JPH11227075A - 成形体の製造方法 - Google Patents

成形体の製造方法

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JPH11227075A
JPH11227075A JP10049985A JP4998598A JPH11227075A JP H11227075 A JPH11227075 A JP H11227075A JP 10049985 A JP10049985 A JP 10049985A JP 4998598 A JP4998598 A JP 4998598A JP H11227075 A JPH11227075 A JP H11227075A
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fibers
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Koji Iwasaki
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 環境に優しく、優れた緩衝性を有する成形体
を効率よく、また精度よく製造する。 【解決手段】 多数の小孔11を有する成形型10の小
孔から、スラリーの媒体を除去することによって該成形
型10にスラリ中のスラリの小孔不通過微細成分を堆積
させて成形物18とし、その後湿潤状態の該成形物18
を型内或いは型外乾燥して成形体23を製造する方法で
あって、スラリー組成物としてクラフトパルプと木材粗
粉を混合したものに水を加え濃度調整してカナダ標準フ
リーネス(CSF)が550ml以上としたものを用い
て成形型10の開放部分に不要部分を盛り上げた状態の
成形物18を形成せしめ、その後に、乾燥或いは湿潤状
態の成形物の不要部分を切除する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、環境に優しいパル
プ等の素材に対しても適用可能な、優れた緩衝性と美装
性を有する成形体の効率的な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、緩衝材として利用される発泡スチ
ロールは、衝撃緩衝性に優れ、任意の形状に加工するこ
とが容易で、価格が安く、軽量で、しかも外観体裁も良
好である等の特徴を有している。しかし、近年、環境問
題への関心が高まるにつれて、他の所謂プラスチック製
品と同様に、使用後の処理性を問題視する声が高まって
いる。すなわち、使用した後、焼却した場合には、高温
の発生による炉の損傷、有毒ガスの発生が指摘されてい
る。また、埋め立て処理を行った場合は、分解性がな
く、さらに嵩張るため、処理場の不足を招く一因とも考
えられている。
【0003】この発泡スチロールの処理上の問題点を解
決するものとして、最近では、緩衝材としてパルプモー
ルドが注目され、スチロールの代替として用いられるこ
とが多くなってきている。パルプモールドは、再生パル
プを原料として製造され、形状を工夫することで緩衝
力、強度を与えられるものであり、焼却、埋め立ての何
れの処理も容易である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、多数の小孔を
有する金型にスラリー中のパルプを吸引・脱水しながら
堆積させ、その後乾燥して成形物を得る方式であるパル
プモールド法では、濾水性の悪い汎用のパルプスラリー
を用いた場合には、その吸引・脱水工程に時間を要する
ために、生産効率を無視しない限り、堆積の厚みが10
mmを越えるものを得ることが出来なかった。その為、
得られたものは強度的に十分とはいえず、重量物の包装
材としての適性に欠けていた。また、緩衝性も不十分
で、それを補うためにはリブ構造をとる等の構造上の工
夫が必要であり、その為に専用の複雑な形状の金型を作
成する必要があってその設計と製造に時間を要するとい
った問題があった。その上、リブ構造で緩衝性を付与さ
せたものは、1回目の落下衝撃には十分な効果を発揮す
るが、2回目以上の落下衝撃には対しては緩衝性が極め
て劣るという問題を有していた。
【0005】更に、汎用のパルプスラリーを用いたパル
プモールド法は濾水工程等の成形工程に時間を要する為
に、特殊で高価な金型を多数用意しなければ生産性を上
げることが出来ず、商品のモデルチェンジの早い業界や
少ロット多品種の業界には不向きであった。また、パル
プモールド法で得られたものは、生産速度を低下させた
り成形体の密度を上昇させたりする等の欠点を有する濾
水工程後の型プレスを行わないと、金型に非接触の側の
表面の凹凸が大きくて平滑性に欠け、美装性の優れたも
のが得られないという問題を有していた。本発明の目的
は、パルプ等の環境に優しい素材に対しても適用可能
な、優れた緩衝性と美装性を有する成形体の効率的な成
形方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、かかる現
状に鑑み、優れた緩衝性と美装性を有する成形体を、効
率良く生産出来る成形方法について鋭意検討した結果、
原料として特定のカナダ標準フリーネス(CSF)を有
するスラリー組成物を用い、更に製造工程の中に切断工
程を設けることによって、それを成しうることを見出
し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、
多数の小孔を有する成形型の小孔から、スラリーの媒体
である水を除去することによって該成形型にスラリー中
の小孔不通過微細成分を堆積させて成形物とし、その後
湿潤状態の該成形物を型内或いは型外乾燥して得る成形
体の製造方法であって、該スラリー組成物としてカナダ
標準フリーネス(CSF)が550ml以上であるもの
を用いて成形型の開放部分に不要部分を有する成形物を
形成せしめ、その後に、乾燥或いは湿潤状態の成形物の
該不要部分を切除することを特徴とする成形体の製造方
法である。本発明では、該成形型が筒状であることが好
ましい。本発明では、該成形物の堆積層の厚みが10m
m以上であることが好ましい。本発明では、湿潤状態の
成形物の不要部分を切除した後に、該切断面に型を押し
当てて圧縮処理を施すことが好ましい。また本発明で
は、小孔不通過微細成分の主成分がパルプであることが
好ましい。中でも、該パルプがカールドファイバーであ
ることが好ましい。また本発明では、小孔不通過微細成
分の主成分がセルロース系粗粉であることが好ましい。
【0007】本発明の成功の第一の原因は、カナダ標準
フリーネス(CSF)が550ml以上の濾水性の優れ
たスラリー組成物を用いることによって、スラリーの吸
引・脱水成形法でも十分な厚みの成形物が効率的に得ら
れることを見出し、これによって、次のようなメリット
が生ずることを見出した点にある。 重量物用にも適用可能な成形体が得られる。 2回目以上の落下衝撃に対しても優れた緩衝性を示す
成形体が得られる。 また、リブ構造等の構造上の工夫をする必要がないの
で、従来のパルプモールド法の様な複雑な金型が必要で
なく、その為に金型の設計と製造の時間が大幅に短縮で
き、金型が安価に製造できる。 安価な金型で製造出来るために、多くの金型を準備す
るこで生産性を上げることができ、また少ロット多品種
品に対しても比較的低い製造コストに抑えることが可能
となる。 また、本発明の成功の第二の原因は、カナダ標準フリー
ネス(CSF)が550ml以上のスラリー組成物を用
いて厚い成形品を得ようとする場合に生じる成形型の開
放部分の表面平滑性不良、美装性不良の問題を、その製
造工程の中に切断工程を設けることによって、密度上昇
につながる濾水工程後の強力な型プレスを施すことなく
解決できることを見出した点にある。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明は、スラリーの媒体である
水を除去して成形型内にスラリー中の小孔不通過微細成
分を堆積させる際に、成形型の開放部分に不要部分が盛
り上がる状態になる様に成形物を形成せしめ、次いで湿
潤状態の成形物または乾燥後の成形物の前記不要部分を
切除するものである。成形型としては、通常のパルプモ
ールド用金型を使用することもできるが、より優れた緩
衝性を有するブロック状の成形物を必要とする場合に
は、多数の小孔を有する深底の容器、例えば円筒或いは
角筒等の筒状容器(以下、本発明においては成形型を成
形容器と称する)が通常使われる。成形容器の小孔は、
円形、楕円形、正方形、長方形等如何なる形状のもので
もかまわない。小孔の大きさはスラリーの媒体である水
以外の分散成分が殆ど洩れないレベルのものであれば良
く、通常直径が30μm〜3mmの範囲の円形のものが
使われるが、本発明に於いては特に限定されるものでは
ない。通常不通過微細成分が大きい場合は大きめのもの
が使われ、小さい場合には小さめのものが使われる。パ
ルプモールドに使われる金型のように、比較的大きな孔
を有する成形容器壁に目の細かい金網を張り付けたもの
も使用できる。また、小孔の大きさは成形容器の部分で
変えることもできる。又、小孔は必ずしも成形容器壁の
全面に存在させる必要はなく、筒状容器の場合には底部
にのみ存在させてもよい。脱水効率等を考慮すると、成
形容器の壁の20%以上の部分に小孔を存在せしめるこ
とが好ましく、より好ましくは35%以上である。小孔
が存在する部分に於ける小孔の数はcm2当たり1個以
上存在せしめることが好ましく、より好ましくはcm2
当たり4個以上である。
【0009】成形容器へのスラリーの注入は、開放口
が上向きの成形容器に開放口からポンプでラリーを注入
する、通常のパルプモールドのように開放口を下向き
にしてスラリータンクに浸し、小孔より吸引することに
よって下向きの開放口よりスラリーを成形容器中に吸い
込ませる、開放口を上向きにして成形容器をスラリー
タンク中に沈めながら吸引し、開放口よりスラリーを成
形容器中に吸い込ませる、等の方法をとることができ
る。スラリーの媒体を小孔から除去する方法としては、
吸引脱水法、ガス加圧脱水法、機械加圧脱水法、電気浸
透脱水法等があり、これらを組合せることもできる。
【0010】本発明では、成形物の一部を除去して層が
薄くなっても良好な緩衝性が保持できるように、不要部
分切除前の成形物の堆積層の厚みは10mm以上である
ことが好ましい。特に好ましくは20mm以上である。
【0011】本発明の製造方法では、乾燥或いは湿潤状
態の成形物の成形型の開放部分に形成された不要部分を
切除するが、切除方法としては、高圧或いは低圧のウォ
ータージェット、エアージェット、糸のこ、炭酸ガスレ
ーザー、竹綱製作所製のハイブローノズルを使用した水
流等等を用いることができる。しかし、切除方法は上記
のものに限定されるものではない。中でも乾燥状態の成
形物の切断よりも湿潤状態の成形物の切断の方が品質及
び生産効率の面で好ましい。取分け、湿潤状態の成形物
をウォータージェット等の水流を用いて切断する方式が
品質的に最も優れたものが得られるので好ましい。尚、
本発明においては成形物の不要部分は開放面上に形成さ
れるものであるが、それ以外の箇所に形成される不要部
分(例えば、パルプモールド法において金型の型外に形
成されるバリと称する部分)の除去にも、上記切除方式
を用いることができる。切除方式や切断条件によって
は、切断面の平滑性が不十分となる場合があるが、その
場合には更に、その面に機械的加圧を施して整える手段
が有効である。又、切断面に型を押し付けてその面に所
望の形状を付与することも可能である。
【0012】脱水して成形容器内に形成された湿潤状態
の充填物は、その後容器内で或いは容器外に取り出して
乾燥させる。容器内で乾燥する場合は寸法精度の良い成
形物が得られるものの生産性が悪い欠点をもつ。一方、
容器外乾燥の場合は寸法精度はやや劣るが、生産性の点
では優れている。その折中案として、容器内での乾燥を
途中まで行った後に、取り出して容器外乾燥を行う方法
をとることができる。切除後の湿潤状態の成形物への機
械的加圧は乾燥前に終了してもよいが、乾燥中にも継続
して行う方が平滑性の良いものが得られ好ましい。
【0013】乾燥方式としては、例えば熱風乾燥、赤外
線乾燥、マイクロウェーブ乾燥等、公知の方法をとるこ
とが出来る。また、途中までの乾燥には、加熱水蒸気が
有効である。乾燥速度を速めるには、加熱エアーを湿潤
状態の成形物に注入する、或いは成形物の反対側から加
熱エアーを入れながら吸引する等して、小孔不通過微細
成分間の空隙のエアーの流れを良くする工夫が効果的で
ある。さらに、成形物の表面に意識的に凹凸をつけて表
面積を広げる、若しくは成形物に貫通或いは非貫通の孔
を開けてエアーの流れを良くする方法も有効である。成
形物に凹凸をつける、或いは孔を開ける方法としては、
成形容器内或いは外の湿潤状態の成形体に、押型加圧機
や切削機やウォータージェットやエアージェット等を用
いて後加工する方法もあるが、凹凸或いは突起を有する
成形容器を用いて成形と同時にその形状を成形物に付与
する方法が生産性及び美装性等の点で好ましい。なお、
突起としては、成形物が容器から取り出し易いように、
先細り構造とすることが望ましい。また、型内乾燥の際
に、その突起に小孔を設け、その孔を使って熱風を成形
体内に吹き込むと、乾燥速度を更に高めることができ
る。他に、成形容器をスラリー注入前に加温しておく方
法も乾燥速度を速める効果がある。以下、本発明を図面
に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定され
るものではない。
【0014】図1〜図4は、本発明の実施態様を断面図
で示したものである。ここでは、スラリーとして濾水性
良好なパルプスラリーを用いて説明するが、本発明の原
料はこれに限定されるものではない。成形容器10は、
図1に示すように、上部開放型の筒状をなす二重壁容器
で、内壁に多数の脱水用小孔11を有すると共に、内壁
の底内周部に段部を設けた凸形状の下型12を有し、内
外二重の壁で吸引室13が形成され、外壁底部には吸引
口14が取付けられている。なお、下型12の形状とし
て模式的に段部付きの単純なものを図示したが、緩衝材
で保護する商品の形状に合わせてより複雑な凹凸形状の
ものにすることができる。図1は、上部のガイド15よ
り濾水性良好なパルプスラリー16を注入しながら、下
部の吸引口14から吸引脱水することにより、容器の開
放面上にパルプが盛り上がるように堆積させて容器10
へのパルプ充填が終了した状態を示している。17は吸
引によって滲みだした水滴を示し、18は湿潤状態のパ
ルプ充填物を示す。
【0015】図2は、図1の成形容器の開放面上に盛り
上げ堆積させた不要部分をウォータージェット19で切
除している状態を示している。切断は、ウォータージェ
ットノズルを移動させながら行う。図3は、底面が平ら
で該底面に多数の小孔21を有するプレス機上型20で
軽く圧縮して表面を平滑に整えた後に、上型20の熱風
口22から熱風を送り込んで乾燥している状態を示して
いる。その際、吸引口14から吸引を行うとより効率的
に乾燥が進む。図4は、乾燥後に成形容器10から取り
出して得られた最終成形物23を示している。因みに、
図3のプレス機上型20の底面を特殊形状にしたものを
使用すれば、より複雑な表面形状の成形物を得ることが
できる。
【0016】図5〜図9は本発明の第2の実施態様を示
す。図5は、図1の二重壁容器10の上に脱水用小孔を
持たない枠(胴型)24を載せて型深さを大きくしたも
のを用い、上部のガイド15より濾水性良好なパルプス
ラリー16を注入した状態を示しており、この段階では
吸引脱水は行っていない。図6は下部の吸引口14より
吸引脱水して容器の底部へのパルプ充填が終了し湿潤状
態の成形物が形成された状態を示している。図7は枠2
4を取り外した後に、湿潤状態のパルプ充填物の容器1
0からはみ出した部分をウォータージェット19で切除
している状態を示している。図8は、底面が平らで該底
面に多数の小孔21を有するプレス機上型20で軽く圧
縮して表面を平滑に整えた後に、上型20の熱風口22
から熱風を送り込んで乾燥している状態を示す。図9
は、乾燥後に容器から取り出して得られた最終成形物2
6を示している。
【0017】図10〜図13は、本発明の第3の実施態
様を示す。図10に示すように、成形容器30は、容器
を深くした点と、内壁の下半部には脱水用小孔11を設
けているが、上半部には脱水用小孔を設けていない点が
図1の成形容器と異なる。図10は、上部のガイド15
より濾水性良好なパルプスラリー16を注入しながら下
部吸引口14より吸引脱水して、容器の底部へのパルプ
充填物31の形成が終了した状態を示している。図11
は下から吸引しながら、容器内の上部分に熱風吹出装置
32を挿入し、上から熱風を送り込んで乾燥している状
態を示す。図12は、乾燥後に容器から取り出して得ら
れた成形物33の上部を糸のこ34で切断している状態
を示す。図13は切断して得られた最終成形物35であ
る。
【0018】本発明のスラリー原料としては、成形型の
小孔に対して大部分が不通過のもので、スラリー組成物
のカナダ標準フリーネス(CSF)が550ml以上と
なるものであれば、天然、合成、半合成の有機高分子、
或いはセラミック、金属等の無機物質、或いはこれらの
複合物からなる繊維・粗粉・微粒子等の如何なる素材で
も用いることができる。また、粒状、針状、鱗片状、繊
維状等如何なる形状のものでも用いることができる。当
然のことながら原料としてはリサイクル用として回収さ
れたものも利用できる。原料の大きさは特に限定される
ものではないが、スラリーにする場合の分散性と、成形
時の原料歩留りを考慮して、通常0.1〜50mmの範
囲のものが使われる。かかる原料は2種以上併用しても
かまわない。原料としてより具体的には以下のものが挙
げられる。
【0019】天然有機高分子繊維としては、例えば、パ
ルプ等のセルロ−ス系繊維、ウ−ルや絹糸やコラ−ゲン
繊維等の蛋白系繊維、キチン・キトサン繊維やアルギン
酸繊維等の複合糖鎖系繊維等が挙げられる。合成有機高
分子繊維としては、例えば、ポリエチレン繊維、ポリプ
ロピレン繊維、ポリエチレン−ポリプロピレン鞘芯繊
維、ポリアクリロニトリル繊維、アクリル繊維、ポリエ
ステル繊維、ポリアミド繊維等が挙げられる。また、半
合成有機高分子繊維としては、例えば、アセチルセルロ
−ス系繊維等のように、天然物を化学修飾して得られる
繊維が挙げられる。天然有機高分子粗粉・微粒子として
は、例えば、木材、バカス、稲藁等のセルロース系材料
を粗粉砕して得られるセルロース系粗粉、もみがら、ふ
すま、ビール粕、大豆粕等が挙げられる。合成有機高分
子粗粉・微粒子としては、例えば、ポリエチレンやポリ
スチレン等の合成樹脂のビーズ、発泡ポリスチレン等の
発泡樹脂の粗粉砕物、発泡性マイクロカプセル、古タイ
ヤの粉砕物等が挙げられる。半合成有機高分子粗粉・微
粒子としては、例えば、アセチルセルロースの粗粉砕物
等が挙げられる。
【0020】無機繊維としては、例えば、ガラス繊維、
炭素繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、シリカ・アル
ミナシリケート繊維、ロックウール繊維、ステンレス繊
維等を挙げることができる。無機粗粉・微粒子として
は、例えば、シラスバルーン、ガラスビーズ、粒状活性
炭等が挙げられる。これらの中でも、形状的に見た場
合、針状或いは繊維状のもの、或いはそれをカール等の
変形処理を施したものが低密度性、緩衝性に優れ好まし
い。中でも、針状或いはカール状のものが特に好まし
い。素材的に見た場合、天然有機高分子の繊維、粗粉、
微粒子、脂肪族ポリエステル系繊維、アセチルセルロー
ス系繊維、アセチルセルロースの粗粉砕物は、生分解性
を有して環境に優しく好ましい。中でも、セルロース系
繊維或いはセルロース系粗粉は低密度性に優れ、しかも
原料調達が容易であり好ましい。素材によっては相互に
結合力が弱くて単独では層間強度の不十分なものになる
場合もあるが、その場合には必要に応じて、層間強度を
高める作用のある材料、例えば、水溶性バインダー、ラ
テックス、繊維等がスラリー中に添加される。中でも、
成形体製造時の排水処理が容易な点で繊維が、また層間
強度改善効果が大きい点で微細繊維が好ましく用いられ
る。
【0021】以下、本発明の実施に最も適しているセル
ロース系繊維やセルロース系粗粉の含有系を主に更に詳
細に説明するが、本発明は特にこれに限定されるもので
はない。セルロース系繊維としては、例えば、針葉樹、
広葉樹をクラフトパルプ化、サルファイトパルプ化、ア
ルカリパルプ化等して得られる未晒又は晒化学パルプ、
或いはGP、RMP、TMP、CTMP等の機械パル
プ、或いはコットンパルプ、リンターパルプ、古紙パル
プ、液体アンモニア処理パルプ、マーセル化パルプ、カ
ールドファイバー等が挙げられる。本発明においては単
独或いは混合の形で使われるが、カナダ標準フリーネス
(CSF)が550ml以上のものが好ましい。中で
も、カナダ標準フリーネス(CSF)が550〜850
mlの範囲のものは、濾水性が良好でしかも製造が容易
で安価でありより好ましい。カナダ標準フリーネス(C
SF)が550ml未満のものは、濾水性が十分でなく
厚みを有する成形物を効率的に製造することができない
ので単独での使用は好ましくない。しかし、カナダ標準
フリーネス(CSF)が550ml以上の他の素材との
併用の形では550ml未満のものも使用できる。ま
た、フリーネスが850mlを越えるものは製造が難し
くて経済的でなく、実用可能ではあるが余り好ましくな
い。カナダ標準フリーネス(CSF)が550ml以上
のセルロース系繊維の中でもカールした形状を有するカ
ールドファイバーは、低密度性と緩衝性の面で特に優れ
た成形物が得られるので好ましい。中でも取り分け、湿
潤カールファクターが0.4〜1.0の範囲にあるカー
ルドファイバーは、長時間水に分散した状態においても
カール形状が良好に保たれる性質を有しており、優れた
低密度性と緩衝性を有する成形体を長時間安定して生産
するのに適するので特に好ましい。湿潤カールファクタ
ーが0.4未満では低密度性のやや劣るものとなり、一
方1.0を超えて大きくなると、パルプ繊維に変形を付
与する際の機械的処理の強化によって生ずるパルプ繊維
の損傷による繊維強度の低下、紙粉の発生が顕著にな
り、実用可能であるが余り好ましくない。
【0022】因みに、湿潤カールファクターとは、湿潤
状態での繊維の変形の程度を示す指標で、カールドファ
イバーを室温下、24時間純水に浸漬した後の繊維の実
際の長さ(LA)と繊維の最大投影長さ(繊維を囲む長
方形の最長辺の長さ、LB)を顕微鏡を用いて測定し、
〔(LA/LB)−1〕で算出される値で、直線的な元
の繊維の長さからどれだけ曲線化しているかを数値化し
たものである。以下、セルロース系繊維の中で本発明の
実施に最も適しているカールドファイバー系について更
に詳細に記載するが、本発明は特にこれに限定されるも
のではない。
【0023】カールドファイバーは、架橋反応による化
学結合によってカールやネジレのような変形を固定化し
た、元の繊維の長さと比べて見掛けの長さが小さくなっ
たパルプ繊維である。通常セルロース系繊維に架橋剤を
添加した後、繊維を変形させる機械的撹拌を施し、次い
でフラッフ化と加熱処理を行い、変形を固定することに
よって得られる。公知のものとしては、例えば、C2〜
C8のジアルデヒド並びに酸官能基を有するC2〜C8
のモノアルデヒドを使用してセルロース系繊維の内部を
架橋させた平均保水度28%〜50%の架橋繊維(特公
平5−71702号公報)、C2〜C9のポリカルボン
酸を用いてセルロース系繊維を内部架橋させた保水度2
5%〜60%の架橋繊維(特開平3−206174号公
報、特開平3−206175号公報、特開平3−206
176号公報参照)等が挙げられ、市販品としては、例
えば、米国ウェアハウザー社製、商品名:HBA−F
F、NHB405、NHB416等が挙げられる。カー
ルドファイバーの原料として用いられるセルロース系繊
維としては、例えば、針葉樹、広葉樹をクラフトパルプ
化、サルファイトパルプ化、アルカリパルプ化等して得
られる未晒又は晒化学パルプ、或いはGP、RMP、T
MP、CTMP等の機械パルプ、或いはコットンパル
プ、リンターパルプ、古紙パルプ等が挙げられる。
【0024】カ−ルドファイバ−としては、水切れが良
くて乾燥スピ−ドが出易く低密度体の生産効率の点で優
れている保水度が25〜65%の範囲のものが好ましい
が、本発明では特にこれに限定するものではない。因み
に、保水度は、湿潤状態にある繊維を15分間3000
Gの遠心力で脱水した後のその繊維が保持している水の
量を絶乾単位重量当たりの量で表示した値(%)と定義
されるもので、その測定方法はJAPAN TAPPI
No.26−78に規定されている。
【0025】カールドファイバーは、通常低密度体に対
して乾燥重量で30〜98%の範囲で配合される。尚、
カールドファイバーは2種以上併用してもかまわない。
カールドファイバーは、その形状のために繊維同士の絡
み合いが弱く、又、架橋処理されてセルロース分子の水
酸基(−OH)が減少しているために水酸基による水素
結合も生成し難くなっており、得られたものは層間強度
が弱い。従って、層間強度を有するものを得るには他の
繊維を併用する必要がある。該繊維としては、例えば、
天然高分子繊維あるいは合成高分子繊維あるいは半合成
高分子繊維あるいはそれらを処理して得られるものが挙
げられるが、カールドファイバーより繊維間結合が強い
繊維であれば、如何なる素材でも構わない。中でも、結
合強化ファクター0.15以上の微細繊維は、層間強度
アップに対する効果が特に顕著で好ましい。微細繊維と
しては、通常数平均繊維長が0.01〜0.80mmの
範囲のものが使用される。中でも、歩留り及び分散性の
面で0.05〜0.60mmの範囲のものが好ましい。
【0026】上記の天然高分子繊維としては、例えば、
針葉樹、広葉樹をクラフトパルプ化、サルファイトパル
プ化、アルカリパルプ化等して得られる未晒又は晒化学
パルプ、或いはGP、RMP、TMP、CTMP等の機
械パルプ、或いはコットンパルプ、リンターパルプ、古
紙パルプ、バクテリアセルロ−ス等のセルロ−ス系繊
維、ウ−ルや絹糸やコラ−ゲン繊維等の蛋白系繊維、キ
チン・キトサン繊維やアルギン酸繊維等の複合糖鎖系繊
維等が挙げられる。合成高分子繊維としては、例えば、
ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン
−ポリプロピレン鞘芯繊維、ポリアクリロニトリル繊
維、アクリル繊維、レーヨン繊維、ポリエステル繊維、
ポリアミド繊維等が挙げられる。また、半合成高分子繊
維としては、例えば、アセチルセルロ−ス系繊維等のよ
うに、天然物を化学修飾して得られる繊維が挙げられ
る。
【0027】これらの中でも、セルロース系繊維、脂肪
族ポリエステル系繊維、アセチルセルロース系繊維等の
ように生分解性を有するものが好ましく用いられる。さ
らに、原料供給の安定性及び価格の面から、セルロース
系繊維或いはそれを処理して得られるものが、より好ま
しい。
【0028】中でも、上記繊維を湿式で機械的処理して
得られる微細繊維は、層間強度アップの効果が大きく好
ましい。取り分け、針葉樹、広葉樹をクラフトパルプ
化、サルファイトパルプ化、アルカリパルプ化等して得
られる未晒又は晒化学パルプ、或いはGP、RMP、T
MP、CTMP等の機械パルプ、或いはコットンパル
プ、リンターパルプ、古紙パルプ等の天然パルプ繊維を
湿式で機械的処理して得られる天然パルプ系微細繊維は
枝分かれした形状になりやすく、層間強度アップの効果
が特に大きく好ましい。
【0029】機械的処理としては、例えば、媒体撹拌ミ
ル処理(特開平4−18186号公報)、振動ミル処理
(特開平6−10286号公報)、高圧均質化装置での
処理、コロイドミル処理、叩解機処理等が挙げられる。
中でも、媒体撹拌ミルや振動ミルによって得られる天然
パルプ系微細繊維は、他の処理装置で得られる微細繊維
より柔軟性に富んだものが得やすく、繊維の長さ方向だ
けでなく3次元的に微細化が進むために、カールドファ
イバー同士を効率よく、又強固に結合することができる
ため特に好ましい。
【0030】本発明で言う結合強化ファクター(BF)
は、(E2−E1)/E1で計算される。但し、E1
は、広葉樹晒クラフトパルプ50重量%と針葉樹晒クラ
フトパルプ50重量%とを混合して水性スラリーとし、
カナダ標準フリーネス(CSF)500mlまで叩解
し、JIS−P−8209に従って手抄マシンにて脱水
・風乾して坪量60g/m2 のシートを作製した後、1
30℃で2分間熱処理して、20℃、65%RHに調湿
した後測定された超音波弾性率を示す。E2は上記パル
プ繊維の50%を微細繊維で置き換えて水性スラリーを
調製し、E1を測定するのと同じ方法でシート作製、測
定した場合の超音波弾性率を示す。
【0031】上記の繊維は2種以上併用してもかまわな
い。カールドファイバーと上記の如き他の繊維の混合比
率は、その比率を変えることで密度と層間強度のバラン
スをコントロールすることが出来るので、目的に応じて
適宜選択することができる。即ち、密度よりも層間強度
を重視する場合には、他の繊維の配合を増やし、逆に層
間強度よりも密度を重視する場合には、カールドファイ
バーを増やした配合を選択すればよい。中でも、他の繊
維を全繊維絶乾重量当たり3〜65重量%、カールドフ
ァイバーを全繊維絶乾重量当たり35〜97重量%の割
合で混合して用いた場合、密度と層間強度のバランスが
特に優れ好ましい。
【0032】セルロース系粗粉としては、例えば、木材
チップ、バカス、稲藁、籾殻等のセルロース系材料を機
械的に粗粉砕して得られるもの、或いは籾殻自体、おが
屑等の針状、繊維状、粒状等の形状を有するものが挙げ
られる。好ましいものとしては、それ自体のカナダ標準
フリーネス(CSF)の値が550ml以上のもの、或
いは80メッシュパス部分を除去した場合にフリーネス
値が550ml以上になるもの、あるいはメッシュパス
処理して微細領域を除去してフリーネス値を550ml
以上に高めたもの、80メッシュ通過分が25重量%以
下のものが挙げられる。これらは、フリーネス値が55
0ml以上の場合に単独で組成物とすることもできる
が、フリーネス値が550ml未満のものは、濾水性が
十分でなく厚みを有する成形物を効率的に製造すること
ができないので、単独での使用は好ましくない。しか
し、フリーネス値が550ml以上の他の素材を併用し
て、組成物のフリーネス値を550ml以上するといっ
た形で550ml未満のものも使用できる。中でも、針
状、繊維状のものは低密度性、緩衝性に優れ、しかも層
間強度が出やすいので好ましい。中でも、針状のものは
緩衝性に特に優れ好ましい。針状、繊維状の形状を有す
るものの中でも、木材チップを粗粉砕して得られる、フ
ァイバーボード用原料に用いられるような粗粉は低密度
性に優れている上に、原料調達が容易であり特に好まし
い。
【0033】粉砕方式としては、ファイバーボード業界
で公知の、例えばアスプルンド法等が挙げられるが、中
でも、110℃以上取り分け130℃以上の高温下で粉
砕処理されたものは、より低温で処理したものより高剛
度になりやすく、そのために低密度性、緩衝性に優れた
ものになりやすく好ましい。粉砕処理としては、例えば
リファイナーでの一段処理のように通常紙原料とはなら
ない程度の弱い処理が高剛度になりやすく好ましい。
尚、剛度を上げる手段としては他に、木材チップの粉砕
処理前後に架橋反応処理、疎水化処理、表面樹脂処理す
る方法も有効である。また、上記粉砕物或いはその処理
物を更にニーダー等でカール処理したものは、緩衝特性
の向上が更に顕著なものになる。また、粗粉の中でも、
30〜200メッシュパスして微細領域を除去してフリ
ーネス値を550ml以上に高めたものは、成形体製造
時の排水処理が簡単で、しかも成形体製造時の原料歩留
りが良く好ましい。
【0034】本発明においては、セルロース系粗粉単独
でも成形体を得ることができるが、通常単独では層間強
度や低密度性がやや劣ったものになり易く、その改良の
ために、スラリー組成物中に繊維を添加するのが好まし
い。該繊維としては、例えば、前記の如き天然高分子繊
維あるいは合成高分子繊維あるいは半合成高分子繊維あ
るいはそれらを処理して得られるものが挙げられるが、
中でも、層間強度改善の効果が大きい点で、結合強化フ
ァクター0.15以上の微細繊維が好ましい。又、低密
度性改善の効果が大きい点で、カールドファイバー等の
カール状繊維が好ましい。取り分け湿潤カールファクタ
ーが0.4〜1.0の範囲にあるカールドファイバーが
好ましい。
【0035】組成物への配合量はこの範囲に限定される
ものではないが、セルロース系粗粉は通常組成物に対し
て乾燥重量で30〜100%の範囲で配合される。該繊
維は10〜70%の範囲で配合される。
【0036】スラリー組成物には、性能向上や機能付与
等のために必要に応じて他に適宜、紙力増強剤、耐水化
剤、撥水剤、発泡性マイクロカプセル、サイズ剤、染
料、顔料、歩留向上剤、填料、PH調整剤、スライムコ
ントロール剤、増粘剤、防腐剤、防黴剤、抗菌剤、難燃
剤、防腐剤、殺鼠剤、防虫剤、保湿剤、鮮度保持剤、脱
酸素剤、マイクロカプセル、発泡剤、界面活性剤、電磁
シールド材、帯電防止剤、防錆剤、芳香剤、消臭剤等を
選択し配合することができる。これらは複数種併用する
ことも出来る。
【0037】紙力増強剤としては、例えば、澱粉、加工
澱粉、植物ガム、PVA等の乾燥紙力増強剤、尿素ホル
ムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポ
リアミド尿素ホルムアルデヒド樹脂、ケトン樹脂、ポリ
アミドエピクロルヒドリン樹脂、ポリアミドポリアミン
エピクロルヒドリン樹脂、グリセロールポリグリシジル
エーテル樹脂、ポリエチレンイミン樹脂等の湿潤紙力増
強剤を挙げることができる。
【0038】耐水化剤としては、上記湿潤紙力増強剤を
耐水化剤として使用できる他、アルデヒド基を有するホ
ルムアルデヒド、グリオキザール、ジアルデヒド澱粉、
多価金属化合物である炭酸アンモニウムジルコニウム等
が挙げられる。撥水剤としては、各種ワックス(天然ワ
ックス、石油系ワックス、塩素化パラフィン、ワックス
エマルジョンなど)、高級脂肪酸誘導体、合成樹脂類、
クロム錯塩、ジルコニウム塩、シリコン樹脂などが挙げ
られる。
【0039】スラリーは、通常撹拌機を有する装置でバ
ッチ式或いは連続的に調製される。スラリー形成に用い
られる媒体としては通常水が使用されるが、他にアルコ
ール、アセトン、酢酸エチル、グリセリン等の有機溶
媒、或いは水とアルコール(メタノールあるいはエタノ
ール等)の混和液を使用することができる。水とアルコ
ールの混和液を用いる場合、乾燥性が良くて生産性が上
がる、或いは乾燥時の成形物の寸法変化が少なく精度の
良いものが得られる等のメリットがある。また、媒体の
加温は乾燥速度を上げる効果がある。スラリーの濃度
は、通常乾燥固形分量が0.05〜10重量%の範囲に
調製されるが、分散状態の点で0.05〜3重量%の範
囲のものが好ましい。
【0040】本発明では、カナダ標準フリーネス(CS
F)が550ml以上の濾水性の優れたものを原料とす
ることによって十分な厚みの成形物が効率的に得られる
が、3回目以上の落下衝撃に対しても優れた緩衝性を示
す成形体とするには、堆積層の厚みを10cm以上にす
る必要がある。成形体に、紙力増強剤、耐水化剤、撥水
剤、染料、顔料、防腐剤、防黴剤、抗菌剤、難燃剤、殺
鼠剤、防虫剤、鮮度保持剤、脱酸素剤、電磁シールド
材、帯電防止剤、防錆剤、芳香剤、消臭剤等を含有せし
める方法としては、前記の如くスラリ−中にこれらを添
加混合する内添法以外に、成形体を製造した後に表面塗
布する方法、即ち外添法をとることもできる。この表面
塗布には、含浸、刷毛塗り、スプレ−等の手段が使え
る。勿論内添・外添を併用しても構わない。外添の場合
には、上記微細繊維を用いることもできる。外添法は内
添法に比べて添加成分を成形体表面に多く分布させるこ
とができる特徴がある。他に、成形体と、上質紙、セロ
ファン紙、耐水紙、耐油紙、蒸着紙、塗工紙、板紙、段
ボール、合成紙、不織布、布、合成フィルム、金属箔、
木板、合成樹脂板、ガラス板、金属板等の他の素材を貼
り合わせて使うこともできる。また、得られた成形体同
士を貼り合わせることもできる。成形体表面にフィルム
層を設ける手段としてシュリンク包装技術を使うことも
できる。組み合わせて使う素材としては生分解性等環境
に優しいものが好ましい。他に、成形体には、切削、印
刷等の加工を施すこともできる。
【0041】本発明の方法によって得られた成形体は、
包装用等の緩衝材の他に、建材、畳芯材等現在発泡樹脂
成形体が用いられている分野に広く応用できる。以下に
実施例を挙げてより具体的に説明するが、勿論本発明は
これらに限定されるものではない。尚、実施例及び比較
例において「部」および「%」とあるのは特に断らない
限り、「固形分重量部」および「重量%」を示す。
【0042】
【実施例】(実施例1)固形分濃度1%の広葉樹晒クラ
フトパルプの水スラリーを、平均粒径2mmφのガラス
ビーズを80%充填した1.5リットル容のダイノミル
装置(型式:KDL−PILOT型、シンマル・エンタ
ープライゼス社製)に、300ml/分で導入、通過さ
せることにより、数平均繊維長0.26mm、結合強化
ファクター0.58の微細繊維を得た。次に、この微細
繊維を10部と、湿潤カールファクター0.70、保水
度48%の市販のカールドファイバー(商品名NHB4
05、米国ウェアハウザー社製)90部を混合したもの
に水を加え、固形分濃度2.5%に調整し、十分に撹拌
してパルプスラリーを得た。このパルプは、カナダ標準
フリーネス(CSF)が730mlであった。このパル
プスラリーを下記成形型(成形容器)に流し脱水して低
密度成形体を成形した。ここに使用した成形型の形態を
述べると、一辺が25cmの正方形で5cmの深さをも
つキャビテーの底面中央に、一辺が15cmの正方形で
高さ2cmの平凸部を設けて、キャビテー内壁と凸部周
壁とで断面15×2cmの凹み(段部)を形成させると
共に、キャビテー内壁、平凸部及び凸部周壁の全面に直
径0.5mmの多数の丸小孔を開孔率が10%になるよ
うに設けて、図1の符号10で示すような二重壁容器を
用意した。この容器の中に上記スラリーを上から流し込
みながら、下部の吸引口14から吸引脱水して容器の開
放面上に、パルプが盛り上がるように堆積した後、二重
壁をもつ成形容器の開放面上に盛り上げ堆積させた不要
部分をウォータージェットで水平に移動させながら切除
し、続いて図3に示すように底面が平らで該底面に多数
の小孔21を有するプレス機上型20で軽く圧縮して表
面を平滑に整えた後に、上型の熱風口22から熱風を送
り込んで乾燥して低密度の最終成形体を得た。この最終
成形体は、美装性に優れ、密度は 0.10g/cm3
あった。また、低密度成形体の凹部に被包装物を入れて
60cmの高さからの落下試験を行ったところ、モール
ド法によって得られた緩衝材より緩衝性が優れているこ
とが分かった。
【0043】(実施例2)国内産針葉樹木材チップ絶乾
換算500g分を24時間水中に浸漬した後、12イン
チ加圧型リファイナー(熊谷理機工業株式会社製、型
式:BRP45−300SS)にて温度140℃、クリ
アランス0.45mmにて処理を行うことにより木材粗
粉を得た。この木材粗粉のフリーネスをカナダ標準フリ
ーネス測定法と同じ操作法によって測定したところ74
0mlであった。次に、カールドファイバー(NHB4
05)90部の代わりに、上記木材粗粉90部を用いた
以外は、実施例1と同様にして低密度の成形体を得た。
この最終成形体は、美装性に優れ、密度は 0.12g
/cm3であった。また、低密度成形体の凹部に被包装
物を入れて60cmの高さからの落下試験を行ったとこ
ろ、モールド法によって得られた緩衝材より緩衝性が優
れていることが分かった。
【0044】
【発明の効果】上記のように、本発明は、多数の小孔を
有する成形型の小孔から、スラリーの媒体を除去するこ
とによって該成形型にスラリー中の小孔不通過微細成分
を堆積させて成形物とし、その後湿潤状態の該成形物を
型内或いは型外乾燥して成形体を製造する方法であっ
て、該スラリー組成物としてカナダ標準フリーネス(C
SF)が550ml以上であるものを用いて成形型の開
放部分に不要部分を盛り上げた状態の成形物を形成せし
め、次いで湿潤状態の成形物または乾燥後の成形物の前
記不要部分を切除する製造方法であるから、優れた緩衝
性を有する低密度成形体を、効率よく得ることができ
る。また、スラリー組成物の主成分としてパルプを用い
れば環境に優しい成形体が得られる。さらに、得られる
成形物は、濾水工程後に型プレスを施さないパルプモー
ルド法のものに比べて、表面が平滑で美装性に優れてお
り、また、型プレスを施すパルプモールド法のものに比
べて、低密度性や生産性の面で優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の成形体製造に用いられる成形容器の第
1の例を示すもので、成形容器にパルプを堆積させた状
態の断面図である。
【図2】図1の成形容器の開放面上に堆積した不要部分
を切除する状態を示す断面図である。
【図3】図2の湿潤状態のパルプ充填物を乾燥する状態
の断面図である。
【図4】図3によって得られた最終製品の断面図であ
る。
【図5】本発明の第2の例を示すもので、下型の上に胴
型を重ねた成形容器にパルプスラリーを投入した状態の
断面図である。
【図6】図5のパルプスラリーを吸引脱水した状態の断
面図である。
【図7】下型の上部に突出する部分を切断する状態を示
す断面図である。
【図8】図7の湿潤状態のパルプ充填物を乾燥する状態
の断面図である。
【図9】図8によって得られた最終製品の断面図であ
る。
【図10】本発明の第3の例を示す断面図である。
【図11】図10の湿潤状態のパルプ充填物を乾燥する
状態の断面図である。
【図12】図11によって成形されたパルプ充填物の突
出上部を切断する状態を示す断面図である。
【図13】図12によって得た成形体の断面図である。
【符号の説明】
10 成形型(成形容器) 11 小孔 12 下型 13 吸引室 14 吸引口 15 ガイド 16 パルプスラリー 17 水滴 18、25、31 パルプ充填物 19 ウォータージェット 20 プレス機上型 21 小孔 22 熱風口 23、26、35 最終成形物 24 枠(胴型) 30 成形容器 32 熱風吹出装置 33 乾燥成形物 34 糸のこ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 塩井 俊介 東京都中央区銀座四丁目7番5号 王子製 紙株式会社内 (72)発明者 岩崎 廣司 東京都千代田区外神田三丁目6番4号 王 子製袋株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数の小孔を有する成形型の小孔から、
    スラリーの媒体である水を除去することによって該成形
    型にスラリー中の小孔不通過微細成分を堆積させて成形
    物とし、その後湿潤状態の該成形物を型内或いは型外乾
    燥して得る成形体の製造方法であって、スラリー組成物
    としてカナダ標準フリーネス(CSF)が550ml以
    上であるものを用いて成形型の開放部分に不要部分を有
    する成形物を形成せしめ、その後に、乾燥或いは湿潤状
    態の成形物の該不要部分を切除することを特徴とする成
    形体の製造方法。
  2. 【請求項2】 湿潤状態の成形物の不要部分を切除した
    後に、該切断面に型を押し当てて圧縮処理を施す請求項
    1に記載の成形体の製造方法。
  3. 【請求項3】 小孔不通過微細成分の主成分がカールド
    ファイバーである請求項1に記載の成形体の製造方法。
  4. 【請求項4】 小孔不通過微細成分の主成分がセルロー
    ス系粗粉である請求項1に記載の成形体の製造方法。
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KR101976562B1 (ko) * 2018-11-30 2019-07-15 당진자연세계영농조합 친환경 저탄소 분해성 항균소재 및 그 제조방법
WO2020111414A1 (ko) * 2018-11-30 2020-06-04 당진자연세계영농조합 친환경 저탄소 분해성 항균소재 및 그 제조방법
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