JPH1193100A - 成形体の製造方法 - Google Patents

成形体の製造方法

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JPH1193100A
JPH1193100A JP26111297A JP26111297A JPH1193100A JP H1193100 A JPH1193100 A JP H1193100A JP 26111297 A JP26111297 A JP 26111297A JP 26111297 A JP26111297 A JP 26111297A JP H1193100 A JPH1193100 A JP H1193100A
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pulp
container
dehydration
fiber
mold
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JP26111297A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Suenaga
浩 末永
Hisao Ishikawa
久夫 石川
Shunsuke Shioi
俊介 塩井
Koji Iwasaki
廣司 岩崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Oji Seitai Kaisha Ltd
New Oji Paper Co Ltd
Original Assignee
Oji Seitai Kaisha Ltd
Oji Paper Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】環境に優しく、優れた緩衝性を有する成形体を
効率よく、また精度よく製造する。 【解決手段】 カナダ標準フリーネス(CSF)550
ml以上のパルプ含有スラリーを、多数の脱水用小孔(3
a,6a)を有する 容積可変型成形容器(1)に注入し、容積
を縮小させながら 小孔(3a,6a)より脱水して容器内に湿
潤状態のパルプ充填物(9)を成形し、ついで湿潤状態の
パルプ充填物(9)を容器内或いは容器外で乾燥して成形
体(10)とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、環境に優しく、優
れた緩衝性と美装性を有する成形体の効率的な製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、緩衝材として利用される発泡スチ
ロールは、衝撃緩衝性に優れ、任意の形状に加工するこ
とが容易で、価格が安く、軽量で、しかも外観体裁も良
好である等の特徴を有している。しかし、近年、環境問
題への関心が高まるにつれて、他の所謂プラスチック製
品と同様に、使用後の処理性を問題視する声が高まって
いる。すなわち、使用した後、焼却した場合には、高温
の発生による炉の損傷、有毒ガスの発生が指摘されてい
る。また、埋め立て処理を行った場合は、分解性がな
く、さらに嵩張るため、処理場の不足を招く一因とも考
えられている。
【0003】この発泡スチロールの処理上の問題点を解
決するものとして、最近では、緩衝材としてパルプモー
ルドが注目され、スチロールの代替として用いられるこ
とが多くなってきている。パルプモールドは、再生パル
プを原料として製造され、形状を工夫することで緩衝
力、強度を与えられるものであり、焼却、埋め立ての何
れの処理も容易である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、パルプモール
ド法は、多数の小孔を有する金型に、スラリー中のパル
プを吸引・脱水しながら堆積させ、その後乾燥して成形
物を得る方式であるが、汎用のパルプスラリーを用いた
場合には、濾水性が悪いために吸引・脱水工程に時間を
要し、生産効率を無視しない限り、堆積の厚みが10mm
を越えるものを得ることができなかった。そのため、得
られた成形物は強度的に十分とはいえず、重量物の包装
材としての適性に欠けていた。また、緩衝性も不十分
で、それを補うためにはリブ構造をとる等の構造上の工
夫が必要となり、その為に専用の複雑な形状の金型を作
成する必要があってその設計と製造に時間を要するとい
った問題があった。その上、リブ構造で緩衝性を付与さ
せたものは、1回目の落下衝撃には十分な効果を発揮す
るが、2回目以上の落下衝撃に対しては緩衝性が極めて
劣るという問題を有していた。
【0005】更に、パルプモールド法は、濾水等の成形
工程に時間を要する為に、特殊で高価な金型を多数用意
しなければ生産性を上げることができず、商品のモデル
チェンジの早い業界や少ロット多品種の業界には不向き
であった。また、パルプモールド法で得られたものは、
生産速度を低下させたり成形体の密度を上昇させたりす
る等の欠点を有する濾水工程後の型プレスを行わない
と、金型に非接触の側の表面の凹凸が大きくて平滑性に
欠け、美装性の優れたものが得られないという問題を有
していた。本発明の目的は、環境に優しく、しかも優れ
た緩衝性と美装性を有する成形体を効率良く生産でき、
少ロット多品種生産にも対応可能な成形方法を提供する
ことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、かかる現
状に鑑み、環境に優しく優れた緩衝性と美装性を有する
成形体を、効率良く生産出来る成形方法について鋭意検
討した結果、特定のカナダ標準フリーネス(CSF)を
有するパルプと特定の成形装置とを用いることで、それ
を成しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、カナダ標準フリーネス(CSF)
が550ml以上のパルプ含有スラリーを入れた、多数
の小孔を有する容積可変型成形容器の容積を縮小しなが
ら小孔より脱水して、容器中にパルプ充填物を成形し、
その湿潤状態のパルプ充填物を容器内或いは容器外で乾
燥して得ることを特徴とする。前記容積可変型成形容器
が密封容器であることが好ましい。スラリーの脱水を、
吸引脱水と機械加圧脱水の組合せ、或いはガス加圧脱水
と機械加圧脱水の組合せで行うことが好ましい。また、
本発明においては、パルプの主成分がカールドファイバ
ーであることが好ましい。更に、本発明では、パルプス
ラリーを入れた容器に、移動可能な多数枚のメッシュ板
を平行に吊り下げた蓋を被せ、成形容器内の左右に対向
して挿入したプランジャを作動して前記メッシュ板を成
形容器中央部分に押圧することによりメッシュ板間に多
数のパルプ濃縮充填物層を成形し、その湿潤状態のパル
プ充填物を容器内或いは容器外で乾燥して一度に多数の
成形体を得ることも含まれる。
【0007】本発明の成功の第一の原因は、カナダ標準
フリーネス(CSF)が550ml以上の濾水性の優れ
たパルプを原料とすることによって、パルプスラリーの
吸引・脱水成形法でも十分な厚みの成形物が得られるこ
とを見出し、これによって、次ぎのようなメリットが生
ずることを見出した点にある。 重量物用緩衝材にも適用可能な成形体が得られる。 2回目以上の落下衝撃に対しても優れた緩衝性を示す
成形体が得られる。 また、リブ構造等の構造上の工夫をする必要がないの
で、従来のパルプモールド法のような複雑な金型が必要
でなく、その為に金型の設計と製造の時間が大幅に短縮
でき、金型が安価に製造できる。 安価な金型で製造できるために、多くの金型を準備す
ることで生産性を上げることができ、また少ロット多品
種品に対しても比較的低い製造コストに抑えることが可
能となる。 また、本発明の成功の第二の原因は、成形装置として多
数の小孔を有する容積可変型成形容器を用いることによ
って、濾水工程後の型プレスを施すことなく表面が平滑
で美装性に優れたものが得られ、しかも型プレスを施さ
ないので低密度を維持したままそれが得られ、緩衝性に
優れたものとなることを見出した点にある。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる成形容器の形
状は、パルプ含有スラリーの注入が可能であれば、ボー
ド状から複雑な形状のものまで如何なるものでもかまわ
ない。成形容器としては、湿潤或いは乾燥後の成形物を
容易に取り出すことが出来る構造、例えば、蓋(または
上型)付き構造が好ましい。本発明の成形容器は開放系
でもよいが、効率的に脱水を行わせるには密封系が好ま
しい。
【0009】成形容器の脱水用小孔は、円形、楕円形、
正方形、長方形等如何なる形状のものでもかまわない。
小孔の大きさはパルプ繊維が殆ど洩れないレベルのもの
であれば良く、通常直径が30μm〜3mmの範囲の円
形、或いは一辺が同寸法範囲の正方形のものが使われる
が、特に限定されるものではない。通常パルプ繊維が大
きい場合は大きめの小孔が使われ、小さい場合には小さ
めのものが使われる。パルプモールドに使われる金型の
ように、比較的大きい孔を有する成形容器壁に目の細か
い金網を張り付けたものも使用できる。また、小孔の大
きさは成形容器の部分ごとに変えることもできる。又、
脱水用小孔は必ずしも成形容器壁の全面に存在させる必
要はなく一部分でもよいが、小孔は成形体に鬆が入るこ
とを防ぐ効果があり、得られる成形体の表面の美装性の
点から、成形容器の壁の30%以上の部分に存在せしめ
ることが好ましく、より好ましくは50%以上、特に好
ましくは80%以上である。小孔が存在する部分に於け
る小孔の数はcm2当たり1個以上存在せしめることが
好ましく、より好ましくはcm2当たり4個以上であ
る。成形容器へのパルプ含有スラリーの注入は、ポンプ
で注入する、或いは成形容器をパルプ含有スラリータン
ク中に沈めて開放口より注入する等の方法をとることが
できる。
【0010】成形容器の容積を縮小させるには、通常機
械的圧力を成形容器に加える機械加圧法が採られるが、
脱水効率の点で、小孔から吸引する吸引脱水と機械加
圧脱水との組合わせ、小孔からガス圧力を加えるガス
加圧脱水と機械加圧脱水との組合わせ、パルプ繊維層
に直流電圧を印加する電気浸透脱水と機械加圧脱水との
組合わせ、吸引脱水と電気浸透脱水と機械加圧脱水と
の組合わせ、ガス加圧脱水と電気浸透脱水と機械加圧
脱水との組合わせが好ましい。中でも、装置の製造の容
易さの点での方式が特に好ましい。ガスとしては、
水蒸気や空気等が用いられる。脱水は、成形容器の容積
の縮小が開始した時点から始まるのが好ましいが、スラ
リー濃度を十分に下げておけば、容器内の容積縮小が始
まる以前に始まっても問題ない。
【0011】脱水後の成形容器内に形成された湿潤状態
のパルプ充填物は、その後容器内で或いは容器外に取り
出して乾燥させる。容器内で乾燥する場合は寸法精度の
良い成形物が得られるものの生産性が悪い欠点をもつ。
一方、容器外乾燥の場合は寸法精度はやや劣るが、生産
性の点では優れている。その折中方法として、容器内で
の乾燥を途中まで行った後に、成形物を取り出して容器
外乾燥を行う方法をとることができる。
【0012】乾燥方式としては、例えば熱風乾燥、赤外
線乾燥、マイクロウェーブ乾燥等、公知の方法をとるこ
とができる。また、途中までの乾燥には、水蒸気が有効
である。乾燥速度を速めるには、加熱エアーを湿潤状態
の成形物に注入する等のパルプ繊維間空隙のエアーの流
れを良くする工夫が効果的である。さらに、成形物の表
面に意識的に凹凸をつけて表面積を広げる、若しくは成
形物に貫通或いは非貫通孔を開けてエアーの流れを良く
する方法も有効である。成形物に凹凸をつける、或いは
孔を開ける方法としては、成形容器中に形成された湿潤
状態のパルプ充填物を取り出した後に、加圧機や切削機
や孔開け機等を用いて加工する方法もあるが、突起を有
する成形容器を用いて成形と同時にその形状を成形物に
付与する方法が生産性及び美装性等の点で好ましい。突
起としては、成形物が容器から取り出し易いように、テ
ーパー状の先細り構造とすることが望ましい。また、そ
の突起に脱水用小孔を設け、その小孔を使って熱風を成
形体内に吹き込むと、乾燥速度を更に高めることができ
る。他に、成形容器をスラリー注入前に加温しておく方
法も乾燥速度を速める効果がある。
【0013】次ぎに、本発明を図面に基づいて詳細に説
明するが、本発明はこれに限定されるものではない。図
1は、本発明の成形体製造に用いられる装置の一例を示
す断面図、図2は、図1の装置の動作を示す断面図であ
る。図1に示すように、上部開放型の角筒、円筒などの
筒状をなす成形容器1の上に、密閉容器の蓋に相当する
プレス機上型3を配置すると共に、成形容器1の底内周
部分に段部6bを設けて凸形状の下型6を形成させる。
前記プレス上型3は、図示省略の昇降装置によって駆動
される昇降ロッドに連結された取付け部材2に支持され
ている。上型内部の空室4を取付け部材2の中空部5に
連通すると共に、空室4の下面全体に多数の脱水用小孔
3aを有する多孔板による型板を設ける。また、下型内
の空室7に排水口8を導出すると共に、空室7の上面全
体に多孔板等によって多数の脱水用小孔6aを設ける。
【0014】成形容器1内に濾水性良好なパルプ含有ス
ラリー10を入れた後、プレス機上型3を上から被せて
密閉し、続いてこのプレス機上型3で上から圧縮しなが
ら脱水を開始すると、圧縮による内圧上昇で上下型の各
小孔3a、6aから脱水が起こり、上型3の下降端位置
で湿潤状態のパルプ充填物9が形成される(図2)。こ
の圧縮操作による脱水と同時に、或いは圧縮による脱水
後に、上型内部の空室4にガス加圧を施して残存水分を
押し出すことで、或いは下型内の空室7に負圧を適用し
て残存水分を吸引することで脱水がより完全に行われ
る。成形上型3の下降によりパルプスラリーが圧縮され
ることで下型6の小孔6aより空室7に流れた水は、流
下水として排水口8より直接外部に排出されるが、上型
3の下降により上型3の小孔3aから滲み出て空室4内
に満たされ、さらに溢れた水は、プランジャ2の中空部
5内に一時的に収容される。プランジャ2の中空部5内
にまで溢れた水は、前記流下水が排水されたのち、また
は同時にパルプ充填物9を通り下型空室7を経て排水口
8より外部に排出される。図1中符号50は小孔3a、
6aより滲みだした水滴を示す。プレス機上型3は必ず
しも脱水用の小孔を有するものを使う必要はないが、小
孔を有するものを使用する方が、成形物の両面の平滑性
が良好になる。
【0015】図3は、図2の湿潤状態のパルプ充填物9
を乾燥して得られた最終成形物20を示している。図示
例の最終成形物20は所定厚みの成形物本体の両端に凸
部20aを、また下面中央に凹部20bをそれぞれ有し
ているが、これら凸部や凹部の位置、形状等は、図示の
ものに限らず、被包装物の寸法形状に応じて適宜決定さ
れる。乾燥工程は、脱水後の湿潤状態のパルプ充填物9
を成形容器から取り出して別途に乾燥処理してもよい
し、成形容器内に入れたまま小孔3a、6aより熱風を
注入することによって行うこともできる。
【0016】図4及び図5は、本発明の第2実施態様を
示す。図4に示すように、容器の側壁内側に脱水用小孔
12aを持つ内壁を形成して円筒状空室12を有する開
放系の容器11とする一方、上型13を容器深さとほぼ
同等の筒状壁13aを有するものとした点で図1の装置
と異なる。図5は上型13を下降端にまで押し下げ脱水
が完了して、湿潤状態のパルプ充填物9を得た状態を示
す。内壁の小孔12aから水滴50が滲み出す点が図1
と異なる。この装置を使う場合、得られた最終成形物の
形状は、図3の成形物20と同じであるが、表面の美装
性は、図3の成形物より優れたものとなる。
【0017】図6及び図7は、第3の実施態様を示す。
図6のように上型の下部周縁に段部3bを設けたプレス
機上型15と、中央に球面状凸部6cを設けた下型6を
有する開放系の容器14とを組み合わせて用いた点が図
1と異なる。下型の球面状凸部6cや上型の段部3bの
位置、形状等は、図示のものに限らず、被包装物の寸法
形状に応じて適宜決定される。図7は上型15を下降端
にまで押し下げ脱水が完了して、湿潤状態のパルプ充填
物9を得た状態を示す。これを乾燥して得られた最終成
形物21は、図8に示すように、所定厚みの成形体の上
面側両端に設けた凸部21a、21aにより凹部21b
が形成され、成形体下面に半球凹部21cが形成され
て、図3の最終成形物20より複雑な形状を呈してい
る。
【0018】図9〜11は、第4の実施態様を示す。図
9に示すように、上型下面から多数の細かな管状突起1
8、18を吊り下げたプレス機上型16を使用する。成
形容器1は図1におけるものと同じく底内周部分に段部
6bを設けて凸形状をなしている。図10は上型16を
下降端にまで押し下げ脱水が完了して、湿潤状態のパル
プ充填物9を得た状態を示す。図示例の上型下面から吊
り下げた各管状突起18は、パルプ充填物9の裏側一定
の厚みを残した位置まで挿入されているが、パルプ充填
物9の裏側にまで貫通する長さ(図示省略)のものとし
てもよい。この装置で得られた最終成形物22は、図1
1に示すように、所定厚みの成形体の下面側両端に設け
た凸部22a、22aにより凹部22bが形成され、更
に突起18によって成形体の厚み内に多数の行止まり穴
22cがあけられている。行止まり穴22cの形成によ
り、乾燥効率を上げることができるし、又成形体の見掛
けの密度を下げることができる。
【0019】図12〜14は、本発明の第5の例を示す
もので、成形体の型周縁における密度が型中央部分の密
度より低くなるのを防ぐため、第1段階として型中央の
脱水を行い、次いで第2段階として型周縁部の脱水を行
うようにしたものである。図12は本例に用いる装置の
断面を示す。上型23は外型24と内型29とからな
る。外型24は容器深さとほぼ同等の外筒壁25と外筒
壁より低い内筒壁27とを有して、押圧時に水を収容す
る空室26を形成する。外筒壁25の上部には中空の取
付け部材28を設ける一方、外型24の下部には脱水用
小孔24aをもつ型板を設ける。また、内型29の下部
には脱水用小孔をもたない型板30を設け、上部には取
付け部材31を設ける。容器61は、容器の側壁内側
に、多数の脱水用小孔62aを持つ内壁を形成して円筒
状空室62を有する開放系の容器である。この容器61
は、図4の成形容器11と異なり、下型周縁の段部60
bには多数の脱水用小孔60aをもつものの、内型29
の型板30に対向する部分60cには脱水用小孔を有し
ていない。
【0020】図12に示すように、成形容器61内に濾
水性良好なパルプ含有スラリー10を入れた後、プレス
機上型23を上から被せて密閉し、まず内型29で上か
ら圧縮しながら脱水を開始(第1段階の動作)すると、
圧縮による内圧上昇で上下型の各小孔24a、60aか
ら脱水が起こり、内型29の下降端位置で型の中央部分
に湿潤状態のパルプ充填物が形成される(図13)。次
に外型24を内型29の下降端位置まで押し下げる(第
2段階の動作)と型周縁部にパルプ充填物が形成される
(図14)。この圧縮操作による脱水と同時に、或いは
圧縮による脱水後に、前の実施態様と同様に、外型内部
の空室26にガス加圧を施して残存水分を押し出すこと
で、或いは下型内の空室67に負圧を適用して残存水分
を吸引することで脱水がより完全に行われる。このよう
に、第1段階として型中央の脱水を行い、次いで第2段
階として型周縁部の脱水を行えば、成形体の型周縁や型
中央部分をとわず各部ともほぼ均一な密度のものにな
る。また、上型23の外型24と内型29の動作を変え
て、内型29の降下を途中で止めたのち、外型24と内
型29とを異なるスピードで降下させて図14の状態に
することも可能であり、その際に内型29の最初の降下
では脱水がほとんど起こらないように工夫することで、
密度の均一性がより高いものを得ることができる。な
お、上記実施態様は、上型を内型29と外型24の2つ
に分割して、加圧を2段階に行うものを示したが、下型
60の形状によっては、上型を3つ又はそれ以上に分割
して、加圧を3以上の多段階で行うことが有効なケース
もある。
【0021】図15〜図22は、本発明の第6の実施態
様を示すもので、複数のボード48(最終成形体)を一
挙に生産するようにしたものである。すなわち、移動可
能な多数枚のメッシュ板36、36を平行に吊り下げた
蓋33を備えた成形容器40内にパルプスラリーを入
れ、成形容器40の左右壁に対向して挿入したプッシャ
41、41を作動して前記メッシュ板36を成形容器の
中央部分に押圧することによりメッシュ板36、36間
に多数のパルプ濃縮充填物46を成形し、その後、容器
内で乾燥して一度に多数のボード48(最終成形体)を
得るものである。
【0022】図15は、上記製造装置の分解斜視図、図
16は容器内にパルプスラリーを注入した状態の縦断面
図、図17は容器上面にプレス上型を被せた状態の断面
図、図18は図17の横断面図である。図16〜18に
示すように、成形容器40は、側壁と底部にそれぞれコ
ック43、45を持つ注排水口42、44を設けると共
に、対向する側壁にプッシャ41、41を配置する。容
器40の蓋33には、下面長手方向にT溝34、34を
平行に設けて複数のメッシュ板36、36が等間隔に吊
り下げられている。各メッシュ板36は多数の脱水用小
孔37を備えており、メッシュ板36の上部に一体に設
けた挿入片35をT溝34に挿合してスライド可能に保
持されている。この挿入片35は、プッシャ41、41
の押圧端で隣接する挿入片35に当接することによりメ
ッシュ板相互の間隔(すなわち最終成形体の厚み)を規
制するスペーサの役目を果たしている。
【0023】図16に示すように、コック43、43を
あけて注排水口42、42から容器40内に濾水性良好
なパルプ含有スラリー10を満たしたのちにコック4
3、43を閉め、次に蓋33を下降させて各メッシュ板
36をスラリー10中に浸した状態にして容器40を密
閉する(図17)。次ぎに、プッシャ41を駆動しメッ
シュ板36を順次加圧してそれが等間隔になるようにス
ライドさせる。この操作でメッシュ板間のスラリーが脱
水され固形分濃度は上昇し、湿潤状態のパルプ充填物4
6が得られる(図19)。図中38は、メッシュ板36
で濾過された母液である。図20は、容器底のコック4
5、45を開いて、母液38を排水している状態を示
す。図21は、母液の排水後、上方の一方(例えば右
方)の注排水口から熱風を吹き付け、他方(例えば左
方)の注水口から吸引排気してパルプ充填物を乾燥して
いる状態を示しているものであり、図22は、かくして
得られたボード(最終成形体)48を示すものである。
上記のような多数の脱水用小孔を有する容積可変型成形
容器を用いて得られる成形物は、濾水工程後に型プレス
を施さないパルプモールド法に比べて、表面が平滑で美
装性に優れており、また、型プレスを施すパルプモール
ド法に比べて、低密度性や生産性の面で優れている。
【0024】一般にパルプ素材としては、例えば、針葉
樹、広葉樹をクラフトパルプ化、サルファイトパルプ
化、アルカリパルプ化等して得られる未晒又は晒化学パ
ルプ、或いはGP、TMP(サ−モメカニカルパルプ)
等の機械パルプ、或いはコットンパルプ、リンターパル
プ、古紙パルプ、液体アンモニア処理パルプ、マーセル
化パルプ、カールドファイバー等が挙げられるが、本発
明においては単独或いは混合の形で、カナダ標準フリー
ネス(CSF)が550ml以上のものが使われる。中
でも、カナダ標準フリーネス(CSF)が550〜85
0mlの範囲のものは、濾水性が良好で、しかも製造が
容易で安価でありより好ましい。カナダ標準フリーネス
(CSF)が550ml未満のものは、濾水性が十分で
なく厚みを有する成形物を効率的に製造することができ
ないので好ましくない。また、フリーネスが850ml
を越えるものは、製造が難しく経済的でなく、実用可能
であるが余り好ましくない。カナダ標準フリーネス(C
SF)が550ml以上のパルプの中でも、繊維がカー
ルした形状を有するカールドファイバーは、低密度性と
緩衝性の面で特に優れた成型物が得られるので好まし
い。中でも取り分け、湿潤カールファクターが0.4〜
1.0の範囲にあるカールドファイバーは、長時間水に
分散した状態においてもカール形状が良好に保たれる性
質を有しており、優れた低密度性と緩衝性を有する成形
体を長時間安定して生産するのに適するので特に好まし
い。湿潤カールファクターが0.4未満では低密度性に
やや劣るものとなり、一方、1.0を超えて大きくなる
と、パルプ繊維に変形を付与する際の機械的処理の強化
によって生ずるパルプ繊維の損傷による繊維強度の低
下、紙粉の発生が顕著になり、実用の可能性はあるが余
り好ましくない。
【0025】因みに、湿潤カールファクターとは、湿潤
状態での繊維の変形の程度を示す指標で、カールドファ
イバーを室温下、24時間純水に浸漬した後の繊維の実
際の長さ(LA)と繊維の最大投影長さ(繊維を囲む長
方形の最長辺の長さ、LB)を顕微鏡を用いて測定し、
〔(LA/LB)−1〕で算出される値で、直線的な元
の繊維の長さからどれだけ曲線化しているかを数値化し
たものである。以下、本発明の実施に最も適しているカ
ールドファイバー系について更に詳細に記載するが、本
発明は特にこれに限定されるものではない。
【0026】カールドファイバーは、架橋反応による化
学結合によってカールやネジレのような変形を固定化し
た、元の繊維の長さと比べて見掛けの長さが小さくなっ
たパルプ繊維である。通常セルロース系繊維に架橋剤を
添加した後、機械的撹拌を施し、次いでフラッフ化と加
熱処理を行い、繊維に変形を付与したまま固定すること
によって得られる。公知のものとしては、例えば、C2
〜C8のジアルデヒド並びに酸官能基を有するC2〜C
8のモノアルデヒドを使用してセルロース系繊維の内部
を架橋させた平均保水度28%〜50%の架橋繊維(特
公平5−71702号公報)、C2〜C9のポリカルボ
ン酸を用いてセルロース系繊維を内部架橋させた保水度
25%〜60%の架橋繊維(特開平3−206174号
公報、特開平3−206175号公報、特開平3−20
6176号公報参照)等が挙げられる。また、市販品と
しては、例えば、米国ウェアハウザー社製、商品名:H
BA−FF、NHB405、NHB416等が挙げられ
る。カールドファイバーの原料として用いられるセルロ
ース系繊維としては、例えば、針葉樹、広葉樹をクラフ
トパルプ化、サルファイトパルプ化、アルカリパルプ化
等して得られる未晒又は晒化学パルプ、或いはGP、T
MP(サーモメカニカルパルプ)等の機械パルプ、或い
はコットンパルプ、リンターパルプ、古紙パルプ等が挙
げられる。
【0027】カ−ルドファイバ−としては、水切れが良
くて乾燥スピ−ドが出易く低密度体の生産効率の点で優
れている保水度が25〜65%の範囲のものが好ましい
が、本発明では特にこれに限定するものではない。因み
に、保水度は、湿潤状態にある繊維を15分間3000
Gの遠心力で脱水した後のその繊維が保持している水の
量を絶乾重量1g当たりの量で表示した値(%)と定義
されるもので、その測定方法はJAPAN TAPPI
No.26−78に規定されている。
【0028】カールドファイバーは、通常低密度体に対
して乾燥重量で30〜98%の範囲で配合される。な
お、カールドファイバーは2種以上併用してもかまわな
い。カールドファイバーは、その形状のために繊維同士
の絡み合いが弱く、また、架橋処理されてセルロース分
子の水酸基(−OH)が減少しているために水酸基によ
る水素結合も生成し難くなっており、単独系で得られた
成形体は層間強度が弱い。従って、強い層間強度を有す
るものを得るには他の繊維を併用する必要がある。該繊
維としては、例えば、天然高分子繊維あるいは合成高分
子繊維あるいは半合成高分子繊維あるいはそれらを処理
して得られるものが挙げられるが、カールドファイバー
より繊維間結合が強い繊維であれば、如何なる素材でも
構わない。中でも、結合強化ファクター0.15以上の
微細繊維は、層間強度アップに対する効果が特に顕著で
好ましい。微細繊維としては、通常数平均繊維長が0.
01〜0.80mmの範囲のものが使用される。中でも、
歩留り及び分散性の面で0.05〜0.60mmの範囲の
ものが好ましい。
【0029】上記天然高分子繊維としては、例えば、針
葉樹、広葉樹をクラフトパルプ化、サルファイトパルプ
化、アルカリパルプ化等の処理をして得られる未晒又は
晒化学パルプ、或いはGP、TMP(サーモメカニカル
パルプ)等の機械パルプ、或いはコットンパルプ、リン
ターパルプ、古紙パルプ、バクテリアセルロース等のセ
ルロース系繊維、ウールや絹糸やコラーゲン繊維等の蛋
白系繊維、キチン・キトサン繊維やアルギン酸繊維等の
複合糖鎖系繊維等が挙げられる。合成高分子繊維として
は、例えば、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、
ポリエチレン−ポリプロピレン鞘芯繊維、ポリアクリロ
ニトリル繊維、アクリル繊維、レーヨン繊維、ポリエス
テル繊維、ポリアミド繊維等が挙げられ、また、半合成
高分子繊維としては、例えば、アセチルセルロース系繊
維等のように、天然物を化学修飾(変性)して得られる
繊維が挙げられる。
【0030】これらの中でも、セルロース系繊維、脂肪
族ポリエステル系繊維、アセチルセルロース系繊維等の
ように生分解性を有するものが好ましく、さらに、原料
供給の安定性及び価格の面から、セルロース系繊維或い
はそれを処理して得られるものが、より好ましい。
【0031】中でも、上記繊維を湿式で機械的処理して
得られる微細繊維は、層間強度アップの効果が大きく好
ましい。取り分け、針葉樹、広葉樹をクラフトパルプ
化、サルファイトパルプ化、アルカリパルプ化等して得
られる未晒又は晒化学パルプ、或いはGP、TMP(サ
ーモメカニカルパルプ)等の機械パルプ、或いはコット
ンパルプ、リンターパルプ、古紙パルプ等の天然パルプ
繊維を湿式で機械的処理して得られる天然パルプ系微細
繊維は枝分かれした形状になりやすく、層間強度アップ
の効果が特に大きく好ましい。
【0032】機械的処理としては、例えば、媒体撹拌ミ
ル処理(特開平4−18186号公報)、振動ミル処理
(特開平6−10286号公報)、高圧均質化装置での
処理、コロイドミル処理、叩解機処理等が挙げられる。
中でも、媒体撹拌ミルや振動ミルによって得られる天然
パルプ系微細繊維は、他の処理装置で得られる微細繊維
より柔軟性に富んだものが得やすく、繊維の長さ方向だ
けでなく3次元的に微細化が進むために、カールドファ
イバー同士を効率よく、又強固に結合することができる
ため特に好ましい。
【0033】本発明で言う結合強化ファクター(BF)
は、(E2−E1)/E1で計算される。但し、E1
は、広葉樹晒クラフトパルプ50重量%と針葉樹晒クラ
フトパルプ50重量%とを混合して水性スラリーとし、
カナダ標準フリーネス(CSF)500mlまで叩解
し、JIS−P−8209に従って手抄マシンにて脱水
・風乾して坪量60g/m2 のシートを作製した後、1
30℃で2分間熱処理して、20℃、65%RHに調湿
した後測定された超音波弾性率を示す。E2は上記パル
プ繊維の50%を微細繊維で置き換えて水性スラリーを
調製し、E1を測定するのと同じ方法でシート作製、測
定した場合の超音波弾性率を示す。
【0034】カールドファイバーと上記の如き他の繊維
の混合比率は、その比率を変えることで密度と層間強度
のバランスをコントロールすることができるので、目的
に応じて適宜選択することができる。すなわち、密度よ
りも層間強度を重視する場合には、他の繊維の配合を増
やし、逆に層間強度よりも密度を重視する場合には、カ
ールドファイバーを増やした配合を選択すればよい。中
でも、他の繊維を全繊維絶乾重量当たり3〜65重量
%、カールドファイバーを全繊維絶乾重量当たり35〜
97重量%の割合で混合して用いた場合、密度と層間強
度のバランスが特に優れ好ましい。
【0035】パルプスラリーには、目的に応じて上記繊
維以外に適宜、無機繊維、紙力増強剤、耐水化剤、撥水
剤、発泡性マイクロカプセル、サイズ剤、染料、顔料、
歩留向上剤、填料、PH調整剤、スライムコントロール
剤、増粘剤、防腐剤、防黴剤、抗菌剤、難燃剤、防腐
剤、殺鼠剤、防虫剤、保湿剤、鮮度保持剤、脱酸素剤、
マイクロカプセル、発泡剤、界面活性剤、電磁シールド
材、帯電防止剤、防錆剤、芳香剤、消臭剤等を選択し配
合することができる。これらは数種併用することもでき
る。
【0036】上記配合物中、無機繊維としては、例え
ば、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊
維、シリカ・アルミナシリケート繊維、ロックウール繊
維等を挙げることができる。紙力増強剤としては、例え
ば、澱粉、加工澱粉、植物ガム、PVA等の乾燥紙力増
強剤、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアル
デヒド樹脂、ポリアミド尿素ホルムアルデヒド樹脂、ケ
トン樹脂、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂、ポリア
ミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂、グリセロール
ポリグリシジルエーテル樹脂、ポリエチレンイミン樹脂
等の湿潤紙力増強剤を挙げることができる。
【0037】耐水化剤としては、上記湿潤紙力増強剤を
耐水化剤として使用できるほか、アルデヒド基を有する
ホルムアルデヒド、グリオキザール、ジアルデヒド澱
粉、多価金属化合物である炭酸アンモニウムジルコニウ
ム等が挙げられる。撥水剤としては、各種ワックス(天
然ワックス、石油系ワックス、塩素化パラフィン、ワッ
クスエマルジョンなど)、高級脂肪酸誘導体、合成樹脂
類、クロム錯塩、ジルコニウム塩、シリコン樹脂などが
挙げられる。
【0038】パルプスラリーは、通常撹拌機を有する装
置でバッチ式或いは連続的に調製される。パルプスラリ
ーを形成するのに用いられる媒体としては通常水が使用
されるが、他に水とアルコール(メタノールあるいはエ
タノール等)の混和液、アルコール、アセトン、酢酸エ
チル、グリセリン、等の有機溶媒を使用することができ
る。水とアルコールの混和液を用いる場合、乾燥性が良
くて生産性が上がる、或いは乾燥時の成形物の寸法変化
が少なく精度の良いものが得られる等のメリットがあ
る。又、媒体の加温は乾燥速度を上げる効果がある。ス
ラリーの濃度は、通常乾燥固形分量が0.05〜10重
量%の範囲に調製されるが、分散状態の点で0.05〜
3重量%の範囲のものが好ましい。
【0039】上記の様にして調整されたパルプスラリー
を用いて得られた成形体には、さらに、必要に応じて、
耐水化剤、撥水剤、染料、顔料、防腐剤、防黴剤、抗菌
剤、難燃剤、殺鼠剤、防虫剤、鮮度保持剤、脱酸素剤、
電磁シールド材、帯電防止剤、防錆剤、芳香剤、消臭剤
等をスプレー、含浸、塗工等の手段を用いて含有せしめ
ることが出来る。また、得られた成形体同士を貼り合わ
せることもでき、さらには、合成樹脂フィルム、合成
紙、合成樹脂板、耐水紙、撥水紙、アルミ等の金属箔、
金属板、ガラス板等の他の素材と貼り合わせることがで
きる。また、切削、印刷等の加工を施すこともできる。
【0040】本発明の方法によって得られた成形体は、
包装用等の緩衝材の他に、建材、畳芯材等、現在発泡樹
脂成形体が用いられている分野に広く応用できる。
【0041】
【実施例】固形分濃度1%の広葉樹晒クラフトパルプの
水スラリーを、平均粒径2mmφのガラスビーズを80
%充填した1.5リットル容のダイノミル装置(型式:
KDL−PILOT型、シンマル・エンタープライゼス
社製)に、300ml/分で導入、通過させることによ
り、数平均繊維長0.26mm、結合強化ファクター
0.58の微細繊維を得た。次に、この微細繊維を10
部と、湿潤カールファクター0.70、保水度48%の
市販のカールドフィバー(商品名NHB405、米国ウ
ェアハウザー社製)90部を混合したものに水を加え、
固形分濃度2.5%に調整し、十分に撹拌してパルプス
ラリーを得た。このパルプは、カナダ標準フリーネス
(CSF)が730mlであった。続いて、80メッシ
ュブロンズワイヤーを備えた角型(25cm×25c
m)手抄シートマシンのワイヤ上の中心部に、同ワイヤ
ーを六面に張った直方体(15cm×15cm×5c
m)をセットして得られた容器に、上記スラリーを上か
ら流し込んだ後、下面が平らで多数の小孔を有するプレ
ス機上型を上から被せて図1のように密閉し、続いてこ
のプレス機上型で上から圧縮しながら脱水する。更に吸
引脱水した後、成形容器から取り出して、105℃の熱
風乾燥器で乾燥して低密度の成形体を得た。低密度成形
体は、15cm×15cm×5cmの角柱のくり抜きを
有する25cm×25cm×7cmの立方体で美装性に
優れ、密度は 0.10g/cm3であった。また、低密
度成形体の凹部に大きさ15cm×15cm×5cmの
長方形状の被包装物を入れて50cmの高さからの落下
試験を行ったところ、モールド法によって得られた緩衝
材より緩衝性が優れていることが分かった。
【0042】
【発明の効果】上記のように、本発明によれば、カナダ
標準フリーネス(CSF)550ml以上のパルプ含有
スラリーを、多数の小孔を有する容積可変型成形容器に
注入した後、容積を縮小させながら小孔より脱水して容
器内に湿潤状態のパルプ充填物を成形し、次に湿潤状態
のパルプ充填物を容器内或いは容器外で乾燥して成形体
とするものであるから、環境に優しく、優れた緩衝性を
有する低密度成形体を、効率よく製造することができ
る。更に、本発明では、移動可能な多数枚のメッシュ板
を平行に吊り下げた蓋を備えた成形容器内にパルプスラ
リーを入れ、成形容器内の左右に対向して挿入したプラ
ンジャでメッシュ板を成形容器中央部分に押圧してメッ
シュ板間に多数のパルプ濃縮充填物層を成形し、その湿
潤状態のパルプ充填物を容器内或いは容器外で乾燥する
ことにより、一度に多数の成形体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の成形体を製造する方法を実施する装置
の一例を示す断面図である。
【図2】図1の装置の動作を示す断面図である。
【図3】図2によって成形された湿潤状態のパルプ充填
物を乾燥して得た成形体の断面図である。
【図4】本発明の第2の例を示す断面図である。
【図5】図4の装置の動作を示す断面図である。
【図6】本発明の第3の例を示す断面図である。
【図7】図6の装置の動作を示す断面図である。
【図8】図7によって成形された湿潤状態のパルプ充填
物を乾燥して得た成形体の断面図である。
【図9】本発明の第4の例を示す断面図である。
【図10】図9の装置の動作を示す断面図である。
【図11】図10によって成形された湿潤状態のパルプ
充填物を乾燥して得た成形体の断面図である。
【図12】本発明の第5の例を示すもので、型中央の脱
水後に、型周縁部の脱水を行うようにした2段階脱水方
式を実施する装置の断面図である。
【図13】図12において型中央の脱水動作を示す断面
図である。
【図14】同じく型周縁部の脱水動作を示す断面図であ
る。
【図15】本発明の第6の例を示すもので、同時に多数
枚の成形体を製造する装置の分解斜視図である。
【図16】図14に示される容器内にパルプスラリーを
注入した状態の縦断面図である。
【図17】図16に示す容器上面にプレス上型(蓋)を
配置した状態の断面図である。
【図18】図16の横断面図である。
【図19】図16に示す容器内の左右の対向壁に挿入し
た一対のプッシャを作動しメッシュ板を移動させて容器
中央部分にパルプスラリーの濃縮層を形成させた状態を
示す縦断面図である。
【図20】濃縮層形成時に得られた母液を排水している
状態を示す断面図である。
【図21】乾燥を終えて成形体を得た状態の断面図であ
る。
【図22】最終成形体の断面図である。
【符号の説明】
1、11、14 成形容器 2 取付け部材 3 プレス上型 3a、6a、12a 脱水用小孔 3b 上型の段部 4、7 空室 5、8 排水口 6 下型 6b 下型段部 6c 下型球状凸部 9 パルプ充填物 10 パルプスラリー 12 側壁吸引室 13、15、16 プレス上型 18 突起 20、21、22 成形体(最終成形物) 20a、21a 成形体の凸部 20b、21b、22b 成形体の凹部 21c 成形体の球状凹部 22a 成形体の凸部 22c 穴 23 上型 24 外型 24a 脱水用小孔 25 外筒壁 26 空室 27 内筒壁 28、31 取付け部材 29 内型 30 型板 32 プレス上型 33 上型本体(蓋) 34 T溝 35 T型挿入片 36 メッシュ板 37 脱水用小孔 38 母液 40 成形容器 41 プッシャ 42、44 注排水口 43、45 コック 46 パルプ充填物 48 最終成形物 50 水滴 60 下型 60a、62a 脱水用小孔 60b 段部 60c 型板 61 成形容器 62 円筒状室 67 空室 68 排水口
フロントページの続き (72)発明者 塩井 俊介 東京都渋谷区東一丁目26番20号 王子製紙 株式会社内 (72)発明者 岩崎 廣司 東京都千代田区外神田3丁目6番4号 王 子製袋株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カナダ標準フリーネス(CSF)が55
    0ml以上のパルプ含有スラリーを入れた、多数の小孔
    を有する容積可変型成形容器の容積を縮小しながら小孔
    より脱水して、容器中にパルプ充填物を成形し、その湿
    潤状態のパルプ充填物を容器内或いは容器外で乾燥して
    得ることを特徴とする成形体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記容積可変型成形容器が密封容器であ
    る請求項1に記載の成形体の製造方法
  3. 【請求項3】 スラリーの脱水を、吸引脱水と機械加圧
    脱水の組合せ、或いはガス加圧脱水と機械加圧脱水の組
    合せで行う請求項1に記載の成形体の製造方法。
  4. 【請求項4】 パルプの主成分がカールドファイバーで
    ある請求項1に記載の成形体の製造方法
  5. 【請求項5】 パルプ含有スラリーを入れた容器に、移
    動可能な多数枚のメッシュ板を平行に吊り下げた蓋を被
    せ、成形容器内の左右に対向して挿入したプランジャを
    作動して前記メッシュ板を成形容器中央部分に押圧する
    ことによりメッシュ板間に多数のパルプ濃縮充填物層を
    成形し、その湿潤状態のパルプ充填物を容器内或いは容
    器外で乾燥して多数の成形体を得ることを特徴とする成
    形体の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004528489A (ja) * 2001-02-26 2004-09-16 アールストロム グラスフィブル オサケ ユキチュア 三次元モールドを用いて発泡注型する方法および装置
WO2016076385A1 (ja) * 2014-11-14 2016-05-19 中越パルプ工業株式会社 Cnfの成形方法及びその成形方法によって得られるcnf成形体
WO2018207945A1 (ja) * 2017-05-12 2018-11-15 中越パルプ工業株式会社 Cnf成形装置及びcnf成形方法

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