JP4689903B2 - 超音波流速測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、超音波を利用してガスその他の流速を測定する超音波流速測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガスその他の流体の流量を求めるに際し、まず流体の流速を連続的ないし定期的に測定し、これに基づいて流量を演算することが行われている。そして、このような流体の流速測定方法の一つとして、超音波を利用した方法が知られている。 かかる超音波流速測定方法の原理を、図7にて説明すると次のとおりである。図7において、(1)は内部をガス等の流体が流れる流速測定管である。この流速測定管(1)内には、流れ方向の上流側および下流側に、所定距離を隔てて超音波振動子(2)(3)が配置されている。この超音波振動子(2)(3)は、駆動パルス発生回路(4)からの駆動パルスにより駆動されて振動し、超音波を発生送信する一方、送信されてきた超音波を受信するもので、その超音波振動子(2)(3)が振動したときの受信波(W)が受信増幅回路(5)から出力されるものとなされている。
【0003】
そして、上流側の超音波振動子(2)から流れに対して順方向に送信された超音波が下流側の超音波振動子(3)で受信されるまでの伝搬時間と、下流側の超音波振動子(3)から流れに対して逆方向に送信された超音波が上流側の超音波振動子(2)に受信されるまでの伝搬時間との差は、流速に関係することから、この伝搬時間差を求めることにより流体の流速を測定するものとなされている。
【0004】
なお、図7において、(6)は超音波振動子(2)(3)と駆動パルス発生回路(4)および受信増幅回路(5)の接続を切り替える切替回路であり、まず駆動パルス発生回路(4)と上流側の超音波振動子(2)、下流側の超音波振動子(3)と受信増幅回路(5)を接続して、上流側から下流側への順方向の超音波の伝搬時間を測定したのち、駆動パルス発生回路(4)と下流側の超音波振動子(3)、上流側の超音波振動子(2)と受信増幅回路(5)とが接続されるように切り替えて、下流側から上流側への逆方向の超音波の伝搬時間を測定するものとなされている。
【0005】
ところで、従来、超音波の伝搬時間のばらつきによる誤差を軽減するために、超音波の伝搬時間の測定を、所定時間(例えば2秒)ごとに順方向および逆方向についてそれぞれ複数回(例えば8回)繰り返し、それら順方向および逆方向の超音波の伝搬時間の平均値t1、t2をそれぞれ求め、それら順方向および逆方向の伝搬時間の平均値t1、t2の差に基づいて所定時間内の流体の流速Vを算出することが行われていた。
【0006】
このとき、受信増幅回路(5)からは、図2に示すように、流速測定管(1)のどこにも反射せずに超音波振動子(2)(3)に受信される直進超音波に対応する受信波(以下、測定波(W1)という)に続いて、超音波流速測定管(1)または超音波振動子(2)(3)に何回か反射して超音波振動子(2)(3)に受信される反射超音波に対応する数次の受信波(以下、反射波(Wn)という)が出力される。このため、図8(a)に示すように、測定波(W1)に対して前の測定における反射波(Wn)が干渉するので、それら測定波(W1)と反射波(Wn)との合成波(Wg)のゼロクロス点を超音波到達タイミングとしていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来、超音波の伝搬時間の測定間隔は一定であったため、流体の温度や流速が変化すると、図8(b)に示すように、それに伴って測定波(W1)と前の測定における反射波(Wn)との位相差が変化することによりそれらの合成波(Wg)の位相が変化し、超音波到達タイミングに用いる合成波(Wg)のゼロクロス時点もばらつくことから、超音波の伝搬時間を精度よく測定することができないという問題があった。
【0008】
この発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであって、超音波の伝搬時間の測定を複数回繰り返す場合において、測定波と前の測定における反射波との位相差を一定にすることができ、ひいては超音波の伝搬時間を精度良く測定することが可能な超音波流速測定方法の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記目的を達成するために、超音波流速測定管を流れる流体の上流側と下流側にそれぞれ超音波振動子を配置し、前記各超音波振動子から相互に超音波を発生送信するとともに、送信された超音波を相互に受信することによって、流体の流れに対して順方向および逆方向の超音波の伝搬時間をそれぞれ測定することを複数回繰り返し、順方向および逆方向の超音波の伝搬時間の差に基づいて流速を測定する超音波流速測定方法において、
前記超音波の伝搬時間の測定間隔を、前の測定における反射超音波の伝搬時間に応じて調整することを特徴とする。
【0010】
これによれば、流体の温度変化や流速変化が生じた場合であっても、測定波と前の測定における反射波との位相差を一定にすることができる。このため、測定波と前の測定における反射波との合成波の位相が一定となり、合成波における超音波到達タイミングに用いるゼロクロス時点がばらつかなくなり、超音波の伝搬時間を精度良く測定することが可能となる。
【0011】
なお、超音波の伝搬時間の測定間隔は、その直前の測定における反射超音波の伝搬時間に応じて調整するのが最も望ましいが、それよりも前に測定された超音波の伝搬時間に応じてして調整するものとしてもよい。
【0012】
また、前記反射超音波の伝搬時間は、順方向の超音波の伝搬時間の測定間隔を調整する場合は下式[1]で表される一方、逆方向の超音波の伝搬時間の測定間隔を調整する場合は下式[2]で表されるのが好ましい。
tr=2kj×tj+kg×tg…[1]
tr’=2kg×tg+kj×tj…[2]
tr:流体の上流側の超音波振動子から送信された反射超音波の伝搬時間
tr’: 流体の下流側の超音波振動子から送信された反射超音波の伝搬時間
kj、kg:係数
tj:前の測定における順方向の超音波の伝搬時間
tg:前の測定における逆方向の超音波の伝搬時間
これによれば、反射超音波の伝搬時間を簡単かつ確実に求めることができるので、超音波の伝搬時間をより精度良く測定することが可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の一実施形態に係る超音波流速測定方法を実施する超音波流速測定装置を示すものである。
【0014】
図1において、(1)はガス等の流体が流れる流速測定管、(2)(3)は超音波流速測定管(1)内において上流側と下流側に所定距離を隔てて配置された超音波振動子、(4)は駆動パルスを発生する駆動パルス発生回路、(5)は超音波振動子(2)(3)で超音波を受信したときに受信波(W)を出力する受信増幅回路、(6)は超音波振動子(2)(3)と駆動パルス発生回路(4)および受信増幅回路(6)の接続を切り替える回路であり、これらは図7に示したものと同じである。
【0015】
なお、この実施形態では、順方向の超音波の伝搬時間tjと逆方向の超音波の伝搬時間tgをそれぞれ8回測定し、それら8個の順方向の超音波の伝搬時間tjの平均値t1と、8個の逆方向の超音波の伝搬時間tgの平均値t2とをそれぞれ求めることを所定時間(例えば2秒)ごとに繰り返す。そして、それら順方向および逆方向の伝搬時間の平均値t1、t2の差に基づいて所定時間(2秒)内の流体の流速Vを算出し、さらにその流体の流速Vに基づいて所定時間(2秒)内の流体の流量Qを算出する。
【0016】
(7)は所定時間(2秒)内に測定された順方向および逆方向の各8個の超音波の伝搬時間tj、tgを記憶する伝搬時間記憶部、(8)は所定時間(2秒)ごとに算出された流体の流量Qを積算記憶する流量記憶部、(9)は中央演算処理装置(CPU)などからなる制御部である。
【0017】
この制御部(9)は、各部の制御や、データの転送、種々の演算、およびデータの格納などを行い、この実施形態では、伝搬時間測定処理、測定間隔調整処理、および流量演算処理を図示略のプログラムにより実行するものとなされている。
【0018】
前記伝搬時間測定処理は、駆動パルス発生回路(4)から駆動パルス(K)を発生せしめることにより超音波振動子(2)(3)から超音波を送信し、その送信された超音波を超音波振動子(3)(2)で受信して、受信増幅回路(5)から出力された受信波(W)に基づいて超音波の伝搬時間tj、tgを測定する処理である。
【0019】
この受信増幅回路(5)から出力される受信波(W)は、図2に示すように、超音波超音波流速測定管(1)のどこにも反射せずに超音波振動子(2)(3)に受信される直進超音波に対応する測定波(W1)と、それに続く超音波超音波流速測定管(1)または超音波振動子(2)(3)に何回か反射して超音波振動子(2)(3)に受信される反射超音波に対応する数次の反射波(Wn)とからなる。しかして、測定波(W1)に対して前の測定における反射波(Wn)が干渉するので、それら測定波(W1)と反射波(Wn)との合成波(Wg)のゼロクロス点を超音波到達タイミングとする。なお、この実施形態では、合成波(Wg)の3波目のゼロクロス点を超音波到達タイミングとする。
【0020】
前記測定間隔調整処理は、流体の温度や流速が変化した場合に、その直前の測定における反射超音波の伝搬時間tr、tr’に応じて、超音波の伝搬時間の測定間隔It、It’を調整する処理である。即ち、この測定間隔調整処理は、直前の測定における反射超音波の伝搬時間tr、tr’が長くなった場合には、超音波の伝搬時間の測定間隔It、It’も長くする一方、直前の測定における反射超音波の伝搬時間tr、tr’が短くなった場合には、超音波の伝搬時間の測定間隔It、It’を短くする処理である。
【0021】
この実施形態では、前記反射超音波の伝搬時間tr、tr’は、順方向の超音波の伝搬時間の測定間隔Itを調整する場合は下式[1]で表される一方、逆方向の超音波の伝搬時間の測定間隔It’を調整する場合は下式[2]で表される。
tr=2kj×tj+kg×tg…[1]
tr’=2kg×tg+kj×tj…[2]
tr:流体の上流側の超音波振動子から送信された反射超音波の伝搬時間
tr’: 流体の下流側の超音波振動子から送信された反射超音波の伝搬時間
kj、kg:係数
tj:前の測定における順方向の超音波の伝搬時間
tg:前の測定における逆方向の超音波の伝搬時間
反射超音波の伝搬時間trを上式[1]とするのは以下の理由による。即ち、順方向の反射超音波(Wn)について着目すると、送信側の超音波振動子(2)から送信されてから受信側の超音波振動子(3)で反射し、送信側の超音波振動子(2)に向けて逆方向に進む。そして、送信側の超音波振動子(2)で反射し、受信側の超音波振動子(3)に向けて逆方向に進む。そして、さらに受信側の超音波振動子(3)で反射する場合は上記の繰り返しとなる。
【0022】
このとき、流体の流速をv、超音波の速度をC、反射超音波の順方向の経路長をLj(i)、逆方向の経路長をLg(i)とすると、反射超音波の伝搬時間trは、
tr=Σ{2×Lj(i)/(C+v)+Lg(i)/(C−v)}…[3]
となる。
【0023】
一方、超音波振動子(2)(3)間の直線距離をLとすると、順方向および逆方向の超音波の伝搬時間tj、tgは、
tj=L/(C+v)…[4]
tg=L/(C−v)…[5]
と表されるので、上式[3]〜[5]より(C+v)、(C−v)を消去すると、
となる。
【0024】
ここでkj=(ΣLg(i))/L、kg=(ΣLg(i))/Lとおくと、tr=2×kj×tj+kg×tg…[1]
となり、上式[1]が導出される。
【0025】
なお、逆方向の反射超音波の伝搬時間tr’についても、上述の順方向の反射超音波の伝搬時間trと同様に導出される。
【0026】
この測定間隔調整処理によれば、流体の温度や流速が変化した場合であっても、図3に示すように、測定波と前の測定における反射波との位相差を一定にすることができる。このため、測定波と前の測定における反射波との合成波の位相が一定となり、合成波における超音波到達タイミングに用いるゼロクロス時点がばらつかなくなり、超音波の伝搬時間を精度良く測定することが可能となる。
【0027】
前記流量演算処理は、所定時間(2秒)内に測定した8個の順方向の超音波の伝搬時間tjの平均値t1と、8個の逆方向の超音波の伝搬時間tgの平均値t2とをそれぞれ求め、それら順方向および逆方向の伝搬時間の平均値t1、t2の差に基づいて所定時間(2秒)内の流体の流速Vを算出し、さらにその流体の流速Vに基づいて所定時間(2秒)内の流体の流量Qを算出する処理である。
【0028】
なお、この実施形態では、流体の流速および流量は下式[7][8]により求めるものとする。
V=L/2×(t2−t1)/(t1×t2)…[7]
V:流体の流速
L:超音波振動子(2)(3)間の距離
Q=V×S×t…[8]
Q:流体の流速
S:測定管の断面積
t:所定時間(2秒)
次にこの発明の一実施形態に係る超音波流速測定方法について、図4に示すフローチャートを用いて説明する。なお、以下の説明及び図面において「ステップ」を「S」と略記する。
【0029】
まず、S1にて、駆動パルス発生回路(4)から駆動パルス(K)を発生せしめることにより超音波振動子(2)から超音波を送信し、その送信された超音波を超音波振動子(3)で受信して、受信増幅回路(5)から出力された受信波(W)に基づいて順方向の超音波の伝搬時間tjを測定する。この伝搬時間測定処理については後で詳述する。
【0030】
S2では、流体の温度や流速が変化したかどうかを判定し、それらが変化した場合は(S2でYES)、S3において、上式[1]の反射超音波の伝搬時間trに応じて測定間隔Itを調整する。流体の温度や流速が変化していない場合は(S2でNO)、そのままS4に進む。この流体の温度や流速が変化したかどうかの判定は、直前の測定における超音波の伝搬時間tjの変化により判定するのが望ましい。
【0031】
S4では、前記測定間隔Itが経過したか否かを判定し、前記測定間隔Itが経過した場合は(S4でYES)、S5に進む一方、前記測定間隔Itが経過していない場合は(S4でNO)、経過するまでこの判定処理を繰り返す。
【0032】
S5では、超音波の伝搬時間tjを所定時間(2秒)内に8回測定したか否かを判定し、8回測定した場合は(S5でYES)、S4の流量演算処理に進む一方、まだ8回測定していない場合は(S5でNO)、S1に戻り、再び超音波の伝搬時間を測定する。なお、逆方向の超音波の伝搬時間tgについても、上述のS1〜S5と同様の処理により8回測定する。
【0033】
S6では、前記流量演算処理は、所定時間(2秒)内に測定した順方向および逆方向の各8個の超音波の伝搬時間の平均値t1、t2をそれぞれ求め、それら順方向および逆方向の伝搬時間の平均値t1、t2の差に基づいて所定時間(2秒)内の流体の流速Vを算出し、さらにその流体の流速Vに基づいて所定時間(2秒)内の流体の流量Qを算出し、リターンする。この流量演算処理については後で詳述する。
【0034】
図5は、伝搬時間測定処理(図4のS1の処理)のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0035】
まず、S11では、制御部(9)が、駆動パルス発生回路(5)から駆動パルス(K)を発生させて、その駆動パルス(K)を超音波振動子(2)に印加せしめることにより超音波振動子(2)から超音波を送信せしめる。
【0036】
S12では、前記超音波振動子(2)から送信された超音波を超音波振動子(3)で受信し、受信増幅回路(5)から受信波(W)を出力する。このとき、測定波(W1)に対して前の測定における反射波(Wn)が干渉するので、それら測定波(W1)と反射波(Wn)との合成波(Wg)が超音波到達タイミングの特定に用いられる。
【0037】
S13では、制御部(9)が、前記受信増幅回路(5)から出力された合成波(Wg)の3波目のゼロクロス時点を超音波到達タイミングとし、超音波が送信されてからその超音波到達タイミングまでの時間を超音波の伝搬時間tjとして測定する。
【0038】
S14では、制御部(9)が、上述の測定した超音波の伝搬時間tjを伝搬時間記憶部(7)に記憶せしめる。
【0039】
図6は、流量演算処理(図4のS6の処理)のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0040】
まず、S61では、制御部(9)が、前記伝搬時間記憶部(7)に記憶されている順方向および逆方向の各8個の超音波の伝搬時間tj、tgの平均値t1、t2をそれぞれ求める。
【0041】
S62では、それら順方向および逆方向の超音波の伝搬時間の平均値t1、t2の差に基づいて、上式[7]により流体の流速Vを求める。
【0042】
S63では、その流体の流速Vに基づいて、上式[8]により流体の流量Qを求める。
【0043】
S64では、その流体の流量Qを前記流量記憶部(8)に積算して、流体の全流量を求め、リターンする。
【0044】
なお、この実施形態では、超音波の伝搬時間の測定は、所定時間ごとに8回繰り返すものとしたが、所定時間ごとに1回としてもよいし、あるいは8回以外の複数回繰り返すものとしてもよい。
【0045】
また、超音波の伝搬時間の測定間隔は、直前の測定における反射超音波の伝搬時間に応じて調整するものとしたが、それよりも前の測定における反射超音波の伝搬時間に応じて調整するものとしてもよい。
【0046】
また、超音波の伝搬時間の測定間隔は、流体の温度や流速が変化した場合に調整するものとしたが、流体の温度や流速の変化に関わらず、常時調整するものとしてもよい。
【0047】
また、超音波の伝搬時間の測定間隔は、順方向および逆方向の反射超音波の反射経路が等しい場合、順方向の超音波の伝搬時間の測定間隔を調整する場合は(2tj+tg)に比例する一方、逆方向の超音波の伝搬時間の測定間隔を調整する場合は(2tg+tj)に比例するものとしてもよい。これは、順方向および逆方向の反射超音波の反射経路が等しい場合は、上式[1][2]においてkj=kg=kとなり、上式[1][2]はそれぞれ下式[1’][2’]に変換することができるからである。
tr=k(2tj+tg)…[1’]
tr’=k(2tg+tj)…[2’]
また、反射超音波の伝搬時間tr、tr’は、上式[1][2]または上式[1’][2’]で表されるものとしたが、その他の演算式により表されるものであってもよいし、実際に測定された値そのものであってもよい。
【0048】
また、反射超音波の伝搬時間tr、tr’は、4番目の反射波(W4)に対応する反射超音波の伝搬時間としたが、その他の反射波(W2)(W3)(W5)…に対応する反射超音波の伝搬時間としてもよい。
【0049】
また、合成波(Wg)の3波目のゼロクロス時点を超音波到達タイミングに用いるものとしたが、それ以外の波のゼロクロス時点や一定時点を超音波到達タイミングに用いるものとしてもよい。
【0050】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、流体の温度変化や流速変化が生じた場合であっても、測定波と前の測定における反射波との位相差を一定にすることができる。このため、測定波と前の測定における反射波との合成波の位相が一定となり、合成波における超音波到達タイミングに用いるゼロクロス時点がばらつかなくなり、超音波の伝搬時間を精度良く測定することが可能となる。
【0051】
請求項2に係る発明によれば、反射超音波の伝搬時間を簡単かつ確実に求めることができ、超音波の伝搬時間をより精度良く測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を実施するための超音波流速測定装置の一例を示すブロック図である。
【図2】駆動パルスおよび受信波を示す図である。
【図3】(a)図1の超音波流速測定装置における、流体の温度または流速の変化前の測定波、反射波、およびそれらの合成波を示す図である。
(b)図1の超音波流速測定装置における、流体の温度または流速の変化後の測定波、反射波、およびそれらの合成波を示す図である。
【図4】図1の超音波流速測定装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】図4の伝搬時間測定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図6】図4の流量演算処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図7】従来の超音波流速測定装置を示すブロック図である。
【図8】(a)図7の超音波流速測定装置における、流体の温度または流速の変化前の測定波、反射波、およびそれらの合成波を示す図である。
(b)図7の超音波流速測定装置における、流体の温度または流速の変化後の測定波、反射波、およびそれらの合成波を示す図である。
【符号の説明】
1・・・流速測定管
2、3・・・超音波振動子
4・・・駆動パルス発生回路
5・・・受信増幅回路
6・・・切替回路
7・・・伝搬時間記憶部
8・・・流量記憶部
9・・・制御部
Claims (2)
- 超音波流速測定管を流れる流体の上流側と下流側にそれぞれ超音波振動子を配置し、前記各超音波振動子から相互に超音波を発生送信するとともに、送信された超音波を相互に受信することによって、流体の流れに対して順方向および逆方向の超音波の伝搬時間をそれぞれ測定することを複数回繰り返し、順方向および逆方向の超音波の伝搬時間の差に基づいて流速を測定する超音波流速測定方法において、
前記超音波の伝搬時間の測定間隔を、前の測定における反射超音波の伝搬時間に応じて測定波と前の測定における反射波との合成波の位相を一定となるように調整することを特徴とする超音波流速測定方法。 - 前記反射超音波の伝搬時間は、順方向の超音波の伝搬時間の測定間隔を調整する場合は下式[1]で表される一方、逆方向の超音波の伝搬時間の測定間隔を調整する場合は下式[2]で表される請求項1に記載の超音波流速測定方法。
tr=2kj×tj+kg×tg…[1]
tr’=2kg×tg+kj×tj…[2]
tr:流体の上流側の超音波振動子から送信された反射超音波の伝搬時間
tr’: 流体の下流側の超音波振動子から送信された反射超音波の伝搬時間
kj、kg:係数
tj:前の測定における順方向の超音波の伝搬時間
tg:前の測定における逆方向の超音波の伝搬時間
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