JPH11229525A - 免震建築物の耐火目地 - Google Patents

免震建築物の耐火目地

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JPH11229525A
JPH11229525A JP5429398A JP5429398A JPH11229525A JP H11229525 A JPH11229525 A JP H11229525A JP 5429398 A JP5429398 A JP 5429398A JP 5429398 A JP5429398 A JP 5429398A JP H11229525 A JPH11229525 A JP H11229525A
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省一郎 白井
Kohei Takizawa
弘平 瀧澤
Ryutaro Yokoyama
隆太郎 横山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 免震装置の挙動に干渉せず、地震発生後も耐
火性能が損傷されずに防火区画が維持可能な耐火目地を
提供する。 【解決手段】 防火壁を分割した上部防火壁1と下部防
火壁2との間に摺接部材として、クッション性を有する
耐火部材Bと、これを支持して上部防火壁1に固定する
ための金属製支持金具A1とから成る耐熱性構成体Pを
着設する耐火目地であって、前記支持金具A1の桁板部
3を幅方向に分割して離隔し、両分割板部3a,3bの
裏面に熱絶縁板6を当て、タッピングスクリュー7で固
定して構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、免震建築物の耐火
目地に係わり、より具体的には免震装置を施工した建築
物の防火区画を構成する耐火目地に関する。
【0002】
【従来の技術】建造物に使用される免震装置として、鋼
板とゴムとを交互に積み重ねて構成された積層体からな
るものが広く使用され、これらは必要に応じて個々に独
立した耐火被覆構造を備え各個に耐火性能が付与されて
いる。一般に、免震装置は基礎と建物の間に設けられ、
衝撃が直接建物に伝わらないようになっており、免震装
置が建物の荷重を支承している。
【0003】ところで、免震装置は構造物下で基礎との
間に設置されるだけでなく、今後は構造物の免震構造化
のため適用範囲が拡張され、また、建築の高層化に対応
するには任意の場所に設置することが不可欠となる。免
震装置を建築物の中間層に設置した場合、特に免震装置
設置階又はより下の階層から出火したときは、火災の熱
による免震装置の弾塑性変形性能および弾性復元力、耐
負荷容量等、免震機能の劣化に伴い、免震装置設置階よ
り上層階を構成する構造体の垂直度も影響を受けること
になる。
【0004】一方、建築基準法による防火区画は、火災
時には耐火材で構成された防火壁を含む防火手段によ
り、防火区画内を外界からの閉鎖空間に形成して火災や
高熱を遮断するようになっている。従って、免震装置が
建築物の中間層に設置されると、構造体の一部である建
築物外壁、吹き抜け空間の境界壁ならびに人の移動に関
する階段室、エレベータシャフト、物品移送に関するダ
ストシュート、リネンシュートおよび空調・排気ダク
ト、給・排気管または配電通信ケーブル等の設備用シャ
フト等の建物を連続して貫通する堅穴区画を形成する防
火壁が、直接免震装置に関係してくる。その他、面積区
画あるいは地下街、駐車場、劇場等を含む異種用途区画
と同一階層に区画を構成する防火壁と免震装置とが共存
することも在りうる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら免震装置
は、地震発生時にそれ自体が設置された下層階とそれ自
体が支持する上層階との相対的に位相の異なる変位を許
容したり、それ自体が設置された基礎に対してそれ自体
が支持する躯体の変位を許容して柔軟に対応できるよう
にするものである。一方、防火区画を形成する防火壁
(外壁を含む)は、耐火材からなる剛性体で上層階と下
層階あるいは基礎と躯体とを密に連結して免震装置を含
む防火区画内を外界から遮断し、地震発生後も防火区画
の内部が直接火災や高熱に曝されて延焼に及ぶのを防止
する機能を維持しなければならない。
【0006】本発明の目的は、上記のような免震装置と
共存する耐火目地の問題点を解決し、免震装置の挙動に
干渉せず、地震発生後も耐火性能が損傷されずに防火区
画が維持可能な耐火目地を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本願の請求項1の発明に係わる免震建築物の耐火目
地は、免震装置が設置された免震建築物において、防火
壁を分割した上部防火壁と下部防火壁との間に、または
防火壁と基礎あるいは床面との間に摺接部分を有し、こ
の摺接部分に摺動部材として耐熱性構成体を着設する耐
火目地であって、前記耐熱性構成体をクッション性を有
する耐火部材と、これを支持して防火壁側に取り付ける
金属製支持金具とで構成し、前記金属製支持金具に、前
記防火壁の摺接面に当接される桁板部と、その一端から
上向きに屈曲して前記防火壁の側面に固定される側面板
部と、桁板部の他端から下向きに屈曲する側面板部とで
形成すると共に前記桁板部をその幅方向に分割して離隔
し、両分割板部を熱絶縁体を介して連結して構成したも
のを用いることを要旨としている。
【0008】本願の請求項2の発明は、免震装置が設置
された免震建築物において、防火壁を分割した上部防火
壁と下部防火壁との間に、または防火壁と基礎あるいは
床面との間に摺接部分を有し、この摺接部分に摺動部材
として耐熱性構成体を着設する耐火目地であって、前記
耐熱性構成体をクッション性を有する耐火部材と、これ
を支持して防火壁側に取り付ける金属製支持金具とで構
成し、前記金属製支持金具に、前記防火壁の摺接面に当
接される桁板部と、この桁板部の両端から下向きに屈曲
する側面板部と、一方の側面板部を前記防火壁の側面に
固定する支板とで形成すると共に前記桁板部をその幅方
向に分割して離隔し、両分割板部を熱絶縁体を介して連
結して構成したものを用いることを要旨としている。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の好ましい実施の形態とし
ては、図1〜図2に示すように、防火壁を分割した上部
防火壁1と下部防火壁2との間の摺接部分に摺動部材と
して耐熱性構成体Pを着設する防火壁の構造において、
前記耐熱性構成体Pを金属製支持金具A1と、これに支
持されるクッション性を有する耐火部材Bとで構成し、
前記金属製支持金具A1は、上部防火壁1の摺接面に当
接される桁板部3と、その一端から上向きに屈曲して上
部防火壁1の側面にアンカーボルト11により固定され
る側面板部4と、桁板部3の他端から下向きに屈曲する
側面板部5とで形成すると共に前記桁板部3をその幅方
向に分割して離隔し、両分割板部3a,3bの裏側に熱
絶縁板6を当て、タッピングスクリュー7で固定して構
成する。
【0010】
【実施例】図1〜図2に、本発明の第1実施例を示す。
本実施例は、免震装置が設置された免震建築物におい
て、防火壁を分割した上部防火壁1と下部防火壁2との
間の摺接部分に摺動部材として、金属製支持金具A
1と、これに支持されるクッション性を有する耐火部材
Bとから成る耐熱性構成体Pを着設した構造を示してい
る。
【0011】前記金属製支持金具A1は鋼板材料を用
い、上部防火壁1の摺動接面に当接する桁板部3と、そ
の幅方向両端からそれぞれ下向きに屈曲して張り出す側
面板部4,5とで形成すると共に前記桁板部3をその幅
方向に分割して離隔し、両分割板部3a,3bを、その
裏面に当て付けたケイ酸カルシウム板等の熱絶縁板6を
介して連結して構成している。熱絶縁板6の連結には、
タッピングスクリュー7を用い、分割板部3a,3bに
ネジ込んだあと、板部の表面に突出したスクリュー部分
を切除している。
【0012】前記クッション性を有する耐火部材Bは、
ロックウールの芯材8と、これを囲むセラミックファイ
バーブランケットの外殻9と、その表面を覆うガラスク
ロスまたは耐火性不織布等の耐火性表皮10とで構成
し、これを支持金具A1に接着により支持させている。
【0013】前記耐熱性構成体Pは、支持金具A1の側
面板部4を前記表皮10の端部と共に上部防火壁1の壁
面に当て付け、適当の本数のアンカーボルト11を介し
て防火壁側面に固定し、上部防火壁1に保持している。
そして耐熱性構成体Pはクッション性を有する耐火部材
Bを上下方向に圧縮した状態で前記摺接部分に配設して
いる。
【0014】上記構成により、分割された上部防火壁1
と下部防火壁2は相対的に位相の異なる変位が許容され
る。したがって免震装置(図示してない)の機能に干渉
することはなく、また、耐熱性構成体Pと一体で変位す
る上部防火壁1が損傷して防火機能を喪失することもな
い。
【0015】前記耐熱性構成体Pを構成している金属製
支持金具A1は、防火壁の外側(図中、防火壁の左側)
で火災が発生した際、防火壁で仕切られている防火区画
内(図中、防火壁の右側)に熱を伝え、これが防火壁に
とって好ましくない熱橋となる欠点がある。しかし、上
記構成の金属製支持金具A1は、桁板部3を幅方向に分
割して離隔し、その分割板部3a,3bを熱絶縁板6に
よって連結した構成としているので、支持金具としての
支持機能は損なわれず、しかも熱伝導による熱橋をより
確実に防止することができる。
【0016】図3〜図4に、本発明の第2実施例を示
す。なお、図1〜図2と同一または類似する部材には同
じ符号を付している。本実施例は、金属製支持金具A2
は、桁板部3の両端を同じ下向きに屈曲して側面板部
5,5’となし、側面板部5’の長手方向に金属製支板
12(ピース材)を所要の間隔をとった部位に当て付
け、ビス13で固定して構成し、前記支板12を上部防
火壁1の側面にアンカーボルト11を介して固定し、上
部防火壁1に保持している。
【0017】図1〜図2の実施例の支持金具A1の構成
では、上部防火壁1に取り付けられる側面板部4は約4
0mmの長さの立ち上がりが必要とされるが、前記支持
金具A2は、桁板部3と側面板部5,5’とからなるコ
字形金具の固定部分にのみ金属製支板12を使用してい
るため、支板12は約20mm長さの立ち上りでよくな
り、結果として受熱面積の縮小化が可能となるので、前
述した桁板部の分割とあいまって熱伝導による熱橋防止
効果をより確実なものとすることができる。
【0018】下記表1は、前記実施例および比較例の金
属製支持金具に対して行なった耐火試験結果を示したも
のである。
【0019】
【表1】
【0020】耐火試験は、JIS−A−1304に準拠
して2時間加熱を行った。即ち、防火壁左側に、壁体の
一部および金属製支持金具を含む加熱炉を形成し、その
加熱炉内に熱ガスを送り、炉内温度を時間の経過に伴っ
て下記表2に示す温度となるようにし、防火壁の右側に
露出する側板部の温度を熱電対により測定したものであ
る。
【0021】
【表2】
【0022】上記耐火試験結果により、本発明の耐熱性
構造体に用いる金属製支持金具は、優れた熱橋抑制効果
を有することが認められた。なお、防火壁と基礎あるい
は床面との間に摺接部分を有し、この摺接部分に摺動部
材として、前記耐熱性構成体を着設することにより、前
記と同様な効果が得られる。
【0023】
【発明の効果】以上、詳述したように、本発明によれ
ば、免震装置の挙動に干渉せず、地震発生後も耐火性能
が損傷されずに防火区画が維持可能な免震建築物の耐火
目地が得られる。特に本発明によれば、耐火目地を構成
する耐熱性構成体に、熱橋を抑制した金属製支持金具を
用いることができるので、耐火目地の信頼性をより一層
高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す免震建築物の耐火目
地の断面図である。
【図2】第1実施例の金属製支持金具の斜視図である。
【図3】本発明の第2実施例を示す免震建築物の耐火目
地の断面図である。
【図4】第2実施例の金属製支持金具の斜視図である。
【符号の説明】
1 防火壁を分割した上部防火壁 2 防火壁を分割した下部防火壁 P 耐熱性構成体 A1〜A2 金属製支持金具 3 桁板部 3a,3b 分割板部 4,5,5’ 側面板部 6 熱絶縁板 7 タッピングスクリュー B 耐火部材 8 芯材 9 外殻 10 表皮 11 アンカーボルト 12 支板(ピース材) 13 ビス

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 免震装置が設置された免震建築物におい
    て、防火壁を分割した上部防火壁と下部防火壁との間
    に、または防火壁と基礎あるいは床面との間に摺接部分
    を有し、この摺接部分に摺動部材として耐熱性構成体を
    着設する耐火目地であって、前記耐熱性構成体をクッシ
    ョン性を有する耐火部材と、これを支持して防火壁側に
    取り付ける金属製支持金具とで構成し、前記金属製支持
    金具に、前記防火壁の摺接面に当接される桁板部と、そ
    の一端から上向きに屈曲して前記防火壁の側面に固定さ
    れる側面板部と、桁板部の他端から下向きに屈曲する側
    面板部とで形成すると共に前記桁板部をその幅方向に分
    割して離隔し、両分割板部を熱絶縁体を介して連結して
    構成したものを用いることを特徴とする免震建築物の耐
    火目地。
  2. 【請求項2】 免震装置が設置された免震建築物におい
    て、防火壁を分割した上部防火壁と下部防火壁との間
    に、または防火壁と基礎あるいは床面との間に摺接部分
    を有し、この摺接部分に摺動部材として耐熱性構成体を
    着設する耐火目地であって、前記耐熱性構成体をクッシ
    ョン性を有する耐火部材と、これを支持して防火壁側に
    取り付ける金属製支持金具とで構成し、前記金属製支持
    金具に、前記防火壁の摺接面に当接される桁板部と、こ
    の桁板部の両端から下向きに屈曲する側面板部と、一方
    の側面板部を前記防火壁の側面に固定する支板とで形成
    すると共に前記桁板部をその幅方向に分割して離隔し、
    両分割板部を熱絶縁体を介して連結して構成したものを
    用いることを特徴とする免震建築物の耐火目地。
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