び取り付ける作業が、比較的手間の
掛かる煩雑な作業となる。また、取り付け/取り外し作
業を繰り返すうちに、不燃性カーテンが破損したり耐火
板から脱離するおそれもある。
【0006】特許第2608186号公報はさらに、免
震部材とそれを囲む耐火壁との間の空間に不燃性液体を
充填してなる耐火免震構造を開示する。不燃性液体は、
免震部材の全高を超えるレベルまで充填され、耐火壁と
上下両構造との間の隙間から火災焔が侵入した場合に
も、免震部材への延焼を防止できるようになっている。
【0007】しかしながらこのような構造では、不燃性
液体の液面を一定に保つことは容易ではなく、耐火機能
に対する信頼性を高めることが困難である。また、免震
部材の点検等の作業時には、耐火壁内部の不燃性液体を
一時的に取り除き、点検後に再充填する必要があり、作
業性が非常に悪いものとなる。
【0008】特許第2616344号公報は、免震部材
の周りを、それと接触しないようにしてセラミック繊維
等からなる耐火被覆材で覆い、さらに耐火被覆材の周囲
に耐火パネルを配置してなる耐火免震構造を開示する。
耐火被覆材は、上下両構造に例えばボルトで確実に固定
される。このような構造では、やはり免震部材の保守、
点検等のためにそれら耐火被覆材を取り外して再び取り
付ける作業が、比較的手間の掛かる煩雑な作業となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記のように従来の耐
火免震構造では、免震部材の保守、点検等を行う際の耐
火壁の脱着作業性が悪い。これは、免震部材に火災焔が
到達するのを防ぐためには、免震部材の周囲空間を耐火
壁等の被覆部材で密閉したり周囲空間に不燃性液体を充
満させたりする必要があり、点検の度にこの被覆部材や
不燃性液体を取り除き、点検作業終了後に復元すること
が、煩雑な作業であることを示す。
【0010】したがって本発明の目的は、取り付け/取
り外し作業が容易で、かつ免震部材への火災焔の到達を
効果的に防止できる免震部材被覆用耐火壁を提供するこ
とにある。本発明の他の目的は、そのような耐火壁を含
んでなる耐火免震構造を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の本発明は、互いに離隔した上部構
造と下部構造との間に配置され、上部構造と下部構造と
の双方に固定された免震部材を耐火被覆する免震部材被
覆用耐火壁において、免震部材から離れて免震部材の外
周面を被覆する筒状の耐火被覆板を含んでなり、耐火被
覆板は、その軸方向第1端に設けられ、上部構造と下部
構造とのいずれか一方に固定される固定端と、固定端の
反対側の軸方向第2端に設けられ、固定端を固定しない
方の上部構造又は下部構造との間に隙間を形成する自由
端とを具備し、少なくとも耐火被覆板の自由端の近傍領
域が熱膨張性材料から形成されることを特徴とする免震
部材被覆用耐火壁を提供する。
【0012】また、請求項2に記載の本発明は、互いに
離隔した上部構造と下部構造との間に配置され、上部構
造と下部構造との双方に固定された免震部材を耐火被覆
する免震部材被覆用耐火壁において、軸方向へ互いに整
列配置され、免震部材から離れて免震部材の外周面を被
覆する一対の筒状の耐火被覆板を含んでなり、一対の耐
火被覆板の各々は、その軸方向第1端に設けられ、上部
構造と下部構造とのいずれか一方に固定される固定端
と、固定端の反対側の軸方向第2端に設けられ、軸方向
へ整列する他方の耐火被覆板との間に隙間を形成する自
由端とを具備し、少なくとも一対の耐火被覆板の自由端
の近傍領域が熱膨張性材料から形成されること、を特徴
とする免震部材被覆用耐火壁を提供する。
【0013】また、請求項3に記載の本発明は、互いに
離隔した上部構造と下部構造との間に配置され、上部構
造と下部構造との双方に固定された免震部材と、免震部
材を耐火被覆する耐火壁とを具備して構成される耐火免
震構造において、耐火壁が、請求項1又は2に記載の免
震部材被覆用耐火壁からなることを特徴とする耐火免震
構造を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して、本発
明をその実施形態に基づき詳細に説明する。各図面にお
いて、同一又は類似の構成要素には共通の参照符号を付
す。図1を参照すると、本発明の一実施形態による耐火
壁10を備えた耐火免震構造12が概略で示されてい
る。耐火免震構造12は、互いに離隔した上部構造(例
えば梁14)と下部構造(例えば支柱16)との間に配
置され、梁14と支柱16との双方に固定された免震部
材18と、免震部材18を耐火被覆する耐火壁10とを
具備して構成される。
【0015】図示実施形態による耐火壁10は、免震部
材18から離れて免震部材18の外周面を被覆する筒状
の耐火被覆板20を備える。耐火被覆板20の軸方向第
1端は、下部構造である支柱16に固定される固定端2
2を構成する。固定端22の反対側の耐火被覆板20の
軸方向第2端は、上部構造である梁14との間に隙間を
形成する自由端24を構成する。
【0016】或いは耐火壁10の耐火被覆板20を、上
部構造である梁14に固定される一方で下部構造である
支柱16との間に隙間が形成されるように構成すること
もできる。このように耐火壁10は、主構成要素である
耐火被覆板20が梁14と支柱16とのいずれか一方に
のみ固定されるので、免震部材18の保守、点検等を行
う際に比較的容易に取り付け/取り外し作業を行うこと
ができる。
【0017】また耐火壁10は、地震等による震動時
に、梁14と支柱16との相対変位及び免震部材18の
免震機能を妨げないように配置される。すなわち、免震
部材18が免震機能を発揮している間、主として剪断方
向へ変形する免震部材18に耐火壁10が確実に接触せ
ず、しかも梁14と支柱16とが互いに独立して変位で
きるように、耐火壁10と免震部材18との間、及び耐
火被覆板20の自由端24と梁14との間に、十分な大
きさの隙間26、28がそれぞれ形成される。
【0018】このような構成によれば、地震時に免震部
材18の免震機能を最大限に発揮させることができる。
しかし、火災が発生したときには、耐火被覆板20の自
由端24と梁14との間から火災焔が侵入し、免震部材
18が延焼、崩壊してしまう。そこで耐火壁10では、
火災焔が免震部材18に到達することを防止するため
に、少なくとも耐火被覆板20の自由端24の近傍領域
が熱膨張性材料から形成される。図示実施形態では、耐
火被覆板20の自由端24を含む領域が、環状の熱膨脹
性部材30から形成されている。
【0019】熱膨脹性部材30は、火災が発生して耐火
被覆板20の自由端24の近傍に火災焔が到達したとき
に、膨張して隙間28を塞ぎ、耐火壁10の内側の免震
部材18が配置された空間内に火災焔が侵入することを
防ぐ。したがって、免震部材18への火災焔の到達を防
ぐことができる。
【0020】耐火被覆板20の熱膨脹性部材30を除く
主要部には、例えば、ケイ酸カルシウム板、ALC板、
亜鉛鋼板等の非熱膨張性の耐火材からなる板や、熱膨張
性材料又は吸熱性材料を含んでなる板部材を使用でき
る。熱膨張性材料を含んでなる板部材の具体例として
は、3M(株)社製の「(品番)CS−195(熱膨張
性ゴムマットと亜鉛鋼板と亀甲金網とを積層したも
の)」、同「(品番)FS−195(熱膨張性ゴムマッ
トとアルミホイルとを積層したもの)」、同「(品番)
M20A(熱膨張性繊維マットとアルミホイルとを積層
したもの)」等を挙げることができる。
【0021】また、吸熱性材料を含んでなる板部材の具
体例としては、3M(株)社製の「(品名)E−マッ
ト」等の吸熱材を挙げることができる。これらの板又は
板部材は、耐火壁10の耐久性を高めるのに効果的であ
り、耐火壁10の取り外し/取り付け作業を繰り返した
ときにも耐火壁10の破損を効果的に防止できる。吸熱
性材料を含んでなる板部材は、断熱効果が高く、免震部
材18に伝わる熱を効果的に遮断できるので、特に好適
に使用される。
【0022】耐火壁10の耐火被覆板20の主要部の厚
さは、耐火機能を損なわない範囲であれば特に限定され
ないが、断熱性を効果的に高めるには、10mm〜50mm
の範囲が好適である。
【0023】他方、熱膨張性部材30としては、上記の
「FS−195」、「M20A」等の熱膨張性の板部材
や、熱膨張性材料から形成した成形体等が使用できる。
「熱膨張性材料」とは、結合剤と、その結合剤の中に分
散された熱膨張性基材とを含んでなる材料である。結合
剤には、フルオロカーボンゴム、シリコーン系ゴム、ク
ロロプレン系ゴム、アクリル系共重合体、スチレン系共
重合体、臭素化エポキシ樹脂等が使用できる。熱膨張性
基材には、例えば、膨張黒鉛、アルカリ金属珪酸塩、バ
ーミキュライト等が使用できる。熱膨張性基材の配合割
合は、結合剤100重量部に対して、通常1〜1000
重量部の範囲である。また、これらの他に、所望によ
り、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等のフリーラ
ジカル発生剤、燐化合物等の錯体形成剤、水酸化アルミ
ニウム等の吸熱材、カーボンブラック、金属酸化物、ポ
リマー粒子、セラミック繊維等の充填剤、等を含有させ
ても良い。
【0024】熱膨張性部材30と耐火被覆板20の主要
部とは、例えば、接着剤による接着、ボルトとナットと
を用いた固着等の手段を用いて固定的に結合することが
できる。この場合の接着剤としては、例えばアクリル系
接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤等が使用でき
る。接着剤のタイプとしては、結合作業の簡便性が良い
点から、粘着剤が好適である。また、熱膨張性部材30
と耐火被覆板20との接着面の少なくとも一方に、プラ
イマーを塗布した後、接着剤を用いて接着することもで
きる。
【0025】熱膨張性部材30の軸方向寸法、すなわち
梁14と支柱16との間に配置したときの鉛直方向寸法
は、隙間28の大きさや熱膨張性部材30の熱膨張率に
よって適宜決定できるが、通常3mm〜50mmである。ま
た、熱膨張性部材30の厚さは、通常3mm〜50mmであ
る。
【0026】本発明は上記構成に限定されず、耐火壁1
0の全体が熱膨張性材料から形成されても良い。この場
合、図示しないが、筒状の耐火壁10を、各々が熱膨張
性材料からなる複数の縦割状の耐火被覆板20の組合せ
から構成することができる。つまり、複数の縦割状の耐
火被覆板20を、上記したように免震部材18から離し
て免震部材18の周りを囲むようにそれぞれ支柱16
(又は梁14)に固定して、耐火被覆板20の集合体と
して耐火壁10を形成できる。このような場合、互いに
隣接する耐火被覆板20同士の間に隙間が存在しても良
い。火災時には耐火被覆板20全体が熱膨張し、隣接す
る耐火被覆板20の間のそのような隙間を閉塞できるか
らである。
【0027】図示の耐火免震構造12で使用される免震
部材18は、図2に示すように、例えば高減衰ゴム、天
然ゴム等からなるゴム板32と鋼板、鉄板等からなる支
持板34とを、交互に複数枚(例えば10〜20枚)積
層して形成した積層構造を有する。この種の免震部材1
8は、通常、被覆ゴム36で外周面が被覆される。さら
に、免震部材18の上下両面には、免震部材18を梁1
4及び支柱16へ固定するためのフランジ38を、例え
ば接着剤により固着することができる。フランジ38に
は、通常、固定用のボルト穴40が複数設けられる。こ
の場合、免震部材18は、図示しないボルトによって梁
14及び支柱16に固定される。
【0028】図1に示す耐火免震構造12は、従来周知
の耐火免震構造の設置場所と同様の場所に設置できる。
つまり、例えば建築物の基礎部分から突出した支柱16
と、その基礎部分の上に配置される最下階室の床部分の
梁14との間に設置できる。このような基礎部分と床部
分との間に形成される区画空間は、通常、配線や配管の
ためのスペースとして利用される。また、この区画空間
を、地下室、地下駐車場等として利用することもでき
る。このような区画空間の高さは、特に限定されないが
通常0.9m〜3mである。こうした状況で、耐火免震
構造12は、耐火壁10を、従来のようなセラミック不
織布等の耐火被覆材(例えば特許第2616344号公
報参照)を用いずに、耐火性の板状部材だけから形成す
ることができるので、外観の意匠性を効果的に高めるこ
とができる。したがって耐火免震構造12は、人の目に
触れる場所(例えば上記地下駐車場)に設置した場合で
も、その場所の美観を損なうことはない。
【0029】図1に示す本発明の一実施形態による耐火
免震構造12は、以下のようにして組立てられる。ま
ず、免震部材18を、梁14と、梁14から所定の距離
だけ離れて配置された支柱16との間に配置し、梁14
と支柱16との両方に固定的に結合する。免震部材18
の高さは、梁14と支柱16との間の距離と実質的に同
じであり、通常20cm〜100cmである。
【0030】次に、前述した耐火壁10を、免震部材1
8から所定の距離だけ離して、免震部材18の外周面を
覆うように配置する。すなわち耐火壁10は、通常、筒
体を構成する。このような筒体は、前述したように、例
えば円筒や角筒を縦に2〜8分割した寸法と形状とを有
する複数の縦割片を互いに筒状に組合せることにより作
製できる。
【0031】このような縦割片は、まず前述した耐火性
の板部材から、所定の縦割形状と寸法を有する耐火被覆
板の主要部を形成し、次に、耐火被覆板の自由端側に前
述した熱膨張性部材を接着剤等を用いて固着することに
より作製される。なお、耐火性の板部材の腰が少ない場
合には、耐火被覆板の主要部の外縁全体に渡って、例え
ば金属等の不燃性材料からなる支持枠体を密着すること
もできる。こうして作製した複数の縦割片を筒状に組合
せる際には、互いに隣接する縦割片の間に隙間ができな
いように組合せることが肝要である。或いは、隣接する
縦割片の間の封止性を高めるために、互いに隣接する縦
割片の境界部分をまたぐように、別の耐火性の板部材を
両縦割片の外面に接着することもできる。この場合、熱
膨張性部材30と耐火被覆板20の主要部との固着に使
用した接着剤と同じ接着剤を使用できる。
【0032】耐火壁10の支柱16(又は梁14)への
固定は、例えば図1に示すように、耐火被覆板20の固
定端22の近傍に一端が連結された連結部材42と、連
結部材42を支柱16の外周面の上端近傍に結合するボ
ルト44とにより行うことができる。連結部材42と耐
火被覆板20とは、例えば接着剤を用いて連結できる。
この場合、熱膨張性部材30と耐火被覆板20の主要部
との固着に使用した接着剤と同じ接着剤を使用できる。
【0033】図1に示すように、耐火壁10は、免震部
材18が静的状態にあるときは勿論、地震が発生して免
震部材18に変形が生じている間にも、免震部材18に
接触しない位置に配置される。耐火壁10と免震部材1
8との間の水平方向距離Wは、耐火壁10の耐火機能及
び免震部材18の免震機能を損なわない範囲であれば特
に限定されないが、好適には20cm〜50cmである。距
離Wがこの範囲より小さいと、免震部材18の変形を妨
げるおそれがあり、この範囲より大きいと、耐火免震構
造12の外観を損なうおそれがある。
【0034】耐火壁10は、耐火被覆板20の自由端2
4と梁14との間に、熱膨張性部材30が熱膨張しない
限り、所望寸法の隙間28を維持するように構成され
る。すなわち、耐火壁10は、免震部材18が静的状態
にあるときは勿論、地震が発生して免震部材18が変形
しているときにも、梁14とは接触しないように寸法及
び配置が設定される。自由端24と梁14との間の距離
hは、熱膨張性部材30の膨張率や寸法にもよるが、通
常は0.1cm〜5cm、好適には0.5cm〜2cmである。
距離hがこの範囲より小さいと、免震部材18の変形を
妨げるおそれがあり、この範囲より大きいと、免震部材
18への焔の到達を阻止できないおそれがある。
【0035】本発明に係る耐火免震構造は、上記構造に
限定されず、例えば、図3〜図6に示すような変形構造
を採用することもできる。図3に示す耐火免震構造は、
梁14に固定された第1耐火壁46と、支柱16に固定
された第2耐火壁48とを含んでなる。それら第1耐火
壁46と第2耐火壁48との間には、隙間50が形成さ
れる。各耐火壁46、48は、図1の耐火壁10と同様
に、免震部材18から離れて免震部材18の外周面を被
覆する筒状の耐火被覆板52を備える。各耐火被覆板5
2は、その軸方向第1端の固定端54で梁14又は支柱
16に固定される。各耐火被覆板52の軸方向第2端の
自由端56を含む領域は、環状の熱膨脹性部材58から
形成される。このように、上下に配置された第1及び第
2耐火壁46、48は、それぞれの熱膨脹性部材58の
間に、地震発生時の免震部材18の変形及び梁14と支
柱16との相対変位を許容するための隙間50を備え
る。
【0036】このように2つの耐火壁46、48を用い
れば、火災時に隙間50を閉塞する熱膨張性部材58が
2個対向して配置されるので、図1の耐火免震構造12
における隙間28に比べて、耐火性能を劣化させること
なく隙間50の寸法を拡大することができる。つまり、
耐火免震構造に使用される材料を削減することができ
る。さらに、免震部材18の保守、点検等の作業時に
は、いずれか一方の耐火壁46、48のみを取り外せば
良いので、取り付け/取り外し作業が容易となる利点が
ある。
【0037】上記構成では、各耐火壁46、48の高さ
(鉛直方向寸法)は、略同一であることが好ましい。そ
のように、上下の耐火壁46、48の間の隙間50を、
梁14と支柱16との間の鉛直方向略中央位置に形成す
れば、各耐火壁46、48と免震部材18との間の水平
方向距離Wを、図1の耐火免震構造12に比べて縮小す
ることができる。これは、各耐火壁46、48の高さが
比較的小さいので、免震部材18が大きく変形しても、
免震部材18と各耐火壁46、48との接触を容易に回
避できるからである。
【0038】図4に示す耐火免震構造は、図3の耐火免
震構造と同様に2個の耐火壁60、62を備える。各耐
火壁60、62の耐火被覆板64は、その固定端66よ
りも自由端68が外側へ膨出した形状を有する。それら
膨出した自由端68に、熱膨張性部材70が配置され、
両熱膨張性部材70の間に隙間72が形成される。この
ような構成によれば、各耐火壁60、62と免震部材1
8との間の空間を拡大でき、免震部材18のかなり大き
な変形を許容できる。
【0039】図5に示す耐火免震構造は、図1に示す耐
火免震構造10において、梁14が支柱16よりも太い
場合の変形例による耐火壁74を備える。耐火壁74
は、固定端76よりも自由端78が外側へ膨出した形状
を有する耐火被覆板80と、その膨出した自由端78に
配置される熱膨張性部材82とを備える。熱膨張性部材
82と梁14との間に隙間84が形成される。このよう
な構成によっても、免震部材18のかなり大きな変形を
許容できる。
【0040】図6に示す耐火免震構造は、図5に示す耐
火免震構造において、梁14と支柱16とが略同じ太さ
の場合の変形例による耐火壁86を備えるものである。
耐火壁86は、固定端88から自由端90に向かって外
側へ膨出するとともに自由端90で縮径した形状を有す
る耐火被覆板92と、自由端90に配置され、隙間94
を会して梁14に対向する熱膨張性部材94とを備え
る。このような構成によれば、免震部材18の変形を許
容できるとともに、耐火免震構造の意匠性を高めること
ができる。なお、図5及び図6の構成では、固定端と自
由端とを上下逆にして、耐火壁を梁14に固定するよう
にすることもできる。
【0041】
【実施例】図1に示す耐火免震構造12を、以下の内容
で作製した。まず、梁14と、梁14から鉛直方向に約
80cm離れた支柱16との間に、免震部材18を配置し
た。免震部材18は、直径約80cmの高減衰ゴム板と同
じ直径の鋼板とを交互に8枚ずつ積層して形成した。ま
た、梁14及び支柱16の直径は約130cmであった。
耐火壁10は、4つの縦割片を組合せて形成した筒体か
ら形成した。各縦割片は、耐火被覆板20の主要部に熱
膨張性部材30を接着して形成した。
【0042】耐火被覆板20の主要部は、前述した吸熱
性の板部材(「(品名)E−マット」)と、その外縁全
体に渡って密着されるアルミニウム製の支持枠体とから
形成した。板部材の厚さは約20mmであった。支持枠体
の幅(板部材の厚さ方向に沿った寸法)は約15mmであ
った。
【0043】熱膨張性部材30として、前述した「(品
番)FS−195」を用い、耐火被覆板20の支持枠体
の表面に、アクリル系粘着剤を用いて接着した。熱膨張
性部材30の厚さは約5mmであった。また、耐火被覆板
20の主要部と熱膨張性部材30との接着部位と、耐火
被覆板20の自由端24との間の距離(梁14と支柱1
6との間に配置した時の鉛直方向寸法)は、約65mmで
あった。
【0044】耐火壁10において、4つの縦割片は、互
いに隣接する縦割片の外縁同士が接触するように組合せ
られた。また、互いに隣接する縦割片同士の境界部分を
またぐように、前述した「(品名)E−マット」(幅約
5cm)を、アクリル系粘着剤を介して耐火被覆板20の
外表面に密着させた。なお、この「(品名)E−マッ
ト」は、耐火壁10の取り付け/取り外し作業を煩雑に
しない程度に、脱着が容易なアクリル系粘着剤を介して
取り付けられた。
【0045】耐火壁10の支柱16への固定は、連結部
材42とボルト44とを用いて行った。連結部材42
は、各縦割片毎に2個ずつ配置した。また、1つの連結
部材42に1つのボルト44を使用した。連結部材42
と耐火被覆板20との結合は、アクリル系粘着剤を用い
て行った。
【0046】以上の構成を有する耐火免震構造12の、
建築基準法に規定される耐火性能を、JIS/A/13
04に準じた試験方法で評価した。その結果、2時間
後、耐火壁10の自由端24と梁14との間の隙間28
は十分に閉塞された。免震部材18の表面温度は約70
℃であった。また、この耐火免震構造12の免震部材被
覆用の耐火壁10は、支柱16にのみ固定したものであ
るので、取り付け/取り外し作業は容易であった。
【0047】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、免震部材の保守、点検等の際の取り付け/取
り外し作業が容易で、かつ免震部材への火災焔の到達を
効果的に防止できる免震部材被覆用耐火壁が提供され
る。さらに本発明によれば、そのような耐火壁を含んで
なる耐火免震構造が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による耐火壁を備えた耐火
免震構造の概略断面正面図である。
【図2】図1の耐火免震構造で使用される免震部材の部
分断面斜視図である。
【図3】変形例による耐火壁を備えた耐火免震構造の概
略断面正面図である。
【図4】他の変形例による耐火壁を備えた耐火免震構造
の概略断面正面図である。
【図5】さらに他の変形例による耐火壁を備えた耐火免
震構造の概略断面正面図である。
【図6】さらに他の変形例による耐火壁を備えた耐火免
震構造の概略断面正面図である。
【符号の説明】
10…耐火壁 12…耐火免震構造 14…梁 16…支柱 18…免震部材 20…耐火被覆板 22…固定端 24…自由端 26、28…隙間 30…熱膨張性部材 42…連結部材

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに離隔した上部構造と下部構造との
    間に配置され、該上部構造と該下部構造との双方に固定
    された免震部材を耐火被覆する免震部材被覆用耐火壁に
    おいて、 前記免震部材から離れて該免震部材の外周面を被覆する
    筒状の耐火被覆板を含んでなり、 前記耐火被覆板は、その軸方向第1端に設けられ、前記
    上部構造と前記下部構造とのいずれか一方に固定される
    固定端と、 前記固定端の反対側の軸方向第2端に設けられ、該固定
    端を固定しない方の前記上部構造又は前記下部構造との
    間に隙間を形成する自由端とを具備し、 少なくとも前記耐火被覆板の前記自由端の近傍領域が熱
    膨張性材料から形成されること、を特徴とする免震部材
    被覆用耐火壁。
  2. 【請求項2】 互いに離隔した上部構造と下部構造との
    間に配置され、該上部構造と該下部構造との双方に固定
    された免震部材を耐火被覆する免震部材被覆用耐火壁に
    おいて、 軸方向へ互いに整列配置され、前記免震部材から離れて
    該免震部材の外周面を被覆する一対の筒状の耐火被覆板
    を含んでなり、 前記一対の耐火被覆板の各々は、その軸方向第1端に設
    けられ、前記上部構造と前記下部構造とのいずれか一方
    に固定される固定端と、 前記固定端の反対側の軸方向第2端に設けられ、軸方向
    へ整列する他方の該耐火被覆板との間に隙間を形成する
    自由端とを具備し、 少なくとも前記一対の耐火被覆板の前記自由端の近傍領
    域が熱膨張性材料から形成されること、を特徴とする免
    震部材被覆用耐火壁。
  3. 【請求項3】 互いに離隔した上部構造と下部構造との
    間に配置され、該上部構造と該下部構造との双方に固定
    された免震部材と、該免震部材を耐火被覆する耐火壁と
    を具備して構成される耐火免震構造において、 前記耐火壁が、請求項1又は2に記載の免震部材被覆用
    耐火壁からなることを特徴とする耐火免震構造。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007191967A (ja) * 2006-01-20 2007-08-02 Panahome Corp 免震住宅
JP2007321456A (ja) * 2006-06-01 2007-12-13 Sekisui Chem Co Ltd 免震装置の耐火被覆構造
JP2010024617A (ja) * 2008-07-15 2010-02-04 Asahi Kasei Homes Co 免震装置の耐火被覆構造
JP2017194097A (ja) * 2016-04-19 2017-10-26 新日鉄住金エンジニアリング株式会社 滑り免震装置
CN107605062A (zh) * 2017-09-14 2018-01-19 云南震安减震科技股份有限公司 一种用于建筑隔震橡胶支座的可动式防火保护装置

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