JPH11227142A - 電気用積層板 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 貫層耐電圧に優れ且つ機械的強さに優れる電
気用積層板を得る。 【構成】 ガラス不織布にエポキシ樹脂ワニスを含浸し
乾燥したプリプレグＡとガラスロービングクロスに前記
エポキシ樹脂ワニスと同一又は異なるエポキシ樹脂ワニ
スを含浸し乾燥したプリプレグＢとを交互に積み重ね、
外側がプリプレグＡとなるように配列した積み重ね構成
体とし、該積み重ね構成体を加熱・加圧して一体に成形
した電気用積層板。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は主に変圧器、回転機、
制御機器などに代表される電気機器に使用する電気絶縁
用積層板に関するものである。

【０００２】

【従来技術およびその問題点】電気及び機械用積層板と
して、ガラスクロス基材エポキシ樹脂積層板が用いられ
ている。ガラスクロス基材エポキシ樹脂積層板は、その
基材として、ストランドに撚をかけ製織しヒートクリ
ーニング処理した後に、シラン処理などの表面処理を施
した所謂処理ガラスクロスを用いる場合と、ストラン
ドに撚りをかけ或は撚りをかけずに製織した状態の所謂
未処理ガラスクロスを用いる場合とがある。処理ガラス
クロスはエポキシ樹脂ワニスの含浸性に優れるがヒート
クリーニング処理により脆くなっている。このような処
理ガラスクロスを用いた積層板は機械的強さをある程度
以上に必要とせず、内部に気泡のないものを必要とする
プリント回路板用銅張り積層板等に利用されている。無
処理ガラスクロスはエポキシ樹脂ワニスの含浸性に劣る
がヒートクリーニング処理による脆化がないため機械的
強さに優れるものである。このような無処理ガラスクロ
スを用いた積層板は電気及び機械用として特に機械的強
さが要求されるものに用いられている。無処理ガラスク
ロス基材エポキシ樹脂積層板は無処理ガラスクロス基材
がエポキシ樹脂ワニスの含浸性に劣ることに原因して、
無処理ガラスクロス基材の内部隙間にエポキシ樹脂が充
填されていない微少空間を生じ易い。この微少空間は空
気であるため誘電率が周囲のガラスの誘電率より小さく
而も寸法的にも小であるため電位傾度が大になり、積層
板の耐電圧の低下を招くと云う問題点がある。積層板の
表面においては、無処理ガラスクロスに必要十分なエポ
キシ樹脂量を含有させる事ができ難いため、無処理ガラ
スクロス基材の織り目による凹凸面を生じ易いと云う問
題点があり、また切削工具等による加工の際に表面部に
エポキシ樹脂量が不足していることにより微少剥離（端
面白化）が生じ易いと云う問題点もある。

【０００３】

【問題点を解決するための手段】この発明の電気用積層
板は、前記問題点を解決するために、ガラス不織布にエ
ポキシ樹脂ワニスを含浸し乾燥したプリプレグＡとガラ
スロービングクロスに前記エポキシ樹脂ワニスと同一又
は異なるエポキシ樹脂ワニスを含浸し乾燥したプリプレ
グＢとを交互に積み重ねて外側がプリプレグＡとなるよ
うに配列した積み重ね構成体とし、この積み重ね構成体
を加熱加圧して一体に成形するようにしたのである。ガ
ラス不織布の単繊維長として５〜１５ｍｍであるものを
好適に用いることができる。

【０００４】

【作用・効果】この発明の電気用積層板は、機械的強さ
において劣るけれどもエポキシ樹脂ワニスの含浸性にお
いて優れるガラス不織布を用いたプリプレグＡと、エポ
キシ樹脂ワニスの含浸性に劣るけれども機械的強さに優
れるガラスロービングクロスを用いたプリプレグＢと、
を交互に積み重ねて、外側がプリプレグＡとなるように
配列した積み重ね構成体とし、この積み重ね構成体を加
熱・加圧する際において、プリプレグＡ及びプリプレグ
Ｂのエポキシ樹脂が共に溶融軟化し、加圧力によって所
定の板厚みとなるように流動するが、エポキシ樹脂を多
く含有するプリプレグＡからの溶融軟化したエポキシ樹
脂がエポキシ樹脂をあまり含有していないプリプレグＢ
のガラスロービングクロスの内部の隙間に幾分入り込
み、その結果、ガラスロービングクロスの接着力を向上
させる。また、電気用積層板の表裏の層は、積み重ね構
成体の外側にエポキシ樹脂含有量の多いプリプレグＡを
配設してあるのでエポキシ樹脂に富んだ成形面になり、
ガラスロービングクロスの織り目に起因する凹凸の発生
は皆無となる。このような電気用積層板に厚み方向に電
位を与えた場合に、電流が積層板の厚み方向に流れる過
程においてエポキシ樹脂より基材（ガラスクロス基材、
ガラス不織布基材）の沿面に添って流れ易いが、積層板
の表裏の層、内層の一部にガラス不織布の層が設けてあ
り、このガラス繊維不織布層はモノフィラメント単位で
分散されてなるガラス繊維によって形成される不織布の
層であるため、電流は各モノフィラメントに分散される
と共に、短繊維であるため分断されて、貫層耐電圧を高
めることができる。以下本発明を実施例・比較例により
説明するが、この発明はこの実施例に限定するものでは
ない。

【０００５】

【実施例１】ガラス不織布（オリベスト社製商品名ＳＡ
Ｓ−０５３、繊維長１３ｍｍ、重量５３ｇ／ｍ^２）に上
記エポキシ樹脂ワニスを含浸し乾燥して樹脂含有率８５
％のプリプレグＡを得た。ガラスロービングクロス（旭
ファイバーグラス社製商品名ＲＨ６００、５８８ｇ／ｍ
^２）にエポキシ樹脂ワニスを含浸し乾燥して樹脂含有率
３０％のプリプレグＢを得た。プリプレグＡとプリプレ
グＢを交互に積み重ねて外側がプリプレグＡとなるよう
に配列した積み重ね構成体とし、この積み重ね構成体を
圧力３０ｋｇ／ｃｍ^２、温度１７０℃、時間１２０分の
条件で成形し、厚さ１５ｍｍ厚の積層板を得た。この積
層板について、曲げ強さ、引張強さ、アイゾット衝撃強
さ、貫層耐電圧、表裏の凹凸面の有無および切削加工時
の微少剥離を調べ、その結果を表１に示した。

【０００６】

【実施例２】ガラス不織布の単繊維長が９ｍｍである以
外は実施例１と同様にして厚さ１５ｍｍ厚の積層板を得
た。実施例１と同様の方法により、曲げ強さ、引張強
さ、アイゾット衝撃強さ、貫層耐電圧、表裏の凹凸面の
有無および切削加工時の微少剥離を調べ、その結果を表
１に示した。

【０００７】

【比較例１】積み重ね構成体に、プリプレグＡのみを用
いた以外は実施例１と同様にして厚さ１５ｍｍの積層板
を得た。実施例１と同様の方法により、曲げ強さ、引張
強さ、アイゾット衝撃強さ、貫層耐電圧、表裏の凹凸面
の有無および切削加工時の微少剥離を調べ、その結果を
表１に示した。

【０００８】

【比較例２】積み重ね構成体に、プリプレグＢのみを用
いた以外は実施例１と同様にして厚さ１５ｍｍの積層板
を得た。実施例１と同様の方法により、曲げ強さ、引張
強さ、アイゾット衝撃強さ、貫層耐電圧、表裏の凹凸面
の有無および切削加工時の微少剥離を調べ、その結果を
表１に示した。

【０００９】

【比較例３】処理ガラスガラスクロス（旭シェーベル社
製品番７６２８、平織、３２０ｇ／ｍ^２）に実施例１と
同一エポキシ樹脂ワニスを含浸し乾燥して樹脂含有率６
０％のプリプレグＣを得た。このプリプレグＣを厚みが
１５ｍｍとなるように適数枚積み重ね、これを圧力３０
ｋｇ／ｃｍ^２、温度１７０℃、時間１２０分の条件で成
形し、厚さ１５ｍｍ厚の積層板を得た。実施例１と同様
の方法により、曲げ強さ、引張強さ、アイゾット衝撃強
さ、貫層耐電圧、表裏の凹凸面の有無および切削加工時
の微少剥離を調べ、その結果を表１に示した。

【００１０】

【比較例４】実施例で使用したプリプレグＢの代わりに
上記プリブレグＣを用いた以外は実施例と同様にして厚
さ１５ｍｍ厚の積層板を得た。実施例１と同様の方法に
より、曲げ強さ、引張強さ、アイゾット衝撃強さ、貫層
耐電圧、表裏の凹凸面の有無および切削加工時の微少剥
離を調べ、その結果を表１に示した。

【００１１】

【表１】 但し、 （イ）曲げ強さは、ＪＩＳ Ｋ６９１１の５．１７の試
験方法により求めた。 （ロ）引張強さは、ＪＩＳ Ｋ６９１１の５．１８の試
験方法により求めた。 （ハ）アイゾット衝撃強さは、ＪＩＳ Ｋ６９１１の
５．２１の試験方法により求めた。 （ニ）貫層耐電圧は、ＪＩＳ Ｋ６９１１の５．１０の
試験方法により最大値を求めた。

【００１２】

【発明の効果】この発明は、電気的貫層耐電圧に優れ且
つ機械的強さに優れると共に、切削加工性に優れた電気
用積層板を提供できるものである。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ガラス不織布にエポキシ樹脂ワニスを含
   浸し乾燥したプリプレグＡとガラスロービングクロスに
   前記エポキシ樹脂ワニスと同一又は異なるエポキシ樹脂
   ワニスを含浸し乾燥したプリプレグＢとを交互に積み重
   ね、外側がプリプレグＡとなるように配列した積み重ね
   構成体とし、該積み重ね構成体を加熱・加圧して一体に
   成形した電気用積層板。
2. 【請求項２】 ガラス不織布の単繊維長が５〜１５ｍｍ
   であることを特徴とする請求項１記載の電気用積層板。