JPH11218770A - 液晶セル及びその製造方法 - Google Patents

液晶セル及びその製造方法

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JPH11218770A
JPH11218770A JP1744398A JP1744398A JPH11218770A JP H11218770 A JPH11218770 A JP H11218770A JP 1744398 A JP1744398 A JP 1744398A JP 1744398 A JP1744398 A JP 1744398A JP H11218770 A JPH11218770 A JP H11218770A
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film
crystal cell
organic solvent
resin material
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JP1744398A
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Masashi Inada
雅司 稲田
Takayuki Fujikawa
卓之 藤川
Koichi Miyashita
耕一 宮下
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Original Assignee
Denso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 感光性樹脂材料からなる隔壁の形成に伴い形
成される残渣膜の膜厚を、配向膜に悪影響を与えること
なく、最小限に抑制してなる液晶セル及びその製造方法
を提供する。 【解決手段】 電極基板20の配向膜26にフォトリソ
グラフィ法により感光性樹脂材料でもって複数の隔壁5
0をストライプ状にパターニング形成する。ついで、各
隔壁50の形成時に上記樹脂材料によって配向膜26上
に形成された残渣膜50bの膜厚を薄くするように、I
PAにより洗浄処理する。そして、各配向膜16、26
を各隔壁50を介し対向させるように両電極基板10、
20を重ね合わせ、両電極基板間に反強誘電性液晶40
を封入する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、両電極基板間に複
数のストライプ状の樹脂製隔壁を介装してなる液晶セル
及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、この種の液晶セルとしては、例え
ば、特開平7−318912号公報にて示すような隔壁
構造の液晶セルがある。この液晶セルの製造にあたり、
その隔壁構造は次のようにして形成される。即ち、両電
極基板の一方の電極基板の配向膜の内表面に、感光性樹
脂材料、例えば、フォトレジスト材料を塗布して仮焼成
することで、レジスト膜として形成する。ついで、この
レジスト膜に所定パターンのマスクを施し、当該レジス
ト膜をフォトリソグラフィ法によりパターニング処理す
ることで、当該レジスト膜のうち不要な部分を除去し、
複数のストライプ状隔壁を一方の配向膜の内表面に形成
する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記液晶セ
ルは、上述のような隔壁構造を採用することにより、こ
の構造を用いない既存の液晶セルに比べて、耐外圧性に
優れるという特長を有する。また、上述のごとく、各隔
壁をフォトレジスト材料でもってフォトリソグラフィ法
により形成することは、各隔壁の形成精度等を高める点
で必須である。
【0004】しかし、上述のようにフォトリソグラフィ
法によりレジスト膜のパターニング処理をする場合、当
該レジスト膜のうち除去すべき部分(例えば、液晶セル
の表示画素部に対応する部分)を十分には除去しにくい
ため、当該除去すべき部分が、上記パターニング処理後
も、フォトレジスト材料の残渣膜として、配向膜の内表
面上に残る。
【0005】このため、その後の配向膜のラビング処理
によっても、配向規制力が、上記残渣膜に邪魔されて、
配向膜に十分に与えられない。従って、このような配向
膜を有する液晶セルでは、液晶に対して配向膜の配向規
制力が十分に発揮されず、液晶の配向が乱れる。その結
果、暗輝度の増大等により、隔壁構造を用いた液晶セル
では、隔壁構造を用いない液晶セルに比べて、表示コン
トラストが低いという不具合が生じる。
【0006】そこで、本発明者等は、残渣膜の形成根拠
について詳細に検討してみた。上述のようにフォトリソ
グラフィ法によりレジスト膜をパターニング処理する場
合、レジスト膜のうち除去すべき部分に現像液(例え
ば、炭酸水素及びナトリウム)を用いてエッチング処理
を施して、当該除去すべき部分を除去しようとする。
【0007】しかし、フォトレジスト材料中の有機成分
が配向膜のポリイミドの極性基と結合してしまい、現像
液によっては、当該除去すべき部分を溶かすことができ
ないために、上記残渣膜が配向膜の内表面に形成されて
しまうと考えられる。これに対しては、残渣膜を紫外線
の照射により除去することも考えられる。しかし、紫外
線の残渣膜に対する照射時に、紫外線がこの残渣膜を透
過してその下地である配向膜にも悪影響を与えてしま
う。
【0008】このため、配向膜の液晶に対する配向規制
力を良好には確保できず、液晶の配向が乱れ、液晶セル
の駆動時に、その表示面にてフリッカ現象が現れ、表示
コントラストの低下を招く。そこで、本発明は、以上述
べたことに鑑み、感光性樹脂材料からなる隔壁の形成に
伴い形成される残渣膜の膜厚を、配向膜に悪影響を与え
ることなく、最小限に抑制してなる液晶セル及びその製
造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題の解決にあた
り、請求項1の発明によれば、互いに配向膜(16、2
6)にて対向するように配置された両電極基板(10、
20)と、これら両電極基板(10、20)の一方の配
向膜に感光性樹脂材料によりストライプ状に形成されて
当該両電極基板間に挟持された複数の隔壁(50)と、
両電極基板間に封入された液晶(40)とを備え、各隔
壁(50)の形成に伴い上記樹脂材料によって一方の配
向膜上に形成される残渣膜(50b)の膜厚が、有機溶
剤による洗浄処理にて薄くなっている。
【0010】このように、残渣膜が有機溶剤による洗浄
処理を施されているから、当該残渣膜の膜厚を最小限に
小さくできる。この場合、紫外光に依ることなく、有機
溶剤による洗浄処理を残渣膜に施すから、配向膜に紫外
光を照射した場合に生ずる当該配向膜の配向規制力の低
下を招くことがない。
【0011】その結果、液晶に対する配向膜の配向規制
力が十分に発揮され、表示画素部等の液晶配向の阻害が
抑制されるので、良好な表示コントラストを実現する液
晶セルを提供することができる。ここで、上記残渣膜の
膜厚は数ナノメータのオーダーであり、当該膜厚を直接
測定することは実用上困難である。このため、X線光電
子分光法により、上記残渣膜の膜厚の許容範囲を間接的
に求めることができる。
【0012】また、X線光電子分光法は、試料の極最表
面(数nm)の元素および元素の結合状態を分析するも
のである。簡単に述べると、試料表面にX線を照射する
と、元素固有のエネルギーを有する光電子が放出され
る。この光電子を所定角度から検出し、そのエネルギー
と量から、試料表面に存在する元素量および元素の結合
状態を明らかにするものである。
【0013】よって、上記残渣膜の膜厚が厚いほど、当
該残渣膜の下地である配向膜を構成する特定成分がピー
クとして検出されにくくなり、当該膜厚が所定値以上厚
くなると、上記ピークは検出されなくなる。本発明者等
は、上記残渣膜の膜厚を種々変更したものについて、X
線光電子分光法による分析を行った。その結果、当該残
渣膜は、下地の配向膜の特定元素のピークが検出される
薄いものであれば、液晶セルとして問題のない表示コン
トラストを実現することができ、上記ピークが検出され
ない厚いものであると、表示コントラストが大きく低下
してしまうことを確認した。
【0014】即ち、請求項2及び請求項3の発明では、
上記残渣膜の膜厚は、当該残渣膜が形成される一方の配
向膜、即ち、残渣膜の下地の配向膜を構成する特定成分
がX線光電子分光法分析によりピークとして検出される
厚さ以下であることを特徴としている。これにより、請
求項1に記載の作用効果が得られるが、上記残渣膜の膜
厚は、請求項4に記載の発明のように、3nm以下が好
ましい。
【0015】また、請求項5乃至10に記載の発明によ
れば、両電極基板(10、20)の各配向膜(16、2
6)の一方の配向膜にフォトリソグラフィ法により感光
性樹脂材料でもって複数の隔壁(50)をストライプ状
にパターニング形成する隔壁形成工程(S7)と、各配
向膜を各隔壁を介し対向させるように両電極基板を重ね
合わせる重ね合わせ工程(S11)と、この重ね合わせ
工程後、両電極基板間に液晶(40)を封入する液晶封
入工程(S13)とを備える液晶セルの製造方法におい
て、隔壁形成工程の後、各隔壁の形成時に上記樹脂材料
によって一方の配向膜上に形成された残渣膜(50b)
の膜厚を薄くするように、有機溶剤により洗浄処理する
有機溶剤洗浄工程(S9)を備える。
【0016】これにより、請求項1に記載の作用効果を
達成し得る液晶セルの製造方法を提供することができ
る。ここで、請求項6に記載の発明のように、有機溶剤
洗浄工程において、残渣膜の膜厚を3nm以下にすれ
ば、請求項5に記載の発明の作用効果をより一層向上で
きる。
【0017】また、請求項7に記載の発明によれば、有
機溶剤は、室温以上に加熱して使用する。これにより、
残渣膜の除去をより一層促進しつつ請求項5又は6に記
載の発明の作用効果を達成できる。また、請求項8に記
載の発明によれば、有機溶剤洗浄工程の処理後、各隔壁
を形成した電極基板を水洗いする。
【0018】これにより、残渣膜の再形成による配向膜
の配向不良を防止しつつ、請求項5乃至7に記載の発明
の作用効果を達成できる。また、請求項9に記載の発明
によれば、有機溶剤は水溶性であるから、この有機溶剤
をその水洗いにより良好に除去できる。また、請求項1
0に記載の発明のように、有機溶剤はイソプロピルアル
コールであってもよい。
【0019】また、請求項11乃至13に記載の発明に
よれば、両電極基板(10、20)の各配向膜(16、
26)の一方の配向膜にフォトリソグラフィ法により感
光性樹脂材料でもって複数の隔壁(50)をストライプ
状にパターニング形成する隔壁形成工程(S7)と、各
配向膜を前記各隔壁を介し対向させるように両電極基板
を重ね合わせる重ね合わせ工程(S11)と、この重ね
合わせ工程後、両電極基板間に液晶(40)を封入する
液晶封入工程(S13)とを備える液晶セルの製造方法
において、隔壁形成工程の後、各隔壁の形成時に上記樹
脂材料によって一方の配向膜上に形成された残渣膜(5
0b)を、当該残渣膜を構成する上記樹脂材料を溶解す
る有機溶剤により洗浄処理する有機溶剤洗浄工程(S
9)を備えることを特徴とする液晶セルの製造方法が提
供される。
【0020】これによっても、請求項5に記載の発明と
同様の作用効果を達成できる。ここで、請求項12に記
載の発明のように、残渣膜は、隔壁のパターニング時に
未感光な感光性樹脂材料により構成されていてもよい。
また、請求項13に記載の発明のように、感光性樹脂材
料は、アクリル系樹脂モノマーであり、かつ、有機溶剤
は、イソプロピルアルコールであってもよい。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
により説明する。図1及び図2は本発明に係る液晶セル
の断面構造を示す。この液晶セルは、対向して重ね合わ
された両電極基板10、20を備えており、これら両電
極基板10、20の周縁部は環状のシール30を介し接
着支持されている。なお、シール30は、例えば、熱硬
化樹脂の接着剤等により構成されている。
【0022】また、両電極基板10、20の間には、反
強誘電性液晶40が封入されている。なお、両電極基板
10、20間の間隔(以下、セルギャップという)は
1.5μm程度になっている。電極基板10は透明基板
11を有しており、この透明基板11の内表面には、樹
脂製カラーフィルタ12、オーバーコート膜13、複数
のストライプ状透明電極14、絶縁膜15、配向膜16
が順に積層されている。なお、カラーフィルタ12、絶
縁膜15及び配向膜16はシール30の内周側に設けら
れている。
【0023】一方、電極基板20は透明基板21を有し
ており、この透明基板21の内表面には、金属製補助電
極22、複数のストライプ状透明電極24、絶縁膜2
5、配向膜26が順に積層されている。なお、配向膜2
6は、シール30の内周側に設けられている。複数の透
明電極24は、複数の透明電極14と直角に対向して位
置し、これら透明電極14、24は、カラーフィルタ1
2及び反強誘電性液晶40と共に複数の格子状画素を形
成する。そして、これら格子状画素のうち、補助電極2
2以外の部位は、液晶セル駆動時に表示が行われる表示
部として機能する。
【0024】ここで、透明電極14、24はIndiu
m−Tin Oxide(以下、ITOという)等によ
り形成されており、また、配向膜16、26はポリイミ
ド系樹脂により形成されている。なお、カラーフィルタ
12は、R(赤)、G(緑)、B(青)の色彩を有する
画素が、上記の格子状画素内に配置された構成となって
いる。そして、図2に示すように、カラーフィルタ12
の各画素間においては、ブラックマスク12aが設けら
れており、液晶セルのうちブラックマスク12aに対向
する部分は遮光されて表示に関与しないようになってい
る。
【0025】また、複数の隔壁50が、両電極基板1
0、20の間のうち表示部(画素)以外の部位に介装さ
れている。各隔壁50は、補助電極22上の配向膜26
上に、補助電極22に沿って形成されて、ストライプ状
をなしている。また、配向膜26の上には、隔壁50の
形成に使用される感光性樹脂材料(本実施形態では、ア
クリル系フォトレジスト)に起因して、残渣膜50bが
残っている。
【0026】ちなみに、本実施形態では、各隔壁50の
幅は数10μm程度である。また、各隔壁50は全ての
補助電極22上に位置してなくともよく、任意の補助電
極22上に位置していてもよい。また、表示に関与しな
い透明電極24の間に位置していてもよい。各隔壁50
は、上述のごとく、アクリル系フォトレジストにより形
成されており、これら各隔壁50は、両電極基板10、
20の内表面、即ち、両配向膜16、26に接着してい
る。
【0027】換言すれば、両電極基板10、20はシー
ル30の内周側において各隔壁50にて接着支持されて
いる。そして、各隔壁50は両電極基板10、20を所
定間隔(約1.5μm)に設定するスペーサとして機能
するとともに、両電極基板10、20に加わる衝撃、振
動に抗するようになっている。次に、このように構成し
た液晶セルの製造方法につき、図3を参照して説明す
る。
【0028】電極基板10側原基板形成工程S1では、
ガラス基板11の内表面に、カラーフィルタ12、オー
バーコート膜13、複数のストライプ状透明電極14、
絶縁膜15を順に積層形成する。配向膜形成工程S2で
は、オフセット印刷によって、配向膜16を、オーバー
コート膜13、各透明電極14及び絶縁膜15を介して
カラーフィルタ12上に設け、電極基板10を形成す
る。
【0029】ラビング工程S3では、電極基板10の配
向膜16に対して、一定の方向にラビング処理を行う。
続いて、シール印刷工程S4では、電極基板10の内表
面の周縁部上に、シール30をシール剤の印刷により環
状に形成する。なお、このシール30の一部には、液晶
注入口が形成される。
【0030】一方、電極基板20側原基板形成工程S5
では、ガラス基板21の内表面に、補助電極22、透明
電極24、絶縁膜25を順に積層形成する。配向膜形成
工程S6では、配向膜26を、複数の補助電極22、複
数のストライプ状透明電極24及び絶縁膜25の上に設
け、電極基板20を形成する。続いて、隔壁形成工程S
7について図4乃至図6を参照して説明する。図4は、
レジスト(樹脂)膜形成の様子を表すものである。アク
リル系樹脂ネガ型レジスト溶液(富士フィルムオーリン
株式会社製「CT」)を7cc、電極基板20の配向膜
26上に滴下し、1300rpmで10秒間回転させ
て、フォトレジスト膜50aを形成し、ホットプレー上
にて100℃でもって270秒の間プリベーク(仮焼
成)を施し有機溶媒を除去する。この有機溶媒の除去に
より、後述する紫外光による露光時の重合を良好にし得
る。
【0031】続いて、図5に示すように、補助電極22
に対応する部分にて開口してなるストライプ状のフォト
マスク60をフォトレジスト膜50aに被せて、120
0mJ/cm2 の露光エネルギーで図5の矢印に示す方
向から紫外光を照射した。それによって、必要部分を現
像液に対して不溶にする。その後、電極基板20を現像
液(富士フィルムオーリン株式会社製「CD」)に室温
で60秒間浸積し、さらに別容器で60秒間追加現像し
た後、20分間純水で流水洗浄し、スピン方式(800
rpm、8分間)で乾燥する。このように現像液のエッ
チング作用によりパターニングが行われる。
【0032】すると、図6に示すように、不要部分のフ
ォトレジスト膜50aはほぼ除去され、補助電極22上
の配向膜26上に複数のストライプ状隔壁50が形成さ
れる。ここで、配向膜26上の隔壁50以外の部位に
は、エッチング残渣としてフォトレジストの残渣膜50
bが残る。なお、この残渣膜50bは、多少のオーバー
エッチングをしても残るが、これは、配向膜26とレジ
ストとの接着性がよいためではないかと考えられる。
【0033】その後、有機溶剤洗浄工程S8において、
隔壁形成後の電極基板20を、40℃にて加熱しつつ、
循環する有機溶剤槽(以下、IPA槽という)中のイソ
プロピルアルコール(以下、IPAという)に2分間浸
漬洗浄して残渣膜50bの除去処理を施す。この場合、
上記残渣膜50bは紫外光により高分子化していないこ
とと、当該残渣膜50bを構成するアクリルモノマーが
IPAに容易に溶ける性質を有することとが相まって、
残渣膜50bが除去される。
【0034】そして、水洗い・乾燥工程S9にて、電極
基板20を純水槽内に移しその純水により水洗いして、
この電極基板20に付着したIPAを除去した後、当該
電極基板20を乾燥させる。これにより、IPAが隔壁
を形成するフォトレジストを溶解する効果を有していて
も、純水槽内の純水によりIPAが電極基板20から確
実に除去されているので、電極基板20の乾燥時に隔壁
50を構成するフォトレジストが溶け出し、再度残渣膜
50bとなることもない。
【0035】このことにより、本実施形態で使用するI
PAは、純粋槽での除去が容易になるように水溶性であ
ることが望ましい。続いて、ラビング工程S10では、
電極基板20の配向膜25を、一定方向にラビング処理
する。なお、ラビング後の配向膜26の内表面が現像液
により劣化し、配向規制力の低下を招くおそれがあるこ
とを考慮すれば、ラビング工程S10は、隔壁形成工程
S7の後の方が望ましい。
【0036】次の重ね合わせ工程S11では、電極基板
10を電極基板20の上に位置させるようにして、互い
のラビング方向が所定の向き(例えば、パラレル或いは
アンチパラレル)となるようにする。そして、両電極基
板10、20をシール30及び隔壁50を介して重ね合
わせる。そして、シール硬化工程S12において、重ね
合わされた両電極基板10、20の外表面全体を、両基
板が密着する方向に加圧しつつ焼成する。その圧力は、
本実施形態では、0.4〜1.0kg/cm2 程度であ
り、焼成温度は約190℃、焼成時間20分である。
【0037】その後、液晶封入工程S13において、シ
ール30の液晶注入口から、反強誘電性液晶40を、液
相状態にて真空注入し、両電極基板10、20間の各隔
壁50以外の部分に充填する。さらに、シール30の液
晶注入口を樹脂製接着剤等で封止する。これにより、液
晶セルの製造が終了する。次に、上述のごとく、隔壁形
成工程S7の処理の後に有機溶剤洗浄工程S8及び水洗
い・乾燥工程S9の処理を施した場合の効果について説
明する。
【0038】残渣膜50bの膜厚は、数ナノメータのオ
ーダーであるため、当該膜厚を直接測定することは事実
上困難である。このため、X線光電子分光法(以下、E
SCAという)による分析によって、残渣膜50bの膜
厚を間接的に求めることとした。ESCAによる分析
は、X線を試料に照射したときこの試料から発生する光
電子を検出し、この検出光電子の結合エネルギー値でも
って元素を同定し、光電子量により存在する元素の量の
多少を明らかにするものである。
【0039】本実施形態では、ESCAによる分析装置
として、アルバック・ファイル社製のESCA5400
MC型分析装置を用いた。測定にあたり、隔壁形成工程
S7の処理後、有機溶剤洗浄工程S8及び水洗い・乾燥
工程S9において、加熱したIPAによる洗浄処理を施
した電極基板A1、室温(25℃)にてIPAによる洗
浄処理を施した電極基板A2、及び有機溶剤洗浄工程S
8及び水洗い・乾燥工程S9の処理をしなかった電極基
板A3を作製した。そして、各電極基板A1、A2、A
3の配向膜26の内表面側にある残渣膜50bの内表面
(反強誘電性液晶側表面)をESCAにより分析した。
【0040】なお、各電極基板A1、A2及びA3は、
残渣膜50bを除き、電極基板20と同様の構成を有し
ており、これら各電極基板A1、A2及びA3には、隔
壁形成工程S7の処理にて各隔壁50が形成されてい
る。具体的には、各電極基板A1、A2及びA3を上記
分析装置の試料室に入れ、真空度1.6×10-7Paと
し、マグネシウム15V400WをX線源として、残渣
膜50bの内表面(液晶側表面)にビーム照射する。そ
して、検出角度45°で発生する光電子を検出する。こ
こで検出エリアは直径1.1mmの円形スポットであ
る。
【0041】なお、配向膜形成工程S6の処理を施した
後の電極基板20の配向膜の内表面にまったく残渣膜5
0bの無いものを基準試料として準備した。ESCAに
よる分析結果を図7乃至図10にて示す。図7は基準試
料のESCAチャート図であり、図8は液晶セルA1の
ESCAチャート図である。また、図9は電極基板A2
のESCAチャート図であり、図10は電極基板A3の
ESCAチャート図である。ここで、横軸は結合エネル
ギー(eV)値を示し、縦軸はESCA装置にて検出さ
れた光電子数(絶対値)を示す。
【0042】本実施形態においては、残渣膜50bはア
クリル系、配向膜26はポリイミド系の樹脂であるの
で、配向膜26を特定するには、ポリイミド特有の構成
元素である窒素に着目することが好ましい。図7乃至図
9において、矢印Pで示すピークは配向膜26の窒素元
素のピークである。無処理では、図7にて示すように、
残渣膜50bにより窒素ピークを検出することはできな
いが、有機溶剤洗浄処理を施すことで、図8乃至図10
にて示すように、窒素ピークが検出され、残渣膜50b
の膜厚が薄くなっていることが分かる。
【0043】また、図8及び図9にて示す窒素のピーク
を比較すると、図8の窒素のピークの方が、図9の窒素
のピークよりも強く、残渣膜50bの膜厚がより一層薄
くなっている。このことから、有機溶剤を加熱すること
により、残渣膜50bの除去効果が高くなることが分か
る。但し、有機溶剤の沸点以上で洗浄処理を実施する場
合には、残渣膜50bの除去効果が悪くなっており、フ
ォトジストによって形成される隔壁50の接着力が低下
するという問題が生ずることが分かった。従って、有機
溶剤は室温(25℃)以上で沸点以下とする必要があ
る。
【0044】上述のESCAによる分析の検出角度にお
いては、表面深さ方向の検出可能深さは3nmである。
これにより、残渣膜50bの膜厚は、電極基板A2では
ほぼ3nmになっており、電極基板A1では、3nmよ
りも薄く、電極基板A3では、3nmよりも厚くなって
いるといえる。また、図8乃至図10には、各電極基板
A1乃至A3と同一条件で作成した電極基板を用いて製
造してなる液晶セルの表示コントラストCRをも付記し
てある。
【0045】残渣膜50bが3nm以下の薄い液晶セル
では、配向膜26の配向規制力が十分に発揮されるた
め、表示コントラストCRは24、20と高く実用レベ
ルにあるが、残渣膜50bが3nmよりも厚い液晶セル
では、配向膜26の配向規制力が十分発揮できず、表示
コントラストCRは8と悪くなっている。以上述べたよ
うに、本実施形態では、隔壁形成工程S7及び有機溶剤
洗浄工程S8の後に水洗い・乾燥工程S9の処理にて有
機溶剤洗浄処理を施すことで、残渣膜50bの膜厚を3
nm以下とすることができる。このため、配向膜26の
配向規制力が十分に発揮され、表示部の液晶配向を良好
に維持できるとともに、良好な製品に必要な表示コント
ラスト20を実現する液晶セルが提供できる。
【0046】また、反強誘電性液晶を用いた液晶セルに
おいては、液晶セルが無電界時に暗表示を行うため、液
晶配向が暗輝度に敏感に影響する。このため、本実施形
態を反強誘電性液晶を用いた液晶セルに適用すること
は、特に有効である。また、本実施形態の製造工程にお
いて、水洗い・乾燥工程S9後、ラビング工程S10の
前にESCAによる分析を行うようにすれば、残渣膜厚
が3nmより厚いものを製造工程の途中で排除できる。
そのため、良好なコントラストを有する液晶セルを効率
よく製造することができる。
【0047】また、本実施形態では、残渣膜50bは、
上記有機溶剤洗浄処理によって完全に除去されて無くな
っていてもよいことは勿論である。また、本発明の実施
にあたり、反強誘電性液晶に限ることなく、強誘電性液
晶等のスメクチック液晶やネマチック液晶等の他の液晶
を用いる液晶セルに対しても、本発明を適用してもよ
い。
【0048】なお、ESCA分析以外にも、光電子分光
法、オージェ電子分光法等、元素の同定及び定量が可能
な分析装置を用いて、上記実施形態と同様に、残渣膜厚
とコントラストとの関係を調査することにより、残渣膜
厚の許容範囲を求めてもよい。また、本発明の実施にあ
たり、上記水溶性有機溶剤としては、IPAに限ること
なく、例えば、アセトンや乳酸エチル等のフォトレジス
ト材料のアクリルモノマーを溶かす溶剤を用いることが
できる。
【0049】また、本発明の実施にあたり、水溶性有機
溶剤に限らず、例えば、エチレングリコモノエチルエー
テルアセテート等の非水溶性有機溶剤を用いてもよい。
また、本発明の実施にあたり、フォトレジスト材料は、
アクリル系樹脂ネガ型レジスト溶液に限定されるもので
はない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る液晶セルの全体構成を
示す断面図である。
【図2】図1のB部分の拡大断面図である。
【図3】上記実施形態の液晶セルの製造方法を示す工程
図である。
【図4】図3の製造方法のうち隔壁形成工程におけるレ
ジスト膜形成の様子を示す断面図である。
【図5】上記隔壁形成工程における露光処理の様子を示
す断面図である。
【図6】上記隔壁形成工程における現像処理後の様子を
示す断面図である。
【図7】上記実施形態におけるリファレンス試料のES
CAチャート図である。
【図8】上記実施形態におけるサンプルA1のESCA
チャート図である。
【図9】上記実施形態におけるサンプルA2のESCA
チャート図である。
【図10】上記実施形態におけるサンプルA3のESC
Aチャート図である。
【符号の説明】
10、20…電極基板、16、26…配向膜、40…反
強誘電性液晶、50…隔壁、50b…残渣膜、S7…隔
壁形成工程、S8…有機溶剤洗浄工程、S9…水洗い・
乾燥工程、S11…重ね合わせ工程、S13…液晶封入
工程。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに配向膜(16、26)にて対向す
    るように配置された両電極基板(10、20)と、 これら両電極基板(10、20)の一方の配向膜に感光
    性樹脂材料によりストライプ状に形成されて当該両電極
    基板間に挟持された複数の隔壁(50)と、 前記両電極基板間に封入された液晶(40)とを備え、 前記各隔壁(50)の形成に伴い前記樹脂材料によって
    前記一方の配向膜上に形成される残渣膜(50b)の膜
    厚が、有機溶剤による洗浄処理にて薄くなっていること
    を特徴とする液晶セル。
  2. 【請求項2】 前記残渣膜の膜厚は、前記一方の配向膜
    を構成する特定成分がX線光電子分光法分析によりピー
    クとして検出される厚さ以下であることを特徴とする請
    求項1に記載の液晶セル。
  3. 【請求項3】 前記一方の配向膜は窒素元素を有する樹
    脂材料からなるものであり、前記残渣膜の膜厚は、前記
    一方の配向膜を構成する窒素元素がX線光電子分光法分
    析によりピークとして検出される厚さ以下であることを
    特徴とする請求項1に記載の液晶セル。
  4. 【請求項4】 前記残渣膜の膜厚は3nm以下であるこ
    とを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の
    液晶セル。
  5. 【請求項5】 両電極基板(10、20)の各配向膜
    (16、26)の一方の配向膜にフォトリソグラフィ法
    により感光性樹脂材料でもって複数の隔壁(50)をス
    トライプ状にパターニング形成する隔壁形成工程(S
    7)と、 前記各配向膜を前記各隔壁を介し対向させるように前記
    両電極基板を重ね合わせる重ね合わせ工程(S11)
    と、 この重ね合わせ工程後、前記両電極基板間に液晶(4
    0)を封入する液晶封入工程(S13)とを備える液晶
    セルの製造方法において、 前記隔壁形成工程の後、前記各隔壁の形成時に前記樹脂
    材料によって前記一方の配向膜上に形成された残渣膜
    (50b)の膜厚を薄くするように、有機溶剤により洗
    浄処理する有機溶剤洗浄工程(S9)を備えることを特
    徴とする液晶セルの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記有機溶剤洗浄工程において、前記残
    渣膜の膜厚を3nm以下にすることを特徴とする請求項
    5に記載の液晶セルの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記有機溶剤は、室温以上に加熱して使
    用することを特徴とする請求項5又は6に記載の液晶セ
    ルの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記有機溶剤洗浄工程の処理後、前記各
    隔壁を形成した電極基板を水洗いすることを特徴とする
    請求項5乃至7のいずれか一つに記載の液晶セルの製造
    方法。
  9. 【請求項9】 前記有機溶剤は水溶性であることを特徴
    とする請求項8に記載の液晶セルの製造方法。
  10. 【請求項10】 前記有機溶剤はイソプロピルアルコー
    ルであることを特徴とする請求項5乃至9のいずれか一
    つに記載の液晶セルの製造方法。
  11. 【請求項11】 両電極基板(10、20)の各配向膜
    (16、26)の一方の配向膜にフォトリソグラフィ法
    により感光性樹脂材料でもって複数の隔壁(50)をス
    トライプ状にパターニング形成する隔壁形成工程(S
    7)と、前記各配向膜を前記各隔壁を介し対向させるよ
    うに前記両電極基板を重ね合わせる重ね合わせ工程(S
    11)と、 この重ね合わせ工程後、前記両電極基板間に液晶(4
    0)を封入する液晶封入工程(S13)とを備える液晶
    セルの製造方法において、 前記隔壁形成工程の後、前記各隔壁の形成時に前記樹脂
    材料によって前記一方の配向膜上に形成された残渣膜
    (50b)を、当該残渣膜を構成する前記樹脂材料を溶
    解する有機溶剤により洗浄処理する有機溶剤洗浄工程
    (S9)を備えることを特徴とする液晶セルの製造方
    法。
  12. 【請求項12】 前記残渣膜は、前記隔壁のパターニン
    グ時に未感光な前記感光性樹脂材料により構成されてい
    ることを特徴とする請求項11に記載の液晶セルの製造
    方法。
  13. 【請求項13】 前記感光性樹脂材料は、アクリル系樹
    脂モノマーであり、かつ、前記有機溶剤は、イソプロピ
    ルアルコールであることを特徴とする請求項12に記載
    の液晶セルの製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20020056711A (ko) * 2000-12-29 2002-07-10 주식회사 현대 디스플레이 테크놀로지 액정표시소자의 제조방법
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JP2013086475A (ja) * 2011-10-21 2013-05-13 Canon Inc インクジェット記録ヘッドの製造方法

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