JPH11226439A - 微粉砕機用装填材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ロッドミルやボールミル等の微粉砕機におい
て、従来の装填材に比べて被粉砕物との接触面積を増や
すことが可能で、装置を大型化することなく粉砕処理効
率を向上させることができる微粉砕機用装填材を提供す
ること。 【解決手段】 被粉砕物を中空体の内部にて粉砕する微
粉砕機の内部に装填される装填材であって、該装填材は
中空で且つ外周面の所要箇所に内部と連通する開口部が
設けられた外殻と、この外殻の内部に装填される所要数
の芯材とからなることを特徴とする微粉砕機用装填材。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は微粉砕機用装填材に
係り、その目的はロッドミルやボールミル等の微粉砕機
において、従来の装填材に比べて被粉砕物との接触面積
を増やすことが可能で、装置を大型化することなく粉砕
処理効率を向上させることができる微粉砕機用装填材を
提供することにある。

【０００２】

【従来の技術】従来、コンクリート用骨材や窯業原料の
製造など、原料の粉砕や磨砕を必要とする製造業におい
ては、微粉砕機としてロッドミルやボールミル等の転動
ミルが広く使用されている。これら転動ミルは、円筒内
に被粉砕物と多数の鉄製等の装填材を入れて適当な速度
で円筒を回転することにより装填材を円筒内において上
昇落下させ、この装填材の上昇落下運動による衝撃、摩
擦作用により円筒内にて被粉砕物を粉砕するように構成
されており、装填材としては一般に中密のボール又はロ
ッドが使用されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、転動ミルに
おいては被粉砕物と装填材との接触面積が粉砕処理効率
を左右する大きな要素となるが、上記したような中密の
ボールやロッドを装填材として使用した従来の転動ミル
では被粉砕物と装填材との接触面積が装填材の表面積の
みで決定されるため、処理能力を向上させるためには装
置全体を大型化することで円筒内部の装填材の数を増や
すしか方法が無かった。そこで業界では、従来の装填材
に比べて被粉砕物との接触面積を増やすことが可能で、
装置を大型化することなく粉砕処理効率を向上させるこ
とができる微粉砕機用装填材の創出が望まれていた。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するためになされたものであって、請求項１に係る発明
は、被粉砕物を中空体の内部にて粉砕する微粉砕機の内
部に装填される装填材であって、該装填材は中空で且つ
外周面の所要箇所に内部と連通する開口部が設けられた
外殻と、この外殻の内部に装填される所要数の芯材とか
らなることを特徴とする微粉砕機用装填材である。請求
項２に係る発明は、前記開口部が外方向へ向けて拡径さ
れたテーパ孔とされてなることを特徴とする請求項１記
載の微粉砕機用装填材である。請求項３に係る発明は、
前記外殻の形状が、円筒、球、角筒のいずれかであるこ
とを特徴とする請求項１又は２記載の微粉砕機用装填材
である。請求項４に係る発明は、前記芯材が棒状体であ
ることを特徴とする請求項１乃至３記載の微粉砕機用装
填材である。請求項５に係る発明は、前記芯材が球体で
あることを特徴とする請求項１乃至３記載の微粉砕機用
装填材である。以上の発明により、上記課題を悉く解決
することに成功した。

【０００５】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係る微粉砕機用装
填材の好適な実施形態について図面に基づき説明する。
図１は本発明に係る微粉砕機用装填材の第１実施例を示
す正面図、図２は図１のＡ−Ａ線断面図、図３は図１の
Ｂ−Ｂ線拡大断面図である。第１実施例に係る装填材
（１）は、円筒状の外殻（２）と、この外殻（２）の内
部に装填された複数の棒状芯材（３）とから構成され、
外殻（２）の外周面には内部と連通する複数の開口部
（４）が設けられている。

【０００６】外殻（２）は、図２に示すように有底円筒
状の筒体（５）と、この筒体（５）の開放端を塞ぐよう
に着脱可能に取り付けられた蓋体（６）とから構成され
ている。蓋体（６）の筒体（５）への取り付けは、筒体
（５）の開放端内面に形成された雌ねじに、蓋体（６）
の外周面に形成された雄ねじを螺合することにより行わ
れている。また、筒体（５）の開放端近傍には貫通ねじ
孔（５１）が、蓋体（６）の外周面には凹部（６１）が
それぞれ形成されており、貫通ねじ孔（５１）にボルト
（Ｂ）を螺合してボルト（Ｂ）の先端を凹部（６１）に
当接させることにより、蓋体（６）の回り止めをしてい
る。

【０００７】上記構成からなる装填材（１）をロッドミ
ルの装填材（粉砕媒体）として使用した場合、被粉砕物
は開口部（４）から筒体（５）内部へと取り込まれ、筒
体（５）内部において棒状芯材（３）と接触して摩擦
力、衝撃力を受けて粉砕された後、開口部（４）から筒
体（５）外部へと排出される。このように本発明に係る
装填材（１）において、開口部（４）は被粉砕物の流通
路の役割を果たすものであるため、被粉砕物の処理効率
を向上させるためには、図示例の如く筒体（５）の外周
面全体にわたって開口部（４）を設けることが最も好ま
しいが、場合によっては部分的に設ける構成としてもよ
い。また、開口部（４）の径や数については全く限定さ
れず、筒体（５）の大きさや被粉砕物の種類、被粉砕物
の所望する粉砕後の粒径などに応じて適宜設定すればよ
い。

【０００８】上記実施例においては、外殻（２）の内部
に装填される芯材の形状を棒状のロッドとしたが、本発
明において芯材の形状は特に限定されず、例えば図４に
示す如く、球状芯材（３）を装填する構成としてもよ
い。また、芯材の径や数は特に限定されないが、筒体
（５）内部の充填率が３５〜５０％程度になるように設
定することが好ましい。その理由は充填率が５０％を超
えると被粉砕物が筒体（５）を通過しにくくなり却って
処理効率が悪くなるからであり、充填率が３５％未満で
あると被粉砕物と芯材との接触面積が小さくて処理効率
をあまり向上させることができないからである。但し、
芯材が開口部（４）から飛び出すことが無いように芯材
の径は開口部（４）の径よりも大きくされるのは勿論で
ある。

【０００９】尚、本発明において、装填材（１）を構成
する外殻（２）及び芯材（３）の素材は、公知の転動ミ
ルの装填材に使用される素材がいずれも好適に使用可能
であって特に限定されない。但し、本発明に係る装填材
（１）は、従来の装填材と同様の粉砕媒体としての役割
をも果たす必要があるため、中空でありながら装填材自
体にある程度の重量を持たせなければならず、その意味
では鉄、マンガン鋼、高クロム鋼等の比重の大きい金属
を使用することが好ましい。

【００１０】開口部（４）は、図５示の如く外方向へ向
けて拡径されたテーパ孔とすることが好ましい。その理
由は、開口部（４）を外方向へ向けて拡径されたテーパ
孔とすることによって、被粉砕物を筒体（５）の内部に
取り入れ易くなり、処理効率を向上させることができる
ためである。

【００１１】図６及び図７は、それぞれ本発明に係る装
填材の第２実施例を示す外観図及び断面図である。第２
実施例に係る装填材（１）は、２つの半球からなる外殻
（２）と、この外殻（２）の内部に装填された複数の球
状芯材（３）とから構成され、外殻（２）の外周面には
内部と連通する複数の開口部（４）が設けられている。

【００１２】外殻（２）は、図７に示す如く、２つの半
球体を螺合によって組み合わせることにより球状に形成
されている。そして、一方の半球体には貫通ねじ孔（１
１）が、他方の半球体には凹部（１２）がそれぞれ形成
されており、貫通ねじ孔（４１）にボルト（Ｂ）を螺合
してボルト（Ｂ）の先端を凹部（１２）に当接させるこ
とにより、２つの半球体の螺合がゆるむことが無いよう
にされている。

【００１３】尚、図示しないが、この第２実施例に係る
装填材（１）においても開口部（４）を外方向に向けて
拡径されたテーパ孔とすることにより、被粉砕物を筒体
（５）の内部に取り入れ易くして処理効率を向上させる
ことが可能である。

【００１４】図８及び図９は、それぞれ本発明に係る装
填材の第３実施例を示す外観図及び断面図である。第３
実施例に係る装填材（１）は、中空立方体からなる外殻
（２）と、この外殻（２）の内部に装填された複数の球
状芯材（３）とから構成され、外殻（２）の外周面には
内部と連通する複数の開口部（４）が設けられている。
外殻（２）は、図９に示す如く、枡状の容器（１３）の
上面に平板（１４）をねじ止めすることにより中空立方
体状に形成されている。尚、図示例においては各面に１
つづつの開口部（４）が設けられているが、各面に複数
個づつの開口部（４）を設ける構成としてもよい。

【００１５】本発明において外殻（２）は、複数の芯材
（３）を内部に入れることが可能な内部空間と、被粉砕
物を流通させるための開口部（４）を備えている限り、
その形状については全く限定されず、例えば楕円筒形
状、六角筒状、直方体筒状などの様々な変更例が可能で
ある。また、外殻（２）の組み立て方についても全く限
定されず、例えば、第１実施例において筒体（５）の両
端を開放して蓋体（６）を両端に螺着する構成とした
り、外殻（２）を構成する２つの部材を嵌合や圧入或い
は接着や溶着により組み合わせる構成としたり、３つ以
上の部材の組み合わせにより外殻（２）を組み立てる構
成としたりしてもよい。

【００１６】上記構成からなる装填材（１）は、図１０
乃至図１１に示す如く、微粉砕機の筒体（７）の内部に
入れて使用される。尚、図示例はオーバーフロー型ミル
の内部に装填材（１）を入れた例であるが、本発明に係
る装填材はエンドペリフェラルジスチャージ型ミルや、
センターペリフェラルジスチャージ型ミルなど公知のあ
らゆる転動ミルの装填材として使用することが可能であ
る。また、回転型ミルに限らず振動ボールミルなどの装
填材として使用することも可能である。

【００１７】以下、本発明に係る装填材の作用について
図１２に基づいて説明する。微粉砕機の筒体（７）の内
部に被粉砕物（Ｈ）と本発明に係る装填材（１）を入れ
て筒体（７）を回転させると、装填材（１）は遠心力に
より筒体（７）の内面に沿って上昇し遠心力と重力が釣
り合った時点で下方に落下し、被粉砕物（Ｈ）はこの装
填材（１）の上昇落下運動によって摩擦力及び衝撃力を
受けて粉砕される。上記した作用は公知の転動ミルと同
様であるが、本発明に係る装填材を使用することによ
り、更に加えて以下のような作用が生じる。筒体（７）
の回転に伴って被粉砕物（Ｈ）及び装填材（１）は運動
するが、このとき装填材（１）の開口部（４）から被粉
砕物（Ｈ）が装填材（１）の内部へと取り込まれ、装填
材内部において生じる芯材（３）の上昇落下運動によ
り、被粉砕物（Ｈ）が摩擦力及び衝撃力を受けて粉砕さ
れる。すなわち、本発明に係る装填材を使用することに
より、被粉砕物（Ｈ）は装填材（１）の外面と、装填材
（１）内部の芯材（３）の外面との両方から衝撃力及び
摩擦力を受けることとなり、粉砕処理効率に極めて優れ
たものとなる。

【００１８】尚、本発明に係る装填材（１）を入れる微
粉砕機の筒体（７）の外周面に、図１３乃至図１４に示
す如く、内部と連通する開口部（７１）を設ける構成と
すると、被粉砕物を筒体（７）の開口部（７１）から取
り入れることが可能となって、被粉砕物を装填材（１）
に対して直角方向に当てることができ、被粉砕物が装填
材に当たらずに排出されてしまうことを防ぐことが可能
となる。

【００１９】

【実施例】以下、本発明に係る装填材の実施例を示すこ
とにより本発明の効果をより明確にする。但し、本発明
は以下の実施例により何ら限定されない。 （実施例及び比較例）１．粉砕処理 原料として、千葉県木更津市産出の粒度１〜５ｍｍ、真
比重２．６５（見掛け比重１．６）、軟石混合率７％
（軟石性状：粘度塊及び軟石片）を使用し、装填材とし
て中実のロッドを使用した従来のロッドミル（川崎重工
株式会社製：円筒径２１００ｍｍ×長さ４５００ｍｍ、
動力１１０ｋＷ）と、このロッドミルにおいて装填材の
みを本発明の第１実施例に係るものに代えたロッドミル
をそれぞれ使用して粉砕処理を行った。結果を表１に示
す。

【表１】 表１から明らかな如く、本発明に係る装填材を使用した
ロッドミルでは、単位時間当たりの原料投入量が同じで
あるにも関わらず、従来の装填材を使用したロッドミル
に比べて軟石除去率が約２倍で、処理後の吸水率も従来
の装填材を使用したロッドミルに比べて低く、良質のコ
ンクリート用骨材を極めて効率良く得ることができた。

【００２０】２．磨砕処理 原料として、粒度１〜５ｍｍ、真比重２．６５（見掛け
比重１．４）のコンクリート廃材を使用し、装填材とし
て中実のロッドを使用した従来のロッドミル（川崎重工
株式会社製：円筒径２１００ｍｍ×長さ４５００ｍｍ、
動力１１０ｋＷ）と、このロッドミルにおいて装填材の
みを本発明の第１実施例に係るものに代えたロッドミル
をそれぞれ使用して粉砕処理を行った。結果を表２に示
す。

【表２】 表２から明らかな如く、本発明に係る装填材を使用した
ロッドミルでは、単位時間当たりの原料投入量が同じで
あるにも関わらず、従来の装填材を使用したロッドミル
に比べて見掛け比重が大きくて吸水率が低い良質の再生
砂を極めて効率良く得ることができた。

【００２１】尚、本発明に係る装填材は、上記した粉砕
処理、磨砕処理の他にも、顔料や窯業原料の粉砕、装飾
石やパチンコ玉の研磨処理などに使用される微粉砕機に
も好適に使用することが可能であり、その用途は全く限
定されない。

【００２２】

【発明の効果】以上説明したように、本発明は、被粉砕
物を中空体の内部にて粉砕する微粉砕機の内部に装填さ
れる装填材であって、該装填材は中空で且つ外周面の所
要箇所に内部と連通する開口部が設けられた外殻と、こ
の外殻の内部に装填される所要数の芯材とからなること
を特徴とする微粉砕機用装填材であるから、被粉砕物を
装填材の内部に取り入れて粉砕することが可能となり、
既存の微粉砕機の粉砕処理効率を格段に向上させること
ができ、装置を小型化することも可能となる。また、開
口部を外方向へ向けて拡径されたテーパ孔とすることに
より、被粉砕物を装填材の内部に取り入れ易くなり、処
理効率を更に向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る微粉砕機用装填材の第１実施例を
示す正面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ線断面図である。

【図３】図１のＢ−Ｂ線拡大断面図である。

【図４】第１実施例の変更例を示す断面図である。

【図５】開口部の変更例を示す断面図である。

【図６】本発明に係る装填材の第２実施例を示す外観図
である。

【図７】本発明に係る装填材の第２実施例を示す断面図
である。

【図８】本発明に係る装填材の第３実施例を示す外観図
である。

【図９】本発明に係る装填材の第３実施例を示す断面図
である。

【図１０】本発明に係る装填材の使用状態の一例を示す
図である。

【図１１】本発明に係る装填材の使用状態の一例を示す
図である。

【図１２】本発明に係る装填材の作用を説明するための
図である。

【図１３】本発明に係る装填材の使用状態の別の例を示
す図である。

【図１４】本発明に係る装填材の使用状態の別の例を示
す図である。

【符号の説明】

１ 装填材 ２ 外殻 ３ 芯材 ４ 開口部

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 被粉砕物を中空体の内部にて粉砕する微
   粉砕機の内部に装填される装填材であって、該装填材は
   中空で且つ外周面の所要箇所に内部と連通する開口部が
   設けられた外殻と、この外殻の内部に装填される所要数
   の芯材とからなることを特徴とする微粉砕機用装填材。
2. 【請求項２】 前記開口部が外方向へ向けて拡径された
   テーパ孔とされてなることを特徴とする請求項１記載の
   微粉砕機用装填材。
3. 【請求項３】 前記外殻の形状が、円筒、球、角筒のい
   ずれかであることを特徴とする請求項１又は２記載の微
   粉砕機用装填材。
4. 【請求項４】 前記芯材が棒状体であることを特徴とす
   る請求項１乃至３記載の微粉砕機用装填材。
5. 【請求項５】 前記芯材が球体であることを特徴とする
   請求項１乃至３記載の微粉砕機用装填材。