JPH1122475A - ターボチャージャの軸受構造 - Google Patents

ターボチャージャの軸受構造

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JPH1122475A
JPH1122475A JP9174485A JP17448597A JPH1122475A JP H1122475 A JPH1122475 A JP H1122475A JP 9174485 A JP9174485 A JP 9174485A JP 17448597 A JP17448597 A JP 17448597A JP H1122475 A JPH1122475 A JP H1122475A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軸振動の一層の抑制を図り、運転中のオイル
フィルムダンパの厚さを正確に維持する。 【解決手段】 本発明に係るターボチャージャの軸受構
造は、ハウジング1側の軸受支持部2とタービンシャフ
ト3との間に軸受4を設け、この軸受4と上記軸受支持
部2との間にオイルフィルムダンパを形成し得る第1の
隙間18を設け、この第1の隙間18に隣接してこれよ
り大きい第2の隙間20を設け、この第2の隙間20
に、上記軸受4に所定のばね力を作用し得る全周に沿っ
た金属製ばね部材21を設けたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はターボチャージャの
軸受構造に関する。
【0002】
【従来の技術】ターボチャージャの軸受としては一般に
フローティングタイプのものが知られている。これはハ
ウジング側の軸受支持部とタービンシャフトとの間でい
ずれの部材に対しても相対回転可能であり、いずれの部
材との間にも薄い油膜を形成するようになっている。高
速回転するタービンシャフトに対し、軸受はそれより遅
い速度で回転し、これにより油膜切れを防いで焼付き等
を防止すると共に、タービンシャフトの振動を減衰し抑
制するようになっている。これに対し、軸の回転安定性
を更に高めるために、軸受の外周側にオイルフィルムダ
ンパを設ける構造が考えられている。
【0003】図6はこの様なオイルフィルムダンパ付の
軸受部の従来の構造を示す。軸受aはハウジングb側の
軸受支持部cとタービンシャフトdとの間に介設されて
いる。軸受aの内周側と外周側とにはそれぞれ薄い隙間
e,fが設けられ、これに潤滑オイルが入り込んでオイ
ルフィルムダンパが形成される。特に外周側の隙間fに
は、これに隣接してOリングhが設けられてオイル漏れ
が防止されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この従来の
構造にあっては、タービンシャフトdの振動が内外周側
の隙間e,fのオイルフィルムダンパで抑制される。し
かし、この場合隙間fに十分オイルを充満させるために
は、組立時に隙間fに入っている空気を排除する必要が
あるが、Oリングhのため空気の出口がシールされ、オ
イルの充満が不十分となり、ダンピングの効果が不十分
となる問題がある。一方、Oリングhも振動抑制に寄与
するが、その剛性ないしばね力があまり強くないため効
果が少ない。なお、軸受aを正確にセンタリングし、オ
イルフィルムダンパのダンパ厚さを正確に維持すること
も重要であるが、Oリングhでは剛性が低いためその効
果もあまり期待できない。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係るターボチャ
ージャの軸受構造は、ハウジング側の軸受支持部とター
ビンシャフトとの間に軸受を設け、この軸受と上記軸受
支持部との間にオイルフィルムダンパを形成し得る第1
の隙間を設け、この第1の隙間に隣接してこれより大き
い第2の隙間を設け、この第2の隙間に、上記軸受に所
定のばね力を作用し得る全周に沿った金属製ばね部材を
設けたものである。
【0006】ここで上記ばね部材が、上記第2の隙間の
全周に沿う板部と、この板部から等ピッチで径方向内側
又は外側に突出され、上記板部の幅方向に延出される凸
部とからなり、この凸部がその延出方向両端に上記板部
に連続する側壁を有するのが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
を添付図面に基づいて詳述する。
【0008】図1は本発明に係るターボチャージャの軸
受構造を示す縦断面図で、その構成は従来と大略同様で
ある。図示するように、この構成にあっては、ハウジン
グ1側の軸受支持部(ベアリングボックス2)とタービ
ンシャフト3との間に軸受4が設けられている。タービ
ンシャフト3の右側には図示しないタービンホイールが
設けられ、つまりここではタービン側の構成が図示され
ている。
【0009】ベアリングボックス2はハウジング1に固
定され、軸受4を嵌合させる中心穴5を有して環状に形
成されている。ベアリングボックス2の内部にはオイル
穴6が設けられる。オイル穴6の入口はハウジング1の
オイル供給通路7に連通されている。オイル穴6の出口
は、ベアリングボックス2の内周部に設けられた内周溝
8に連通されている。内周溝8は全周に亘り形成され、
中心穴5の表面で開放されている。
【0010】軸受4は、径方向外側のサポート部材9
と、径方向内側のティルティングパッド軸受10と、こ
れらを連結する一対の連結板11とから主に構成され
る。ティルティングパッド軸受10はサポート部材9に
嵌合され、その内周面に当接部12を有してタービンシ
ャフト3に当接し得るようになっている。当接部12
は、ホワイトメタル等のすず系の比較的軟質な金属をサ
ポート部材9の内周面に鋳造して作られる。当接部12
の内径は、オイルフィルムを形成し得るようタービンシ
ャフト3の外径より僅かに大きくされる。連結板11
は、サポート部材9の軸方向両端にボルト13で固定さ
れ、ティルティングパッド軸受10をその両端から挟持
している。サポート部材9の外周部には先の内周溝8に
符合する外周溝14が設けられる。さらに外周溝14の
底部には径方向に沿うネジ穴15が貫通形成され、これ
にネジ16が螺合されてティルティングパッド軸受10
が支持されるようになっている。
【0011】図5はサポート部材9とティルティングパ
ッド軸受10との接続状態を示し、図示するようにサポ
ート部材9には周方向に所定間隔でオイル供給穴17が
設けられ、ティルティングパッド軸受10はオイル供給
穴17の位置に合わせて分割されている。即ち、ティル
ティングパッド軸受10は複数が所定間隔で周方向に並
べられ、これらティルティングパッド軸受10に対し個
々にネジ16が配設される。従ってベアリングボックス
2のオイル穴6から供給されるオイルは、外周溝14を
通じて全周に行き渡ると共に、オイル供給穴17とティ
ルティングパッド軸受10間の隙間とを通って、当接部
12とタービンシャフト3との隙間に供給される。
【0012】ところで図1に戻って、サポート部材9
は、その外径がベアリングボックス2の中心穴5の穴径
より僅かに小径に形成されている。これによりサポート
部材9の外周面と中心穴5の表面との間には、オイルフ
ィルムダンパを形成し得る厚さの隙間(第1の隙間)1
8が形成される。即ち、第1の隙間18には、サポート
部材9の外周溝14に供給されるオイルの一部が供給さ
れ、このオイルにより薄い厚さのオイルフィルムダンパ
が出来上がることになる。
【0013】また、中心穴5は、その軸方向両端部にや
や拡径された拡径部19を有している。これによりサポ
ート部材9の外周面と拡径部19の表面との間には、先
の第1の隙間18より大きい第2の隙間20が一対出来
上がることになる。第2の隙間20は第1の隙間18に
対し軸方向端部側に設けられ且つ隣接されている。そし
て第1の隙間18も軸方向中間に内周溝8及び外周溝1
4を挟んで一対設けられる。
【0014】この構成により、内周溝8及び外周溝14
からオイルが隙間18に流入したとき、隙間20の空間
が隙間18の空間に比べ大きい場合、油圧によって隙間
18の内部空気は圧縮され隙間20の空間に排除され、
隙間18にオイルが充満することができる。
【0015】特に、本実施形態においては、それぞれの
第2の隙間20にばね部材21が設けられている。ばね
部材21は図2に示すように構成されている。ばね部材
21は金属による一体成形品で、上記第2の隙間20の
全周に沿うリング状に形成されている。そしてリング状
の板部22と、板部22から径方向外側に突出される複
数の凸部23とから構成される。凸部23は周方向に等
ピッチで形成され、断面半円状に形成されると共に(図
4の実線参照)、板部22の幅方向に延出され、その延
出方向両端に板部22に連続する側壁24を有してい
る。凸部23は板部22の幅方向両端から所定距離内側
に形成され、つまり板部22はその両側端部が全周残さ
れている。
【0016】このばね部材21は、凸部23の高さ方向
の変形(潰れ)によりタービンシャフト3の径方向の振
動を抑制する。特にこの場合、個々の凸部23の変形が
他の部分に影響を及ぼさぬようになっている。即ち、図
4に示すように、凸部23が外力を受けて潰されたとき
は実線から一点鎖線の如く変形し、その周方向の長さL
は変化しない。これは凸部23に側壁24があり、しか
も板部22が両側端部に残されているからである。これ
らがないと凸部23は、破線で示すように開くように変
形してしまって(周方向長さL1 >L)、他の部分に影
響を及ぼし、当該部分の変形特性を変化させてしまう。
このばね部材21では、局所的な外力をその箇所でのみ
吸収し、且つ、あたかも径方向に沿ったコイルばねを周
方向に多数に並べたのと同等の効果をもたらす。
【0017】なお、ばね部材21は図3に示すようなも
のであってもよい。このばね部材21では板部22が周
方向の一箇所で切断され、凸部23が径方向内側に突出
されている。この場合も凸部23が個別に変形し得るた
め、ばね部材21の切断箇所付近と中央部とで変形特性
が変化するようなことがない。
【0018】さて、このように構成されたばね部材21
は第2の隙間20に軸方向(側方)から差し込まれる。
こうなると軸受4は全周側から均一に保持され、中心穴
5と同軸に位置決めされるようになる。ばね部材21の
抜け出しはハウジング1(センターハウジングとタービ
ンハウジング)で完全に防止される。もっとも、ばね部
材21には運転中の遠心力や軸受4からの外力が作用す
るため実際上抜け出ることはない。
【0019】この構成によれば、タービンシャフト3の
軸振動に対し、従来同様第1の隙間18にあるオイルフ
ィルムダンパで減衰力を与えられるほか、特に第2の隙
間20にあるばね部材21で比較的強大なばね力を与え
ることができる。よって軸振動を積極的に抑制し、回転
安定性の大幅な向上を図れるようになる。またばね部材
21には軸受4のセンタリング効果もあるため、運転中
のオイルフィルムダンパ厚さを正確に維持すると共に、
重量のある大型のタービンシャフト3及び軸受4に対し
ても有用となる効果がある。さらにばね部材21には、
第1の隙間18からのオイルの流出を阻止し、オイルフ
ィルムダンパの機能を確実に維持するという効果もあ
る。加えて耐久性も良好で、従来のOリングのように穴
内面にリング溝を設ける必要もなく、さらには組付性も
よいというメリットがある。
【0020】また、ばね部材21を上述のように構成し
たため、変形特性が良好で、タービンシャフト3の軸振
動抑制に好適となる。
【0021】以上、本発明の好適な実施の形態について
説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定され
ず、他の様々な実施の形態を採ることも可能である。例
えば、ばね部材の構成は適宜変更が可能であるし、軸受
も、上記のようなティルティングパッド軸受を有したも
のでなく通常の一体構造のものであっても構わない。
【0022】
【発明の効果】本発明は次の如き優れた効果を発揮す
る。
【0023】(1) ダンパ部へのオイルの充満性が優
れている。
【0024】(2) 軸振動にばね力を与えてこれを積
極的に抑制できる。
【0025】(3) オイルフィルムダンパの厚さを正
確に維持できる。
【0026】(4) 軸振動抑制に好適なばね部材とす
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るターボチャージャの軸受構造を示
す縦断面図である。
【図2】ばね部材を示す斜視図である。
【図3】別のばね部材を示す斜視図である。
【図4】ばね部材の変形の様子を示し、周方向で切った
断面図である。
【図5】周方向で切った軸受の断面図である。
【図6】従来のターボチャージャの軸受構造を示す縦断
面図である。
【符号の説明】
1 ハウジング 2 ベアリングボックス 3 タービンシャフト 4 軸受 18 第1の隙間 20 第2の隙間 21 ばね部材 22 板部 23 凸部 24 側壁

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハウジング側の軸受支持部とタービンシ
    ャフトとの間に軸受を設け、該軸受と上記軸受支持部と
    の間にオイルフィルムダンパを形成し得る第1の隙間を
    設け、該第1の隙間に隣接してこれより大きい第2の隙
    間を設け、該第2の隙間に、上記軸受に所定のばね力を
    作用し得る全周に沿った金属製ばね部材を設けたことを
    特徴とするターボチャージャの軸受構造。
  2. 【請求項2】 上記ばね部材が、上記第2の隙間の全周
    に沿う板部と、該板部から等ピッチで径方向内側又は外
    側に突出され、上記板部の幅方向に延出される凸部とか
    らなり、該凸部がその延出方向両端に上記板部に連続す
    る側壁を有する請求項1記載のターボチャージャの軸受
    構造。
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