JPH11228806A - シアネートエステル樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

シアネートエステル樹脂組成物及びその製造方法

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JPH11228806A
JPH11228806A JP3584898A JP3584898A JPH11228806A JP H11228806 A JPH11228806 A JP H11228806A JP 3584898 A JP3584898 A JP 3584898A JP 3584898 A JP3584898 A JP 3584898A JP H11228806 A JPH11228806 A JP H11228806A
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cyanate ester
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JP3584898A
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Takeshi Sugimura
猛 杉村
Harumi Negishi
春巳 根岸
Yasuyuki Mizuno
康之 水野
Shigeo Sase
茂雄 佐瀬
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Showa Denko Materials Co Ltd
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Hitachi Chemical Co Ltd
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    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05KPRINTED CIRCUITS; CASINGS OR CONSTRUCTIONAL DETAILS OF ELECTRIC APPARATUS; MANUFACTURE OF ASSEMBLAGES OF ELECTRICAL COMPONENTS
    • H05K1/00Printed circuits
    • H05K1/02Details
    • H05K1/03Use of materials for the substrate
    • H05K1/0313Organic insulating material
    • H05K1/032Organic insulating material consisting of one material
    • H05K1/0346Organic insulating material consisting of one material containing N

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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 シアネートエステル樹脂組成物を基材に含浸
させたとき樹脂付着量が多くなるようにワニス中の固形
分濃度を高くでき、また、所望の反応終点を確認する簡
便な方法を提供する。 【解決手段】 ポリフェニレンエーテル樹脂を芳香族炭
化水素系溶剤に加熱溶解し、次いで、その溶液中でシア
ネートエステル類化合物と1価フェノール類化合物を金
属系反応触媒の存在下で、シアネートエステル類化合物
とポリフェニレンエーテル樹脂の相溶化樹脂溶液を製造
した後、ケトン系溶媒と攪拌して相溶化樹脂溶液を懸濁
化する。そして、シアネートエステル類化合物とポリフ
ェニレンエーテル樹脂の相溶化樹脂溶液をサンプリング
し、1価フェノール類化合物とケトン系溶媒を添加して
該相溶化樹脂溶液の硬化時間を測定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリント配線板用
積層板等に使用するシアネートエステル樹脂組成物及び
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリフェニレンエーテル樹脂を混
合したシアネートエステル樹脂組成物は溶液粘度が高く
なる事から、樹脂含浸工程で、樹脂組成物を溶媒で30
重量%以下に希釈する方法や樹脂組成物を40〜80℃
に加熱する方法により粘度を下げる方策が採られてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前者は樹脂含
浸時に樹脂付着量が少なくなりやすく、複数回の含浸工
程が必要となり、後者は製造設備に防爆仕様や加温装置
が必要となる。また、シアネートエステル類化合物の溶
液重合反応は、シアネートエステル類化合物の分子量分
布、またはシアネートエステル類化合物モノマの反応率
を測定する事により、反応終点を決めていた。この際、
シアネートエステル類化合物の反応率は、GPC(ゲル
・パーミエイション・クロマトグラフィ)による、残存
モノマー量を定量する事で算出している。しかし、通常
モノマーが検出定量される迄の保持時間が20〜30分
要する事から、大量生産時にGPCによりシアネートエ
ステル樹脂の反応率を定量し、反応終点を経時的に確認
するには適当でない。反応率の経時変化を相対的に、知
る方法として硬化時間または粘度を測定する方法があ
る。常法の硬化時間の測定は簡便な方法であるが、シア
ネートエステル樹脂の重合反応においては、重合反応が
進んでも硬化時間は15分以上(測定温度160℃)必
要とするため、所望の反応終点を確認するためには簡便
ではない。また粘度の測定も、反応の経時変化を測定す
るには、簡便ではあるが、次工程の樹脂含浸工程で硬化
反応を進める際の指標にならず、粘度の測定値のみで
は、シアネートエステル樹脂組成物の反応終点を決定す
るのは困難であった。本発明は、以上の事情に鑑みてな
されたものであり、従来のシアネートエステル樹脂組成
物のもつ課題を解決し、かつシアネートエステル樹脂組
成物の反応を経時的に把握する事を可能にする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A)シアネ
ートエステル類化合物100重量部に対して、(B)1
価フェノール類化合物を4〜30重量部、(C)ポリフ
ェニレンエーテル樹脂を5〜300重量部及び(D)金
属系反応触媒を(A)シアネートエステル類化合物1g
に対し1〜300ppmを含むシアネートエステル樹脂
組成物である。また本発明は、ポリフェニレンエーテル
樹脂を芳香族炭化水素系溶剤に加熱溶解し、次いで、そ
の溶液中でシアネートエステル類化合物と1価フェノー
ル類化合物を金属系反応触媒の存在下で、シアネートエ
ステル類化合物とポリフェニレンエーテル樹脂の相溶化
樹脂溶液を製造した後、ケトン系溶媒と攪拌して相溶化
樹脂溶液を懸濁化することを特徴とするシアネートエス
テル樹脂組成物の製造方法である。そして、本発明は、
シアネートエステル類化合物とポリフェニレンエーテル
樹脂の相溶化樹脂溶液に1価フェノール類化合物とケト
ン系溶媒を添加して該相溶化樹脂溶液の硬化時間を測定
することにより反応時間を制御するシアネートエステル
樹脂組成物の製造方法である。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明で用いるシアネートエステ
ル類化合物は、2個以上のシアネートエステル基を有す
る式(1)で表されるポリシアン酸エステル化合物(式
中、R1は芳香族の多価の有機基であり、シアナト基は
有機基の芳香族環に直接結合しており、mは2以上、1
0以下の整数を表す。)及びその予備反応物から誘導さ
れるプレポリマーを含有する。
【0006】
【化1】
【0007】式(1)で表されるシアネートエステル類
化合物は、一般に、対応する多価のフェノール系化合物
をハロゲン化シアンと反応させる公知の方法(例えば、
特公昭41−1928号公報参照)によって調整され
る。多官能性シアネートエスル類化合物としては、1,
3−または1,4−ジシアネートベンゼン、1,3,5
一トリシアネートベンゼン、1,3−、1,4−、1,
6−、1,8−、2,6−または2,7−ジシアネート
ナフタレン、1,3,6−トリシアネートナフタレン、
4,4−ジシアネートビフェニル、ビス(4−シアネー
トフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−シアナトフ
ェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロー
4−シアネートフェニル)プロパン、2,2−ビス
(3,5−ジブロモー4−シアネートフェニル)プロパ
ン、ビス(4−シアネートフェニル)エーテル、ビス
(4−シアネートフェニル)チオエーテル、ビス(4−
シアネートフェニル)スルホン、トリス(4−シアネー
トフェニル)ホスファイト、トリス(4−シアネートフ
ェニル)ホスフェート、およびフェノール樹脂とハロゲ
ン化シアンとの反応により得られるベンゼン多核体のポ
リシアネート化合物(例えば、特公昭45−11712
号公報および特公昭55−9433号公報参照)などが
ある。さらには特公昭41−1928号公報,特公昭4
3−18468号公報,特公昭44−4791号公報,
特公昭46−15516号公報,特公昭46−4111
2号公報、および特公昭47−26853号公報あるい
は特開昭51−63149号公報などに記載されている
シアネートエステル類化合物も本発明で用いるシアネー
トエステル類化合物の範疇に含まれる。入手容易であ
り、かつ最終樹脂に良好な性質を与えるという点から、
2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパンまたは
2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−シアナトフェニ
ル)メタンのような対象構造を持ち、かつ橋絡部に縮合
環を有しない2価のシアネートエステル類化合物は、特
に有用である。
【0008】本発明において、上記シアネートエステル
類化合物単独、あるいはこのシアネートエステル類化合
物から誘導されるプレポリマーを単独で用いてもよく、
またこれらを混合して用いてもよい。上記プレポリマー
は、シアネートエステル類化合物を鉱酸、ルイス酸、炭
酸ナトリウム或いは塩化リチウム等の塩類、トリブチル
ホスフィン等のリン酸エステル類等の触媒の存在下また
は不存在下に重合させて得られる。この際、触媒が存在
する場合としない場合では反応温度が異なり、前者は1
00〜140℃、後者は140〜170℃で行われてい
る。これらのプレポリマーは、前記シアネートエステル
類化合物中のシアナト基が三量化することによって形成
されるトリアジン環を分子中に有しており、平均分子量
400〜6000を持っていることが望ましい。
【0009】本発明で使用する1価フェノール類化合物
は、式(2)または、式(3)で示される1価フェノー
ル類であり、耐熱性良好な化合物が望ましい(R2及び
3は、水素原子または炭素数1〜4の低級アルキル基
を表し、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
またnは1〜2の整数を表す。)。
【0010】
【化2】
【0011】
【化3】
【0012】式(2)で示される化合物としては、例え
ば、P−(α−クミル)フェノールが挙げられる。ま
た、式(3)で示される化合物としては、p−tert
−ブチルフェノール、p−tert−アミルフェノー
ル、p−tert−オクチルフェノールが挙げられ、そ
の中でもp−tert−オクチルフェノールがより好ま
しい。なお、1価フェノール類化合物は、一種類を単独
で用いてもよく、又は二種類以上を混合してもよい。
【0013】1価フェノール類の配合量は、シアネート
エステル類化合物100重量部に対して4〜30重量部
とされ、5〜25重量部がより好ましく、7〜20重量
部とすることが特に好ましい。4重量部未満では誘電正
接が十分低くならず、30重量部を超えるとかえって誘
電正接が高くなる。
【0014】シアネートエステル類化合物は、極性の強
いシアナト基を有していながら硬化時には対称で剛直な
トリアジン構造を生成するので、熱硬化性樹脂としては
最も低い誘電率及び誘電正接の硬化物が得られる。しか
し、実際の硬化反応においては、シアネートエステル類
化合物中の全てのシアナト基が反応してトリアジン構造
を生成するという事は不可能であり、硬化反応の進行に
伴って反応系が流動性を失い未反応のシアナト基として
系内に残存する事になる。その結果、これまでは本来の
硬化物より誘電率や誘電正接の高い硬化物しか得られな
かった。そこで本発明における1価フェノール類化合物
は、シアネートエステル類化合物と反応させて得られる
変性シアネートエステル樹脂として用いられる。すなわ
ち、シアネートエステル類化合物のプレポリマ化ととも
に、シアネートエステル類化合物に1価フェノール類化
合物を付与させたイミドカーボネート化変性樹脂として
用いられる。シアネートエステル類化合物と1価フェノ
ール類化合物を反応させる際には、1価フェノール類化
合物を反応初期から前記の適正配合量の全部を投入反応
させても良いし、又は反応初期は前記の適正配合量の一
部を反応させ、冷却後残りの配合量を投入して、Bステ
ージ化時あるいは硬化時に反応させて変性シアネートエ
ステル樹脂としても良い。
【0015】本発明に使用するポリフェニレンエーテル
樹脂類は、式(4)で示される単環式フェノールの一種
類以上を重縮合して得られる(ここに、R5は炭素数1
〜3の低級アルキル基、R6,R7およびR8は水素原子
または炭素数1〜3の低級アルキル基であり、水酸基の
少なくとも一方のオルト位には必ず低級アルキル置換基
が存在しなければならない。nは、正の整数を示し、数
平均分子量が30000〜60000の値が好まし
い。)
【0016】
【化4】
【0017】本発明で使用するポリフェニレンエーテル
樹脂は、このポリフェニレンエーテルにビニル芳香族化
合物をグラフト重合して得られる根幹にポリフェニレン
エーテルを有するグラフト共重合体も使用することがで
きる。このポリフェニレンエーテルは、単独重合体であ
っても共重合体であってもよい。
【0018】前記式(4)で示される単環式フェノール
としては、2,6−ジメチルフェノール、2,6−ジエ
チルフェノール、2,6−ジプロピルフェノール、2−
メチルー6−エチルフェノール、2−メチル−6−プロ
ピルフェノール、2−エチル−6−プロピルフェノー
ル、m−クレゾール、2,3−ジメチルフェノール、
2,3−ジプロピルフェノール、2−メチル−3−エチ
ルフェノール、2−メチル−3−プロピルフェノール、
2−エチル−3−メチルフェノール、2−エチル−3−
プロピルフェノール、2−プロピル−3−メチルフェノ
ール、2−プロピル−3−エチルーフェノール、2,
3,6−トリメチルフェノール、2,3,6−トリエチ
ルフェノール、2,3,6−トリプロピルフェノール、
2,6−ジメチル−3−エチルフェノール、2,6−ジ
メチル−3−プロピルフェノール等が挙げられる。
【0019】これらのフェノールの1種類以上の重縮合
により得られるポリフェニレンエーテルとしては、ポリ
(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、
ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテ
ル、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレン)
エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フ
ェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−プロピル
−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−
6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、2,6
−ジメチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノ
ール共重合体、2,6−ジメチルフェノール/2,3,
6−トリメチルフェノール共重合体、2,6−ジエチル
フェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合
体、2,6−ジプロピルフェノール/2,3,6−トリ
メチルフェノール共重合体、ポリ(2,6−ジメチル−
1,4−フェニレン)エーテルにスチレンをグラフト重
合したグラフト共重合体、2,6−ジメチルフェノール
/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体にスチレ
ンをグラフト重合したグラフト共重合体が挙げられる。
特にポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エ
ーテルとポリスチレンのアロイ化ポリマ、ポリ(2,6
−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルとスチレン
−ブタジエンコポリマのアロイ化ポリマが好ましい。ポ
リフェニレンエーテル樹脂中のポリ(2,6−ジメチル
−1,4−フェニレン)エーテルの成分量は、50重量
%以上含有するポリマであることが硬化物の誘電特性が
良好であるため好ましいが、65重量%以上含有するポ
リマであることがより好ましい。また、数平均分子量で
30000〜60000の樹脂を用いることが機械的強
度を確保するために好ましい。
【0020】本発明におけるポリフェニレンエーテル樹
脂の配合量は、シアネートエステル類化合物100重量
部に対して5〜300重量部とされ、10〜200重量
部とすることがより好ましく、10〜100重量部とす
ることが特に好ましい。配合量が、5重量部未満では誘
電特性の効果が得られず、300重量部を超えるとシア
ネートエステル樹脂組成物の粘度が高くなり流動性・成
形性が悪くなる。
【0021】本発明におけるシアネートエステル樹脂組
成物には、シアネートエステル類化合物と反応性を有し
ない難燃剤を配合することができる。シアネートエステ
ル類化合物と反応性を有しない難燃剤としては、例えば
1,2−ジブロモ−4−(1,2−ジブロモエチル)シ
クロヘキサン、テトラブロモシクロヘキサン、ヘキサブ
ロモシクロドデカン、ポリブロモジフェニルエーテル、
臭素化ポリスチレン、臭素化ポリカーボネート及び臭素
化トリフェニルイソシアヌレート系難燃剤等があげら
れ、その中でも1,2−ジブロモ−4−(1,2−ジブ
ロモエチル)シクロヘキサン、テトラブロモシクロヘキ
サン、ヘキサブロモシクロドデカン、2,4,6−トリ
ス(トリブロモフェノキシ)−1,3,5−トリアジン
はシアネートエステル樹脂組成物の硬化物の誘電特性が
良好となるので好ましい。
【0022】本発明におけるシアネートエステル類化合
物と反応性を有しない難燃剤の配合量は、シアネートエ
ステル類化合物、1価フェノール類化合物及びポリフェ
ニレンエーテル樹脂の総量100重量部に対して5〜3
0重量部とすることが好ましく、8〜25重量部とする
ことがより好ましく、10〜20重量部とすることが特
に好ましい、配合量が5重量部未満では耐燃性が不十分
であり、30重量部を超えるとシアネートエステル樹脂
組成物の硬化物の耐熱性が低下する。
【0023】本発明のシアネートエステル樹脂組成物は
加熱あるいは加圧下に反応して網状構造を形成し、耐熱
性樹脂となるが、この網状構造を促進する目的で、組成
物中に金属系反応触媒を含有させる。金属系反応触媒類
としては、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜
鉛等の金属触媒類が用いられ、具体的には、2−エチル
ヘキサン酸塩やナフテン酸塩等の有機金属塩化合物及び
アセチルアセトン錯体などの有機金属錯体として用いら
れる。このような金属系反応触媒として、ナフテン酸
鉛、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸鉄(III)、ナ
フテン酸ニッケル、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸銅、ナ
フテン酸マンガン、2−エチルシクロヘキサンコバルト
等の有機金属塩、塩化スズ、塩化亜鉛、塩化アルミニウ
ム等の金属塩化物、トリエチレンジアミン等の有機塩基
等が有用である。特に、有機金属塩は、添加量が少なく
好ましい。シアネートエステル樹脂組成物を製造する際
の反応促進剤と積層板製造時の硬化促進剤で同一の金属
系反応触媒を単独で用いてもよく、又は各々別の二種類
以上のものを用いてもよい。
【0024】本発明の金属系反応触媒の配合量は、シア
ネートエステル類化合物1gに対して1〜300ppm
とされ、5〜200ppmとすることが好ましく、10
〜100ppmとすることが特に好ましい。配合量が1
ppm未満の場合は反応性及び硬化性に効果が見られ
ず、300ppmを超えると反応性及び硬化性が速くな
りすぎる。また当該触媒の添加時期は、シアネートエス
テル樹脂組成物を製造する際の反応促進剤及び積層板製
造時の硬化促進剤として必要な量を同時にまとめて添加
しても良いし、反応促進剤と硬化促進剤とに分割して添
加しても良い。
【0025】本発明の芳香族炭化水素系溶剤は、ポリフ
ェニレンエーテル樹脂を加熱溶解する溶剤であり、かつ
シアネートエステル類化合物と1価フェノール類化合物
の反応とポリフェニレンエーテル樹脂との相溶化を行う
際の反応溶媒となる。沸点は50〜170℃の範囲にあ
るのが好ましく、具体例としては、トルエン、キシレ
ン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、メシチレ
ン等が挙げられる。これらのうち一種類以上が用いられ
るが、特にトルエンが好ましい。
【0026】芳香族炭化水素系溶剤の沸点が50℃未満
であると、樹脂含浸工程で溶剤が揮発し易く、ワニス濃
度および粘度が変化し易くなり好ましくない。また沸点
が170℃を超えると、塗工布中の残存溶剤量が多くな
り易く、積層板製造後にボイドが発生したり耐熱性が低
下するおそれがある。
【0027】芳香族炭化水素系溶剤の配合量は、ポリフ
ェニレンエーテル樹脂100重量部に対して100〜5
00重量部とするのが好ましく、150〜300重量部
が特に好ましい。
【0028】本発明のケトン系溶媒は、ポリフェニレン
エーテル樹脂の芳香族炭化水素系溶剤中でシアネートエ
ステル類化合物と1価フェノール類化合物を反応させ、
シアネートエステル類化合物とポリフェニレンエーテル
樹脂との相溶化樹脂溶液を懸濁化するために添加するも
ので、相溶化樹脂の溶解性が低い溶媒(以下、貧溶媒と
略す)が用いられる。添加の手順は相溶化樹脂溶液中に
ケトン系溶媒を投入攪拌するが、逆にケトン系溶媒中に
相溶化樹脂溶液を投入攪拌しても良い。ケトン系溶媒
は、その沸点が50〜170℃の範囲にあることが好ま
しく、具体例としては、アセトン、メチルエチルケト
ン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、メチルイソブチ
ルケトン、2−ヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘ
プタノン、シクロヘキサノン等が挙げられ、これらのう
ち一種類以上が用いられ、メチルエチルケトンが好まし
い。沸点が50℃未満であると、樹脂含浸工程で溶媒が
揮発し易く、ワニス濃度および粘度が変化し易くなり好
ましくない。また沸点が170℃を超えると、塗工布中
の残存溶剤量が多くなり易く、積層板製造後にボイドが
発生したり耐熱性が低下するおそれがある。
【0029】ケトン系溶媒の配合量は、芳香族炭化水素
系溶剤100重量部に対して50〜500重量部添加し
て懸濁化するのが好ましく、100〜200重量部が特
に好ましい。50重量部未満の場合は、懸濁化の効果が
少なく、相溶化樹脂の粘度が下がらず、500重量部よ
り多いと含浸工程で塗工布外観が悪くなる。
【0030】上記以外に必要に応じて、シアネートエス
テル類化合物とポリフェニレンエーテル樹脂との相溶化
溶液の懸濁状態を変化させない範囲で他の溶剤を併用し
てもよい。併用できる溶剤の具体例としては、トリクロ
ロエチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素
類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチル
アセトアミド等のアミド系やN−メチルピロリドン等の
窒素系溶剤が挙げられ、これらの溶剤は一種類又は二種
類以上を併用して用いることができる。
【0031】本発明のシアネートエステル樹脂組成物の
製造方法においては、シアネートエステル類化合物とポ
リフェニレンエーテル樹脂との相溶化樹脂溶液を製造す
る際に、シアネートエステル類化合物の反応率を直接測
定することなく、硬化時間を測定する事で反応終点を決
定することができる。この際、相溶化樹脂溶液に1価フ
ェノール類化合物とケトン系溶剤を添加することで、相
溶化樹脂溶液を擬似的に最終配合と同等の状態にするこ
とができ、この時の硬化時間を測定することで反応率の
経時変化を推定することが可能となる。添加する1価フ
ェノール類化合物とケトン系溶剤の配合量は、相溶化樹
脂溶液が懸濁化された時の成分比と同じになるように調
整すれば良い。
【0032】以上説明したシアネートエステル樹脂組成
物は、プリント配線板用のプリプレグ及び積層板の製造
に供せられる。すなわち、本発明のシアネートエステル
樹脂組成物をガラス布などの基材に含浸乾燥することで
プリプレグを作製する。ついでこのプリプレグを任意の
枚数重ねその上下面又は片面に金属箔を重ねて加熱加圧
成形することにより両面または片面の金属張り積層板と
することができる。
【0033】
【実施例】(実施例1)シアネートエステル類化合物と
して2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン
(ArocyB−10:旭チバ株式会社製商品名)10
0重量部に対し、変性ポリフェニレンエーテル樹脂(日
本ジーイープラスチックス株式会社製商品名、ノリル)
20重量部、1価フェノール類としてp−(α−クミ
ル)フェノール(サンテクノケミカル株式会杜製)1重
量部をトルエン40重量部に加熱溶解し、金属系反応触
媒としてナフテン酸マンガン(日本化学産業株式会社製
ナフテン酸マンガン、マンガン含有量10重量%)0.
03重量部を添加後、液温120℃で反応させ相溶化樹
脂溶液を製造した。90℃に冷却後シアネートエステル
類化合物と反応性を有しない難燃剤として2,4,6−
トリス(トリブロモフェノキシ)-1,3,5−トリアジ
ン(SR−245:第一工業製薬株式会社製商品名)1
8重量部、次いでメチルエチルケトン82重量部を投入
溶解し懸濁化させ、更に40℃以下に冷却後、前記1価
フェノール類11重量部、金属系反応触媒(日本化学産
業株式会杜製ナフテン酸亜鉛、亜鉛含有量8重量%)
0.0125重量部を添加しシアネートエステル樹脂組
成物を製造し、その特性を測定した。併せて反応開始
後、1時間毎にサンプリングした相溶化樹脂溶液100
重量部に対し、1価フェノール類6重量部及びメチルエ
チルケトン47重量部を添加し、160℃の熱板上で硬
化時間を測定した。その結果を表1に示した。
【0034】(実施例2)シアネートエステル類化合物
(旭チバ株式会社製商品名、ArocyB−10)10
0重量部に対し、変性ポリフェニレンエーテル樹脂(日
本ジーイープラスチックス株式会社製商品名、ノリル)
20重量部、1価フェノール類(サンテクノケミカル株
式会社製商品名、PCP、p−(α−クミル)フェノー
ル)1重量部、シアネートエステル類化合物と反応性を
有しない難燃剤(SR−245:第一工業製薬株式会社
製商品名)18重量部をトルエン54重量部に加熱溶解
し、金属系反応触媒(日本化学産業株式会社製、ナフテ
ン酸マンガン、マンガン含有量10重量%)0.03重
量部を添加後液温120℃で反応させ相溶化樹脂溶液を
製造した。90℃に冷却後メチルエチルケトン92重量
部を投入溶解し懸濁化させ、更に40℃以下に冷却後に
前記1価フェノール類11重量部および金属系反応触媒
(日本化学産業株式会社製、ナフテン酸亜鉛、亜鉛含有
量8重量%)0.0125重量部を添加投入しシアネー
トエステル樹脂組成物を製造し、その特性を測定した。
併せて反応開始後、1時間毎にサンプリングした相溶化
樹脂溶液100重量部に対し、1価フェノール類6重量
部及びメチルエチルケトン47重量部を添加し、160
℃の熱板上で硬化時間を測定した、その結果を表1に示
した。
【0035】(比較例1)実施例1において、メチルエ
チルケトンの代わりにトルエン82重量部を投入してシ
アネートエステル樹脂組成物を製造し、その特性を測定
した。併せて反応開始後、1時間毎にサンプリングした
相溶化樹脂溶液を何も添加せず160℃の熱板上で硬化
時間を測定した。その結果を表1に示した。
【0036】(比較例2)実施例2において、メチルエ
チルケトンの代わりにトルエン92gを投入してシアネ
ートエステル樹脂組成物を製造し、その特性を測定し
た。併せて反応開始後、1時間毎にサンプリングした相
溶化樹脂溶液を何も添加せず160℃の熱板上で硬化時
間を測定した。その結果を表1に示した。
【0037】表1に示す測定方法は次の通りである。 固形分:樹脂溶液約2ccをアルミカップに採取し、防
爆型乾燥機にて160℃1時間乾燥後の重量変化を測定
し、重量%で表示した。 粘度:株式会社東京計器製E型粘度計を使用して、樹脂
溶液約1ccの25℃における粘度を測定した。 硬化時間:日新科学株式会社製ゲル化試験機を使用し
て、樹脂溶液約0.5ccを160℃の熱板上に置き、
直ちにへらで撹はんし、ゲル化するまでの時間を測定し
た。
【0038】
【表1】 項目 実施例1 実施例2 比較例1 比較例2 固形分(wt%) 55 51 55 51 硬化時間(秒) 350 309 測定不可 測定不可 粘度(mps) 166 78 測定不可 測定不可 性 流動性(25℃、目視) 液状 液状 ク゛リース状 ク゛リース状 開始1h後 (秒) 450 655 >900 >900 〃 2h後 387 544 >900 >900 〃 3h後 − 526 >900 >900 〃 4h後 − 432 >900 >900 〃 5h後 − − >900 >900
【0039】表1の実施例1、2に示したように、ポリ
フェニレンエーテル樹脂を芳香族炭化水素系溶剤に加熱
溶解し、次いでその溶液中でシアネートエステル類化合
物と1価フェノール類化合物を金属系反応触媒の存在
下、シアネートエステル類化合物とポリフェニレンエー
テル樹脂の相溶化樹脂溶液を製造した後、ケトン系溶媒
を投入攪拌して相溶化樹脂溶液を懸濁化することによ
り、ワニス中の樹脂固形分濃度を高くすることができ
る。これに対して比較例1、2に示したように、相溶化
させた状態で温度を下げるとグリース状になり、粘度や
硬化時間を測定することができなくなる。そして、この
グリース状態では、ガラス基材等の基材に含浸すること
はできなかった。一方、本発明のシアネートエステル類
化合物とポリフェニレンエーテル樹脂の相溶化樹脂溶液
に1価フェノール類化合物とケトン系溶媒を添加して、
相溶化樹脂溶液の硬化時間を測定することで反応時間を
制御することができる。実施例1、2は、160℃での
硬化時間を300から400秒内に抑えるように反応を
制御しようとしており、実施例1の組成物では、2時間
少々で反応を終え、実施例2の場合は、4時間少々で反
応を終えれば良いことが分かる。そして、11分程度の
硬化時間以内で測定することができる。これに対して、
比較例1、2は、硬化時間が900秒(15分)以上で
あり硬化時間測定中にシアネートエステル樹脂組成物の
反応系の粘度が変化してしまう。
【0040】
【発明の効果】以上のように、本発明によるシアネート
エステル樹脂組成物の製造方法により低粘度かつ高濃度
の樹脂溶液を製造でき、併せてシアネートエステル類化
合物の反応率の経時変化を知ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐瀬 茂雄 茨城県下館市大字小川1500番地 日立化成 工業株式会社下館研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)シアネートエステル類化合物10
    0重量部に対して、(B)1価フェノール類化合物を4
    〜30重量部、(C)ポリフェニレンエーテル樹脂を5
    〜300重量部及び(D)金属系反応触媒を(A)シア
    ネートエステル類化合物1gに対し1〜300ppmを
    含むシアネートエステル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ポリフェニレンエーテル樹脂を芳香族炭
    化水素系溶剤に加熱溶解し、次いでその溶液中でシアネ
    ートエステル類化合物と1価フェノール類化合物を金属
    系反応触媒の存在下、シアネートエステル類化合物とポ
    リフェニレンエーテル樹脂の相溶化樹脂溶液を製造した
    後、ケトン系溶媒と攪拌して相溶化樹脂溶液を懸濁化す
    ることを特徴とするシアネートエステル樹脂組成物の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 シアネートエステル類化合物とポリフェ
    ニレンエーテル樹脂の相溶化樹脂溶液に1価フェノール
    類化合物とケトン系溶媒を添加して該相溶化樹脂溶液の
    硬化時間を測定することにより反応時間を制御する請求
    項1に記載のシアネートエステル樹脂組成物の製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010189646A (ja) * 2002-09-30 2010-09-02 Hitachi Chem Co Ltd 印刷配線板用樹脂組成物並びにこれを用いたワニス、プリプレグ及び金属張積層板

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