JPH11229416A - マンホール用墜落防止装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 マンホール１を開放する際に資材を予め準備
して柵を設置する必要がなく、作業者がマンホール１へ
出入りする際の安全性を向上させる。 【解決手段】 作業者がマンホール１内に入る際には、
マンホール蓋２を取り外し、マンホール１内の可動柵３
を地上へ引き上げる。可動柵３の上下移動は案内部材６
によって案内されるので円滑に引き上げることができ
る。次に、マンホール１の地上開口部１ａ近傍の溝１２
内に設けられた係止部材５を突出させ、可動柵３の複数
の横桟３３のうちのいずれかを前記係止部材５に掛合し
て支承することによって、この可動柵３を、上部が地上
開口部１ａ上に突出した状態に保持する。この状態で
は、可動柵３は地上を通行する第三者が過ってマンホー
ル１内へ墜落したり周囲の資材等が落下するのを防止す
る防護柵として機能し、可動柵３の各横桟３３は、作業
者がマンホール１に出入りする際の手摺及び足掛かりと
して利用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、マンホールに作業
者等が出入りするためにマンホールの地上開口部を開放
した場合に地上からの人荷の墜落を防止するための装置
に関する。

【０００２】

【従来の技術】建築物の地下受水槽や地中埋設管等へ作
業者が出入りするための縦坑であるマンホールは一般に
コンクリート製であって、その内周には、作業員が昇降
するための足掛かりとなる金属製の多数のタラップが取
り付けられ、地上開口部には金属製のマンホール蓋が嵌
脱可能に嵌め込まれている。この種のマンホールは、作
業者が出入りする際にマンホール蓋を外して開放するこ
とは勿論であるが、内部での作業中も、通常は開放した
ままとする。一般に、マンホールは路面等に設けられて
いるため、その上を第三者が通行する場合もあり、マン
ホール蓋を開放したままでは、歩行者が過って墜落した
り、資材等を過って落下してしまう恐れがある。したが
って従来は、このような危険を回避するため、マンホー
ル蓋を取り外してマンホールを開放する際には、その地
上開口部の周囲には墜落防止用の柵を仮設している。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、開放したマン
ホールの周囲に墜落防止用の柵を設置するには、そのた
めの専用の資材を準備する必要がある。また、作業者が
マンホールへ入る際には、地上からマンホール内壁に打
ち込まれたタラップのうちの最も上段のタラップへ容易
に足が届かず、しかもこの時に体を支える手摺等の手段
がないので、不安定な姿勢となり、危険である。

【０００４】本発明は、上記のような事情のもとになさ
れたもので、その技術的課題とするところは、マンホー
ルを開放して地下作業をする際に予め柵用資材を用意し
てマンホールの周囲に墜落防止柵を設置する必要がな
く、かつ作業者がマンホールに出入りする際の安全性を
向上させることにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上述した技術的課題は、
本発明によって有効に解決することができる。すなわち
本発明に係るマンホール用墜落防止装置は、所定の間口
の出入口及び上下複数段の横桟を有しマンホール内にそ
の地上開口部を通過可能かつ上下移動可能に収容された
可動柵と、前記マンホールの内壁に突設されて前記可動
柵を前記マンホール内にその地上開口部から引き上げ可
能な高さに支承する受け具と、前記マンホールの地上開
口部近傍の内壁に突没可能に設けられ前記複数段の横桟
のいずれかと選択的に掛合可能な所要数の係止部材と、
を備える。また好ましくは、前記マンホールの内壁のう
ち可動柵の収容位置と対応する部分には前記可動柵の上
下移動を案内する案内部材が設けられる。

【０００６】本発明のマンホール用墜落防止装置によれ
ば、作業者がマンホール内に入る際には、マンホールの
地上開口部を開き、このマンホール内に収容されている
可動柵を地上へ適当な高さに引き上げる。可動柵の上下
移動は、案内部材によって案内されるので円滑に引き上
げることができる。

【０００７】可動柵を所望の高さに引き上げたら、マン
ホールの地上開口部近傍の内壁に設けられた係止部材を
突出させ、可動柵の複数の横桟のうちのいずれかを前記
係止部材に掛合して支承することによって、この可動柵
を、上部がマンホールの地上開口部から地上に突出した
状態に保持する。この状態では、可動柵は地上を通行す
る第三者が過ってマンホール内へ墜落したり周囲の資材
等が落下するのを防止する防護柵として機能し、可動柵
の各横桟は、作業者が前記地上開口部へ入る際あるいは
逆にマンホール内から地上へ出る際の手摺及び足掛かり
として利用することができる。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係るマンホール用
墜落防止装置の一実施形態を図１乃至図７を参照しなが
ら説明する。各図において参照符号１はコンクリートで
形成されたマンホールで、このマンホール１は内面の水
平断面形状（開口形状）がほぼ正方形又は長方形を呈し
ており、その地上開口部１ａに形成された蓋受け段部１
１には長方形状の二枚の金属製マンホール蓋２が着脱自
在に嵌め込まれている。マンホール１内におけるマンホ
ール蓋２のすぐ下側の空間１ｂには可動柵３が収容さ
れ、その下部枠３１が、マンホール１の内壁に突設され
た複数の受け具４によって支承されている。

【０００９】可動柵３は、図４に最も明確に示されるよ
うに鉛直方向の投影形状がマンホール１の地上開口部１
ａより僅かに小さい略コ字形を呈するものであって、す
なわち左右一対の側面部３ａ，３ｂと背面部３ｃを有
し、マンホール１の四隅近傍に位置する四本の鉛直枠３
２間にそれぞれ上下複数段の横桟３３が架設された構造
となっている。前記背面部３ｃと反対側は所定の間口Ｗ
の正面出入口３ｄとなっており、その左右両側の鉛直枠
３２ａ，３２ｂの上部にはチェーン３５の両端を繋着で
きるようになっている。

【００１０】マンホール１の内壁のうち、可動柵３の左
右の側面部３ａ及び３ｂ又は側面部３ａ，３ｂ及び背面
部３ｃと対応する内壁には、マンホール蓋２の嵌合部分
のすぐ下側に位置してそれぞれ溝１２が形成されてい
る。この溝１２には、可動柵３の側面部３ａ及び３ｂに
おける複数段の横桟３３のいずれかと選択的に掛合可能
な所要数の係止部材５が水平方向突没自在に設けられて
いる。なお、係止部材５には、好ましくは溝１２からの
脱落を防止するためのストッパや、前記溝１２から手な
どで引き出しやすくすると共に前記横桟３３との掛合が
不用意に外れてしまうことがないようにするための段差
（いずれも図示省略）等が、必要に応じて形成される。

【００１１】マンホール１の内壁のうち、受け具４に支
持された可動柵３の側面部３ａ，３ｂ及び背面部３ｃと
対応する部分には、それぞれ可動柵３の上下移動を案内
するための案内部材６が取り付けられている。更に詳し
くは、案内部材６は前記内壁に固定的に取り付けられた
複数の支柱６１及びこの支柱６１に上下所定間隔でそれ
ぞれ回転自在に設けられた複数の滑車６２からなり、前
記滑車６２が可動柵３の各鉛直枠３２に当接するように
なっている。また、前記各支柱６１間には好ましくは上
下複数段の横桟６３が架設される。

【００１２】マンホール１の内壁における案内部材６の
下側の壁面には、図６に示すようなコ字形に屈曲形成さ
れた鋼材からなる複数のタラップ７が上下方向適当な間
隔で打ち込まれている。可動柵３は、その背面部３ｃを
前記タラップ７が打ち込まれた壁面側となるようにマン
ホール１に収容される。また、このタラップ７は、前記
内壁の幅方向略中央部に位置しているのに対し、可動柵
３の下部枠３１を支承する受け具４はマンホール１の隅
部近傍に位置しており、作業者が昇降する際の邪魔にな
らないように考慮されている。

【００１３】上述の構成において、マンホール１は、通
常は図１及び図２に示すように、マンホール蓋２が地上
開口部１ａの蓋受け段部１１に嵌め込まれて、この地上
開口部１ａを閉塞しており、かつ可動柵３はマンホール
１内の空間１ｂに収容されると共に受け具４によって支
承された状態にある。またこの状態では、マンホール蓋
２の上面は、地表面とほぼ同一レベルにあり、その上を
歩行あるいは車両が走行するのに障害となるような段差
が形成されない。

【００１４】作業者がマンホール１内に入る場合は、ま
ず所定の治具（図示省略）をマンホール蓋２の把手２ａ
に掛合してこのマンホール蓋２を取り外すことにより、
図３に示すようにマンホール１の地上開口部１ａを開放
する。マンホール１内に収容されている可動柵３は、そ
の上部枠３４が前記地上開口部１ａのすぐ下に位置して
いるため、前記上部枠３４を手でつかみ、あるいは適当
な治具で引っ掛けることによって、この可動柵３を地上
へ引き上げることができる。可動柵３の各鉛直枠３２
は、案内部材６の滑車６２に当接しているので、水平方
向に変位してマンホール１の内壁にぶつかったりするこ
となく、円滑に引き上げられる。

【００１５】図４に示すように、所要の高さまで可動柵
３を引き上げたら、マンホール１の地上開口部１ａの複
数の溝１２からそれぞれ係止部材５を引き出し、その真
上に位置する可動柵３の横桟３３を前記係止部材５上に
掛合・支持させる。可動柵３は、係止部材５に掛合・支
持された横桟３３より下の部分がマンホール１に挿入さ
れた状態にあるので、しっかり保持される。そしてこれ
によって、マンホール１の地上開口部１ａの上部空間が
可動柵３で囲まれた状態になるので、歩行者がマンホー
ル１へ墜落したり物体が落下するのを有効に防止するこ
とができる。

【００１６】次に、作業者は可動柵３の正面出入口３ｄ
を遮断しているチェーン３５をいったん外して可動柵３
内へ入り、マンホール１内へ下りて行く。このとき、図
５に示すように、作業者は可動柵３の横桟３３や下部枠
３１及び案内部材６の横桟６３を順次足掛かり及び手摺
として利用できるので、タラップ７に足が届くまで不安
定な姿勢で下りなければならないといった従来の危険性
が解消される。地下作業を終えた作業者がマンホール１
から地上へ出る場合も同様である。このため、作業者が
マンホール１へ出入りする際の安全性が大幅に向上され
る。

【００１７】図５では、作図上、作業者があたかも係止
部材５に手を掛けているように図示されているが、先に
説明したように、係止部材５は可動柵３の側面部３ａ及
び３ｂにおける複数段の横桟３３のいずれかと選択的に
掛合されるものである。したがって図７に示すように、
係止部材５は作業者の左右両側に位置しており、昇降の
際の邪魔にならない。

【００１８】なお、本発明は、図示の実施例に限定され
るものではない。例えば、可動柵３の出入口３ｄを開閉
する手段としては、チェーン３５に代えて、例えばヒン
ジを介して鉛直枠３２ａ又は３２ｂに揺動自在に設けた
鋼材からなるもの等、種々のものが考えられる。

【００１９】

【発明の効果】本発明のマンホールによれば、次のよう
な効果が実現される。 (1) マンホールの地上開口部を開放する際に、このマン
ホールに収容された可動柵を引き上げて係止するだけで
墜落防止柵となるため、仮設資材を設置したり組み立て
て墜落防止柵とする必要がなく、歩行者の墜落や物体の
落下を有効に防止することができる。 (2) 可動柵を、作業者がマンホール内を昇降する際の足
掛かりや手摺として利用することができるので、安全に
かつ容易に昇降することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るマンホール用墜落防止装置の一実
施形態をマンホールと共に示す上下断面図である。

【図２】上記マンホールの地上開口部をマンホール蓋で
閉塞した状態を示す斜視図である。

【図３】上記マンホールの地上開口部からマンホール蓋
を取り外した状態を示す斜視図である。

【図４】上記マンホール内から上記実施形態の昇降及び
墜落防止装置の可動柵を地上へ引き上げて設置した状態
を示す斜視図である。

【図５】上記実施形態の昇降及び墜落防止装置を利用し
て作業者がマンホール内へ出入りする状況を示す説明図
である。

【図６】上記実施形態において、マンホール内のタラッ
プと受け具との関係を示す水平断面図である。

【図７】上記実施形態において、係止部材による可動柵
の掛合位置を説明するための水平断面図である。

【符号の説明】

１ マンホール １ａ 地上開口部 ２ マンホール蓋 ３ 可動柵 ３ｄ 正面出入口 ３３ 横桟 ４ 受け具 ５ 係止部材 ６ 案内部材 ７ タラップ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 所定の間口の出入口及び上下複数段の
   横桟を有しマンホール内にその地上開口部を通過可能か
   つ上下移動可能に収容される可動柵と、 前記マンホールの内壁に突設されて前記可動柵を前記マ
   ンホール内にその地上開口部から引き上げ可能な位置に
   支承する受け具と、 前記マンホールの地上開口部近傍の内壁に突没可能に設
   けられ前記複数段の横桟のいずれかと選択的に掛合可能
   な所要数の係止部材と、からなることを特徴とするマン
   ホール用墜落防止装置。
2. 【請求項２】 請求項１の記載において、 マンホールの内壁のうち可動柵の収容位置と対応する部
   分には前記可動柵の上下移動を案内する案内部材が設け
   られていることを特徴とするマンホール用墜落防止装
   置。