JP4002352B2 - 熱交換器用アルミニウム合金犠牲陽極材及びこれを用いた熱交換器用高耐食性アルミニウム合金複合材 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明はろう付により製造される自動車用熱交換器のチューブ管に好適な、酸性とアルカリ性の両冷媒に適用可能なアルミニウム合金複合材及びこれに用いるアルミニウム合金犠牲陽極材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車用熱交換器のラジエーターは、例えば図1(イ)(ロ)に示す構造のもので、冷媒を通すチューブ管(1)の間にフィン(2)を配置し、該チューブ(1)の両端に夫々ヘッダープレート(3)を取付けてコア(4)を組み立て、この組立体をろう付した後ヘッダープレート(3)にパッキン(5)を介して樹脂タンク(6)(7)を取付けて製造されるもので、このチューブ管(1)に冷媒を通すことにより該冷媒を冷却する構造である。なおコア(4)の側面はサイドプレート(図示せず)により補強される。
【0003】
ここで前記フィンにはJIS-3003合金(Al-0.15wt%Cu-1.1wt%Mn)にZnを1.5wt%程度添加した厚さ0.1mm程度の薄板が用いられている。また前記チューブ管にはJIS-3003合金を芯材とし、その片面にろう材を他の面にJIS-7072合金(Al-1.0wt%Zn)を孔食防止用の犠牲陽極材としてクラッドした厚さ0.2〜0.4mmのアルミニウム合金複合材(ブレージングシート)を、前記犠牲陽極材を内側(冷媒側)にして筒状に電縫加工したものが用いられる。さらにヘッダープレートには厚さ1.0〜1.3mmのチューブ管と同じ材質のアルミニウム合金複合材が用いられている。
【0004】
近年熱交換器の軽量化が求められているが、熱交換器を軽量化するために部材を薄肉化した場合、部材の耐食性を向上させる必要がある。耐食性については従来まで専ら酸性環境下での耐食性のみが考慮されてきたが、最近はアルカリ性の冷媒が使用される場合もあるため、酸性のみならずアルカリ性腐食環境下での耐食性向上を目的として、犠牲陽極材にさらに添加元素を加えたアルミニウム合金複合材が提案されている(特開平9−176768号公報など)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら前記従来のアルミニウム合金複合材ではアルカリ性腐食環境下での耐食性が十分でないことが分かってきた。アルカリ性腐食環境下でアルミニウム合金複合材の耐食性が低下する原因は以下の2点である。
即ちその一つは、あるアルカリ性環境下では犠牲陽極材表面に水酸化アルミニウムの皮膜が生成するようになり、このような皮膜が存在する状態では犠牲陽極材の芯材に対する防食作用が消失してしまうことである。
他の一つは、pH10を超えるアルカリ性環境下においてAl-Mn系合金の自然電位が大きく卑側に移行するため、従来のAl-Zn犠牲陽極材(Zn含有量が1〜3wt%)では、Al-Mn系合金芯材と犠牲陽極材の電位関係が逆転し、犠牲陽極材の防食作用が無くなってしまうことである。
【0006】
このようなことから、本発明者らは鋭意研究を行い、犠牲陽極材の成分を検討することによって酸性とアルカリ性の両環境下において優れた犠牲陽極効果を有するアルミニウム合金犠牲陽極材を見出し、また該犠牲陽極材と芯材成分を検討することにより、酸性とアルカリ性の両腐食環境下において優れた耐食性を示すアルミニウム合金複合材を実現し得ることを見出した。
【0007】
即ち本発明の目的は、酸性及びアルカリ性の両腐食環境下で十分な犠牲防食作用を有するアルミニウム合金犠牲陽極材、及び優れた耐食性を有する熱交換器用アルミニウム合金複合材を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明の熱交換器用アルミニウム合金犠牲陽極材は、Zn3.1〜12.0wt%、Zr0.05〜0.3wt%、及びMn0.5〜2.0 wt %を含有し、又はさらに、In0.002〜0.3wt%、Sn0.002〜0.3wt%の1種又は2種を含有し、残部Alと不可避不純物からなることを特徴とするものである。
次に本発明の熱交換器用高耐食性アルミニウム合金複合材は、Si0.005〜1.2wt%、Fe0.005〜0.8wt%、Cu0.003〜1.2wt%、Mn0.5〜2.0wt%を含有し、又はさらにMg0.03〜0.5wt%、Cr0.03〜0.3wt%、Zr0.03〜0.3wt%、Ti0.03〜0.3wt%、Ni0.05〜2.0wt%の1種又は2種以上を含有し、残部Alと不可避不純物からなるアルミニウム合金芯材の片面に、上記のアルミニウム合金犠牲陽極材をクラッドしたことを特徴とするものである。
【0009】
以下に本発明のアルミニウム合金複合材の合金成分について、その添加元素の意義と組成範囲の限定理由を説明する。
本発明のアルミニウム合金複合材のおいて、酸性及びアルカリ性の両腐食環境下で十分な耐食性を付与するための最も重要な成分は、犠牲陽極材中のZn量、Mn量、In量、Sn量及びZr量である。
【0010】
pH10を超えるアルカリ性腐食環境下においては、上述したようにAl-Mn合金の自然電位が大きく卑側に移行する。このためpH10を超えるアルカリ性腐食環境下でAl-Mn系合金芯材を防食するには、犠牲陽極材のZn含有量を3.1wt%以上に増し、さらにIn又はSnを添加することで芯材に対して十分な犠牲防食作用を発揮させることが可能であることを見出した。
【0011】
また上記のように芯材と犠牲陽極材の電位差を十分に確保した場合でも、アルカリ性環境下では Al+OH−+H2O→[Al(OH)4・2H2O]−+3/2H2 のような反応により犠牲陽極材表面に水酸化アルミニウムの皮膜が生成するため、該皮膜の存在によって犠牲陽極材の防食作用が働かなくなってしまう。しかしながら犠牲陽極材にZrを0.05〜0.3wt%含有させることで上記反応式の水素発生を抑制し、水酸化アルミニウム皮膜の生成を阻害することが可能となり、防食作用を効果的に発揮させることができる。
【0012】
以下、本発明に用いる犠牲陽極材の合金元素について説明する。Znは酸性及びアルカリ性両腐食環境において、犠牲防食効果によって芯材を防食する効果がある。Znの含有量を 6.1〜12.0wt%に規定する理由は、 6.1wt%未満ではその効果が十分ではなく、12.0wt%を超えると合金の圧延性が低下し歩留まりが低下するためである。アルカリ性腐食環境下では芯材の電位が中性環境よりも卑となるため、Znを6.1wt%以上とすることによりアルカリ性腐食環境での耐食性を良好なものとすることができる。
【0013】
Zrは前記反応式のようなアルカリ性環境下での水素の発生を抑制し、アルミニウム表面に水酸化アルミニウムの皮膜が生成するのを阻害し、防食効果を上げる働きがある。そのためにアルカリ性環境下での耐食性を良好なものとすることができる。Zrの含有量を0.05〜0.3wt%に規定する理由は、0.05wt%未満ではその効果が十分でなく、0.3wt%を超えると鋳造割れが発生する恐れがある。Zrの望ましい含有量は0.08〜0.2wt%である。
【0014】
Sn、Inは酸性及びアルカリ性両腐食環境において、犠牲陽極材の自然電位を著しく卑にし、犠牲陽極材の犠牲防食効果をより強固にする。Sn、Inの含有量をいずれも0.002〜0.3wt%に規定する理由は、0.002wt%未満ではその効果が十分ではなく、0.3wt%を超えると合金の圧延性が低下して歩留まりが低下するためである。Sn及びInの好ましい含有量は0.005〜0.1wt%である。
【0015】
Mnは犠牲陽極材の強度を向上させる必要がある場合に添加する元素である。Mnは微細なAl-Mn系化合物を合金中に分散させ、耐食性を低下させることなく犠牲陽極材の強度を向上させる。Al-Mn系化合物はアルカリ性腐食環境において皮膜の生成を阻害する働きがあり、また酸性腐食環境でも耐食性を損なうことがない。Mnの含有量を0.5〜2.0wt%に規定する理由は、0.5wt%未満ではその効果が十分得られず、2.0wt%を超えると成形加工性が悪化し歩留まりが低下するためである。Mnの好ましい含有量は0.8〜1.2wt%である。
【0016】
以上が本発明で用いる犠牲陽極材の合金元素とその添加理由であるが、不可避不純物としてSiは0.5wt%までは含有可能であるも0.1wt%以下が望ましい。またSi以外の元素もそれぞれ0.05wt%以下であれば不純物元素として含有していても差し支えない。
【0017】
次に本発明で用いる芯材の合金元素について説明する。
Siはろう付後のマトリックス中に固溶して強度向上に寄与する。Siの含有量を0.005〜1.2wt%に規定する理由は、0.005wt%未満ではその効果が十分得られず、1.2wt%を超えると単体Siが析出して芯材の自己耐食性が低下してしまうためである。Siの望ましい含有量は0.005〜0.8wt%である。
【0018】
Feは粗大な金属間化合物を合金中に分布させ、芯材の結晶粒を微細にし、成形加工時の割れを防止する作用を有する。Feの含有量を0.005〜0.8wt%に規定する理由は、0.005wt%未満ではその効果が十分得られず、0.8wt%を超えると芯材の自己耐食性が低下してしまうためである。Feの望ましい含有量は0.005〜0.3wt%である。
【0019】
Cuは強度向上に寄与するが、その含有量が増えると芯材の自己耐食性を低下させる。Cuの含有量を0.003〜1.2wt%に規定する理由は、0.003wt%未満ではその効果が十分に得られず、1.2wt%を超えると芯材の融点が低下してろう付時に溶融してしまう。
またCuの含有量が0.003〜0.01wt%では強度が低下するが、アルカリ性腐食環境下での芯材の自己耐食性を向上させることができる。特にアルカリ性腐食環境では芯材中にCuが含まれている場合、芯材のCuが材料表面に再析出して強力なカソードとなるため耐食性が低下する。そのため芯材のCu含有量を0.01wt%未満に減ずることにより、アルカリ性腐食環境下で芯材の自己耐食性を向上させることができる。Cuの含有量が0.01〜1.2wt%では芯材の自己耐食性を向上させることができる。
【0020】
Mnは微細な金属間化合物を合金中に分布させて耐食性を低下させることなく強度を向上させる。Mnの含有量を0.5〜2.0wt%に規定する理由は、0.5wt%未満ではその効果が十分得られず、2.0wt%を超えると成形加工性が悪化し歩留まりが低下するためである。Mnの好ましい含有量は0.5〜1.5wt%である。
【0021】
芯材に含有させる選択元素のCr、Zr、Tiはいずれも微細な金属間化合物を形成して合金の強度と耐食性に寄与する。Cr、Zr、Tiの含有量をいずれも0.03〜0.3wt%に規定する理由は、それぞれ0.03wt%未満ではその効果が十分に得られず、0.3wt%を超えると鋳造割れが発生するおそれがある。いずれも望ましい含有量は0.08〜0.2wt%である。
【0022】
芯材に含有させる選択元素のNiは微細な金属間化合物を合金中に分布させ、合金の強度を向上させる作用がある。Niの含有量を0.05〜2.0wt%に規定する理由は、0.05wt%未満ではその効果が十分得られず、2.0wt%を超えると鋳造割れが発生するおそれがある。Niの望ましい含有量は0.08〜1.0wt%である。
【0023】
芯材に含有させる選択元素のMgは芯材のSiと共にMg2Si化合物を時効析出させて強度向上に寄与する。Mgの含有量を0.03〜0.5wt%に規定する理由は0.03wt%未満ではその効果が十分に得られず、0.5wt%を超えるとろう付の際に芯材の片面にろう材をクラッドしてある場合、ろう材にMgが拡散してフラックスと反応してろう付性が低下するためである。
【0024】
以上が本発明で用いる芯材の合金元素とその添加理由であるが、鋳造組織の微細化のために添加するBやその他の不可避不純物元素はそれぞれ0.05wt%以下であれば含有されていても差し支えない。
【0025】
本発明のアルミニウム合金複合材は、前記組成のアルミニウム合金を芯材とし、その片面に前記組成のアルミニウム合金犠牲陽極材をクラッドしたものである。この際さらに必要に応じて該芯材の他の片面にはアルミニウム合金ろう材をクラッドしてもよい。このアルミニウム合金ろう材としては、Al-Si系のJIS-4343合金(Al-7.5wt%Si)、JIS-4045合金(Al-10wt%Si)、JIS-4004合金(Al-9.7wt%Si-1.5wt%Mg)等が使用できる。
本発明のアルミニウム合金複合材の用途は熱交換器のチューブ材、ヘッダープレート材などである。そして本発明のアルミニウム合金複合材をチューブ管として使用する場合、チューブ管の形成方法としては電縫加工により管とする方法、又は折り曲げ加工後にろう付して管とする方法が好適に用いられる。
【0026】
【実施例】
次に実施例により本発明をさらに説明する。
表1に示す組成の芯材、及び表2に示す組成の犠牲陽極材のアルミニウム合金を各々金型に鋳造し、芯材は面削で厚さ40mmに仕上げ、犠牲陽極材は面削後熱間圧延により厚さ5mmに仕上げた。またろう材はJIS-4343合金を金型鋳造し、面削後熱間圧延により厚さ5mmに仕上げた。これらろう材、芯材、犠牲陽極材の3枚をこの順に重ねて、500℃にて熱間圧延して厚さ5mmの3層クラッド材を作製し、次いでこれを厚さ0.29mmに冷間圧延し、340℃で2時間中間焼鈍した後、さらに冷間圧延して厚さ0.25mmのH14材のブレージングシートを得た。このブレージングシートの犠牲陽極材とろう材との複合材に占めるクラッド率は犠牲陽極材が10%、ろう材が10%である。
【0027】
得られたそれぞれのブレージングシートについて、以下のような方法により酸性環境下での耐食性試験、及びアルカリ性環境下での耐食性試験を行った。
【0028】
[酸性環境下耐食性試験]
それぞれのブレージングシートを電縫加工してチューブ管(長さ500mm、断面の幅16mm、断面の高さ2mm)とし、このチューブ管と下記のフィン、ヘッダープレート、サイドプレートを用いて図1に示す構造の熱交換器を組み立てた。その後この熱交換器のチューブ管に下記の条件の腐食液を所定期間循環させ、循環終了後この熱交換器からチューブ管をランダムに10本サンプリングした。そしてこれらチューブ管内面の孔食深さを光学顕微鏡を用いた焦点深度法により測定し、その測定値の最大のものを最大孔食深さとして四捨五入して5μm単位で示した。
上記フィンにはAl-0.5wt%Si-1.0wt%Mn-2.0wt%Zn合金からなる厚さ0.1mmの薄板材をコルゲート加工したものを用い、ヘッダープレートとサイドプレートには、共にJIS-3003合金にMgを0.15wt%添加した芯材の片面にJIS-4343合金のろう材を、他の片面にAl-0.15wt%Zn合金の犠牲陽極材をそれぞれクラッド率10%でクラッドした厚さ1.2mmのアルミニウム合金複合材を用いた。
上記腐食液としては、Cl−イオン:195ppm、SO4 2−イオン:60ppm、Cu2+イオン:1ppm、Fe3+:30ppmを含む水溶液(pH3)を腐食液とし、これを88℃で8時間と室温で16時間の2条件で交互に6ヶ月間循環させた。
【0029】
[アルカリ性環境下耐食性試験]
前記酸性環境下耐食性試験に使用した熱交換器と同じ構成の熱交換器のチューブ管に、Cl−イオン:195ppm、SO4 2−イオン:60ppm、Cu2+イオン:1ppm、Fe3+:30ppmを含む水溶液(pH3)にNaOHを添加してpH11に調製した腐食液を、88℃で8時間と室温で16時間の2条件で交互に6ヶ月間循環させた。そして循環終了後、酸性環境下耐食性試験と同様の方法でチューブ管の内面の孔食深さを測定し、最大孔食深さを求めた。
【0030】
酸性及びアルカリ性環境下耐食性試験の結果を表2に併記する。いずれの耐食性試験結果においても最大孔食深さが70μmを超えたものは×、最大孔食深さが70μm以下のものは○で示した。なお特にアルカリ性環境下耐食性試験において最大孔食深さが30μm以下のものは◎で示した。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
表2から明らかなように、本発明例No.8〜13及びNo.17〜22の複合材は酸性及びアルカリ性の両腐食環境下において、いずれも孔食深さが70μm以下であり優れた耐食性を示した。さらに芯材のCu含有量が0.003〜0.01wt%未満のNo.5〜13はアルカリ性環境下耐食性試験において特に優れた耐食性を示した。また本発明では犠牲陽極材の Zn含有量は上記のように6.1〜12wt%であるが、この範囲を下回っている参考例No.1〜4はこの範囲内である本発明例No.8〜13及びNo.17〜22に比べてアルカリ性環境下耐食性試験において若干耐食性が劣っていた。
【0034】
一方芯材又は犠牲陽極材の合金組成が本発明の規定外の比較例No.23〜31及び従来例No.32は、酸性又はアルカリ性腐食環境下のいずれかで耐食性が低下したか、又は熱交換器として製造できなかった。
即ち比較例No.23は犠牲陽極材のZr含有量が少ないため、アルカリ性腐食環境下では水酸化アルミニウム皮膜が強固に生成してしまい耐食性が劣っていた。比較例No.24では犠牲陽極材のIn含有量が多すぎ、及び比較例No.25では犠牲陽極材のSn含有量が多すぎるため、圧延途中で割れてしまいアルミニウム合金複合材を製造できなかった。
さらに比較例No.26は犠牲陽極材のZn含有量が少ないため、アルカリ性腐食環境下では犠牲陽極材と芯材との電位差がとれず耐食性が劣っていた。比較例No.27は犠牲陽極材のZn含有量が多すぎるため、及び比較例No.28は犠牲陽極材のZr含有量が多すぎるため圧延途中で割れてしまいアルミニウム合金複合材を製造できなかった。比較例No.29は芯材のMn含有量が多すぎるためチューブ管として成形できなかった。比較例No.30は芯材のSi単体が析出してしまい酸性及びアルカリ性両腐食環境下において芯材の自己耐食性が低下した。比較例No.31は芯材のCu含有量が多すぎるためろう付加熱時にチューブが溶融してしまった。
また従来例No.32は犠牲陽極材のZn含有量が1.0wt%と少ないため、アルカリ性腐食環境下では犠牲陽極材との電位差をとれず耐食性が劣っていた。
【0035】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、酸性及びアルカリ性の両腐食環境下において優れた耐食性を有する熱交換器用アルミニウム合金複合材を得ることができ、工業上顕著な効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動車用熱交換器(ラジエーター)を示すもので、(イ)は正面図、(ロ)は(イ)のA−A線断面図である。
【符号の説明】
1 チューブ管
2 コルゲートフィン
3 ヘッダープレート
4 コア
5 パッキン
6,7 樹脂タンク
Claims (5)
- Zn6.1〜12.0wt%、Zr0.05〜0.3wt%、Mn0.5〜2.0wt%を含有し、残部Alと不可避不純物からなることを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金犠牲陽極材。
- 請求項1記載のAl合金が、さらにIn0.002〜0.3wt%、Sn0.002〜0.3wt%の1種又は2種を含有したことを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金犠牲陽極材。
- Si0.005〜1.2wt%、Fe0.005〜0.8wt%、Cu0.003〜1.2wt%、Mn0.5〜2.0wt%を含有し、残部Alと不可避不純物からなるアルミニウム合金芯材の片面に、請求項1又は2に記載のアルミニウム合金犠牲陽極材をクラッドしたことを特徴とする熱交換器用高耐食性アルミニウム合金複合材。
- 請求項3に記載のアルミニウム合金芯材が、さらにMg0.03〜0.5wt%、Cr0.03〜0.3wt%、Zr0.03〜0.3wt%、Ti0.03〜0.3wt%、Ni0.05〜2.0wt%の1種又は2種以上を含有したことを特徴とする熱交換器用高耐食性アルミニウム合金複合材。
- 請求項3又は4に記載のアルミニウム合金芯材のCuの含有量が、0.003〜0.01 wt %であることを特徴とする熱交換器用高耐食性アルミニウム合金複合材。
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