JPH11222794A - 低密度成形体 - Google Patents

低密度成形体

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JPH11222794A
JPH11222794A JP3355198A JP3355198A JPH11222794A JP H11222794 A JPH11222794 A JP H11222794A JP 3355198 A JP3355198 A JP 3355198A JP 3355198 A JP3355198 A JP 3355198A JP H11222794 A JPH11222794 A JP H11222794A
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slurry
fiber
molded product
mold
pulp
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JP3355198A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Suenaga
浩 末永
Hisao Ishikawa
久夫 石川
Shunsuke Shioi
俊介 塩井
Koji Iwasaki
廣司 岩崎
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Oji Seitai Kaisha Ltd
New Oji Paper Co Ltd
Original Assignee
Oji Seitai Kaisha Ltd
Oji Paper Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 環境に優しく、しかも低密度性と緩衝性と生
産性に優れた成形体を提供する。 【解決手段】 多数の小孔を有する成形型の小孔から、
スラリーの分散媒体である水を除去することによって該
成形型にスラリーの小孔不通過成分を堆積させて成形物
とし、その後湿潤状態の該成形物を型内或いは型外乾燥
して得られる成形体において、前記小孔不通過成分とし
てセルロース系粗粉を含有し、スラリー形成に用いられ
る組成物のカナダ標準フリーネス(CSF)が550m
l以上であり、かつ密度が0.02〜0.30g/cm
3であることを特徴とする低密度成形体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生分解性天然素材
を原料とする、低密度性と緩衝性と生産性に優れた成形
体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、緩衝材として利用される発泡スチ
ロールは、衝撃緩衝性に優れ、任意の形状に加工するこ
とが容易で、価格が安く、軽量で、しかも外観体裁も良
好である等の特徴を有している。しかし、近年、環境問
題への関心が高まるにつれて、他の所謂プラスチック製
品と同様に、使用後の処理性を問題視する声が高まって
いる。すなわち、使用した後、焼却した場合には、高温
の発生による炉の損傷、有毒ガスの発生が指摘されてい
る。また、埋め立て処理を行った場合は、分解性がな
く、さらに嵩張るため、処理場の不足を招く一因とも考
えられている。
【0003】この発泡スチロールの処理上の問題点を解
決するものとして、最近では、緩衝材としてパルプモー
ルドが注目され、スチロールの代替として用いられるこ
とが多くなってきている。パルプモールドは、再生パル
プを原料として製造され、形状を工夫することで緩衝
性、強度を与えられるものであり、焼却、埋め立ての何
れの処理も容易である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、パルプモール
ド法は、多数の小孔を有する金型にスラリー中のパルプ
を吸引・脱水しながら堆積させ、その後乾燥して成形物
を得る方式であるために、濾水性の悪い汎用のパルプス
ラリーを用いた場合には、その吸引・脱水工程に時間を
要し、生産効率を無視しない限り、堆積の厚みが10m
mを越えるものを得ることが出来なかった。その為、得
られたものは強度的に十分とはいえず、重量物の包装材
としての適性に欠けていた。また、緩衝性も不十分で、
それを補うためにはリブ構造をとる等の構造上の工夫が
必要であり、その為に専用の複雑な形状の金型を作製す
る必要があってその設計と製造に時間を要するといった
問題があった。その上、リブ構造で緩衝性を付与させた
ものは、1回目の落下衝撃には十分な効果を発揮する
が、2回目以上の落下衝撃に対してはリブ構造が落下に
より破壊され易く、緩衝性が極めて低下するという問題
を有していた。
【0005】更に、パルプモールド法は濾水工程等の成
形工程に時間を要する為に、特殊で高価な金型を多数用
意しなければ生産性を上げることが出来ず、商品のモデ
ルチェンジの早い業界や少ロット多品種の業界には不向
きであった。本発明の目的は、環境に優しく、しかも低
密度性と緩衝性と生産性に優れた成形体を提供すること
にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、かかる現
状に鑑み、環境に優しく優れた低密度性と緩衝性を有
し、しかも高生産性の成形体について鋭意検討した結
果、原料としてセルロース系粗粉を用いて、スラリー組
成物が特定のカナダ標準フリーネス(CSF)を有する
様に調製することによって、それを成しうることを見出
し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、
多数の小孔を有する成形型の小孔から、スラリーの分散
媒体である水を除去することによって該成形型にスラリ
ーの小孔不通過成分を堆積させて成形物とし、その後湿
潤状態の該成形物を型内或いは型外乾燥して得られる成
形体において、該小孔不通過成分としてセルロース系粗
粉を含有し、スラリー形成に用いられる組成物(スラリ
ー組成物)のカナダ標準フリーネス(CSF)が550
ml以上であり、かつ密度が0.02〜0.30g/c
3であることを特徴とする低密度成形体である。該セ
ルロース系粗粉が、木材チップ、バガス、稲藁、籾殻か
ら選ばれた少なくとも1種を機械的に粗粉砕して得られ
るもの、或いは籾殻自体であるものが好ましい。中で
も、スラリー組成物が、他に繊維を含有するのが好まし
い。該繊維の少なくとも一部が、結合強化ファクター
0.15以上の微細繊維であるのが好ましい。該繊維の
少なくとも一部が、カール状繊維であるのが好ましい。
該カール状繊維が、湿潤カールファクターが0.4〜
1.0の範囲にあるカールドファイバーであるのが好ま
しい。該繊維の少なくとも一部が、結合強化ファクター
0.15以上の微細繊維と、カール状繊維が好ましい。
本発明では該成形型が筒状であることが好ましい。本発
明では、該成形物の堆積層の厚みが10mm以上である
ことが好ましい。
【0007】本発明の成功の原因は、カナダ標準フリー
ネス(CSF)が550ml以上の濾水性の優れた、し
かも剛直性のある原料を用いることによって、スラリー
の吸引・脱水成形法でも十分な厚みと優れたクッション
性の成形物が効率的に得られることを見出し、これによ
って、次のようなメリットが生ずることを見出した点に
ある。 重量物用にも適用可能な成形体が得られる。 2回目以上の落下衝撃に対しても優れた緩衝性を示す
成形体が得られる。 また、リブ構造等の構造上の工夫をする必要がないの
で、従来のパルプモールド法の様な複雑な金型が必要で
なく、その為に金型の設計と製造の時間が大幅に短縮で
き、金型が安価に製造できる。 安価な金型で製造出来るために、多くの金型を準備す
ることで生産性を上げることができ、また少ロット多品
種品に対しても比較的低い製造コストに抑えることが可
能となる。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明に用いられるセルロース系
粗粉とは、木材チップ、バガス、稲藁、籾殻等のセルロ
ース系材料を機械的に粗粉砕して得られるもの、或いは
籾殻自体、おが屑等の針状、繊維状、粒状等の形状を有
するものが挙げられる。その他として、麻、ケナフ、バ
ガス、竹、よし、こうぞ、みつまた、麦わら、ビールか
す、大豆かす、小麦の殻、オイルパームなどを機械的に
粗粉砕したものも使用できる。好ましいものとしては、
それ自体のカナダ標準フリーネス(CSF)の値が55
0ml以上のもの、或いはスクリーン等により80メッ
シュパス部分を除去した場合にフリーネス値が550m
l以上になるもの、或いはメッシュパス処理して微細領
域を除去しフリーネス値を550ml以上に高めたも
の、80メッシュ通過分が25重量%以下のものが挙げ
られる。中でも、針状、繊維状のものは低密度性、緩衝
性に優れ、しかも層間強度が出やすいので好ましい。中
でも、針状のものは緩衝性に特に優れ好ましい。針状、
繊維状の形状を有するものの中でも、木材チップを粗粉
砕して得られる、ファイバーボード(繊維板)製造に用
いられる様な粗粉は低密度性に優れている上に、原料調
達が容易であり特に好ましい。粉砕方式としては、ファ
イバーボード業界で公知の、例えばアスプルンド法等が
挙げられるが、なかでも、110℃以上、取り分け13
0℃以上の高温下で粉砕処理されたものは、より低温で
処理したものより高剛度になりやすく、そのために低密
度性、緩衝性に優れたものになりやすく好ましい。粉砕
処理としては、例えばリファイナーでの1段処理の様に
通常紙原料とはならない程度の軽度処理が高剛度になり
やすく好ましい。尚、剛度を上げる手段としては他に、
木材チップの粉砕処理前或いは後に架橋反応処理、疎水
化処理、表面樹脂処理する方法も有効である。また、上
記粉砕物或いはその処理物を更にニーダー、リファイナ
ー等によりカール処理したものは、緩衝特性の向上が更
に顕著なものになる。また、粗粉の中でも、スクリーン
処理等により30〜200メッシュパスさせて微細領域
を除去しフリーネス値を550ml以上に高めたもの
は、成形体製造時の排水処理が簡単で、しかも成形体製
造時の原料歩留りが良く好ましい。
【0009】セルロース系粗粉の組成物への配合量は、
特に限定されるものではないが、通常組成物に対して乾
燥重量で30〜100%の範囲で配合される。
【0010】因みに、カナダ標準フリーネスは、JIS
−P−8121に規定された通常はパルプの濾水性を示
す値である。本発明では同測定法に基づいて、セルロー
ス系粗粉及びセルロース系粗粉含有組成物の濾水性を判
定した。
【0011】本発明においては、セルロース系粗粉単独
でも成形体を得ることが出来るが、通常単独では層間強
度や低密度性がやや劣ったものになり易く、その改良の
ために、スラリー組成物中に繊維を添加するのが好まし
い。該繊維としては、天然高分子繊維あるいは合成高分
子繊維あるいは半合成高分子繊維あるいはそれらを処理
して得られるものが挙げられるが、中でも層間強度改善
の効果が大きい点で、結合強化ファクター0.15以上
の微細繊維が好ましい。又、低密度性改善の効果が大き
い点で、カール状繊維が好ましい。
【0012】上記天然高分子繊維としては、例えば、針
葉樹、広葉樹をクラフトパルプ化、サルファイトパルプ
化、アルカリパルプ化等して得られる未晒又は晒化学パ
ルプ、或いはGP、RMP、TMP、CTMP等の機械
パルプ、或いはコットンパルプ、リンターパルプ、古紙
パルプ等のセルロ−ス系繊維でカナダ標準フリーネスが
550ml未満のもの、同セルロ−ス系繊維の液体アン
モニア処理パルプやマーセル化パルプ、ウ−ルや絹糸や
コラ−ゲン繊維等の蛋白系繊維、キチン・キトサン繊維
やアルギン酸繊維等の複合糖鎖系繊維等が挙げられる。
合成高分子繊維としては、例えば、芳香族ポリエステル
繊維、脂肪族ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポ
リプロピレン繊維、ポリエチレン−ポリプロピレン鞘芯
繊維、ポリアクリロニトリル繊維、アクリル繊維、ポリ
アミド繊維等が挙げられる。また、半合成高分子繊維と
しては、例えば、アセチルセルロ−ス系繊維等のよう
に、天然物を化学修飾して得られる繊維が挙げられる。
【0013】これらの中でも、セルロース系繊維、脂肪
族ポリエステル繊維、及びアセチルセルロース系繊維等
のように生分解性を有するものが好ましく用いられる。
具体的には、ビオノーレ(昭和高分子)、レーシア(三
井化学)、ルナーレZT(日本触媒)等の繊維、汎用パ
ルプ等が挙げられる。中でも取り分け、原料供給の安定
性及び価格の面から、セルロース系繊維或いはそれを処
理して得られるものが好ましい。
【0014】該繊維の大きさについては特に限定される
ものではないが、通常数平均繊維長が0.01〜50m
mの範囲で、繊維幅が0.1〜500μmの範囲のもの
が好ましく使用される。該繊維の組成物への配合量は、
組成物のカナダ標準フリーネスが550ml未満になら
なければ、特に限定されないが、通常組成物に対して乾
燥重量で1〜70%の範囲で配合される。
【0015】結合強化ファクター0.15以上の微細繊
維の中でも、繊維を機械的処理を施して得られる微細繊
維がより好ましい。機械的処理を施したものは枝分かれ
形状になりやすく、層間強度アップの効果が極めて大き
い。中でも、層間強度アップの効果の大きさ、及び製造
の容易さからすると、針葉樹、広葉樹をクラフトパルプ
化、サルファイトパルプ化、アルカリパルプ化等して得
られる未晒又は晒化学パルプ、或いはGP、RMP、T
MP、CTMP等の機械パルプ、或いはコットンパル
プ、リンターパルプ、古紙パルプ等の製紙原料として公
知のセルロース系繊維を、媒体撹拌ミル(特開平4−1
8186号公報)、振動ミル(特開平6−10286号
公報)、高圧均質化装置、コロイドミル、叩解機等で湿
式機械的処理して得られるものが特に好ましい。
【0016】本発明で言う結合強化ファクター(BF)
は、(E2−E1)/E1で計算される。但し、E1
は、広葉樹晒クラフトパルプ50重量%と針葉樹晒クラ
フトパルプ50重量%とを混合して水性スラリーとし、
カナダ標準フリーネス(CSF)500mlまで叩解
し、JIS−P−8209に従って手抄マシンにて脱水
・風乾して坪量60g/m2のシートを作製した後、1
30℃で2分間熱処理して、20℃、65%RHに調湿
した後測定された超音波弾性率を示す。E2は上記パル
プ繊維の50%を微細繊維で置き換えて水性スラリーを
調製し、E1を測定するのと同じ方法でシート作製、測
定した場合の超音波弾性率を示す。
【0017】本発明で結合強化ファクターが0.15未
満の微細繊維を使用した場合、少量配合では層間強度の
改善効果がやや弱く、多量配合では層間強度は強くなる
が低密度性がやや低下する傾向にある。
【0018】微細繊維の大きさについては特に限定され
るものではないが、通常数平均繊維長が0.01〜0.
80mmの範囲で、繊維幅が0.1〜30μmの範囲の
ものが好ましく使用される。該微細繊維の組成物への配
合量は、組成物のカナダ標準フリーネスが550ml未
満にならなければ、特に限定されないが、通常組成物に
対して乾燥重量で1〜40%の範囲で配合される。
【0019】カール状繊維としては、上記の天然高分子
繊維あるいは合成高分子繊維あるいは半合成高分子繊維
に化学的処理や機械的処理や熱的処理等を施して、繊維
にカールやネジレのような変形を与えたものを挙げるこ
とができる。これらの中でも、セルロース系繊維、脂肪
族ポリエステル繊維、及びアセチルセルロース系繊維等
のように生分解性を有する繊維をカールさせたものが好
ましく用いられる。具体的には、ビオノーレ(昭和高分
子)、レーシア(三井化学)、ルナーレZT(日本触
媒)等を原料とするカール状繊維、セルロースを原料と
する繊維であるカールドファイバー等が挙げられる。中
でも取り分け、原料供給の安定性及び価格の面から、カ
ールドファイバーが好ましい。
【0020】カールドファイバーは、架橋反応による化
学結合によってカールやネジレのような変形を固定化し
た、元の繊維の長さと比べて見掛けの長さが小さくなっ
たセルロース系繊維である。通常セルロース系繊維に架
橋剤を添加した後、機械的撹拌を施し、次いでフラッフ
化と加熱処理を行い、繊維に変形を付与したまま固定す
ることによって得られる。公知のものとしては、例え
ば、C2〜C8のジアルデヒド並びに酸官能基を有する
C2〜C8のモノアルデヒドを使用してセルロース系繊
維の内部を架橋させた平均保水度28%〜50%の架橋
繊維(特公平5−71702号公報)、C2〜C9のポ
リカルボン酸を用いてセルロース系繊維を内部架橋させ
た保水度25%〜60%の架橋繊維(特開平3−206
174号公報、特開平3−206175号公報、特開平
3−206176号公報参照)等が挙げられる。因み
に、市販品としては、例えば、米国ウェアハウザー社
製、商品名:HBA−FF、NHB405、NHB41
6等が挙げられる。カールドファイバーの原料として用
いられるセルロース系繊維としては、例えば、針葉樹、
広葉樹をクラフトパルプ化、サルファイトパルプ化、ア
ルカリパルプ化等して得られる未晒又は晒化学パルプ、
或いはGP、RMP、TMP、CTMP等の機械パル
プ、或いはコットンパルプ、リンターパルプ、古紙パル
プ等が挙げられる。
【0021】さらに、湿潤カールファクターが0.4〜
1.0の範囲にあるカールドファイバーは、低密度性改
善効果に優れている上に、水に長時間湿潤した状態にお
いてもカール形状が良好に保たれる性質を有しており、
長時間製造でも品質の安定した成形体を得ることが出来
特に好ましい。湿潤カールファクターが0.4未満では
低密度化の効果がやや劣るものとなり、一方、1.0を
超えて大きくなると、パルプ繊維に変形を付与する際の
機械的処理の強化によって生ずるパルプ繊維の損傷によ
る繊維強度低下のために、紙粉が発生しやすくなり、実
用可能であるが余り好ましくない。
【0022】因みに、湿潤カールファクターとは、湿潤
状態での繊維の変形の程度を示す指標で、カールドファ
イバーを室温下、24時間純水に浸漬した後の繊維の実
際の長さ(LA)と繊維の最大投影長さ(繊維を囲む長
方形の最長辺の長さ、LB)を顕微鏡を用いて測定し、
〔(LA/LB)−1〕で算出される値で、直線的な元
の繊維の長さからどれだけ曲線化しているかを数値化し
たものである。
【0023】カールドファイバーとしては、水切れが良
くて乾燥性の良い保水度70%以下のものが好ましい。
因みに、保水度は、湿潤状態にある繊維を15分間30
00Gの遠心力で脱水した後のその繊維が保持している
水の量を絶乾単位重量当たりの量で表示した値(%)と
定義されるもので、その測定方法はJAPAN TAP
PI No.26−78に規定されている。
【0024】カールドファイバー等のカール状繊維の組
成物への配合量は、通常組成物に対して乾燥重量で5〜
70%の範囲で配合される。カール状繊維は2種以上併
用してもかまわない。組成物に配合する繊維としては、
結合強化ファクターが0.15以上の微細繊維とカール
状繊維の組合せが低密度性と層間強度のバランス上特に
好ましい。併用する場合、通常組成物に対して乾燥重量
で微細繊維は1〜40%、カール状繊維は10〜70%
の範囲で配合される。
【0025】スラリー組成物には、必要に応じて他に無
機繊維、金属繊維、紙力増強剤、耐水化剤、撥水剤、発
泡性マイクロカプセル、サイズ剤、染料、顔料、歩留向
上剤、填料、PH調整剤、スライムコントロール剤、増
粘剤、防腐剤、防黴剤、抗菌剤、難燃剤、防腐剤、殺鼠
剤、防虫剤、保湿剤、鮮度保持剤、脱酸素剤、マイクロ
カプセル、発泡剤、界面活性剤、電磁シールド材、帯電
防止剤、防錆剤、芳香剤、消臭剤等を選択し配合するこ
とができる。これらは複数種併用することも出来る。
【0026】無機繊維、金属繊維としては、例えば、ガ
ラス繊維、炭素繊維、活性炭繊維、アルミナ繊維、炭化
珪素繊維、シリカ・アルミナシリケート繊維、ロックウ
ール繊維、ステンレス繊維等を挙げることが出来る。
【0027】紙力増強剤としては、例えば、澱粉、加工
澱粉、植物ガム、PVA等の乾燥紙力増強剤、尿素ホル
ムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポ
リアミド尿素ホルムアルデヒド樹脂、ケトン樹脂、ポリ
アミドエピクロルヒドリン樹脂、ポリアミドポリアミン
エピクロルヒドリン樹脂、グリセロールポリグリシジル
エーテル樹脂、ポリエチレンイミン樹脂等の湿潤紙力増
強剤を挙げることができる。
【0028】耐水化剤としては、上記湿潤紙力増強剤を
耐水化剤として使用できる他、アルデヒド基を有するホ
ルムアルデヒド、グリオキザール、ジアルデヒド澱粉、
多価金属化合物である炭酸アンモニウムジルコニウム等
が挙げられる。撥水剤としては、各種ワックス(天然ワ
ックス、石油系ワックス、塩素化パラフィン、ワックス
エマルジョンなど)、高級脂肪酸誘導体、合成樹脂類、
クロム錯塩、ジルコニウム塩、シリコン樹脂などが挙げ
られる。
【0029】発泡性マイクロカプセルとしては、例えば
塩化ビニリデン、アクリロニトリル、アクリル酸エステ
ル、メタクリル酸エステル等の共重合体からなる熱可塑
性の樹脂微粒子中にイソブタン、ペンタン、ヘキサン、
低沸点ハロゲン化炭化水素等の低沸点溶剤を内包させた
もので、70〜150℃の温度で直径が3〜5倍、体積
で30〜120倍に膨張する平均粒径が5〜50μmの
粒子が挙げられる。この発泡性マイクロカプセルには更
に成形体の密度を低下させる効果があるが、発泡剤を混
合した熱可塑性樹脂を粉砕して得た粒子も同様な効果が
期待出来る。尚、熱可塑性樹脂としては環境上生分解性
のものが好ましい。
【0030】組成物のスラリーは、通常撹拌機を有する
装置でバッチ式或いは連続的に調製される。スラリー形
成に用いられる分散媒体としては通常水が使用される
が、他にメタノール或いはエタノール等のアルコール、
アセトン、酢酸エチル、グリセリン等の有機溶媒、水と
アルコールの混和液等を使用することができる。水とア
ルコールの混和液を用いる場合、乾燥性が良くて生産性
が上がる等のメリットがある。また、媒体の加温も乾燥
速度を上げる効果がある。スラリーの濃度は、通常乾燥
固形分量が0.05〜10重量%の範囲に調製される
が、分散状態の点で0.05〜3重量%の範囲のものが
好ましい。
【0031】成形体製造に用いられる成形型としては、
通常のパルプモールド用金型を使用することもできる
が、より優れた緩衝性を有するブロック状の成形物を必
要とする場合には、多数の小孔を有する深底の容器、例
えば円筒或いは角筒等の筒状容器、或いは割型容器が通
常使われる。(以下、本発明においては成形型を成形容
器と称する)
【0032】成形容器の小孔は、円形、楕円形、正方
形、長方形等如何なる形状のものでもかまわない。小孔
の大きさはパルプ繊維が殆ど洩れないレベルのものであ
れば良く、通常直径或いは一辺が30μm〜3mmの範
囲の円形或いは正方形のものが使われるが、本発明に於
いては特に限定されるものではない。通常パルプ繊維が
大きい場合は大きめの孔を持つものが使われ、小さい場
合には小さめのものが使われる。パルプモールドに使わ
れる金型の様に比較的大きな孔を有する成形容器壁に目
の細かい金網を張りつけたものも使用できる。また、小
孔の大きさは成形容器の各部分で変えることもできる。
又、小孔は必ずしも成形容器壁の全面に存在させる必要
はなく、筒状容器の場合には底部にのみ存在させてもよ
い。脱水効率等を考慮すると、成形容器の壁の20%以
上の部分に小孔を存在せしめることが好ましく、より好
ましくは35%以上である。小孔が存在する部分に於け
る小孔の数はcm2当たり1個以上存在せしめることが
好ましく、より好ましくはcm2当たり4個以上であ
る。
【0033】成形容器へのパルプスラリーの注入は、
開放口が上向きの成形容器に開放口からポンプでスラリ
ーを注入する、通常のパルプモールドのように開放口
を下向きにしてパルプスラリータンクに浸し、小孔より
吸引することによって下向きの開放口よりスラリーを成
形容器中に吸い込ませる、開放口を上向きにして成形
容器をパルプスラリータンク中に沈めながら吸引し、開
放口よりスラリーを成形容器中に吸い込ませる、等の方
法をとることができる。
【0034】スラリーの分散媒体である水を小孔から除
去する方法としては、吸引脱水法、ガス加圧脱水法、機
械加圧脱水法、電気浸透脱水法等があり、これらを組合
せることもできる。
【0035】分散媒体の水を小孔から除去して成形容器
内に形成された湿潤状態の成形物は、その後容器内で或
いは容器外に取り出して乾燥させる。容器内で乾燥する
場合は寸法精度の良い成形物が得られるものの生産性が
悪いという欠点をもつ。一方、容器外乾燥の場合は寸法
精度はやや劣るが、生産性の点では優れている。その折
中案として、容器内での乾燥を途中まで行った後に、取
り出して容器外乾燥を行う方法をとることが出来る。
【0036】乾燥方式としては、例えば熱風乾燥、赤外
線乾燥、マイクロウェーブ乾燥等、公知の方法を単独で
或いは組み合わせて採ることが出来る。また、途中まで
の乾燥には熱風の代わりに加熱水蒸気を使うことも出来
る。中でも熱風乾燥法は、装置が安価で、成形体に焦げ
が発生し難い等の理由で好ましい。中でも、加熱エアー
(ガス)を湿潤状態の成形物に注入する、或いは成形物
の反対側から加熱エアーを入れながら吸引する等して、
セルロース系粗粉間の空隙のエアーの流れを良くした通
気乾燥は、乾燥が速くて成形体の生産効率が極めて良く
特に好ましい。熱風乾燥では通常80〜400℃の温度
範囲の熱風が使われる。通気乾燥の通気量としては、2
リッター/cm2・分以上が乾燥効率の点で好ましく、
5リッター/cm2・分以上が特に好ましい。この通気
乾燥は厚さ10mm以上、取り分け40mm以上の成形
体を乾燥する場合に特に有効である。成形体の乾燥速度
を速めるには、更に成形体の表面に意識的に凹凸をつけ
て表面積を広げる、若しくは成形体に貫通或いは非貫通
の孔を開けてエアーがセルロース系粗粉間空隙に入り易
くする工夫も有効である。厚さ40mm以上の箇所を有
する成形体の良好な乾燥法として、具体的に例を挙げる
ならば、成形体の厚さ30mm以上の箇所に10〜30
mmの間隔で非貫通孔を設けて、その孔に温度200〜
300℃の熱風を、1〜5kg/cm2の圧力で注入す
る方法を挙げることができる。成形体の表面に意識的に
凹凸をつける方法としては、成形型に凹凸パターンを設
ける方法等が有効であり、成形体に貫通或いは非貫通孔
を設ける方法としては針状または棒状のものを強制的に
押し込む方法もあるが、別の方法としてウォータージェ
ット等水流を使う方法が有効である。他に、成形容器又
は/且つスラリー自体をスラリー注入前に加温しておく
方法も乾燥速度を速める効果がある。以下、本発明に用
いられる成形法をより具体的に示すために図によって詳
細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではな
い。
【0037】図1〜図4は、本発明の低密度成形体の製
造に用いられる一成形法を断面図で示したものである。
成形容器10は、図1に示すように、上部開放型の筒状
をなす二重壁容器で、内壁に多数の脱水用小孔11を有
すると共に、内壁の底内周部に段部を設けた凸形状の下
型12を有し、内外二重の壁で吸引室13が形成され、
外壁底部には吸引口14が取付けられている。なお、下
型12の形状として模式的に段部付きの単純なものを図
示したが、緩衝材(低密度成形体)で保護する物品の形
状に合わせてより複雑な凹凸形状のものにすることがで
きる。図1は、上部のガイド15よりスラリー16を注
入しながら、下部の吸引口14から吸引脱水することに
より、容器の開放面上にセルロース系粗粉を盛り上がる
ように堆積させて容器10への充填が終了した状態を示
している。17は吸引によって滲みだした水滴を示し、
18は湿潤状態のセルロース系粗粉の充填物を示す。
【0038】図2は、図1の成形容器の開放面上に盛り
上げ堆積させた不要部分をウォータージェット19で切
除している状態を示している。切除は、ウォータージェ
ットノズルを移動させながら行う。図3は、底面が平ら
で該底面に多数の小孔21を有するプレス機上型20で
軽く圧縮して表面を平滑に整えた後に、上型20の熱風
口22から熱風を送り込んで乾燥させている状態を示し
ている。その際、吸引口14から吸引を行うとより効率
的に乾燥が進む。図4は、乾燥後に成形容器10から取
り出して得られた最終成形物(低密度成形体)23を示
している。因みに、図3のプレス機上型20の底面を特
殊形状にしたものを使用すれば、より複雑な表面形状の
成形物を得ることができる。
【0039】図5〜図9は、本発明に用いられる別の成
形法を断面図で示したものである。成形容器24は、図
5に示すように、中央で左右に二つに分割できる二重壁
容器25a、25bからなり、内外の壁で吸引室26
a、26bが形成され、外壁底部には二つの吸引・排水
口27a、27bが取付けられ、外壁の側面上部には吸
水口32とガス抜き口34が取付けられている。内壁2
9は多数の脱水用小孔31を有し、それによって囲まれ
た空隙(キャビテイ)30を有する。更に、外壁と内壁
の両方を貫通する形で、原料注入管36と加圧熱風注入
管38が取付けられている。加圧熱風注入管38は二股
に分岐され、分岐管部分が空隙(キャビテイ)30に挿
入されている。図示例の空隙30は、理解しやすいよう
に回転楕円体を示しているが、緩衝材(低密度成形体)
で保護する商品の形状に合わせてより複雑な凹凸形状の
ものにすることができる。図5は、二つの吸引・排水口
27a、27bのコック(又は弁)28a、28bと原
料注入管36のコック(又は弁)37と加圧熱風注入管
38のコック(又は弁)39を閉め、ガス抜き口34の
コック(又は弁)35を開けた状態で、吸水口32から
水を供給して二重壁容器の全空所、すなわち空隙30と
吸引室26a、26bを水で満たした状態を示してい
る。
【0040】図6は、その後に吸水口32のコック33
を閉めて吸水を止めた後に、原料注入管36のコック3
7を開けて加圧下で空隙30にスラリー15を注入しな
がら、空隙30内の水をセルロース系粗粉で置換し、空
隙30内を湿潤状態のセルロース系粗粉で充満させた状
態を示している。その際、容器内から溢れた水はガス抜
き口34から除去される。図7は、セルロース系粗粉の
充填の終了後、原料注入管36のコック37を閉じ、続
いて二つの吸引・排水口27a、27bのコック28
a、28bを開けて吸引脱水し、吸引室26a、26b
の水を排除すると共に、充填物40中の水分含有量を減
少させた状態を示している。41は吸引によって充填物
より滲みだした水滴を示している。図8は、加圧熱風注
入管38のコック39を開けて、熱風を湿潤状態の充填
物40中に注入して乾燥させた状態を示している。図9
は、成形容器24の二重壁容器25a、25bを開い
て、乾燥したセルロース系粗粉の最終成形物42を取り
出した状態を示している。
【0041】図10〜図14は、本発明に用いられる更
に別の成形法を断面図で示したもので、下型の異なる2
つの成形容器によって得た充填物の両切断面を接合して
一体とした成形物の例を示している。図10(a)は、
図1の成形容器10と下型の形状を含めて全く同様の構
成をもつ容器10aを用い、全く同様な操作を行って容
器へのセルロース系粗粉の充填が終了した状態を示して
いる。一方、図10(b)は、図1の成形容器10の下
型とは異なる形状の下型12bを有している以外は、全
く同様な容器10bを用い、同様な操作を行って容器1
0bへのセルロース系粗粉の充填が終了した状態を示し
ている。図11(a)と図11(b)は、図10(a)
と図10(b)の成形容器の開放面上に盛り上げ堆積さ
せた不要部分をウォータージェット19で切除している
状態を示している。図12は、図11(a)と図11
(b)のようにして不要部分を切除したのちの両充填物
18、18の切断面に水を供給して僅かに流動性をもた
せた後、容器10bを反転させて充填物18、18の切
断面同士を重ね、軽く加圧して二つの充填物を一体化さ
せている状態を示している。図13は、その後に上部
(容器10b側)の吸引口14を開放した後、下部(容
器10a側)の吸引口14から吸引脱水して充填物の水
分含有量を下げ、続いて、上部吸引口14から熱風を送
り込んで乾燥している状態を示している。図14は、乾
燥後に成形容器から取り出して得られた最終成形物43
を示している。
【0042】成形体に、紙力増強剤、耐水化剤、撥水
剤、染料、顔料、防腐剤、防黴剤、抗菌剤、難燃剤、殺
鼠剤、防虫剤、鮮度保持剤、脱酸素剤、電磁シールド
材、帯電防止剤、防錆剤、芳香剤、消臭剤等を含有せし
める方法としては、前記の如くスラリー中にこれらを添
加混合する内添法以外に、成形体を製造した後に表面塗
布する方法、即ち外添法をとることもできる。この表面
塗布には、含浸、刷毛塗り、スプレー等の手段が使え
る。勿論内添・外添を併用しても構わない。外添の場合
には、上記微細繊維を用いることもできる。外添法は内
添法に比べて添加成分を表面に多く分布できる特徴があ
る。他に、成形体と、上質紙、セロファン紙、耐水紙、
耐油紙、蒸着紙、塗工紙、板紙、段ボール、合成紙、不
織布、布、合成フィルム、金属箔、木板、合成樹脂板、
ガラス板、金属板等の他の素材を貼り合わせて使うこと
もできる。また、得られた成形体同士を貼り合わせるこ
とも出来る。成形体表面にフィルム層を設ける手段とし
てシュリンク包装技術を使うこともできる。組み合わせ
て使う素材としては生分解性等環境に優しいものが好ま
しい。他に、成形体には、切削、印刷等の加工を施すこ
とも出来る。
【0043】かくして得られた成形体は、低密度性、緩
衝性、断熱性、防音性、吸湿性、生分解性等の特徴を生
かして、包装用緩衝材の他に、建材、畳芯材等現在発泡
樹脂成形体が用いられている分野に広く応用できる。ま
た、通気性を生かしてフィルターの分野に使うことがで
きる。また、マネキン等の分野も有望である。
【0044】
【実施例】以下に実施例を挙げてより具体的に説明する
が、勿論本発明はこれらに限定されるものではない。
尚、実施例及び比較例において「部」及び「%」とある
のは特に断らない限り「固形分重量部」及び「重量%」
を示す。
【0045】<実施例1>国内産針葉樹木材チップ絶乾
換算500g分を24時間水中に浸漬した後、12イン
チ加圧型リファイナー(熊谷理機工業株式会社製、型
式:BRP45−300SS)にて温度140℃、クリ
アランス0.45mmにて処理を行うことにより木材粗
粉を得た。この木材粗粉のフリーネスをカナダ標準フリ
ーネス測定法と同じ操作法によって測定したところ74
0mlであった。また、固形分濃度1%の広葉樹晒クラ
フトパルプの水スラリーを、平均粒径2mmφのガラス
ビーズを80%充填した1.5リットル容のダイノミル
(型式:KDL−PILOT型、シンマル・エンタープ
ライゼス社製)装置に350ml/分で導入、通過させ
ることにより数平均繊維長0.28mm、結合強化ファ
クター0.53の微細繊維を得た。この微細繊維の保水
度を測定したところ、285%であった。以上のように
して得られた木材粗粉90部と、微細繊維10部、及び
水を加えて固形分濃度2%となるように原料スラリーを
調整した。上記スラリー800g(絶乾換算で16g)
分をとり、ねじ込み式銅合金製管継手2種類(内径50
mm、長さ100mmの長ニップル、内径50mm×2
5mmの径違いソケット)の間に52mmφのアルミ製
円形パンチング板及び52mmφの80メッシュ円形ス
テンレス製ワイヤーを挟み込んで作製した金属製容器の
中に、径違いソケット側から水封式真空ポンプで吸引し
ながら注ぎ込み、長ニップル内に湿潤状態の成形物を形
成させた。その後、下部開放部から真空ポンプにて吸引
したまま、上部から熱風発生器(商品名:ホットゲー
ル、型式:HT2−10、(株)宮本製作所製)にて2
50℃の熱風を送り込むことにより成形体を乾燥させ
た。完全に乾燥するまでに要した時間は3分間であっ
た。得られた成形体の物性を測定したところ、密度は
0.10g/cm3、緩衝性は良好であった。以下に、
用いた微細繊維の評価方法を示す。
【0046】評価方法 [結合強化ファクターの測定方法]広葉樹晒クラフトパ
ルプ50部と針葉樹晒クラフトパルプ50部を混合し、
2%濃度に調製して、実験用ナイアガラビーター(容量
23L)にて、カナダ標準フリーネス(CSF)500
mlとなるまで叩解した。この紙料絶乾3.7g分をと
り薬品を加えることなく、150メッシュのワイヤーを
用いて、角型(25cm×25cm)手抄マシンにてシ
ートを形成させ、コーチング処理の後、常法に従って
3.5kg/cm2の圧力にて5分間(第一プレス)と
2分間(第二プレス)のウェットプレスを施した後、枠
に挟んで送風乾燥機により常温にて乾燥を行った。その
後130℃で2分間熱処理して坪量60g/m2のシー
ト1を作製し、20℃、65%RHに調湿した。一方、
上記NL混合叩解パルプ50部と微細繊維50部をよく
混合した原料から絶乾3.7g分をとり、同様の方法に
てシート2を作製し、20℃、65%RHにて調湿し
た。シート1及び2の密度を測定した後、動的ヤング率
測定器(野村商事(株)製、型式:SST−210A)
を用いて超音波伝播速度を測定することにより、シート
1及び2の弾性率(GPa)を測定した。弾性率(E)
は以下の式で計算した。 E(GPa)=ρ(g/cm3)×{S(km/s)}2 但し、ρはシートの調湿後の密度(g/cm3)、Sは
超音波伝播速度(km/s)を示す。シート1の弾性率
をE1(GPa)、シート2の弾性率をE2(GPa)
とした場合、結合強化ファクターは{(E2/E1)−
1}で表される。
【0047】[数平均繊維長の測定法]カヤーニ繊維長
測定器(型式:FS−200)により測定した。
【0048】[保水度の測定法]微細繊維の保水度は、
以下のようにJAPAN TAPPI No.26−7
8に準じて測定した。固形分濃度1%の微細繊維スラリ
ーを濃度6〜9%の範囲にブフナー漏斗を用いて濃縮
し、試料を絶乾重量で0.7gとなるように採取し、G
3のガラスフィルターを有する遠心管に入れ、遠心分離
機(型式:H−103N、国産遠心器社製)にて、遠心
力3000Gで15分間遠心脱水処理を行った。遠心脱
水処理した試料を遠心管より取り出し、湿潤状態の重量
を測定し、その後105℃の乾燥器で恒量になるまで乾
燥し、乾燥重量を測定し、下記式により保水度を算出し
た。 保水度(%)={(W−D)/D}×100 但し、Wは遠心脱水後の試料湿潤重量(g)、Dはその
試料の乾燥重量(g)である。
【0049】<実施例2>国内産針葉樹木材チップ絶乾
換算500g分を24時間水中に浸漬した後、12イン
チ加圧型リファイナー(熊谷理機工業株式会社製、型
式:BRP45−300SS)にて温度140℃、クリ
アランス0.45mmにて処理を行うことにより1パス
処理の木材粗粉を得た。この1パス処理品を、同じリフ
ァイナーを用いて、温度140℃、クリアランス0.4
0mmにて処理することにより、2パス処理の木材粗粉
を得た。この2パス処理木材粗粉のフリーネスをカナダ
標準フリーネス測定法と同じ操作法によって測定したと
ころ630mlであった。このリファイナー2パス処理
木材粗粉を1パス処理品の代わりに使用すること以外は
実施例1と同様にして成形体を作製した。完全に乾燥す
るまでに要した時間は3.5分間であった。得られた成
形体の物性を測定したところ、密度は0.11g/cm
3、緩衝性は良好であった。
【0050】<実施例3>加圧リファイナー2パス処理
品のみとし、微細繊維を配合しないこと以外は実施例2
と同様にして低密度体を作製した。完全に乾燥するまで
に要した時間は3分間であった。得られた成形体の物性
を測定したところ、密度は0.10g/cm3、緩衝性
は良好であった。しかし、層間強度は実施例2の低密度
体より劣っていた。
【0051】<実施例4>実施例2で使用した加圧リフ
ァイナー2パス処理品50部、微細繊維を10部、及
び、市販のカールドファイバー(商品名:NHB40
5、米国ウェアーハウザー社製)を50部とり、水を加
えて攪拌し、固形分濃度2%の水性スラリーを得た。こ
のスラリーを原料として使用すること以外は実施例1と
同様にして成形体を作製した。完全に乾燥するまでに要
した時間は2分間であった。得られた成形体の物性を測
定したところ、密度は0.09g/cm3、緩衝性は良
好であった。
【0052】<実施例5>国内産針葉樹木材チップ絶乾
換算500g分を24時間水中に浸漬した後、12イン
チリファイナー(熊谷理機工業株式会社製、型式:BR
30−300HB)にてクリアランス0.40mmにて
常温で処理を行うことにより木材粗粉を得た。この木材
粗粉のフリーネスをカナダ標準フリーネス測定法と同じ
操作法によって測定したところ540mlであった。こ
のリファイナー処理木材粗粉を水で0.1%に希釈し8
0メッシュのステンレス製篩で分別し、篩上に残った繊
維を回収した。この80メッシュオンの木材粗粉のフリ
ーネスを測定したところ、620mlであった。この木
材粗粉90部を加圧リファイナー処理木材粗粉90部の
代わりに使用すること以外は実施例1と同様にして成形
体を作製した。完全に乾燥するまでに要した時間は3.
5分間であった。得られた成形体の物性を測定したとこ
ろ、密度は0.12g/cm3、緩衝性は良好であっ
た。
【0053】<実施例6>稲の籾殻絶乾500g分を2
4時間水中に浸漬した後、12インチリファイナー(熊
谷理機工業株式会社製、型式:BR30−300HB)
にてクリアランス0.40mmにて常温で処理を行うこ
とにより籾殻粗粉を得た。この粗粉のフリーネスをカナ
ダ標準フリーネス測定法と同じ操作法によって測定した
ところ650mlであった。この木材粗粉90部を加圧
リファイナー処理木材粗粉90部の代わりに使用するこ
と以外は実施例1と同様にして成形体を作製した。完全
に乾燥するまでに要した時間は4分間であった。得られ
た成形体の物性を測定したところ、密度は0.15g/
cm3、緩衝性は良好であった。
【0054】<比較例1>針葉樹晒クラフトパルプを水
で2%濃度に調整した後、実験用ナイアガラビーター
(容量23L)にてCSF450mlとなるまで叩解し
た。このパルプスラリーから絶乾16g分(800m
l)を原料として使用すること以外は実施例1と同様に
して成形体を作製した。乾燥する際の効率は悪く、完全
に乾燥するまでに16分間を要した。得られた成形体の
物性を測定したところ、密度は0.38g/cm3であ
り、硬く、市販の発泡スチロールと比較すると緩衝性は
かなり劣っていた。
【0055】
【発明の効果】上記のように、本発明は、多数の小孔を
有する成形型の小孔から、スラリーの分散媒体である水
を除去することによって該成形型にスラリーの小孔不通
過成分を堆積させて成形物とし、その後湿潤状態の該成
形物を型内或いは型外乾燥して得られる成形体におい
て、該小孔不通過成分としてセルロース系粗粉を含有
し、スラリー形成に用いられる組成物のカナダ標準フリ
ーネス(CSF)が550ml以上であり、かつ密度が
0.02〜0.30g/cm3であることを特徴とする
成形体であるから、生分解性であるとともに、低密度性
と緩衝性と生産性に優れた成形体を提供するという効果
を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の成形体製造に用いられる成形容器の第
1の例を示すもので、成形容器にパルプを堆積させた状
態の断面図である。
【図2】図1の成形容器の開放面上に堆積した不要部分
を切除する状態を示す断面図である。
【図3】図2によって不要部分を切除した後の湿潤状態
のパルプ充填物を乾燥する状態の断面図である。
【図4】図3によって得られた最終製品の断面図であ
る。
【図5】本発明の第2の例を示すもので、左右に2つに
分割できる成形容器の断面図である。
【図6】図5の成形容器内にパルプスラリーを注入する
状態を示す断面図である。
【図7】図6の成形容器内に注入したパルプスラリーを
脱水する状態を示す断面図である。
【図8】図7によって得た湿潤状態のパルプ充填物を乾
燥する状態を示す断面図である。
【図9】図8によって乾燥したのち成形容器を左右に分
割して最終製品を取り出す状態の断面図である。
【図10】下型の異なる2つの成形容器を用いる本発明
の第3の例を示すもので、(a)は一方の成形容器にパ
ルプスラリーを充填する状態、(b)は他方の成形容器
にパルプスラリーを充填する状態を示す断面図である。
【図11】図10によって堆積した湿潤状態のパルプ充
填物を示すもので、(a)は一方の成形容器の上部に突
出する部分を切断する状態、(b)は他方の成形容器の
上部に突出する部分を切断する状態の断面図である。
【図12】図11(a)と図11(b)によって不要部
分を切除したのちの両充填物の開放面に水を供給した
後、他方の成形容器を反転させて充填物の開放面同士を
重ねて二つの充填物を一体ものとした状態を示す断面図
である。
【図13】図12によって得た湿潤状態のパルプ充填物
を乾燥する状態の断面図である。
【図14】図13によって得た最終製品の断面図であ
る。
【符号の説明】
10 成形型(成形容器) 11、21、31 脱水用小孔 12、12a、12b 下型 13 吸引室 14 吸引口 15 ガイド 16 パルプスラリー 17、41 水滴 18、40 パルプ充填物 19 ウォータージェット 20 プレス機上型 22 熱風口 23、42、43 最終成形物 24 成形型(成形容器) 25a、25b 二重壁容器 26a、26b 吸引室 27a、27b 吸引・排水口 28a、28b コック(弁) 29 内壁 30 空隙(キャビテイ) 32 吸水口 33、35、37、39 コック(弁) 34 ガス抜き口 36 原料注入管 38 加圧熱風注入管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 塩井 俊介 東京都中央区銀座四丁目7番5号 王子製 紙株式会社内 (72)発明者 岩崎 廣司 東京都千代田区外神田三丁目6番4号 王 子製袋株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数の小孔を有する成形型の小孔から、
    スラリーの分散媒体である水を除去することによって該
    成形型にスラリーの小孔不通過成分を堆積させて成形物
    とし、その後湿潤状態の該成形物を型内或いは型外乾燥
    して得られる成形体において、前記小孔不通過成分とし
    てセルロース系粗粉を含有し、スラリー形成に用いられ
    る組成物のカナダ標準フリーネス(CSF)が550m
    l以上であり、かつ密度が0.02〜0.30g/cm
    3であることを特徴とする低密度成形体。
  2. 【請求項2】 該セルロース系粗粉が、木材チップ、バ
    ガス、稲藁、籾殻から選ばれた少なくとも1種を機械的
    に粗粉砕して得られるもの、或いは籾殻自体である請求
    項1に記載の低密度成形体。
  3. 【請求項3】 スラリー形成に用いられる組成物が、結
    合強化ファクター0.15以上の微細繊維を含有する請
    求項1に記載の低密度成形体。
  4. 【請求項4】 スラリー形成に用いられる組成物が、湿
    潤カールファクター0.4〜1.0の範囲にあるカール
    ドファイバーを含有する請求項1に記載の低密度成形
    体。
  5. 【請求項5】 該成形型として筒状型を用いる請求項1
    に記載の低密度成形体。
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