JPH11229063A - 熱交換器用アルミニウム合金犠牲陽極材および熱交換器用高耐食性アルミニウム合金複合材 - Google Patents
熱交換器用アルミニウム合金犠牲陽極材および熱交換器用高耐食性アルミニウム合金複合材Info
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Abstract
のチューブ管1などに好適な、酸性とアルカリ性の両冷
媒に適用可能な熱交換器用アルミニウム合金犠牲陽極材
および熱交換器用高耐食性アルミニウム合金複合材を提
供する。 【解決手段】 Zn3.1〜12.0重量%(以下、%
と略記する)、Fe0.5〜3.0%を含有し、残部A
lと不可避不純物からなる熱交換器用アルミニウム合金
犠牲陽極材。Si0.005〜1.2%、Fe0.00
5〜0.8%、Cu0.003〜1.2%、Mn0.1
〜2.0%を含有し、残部Alと不可避不純物からなる
アルミニウム合金を芯材とし、前記芯材の片面に前記犠
牲陽極材がクラッドされている熱交換器用高耐食性アル
ミニウム合金複合材。
Description
造される自動車用熱交換器のチューブ管などに好適な、
酸性とアルカリ性の両冷媒に適用可能な熱交換器用アル
ミニウム合金犠牲陽極材および熱交換器用高耐食性アル
ミニウム合金複合材に関する。
ーは、図1(イ)(ロ)に示す構造のもので、冷媒を通
すチューブ管1の間にフィン2を配置し、チューブ管1
の両端にそれぞれヘッダープレート3を取付けてコア4
を組立て、この組立体をろう付けした後、ヘッダープレ
ート3にパッキン5を介して樹脂タンク6、7を取付け
て製造される。コア4の側面はサイドプレート(図示せ
ず)により補強される。冷媒は循環使用され、チューブ
管を通る際冷却される。前記フィン2にはJIS−30
03合金にZnを1.5%程度添加した厚さ約0.1m
mの薄板が用いられる。チューブ管1にはJIS−30
03合金を芯材とし、その片面にろう材を、他面にJI
S−7072合金を犠牲陽極材としてクラッドした厚さ
0.2〜0.4mmのアルミニウム合金複合材(ブレー
ジングシート)を、前記犠牲陽極材を内側(冷媒側)に
して筒状に電縫加工したものが用いられる。ヘッダープ
レート3には厚さ1.0〜1.3mmのチューブ管と同
じ材質のアルミニウム合金複合材が用いられる。
使用されてきたが、最近アルカリ性冷媒も使用されるよ
うになり、チューブ管には酸性とアルカリ性の両方の腐
食環境下に耐える材料が要求されている。そして、JI
S−7072合金に種々の合金元素を添加した犠牲陽極
材を用いた改良型チューブ管(特開平9−176768
号など)が提案されている。
前記改良型チューブ管について調査したところでは、前
記チューブ管はアルカリ性腐食環境下では十分な耐食性
が得られないことが判明し、その原因として、アルカ
リ性腐食環境下では犠牲陽極材表面に水酸化アルミニウ
ム皮膜が生成して犠牲陽極材の犠牲効果が阻害されるこ
と、pHが10を超えるアルカリ性腐食環境下では芯
材(JIS−3003合金)の自然電極電位が卑側に大
きく移行して犠牲陽極材(Al−1〜3%Zn合金)と
の電位関係が逆転することの2点が挙げられた。これら
のことを基に、本発明者等は鋭意研究を進めて、酸性お
よびアルカリ性の両腐食環境下で優れた犠牲効果を示す
アルミニウム合金犠牲陽極材並びに前記犠牲陽極材を用
いた耐食性に優れるアルミニウム合金複合材の開発に成
功した。
Zn3.1〜12.0重量%(以下、%と略記する)、
Fe0.5〜3.0%を含有し、残部Alと不可避不純
物からなることを特徴とする熱交換器用アルミニウム合
金犠牲陽極材である。
2.0%、Fe0.5〜3.0%、Mn0.1〜2.0
%を含有し、残部Alと不可避不純物からなることを特
徴とする熱交換器用アルミニウム合金犠牲陽極材であ
る。
1.2%、Fe0.005〜0.8%、Cu0.003
〜1.2%、Mn0.1〜2.0%を含有し、残部Al
と不可避不純物からなるアルミニウム合金を芯材とし、
前記芯材の片面に請求項1または請求項2記載の犠牲陽
極材がクラッドされていることを特徴とする熱交換器用
高耐食性アルミニウム合金複合材である。
1.2%、Fe0.005〜0.8%、Cu0.003
〜1.2%、Mn0.1〜2.0%を含有し、更にMg
0.03〜0.5%、Cr0.03〜0.3%、Zr
0.03〜0.3%、Ti0.03〜0.3%、Ni
0.05〜2.0%の1種または2種以上を含有し、残
部Alと不可避不純物からなるアルミニウム合金を芯材
とし、前記芯材の片面に請求項1または請求項2記載の
犠牲陽極材がクラッドされていることを特徴とする熱交
換器用高耐食性アルミニウム合金複合材である。
金犠牲陽極材は、AlにZnを多量に含有させてpH1
0超のアルカリ性腐食環境下でも自然電極電位が芯材よ
り卑になるようにし、またFeを所定量含有させ、これ
を微細な金属間化合物として分散させてアルカリ性腐食
環境下での水酸化アルミニウム皮膜の生成を抑え、以て
アルカリ性腐食環境下でも犠牲陽極効果が十分発揮され
るようにしたものである。
3.1〜12.0%に規定する理由は、3.1%未満で
はその効果が十分に得られず、12.0%を超すと圧延
加工性が低下するためである。なお、アルカリ性腐食環
境下では芯材の自然電極電位は大幅に卑側に移行するの
で、犠牲陽極材はZnを6.1%以上多めに含有させて
犠牲陽極材の電位を十分卑にしておくことが望ましい。
定する理由は、0.5%未満では前記水酸化皮膜の生成
抑制効果が十分に得られず、3.0%を超えると犠牲陽
極材の自己耐食性並びに圧延加工性が低下するためであ
る。特に望ましいFeの含有量は0.5〜1.2%であ
る。
極材にさらにMnを含有させ、これをAl−Mn−Fe
系化合物としてマトリックス中に分散させて水酸化アル
ミニウム皮膜の生成を抑制するとともに強度を向上させ
た犠牲陽極材である。Mnの含有量を0.1〜2.0%
に規定する理由は、0.1%未満ではその効果が十分に
得られず、2.0%を超えると犠牲陽極材の自己耐食性
並びに圧延加工性が低下するためである。Mnの含有量
は0.2〜1.2%が特に望ましい。不可避不純物元素
のSiは0.5%以下、できれば0.1%以下が望まし
い。Si以外の不純物元素は各0.05%以下なら含ま
れていても問題ない。
発明は、アルミニウム合金芯材の片面に前記アルミニウ
ム合金犠牲陽極材をクラッドしたものである。以下に、
前記アルミニウム合金芯材の合金元素について説明す
る。Siは、ろう付け時にマトリックス中に固溶して芯
材の強度を向上させる。Siの含有量を0.005〜
1.2%に規定する理由は、0.005%未満ではその
効果が十分に得られず、1.2%を超えるとSiが単体
で析出して芯材の自己耐食性を低下させるためである。
Siの含有量は0.005〜0.8%が特に望ましい。
クス中に分布して、芯材の結晶粒を微細化し、チューブ
管に成形するときの割れの発生を防止する。Feの含有
量を0.005〜0.8%に規定する理由は、0.00
5%未満ではその効果が十分に得られず、0.8%を超
えると芯材の自己耐食性が低下するためである。Feの
含有量は0.05〜0.3%が特に望ましい。
を0.003〜1.2%に規定する理由は、0.003
%未満ではその効果が十分に得られず、1.2%を超え
ると融点が低下して芯材がろう付け時の加熱で局部的に
溶融するためである。なお、Cuは、特にアルカリ性腐
食環境下では、芯材表面に再析出して強力なカソードと
なり芯材の自己耐食性を低下させるので、強度をそれ程
要しない場合は、Cuの含有量は0.01%未満にする
のが望ましい。
リックス中に分布し、耐食性を低下させることなく強度
を向上させる。Mnの含有量を0.1〜2.0%に規定
する理由は、0.1%未満ではその効果が十分に得られ
ず、2.0%を超えると圧延加工性が低下するためであ
る。Mnの含有量は0.1〜1.5%が特に望ましい。
ずれも微細な金属間化合物を形成して芯材の強度と耐食
性を向上させる。Cr、Zr、Tiの含有量をそれぞれ
0.03〜0.3%に規定する理由は、0.03%未満
ではいずれもその効果が十分に得られず、0.3%を超
えるといずれも鋳造割れの発生頻度が増すためである。
これら元素の特に望ましい含有量はそれぞれ0.08〜
0.2%である。Niの含有量は0.05〜2.0%に
規定するが、規定理由は前記Crなどの場合と同じであ
る。Niの特に望ましい含有量は0.08〜1.0%で
ある。選択元素のMgは、SiとともにMg−Si系化
合物を時効析出して強度向上に寄与する。Mgの含有量
を0.03〜0.5%に規定する理由は、0.03%未
満ではその効果が十分に得られず、0.5%を超えると
ろう付けの際にMgがろう材に拡散しフラックスと反応
してろう付け性が低下するためである。鋳塊組織を微細
化するためのBまたはその他の不可避不純物元素は各
0.05%以下であれば含有されていても差し支えな
い。
ルミニウム合金芯材の片面にアルミニウム合金犠牲陽極
材をクラッドし、更に他面にアルミニウム合金ろう材を
クラッドしたものも含まれる。前記ろう材にはAl−S
i系のJIS−4343合金、JIS−4045合金、
JIS−4004合金などが使用できる。本発明のアル
ミニウム合金複合材は、熱交換器のチューブ管やヘッダ
ープレートなどに適用される。前記チューブ管は、従来
の電縫加工法や折り曲げ加工した筒体の端部をろう付け
する方法などにより形成することができる。
る。 (実施例1)表1〜3に示す本発明規定組成の芯材と犠
牲陽極材の合金をそれぞれ金型鋳造し、芯材用鋳塊は厚
さ40mmに面削し、犠牲陽極材用鋳塊は、面削後、熱
間圧延して厚さ5mmの板とした。ろう材はJIS−4
343合金を金型鋳造して得た鋳塊は面削後、熱間圧延
して厚さ5mmの板とした。前記犠牲陽極材用板、芯材
用鋳塊、ろう材用板をこの順に重ねて500℃にて熱間
圧延して厚さ5mmの3層クラッド材とし、これを厚さ
0.29mmに冷間圧延し、次いで340℃で2時間加
熱する中間焼鈍を施した後、冷間圧延して厚さ0.25
mmのアルミニウム合金複合材(H14材のブレージン
グシート)を製造した。ここで犠牲陽極材のクラッド率
は15%、ろう材のクラッド率は10%であった。
を表3に示す本発明規定組成外とした他は、実施例1と
同じ方法によりアルミニウム合金複合材を製造した。
て、引張試験および耐食性試験を行った。耐食性試験は
酸性環境下とアルカリ性環境下の両方について行った。
従来材についても同様の調査を行った。試験方法を下記
に示す。 〔引張試験〕各アルミニウム合金複合材(ブレージング
シート)からJIS5号引張試験片を切出し、これを窒
素ガス中で600℃(ろう付け相当温度)で3分間熱処
理した後、引張試験を行った。 〔耐食性試験〕各アルミニウム合金複合材を電縫加工し
てチューブ管(長さ500mm、断面の幅16mm、高
さ2mm)とし、このチューブ管を用いて図1に示す構
造の熱交換器を組立て、この熱交換器に酸性またはアル
カリ性の腐食液を所定期間循環させた。その後、各熱交
換器からチューブ管をランダムに10本づつサンプリン
グし、チューブ管内面の孔食深さを光学顕微鏡を用いた
焦点深度法により測定した。測定値は四捨五入して5μ
m単位で表し、そのうちの最大深さを表示した。フィン
にはAl−0.5%Si−1.0%Mn−2.0%Zn
合金からなる厚さ0.1mmの薄板材をコルゲート加工
したものを用いた。ヘッダープレートとサイドプレート
には、JIS−3003合金にMgを0.15%添加し
た芯材の片面にAl−1.5%Zn合金の犠牲陽極材
を、他面にJIS−4343合金のろう材をそれぞれク
ラッド率10%でクラッドした厚さ1.2mmのアルミ
ニウム合金複合材を用いた。酸性腐食液にはCl1-イオ
ン195ppm、SO4 2- イオン60ppm、Cu 2+イ
オン1ppm、Fe3+イオン30ppmを含む水溶液
(pH3)を用いた。アルカリ性腐食液にはCl1-イオ
ン195ppm、SO4 2- イオン60ppm、Cu2+イ
オン1ppm、Fe3+イオン30ppmを含む水溶液に
NaOHを添加してpH11に調整した腐食液を用い
た。各腐食液の循環は、腐食液を88℃に加熱して8時
間、室温で16時間循環するサイクルを6ヶ月間繰り返
して行った。結果を表4、5に示す。なお、表4、5に
は、引張強さが150MPaを超えたものに◎、150
MPa以下のものに○を付記した。また最大孔食深さが
100μmを超えたものに×、100μm以下のものに
○を付記した。またアルカリ性腐食試験の場合は、最大
孔食深さが50μm以下のものに◎を付記した。
No.1〜24は酸性およびアルカリ性の両腐食環境下におい
て孔食深さが100μm以下の優れた耐食性を示した。
中でも、犠牲陽極材が6.1%以上のZnと適量のFe
を含有し、或いはさらにMnを適量含有し、かつ芯材の
Cuが0.01%未満のNo.3〜6,11〜13, 17〜20はいず
れもアルカリ性腐食環境下での耐食性が特に優れた。芯
材のCuが0.01%以上のNo.7〜10, 14〜16, 21〜24
は引張強さが150MPaを超え特に優れていた。一
方、比較例の No.25は犠牲陽極材のZnが少ないためア
ルカリ性腐食環境下で犠牲陽極材と芯材との電位差が小
さくなり、 No.26は犠牲陽極材のFeが少ないためアル
カリ性腐食環境下で犠牲陽極材表面に水酸化アルミニウ
ム皮膜が形成されていずれも耐食性が劣った。 No.27は
犠牲陽極材のZnが多いため圧延途中で割れてしまいア
ルミニウム合金複合材を製造できなかった。 No.28は犠
牲陽極材のFeが多いため両腐食環境下で犠牲陽極材の
自己耐食性が低下した。 No.29は犠牲陽極材のMnが多
いためチューブ管に成形できなかった。 No.30は芯材の
Siが多いため芯材にSi単体が析出し両腐食環境下で
芯材の自己耐食性が低下した。 No.31は芯材のCuが多
いためろう付け加熱時にチューブ管が溶融した。従来材
の No.32は犠牲陽極材のZnが1.0%と少ないためア
ルカリ性腐食環境下で犠牲陽極材と芯材との電位差が十
分にとれず耐食性が劣った。
ウム合金犠牲陽極材は酸性およびアルカリ性の両腐食環
境下で優れた犠牲効果を示し、また前記犠牲陽極材を用
いたアルミニウム合金複合材は酸性およびアルカリ性の
両腐食環境下で優れた耐食性を示し、熱交換器のチュー
ブ管などに用いて高い信頼性が得られる。依って、工業
上顕著な効果を奏する。
正面図、(ロ)は(イ)のA−A断面拡大図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 Zn3.1〜12.0重量%(以下、%
と略記する)、Fe0.5〜3.0%を含有し、残部A
lと不可避不純物からなることを特徴とする熱交換器用
アルミニウム合金犠牲陽極材。 - 【請求項2】 Zn3.1〜12.0%、Fe0.5〜
3.0%、Mn0.1〜2.0%を含有し、残部Alと
不可避不純物からなることを特徴とする熱交換器用アル
ミニウム合金犠牲陽極材。 - 【請求項3】 Si0.005〜1.2%、Fe0.0
05〜0.8%、Cu0.003〜1.2%、Mn0.
1〜2.0%を含有し、残部Alと不可避不純物からな
るアルミニウム合金を芯材とし、前記芯材の片面に請求
項1または請求項2記載の犠牲陽極材がクラッドされて
いることを特徴とする熱交換器用高耐食性アルミニウム
合金複合材。 - 【請求項4】 Si0.005〜1.2%、Fe0.0
05〜0.8%、Cu0.003〜1.2%、Mn0.
1〜2.0%を含有し、更にMg0.03〜0.5%、
Cr0.03〜0.3%、Zr0.03〜0.3%、T
i0.03〜0.3%、Ni0.05〜2.0%の1種
または2種以上を含有し、残部Alと不可避不純物から
なるアルミニウム合金を芯材とし、前記芯材の片面に請
求項1または請求項2記載の犠牲陽極材がクラッドされ
ていることを特徴とする熱交換器用高耐食性アルミニウ
ム合金複合材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02790498A JP3908847B2 (ja) | 1998-02-10 | 1998-02-10 | 熱交換器用アルミニウム合金犠牲陽極材および熱交換器用高耐食性アルミニウム合金複合材 |
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JP02790498A JP3908847B2 (ja) | 1998-02-10 | 1998-02-10 | 熱交換器用アルミニウム合金犠牲陽極材および熱交換器用高耐食性アルミニウム合金複合材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JP3908847B2 JP3908847B2 (ja) | 2007-04-25 |
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Country Status (1)
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