JP2004157141A - 軸力測定方法および軸力測定装置 - Google Patents

軸力測定方法および軸力測定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ボルト等の長尺部品の軸力を超音波の伝播時間に基づき測定する方法において、軸力と伝播時間または音速の関係をあらかじめ求めたときと、実際にボルトを締め付けたときの応力場が異なることにより生じる誤差を低減する。
【解決手段】測定対象のボルト14を、ナット113と組み合わせて割り型クランプ110に締め付け、軸力を与える。この軸力を与える前後の超音波の横波と縦波の伝播時間の変化の比(音速変化比)と、軸力との関係を求めメモリ126に記憶する。実際の締め付け対象にボルト14を締め付ける前後における音速変化比を算出し(音速変化比算出部130)、前記メモリにあらかじめ記憶された伝播時間の変化の比と軸力との関係から、実際の軸力を算出する(軸力算出部132)。
【選択図】図6

Description

本発明は、長尺部品、たとえばボルトなどねじ締結体の軸方向に加わる力である軸力を、当該部品中を伝播する音波の伝播時間に基づき測定する方法および測定する装置に関する。
二つまたはそれ以上の部品を締結する方法として、ボルトによる締結方法は最も広く知られた方法の一つである。この締結力は、ボルトの軸方向にかかる力である軸力の反力として発生する。したがって、ボルト軸力を測定することによって、当該ボルトが複数の部品を締結している力を知ることができる。一方、この締結力は、工業製品などの製造過程において適切に管理される必要がある。この締結力が小さければ、製品を使用中にボルトが緩んだり、締結力が大きければ想定された以上の変形が製品に生じ、所定の性能を達成できない場合がある。この締結力を管理するには、前述のようにその反力であるボルト軸力を管理すればよい。
このボルト軸力を管理するための様々な方法が知られている。最も広く用いられている方法は、ボルトを締め付けるトルクを管理することにより、間接的にボルト軸力を管理するものである。しかし、この方法は、簡易ではあるが、ボルトと締結される部品との摩擦力のばらつきが大きいために誤差が大きく、場合によっては、十分な精度を得ることができないという問題があった。
また、別の方法として、ボルト内部を伝播する音波の伝播時間に基づきボルト軸力を求める方法が知られている。軸力が加わるとボルトが延びるために伝播時間が延び、また軸力による応力場により音速が低下することによっても伝播時間が延びる。この方法においては、これを利用してボルトの軸力を測定している。具体的には、同一種類のボルトによって、ボルト軸力とボルト全長を音波が往復する伝播時間の関係を求めておき、あるボルトの伝播時間を測定し、前記の関係に基づき軸力を推定することができる。しかし、この方法では、個々のボルトのばらつき、特に長さのばらつきにより誤差が生じるという問題があった。なお、前述の音波は、所定周波数のキャリア波を短時間送信するパルス波を用いるのが一般的である。そして、キャリア波の所定値以上のピークに基づき音波の到達を判断している。
特開平5−20513号公報
前もってボルト軸力と伝播時間または音速の関係を測定したときと、実際にボルトを締め付けたときの、ボルトの応力場の状態が異なる場合がある。特に、締結対象となる部材が大きく変形する場合、たとえばばね座金を用いた場合や割型クランプを締め付ける場合、この傾向が顕著となり、測定値に誤差が生じるという問題があった。
本発明は、軸力と伝播時間または音速の関係を予め求めたときと、実際にボルトを締め付けたときの応力場が異なることによる生じる誤差を低減するのに有利な軸力測定方法およびこれを用いて軸力を測定する軸力測定装置を提供する。
本発明にかかる軸力測定方法は、長尺部品の軸方向に加わる力である軸力を、当該長尺部品中を伝わる音波の、当該長尺部品の所定の点の間の伝播時間に基づき測定する軸力測定方法であって、測定対象となる長尺部品と同種の部品にて、軸力を加える前後の音波の横波と縦波の伝播時間の変化の比と軸力との関係を示す音速変化比軸力算出関数を求めるステップと、測定対象となる長尺部品の軸力を加える前後の音波の横波と縦波の伝播時間を測定し、その変化の比を算出するステップと、前記変化の比と前記音速変化比軸力算出関数とに基づき軸力を算出するステップと、を有している。
締め付け前後における伝播時間の差ΔTは、
Figure 2004157141
と表される。式(1),(2)において、添え字の「S」,「L」は、それぞれ横波、縦波に関する値を示す。また、L0はボルト長さ、vSO、vLOは無負荷時の音速、αは音弾性係数、σeは等価応力、βは等価応力長さとボルト長さの比である等価応力長さを示す。
式(1),(2)の両辺をそれぞれ割れば、
Figure 2004157141
を得る。式(3)からΔTS/ΔTLは、等価応力長さ比βに依存せず、等価応力σeにのみの関数となる。したがって、軸力と伝播時間または音速の変化の関係を求めたときと、実際に締め付けを行うときのそれぞれの応力場が異なる場合、すなわち等価応力長さが異なる場合においても、この影響を受けない測定を行うことができる。
また、前記の軸力測定方法を実行するために、長尺部品に対し、音波を送信する送信手段と、前記送信された音波を前記長尺部品より、音波の横波と縦波を分離して受信する受信手段と、音波が送信されてから受信されるまでの伝播時間を測定する伝播時間測定手段と、軸力を加える前後の音波の横波と縦波の伝播時間の変化の比と軸力との関係を示す音速変化比軸力算出関数を記憶する音速変化比軸力算出関数記憶手段と、前記長尺部品の軸力を加える前後の音波の横波と縦波の伝播時間よりその変化の比を算出し、これと前記音速比軸力算出関数とに基づき、軸力を算出する軸力算出手段と、を有する軸力測定装置が提供される。
さらに、前記の軸力測定方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録した記録媒体を提供することができる。すなわち、この記録媒体は、長尺部品の所定点間の、軸力を加える前後の音波の横波と縦波の伝播時間の変化の比と、軸力との関係を示す音速変化比軸力算出関数をメモリから読み込む手順と、測定対象となる長尺部品の軸力を加える前後の音波の横波と縦波の伝播時間を読み込み、これら変化の比を算出する手順と、前記音速の横波と縦波の変化の比と、前記音速変化比軸力算出関数とに基づき軸力を算出する手順と、を記録したものである。
以下、本発明の実施形態を、図面に従って説明する。
[関連技術]
図1は、本発明の実施形態に関連する装置概要を示す構成ブロック図である。測定対象は、二つの部品10,12を締結している六角ボルト14(以下、単にボルト14と記す)である。ボルト頭頂部には、ボルト14内に音波を送信し、およびボルト14から音波を受信する超音波探触子16が配置される。この関連装置においては、送受信される音波は、一般に約5〜20MHzの超音波が用いられている。超音波探触子16は、ボルト14内部に横波と縦波の超音波を生成し、またこれらを受信できるものであれば、公知のどのような探触子を使用することもできる。特に横波と縦波を同時に送受信できる構造であることが好ましい。さらには、ボルトが反った場合、反りの外側・内側で伝播経路が異なるので、これが相殺されるように超音波振動子の横波と縦波の送受信部が配置されることが好ましい。このような配置にはたとえば、中心部に横波の送受信部、そしてその周囲に円環状縦波の送受信部を配する方法がある。また、円を複数本の直径で分割した各扇形の部分に交互に横波・縦波の送受信部を配置することができる。超音波の送信は、送受信制御部18により制御される送信回路20から送信される送信信号によって実行される。また、受信回路22は、ボルト14の先端で反射した反射波を受信する。反射波を受信した時刻と、前述の送受信制御部18の送信制御の時刻に基づきボルト14の全長を超音波が往復した時間(伝播時間)を横波、縦波それぞれについて伝播時間算出部24が算出する。
メモリ26には、ボルト14と同種、すなわち材質、形状が同一であるボルトによってあらかじめ求められている伝播時間と軸力の関係を示す軸力算出関数が横波・縦波ごとに記憶されている。演算部28は、算出された伝播時間と、横波および縦波の軸力算出関数を読み出す。そして、暫定軸力算出部30は、これら読み込まれたデータから軸力を算出する。この算出された軸力は、実際に測定されたボルト14の長さが、軸力算出関数を求めたときのボルトの長さと異なる場合があるために、ある誤差を含んでいる。そこで、ここで算出された軸力を、暫定的に求められた軸力とし、横波に基づくものが暫定横波軸力、縦波に基づくものが暫定縦波軸力とする。本来、一つのボルトの軸力を測定しているのであるから、横波に基づき測定した軸力と縦波に基づき測定した軸力とは一致するはずである。軸力算出部32は、これら二つの暫定軸力が一致しない原因が、ボルト14の長さが軸力算出関数を求めたときのボルト長さと異なるためであり、ボルト長さが一致すれば、二つの暫定軸力が本来一致するとの仮定の下に、軸力の算出を行う。この軸力の算出については、後に詳述する。
前述の送受信制御部18、伝播時間算出部24と演算部28は、実際には、コンピュータに備えられた所定のプログラムに基づき作動するCPU(中央処理装置)34である。また、前記のプログラムは、コンピュータの内部メモリに記憶することも、CD−ROM(コンパクトディスク−読出し専用メモリ)36やFD(フレキシブルディスク)などの外部記録媒体に記憶することもできる。前記のような外部記録媒体に記憶する場合、記憶された情報を読み出すためのCD−ROMドライブ38などが備えられている。
次に、軸力の算出方法について詳述する。図2は、ボルト14により二つの部品10,12を締結している状態の模式図である。締結時、ボルト14には、均等に軸力が加わるのではなく、ボルト頭部の軸部に近接する部分からねじにより結合している部分の間に軸力が加わり、ボルト14の両端部には、軸力の加わらない部分が存在する。また、軸力が加わっている部分においても、均一の軸力が加わっているのではなく、たとえばねじにより結合している部分においては、ボルト頭部に近いほど軸力が高くなっている。しかし、ここでは、図示するように、簡易的に、軸力が加わっている負荷部分(図中斜線を施した部分)と、軸力が加わっていない無負荷部分に分ける。負荷部分の長さは、実際の軸力、すなわち長さ方向に均一ではない軸力による伸びと、ボルトにかかる軸力が負荷部分全体に均一に加わっているとしたときの伸びが一致する長さとする。この長さを、等価応力長さとする。
音速は、音の伝達媒体の応力により変化することが知られており、応力σにおける音速Vは、応力が0(無負荷)のときの音速V0、音弾性係数αを用いて、
V=V0(1−ασ) ・・・(4)
と表せる。なお、横波・縦波によって無負荷時の音速V0および音弾性係数αは異なっている。このように、応力によって音速が変化するために、軸力が加わったボルトの音速は、図2に示すようなものとなる。すなわち、無負荷時の音速は、横波がvS、縦波がvLであり、それぞれ負荷部分においては遅くなっている。
図3は、ボルト長さのばらつきにより生じる軸力の誤差、およびボルト長さのばらつきの影響を除去する方法を説明するための図である。
実際に締結に用いられるボルト14と同種、すなわち材質、形状が同一のボルトによって、あらかじめ求めた伝播時間と軸力の関係が図3に破線で示されている。横波に関するものが破線50で、縦波に関するものが破線52で示されている。また、これらの破線で表される関数は、伝播時間から軸力を算出するための軸力算出関数であり、横波(破線50)に関しては横波軸力算出関数、縦波(破線52)に関しては縦波軸力関数である。これらの関数は、それぞれ多項式で表せる。多項式の次数は、実測値を統計的に検査し、妥当なものとすればよいがここでは2次関数式、
S=aSS 2+bSS+cS ・・・(5)
L=aLL 2+bLL+cL ・・・(6)
として説明する。ここで、FSは横波に関する軸力、TSは横波の伝播時間、FLは縦波に関する軸力、TLは縦波の伝播時間であり、aS,bS,cS,aL,bL,cLは、係数である。ここでは、2次曲線として近似しているが、十分な精度が得られれば、1次近似とすることもできる。
本来、同一の測定対象について測定しているのであるから、横波に基づき測定された軸力FSと縦波により測定された軸力FLは、当然一致する。しかし、実際に測定を行うと一致しない場合があり、この原因の一つに、式(5),(6)で示した軸力算出関数を求めたときのボルト長さと、測定対象となっているボルトの長さが異なることがある。
さて、以降、二つの測定された軸力FS,FLが異なる原因が前記のボルト長さのばらつきのみにより生じたものであるとして説明をする。ボルト長さが異なると伝播距離が変わるので、伝播時間も変化する。また、図2から、ボルトの長さが変わると等価応力長さは変化せず、無負荷部分の長さが変化することが分かる。したがって、測定された伝播時間TS,TLは、この無負荷部分の長さの変化を含んでいることになる。すなわち、ボルト長さの差による超音波の伝播時間の変化量は、超音波がこの差に相当する距離を超音波が伝播するのに要する時間である。そして、真の軸力Fに対する軸力FS,FLの誤差ΔFS(=F−FS),ΔFL(=F−FL)は、無負荷部分の長さの差を音波が伝播するのに要する時間に基づき発生するので、無負荷時の横波・縦波の音速をvS,vLとすれば、
ΔFS/ΔFL=vS/vL ・・・(7)
の関係がある。
しかし、誤差ΔFS,ΔFLの実際の値は不明であるので、この誤差に相当する修正変数としてdS,dLを式(5),(6)に加えた値を、暫定横波軸力FS *,暫定縦波軸力FL *とすれば、これらは、
S *=FS+dS=aSS 2+bSS+cS+dS ・・・(8)
L *=FL+dL=aLL 2+bLL+cL+dL ・・・(9)
で表せる。式(8),(9)で表される関数は、図3中、実線54,56で示されるように、破線50,52が縦軸方向に平行移動した線である。また、二つの修正変数dS,dLの関係は、式(7)と同様に、
S/dL=vS/vL ・・・(10)
と表せる。前述のように、これらの暫定軸力FS *,FL *は、本来一致するはずであるから修正変数dS,dLを変化させて、暫定軸力FS *,FL *の差が最小となる修正変数を見つける。そして、このときの暫定軸力FS *,FL *の相加平均を実際の軸力Fと定める。
図4には、この関連技術の軸力測定方法の流れを示すチャートが示されている。準備として、あらかじめ測定対象となるボルトと同種のボルトにて測定された、超音波の横波がボルト全長を往復するに要する時間(伝播時間)と軸力との関係を示す横波算出関数と、同様に超音波の縦波の伝搬時間と軸力との関係を示す縦波算出関数をあらかじめ求めメモリに記憶する。この算出関数が、図3における破線50,52である。
次に、実際の測定対象となるボルトに対し、超音波の送受信を行い、横波、縦波の伝播時間TS,TLの測定を行う(S100)。横波の伝播時間TSと前記の横波算出関数に基づき横波軸力(測定横波軸力)を求め、これに修正変数dSを加算し暫定横波軸力FS *を算出する(S102)。この暫定横波軸力FS *は、図3においては破線50で表された横波算出関数を縦方向に平行移動した関数群として表され、修正変数dSの値を定めることによって、たとえば図3中の実線54のように一つの関数が決定される。縦波に関しても、横波と同様の伝播時間TLから暫定縦波軸力FL *を求めることができ(S104)、これも図3中の破線52を縦方向に平行移動した関数群として表され、修正変数dLの値を定めることによって、一つの関数が決定される。なお、二つの修正変数dS,dLは、独立した変数ではなく、前述の式(7)の関係を有し一つの変数である。
最後に、二つの暫定軸力FS *,FL *の差が最小の値となるように修正変数dS,dLを定め、このときの暫定軸力FS *,FL *の相加平均を軸力Fとして算出する(S106)。
図5は、この関連技術の測定方法の効果を表す図である。横軸は、横波・縦波軸力算出関数を求めたときのボルト長さと、測定対象となったボルトとの長さの差である。縦軸は、歪み測定などにより求められた実際の軸力に対して、算出された軸力の誤差の率を示している。図中、黒まる(●)は、測定された伝播時間と軸力算出関数に基づき算出されたデータ(測定横波軸力、測定縦波軸力)を示し、実線がこれらのデータの近似線である。これらデータに対し、本実施形態の軸力算出方法を適用したデータが白まる(○)であり、これらの近似線が破線で示されている。この近似線(破線)は、横軸にほぼ平行、すなわちボルト長さの誤差に対して変化しないものであり、ボルト長さによる誤差が排除されていることが確認できる。
なお、軸力の測定誤差がボルト長さの差によるもののみであれば、この関連技術の適用前においては、一点鎖線で示すような、ボルト長さの誤差が0のとき軸力の誤差も0となるようなグラフを描き、また適用後は、破線で示す近似線は横軸に一致すると考えられる。したがって、図示するように、これらがずれたのは、軸力測定において、ボルト長さの他に他の誤差要因があることが推量される。
図5中、三角(△)で示したデータは、ボルト一つ一つに対し、軸力をかける前後、すなわち締め付けの前後で超音波の伝播時間を測定し、これに基づき算出された軸力のデータであり、二点鎖線がこれらのデータの近似線である。この方法によれば、軸力の誤差は約4%以下、平均で約2%であることが分かる。これに対し、この関連技術の算出方法によれば、誤差は約6%以下、平均で3%程度であることがわかる。
なお、この関連技術においては、ボルトの軸力を測定する場合について説明したが、軸力の方向の寸法に対し、直交する方向の寸法が十分小さい長尺部品の軸力測定にも適用できる。
[実施形態]
図6には、実施形態の装置の概略構成が示されている。前述の関連技術と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。図6には、特に、ナット113とともに割り型クランプ110を挟持するボルト14の軸力を測定する場合が例示されている。割り型クランプ110は、その二股に分かれた根本部分にシャフト112などの部材を挟持し、脚部分をボルト等で締め付け部材の固定を行うものである。したがって、割り型クランプ110の脚部分は、比較的大きく変形する。すると、図2に示されるように被締結部材10,12がほとんど変形しないとして求めている軸力と音波の伝達時間等の関係を示す関数をそのまま適用することができない。これは、被締結部材が弾性変形することによって、ボルト内の応力場が前記関数を求めたときと相違することに起因する。図示する割り型クランプ110の場合、軸力が大きくなればなるほど、クランプの二つの脚部分は接近し、無負荷部分の長さは長くなり、等価応力長さは短くなる。本実施形態は、このように、軸力によって応力場が変化する場合に好適に適用できる。
実際の測定に先立って、測定対象となる同種のボルトによって、音波の横波と縦波の全長を往復する伝播時間と、軸力の関係を求める。このとき、被締結物は、実際の締め付けを行うものでなくてもよい。さらに、横波と縦波の無負荷状態から負荷状態の伝播時間の変化の比ΔTS/ΔTLと軸力の関係である音速変化比軸力算出関数を求める。この一例が図7に示されている。そして、メモリ126にこの関数が記憶される。応力(軸力)がかかった状態での音速vは、無負荷状態での音速v0と、音弾性係数α、等価応力σeから、
v=v0(1−α・σe) ・・・(11)
と表せる。
さらに、等価応力長さLeをボルト長さL0で割った値である等価応力長さ比β(=Le/L0)を用いて、横波と縦波の無負荷状態から負荷状態の伝播時間の変化ΔTS,ΔTLは、
Figure 2004157141
と表される。式(12),(13)の辺々を割れば、
Figure 2004157141
を得る。式(14)は、等価応力長さ比βに依存せず、等価応力σeのみの関数となっている。したがって、音速変化比軸力関数を求める場合、等価応力長さβが実際の締結状態と同一でなくてもよい、すなわち応力場が実際の締結状態の応力場と同一でなくてもよいことがわかる。また、締め付け過程において、等価応力長さβが一定でなくてもよいことがわかる。
そして、実際の測定対象となるボルトに対し、締め付け前、すなわち無負荷状態での横波、縦波の伝播時間を測定する。そして、締め付け後、再度横波、縦波の伝播時間を測定する。これら締め付け前後の伝播時間は、伝播時間算出部24によって算出され、演算部128に送られる。そして、演算部128では、締め付け前後の横波、縦波それぞれの伝播時間の差を算出し、さらに、それらの比を算出する。そして、軸力算出部132にて、この伝播時間差の変化の比と、メモリ126に記憶された同種のボルトにおける音速変化比軸力算出関数に基づき軸力を算出する。
前述の送受信制御部18、伝播時間算出部24、演算部128は、実際には、コンピュータに備えられた、所定のプログラムに基づき作動するCPU34である。また、前記プログラムは、コンピュータの内部メモリに記憶することも、CD−ROM136やFDなどの外部記録媒体に記憶することもできる。
図8には、本実施形態の軸力測定の流れを示すチャートが示されている。あらかじめ測定対象となるボルトと同種の横波と縦波の伝播時間の比と軸力の関係を示す音速比軸力算出関数が記憶されている。まず、測定対象のボルトについて、無負荷状態で横波、縦波のそれぞれの伝播時間を測定する(S200)。ボルトを締め付け、負荷のかかった状態で、横波、縦波の伝播時間を測定する(S202)。そして、締め付け前後の伝播時間の変化を算出し(S204)、その比を算出する(S206)。この比と前述の音速比軸力関数から軸力を算出する。
以上の実施形態においては、軸力を測定する対象となる部品をボルトとして説明したが、軸力方向の寸法に対し、直交する方向の寸法が小さい部品であれば、適用することが可能である。
第1の実施形態の測定装置の概要構成を示すブロック図である。 ボルトに軸力がかかったときの状態を示す図である。 第1の実施形態の測定方法を説明するための図である。 第1の実施形態の測定方法を示すフローチャートである。 第1の実施形態の測定により測定された軸力のデータを示す図である。 第2の実施形態の測定装置の概要構成を示すブロック図である。 横波、縦波の締め付け前後における伝播時間変化の比と軸力の関係を示す図である。 第2の実施形態の測定方法を示すフローチャートである。
符号の説明
14 (六角)ボルト、16 超音波探触子(送信手段、受信手段)、18 送受信制御部、20 送信回路(送信手段)、22 受信回路(受信手段)、24 伝播時間算出部(伝播時間測定手段)、26 メモリ(軸力算出関数記憶手段)、28 演算部、30 暫定軸力算出部(暫定軸力算出手段)、32 軸力算出部(軸力算出手段)、36 CD−ROM(記録媒体)、38 CD−ROMドライブ、 TS,TL 伝播時間、FS,FL 測定軸力、FS *,FL * 暫定軸力、dS,dL 修正変数、F 軸力、添え字の「S」,「L」は、それぞれ横波に関するもの、縦波に関するものであることを示す。

Claims (3)

  1. 長尺部品の軸方向に加わる力である軸力を、当該長尺部品中を伝わる音波の、当該長尺部品の所定の点の間の伝播時間に基づき測定する軸力測定方法であって、
    測定対象となる長尺部品と同種の部品にて、軸力を加える前後の音波の横波と縦波の伝播時間の変化の比と軸力との関係を示す音速変化比軸力算出関数を求めるステップと、
    測定対象となる長尺部品の軸力を加える前後の音波の横波と縦波の伝播時間を測定し、その変化の比を算出するステップと、
    前記変化の比と前記音速変化比軸力算出関数とに基づき軸力を算出するステップと、
    を有する、軸力測定方法。
  2. 長尺部品の軸方向に加わる力である軸力を、当該長尺部品中を伝わる音波の、当該長尺部品の所定の点の間の伝播時間に基づき測定する軸力測定装置であって、
    前記長尺部品に対し、音波を送信する送信手段と、
    前記送信された音波を前記長尺部品より、音波の横波と縦波を分離して受信する受信手段と、
    音波が送信されてから受信されるまでの伝播時間を測定する伝播時間測定手段と、
    軸力を加える前後の音波の横波と縦波の伝播時間の変化の比と軸力との関係を示す音速変化比軸力算出関数を記憶する音速変化比軸力算出関数記憶手段と、
    前記長尺部品の軸力を加える前後の音波の横波と縦波の伝播時間よりその変化の比を算出し、これと前記音速比軸力算出関数とに基づき、軸力を算出する軸力算出手段と、
    を有する、軸力測定装置。
  3. 長尺部品の所定点間の、軸力を加える前後の音波の横波と縦波の伝播時間の変化の比と、軸力との関係を示す音速変化比軸力算出関数をメモリから読み込む手順と、
    測定対象となる長尺部品の軸力を加える前後の音波の横波と縦波の伝播時間を読み込み、これら変化の比を算出する手順と、
    前記音速の横波と縦波の変化の比と、前記音速変化比軸力算出関数とに基づき軸力を算出する手順と、
    をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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