JP3196368B2 - すぐれた犠牲陽極効果を有する熱交換器用Al合金クラッド材 - Google Patents
すぐれた犠牲陽極効果を有する熱交換器用Al合金クラッド材Info
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Description
付けやフラックスろう付けにより組立て製造するに際し
て、前記熱交換器の構造部材である管体、さらにヘッダ
ープレートやヘッダパイプなどとして用いた場合に、前
記ろう付け後の熱交換器においてすぐれた犠牲陽極効果
を発揮するAl合金クラッド材に関するものである。
ルクーラ、さらにインタークーラなどの熱交換器を真空
ろう付けやフラックスろう付けにて組立て製造するに際
して、これらの構造部材である管体やヘッダープレート
などに、重量%で(以下、%は重量%を示す)、 (a) Mn:0.7〜1.5%、 Cu:0.2〜
0.7%、 Zr:0.05〜0.25%、を含有し、さらに必要に
応じて、 Mg:0.05〜0.5%、 Si:0.3〜
1.3%、 Cr:0.05〜0.25%、 Ti:0.05
〜0.25%、 V:0.05〜0.25%、 のうちの1種または2種以上、を含有し、残りがAlと
不可避不純物からなる組成を有するAl合金の芯材の片
面に、 In:0.005〜0.05%、を含有し、残りがAl
と不可避不純物からなる組成を有するAl合金の皮材を
クラッドしてなるAl合金クラッド材。 (b) Mn:0.7〜1.5%、 Cu:0.2
〜0.7%、 Zr:0.05〜0.25%、を含有し、さらに、必要
に応じて、 Mg:0.05〜0.5%、 Si:0.3〜1.
3%、 Cr:0.05〜0.25%、 Ti:0.05〜0.
25%、 V:0.05〜0.25%、のうちの1種または2種以
上、を含有し、残りがAlと不可避不純物からなる組成
を有するAl合金の芯材の一方面に、 In:0.005〜0.05%、を含有し、残りがAl
と不可避不純物からなる組成を有するAl合金皮材を、
さらに上記芯材の他方面に、Si:5〜15%を含有
し、さらに必要に応じて、 Mg:0.4〜2%、 Zn:0.05〜5
%、 In:0.005〜0.1%、 Sn:0.05〜0.
2%、 Ga:0.01〜0.1%、 Pb:0.01〜0.
1%、 Bi:0.01〜0.2%、 Be:0.0001〜
0.002%、 Ca:0.01〜0.1%、のうちの1種または2種以
上、を含有し、残りがAlと不可避不純物からなる組成
を有するAl−Si系合金のろう材をクラッドしてなる
Al合金クラッド材。上記(a)または(b)のAl合
金クラッド材を用いることが提案されている。
l合金クラッド材を上記構造部材として用いて製造され
た熱交換器においては、ろう付け時に芯材のAl合金に
合金成分として含有するCuが皮材中に拡散移動し、皮
材を構成するAl合金に固溶含有するようになるため、
前記皮材の電位が上昇し、一方芯材では、上記の通り皮
材中へのCu成分の拡散移動によりCu含有量が減少す
ることから電位が低下し、この結果芯材と皮材間の電位
差が小さくなり、この傾向は軽量化および省力化、さら
に高性能化の点から、特に薄肉化して用いた場合に著し
く、芯材に対する皮材の犠牲陽極効果を十分に発揮させ
ることができなくなることから、芯材に腐食が発生し易
くなるという問題がある。
上述のような観点から、ろう付け加熱されても皮材が芯
材に対して電気化学的に十分卑な電位を保持する熱交換
器用Al合金クラッド材を開発すべく、特に上記の従来
Al合金クラッド材に着目し研究を行なった結果、上記
の従来Al合金クラッド材の皮材を構成するAl合金に
合金成分として0.35〜3.5%のMgと0.001
〜0.05%のTiとを併用含有させると、この結果の
Al合金クラッド材においては、ろう付け加熱時に芯材
から皮材中への拡散移動してきたCuが皮材中に合金成
分として含有するMgおよびInと結合してMg−In
−Cu系の金属間化合物を形成し、かつこの金属間化合
物の形成はTiの共存含有によって促進され、この結果
前記金属間化合物が素地に微細に分散するようになっ
て、前記Cuの素地への固溶が抑制されるので、皮材の
電位が上昇することはなく(電位は素地によってもたら
され、前記金属間化合物が電位に何らの影響を及ぼすも
のではない)、Inによる低電位が保持されることか
ら、皮材がすぐれた犠牲陽極効果を発揮し、芯材を良く
防食するという研究結果を得たのである。
なされたものであって、 (a) Mn:0.7〜1.5%、 Cu:0.2〜
0.7%、 Zr:0.05〜0.25%、を含有し、さらに、必要
に応じて、 Mg:0.05〜0.5%、 Si:0.3〜1.3
%、 Cr:0.05〜0.25%、 Ti:0.05〜0.
25%、 V:0.05〜0.25%、のうちの1種または2種以
上、を含有し、残りがAlと不可避不純物からなる組成
を有するAl合金の芯材の片面に、 In:0.005〜0.05%、Mg:0.35〜3.
5%、 Ti:0.001〜0.05%、を含有し、残りがAl
と不可避不純物からなる組成を有するAl合金の皮材を
クラッドしてなる、すぐれた犠牲陽極効果を有する熱交
換器用Al合金クラッド材。 (b) Mn:0.7〜1.5%、 Cu:0.2
〜0.7%、 Zr:0.05〜0.25%、を含有し、さらに、必要
に応じて、 Mg:0.05〜0.5%、 Si:0.3〜1.3
%、 Cr:0.05〜0.25%、 Ti:0.05〜0.
25%、 V:0.05〜0.25%、 のうちの1種または2種以上、を含有し、残りがAlと
不可避不純物からなる組成を有するAl合金の芯材の一
方面に、 In:0.005〜0.05%、Mg:0.35〜3.
5%、 Ti:0.001〜0.05%、を含有し、残りがAl
と不可避不純物からなる組成を有するAl合金の皮材を
クラッドし、さらに上記芯材の他方面に、Si:5〜1
5%を含有するAl−Si系合金のろう材をクラッドし
てなる、すぐれた犠牲陽極効果を有する熱交換器用Al
合金クラッド材。に特徴を有するものである。
おいて、芯材および皮材を構成するAl合金の成分組成
を上記の通りに限定した理由を説明する。 A.芯材 (a) Mn Mn成分には、素地に分散分布するAl−Mn系金属間
化合物を形成して強度を向上させる作用があるが、その
含有量が0.7%未満では所望の強度向上効果が得られ
ず、一方その含有量が1.5%を越えると加工性が低下
するようになることから、その含有量を0.7〜1.5
%と定めた。
電気化学的に貴にして皮材との電位差を大きくし、もっ
て皮材による犠牲陽極効果を確実なものにする作用があ
るが、その含有量が0.2%未満では前記作用に所望の
効果が得られず、一方その含有量が0.7%を越えると
耐食性が低下するようになることから、その含有量を
0.2〜0.7%と定めた。
合物を形成して強度を向上させるほか、再結晶粒を圧延
方向に粗大化させてろう材の結晶粒界からの侵入を抑制
する作用があるが、その含有量が0.05%未満では前
記作用に所望の効果が得られず、一方その含有量が0.
25%を越えると加工性が低下するようになることか
ら、その含有量を0.05〜0.25%と定めた。
V これらの成分には、いずれも素地に析出分散する微細な
各種化合物を形成して強度を向上させる作用があるので
必要に応じて含有されるが、その含有量がそれぞれM
g:0.05%未満、Si:0.3%未満、Cr:0.
05%未満、Ti:0.05%未満、およびV:0.0
5%未満では、所望の強度向上効果が得られず、一方そ
の含有量が、それぞれMg:0.5%、Si:1.3
%、Zr:0.25%、Ti:0.25%、およびV:
0.25%を越えると、ろう付け性や耐食性、あるいは
加工性が低下するようになることから、その含有量を、
それぞれMg:0.05〜0.5%、Si:0.3〜
1.3%、Cr:0.05〜0.25%、Ti:0.0
5〜0.25%、およびV:0.05〜0.25%と定
めた。
化学的に卑にし、もって犠牲陽極効果を発揮せしめるほ
か、Mgとの共存下で、ろう付け加熱時に芯材より拡散
移動してきたCuと結合してMg−In−Cu系金属間
化合物を形成し、前記Cuが素地中に固溶するのを防止
し、皮材の電位上昇を抑制する作用があるが、その含有
量が0.005%未満では前記作用に所望の効果が得ら
れず、一方その含有量が0.05%を越えると耐食性が
低下するようになることから、その含有量を0.005
〜0.05%と定めた。
芯材より拡散移動してきたCuと結合して金属間化合物
を形成し、前記Cuの皮材素地への固溶を防止し、もっ
て皮材を電気化学的に卑に保持して十分な犠牲陽極効果
を発揮せしめる作用があるが、その含有量が0.35%
未満では前記作用に所望の効果が得られず、一方その含
有量が3.5%を越えると耐食性が低下するようになる
ことから、その含有量を0.35〜3.5%と定めた。
合物の形成を促進し、Cuの素地への固溶を著しく抑制
する作用があるが、その含有量が0.001%未満では
前記作用に所望の効果が得られず、一方その含有量が
0.05%を越えると耐食性が低下するようになるとか
ら、その含有量を0.001〜0.25%と定めた。
を発揮させる作用があるが、その含有量が5%未満では
溶融点の低下が不十分で、高温ろう付けが必要となるの
で望ましくなく、一方その含有量が15%を越えると加
工性が急激に低下するようになることから、その含有量
を5〜15%と定めた。
施例により具体的に説明する。通常の溶解鋳造法によ
り、それぞれ表1〜3に示される成分組成をもった芯材
用Al合金A−1〜A−19、皮材用Al合金B−1〜
B−12、およびろう材用Al合金C−1,C−2を溶
製し、水冷金型に鋳造して鋳塊とし、これらの鋳塊に、
570〜600℃の範囲内の所定温度に12時間保持の
均質化処理を施し、ついで熱間圧延を施して、芯材用A
l合金は9.6mmと10.8mmの2種類の厚さとし、皮
材用Al合金とろう材用Al合金の厚さは1.2mmと
し、これを表4,5に示される組合せで、ろう材を用い
てる場合は厚さ:9.6mm、ろう材を用いない場合は厚
さ:10.8mmの芯材をそれぞれ用いて重ね合わせ、熱
間圧延にてクラッドし、引続いて冷間圧延を施して厚
さ:0.3mmを有する本発明Al合金クラッド材1〜1
9および従来Al合金クラッド材1〜19をそれぞれ製
造した。
ラッド材から、内側を皮材とした内径:10mmの管体を
溶接にて形成し、これに真空ろう付けに相当する加熱、
すなわち10-5torrの真空中、温度:610℃に5分間
保持後冷却の加熱を施した状態で、前記管体に作動流体
としてCu++イオン:1ppm を含有する温度:50℃の
水道水を50l/min.の流量で20日間通過させる腐食
試験を行ない、最大孔食深さを測定し、この測定結果を
表4,5に示した。
l合金クラッド材1〜19は、いずれもろう付け加熱後
も皮材が芯材に対して十分に電気化学的に卑であること
から、皮材が犠牲陽極効果を発揮し、この分皮材の腐食
は進行するが孔食の発生を著しく抑制し、一方従来Al
合金クラッド材1〜19においては、ろう付け加熱時に
芯材より拡散移動したCuが皮材の素地に固溶して皮材
の電位を上昇させることから、芯材と皮材の電位差が小
さくなり、この結果皮材の芯材に対する犠牲陽極効果が
十分に発揮されなくなることから、孔食が発生するよう
になることが明らかである。
ド材によれば、これをろう付け組立てにより製造される
熱交換器の構造部材として用いた場合、ろう付け加熱時
に皮材の電位が上昇することがないので、ろう付け後の
構造部材に孔食が発生することがなく、したがって熱交
換器は長期に亘ってすぐれた性能を発揮するようになる
など工業上有用な効果がもたらされるのである。
Claims (4)
- 【請求項1】 重量%で、 Mn:0.7〜1.5%、 Cu:0.2〜0.7
%、 Zr:0.05〜0.25%、を含有し、残りがAlと
不可避不純物からなる組成を有するAl合金の芯材の片
面に、 In:0.005〜0.05%、Mg:0.35〜3.
5%、 Ti:0.001〜0.05%、を含有し、残りがAl
と不可避不純物からなる組成を有するAl合金の皮材を
クラッドしてなる、すぐれた犠牲陽極効果を有する熱交
換器用Al合金クラッド材。 - 【請求項2】 重量%で、 Mn:0.7〜1.5%、 Cu:0.2〜0.7
%、 Zr:0.05〜0.25%、を含有し、さらに、 Mg:0.05〜0.5%、 Si:0.3〜1.3
%、 Cr:0.05〜0.25%、 Ti:0.05〜0.
25%、 V:0.05〜0.25%、のうちの1種または2種以
上、を含有し、残りがAlと不可避不純物からなる組成
を有するAl合金の芯材の片面に、 In:0.005〜0.05%、Mg:0.35〜3.
5%、 Ti:0.001〜0.05%、を含有し、残りがAl
と不可避不純物からなる組成を有するAl合金の皮材を
クラッドしてなる、すぐれた犠牲陽極効果を有する熱交
換器用Al合金クラッド材。 - 【請求項3】 重量%で、 Mn:0.7〜1.5%、 Cu:0.2〜0.7
%、 Zr:0.05〜0.25%、を含有し、残りがAlと
不可避不純物からなる組成を有するAl合金の芯材の一
方面に、 In:0.005〜0.05%、Mg:0.35〜3.
5%、 Ti:0.001〜0.05%、を含有し、残りがAl
と不可避不純物からなる組成を有するAl合金の皮材
を、さらに上記芯材の他方面に、Si:5〜15%を含
有するAl−Si系合金のろう材をクラッドしてなる、
すぐれた犠牲陽極効果を有する熱交換器用Al合金クラ
ッド材。 - 【請求項4】 重量%で、 Mn:0.7〜1.5%、 Cu:0.2〜0.7
%、 Zr:0.05〜0.25%、を含有し、さらに、 Mg:0.05〜0.5%、 Si:0.3〜1.3
%、 Cr:0.05〜0.25%、 Ti:0.05〜0.
25%、 V:0.05〜0.25%、のうちの1種または2種以
上、を含有し、残りがAlと不可避不純物からなる組成
を有するAl合金の芯材の一方面に、 In:0.005〜0.05%、Mg:0.35〜3.
5%、 Ti:0.001〜0.05%、を含有し、残りがAl
と不可避不純物からなる組成を有するAl合金の皮材
を、さらに上記芯材の他方面に、Si:5〜15%を含
有するAl−Si系合金のろう材をクラッドしてなる、
すぐれた犠牲陽極効果を有する熱交換器用Al合金クラ
ッド材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30766092A JP3196368B2 (ja) | 1992-10-21 | 1992-10-21 | すぐれた犠牲陽極効果を有する熱交換器用Al合金クラッド材 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP30766092A JP3196368B2 (ja) | 1992-10-21 | 1992-10-21 | すぐれた犠牲陽極効果を有する熱交換器用Al合金クラッド材 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH06136476A JPH06136476A (ja) | 1994-05-17 |
JP3196368B2 true JP3196368B2 (ja) | 2001-08-06 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP30766092A Expired - Fee Related JP3196368B2 (ja) | 1992-10-21 | 1992-10-21 | すぐれた犠牲陽極効果を有する熱交換器用Al合金クラッド材 |
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JP (1) | JP3196368B2 (ja) |
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---|---|---|---|---|
EP1158063A1 (en) * | 2000-05-22 | 2001-11-28 | Norsk Hydro A/S | Corrosion resistant aluminium alloy |
-
1992
- 1992-10-21 JP JP30766092A patent/JP3196368B2/ja not_active Expired - Fee Related
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