JPH11226704A - アモルファス合金薄帯の製造方法 - Google Patents

アモルファス合金薄帯の製造方法

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JPH11226704A
JPH11226704A JP3027498A JP3027498A JPH11226704A JP H11226704 A JPH11226704 A JP H11226704A JP 3027498 A JP3027498 A JP 3027498A JP 3027498 A JP3027498 A JP 3027498A JP H11226704 A JPH11226704 A JP H11226704A
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alloy
ribbon
molten alloy
temperature
molten
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JP3027498A
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Yuichi Sato
有一 佐藤
Shigekatsu Ozaki
茂克 尾崎
Satoru Shida
悟 志田
Kunihiro Yukizono
邦裕 柚木園
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、Fe等を主成分とするアモ
ルファス合金薄帯の製造において存在していた製造歩留
低下の問題を解決し、板幅が20mmを超えても良好な薄
帯を製造するための方法を提供することにある。 【解決手段】 本発明は、Bを7〜20原子%、Si,
Cのうち少なくとも1種を合計で1〜20原子%含有
し、残部がFe,Co,Niのうち少なくとも1種から
なる溶融合金の噴出時の温度を、合金融点より150℃
以上300℃以下の範囲とすることを特徴とするアモル
ファス合金薄帯の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、溶融合金および
溶融金属(以下、「溶融合金」と称す。)を移動する冷
却基板上で急冷凝固して、薄帯状(薄帯状には板幅と板
厚の差が小さい線状または細線状のものも含む。)のア
モルファス合金やアモルファス金属(以下単に「薄帯」
と称す。)を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】薄帯を製造するための液体急冷法におい
て、1つの高速回転している冷却ロール上に溶融合金を
噴出して薄帯を得る、いわゆる単ロール法や、1対の高
速回転している冷却ロール間に溶融合金を噴出して薄帯
を得る双ロール法などがある。
【0003】液体急冷法により薄帯を形成する方法にお
いて、例えば図1に示す単ロール急冷凝固薄帯製造装置
を用いる場合を例にして説明する。単ロール急冷凝固薄
帯製造装置は図1に示すように、溶融合金を保持するタ
ンディッシュ2、冷却ロール10、巻取りロール13な
どから構成される。タンディッシュ2に保持された溶融
合金は、所定の温度でタンディッシュ2の側部に搭載さ
れたノズルチップを介して冷却ロール10に噴出され
る。このとき、冷却ロール10は高速回転しており、噴
出された溶融合金は冷却ロール10上で急冷凝固されて
薄帯11となる。薄帯11は巻取りロール13で巻き取
られ、連続して薄帯が製造される。
【0004】タンディッシュ2から冷却ロール10の表
面に溶融合金が噴出される過程については、一例として
図2を用いて説明する。図2において、溶融合金1は、
その湯面レベルが一定になるようにタンディッシュ2に
給湯されている。このタンディッシュ2の底壁には羽口
レンガ3が設けられており、この羽口レンガ3に中間ノ
ズル4およびノズルホルダー5が連結されている。これ
らの羽口レンガ3、中間ノズル4およびノズルホルダー
5の内部に孔が設けられており、この孔が接続されて溶
湯流路6、ノズルホルダー5内の拡大内部空間12とな
る。また、ノズルホルダー5の先端にはノズルチップ7
が取り付けられており、このノズルチップ7の内部に設
けたノズルスリット8が溶湯流路6に連通している。
【0005】なお、ノズルホルダー5内の拡大内部空間
12、ノズルチップ7さらにノズルスリット8について
は図3にて示すが、拡大内部空間12とは広幅の薄帯を
得るためにノズルホルダー5内で溶湯流路6を広げた部
分を指し、ノズルスリット8とはノズルチップ7中に設
けた溶湯噴出用の開口を指す。
【0006】ストッパー9を上昇させることによってタ
ンディッシュ2内の溶融合金1は、溶湯流路6を経由し
てノズルスリット8から冷却ロール10に溶融状態で噴
出される。ノズルスリット8から噴出された溶融合金1
は、冷却ロール10の表面で急速に冷却されて薄帯11
となる。なお、図2において、装置全体に関する理解を
容易にするため、冷却ロール10はタンディッシュ2の
縮尺率よりも大きな縮尺率で描かれている。
【0007】ここで、タンディッシュに保持され、ノズ
ルチップを介して噴出される溶融合金は、溶解装置を有
する取鍋などで予め溶解され、薄帯製造中タンディッシ
ュに連続的に供給される。良好な薄帯を得るためには、
噴出時の溶融合金の温度が重要な製造パラメータとな
る。
【0008】液体急冷法により薄帯を得る際、噴出時の
溶融合金の温度を所定の範囲に限定して薄帯を得る方法
が、例えば特開昭62−166061号公報で提案され
ている。この方法は、活性金属を含むアモルファス合金
の溶融合金をノズルから噴出する際、溶融合金の温度を
その合金の融点より20〜100℃の範囲としてノズル
から噴出し、薄帯を製造する方法である。
【0009】本発明者らは、Fe,Co,Niを主成分
とし、B,Si,Cさらには、P,Mn,Sを含有する
アモルファス合金の薄帯を得るために、この方法を用い
て薄帯の製造を試みた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、薄帯の
板幅が例えば20mm程度までの比較的狭い板幅の場合は
良好な薄帯が得られたものの、薄帯の板幅が20mmを超
えるようになると、良好な薄帯の製造は困難となった。
つまり、薄帯の幅方向端部が鋸状となったり、さらに板
幅を広くするとノズルスリット両端でノズル詰まりが起
こって、目的の板幅が得られなくなることがわかった。
これらの合金の薄帯を工業材料として広く使用するため
には、広い板幅の薄帯の製造を可能とすることが重要と
なる。さらに本発明者らは、噴出時の溶融合金の温度を
あまり高くすると、薄帯は得られるものの薄帯の特性が
劣化することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】本発明の目的は、Fe,Co,Niを主成
分とし、B,Si,Cさらには、P,Mn,Sを含有す
るアモルファス合金の薄帯の製造において存在していた
上記のような問題点を解決し、板幅が20mmを超えても
良好な薄帯を製造するための方法を提供することにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下の構成を
要旨とする。すなわち、(1)溶解した合金を高速に移
動する冷却基板上に連続して噴出し、該冷却基板上で急
冷凝固して薄帯状のアモルファス合金を製造する方法に
おいて、Bを7〜20原子%含有し、かつSi,Cのう
ち少なくとも1種を合計で1〜20原子%含有し、残部
がFe,Co,Niのうち少なくとも1種および不可避
的不純物かるなる合金の溶融合金を該合金融点より15
0℃以上300℃以下の範囲で噴出することを特徴とす
るアモルファス合金薄帯の製造方法、および、(2)合
金の成分が、Bを7〜20原子%、Si,Cのうち少な
くとも1種を合計で1〜20原子%含有し、かつP,M
n,Sのうち少なくとも1種を合計で0.001〜1原
子%、残部がFe,Co,Niのうち少なくとも1種お
よび不可避的不純物からなることを特徴とする(1)記
載のアモルファス合金薄帯の製造方法である。
【0013】以下に本発明を詳細に説明する。本発明
は、例えば図2に示すようなタンディッシュ2を介して
冷却ロール10上に溶融合金1を噴出する際、タンディ
ッシュ2内の溶融合金1の温度を、溶融合金1の融点よ
り150℃以上300℃以下の範囲とすることを特徴と
する薄帯の製造方法である。
【0014】ここで、噴出時の溶湯合金温度を融点より
150℃以上300℃以下と限定した理由について説明
する。本発明者らは、Fe,Co,Niを主成分とし、
B,Si,Cさらには、P,Mn,Sを含有する各種の
アモルファス合金を用いて、各種板幅の薄帯鋳造実験を
行った。その結果、これらの合金の場合、溶融合金の温
度を有る程度高くしないと、目的の板幅は得られないこ
とがわかった。
【0015】薄帯の板幅は、例えば図3に示すようにノ
ズルホルダー5の先端に取り付けたノズルチップ7のノ
ズルスリット8の長手方向長さで決定されるが、溶融合
金1がこのノズルスリット8の全幅に亘って均一に噴出
されないと、目的の板幅が得られないことになる。F
e,Co,Niを主成分とする各種のアモルファス合金
の場合、上記の薄帯製造実験から、噴出時タンディッシ
ュでの溶融合金の温度を融点より150℃以上とすれ
ば、安定して目的の板幅が得られることがわかった。
【0016】一般的に、溶融合金の温度が低下するとそ
の溶融合金の粘性が増加するが、目的の板幅を得るため
の噴出時の溶融合金温度の下限値は、溶融合金の成分に
強く依存すると考えられる。よって、本発明で対象とす
るアモルファス合金の場合は、噴出時の溶融合金の温度
が融点より150℃未満となると、いよいよノズルスリ
ットの両端部への溶融合金の広がりが悪くなるほど粘性
が増加し、ノズルスリットの全幅に亘って均一に噴出す
ることが困難になると考えられる。
【0017】一方、噴出時の溶融合金の温度範囲に上限
を設けた理由は、噴出時の溶融合金の温度を融点より3
00℃超とすると、薄帯は得られるものの薄帯の特性が
劣化するためである。すなわち、Fe,Co,Niを主
成分とし、B,Si,Cさらには、P,Mn,Sを含有
するアモルファス合金の場合、噴出時の溶融合金の温度
を融点より300℃超とすると、薄帯が脆くなったり、
鉄損値が増加する。このような機械的性質や磁気的性質
の劣化の原因は、溶融合金の温度の増加に伴って生じる
冷却不足がアモルファス相の形成を不十分にするためと
考えられるが、アモルファス合金を工業的に利用する際
には好ましくない。
【0018】以上述べたように、噴出時の溶融合金の温
度範囲に設けた上限値はアモルファス相の形成が不十分
になりだす温度を意味している。もちろん、このアモル
ファス相の形成が不十分になりだす温度は合金の成分に
依存し、Fe,Co,Niを主成分とし、B,Si,C
さらには、P,Mn,Sを含有するアモルファス合金の
場合、アモルファス相形成が不十分になりだす境界の温
度が融点より300℃ほど高い温度と言える。なお、噴
出時の溶融合金の温度を融点より300℃超とした場合
の機械的性質や磁気的性質の劣化に関しては、実施例に
て具体的に説明する。
【0019】ここで、「噴出時の溶融合金の温度」とは
本来、ノズルスリットを出た時点での溶融合金の温度を
意味しているが、この時点での溶融合金の温度の測定は
事実上困難であるから、本発明でいう「噴出時の溶融合
金の温度」とはタンディッシュなどの保持容器内での溶
融合金の噴出時の温度を指す。よって、本発明で言う噴
出時の溶融合金の温度は、真の噴出時の温度(ノズルス
リットを出た時点での溶融合金の温度)に噴出時溶湯合
金が移動する間に生じる多少の温度低下分を加味した温
度である。よって、本発明の方法において、噴出時の溶
融合金の温度を所定の温度に管理するためには、タンデ
ィッシュなどに注入した際の温度降下や噴出時溶融合金
が移動する間に生じる温度降下を考慮して、タンディッ
シュヘなどの注入時の溶融合金温度を管理する必要があ
る。
【0020】本発明において、アモルファス合金の溶解
方法に関しては特に限定しない。タンディッシュを用い
る方式の場合は、溶解設備を装着した取鍋で予め溶解
し、溶融合金が所定の温度範囲に達したらタンディッシ
ュに溶融合金を供給する方法や、溶解設備を設けたタン
ディッシュを用い、溶解保持後溶融合金が所定の温度範
囲に達したら噴出する方法でもよい。さらには、下部に
ノズルスリットを有するルツボ等に合金を挿入し、直接
ルツボ内で合金を溶解し、ノズルスリットから噴出方法
でもよい。なお、合金溶融時および保持中は極力大気と
の接触を避けるため、不活性ガスなどの雰囲気で溶解す
ることが好ましい。また、良好な薄帯を得るためには、
タンディッシュ内での湯面高さをできるだけ一定に保つ
など、鋳造中の噴出量をできるだけ一定にすることが好
ましい。
【0021】さらに、本発明はBを7〜20原子%、S
i,Cのうち少なくとも1種の元素を合計で1〜20原
子%含有し、残部がFe,Co,Niのうち少なくとも
1種および不可避的不純物からなるアモルファス合金に
適用できる。さらには、前記合金にP,Mn,Sのうち
少なくとも1種の元素を合計して0.001〜1原子%
含有したアモルファス合金にも適用できる。
【0022】適用できるアモルファス合金の構成元素お
よび含有量に制限を設けた理由は以下の通りである。F
e,Co,Niをべースとした合金において、Bはアモ
ルファス形成能を向上させ、含有量が7〜20原子%の
範囲で安定して安価にアモルファス相を形成する。B含
有量が7原子%未満ではアモルファス相が安定して形成
されず、一方、20原子%超とすると、原料コストが高
くなるだけで、アモルファス形成能に向上が認められな
い。
【0023】さらに、Si,Cはアモルファス相の熱的
安定性や製造性を向上させるために添加する。これらの
元素は1原子%未満ではアモルファス相の熱的安定性や
製造性の向上効果が発現せず、一方、20原子%超とし
ても原料コストが高くなるだけで、アモルファス相の熱
的安定性や製造性に向上が認められない。
【0024】一方、P,Mn,Sはアモルファス合金の
磁気特性を向上させるために添加する。これらの元素は
0.001原子%未満ではその効果が発現せず、1原子
%超となるともはやその効果は消失する。
【0025】また、Fe,Co,Ni元素をベースとし
たのは、アモルファス相とした場合に工業材料として広
く有益な特性を発現するためである。
【0026】次に、本発明において採用される鋳造条件
および具体的な鋳造の作業について説明する。ノズルチ
ップと冷却ロール表面との間隔は0.05〜3mmの範囲
であり、薄帯の板厚や合金の種類やその他の製造条件に
応じて、上記の範囲で最適な値を選ぶことができる。溶
融合金の噴出圧力は0.01〜3kg/cm2 、冷却ロール
の表面速度は5〜50m/秒の範囲である。これらの条
件も目的とする薄帯の板厚や合金の種類、さらにはその
他の製造条件に合わせて最適な値を選択する。
【0027】鋳造作業として、鋳造前に予め鋳造時を想
定してノズルチップと冷却ロール表面との最適位置を設
定し、一旦ノズルチップ(すなわち、タンディッシュあ
るいはルツボ)を移動させる。タンディッシュで溶解し
ない場合は、鋳造開始までの間に充分タンディッシュを
予熱する必要がある。タンディッシュあるいはルツボ内
で合金を溶解し、下部のノズルチップから噴出する際
は、合金溶解後熱電対などで溶融合金の温度を管理し、
所定の範囲内になったら鋳造を開始する。合金の溶解を
別の取鍋などで行う方式の場合は、溶解後溶融合金の温
度を調べ、予め把握してあるタンディッシュなどでの温
度低下分を考慮した所定の温度範囲になったら、タンデ
ィッシュに注入し鋳造を開始する。鋳造開始時は冷却ロ
ールを所定の回転数で回転し、ノズルチップを予めセッ
トした位置に移動してから行う。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例および比較
例によりさらに具体的に説明する。 [実施例1]表1のNo.1〜6に示す各種アモルファ
ス合金を用いて、大気中単ロール薄帯製造装置を用いて
薄帯の製造を行った。用いた単ロール薄帯製造装置は、
直径300mmの銅合金製冷却ロール、試料溶解用の高周
波電源、石英ルツボなどからなり、ルツボの先端にはノ
ズルスリットを取り付けた。このノズルスリットの幅は
25mmおよび50mmの2種類とした(但し、鋳造方向長
さは0.6mmと一定。)。薄帯製造時の冷却ロール回転
数は1200rpmとした。
【0029】試料の挿入量は500gで、ルツボ内をア
ルゴン雰囲気として溶解した。溶解後熱電対により溶融
合金の温度を測定した。溶融合金の温度が所定の温度に
達したとき、ルツボ内にアルゴンガスを流し、溶融合金
を噴出した。噴出時の溶融合金の温度は、合金の融点と
の温度差(以下、△Tと称す。)ですべてのチャージと
も150℃以上300℃以下の範囲とした。なお、噴出
時のルツボ内圧力は0.3kg/cm2 、ノズルスリットと
冷却ロール表面との間隔を0.3mmとした。
【0030】得られた結果を表1のNo.1〜6に示
す。結果として、すべてのチャージで目標通りの板幅を
有する薄帯が得られた。なお、噴出時の△Tは、表1か
らわかるように、すべてのチャージで150℃以上30
0℃以下の範囲にあったことがわかる。
【0031】得られた薄帯の曲げ特性を調査するため
に、100mm長さのサンプルを5枚ずつ採取し、これら
のサンプルについて曲げ実験を行った。曲げ実験におい
ては、薄帯自由面を内側にして薄帯を折り曲げ、破壊し
た際の直径を測定し、曲げ破壊直径として表1に整理し
た。表1に示す値は、5枚のサンプルの曲げ破壊直径デ
ータの平均値である。
【0032】結果として、いずれのチャージの薄帯とも
曲げ破壊直径が1mm以下と良好な値を示し、特に、N
o.4〜6の薄帯では密着曲げが可能なほど良好な機械
的性質を示した。さらに、薄帯の磁気的性質を評価する
ために、No.5の薄帯について鉄損値を測定した。測
定サンプルは360℃で1時間、窒素雰囲気中で磁場焼
鈍し、SSTで鉄損を測定した。得られた値を表1のN
o.5に示すが、良好な鉄損値を示すことがわかった。
【0033】以上の結果から、噴出時の溶融合金の△T
を150℃以上300℃以下の範囲にすることにより、
目標通りの板幅からなる薄帯が得られ、得られた薄帯は
良好な特性を有していることがわかった。
【0034】
【表1】
【0035】[実施例2]図2に示す大気中単ロール薄
帯製造装置を用いて、各種アモルファス合金の薄帯の製
造を試みた。用いた合金は表2のNo.1〜5に示す。
製造に用いた溶融試料噴出用ノズルチップのノズルスリ
ット形状は、1mm×100mmおよび1mm×150mmの2
種類とした。合金の溶解は高周波誘導方式により、溶解
後所定の温度に達したら、タンディッシュに供給し、タ
ンディッシュ内での湯面高さが250mmになったところ
で鋳造を開始した。なお、鋳造中この湯面高さをほぼ一
定にするように取鍋から溶融合金を供給した。
【0036】また、鋳造中タンディッシュにおいて熱電
対により溶融合金の温度を測定し、△Tはすべてのチャ
ージとも150℃以上300℃以下の範囲とした。その
他の鋳造条件として、鋳造中の冷却ロールの表面速度は
20m/秒とし、ノズルチップと冷却ロール表面との間
隔を0.2mmとした。
【0037】得られた結果を表2のNo.1〜5に示
す。結果として、すべてのチャージで目標通りの板幅を
有する薄帯が得られた。なお、タンディッシュで測定し
た噴出時の△Tは、表2からわかるように、鋳造中多少
温度が変動したが、すべてのチャージで150℃以上3
00℃以下の範囲にあった。
【0038】得られたすべての薄帯について曲げ特性を
調査した。曲げ特性の試験要領は実施例1と同様であっ
た。結果として、いずれのチャージの薄帯とも曲げ破壊
直径が1mm以下と良好な値を示し、特に、No.2の薄
帯では密着曲げが可能なほど良好な機械的性質を示し
た。さらに、薄帯の磁気的性質を評価するために、N
o.5以外の薄帯について鉄損値を測定した。サンプル
の熱処理方法および鉄損測定方法は実施例1の場合に同
様とした。得られた値を表2No.1〜4に示すが、良
好な鉄損値を示すことがわかった。
【0039】これらの結果から、噴出時の溶融合金の△
Tを150℃以上300℃以下の範囲にすれば、目標通
りの板幅からなる薄帯が得られ、得られた薄帯は良好な
特性を示すことがわかった。
【0040】
【表2】
【0041】[比較例1]実施例1と同様の薄帯製造装
置を用いて薄帯の製造を3チャージ試みた。用いたアモ
ルファス合金は表1のNo.7〜9に示す。いずれのチ
ャージとも噴出時の△Tを150℃未満とした。その他
の製造条件は実施例1と同様であった。
【0042】得られた結果を表1のNo.7〜9に示す
が、いずれのチャージとも板幅が目標板幅より若干小さ
な値となり、かつ幅方向両端部が鋸状を示す薄帯となっ
た。板幅が目標通りでないばかりか、両端部が鋸状では
好ましくない。
【0043】得られたすべての薄帯について曲げ特性を
調査した。曲げ特性の試験要領は実施例1と同様であっ
た。結果として、いずれのチャージの薄帯とも曲げ破壊
直径が1mm以上で、機械的性質が劣化しているのがわか
った。この曲げ破壊直径の増加は端部が鋸状になったこ
とによると考えられる。
【0044】さらに、薄帯の磁気的性質を評価するため
に、No.8の薄帯について鉄損値を測定した。サンプ
ルの熱処理方法および鉄損測定方法は実施例1の場合に
同様とした。得られた値を表1のNo.8に示すが、鉄
損値においても若干の低下が認められた。機械的性質の
劣化同様、この鉄損値の増加も端部の欠陥によると考え
られる。
【0045】これらの結果から、噴出時の溶融合金の△
Tを150℃未満とすると、良好な薄帯が得られないば
かりか、薄帯の端部の性状さらには特性も劣化すること
がわかった。
【0046】[比較例2]実施例2と同様の薄帯製造装
置を用いて薄帯の製造を3チャージ試みた。用いたアモ
ルファス合金は表2のNo.6〜8に示す。いずれのチ
ャージとも噴出時の△Tを150℃未満もしくは300
℃超とした。その他の製造条件は実施例1と同様とし
た。
【0047】得られた結果を表2のNo.6〜8に示す
が、噴出時の△Tは、この表からわかるように、鋳造中
多少温度が変動した。すべてのチャージで薄帯が得られ
たものの、No.6の薄帯は板幅が目標板幅に比べて若
干小さくなっており、かつ幅方向両端部が鋸状を示し
た。板幅が目標通りでないばかりか、両端部が鋸状の薄
帯は好ましくない。
【0048】得られたすべての薄帯について曲げ特性を
調査した。曲げ特性の試験要領は実施例1と同様であっ
た。結果として、いずれのチャージの薄帯とも曲げ破壊
直径が1mm以上で、機械的性質が劣化しているのがわか
った。△Tが300超となると、劣化が顕著となってく
るのがわかる。
【0049】さらに、薄帯の磁気的性質を評価するため
に、すべての薄帯について鉄損値を測定した。サンプル
の熱処理方法および鉄損測定方法は実施例1の場合に同
様とした。得られた値を表2に示すが、鉄損値において
も低下が認められ、特に△Tを300℃超とすると鉄損
値の増加が大きくなる。
【0050】これらの結果から、噴出時の溶融合金の△
Tを150℃未満または300℃超とすると、良好な薄
帯が得られないばかりか、薄帯の端部の性状さらには特
性も劣化することがわかった。これらの薄帯での特性劣
化の原因として、△Tを150℃未満とした場合(表2
のNo.6の場合)は薄帯の端部が鋸状になったことに
よると考えられる。一方、△Tが300℃超とした場合
(表2のNo.7,8の場合)は、熱分析からアモルフ
ァス相の形成が不十分であったことが判明しており、こ
れが特性劣化の原因と考えられる。
【0051】
【発明の効果】本発明の方法により、Fe,Co,Ni
を主成分とするアモルファス合金の薄帯の製造におい
て、板幅を20mm以上と広くした場合でも、良好な薄帯
を安定して製造できるようになったことから、本合金の
薄帯を高歩留で生産することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】急冷凝固法の一例として、単ロール法を説明す
るための模式図である。
【図2】急冷凝固法の一例として、単ロール法を説明す
るための模式図である。
【図3】ノズルホルダー周辺部を拡大した説明図であ
る。
【符号の説明】 1:溶融金属 2:タンディッシュ 3:羽口レンガ 4:中間ノズル 5:ノズルホルダー 6:溶湯流路 7:ノズルチップ 8:ノズルスリット 9:ストッパー 10:冷却ロール 11:薄帯 12:拡大内部空間 13:巻取りロール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柚木園 邦裕 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶解した合金を高速に移動する冷却基板
    上に連続して噴出し、該冷却基板上で急冷凝固して薄帯
    状のアモルファス合金を製造する方法において、Bを7
    〜20原子%含有し、かつSi,Cのうち少なくとも1
    種を合計で1〜20原子%含有し、残部がFe,Co,
    Niのうち少なくとも1種および不可避的不純物からな
    る合金の溶融合金を該合金融点より150℃以上300
    ℃以下の範囲で噴出することを特徴とするアモルファス
    合金薄帯の製造方法。
  2. 【請求項2】 合金の成分が、Bを7〜20原子%、S
    i,Cのうち少なくとも1種を合計で1〜20原子%含
    有し、かつP,Mn,Sのうち少なくとも1種を合計で
    0.001〜1原子%、残部がFe,Co,Niのうち
    少なくとも1種および不可避的不純物からなることを特
    徴とする請求項1記載のアモルファス合金薄帯の製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20160038967A (ko) * 2014-09-30 2016-04-08 재단법인 포항산업과학연구원 턴디쉬 위치 제어 장치 및 턴디쉬 위치 제어 방법

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