JPH11218452A - 軸力測定方法および軸力測定装置 - Google Patents

軸力測定方法および軸力測定装置

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JPH11218452A
JPH11218452A JP8581898A JP8581898A JPH11218452A JP H11218452 A JPH11218452 A JP H11218452A JP 8581898 A JP8581898 A JP 8581898A JP 8581898 A JP8581898 A JP 8581898A JP H11218452 A JPH11218452 A JP H11218452A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ボルト等の長尺部品の軸力を超音波の伝播時
間に基づき測定する方法において、軸力をかける前後で
の測定が不要で精度の高い測定方法を提供する。 【解決手段】 あらかじめ測定対象となるボルトと同種
のボルトにより、超音波の横波、縦波の各々がボルト全
長を往復する伝播時間と、軸力との関係である軸力算出
関数(50,52)を求める。測定対象となるボルトに
軸力がかかった状態で横波、縦波の伝播時間(TS
L)を求める。軸力算出関数と、伝播時間から測定軸
力(FS,FL)を算出し、各々に修正変数(dS,dL
を加算し、暫定軸力(FS *,FL *)を得る。ここで、d
L= dS(vL/vS)である。修正変数の値を変えて二
つの暫定軸力(FS *,FL *)の差が実質的に最小となる
ときの、これらの値の平均を軸力Fとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、長尺部品、たとえ
ばボルトなどねじ締結体の軸方向に加わる力である軸力
を、当該部品中を伝播する音波の伝播時間に基づき測定
する方法および測定する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】二つまたはそれ以上の部品を締結する方
法として、ボルトによる締結方法は最も広く知られた方
法の一つである。この締結力は、ボルトの軸方向にかか
る力である軸力の反力として発生する。したがって、ボ
ルト軸力を測定することによって、当該ボルトが複数の
部品を締結している力を知ることができる。一方、この
締結力は、工業製品などの製造過程において適切に管理
される必要がある。この締結力が小さければ、製品を使
用中にボルトが緩んだり、締結力が大きければ想定され
た以上の変形が製品に生じ、所定の性能を達成できない
場合がある。この締結力を管理するには、前述のように
その反力であるボルト軸力を管理すればよい。
【0003】このボルト軸力を管理するための様々な方
法が知られている。最も広く用いられている方法は、ボ
ルトを締め付けるトルクを管理することにより、間接的
にボルト軸力を管理するものである。しかし、この方法
は、簡易ではあるが、ボルトと締結される部品との摩擦
力のばらつきが大きいために誤差が大きく、場合によっ
ては、十分な精度を得ることができないという問題があ
った。
【0004】また、別の方法として、ボルト内部を伝播
する音波の伝播時間に基づきボルト軸力を求める方法が
知られている。軸力が加わるとボルトが延びるために伝
播時間が延び、また軸力による応力場により音速が低下
することによっても伝播時間が延びる。この方法におい
ては、これを利用してボルトの軸力を測定している。具
体的には、同一種類のボルトによって、ボルト軸力とボ
ルト全長を音波が往復する伝播時間の関係を求めてお
き、あるボルトの伝播時間を測定し、前記の関係に基づ
き軸力を推定することができる。しかし、この方法で
は、個々のボルトのばらつき、特に長さのばらつきによ
り誤差が生じるという問題があった。なお、前述の音波
は、所定周波数のキャリア波を短時間送信するパルス波
を用いるのが一般的である。そして、キャリア波の所定
値以上のピークに基づき音波の到達を判断している。
【0005】このボルト長さのばらつきによる誤差を排
除するために、同一のボルトにつき、締め付けの前後で
音波の伝播時間を測定することが考えられる。しかし、
この場合あらかじめ締め付け前の測定が必要となり、そ
のボルトを特定して締め付け後の測定を行う必要があ
る。これは、量産性を著しく悪化させ、また抜き取り検
査なども困難となる。
【0006】締め付け前、すなわち無負荷時の測定を不
要とするために、ボルトを伝播する音波の横波と縦波の
音速の比を用いて軸力を測定する方法が知られている。
前述のように音速は、その伝達媒体の応力が高くなると
低下する傾向を示すが、その低下率、すなわち音弾性係
数は、縦波と横波で異なっている。したがって、縦波と
横波の各々の伝播時間の比からボルトの軸力を推定する
ことができる。この方法によれば、無負荷時の測定が必
要なくなるが、ボルト長さのばらつきにより誤差が生じ
てしまう。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前述した従来のいずれ
の方法を選択するにしても、ボルト長さのばらつきによ
る誤差を低減しようとすると、無負荷時の測定を行う必
要が生じ、量産性を悪化させる。一方、無負荷時の測定
をしないようにすれば、ボルト長さのばらつきによる誤
差を排除することができない。このように、従来、ボル
ト長さのばらつきを排除でき、かつ無負荷時の測定が不
要なボルト軸力の測定方法がなく、効率よくかつ高精度
な測定を行うことができないという問題があった。
【0008】また、前もってボルト軸力と伝播時間また
は音速の関係を測定したときと、実際にボルトを締め付
けたときの、ボルトの応力場の状態が異なる場合があ
る。特に、締結対象となる部材が大きく変形する場合、
たとえばばね座金を用いた場合や割型クランプを締め付
ける場合、この傾向が顕著となり、測定値に誤差が生じ
るという問題があった。
【0009】さらにまた、前述のパルス波は短時間とは
いえ、ある程度の時間幅を有しており、そのどの時点で
パルス波が到達したとするか問題がある。特に、一つの
パルスが、複数周期のキャリア波形を含む場合、どの周
期のキャリア波形が選択されたかにより伝播時間が変化
してしまい、誤差が生じるという問題があった。
【0010】本発明は、前述の問題点を解決するために
なされたものであり、一つの目的は、無負荷時の測定が
不要で、ボルト長さのばらつきによる誤差を低減するこ
とができる軸力の測定方法およびこれを用いて軸力を測
定する軸力測定装置を提供することである。
【0011】また、他の目的は、軸力と伝播時間または
音速の関係を予め求めたときと、実際にボルトを締め付
けたときの応力場が異なることによる生じる誤差を低減
することができる軸力測定方法およびこれを用いて軸力
を測定する軸力測定装置を提供することである。
【0012】また、さらに他の目的は、複数周期のキャ
リア波形のうち、どの周期のものを選択するかを適切に
選択することができる軸力測定方法およびこれを用いて
軸力を測定する軸力測定装置を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
めに、本発明にかかる軸力測定方法は、長尺部品の軸方
向に加わる力である軸力を、当該長尺部品中を伝わる音
波の、当該長尺部品の所定の点の間の伝播時間に基づき
測定する軸力測定方法であって、測定対象となる長尺部
品と同種の部品にて、音波の横波の伝播時間と軸力との
関係を示す横波軸力算出関数および音波の縦波の伝播時
間と軸力との関係を示す縦波軸力算出関数を求めるステ
ップと、測定対象となる長尺部品に実際に軸力が加えら
れたときの音波の横波および縦波の各々の伝播時間を測
定するステップと、前記横波軸力算出関数と横波の伝播
時間から求めた測定横波軸力に修正変数を加算し、暫定
横波軸力を算出するステップと、前記縦波軸力算出関数
と縦波の伝播時間から求めた測定縦波軸力に、前記修正
変数に軸力0のときの横波と縦波の音速比を乗じた値を
加算し、縦波軸力を算出するステップと、前記修正変数
を変更し、前記暫定横波軸力と前記暫定縦波軸力の差が
実質的に最小となるときのこれらの値を実際の軸力とす
るステップと、を有している。
【0014】前記伝播時間を測定するステップにおいて
は、測定対象となっている部品の長さの正確な値は不明
である。したがって、算出された測定横波軸力FSと測
定縦波軸力FLは、部品長さのばらつきに起因する誤差
を含んでいる。この測定横波軸力の誤差ΔFSと、測定
縦波軸力の誤差ΔFLは、これらが部品の長さのばらつ
きに起因する誤差であるとすれば、同一部品の長さは当
然一つの値であるから、これら二つの誤差ΔFS,ΔFL
は、ある関係を有している。この関係は、無負荷時の横
波の音速vS、縦波の音速vLとすれば、
【数1】ΔFS/ΔFL=vS/vL ・・・(1) と表せる。また、同一条件下で測定した軸力は等しいは
ずであるから、横波により測定された軸力と縦波により
測定された軸力は本来等しい。すなわち、
【数2】FS−ΔFS=FL−ΔFL ・・・(2) となるはずである。しかし、誤差ΔFS,ΔFLは求める
ことができない。そこで、測定軸力にこれらの誤差に対
応する変数(修正変数)dS,dLを加えた暫定的な軸力
S *,FL *を想定する。横波に基づき算出された暫定軸
力(暫定横波軸力)FS *と、縦波に基づき算出された暫
定軸力(暫定縦波軸力)FL *は、
【数3】FS *=FS+dS ・・・(3) FL *=FL+dL ・・・(4) と表せる。なお、修正変数dS,dLは、式(1)と同様
に、
【数4】dS/dL=vS/vL ・・・(5) の関係がある。前述のように、同一の条件下で測定した
軸力は等しいはずであるから、暫定軸力FS *,FL *は等
しくなるべきであって、修正変数を変更してこの条件を
満たすようにする。このときの暫定軸力FS *(=FL *
が現実に加わっている軸力である。しかし、実際には、
他の要因のために二つの暫定軸力FS *,FL *は等しくな
らない場合もあるので、二つの暫定軸力FS *,FL *の差
が最小となるよう修正変数を変更する。そして、この二
つの暫定軸力FS *,FL *の相加平均を実際の軸力とする
ことが現実的である。
【0015】また、本発明の他の態様である軸力測定装
置は、長尺部品の軸方向に加わる力である軸力を、当該
長尺部品中を伝わる音波の、当該長尺部品の所定の点の
間の伝播時間に基づき測定する軸力測定装置であって、
前記長尺部品に対し音波を送信する送信手段と、前記送
信された音波を前記長尺部品より、音波の横波と縦波を
分離して受信する受信手段と、音波が送信されてから受
信されるまでの伝播時間を測定する伝播時間測定手段
と、音波の横波および縦波の伝播時間のそれぞれと軸力
の関係を示す横波軸力算出関数および縦波軸力算出関数
とを記憶する軸力算出関数記憶手段と、前記横波の伝播
時間と横波軸力算出関数より測定横波軸力を求め、これ
に修正変数を加算して暫定横波軸力を算出し、一方前記
縦波の伝播時間と縦波軸力算出関数より測定縦波軸力を
求め、これに前記修正変数に軸力0のときの横波と縦波
の音速比を乗じた値を加算して暫定縦波軸力を算出する
暫定軸力算出手段と、前記修正変数を変更し、前記暫定
横波軸力と前記暫定縦波軸力の差が実質的に最小となる
ときのこれらの値を現実の軸力として算出する軸力算出
手段と、を有している。
【0016】また、前記の軸力測定方法の少なくとも一
部の手順をコンピュータに実行させるためのプログラム
を記憶させたコンピュータに読み取り可能な記録媒体を
作製することができる。
【0017】また、前記の軸力測定装置の少なくとも一
部の機能をコンピュータで実現するためのプログラムを
記憶させたコンピュータに読み取り可能な記録媒体を作
製することができる。
【0018】本発明を実施するのに好適な記録媒体とし
て、長尺部品の所定点間の音波の横波の伝播時間と当該
長尺部品の軸方向に加わる力である軸力との関係を示す
横波軸力算出関数をメモリから読み込む手順と、前記所
定点間の音波の縦波の伝播時間と前記軸力との関係を示
す縦波軸力算出関数をメモリから読み込む手順と、測定
対象となる長尺部品に実際に軸力が加えられたときの音
波の横波および縦波の各々の伝播時間を読み込む手順
と、前記横波軸力算出関数と横波の伝播時間から求めた
測定横波軸力に修正変数を加算し、暫定横波軸力を算出
する手順と、前記縦波軸力算出関数と縦波の伝播時間か
ら求めた測定縦波軸力に、前記修正変数に軸力0のとき
の横波と縦波の音速比を乗じた値を加算し、縦波軸力を
算出する手順と、前記修正変数を変更し、前記暫定横波
軸力と前記暫定縦波軸力の差が実質的に最小となるとき
のこれらの値を実際の軸力として算出する手順と、をコ
ンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコ
ンピュータ読み取り可能な記録媒体を作製することがで
きる。
【0019】また、本発明にかかる他の軸力測定方法
は、長尺部品の軸方向に加わる力である軸力を、当該長
尺部品中を伝わる音波の、当該長尺部品の所定の点の間
の伝播時間に基づき測定する軸力測定方法であって、測
定対象となる長尺部品と同種の部品にて、軸力を加える
前後の音波の横波と縦波の伝播時間の変化の比と軸力と
の関係を示す音速変化比軸力算出関数を求めるステップ
と、測定対象となる長尺部品の軸力を加える前後の音波
の横波と縦波の伝播時間を測定し、その変化の比を算出
するステップと、前記変化の比と前記音速変化比軸力算
出関数とに基づき軸力を算出するステップと、を有して
いる。
【0020】締め付け前後における伝播時間の差ΔT
は、
【数5】 と表される。式(6),(7)において、添え字
の「S」,「L」は、それぞれ横波、縦波に関する値を示
す。また、L0はボルト長さ、vSO、vLOは無負荷時の
音速、αは音弾性係数、σeは等価応力、βは等価応力
長さとボルト長さの比である等価応力長さを示す。
【0021】式(6),(7)の両辺をそれぞれ割れ
ば、
【数6】 を得る。式(8)からΔTS/ΔTLは、等価応力長さ比
βに依存せず、等価応力σeにのみの関数となる。した
がって、軸力と伝播時間または音速の変化の関係を求め
たときと、実際に締め付けを行うときのそれぞれの応力
場が異なる場合、すなわち等価応力長さが異なる場合に
おいても、この影響を受けない測定を行うことができ
る。
【0022】また、前記の軸力測定方法を実行するため
に、長尺部品に対し、音波を送信する送信手段と、前記
送信された音波を前記長尺部品より、音波の横波と縦波
を分離して受信する受信手段と、音波が送信されてから
受信されるまでの伝播時間を測定する伝播時間測定手段
と、軸力を加える前後の音波の横波と縦波の伝播時間の
変化の比と軸力との関係を示す音速変化比軸力算出関数
を記憶する音速変化比軸力算出関数記憶手段と、前記長
尺部品の軸力を加える前後の音波の横波と縦波の伝播時
間よりその変化の比を算出し、これと前記音速比軸力算
出関数とに基づき、軸力を算出する軸力算出手段と、を
有する軸力測定装置が提供される。
【0023】さらに、前記の軸力測定方法をコンピュー
タに実行させるためのプログラムを記録した記録媒体を
提供することができる。すなわち、この記録媒体は、長
尺部品の所定点間の、軸力を加える前後の音波の横波と
縦波の伝播時間の変化の比と、軸力との関係を示す音速
変化比軸力算出関数をメモリから読み込む手順と、測定
対象となる長尺部品の軸力を加える前後の音波の横波と
縦波の伝播時間を読み込み、これら変化の比を算出する
手順と、前記音速の横波と縦波の変化の比と、前記音速
変化比軸力算出関数とに基づき軸力を算出する手順と、
を記録したものである。
【0024】また、本発明にかかるさらに他の軸力測定
方法は、測定対象となる長尺部品と同種の部品にて、当
該部品の所定点の間の音波の伝播時間を、軸力を加える
前後において測定し、またそのときの軸力を測定し、こ
の伝播時間変化と軸力との関係を求めるステップと、測
定対象となる長尺部品の、軸力を加える前後の伝播時間
の変化を測定し、前記の伝播時間変化と軸力の関係から
軸力を算出するステップと、を有する軸力測定方法に関
するものである。
【0025】そして、特に、前記伝播時間の測定は、所
定周波数のキャリア波のパルス音波を送受し、所定の点
で受信された前記音波に基づき行われるものであって、
前記パルス音波が含むキャリア波の、所定のしきい値を
超えたピークのうち最初のピーク間の時間を伝播時間と
するステップと、この伝播時間に基づき軸力を加える前
後の伝播時間の変化を、仮の伝播時間変化として算出す
るステップと、前記仮の伝播時間変化が所定の範囲にな
い場合、前記しきい値を小さい値に変更するステップ
と、前記仮の伝播時間変化が所定の範囲となるまで、前
記のしきい値変更を繰り返し、所定の範囲となったとき
の値を真の伝播時間変化として算出するステップと、に
より行われる。
【0026】前記のようなキャリア波からなるパルス波
において、二つのパルス波の時間間隔を測定するには、
二つのパルス波に含まれるキャリア波のピークの時間間
隔を測定する。しかし、パルス波には、複数のキャリア
波のピークが存在し、適正に対応するピーク間の時間を
測定しないと、正しい軸力を算出することができない。
ピークの選択を誤ると、負の軸力や、ボルトの破断応力
以上の軸力など、あり得ない軸力が算出される場合があ
る。また、前記のピークは、キャリア波の周期ごとに現
れるから、任意に選択されたピーク間の時間間隔は離散
的な値をとる。よって、これに対応して算出される軸力
も離散的な値をとるが、この離散値の間隔が、想定され
る軸力の範囲以上であれば、どの値が適切な値かを推定
することができる。たとえば、ボルトを締め付けた場
合、軸力が負となることはないので、負の軸力が算出さ
れるようなピークの組は、排除することができる。ま
た、材料強度などから定まる破断点以上の軸力が算出さ
れるピークの組も排除することができる。さらに、実際
の締め付けにおいて、軸力が所定の範囲となる場合にお
いては、この範囲から外れるピークの組を排除すること
もできる。
【0027】より具体的には、伝播時間は次のように算
出される。前記キャリア波のピークを検出するために、
しきい値を定め、このしきい値より大きいピークのうち
最初のピークが検出された時点を、そのパルス波の到達
時点とする。二つのパルス波の前記の到達時点間の時間
を算出し、伝播時間とする。この伝播時間と、あらかじ
め求められている締め付け前の伝播時間との差を算出す
る。この伝播時間差が所定の範囲にあるかを判断し、な
い場合、前記のしきい値を小さく変更し、同様にして再
度伝播時間差を求める。このように、しきい値を小さく
することにより、減衰してピーク値の下がったピークを
探し出すことができ、測定すべきピークを探すことがで
きる。そして、伝播時間差が所定の範囲に入ったとき、
これに基づき軸力を算出する。
【0028】前述のキャリア波のピークの選択につい
て、音波の縦波と横波の伝播時間の比に基づき軸力を算
出する方法にも採用することが可能である。すなわち、
横波、縦波それぞれについて、任意のピークの組から伝
播時間を求め、横波と縦波の伝播時間の比を求め、この
比が所定の範囲となる場合に、これに基づき軸力を算出
する。
【0029】さらに、適正なピーク値の組を次のように
見つけることも可能である。到達時間の差を求めようと
する二つのパルスの間で、各キャリア波のピーク間の時
間差を全て算出し、この時間差についての度数分布を求
める。この度数分布は、キャリア波の周期に相当する間
隔を有する離散的な分布となる。離散した塊ごとに平均
を求め、これらの平均値とあらかじめ測定されている締
め付け前の伝播時間との差を求める。そして、この伝播
時間差が所定の範囲にある前記平均値を真の伝播時間と
して、このときの伝播時間差に基づき軸力を算出する。
【0030】さらに、この適正なピークの組を見つけ、
軸力を測定する方法をコンピュータに実行させるための
プログラムを記録した記録媒体を提供することができ
る。すなわち、この記録媒体は、長尺部品の所定点の間
の音波の伝播時間の軸力を加える前後変化と、そのとき
の軸力との関係をメモリから読み込む手順と、軸力を加
える前に前記長尺部品の所定点間の音波の伝播時間を測
定する手順と、軸力を加えた後、前記所定点において検
出された音波の少なくとも二つのパルス波形を読み込む
手順と、前記二つのパルス波形の間において、前記パル
ス波形が含むキャリア波の各ピーク間の時間を各個に算
出する手順と、前記ピーク間の時間の度数分布を求め、
度数分布の塊ごとに平均値を算出する手順と、前記各平
均値と軸力を加える前の伝播時間の差が、所定の範囲内
のものの平均値を音波の伝播時間とし、これに基づき軸
力を加える前後の伝播時間の差を算出する手順と、前記
軸力を加える前後の伝播時間差に基づき、前記伝播時間
変化と軸力の関係から、そのときの軸力を算出する手順
と、を記録したものである。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態(以下
実施形態と記す)を、図面に従って説明する。
【0032】[第1の実施形態]図1は、第1の実施形
態の装置概要を示す構成ブロック図である。測定対象
は、二つの部品10,12を締結している六角ボルト1
4(以下、単にボルト14と記す)である。ボルト頭頂
部には、ボルト14内に音波を送信し、およびボルト1
4から音波を受信する超音波探触子16が配置される。
本実施形態においては、送受信される音波は、一般に約
5〜20MHzの超音波が用いられている。超音波探触
子16は、ボルト14内部に横波と縦波の超音波を生成
し、またこれらを受信できるものであれば、公知のどの
ような探触子を使用することもできる。特に横波と縦波
を同時に送受信できる構造であることが好ましい。さら
には、ボルトが反った場合、反りの外側・内側で伝播経
路が異なるので、これが相殺されるように超音波振動子
の横波と縦波の送受信部が配置されることが好ましい。
このような配置にはたとえば、中心部に横波の送受信
部、そしてその周囲に円環状縦波の送受信部を配する方
法がある。また、円を複数本の直径で分割した各扇形の
部分に交互に横波・縦波の送受信部を配置することがで
きる。超音波の送信は、送受信制御部18により制御さ
れる送信回路20から送信される送信信号によって実行
される。また、受信回路22は、ボルト14の先端で反
射した反射波を受信する。反射波を受信した時刻と、前
述の送受信制御部18の送信制御の時刻に基づきボルト
14の全長を超音波が往復した時間(伝播時間)を横
波、縦波それぞれについて伝播時間算出部24が算出す
る。
【0033】メモリ26には、ボルト14と同種、すな
わち材質、形状が同一であるボルトによってあらかじめ
求められている伝播時間と軸力の関係を示す軸力算出関
数が横波・縦波ごとに記憶されている。演算部28は、
算出された伝播時間と、横波および縦波の軸力算出関数
を読み出す。そして、暫定軸力算出部30は、これら読
み込まれたデータから軸力を算出する。この算出された
軸力は、実際に測定されたボルト14の長さが、軸力算
出関数を求めたときのボルトの長さと異なる場合がある
ために、ある誤差を含んでいる。そこで、ここで算出さ
れた軸力を、暫定的に求められた軸力とし、横波に基づ
くものが暫定横波軸力、縦波に基づくものが暫定縦波軸
力とする。本来、一つのボルトの軸力を測定しているの
であるから、横波に基づき測定した軸力と縦波に基づき
測定した軸力とは一致するはずである。軸力算出部32
は、これら二つの暫定軸力が一致しない原因が、ボルト
14の長さが軸力算出関数を求めたときのボルト長さと
異なるためであり、ボルト長さが一致すれば、二つの暫
定軸力が本来一致するとの仮定の下に、軸力の算出を行
う。この軸力の算出については、後に詳述する。
【0034】前述の送受信制御部18、伝播時間算出部
24と演算部28は、実際には、コンピュータに備えら
れた所定のプログラムに基づき作動するCPU(中央処
理装置)34である。また、前記のプログラムは、コン
ピュータの内部メモリに記憶することも、CD−ROM
(コンパクトディスク−読出し専用メモリ)36やFD
(フレキシブルディスク)などの外部記録媒体に記憶す
ることもできる。前記のような外部記録媒体に記憶する
場合、記憶された情報を読み出すためのCD−ROMド
ライブ38などが備えられている。
【0035】次に、軸力の算出方法について詳述する。
図2は、ボルト14により二つの部品10,12を締結
している状態の模式図である。締結時、ボルト14に
は、均等に軸力が加わるのではなく、ボルト頭部の軸部
に近接する部分からねじにより結合している部分の間に
軸力が加わり、ボルト14の両端部には、軸力の加わら
ない部分が存在する。また、軸力が加わっている部分に
おいても、均一の軸力が加わっているのではなく、たと
えばねじにより結合している部分においては、ボルト頭
部に近いほど軸力が高くなっている。しかし、ここで
は、図示するように、簡易的に、軸力が加わっている負
荷部分(図中斜線を施した部分)と、軸力が加わってい
ない無負荷部分に分ける。負荷部分の長さは、実際の軸
力、すなわち長さ方向に均一ではない軸力による伸び
と、ボルトにかかる軸力が負荷部分全体に均一に加わっ
ているとしたときの伸びが一致する長さとする。この長
さを、等価応力長さとする。
【0036】音速は、音の伝達媒体の応力により変化す
ることが知られており、応力σにおける音速Vは、応力
が0(無負荷)のときの音速V0、音弾性係数αを用い
て、
【数7】V=V0(1−ασ) ・・・(9) と表せる。なお、横波・縦波によって無負荷時の音速V
0および音弾性係数αは異なっている。このように、応
力によって音速が変化するために、軸力が加わったボル
トの音速は、図2に示すようなものとなる。すなわち、
無負荷時の音速は、横波がvS、縦波がvLであり、それ
ぞれ負荷部分においては遅くなっている。
【0037】図3は、ボルト長さのばらつきにより生じ
る軸力の誤差、およびボルト長さのばらつきの影響を除
去する方法を説明するための図である。
【0038】実際に締結に用いられるボルト14と同
種、すなわち材質、形状が同一のボルトによって、あら
かじめ求めた伝播時間と軸力の関係が図3に破線で示さ
れている。横波に関するものが破線50で、縦波に関す
るものが破線52で示されている。また、これらの破線
で表される関数は、伝播時間から軸力を算出するための
軸力算出関数であり、横波(破線50)に関しては横波
軸力算出関数、縦波(破線52)に関しては縦波軸力関
数である。これらの関数は、それぞれ多項式で表せる。
多項式の次数は、実測値を統計的に検査し、妥当なもの
とすればよいがここでは2次関数式、
【数8】 FS=aSS 2+bSS+cS ・・・(10) FL=aLL 2+bLL+cL ・・・(11) として説明する。ここで、FSは横波に関する軸力、TS
は横波の伝播時間、FLは縦波に関する軸力、TLは縦波
の伝播時間であり、aS,bS,cS,aL,bL,cLは、
係数である。ここでは、2次曲線として近似している
が、十分な精度が得られれば、1次近似とすることもで
きる。
【0039】本来、同一の測定対象について測定してい
るのであるから、横波に基づき測定された軸力FSと縦
波により測定された軸力FLは、当然一致する。しか
し、実際に測定を行うと一致しない場合があり、この原
因の一つに、式(10),(11)で示した軸力算出関
数を求めたときのボルト長さと、測定対象となっている
ボルトの長さが異なることがある。
【0040】さて、以降、二つの測定された軸力FS
Lが異なる原因が前記のボルト長さのばらつきのみに
より生じたものであるとして説明をする。ボルト長さが
異なると伝播距離が変わるので、伝播時間も変化する。
また、図2から、ボルトの長さが変わると等価応力長さ
は変化せず、無負荷部分の長さが変化することが分か
る。したがって、測定された伝播時間TS,TLは、この
無負荷部分の長さの変化を含んでいることになる。すな
わち、ボルト長さの差による超音波の伝播時間の変化量
は、超音波がこの差に相当する距離を超音波が伝播する
のに要する時間である。そして、真の軸力Fに対する軸
力FS,FLの誤差ΔFS(=F−FS),ΔFL(=F−
L)は、無負荷部分の長さの差を音波が伝播するのに
要する時間に基づき発生するので、無負荷時の横波・縦
波の音速をvS,vLとすれば、
【数9】ΔFS/ΔFL=vS/vL ・・・(12) の関係がある。
【0041】しかし、誤差ΔFS,ΔFLの実際の値は不
明であるので、この誤差に相当する修正変数として
S,dLを式(10),(11)に加えた値を、暫定横
波軸力FS *,暫定縦波軸力FL *とすれば、これらは、
【数10】 FS *=FS+dS=aSS 2+bSS+cS+dS ・・・(13) FL *=FL+dL=aLL 2+bLL+cL+dL ・・・(14) で表せる。式(13),(14)で表される関数は、図
3中、実線54,56で示されるように、破線50,5
2が縦軸方向に平行移動した線である。また、二つの修
正変数dS,dLの関係は、式(12)と同様に、
【数11】dS/dL=vS/vL ・・・(15) と表せる。前述のように、これらの暫定軸力FS *,FL *
は、本来一致するはずであるから修正変数dS,dLを変
化させて、暫定軸力FS *,FL *の差が最小となる修正変
数を見つける。そして、このときの暫定軸力FS *,FL *
の相加平均を実際の軸力Fと定める。
【0042】図4には、本実施形態の軸力測定方法の流
れを示すチャートが示されている。準備として、あらか
じめ測定対象となるボルトと同種のボルトにて測定され
た、超音波の横波がボルト全長を往復するに要する時間
(伝播時間)と軸力との関係を示す横波算出関数と、同
様に超音波の縦波の伝搬時間と軸力との関係を示す縦波
算出関数をあらかじめ求めメモリに記憶する。この算出
関数が、図3における破線50,52である。
【0043】次に、実際の測定対象となるボルトに対
し、超音波の送受信を行い、横波、縦波の伝播時間
S,TLの測定を行う(S100)。横波の伝播時間T
Sと前記の横波算出関数に基づき横波軸力(測定横波軸
力)を求め、これに修正変数dSを加算し暫定横波軸力
S *を算出する(S102)。この暫定横波軸力F
S *は、図3においては破線50で表された横波算出関数
を縦方向に平行移動した関数群として表され、修正変数
Sの値を定めることによって、たとえば図3中の実線
54のように一つの関数が決定される。縦波に関して
も、横波と同様の伝播時間TLから暫定縦波軸力FL *
求めることができ(S104)、これも図3中の破線5
2を縦方向に平行移動した関数群として表され、修正変
数dLの値を定めることによって、一つの関数が決定さ
れる。なお、二つの修正変数dS,dLは、独立した変数
ではなく、前述の式(12)の関係を有し一つの変数で
ある。
【0044】最後に、二つの暫定軸力FS *,FL *の差が
最小の値となるように修正変数dS,dLを定め、このと
きの暫定軸力FS *,FL *の相加平均を軸力Fとして算出
する(S106)。
【0045】図5は、本実施形態の測定方法の効果を表
す図である。横軸は、横波・縦波軸力算出関数を求めた
ときのボルト長さと、測定対象となったボルトとの長さ
の差である。縦軸は、歪み測定などにより求められた実
際の軸力に対して、算出された軸力の誤差の率を示して
いる。図中、黒まる(●)は、測定された伝播時間と軸
力算出関数に基づき算出されたデータ(測定横波軸力、
測定縦波軸力)を示し、実線がこれらのデータの近似線
である。これらデータに対し、本実施形態の軸力算出方
法を適用したデータが白まる(○)であり、これらの近
似線が破線で示されている。この近似線(破線)は、横
軸にほぼ平行、すなわちボルト長さの誤差に対して変化
しないものであり、ボルト長さによる誤差が排除されて
いることが確認できる。
【0046】なお、軸力の測定誤差がボルト長さの差に
よるもののみであれば、本実施形態の適用前において
は、一点鎖線で示すような、ボルト長さの誤差が0のと
き軸力の誤差も0となるようなグラフを描き、また適用
後は、破線で示す近似線は横軸に一致すると考えられ
る。したがって、図示するように、これらがずれたの
は、軸力測定において、ボルト長さの他に他の誤差要因
があることが推量される。
【0047】図5中、三角(△)で示したデータは、ボ
ルト一つ一つに対し、軸力をかける前後、すなわち締め
付けの前後で超音波の伝播時間を測定し、これに基づき
算出された軸力のデータであり、二点鎖線がこれらのデ
ータの近似線である。この方法によれば、軸力の誤差は
約4%以下、平均で約2%であることが分かる。これに
対し、本実施形態の算出方法によれば、誤差は約6%以
下、平均で3%程度であることがわかる。
【0048】なお、本実施形態においては、ボルトの軸
力を測定する場合について説明したが、軸力の方向の寸
法に対し、直交する方向の寸法が十分小さい長尺部品の
軸力測定にも適用できる。
【0049】[第2の実施形態]図6には、第2の実施
形態の装置の概略構成が示されている。前述の第1の実
施形態と同様の構成については同一の符号を付し、その
説明を省略する。図6には、特に、ナット113ととも
に割り型クランプ110を挟持するボルト14の軸力を
測定する場合が例示されている。割り型クランプ110
は、その二股に分かれた根本部分にシャフト112など
の部材を挟持し、脚部分をボルト等で締め付け部材の固
定を行うものである。したがって、割り型クランプ11
0の脚部分は、比較的大きく変形する。すると、図2に
示されるように被締結部材10,12がほとんど変形し
ないとして求めている軸力と音波の伝達時間等の関係を
示す関数をそのまま適用することができない。これは、
被締結部材が弾性変形することによって、ボルト内の応
力場が前記関数を求めたときと相違することに起因す
る。図示する割り型クランプ110の場合、軸力が大き
くなればなるほど、クランプの二つの脚部分は接近し、
無負荷部分の長さは長くなり、等価応力長さは短くな
る。本実施形態は、このように、軸力によって応力場が
変化する場合に好適に適用できる。
【0050】実際の測定に先立って、測定対象となる同
種のボルトによって、音波の横波と縦波の全長を往復す
る伝播時間と、軸力の関係を求める。このとき、被締結
物は、実際の締め付けを行うものでなくてもよい。さら
に、横波と縦波の無負荷状態から負荷状態の伝播時間の
変化の比ΔTS/ΔTLと軸力の関係である音速変化比軸
力算出関数を求める。この一例が図7に示されている。
そして、メモリ126にこの関数が記憶される。応力
(軸力)がかかった状態での音速vは、無負荷状態での
音速v0と、音弾性係数α、等価応力σeから、
【数12】v=v0(1−α・σe) ・・・(16) と表せる。
【0051】さらに、等価応力長さLeをボルト長さL0
で割った値である等価応力長さ比β(=Le/L0)を用
いて、横波と縦波の無負荷状態から負荷状態の伝播時間
の変化ΔTS,ΔTLは、
【数13】 と表される。式(17),(18)の辺々を割れば、
【数14】 を得る。式(19)は、等価応力長さ比βに依存せず、
等価応力σeのみの関数となっている。したがって、音
速変化比軸力関数を求める場合、等価応力長さβが実際
の締結状態と同一でなくてもよい、すなわち応力場が実
際の締結状態の応力場と同一でなくてもよいことがわか
る。また、締め付け過程において、等価応力長さβが一
定でなくてもよいことがわかる。
【0052】そして、実際の測定対象となるボルトに対
し、締め付け前、すなわち無負荷状態での横波、縦波の
伝播時間を測定する。そして、締め付け後、再度横波、
縦波の伝播時間を測定する。これら締め付け前後の伝播
時間は、伝播時間算出部24によって算出され、演算部
128に送られる。そして、演算部128では、締め付
け前後の横波、縦波それぞれの伝播時間の差を算出し、
さらに、それらの比を算出する。そして、軸力算出部1
32にて、この伝播時間差の変化の比と、メモリ126
に記憶された同種のボルトにおける音速変化比軸力算出
関数に基づき軸力を算出する。
【0053】前述の送受信制御部18、伝播時間算出部
24、演算部128は、実際には、コンピュータに備え
られた、所定のプログラムに基づき作動するCPU34
である。また、前記プログラムは、コンピュータの内部
メモリに記憶することも、CD−ROM136やFDな
どの外部記録媒体に記憶することもできる。
【0054】図8には、本実施形態の軸力測定の流れを
示すチャートが示されている。あらかじめ測定対象とな
るボルトと同種の横波と縦波の伝播時間の比と軸力の関
係を示す音速比軸力算出関数が記憶されている。まず、
測定対象のボルトについて、無負荷状態で横波、縦波の
それぞれの伝播時間を測定する(S200)。ボルトを
締め付け、負荷のかかった状態で、横波、縦波の伝播時
間を測定する(S202)。そして、締め付け前後の伝
播時間の変化を算出し(S204)、その比を算出する
(S206)。この比と前述の音速比軸力関数から軸力
を算出する。
【0055】[第3の実施形態]第3の実施形態は、第
1および第2の実施形態の伝播時間算出部24における
音波の伝播時間の算出方法に関するものであり、装置の
全体構成は前述の各実施形態の構成と同一である。
【0056】図9には、超音波探触子16で受信した二
つの反射波200,202が示されている。反射波20
0,202は、複数のキャリア波を含むパルス波であ
り、ボルト中を伝播する際、またボルト端面で反射する
際、減衰して徐々にその振幅が小さくなっていく。図9
の場合も、先の反射波200より後の反射波202が振
幅が小さくなっている。反射波を受信した時点は、所定
のしきい値以上のキャリア波のピークのうち最初のもの
を検出した時点とする。所定のしきい値を図の破線20
4とすると、選択されるピークは、先の反射波200に
おいてはピーク206、後の反射波においてはピーク2
08となる。しかし、図から見て取れるように、先の反
射波のピーク206に対応する後の反射波のピークは、
ピーク210であり、後の反射波のピーク208に対応
する先の反射波のピークは、ピーク212である。この
ように対応関係が崩れるのは、前述したように、音波の
減衰によるものである。
【0057】前記のしきい値204に基づき算出された
二つのピーク206,208の間の時間T1は、ピーク
206とピーク210などのように対応するピーク間の
時間T2より長くなる。この時間T1に基づき軸力を算出
すると、ボルト14の伸びが実際より大きく検出され、
軸力も実際より大きな値が算出される。場合によって
は、算出された軸力では、すでにボルトが破断している
ような値が算出されることもある。逆に、ピーク間の時
間が締め付け前より短く検出される場合もあり、これに
より軸力を算出すれば負の値となる。
【0058】また、伝播時間は、ピーク間の時間に基づ
き算出されるので、その値は離散的に現れる。すなわ
ち、図9の伝播時間T1,T2の差は、キャリア波の周期
τだけ異なり(τ=T1−T2)、理想的には、他のピー
クの組み合わせてもこの伝播時間 T1,T2の値の間の
伝播時間が算出されることはない。したがって、真の伝
播時間からキャリア波の1周期ずれた伝播時間に基づき
算出された軸力が、前述したようなあり得ない軸力であ
る場合、このようなピークの組を排除することによっ
て、残りのピークの組がパルス波の伝播時間を算出する
のに適切なピークの組であることが判定できる。具体的
には、ボルト長さが比較的短い場合、すなわちボルトの
ばね定数が高いばねには、前記の判定を適用することが
できる。
【0059】また、現実にあり得ない軸力の範囲、すな
わち締め付け前後の伝播時間変化の範囲は、前述の破断
点の代わりに、降伏点以上とすることもできる。さらに
また、ある正の軸力からある降伏点以下の軸力の範囲以
外の範囲に設定することもできる。たとえば、ボルト締
め付け作業をトルク管理にて行い、その後軸力を測定す
る場合などは、軸力がある程度管理されるので、真の軸
力と判定する範囲を狭いものとすることもできる。
【0060】図10には、本実施形態にかかる伝播時間
算出部240の構成を示すブロック図が記載されてい
る。伝播時間算出部240は、前述の実施形態の伝播時
間算出部24に適用することができる。
【0061】伝播時間算出部240は、少なくとも二つ
のパルス波形を記憶する波形メモリ244と、記憶され
た波形の複数のピークの組から適切な組を選択し、決定
するピーク決定部242を有している。ピーク決定部2
42は、さらに以下の構成を有している。すなわち、記
憶された波形から所定にしきい値以上のピークのうち最
初のピークを選択するピーク選択部246と、選択され
たピークの間の時間を算出するピーク間時間算出部24
8、この時間が適切な範囲にあるか判定する判定部25
0、適切な範囲にない場合しきい値を変更するしきい値
変更部252を有している。
【0062】ピーク選択部246は、たとえば図9に示
すようなパルス波形について、所定のしきい値204以
上のピークであって、各パルスの最初のピーク206,
208を選択する。ピーク間時間算出部248は、前記
の選択されたピーク206,208の間の時間T1を算
出する。そして、判定部250は、締め付け前の伝播時
間との差を算出し、この差が現実にあり得ない範囲の伝
播時間差であるかを判定する。この範囲は、測定対象に
応じてあらかじめ設定しておく。たとえば、前述のよう
に、正の軸力であって破断点以下の範囲を適正な範囲と
することができる。ピーク206,208の組から算出
された軸力が高すぎる、すなわち締め付け前後の伝播時
間の差が大きすぎるとされた場合、判定部250は、し
きい値変更部252に対し、しきい値をより小さくする
指示を行う。しきい値変更部252は、前記の指示によ
り、前回のしきい値を、たとえば図9の破線214で示
す値に変更する。
【0063】そして、このしきい値214に基づき、前
述の処理を再び行う。図9においては、今回はしきい値
が小さく設定されているために、ピーク選択部246に
選択されるのはピーク206,210である。このピー
ク間の時間T2を算出し、さらに締め付け前の伝播時間
との差を算出する。算出された伝播時間差が、前記のよ
うな適切な範囲であれば、締め付け後の伝播時間として
時間T2を出力する。また、締め付け前後の伝播時間差
を出力することもできる。
【0064】図11には、本実施形態を適用した軸力算
出の方法に関するフローチャートが示されてる。あらか
じめ測定対象となるボルトと同種のボルトにて、締め付
け前後の伝播時間の変化と、軸力の関係を求めておく。
また、この同種のボルトにおいて、適正と考えられる軸
力範囲に対応した伝播時間の変化の範囲を定めておく。
【0065】実際の測定にあたっては、まず締め付け前
の伝播時間T0を測定する(S300)。次に、ボルト
を締め付け、そのときの受信された音波の隣り合う二つ
のパルスを読み込む(S302)。このパルスのピーク
のうち所定のしきい値以上であって、そのパルスの最初
のピークを選択する(S304)。この二つのピーク間
の時間T1を算出し(S306)、さらに締め付け前後
の伝播時間の変化(伝播時間の差)T1−T0を算出する
(S308)。この伝播時間の変化があらかじめ定めた
所定の範囲に入っているかを判定する(S310)。こ
の範囲に入っていなければ、ステップS304で選択さ
れたピークが適切でなかったと判定する。ステップS3
10で伝播時間変化が所定の範囲内でないと判定された
理由は、受信した音波のピーク値が伝播中の減衰によっ
て、小さくなり最初に設定したしきい値が大きすぎたた
めであると考えられる。そこで、しきい値を小さく変更
し(S312)、再度ステップS304〜S310の処
理を行う。そして、ステップS310で、伝播時間変化
が適切であると判定されたならば、あらかじめ求められ
ている伝播時間変化と軸力の関係から、軸力を算出する
(S314)。
【0066】以上のように適正なピークの算出方法は、
締め付け前後におけるボルトの伸び、すなわち音波の所
定点間の伝播時間の差に基づき軸力測定できる。また、
同様に締め付け後の音波の横波と縦波の伝播時間の比に
基づき軸力を測定する方法、いわゆる音速比法にも適用
できる。
【0067】測定に先立って、測定対象となるボルトと
同種のボルトにて横波と縦波の伝播時間比と軸力との関
係を求めておく。また、軸力において、あり得ない範囲
を除外した適切な範囲に対応する伝播時間比の範囲を定
めておく。そして、縦波、横波それぞれにおいて、隣り
合う二つの受信波形を記憶する。縦波、横波のそれぞれ
において、所定のしきい値以上で、そのパルスの最初の
ピークを選択し、パルス間の時間を算出する。そして、
その比が先に定めておいた所定の範囲になっていなけれ
ば選択されたピークが適切なものでなかったとして、前
記のしきい値を変更し、同様の処理を行う。そして、そ
の比があらかじめ定めた範囲にあれば、適正なピークが
選択されたとし、この比と、あらかじめ求めておいた伝
播時間比と軸力との関係に基づき、軸力を算出する。
【0068】[第4の実施形態]第4の実施形態は、第
3の実施形態と同様、適切な伝播時間の算出に関するも
のである。第3の実施形態においては、受信された二つ
のパルス波の、適切なピークの組を一組選び出したが、
本実施形態においては、二つのパルス波に属する複数の
ピーク間の時間を算出し、適正と思われる複数組のピー
ク間の時間の平均を伝播時間として算出する。したがっ
て、より精度を向上させることが可能である。なお、本
実施形態は、第3の実施形態と同様に、二つのパルスの
間隔を示すものではないピークの組から算出される軸力
は、現実に存在し得ない軸力となるような条件が必要で
ある。
【0069】図12には、受信された二つのパルス波形
300,302が示されている。図示するように、これ
らのパルス波形は、複数のキャリア波のピークを含んで
いる。このピークのうち、図中破線で示す所定のしきい
値以上のものに対し、正側には前から順番にPos#
1,Pos#2,・・・、負側にも順番にNeg#1,N
eg#2,・・・と符号を付す。そして、正のピークどう
し、負のピークどうし、それぞれのピーク間の時間を算
出する。たとえば、パルス波形300が含むピークPo
s#1に対して、パルス波形302が含む正のピークP
os#1,Pos#2,・・・の各々との時間Tを算出す
る。これにより、図13に示すファイル304が得られ
る。パルス波形300の他のピークPos#2,Pos
#3,・・・,Neg#1,Neg#2,・・・についても同
様である。
【0070】図14は、前記のピーク間の時間Tについ
ての度数分布である。第3の実施形態においても述べた
ように、この度数分布は、キャリア波の1周期を間隔と
する離散的な分布となる。また、図でハッチングで示し
たような、前記離散分布から外れた算出値を排除するた
めに、抽出窓306を設定することもできる。抽出窓3
06は、キャリア波1周期を間隔として配列され、その
幅は検出値のばらつき方などからあらかじめ定められて
いる。この抽出窓306を、図14の下に示すように順
次移動させ、抽出窓306の範囲に存在する算出値の数
が最も多くなるように、窓306の位置を定める。この
とき、この抽出窓306に入らない検出値は、異常値と
して削除する。そして、度数分布の塊ごとにピーク間時
間の平均値・・・,Tm-1,Tm,Tm+1,・・・を算出する。
この平均値の間隔がキャリア波の周波数に一致していれ
ば、適切な測定が行われたと判断できる。そして、前記
各平均値と無負荷状態の伝播時間との差からボルトの伸
びが算出され、軸力を求めることができる。
【0071】図15には、本実施形態を適用した軸力算
出の方法に関するフローチャートが示されている。あら
かじめ測定対象となるボルトと同種のボルトにて、締め
付け前後の伝播時間の変化と、軸力の関係を求めてお
く。また、同種のボルトにおいて、適正と考えられる軸
力範囲に対応した伝播時間の変化の範囲を定めておく。
【0072】実際の測定にあたっては、まず締め付け前
の伝播時間T0を測定する(S400)。次に、ボルト
を締め付け、そのときの受信された音波の隣り合う二つ
のパルスを読み込む(S402)。このパルスのピーク
のうち所定のしきい値以上のもの全てを選択する(S4
04)。一方のパルスの一つのピークに対し、他方のパ
ルスと前記ピークと同符号のピーク全てとの間の時間T
を算出する(S406)。そして、この時間Tについ
て、度数分布を作成する(S408)。この度数分布に
おいて、異常値の排除を行う(S410)。この異常値
排除は、時間Tがキャリア波の1周期の間隔で離散的に
出現することから、この間隔で存在しない算出値を異常
値と判断するものである。具体的には、前記の度数分布
に対し、キャリア波1周期間隔で配列され、所定の幅を
持った抽出窓を設定し、この窓に入る算出値が最も多く
なる位置にこの窓の位置を定め、この窓に入らない算出
値を異常値として排除する。
【0073】異常値が排除された後の算出値Tの度数分
布の塊ごとに平均値Tiを算出する(S412)。そし
て、この平均値の一つの値と、あらかじめ測定しておい
た締め付け前の伝播時間T0の差、すなわちボルト締め
付け前後における伝播時間の変化(Ti−T0)が、あり
得る範囲であるかが判定される(S416)。あり得な
いものであると判定された場合、次の平均値Tiに変更
し(S418)、再びステップS414,S416の処
理を行う。ステップS416で、所定の範囲内と判断さ
れると、そのときの伝播時間の変化と、あらかじめ求め
られている伝播時間の変化と軸力の関係とに基づき軸力
を算出する(S420)。
【0074】本実施形態においては、ピーク間の時間T
に関して度数分布を作成したが、ピーク間の時間Tと締
め付け前の伝播時間T0の差ΔT(=T−T0)について
度数分布を作成してもよい。このときは、あらかじめ設
定された適正なΔTの範囲以外の範囲の算出値は全て排
除し、範囲内のものの平均を取り、これと、伝播時間と
軸力の関係から軸力を算出する。
【0075】以上の各実施形態においては、軸力を測定
する対象となる部品をボルトとして説明したが、軸力方
向の寸法に対し、直交する方向の寸法が小さい部品であ
れば、適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施形態の測定装置の概要構成を示す
ブロック図である。
【図2】 ボルトに軸力がかかったときの状態を示す図
である。
【図3】 第1の実施形態の測定方法を説明するための
図である。
【図4】 第1の実施形態の測定方法を示すフローチャ
ートである。
【図5】 第1の実施形態の測定により測定された軸力
のデータを示す図である。
【図6】 第2の実施形態の測定装置の概要構成を示す
ブロック図である。
【図7】 横波、縦波の締め付け前後における伝播時間
変化の比と軸力の関係を示す図である。
【図8】 第2の実施形態の測定方法を示すフローチャ
ートである。
【図9】 第3の実施形態を説明するための、二つの受
信パルスの例を示す図である。
【図10】 第3の実施形態の構成を示すブロック図で
ある。
【図11】 第3の実施形態にかかる測定方法を示すフ
ローチャートである。
【図12】 第4の実施形態を説明するための、二つの
受信パルスの例を示す図である。
【図13】 算出された、図12に示すパルス波形のピ
ーク間の時間のファイルの例を示す図である。
【図14】 ピーク間の時間の度数分布の例を示す図で
ある。
【図15】 第4の実施形態にかかる測定法法を示すフ
ローチャートである。
【符号の説明】
14 (六角)ボルト、16 超音波探触子(送信手
段、受信手段)、18送受信制御部、20 送信回路
(送信手段)、22 受信回路(受信手段)、24 伝
播時間算出部(伝播時間測定手段)、26 メモリ(軸
力算出関数記憶手段)、28 演算部、30 暫定軸力
算出部(暫定軸力算出手段)、32 軸力算出部(軸力
算出手段)、36 CD−ROM(記録媒体)、38
CD−ROMドライブ、 TS,TL 伝播時間、FS
L 測定軸力、FS *,FL * 暫定軸力、dS,dL
正変数、F 軸力、添え字の「S」,「L」は、それぞれ
横波に関するもの、縦波に関するものであることを示
す。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長尺部品の軸方向に加わる力である軸力
    を、当該長尺部品中を伝わる音波の、当該長尺部品の所
    定の点の間の伝播時間に基づき測定する軸力測定方法で
    あって、 測定対象となる長尺部品と同種の部品にて、音波の横波
    の伝播時間と軸力との関係を示す横波軸力算出関数およ
    び音波の縦波の伝播時間と軸力との関係を示す縦波軸力
    算出関数を求めるステップと、 測定対象となる長尺部品に実際に軸力が加えられたとき
    の音波の横波および縦波の各々の伝播時間を測定するス
    テップと、 前記横波軸力算出関数と横波の伝播時間から求めた測定
    横波軸力に修正変数を加算し、暫定横波軸力を算出する
    ステップと、 前記縦波軸力算出関数と縦波の伝播時間から求めた測定
    縦波軸力に、前記修正変数に軸力0のときの横波と縦波
    の音速比を乗じた値を加算し、暫定縦波軸力を算出する
    ステップと、 前記修正変数を変更し、前記暫定横波軸力と前記暫定縦
    波軸力の差が実質的に最小となるときのこれらの値を実
    際の軸力とするステップと、を有する、軸力測定方法。
  2. 【請求項2】 長尺部品の軸方向に加わる力である軸力
    を、当該長尺部品中を伝わる音波の、当該長尺部品の所
    定の点の間の伝播時間に基づき測定する軸力測定装置で
    あって、 前記長尺部品に対し音波を送信する送信手段と、 前記送信された音波を前記長尺部品より、音波の横波と
    縦波を分離して受信する受信手段と、 前記所定点間の音波の伝播時間を測定する伝播時間測定
    手段と、 音波の横波および縦波の伝播時間のそれぞれと軸力の関
    係を示す横波軸力算出関数および縦波軸力算出関数とを
    記憶する軸力算出関数記憶手段と、 前記横波の伝播時間と横波軸力算出関数より測定横波軸
    力を求め、これに修正変数を加算して暫定横波軸力を算
    出し、一方前記縦波の伝播時間と縦波軸力算出関数より
    測定縦波軸力を求め、これに前記修正変数に軸力0のと
    きの横波と縦波の音速比を乗じた値を加算して暫定縦波
    軸力を算出する暫定軸力算出手段と、 前記修正変数を変更し、前記暫定横波軸力と前記暫定縦
    波軸力の差が実質的に最小となるときのこれらの値を現
    実の軸力として算出する軸力算出手段と、を有する、軸
    力測定装置。
  3. 【請求項3】 長尺部品の所定点間の音波の横波の伝播
    時間と当該長尺部品の軸方向に加わる力である軸力との
    関係を示す横波軸力算出関数をメモリから読み込む手順
    と、 前記所定点間の音波の縦波の伝播時間と前記軸力との関
    係を示す縦波軸力算出関数をメモリから読み込む手順
    と、 測定対象となる長尺部品に実際に軸力が加えられたとき
    の音波の横波および縦波の各々の伝播時間を読み込む手
    順と、 前記横波軸力算出関数と横波の伝播時間から求めた測定
    横波軸力に修正変数を加算し、暫定横波軸力を算出する
    手順と、 前記縦波軸力算出関数と縦波の伝播時間から求めた測定
    縦波軸力に、前記修正変数に軸力0のときの横波と縦波
    の音速比を乗じた値を加算し、縦波軸力を算出する手順
    と、 前記修正変数を変更し、前記暫定横波軸力と前記暫定縦
    波軸力の差が実質的に最小となるときのこれらの値を実
    際の軸力として算出する手順と、をコンピュータに実行
    させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取
    り可能な記録媒体。
  4. 【請求項4】 長尺部品の軸方向に加わる力である軸力
    を、当該長尺部品中を伝わる音波の、当該長尺部品の所
    定の点の間の伝播時間に基づき測定する軸力測定方法で
    あって、 測定対象となる長尺部品と同種の部品にて、軸力を加え
    る前後の音波の横波と縦波の伝播時間の変化の比と軸力
    との関係を示す音速変化比軸力算出関数を求めるステッ
    プと、 測定対象となる長尺部品の軸力を加える前後の音波の横
    波と縦波の伝播時間を測定し、その変化の比を算出する
    ステップと、 前記変化の比と前記音速変化比軸力算出関数とに基づき
    軸力を算出するステップと、を有する、軸力測定方法。
  5. 【請求項5】 長尺部品の軸方向に加わる力である軸力
    を、当該長尺部品中を伝わる音波の、当該長尺部品の所
    定の点の間の伝播時間に基づき測定する軸力測定装置で
    あって、 前記長尺部品に対し、音波を送信する送信手段と、 前記送信された音波を前記長尺部品より、音波の横波と
    縦波を分離して受信する受信手段と、 音波が送信されてから受信されるまでの伝播時間を測定
    する伝播時間測定手段と、 軸力を加える前後の音波の横波と縦波の伝播時間の変化
    の比と軸力との関係を示す音速変化比軸力算出関数を記
    憶する音速変化比軸力算出関数記憶手段と、 前記長尺部品の軸力を加える前後の音波の横波と縦波の
    伝播時間よりその変化の比を算出し、これと前記音速比
    軸力算出関数とに基づき、軸力を算出する軸力算出手段
    と、を有する、軸力測定装置。
  6. 【請求項6】 長尺部品の所定点間の、軸力を加える前
    後の音波の横波と縦波の伝播時間の変化の比と、軸力と
    の関係を示す音速変化比軸力算出関数をメモリから読み
    込む手順と、 測定対象となる長尺部品の軸力を加える前後の音波の横
    波と縦波の伝播時間を読み込み、これら変化の比を算出
    する手順と、 前記音速の横波と縦波の変化の比と、前記音速変化比軸
    力算出関数とに基づき軸力を算出する手順と、をコンピ
    ュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピ
    ュータ読み取り可能な記録媒体。
  7. 【請求項7】 長尺部品の軸方向に加わる力である軸力
    を測定する軸力測定方法であって、 測定対象となる長尺部品と同種の部品にて、当該部品の
    所定点の間の音波の伝播時間を、軸力を加える前後にお
    いて測定し、またそのときの軸力を測定し、この伝播時
    間変化と軸力との関係を求めるステップと、 測定対象となる長尺部品の、軸力を加える前後の伝播時
    間の変化を測定し、前記の伝播時間変化と軸力の関係か
    ら軸力を算出するステップと、を有する軸力測定方法に
    おいて、 前記伝播時間の測定は、所定周波数のキャリア波のパル
    ス音波を送受し、所定の点で受信された前記音波に基づ
    き行われるものであって、 前記パルス音波が含むキャリア波の、所定のしきい値を
    超えたピークのうち最初のピーク間の時間を伝播時間と
    するステップと、 この伝播時間に基づき軸力を加える前後の伝播時間の変
    化を、仮の伝播時間変化として算出するステップと、 前記仮の伝播時間変化が所定の範囲にない場合、前記し
    きい値を小さい値に変更するステップと、 前記仮の伝播時間変化が所定の範囲となるまで、前記の
    しきい値変更を繰り返し、所定の範囲となったときの値
    を真の伝播時間変化として算出するステップと、を有す
    る、軸力測定方法。
  8. 【請求項8】 長尺部品の軸方向に加わる力である軸力
    を測定する軸力測定方法であって、 測定対象となる長尺部品と同種の部品にて、当該部品の
    所定点の間の音波の横波と縦波の伝播時間を測定し、ま
    たそのときの軸力を測定し、この横波と縦波の伝播時間
    比と軸力との関係を求めるステップと、 測定対象となる長尺部品の、軸力を加えた状態で横波と
    縦波の伝播時間の比を算出し、前記の伝播時間の比と軸
    力の関係から軸力を算出するステップと、を有する軸力
    測定方法において、 前記伝播時間の測定は、所定周波数のキャリア波のパル
    ス音波を送受し、所定の点で受信された前記音波に基づ
    き行われるものであって、 前記音波の横波と縦波のそれぞれについて、前記パルス
    音波が含むキャリア波の所定のしきい値を超えたピーク
    のうち最初のピーク間の時間を伝播時間とするステップ
    と、 前記横波と縦波の伝播時間に基づき横波と縦波の伝播時
    間の比を仮の伝播時間比として算出するステップと、 前記仮の伝播時間比が所定の範囲にない場合、前記しき
    い値を小さい値に変更するステップと、 前記仮の伝播時間比が所定の範囲となるまで、前記のし
    きい値変更を繰り返し、所定の範囲となったときの値を
    真の伝播時間比として算出するステップと、を有する、
    軸力測定方法。
  9. 【請求項9】 長尺部品の軸方向に加わる力である軸力
    を測定する軸力測定方法であって、 測定対象となる長尺部品と同種の部品にて、当該部品の
    所定点の間の音波の伝播時間を、軸力を加える前後にお
    いて測定し、またそのときの軸力を測定し、この伝播時
    間変化と軸力との関係を求めるステップと、 測定対象となる長尺部品の、軸力を加える前後の伝播時
    間の変化を測定し、前記の伝播時間変化と軸力の関係か
    ら軸力を算出するステップと、を有する軸力測定方法に
    おいて、 前記伝播時間の測定は、所定周波数のキャリア波のパル
    ス音波の送受し、所定の点で受信された前記音波に基づ
    き行われるものであって、 前記パルス音波の二つのパルスの間において、パルス波
    の含むキャリア波の各ピーク間の時間を各個に算出する
    ステップと、 前記ピーク間の時間の度数分布を求め、この度数分布の
    塊ごとに平均値を算出するステップと、 前記各平均値と軸力を加える前の伝播時間の差が、所定
    範囲内のものの平均値を音波の伝播時間とし、これに基
    づき軸力を加える前後の伝播時間の差を算出するステッ
    プと、を有する、軸力測定装置。
  10. 【請求項10】 長尺部品の所定点の間の音波の伝播時
    間の軸力を加える前後変化と、そのときの軸力との関係
    をメモリから読み込む手順と、 軸力を加える前に前記長尺部品の所定点間の音波の伝播
    時間を測定する手順と、 軸力を加えた後、前記所定点において検出された音波の
    少なくとも二つのパルス波形を読み込む手順と、 前記二つのパルス波形の間において、前記パルス波形が
    含むキャリア波の各ピーク間の時間を各個に算出する手
    順と、 前記ピーク間の時間の度数分布を求め、この度数分布の
    塊ごとに平均値を算出する手順と、 前記各平均値と軸力を加える前の伝播時間の差が、所定
    の範囲内のものの平均値を音波の伝播時間とし、これに
    基づき軸力を加える前後の伝播時間の差を算出する手順
    と、 前記軸力を加える前後の伝播時間差に基づき、前記伝播
    時間変化と軸力の関係から、そのときの軸力を算出する
    手順と、をコンピュータに実行させるためのプログラム
    を記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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