JP2002328119A - 管パラメーター推定方法、管材質の状態評価方法及び管の検査方法並びにこれらに用いられる管パラメーター推定装置 - Google Patents
管パラメーター推定方法、管材質の状態評価方法及び管の検査方法並びにこれらに用いられる管パラメーター推定装置Info
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Abstract
めることにより、管パラメーター推定方法、管材質の状
態評価方法及び管の検査方法並びにこれらに用いられる
管パラメーター推定装置を提供すること。 【解決手段】 管の管径(d)及び管の肉厚(t)の比
(d/t)と管材における超音波の初期到達速度(V、
伝播速度)との間の相関をあらかじめ求める。管の肉厚
(t)、管径(d)及び管材の伝播速度(V)よりなる
3つの管パラメーター(t,d,v)のうち2種を測定
することで、前記相関により残りの管パラメーターを求
めることが可能である。伝播速度(V)の測定は、管の
一端側から超音波を入射し同一端側又はこの管の他端側
で超音波を受信することにより行えばよい。
Description
定方法、管材質の状態評価方法及び管の検査方法並びに
これらに用いられる管パラメーター推定装置に関するも
のである。
壊計測では、これらを伝播するGuided wave
(円筒波)を用いた計測が行われている。例えば、鋼管
の広範囲欠陥検出や、熱交換器・ボイラー配管の欠陥計
測が円筒波を利用して行われていた。
伝播する超音波と管との新たな相関を求めることによ
り、管パラメーター推定方法、管材質の状態評価方法及
び管の検査方法並びにこれらに用いられる管パラメータ
ー推定装置を提供することにある。
は、管の内外表面を自由境界とする波動方程式の境界値
問題に帰着される。円筒波の解は、主に面外変位を有す
るLongitudinal(L−)modeとFle
xural(F−)mode、及びねじり変位を主体と
し面外変位の少ないTorsional(T−)mod
eに大別される。L−mode、F−mode、及びT
−modeはそれぞれ2つのモードパラメ―タnとmを
用いて、L(0,m)、F(n,m)、T(n,m)
(n、m=1、2、3、・・・、T−modeではn=
0、1、2、3・・・)で記述される。特にL−mod
eは変位が円周方向で同一の軸対称モードである。図6
に管肉厚tと管外径dとの肉厚外径比(t/d)が1/
5のアルミニウム管(cl(自由固体中の縦波音速)=
6400m/s、ct(自由固体中の横波音速)=30
40m/s)を伝播する円筒波の位相速度分散曲線を示
す。横軸は肉厚と周波数の積で正規化している。図6に
はLamb波のA0、S0、A1も示すが、類似性が読み
取れる。
徴を示す。アルミニウム管で、t/dが1/2、1/
3、1/5、1/10、1/16の場合のL(0、1)
とL(0,2)の位相速度分散を図7(a)に、群速度
分散を同図(b)に示す。t/d=1/2は中実丸棒を
示す。また図7中には、大実線でLamb波のA0を、
太点線でLamb波のS0の速度分散曲線を示した。位
相・群速度ともにt/dが小さくなる程Lamb波に暫
近する。
1)のDC成分となり、その群速度は中実丸棒における
Bar velocity;vbar = ct((3cl 2
−4ct 2 )/(cl 2 −ct 2 ))1/2 に一致す
る。一方、t/d<1/5では、初動波群速度はL
(0,2)に依存し、その値はt/dの関数で示され
る。つまりt/d<1/5のとき初動波の群速度を測定
できれば、肉厚が推定可能であることが判明した。t/
dが無限小では、群速度の最大値は Lamb波のS。
のSheet velocity;vsheet =2c
t(1−(ct 2 /cl 2 ))1 /2に一致する。
及び管の肉厚の比(d/t)と管材における超音波の初
期到達速度(伝播速度)との間に図4に示すような相関
の存在することが判明した。すなわち、ある条件に基づ
いて相関を求めれば、管の径dや肉厚tが異なっても、
これら管の径、肉厚、伝播速度を求めることが可能とな
る。
比(d/t)が大きくなるほど、伝播速度は速くなる。
したがって、減肉箇所が存在すれば上記比は大きくな
り、健全部のみの管よりも伝播速度が速くなるので、減
肉欠陥を認識することが可能となる。
ため、本発明に係る管パラメーター推定方法の特徴は、
管の管径及び管の肉厚の比と管材における超音波の初期
到達速度(以下、「伝播速度」という)との間の相関を
あらかじめ求め、前記管の肉厚、管径及び管材の伝播速
度よりなる3つの管パラメーターのうち2種を測定し、
前記相関により残りの管パラメーターを求めることにあ
る。
入射し、同一端側又はこの管の他端側で超音波を受信す
ることにより前記伝播速度の測定を行う一方、上記管パ
ラメーター推定方法を利用する管材質の状態評価方法の
特徴は、あらかじめ前記管径及び前記肉厚の比について
異なる状態毎に伝播速度を推定して前記管の劣化度と前
記伝播速度との相関を求め、当該相関と上記方法による
推定値とを比較して検査対象管における管材質の状態を
評価することにある。
は、管の一端側から超音波を入射し、同一端側又はこの
管の他端側で超音波を受信することにより前記管の管材
の伝播速度測定を行い、当該伝播速度を当該管における
健全部の管径及び肉厚の比から求められる伝播速度と比
較することにより、当該管の減肉程度を推定することに
ある。
管の肉厚、管径及び管材の伝播速度よりなる管パラメー
ターを推定する管パラメーター推定装置の特徴構成は、
管の管径、肉厚及び管材の伝播速度よりなる管パラメー
ターを推定する管パラメーター推定装置であって、前記
管径及び前記肉厚の比と管材の伝播速度との間の相関を
記憶する相関記憶手段と、前記3種の管パラメーターの
うち2種を入力するパラメーター入力手段と、入力され
た前記2種の管パラメーター及び前記相関を比較するこ
とで残りの管パラメーターを求めるパラメーター決定手
段とを備えていることにある。
ーター推定方法、管材質の状態評価方法及び管の検査方
法方法並びにこれらに用いられる管パラメーター推定装
置の特徴によれば、ある寸法の管を利用してあらかじめ
相関を求めることにより、同寸法または異なる寸法の管
の寸法や伝播速度を求めることが可能となった。また、
これにより、管材質の評価や管の欠陥を検出することも
可能となった。さらに、配管プラント等の構築予定物を
縮小したモデルを作成し、この縮小モデルを利用した実
験に基づいて構築予定物の状態を予測したり、管の寸法
変更等の設計を行うことも可能となった。本発明の他の
目的、構成及び効果については、以下の発明の実施の形
態の項から明らかになるであろう。
本発明をさらに詳しく説明する。図1、2に示すよう
に、本発明に係る円筒波を励起・検出するための管パラ
メーター推定/測定装置1は、大略、パルスレーザー照
射装置2,音響センサ3、パーソナルコンピューター5
を備えてなる。パーソナルコンピューター5は照射トリ
ガ11,時間差検出部12,相関記憶手段13,パラメ
ーター決定手段14及び寸法入力部15を備え、各種マ
ニュアル入力用のキーボード6及び厚み・長さ測定用の
デジタルノギス7が接続されている。パーソナルコンピ
ューター5による処理結果は、ディスプレイ8及びプリ
ンタ9により表示される。
Gパルスレーザ―を管Sの端面に照射することにより円
筒波を励起するものである。パルスレーザー照射装置2
のパルスレーザーは照射トリガ11からの信号により管
Sの端面に向かって発せられる。管Sを伝播する超音波
は音響センサ3により受信され、A/Dコンバーター4
を介してデジタル変換されて時間差検出部12に取り込
まれる。照射トリガ11による照射開始時刻と音響セン
サ3による受信時刻との時間差が時間差検出部12によ
り検出され、Time of Flight法により、
管Sの全長Zを前記時間差で除することで管材の伝播速
度(初動波群速度)Vが求められる。
の肉厚t、管径d及び管材の伝播速度Vの3つよりな
る。伝播速度Vは上述の如く算出されパラメーター決定
手段14に入力される。また、肉厚t及び管径dはデジ
タルノギス7により計測されて寸法入力部15を介しパ
ラメーター決定手段14に入力される。各パラメーター
はパルスレーザー照射装置2,音響センサ3,デジタル
ノギス7により自動入力される他、キーボード6を介し
てマニュアル入力しても構わない。すなわち、本発明で
は、パルスレーザー照射装置2,音響センサ3,デジタ
ルノギス7やキーボード6がパラメーター決定手段14
に管パラメーターを入力するパラメーター入力手段であ
る。
音響センサ3を管Sの他端面に取り付けている。そし
て、あらかじめ管径d及び肉厚tの比(d/t)と管材
における超音波の伝播速度Vとの関係を求めるにあた
り、外径が6.0mmで、肉厚が1.0、0.5、0.
25mm、長さ150mmの「外径一定」グループのA
l製管Sを用いた。また、外径が4.0、5.0、8.
0、12.0mmで、肉厚が1.0mm、長さ1000
mmの「肉厚一定」グループのAl製管Sを用いた。
を示す。先の比の逆数である肉厚t及び管径dの比(肉
厚外径比t/d)は、1/5のものと1/12のものと
を用いた。初動波群速度Vは、肉厚外形比の小さい1/
12のものの方が大きい(速い)ことが伺える。
及び肉厚tの比(d/t)との相関を求めるための計測
結果を示す。横軸はd/t、実線は理論解である。図
中、丸印は「外径一定」を、四角印は「肉厚一定」グル
―プの結果をそれぞれ示す。理論値と実験値の平均誤差
は、「外径一定」と「肉厚一定」グループでそれぞれ
0.45%、0.36%であった。「肉厚一定」グルー
プでは、伝播距離Zが1000mmと長く、比較的測定
誤差が小さかったが、両グループともに理論とよく理論
と一致し、管の径及び管の肉厚の比(d/t)と管材に
おける超音波の伝播速度Vとの間に相関の存在すること
が明らかとなった。
る相関記憶手段13には、このような管の径及び管の肉
厚の比(d/t)と伝播速度Vとの間の相関を記憶させ
てある。管パラメーター推定/測定装置1の使用に際し
ては、管の外径d、管の肉厚t及び管材の伝播速度Vよ
りなる3種の管パラメーターのうち2種を上述のパラメ
ーター入力手段により入力する。すると、パラメーター
決定手段14は入力された2種のパラメーター及び前記
相関を比較することで残りの管パラメーターを求め、そ
の結果がディスプレイ8又はプリンタ9により表示され
る。
すれば、管肉厚tが求まる。また、伝播速度V及び管肉
厚tを入力すれば、管径dが求まる。さらに、管径d及
び管肉厚tを入力すれば、伝播速度Vが求まる。
よって異なるので、管径d及び管肉厚tを入力して求め
た伝播速度Vの推定値と実際の測定値とを比較すること
で、材料の劣化度を評価することも可能である。また、
管の材質の種類によって伝播速度Vは異なるので、管径
d及び管肉厚tを入力し、管材質毎に求めた上述の相関
と比較することで、管の材質を求めることも可能とな
る。
る。なお、上記実施形態と同様の部材には同様の符号を
付してある。上記実施形態では、外径dが一律な管Sに
ついて試験を行った。本発明は、図5(b)に示すよう
に、管Sの一部に減肉部Aを有する場合について試験を
行い、減肉部Aの程度を推定するに際しても適用可能で
ある。上記パルスレーザー照射装置2の代わりに送信子
2aを用い、さらに小径の管Sを対象としている。本検
査方法によれば、図5(a)に比較して、図5(b)に
示す管Sの方が減肉部Aを有する分だけ透過波の音速が
速くなる。したがって、これら両者の比較により、減肉
部Aの程度を減肉部A部分の直径dxと減肉部A部分の
長さzxとの複合値として把握することが可能である。
を採用した。しかし、管径は管の内径を採用しても構わ
ない。上記実施形態では管の一端側から超音波を入射
し、この管の他端側で超音波を受信した。しかし、超音
波の受信はこの超音波を入射した同じ一端側から反射波
として受信しても構わない。また、超音波の入射・受信
部は管の端面のみならず、管の側面であっても構わな
い。すなわち、請求項における超音波を入射させ又は受
信する管の「一端側」又は管の「他端側」とは、「管の
端面」のみならず、例えば長尺管の中間部における「管
の側面」であっても構わない。
射部から受信部に至る検査対象部分の管長を超音波の送
受信時間差で除して得られるものである。したがって、
請求項における「管材の伝播速度(V)」は、管の材質
が一定とみなせる場合、「検査対象部分の管長」として
把握することも可能である。
は、あくまでも図面との対照を便利にするためのものに
すぎず、該記入により本発明は添付図面の構成に限定さ
れるものではない。
施する装置の概略を示すブロック図である。
施するための管及び音響センサの関係を示す斜視図であ
る。
波の受信波形を示すグラフであり、横軸は時間、縦軸は
受信強度を表すものである。
波の伝播速度(初期到達速度)との関係を示すグラフで
あって、横軸は上記比、縦軸は初期到達速度をそれぞれ
示す。
した場合、(b)は減肉部を有する管を使用した場合を
それぞれ示す。
(縦軸)との関係を示すグラフである。
相速度及び群速度の変化を示し、(a)は周波数(横
軸)と位相速度(縦軸)との関係を示すグラフ、(b)
は周波数(横軸)と群速度(縦軸)との関係を示すグラ
フである。
ー照射装置、2a:送信子、3:音響センサ、4:A/
Dコンバーター、5:パーソナルコンピューター、6:
キーボード、7:デジタルノギス、8:ディスプレイ、
9:プリンタ、11:照射トリガ、12:時間差検出
部、13:相関記憶手段、14:パラメーター決定手
段、15:寸法入力部、S:管、A:減肉部
Claims (5)
- 【請求項1】 管(S)の管径(d)及び管(S)の肉
厚(t)の比(d/t)と管材における超音波の初期到
達速度(V)(以下、「伝播速度」という)との間の相
関をあらかじめ求め、前記管(S)の肉厚(t)、管径
(d)及び管材の伝播速度(V)よりなる3つの管パラ
メーター(t,d,v)のうち2種を測定し、前記相関
により残りの管パラメーターを求めることを特徴とする
管パラメーター推定方法。 - 【請求項2】 前記管(S)の一端側から超音波を入射
し、同一端側又はこの管(S)の他端側で超音波を受信
することにより前記伝播速度(V)の測定を行うことを
特徴とする請求項1に記載の管パラメーター推定方法。 - 【請求項3】 請求項1又は2に記載の管パラメーター
推定方法を利用する管材質の状態評価方法であって、あ
らかじめ前記管径(d)及び前記肉厚(t)の比(d/
t)について異なる状態毎に伝播速度(V)を推定して
前記管(S)の劣化度と前記伝播速度(V)との相関を
求め、当該相関と請求項1又は2に記載の方法による推
定値とを比較して検査対象管(S)における管材質の状
態を評価することを特徴とする管材質の状態評価方法。 - 【請求項4】 管(S)の一端側から超音波を入射し、
同一端側又はこの管(S)の他端側で超音波を受信する
ことにより前記管(S)の管材の伝播速度測定を行い、
当該伝播速度(V)を当該管(S)における健全部の管
径(d)及び肉厚(t)の比(d/t)から求められる
伝播速度(V)と比較することにより、当該管(S)の
減肉程度を推定する管の検査方法。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の方法に
用いられ、管(S)の管径(d)、肉厚(t)及び管材
の伝播速度(V)よりなる管パラメーター(t,d,
v)を推定する管パラメーター推定装置(1)であっ
て、前記管径(d)及び前記肉厚(t)の比(d/t)
と管材の伝播速度(V)との間の相関を記憶する相関記
憶手段(13)と、前記3種の管パラメーター(t,
d,v)のうち2種を入力するパラメーター入力手段
(2,3,6,7)と、入力された前記2種の管パラメ
ーター及び前記相関を比較することで残りの管パラメー
ターを求めるパラメーター決定手段(14)とを備えて
いる管パラメーター推定装置。
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