JP2006058291A - 欠陥検査装置及び方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 確実、簡単且つ高速に薄板、パイプ状又は棒状の物体の非破壊検査を行うことができる欠陥検査装置及び方法を提供する。
【解決手段】 時間とともに周波数が変化するチャープ信号を発生する信号発生器11と、物体1の表面に当接され、信号発生器11が発生するチャープ信号に応じた誘導波を物体1に励起する発振子12と、物体1の表面に当接され、物体1を伝搬する誘導波を検出するセンサ13と、センサ13の検出信号を解析する解析部16とを備え、センサ13は、発振子12により励起されたチャープ信号に応じた誘導波を検出し、解析部16は、センサ13で検出された上記誘導波の検出信号を解析することにより物体内の欠陥を検査する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、薄板、パイプ状又は棒状の物体を検査する欠陥検査装置及び方法に関するものである。
薄板、パイプ状又は棒状物体内に存在する欠陥の超音波非破壊検査法として、パルス状の信号を励起源として物体内に弾性波を発生させ、欠陥部分からの反射波を検出して欠陥の位置を特定する方法が利用されている。しかし、この検査方法では励起源直下の欠陥しか検出できないので、物体全体を検査するには多くの時間を要し、また欠陥を見逃す可能性が大きい。そこで検出時間を短縮する検査方法として、誘導波を用いた検査方法がある。誘導波は物体の内部を長距離伝搬する性質をもち、検査領域の欠陥を1回の誘導波の送受信で検出できるので、短時間で広範囲の検査を行うことができる。誘導波を励起する発振子の入力信号には、パルス信号又はバースト信号が使用されている。
特開平11−118771号公報 遠山暢之、高坪純治,「ラム波を用いた線走査によるCFRP板の衝撃層間剥離の定量検査手法」,非破壊検査,社団法人日本非破壊検査協会,平成15年,第52巻,11号,pp633−638 西野秀郎,「非破壊計測のためのガイド波の基礎と展望」,非破壊検査,社団法人日本非破壊検査協会,平成15年,第52巻,12号,pp654−682 Yoshihiro Mizutani. Takayuki Shimoda, 鄭 Fundamental Study of Detecting Delaminations in Composite Tanks by Using Lamb Waves Key Engineering Materials, Switzerland, Trans Tech Publications Inc, 2004, Vol.270, No.273, pp.1898-1904
しかしながら、パルス信号によって誘導波を励起する方法は、高電圧のパルス信号を発振子に入力する必要があり、可燃物の貯蔵タンク又は輸送用配管に適用する場合には配慮が必要である。
また、バースト波によって誘導波を励起する方法では、低電圧の信号で高エネルギーの誘導波を励起できるという利点はあるが、励起される誘導波の周波数成分が単一であるため、センサで検出した信号から欠陥情報を注出するには不十分である。また、時間とともに周波数を段階的に変化させて一回の誘導波の送受信で複数の周波数応答を得て欠陥を検査する方法は非特許文献3に記載されているが、段階的に周波数を変化させているため、欠陥の深さや大きさによっては、欠陥の検出に適した周波数の情報が得られず、なお不十分な場合がある。
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、薄板、パイプ状又は棒状の物体内の欠陥を高速且つ精度良く検査する欠陥検査装置及び方法を提供することを目的とする。
本発明に係る欠陥検査装置は、時間とともに周波数が変化するチャープ信号を発生する信号発生器と、上記物体の表面に当接され、上記信号発生器が発生する上記チャープ信号によって誘導波を上記物体に励起する発振子と、上記物体の表面に当接され、上記物体の誘導波と上記誘導波が欠陥を伝搬するときに生じる散乱波とを検出するセンサと、上記センサの検出信号を解析する解析部とを備え、上記センサは、上記発振子により励起された上記チャープ信号に応じた誘導波と上記誘導波が欠陥を伝搬するときに生じた散乱波とを検出し、上記解析部は、上記センサで検出された上記誘導波と上記散乱波の検出信号を解析することにより物体内の欠陥を検査することを特徴とする。
また、本発明に係る欠陥検査方法は、当該物体の表面に誘導波を励起する発振子と、当該物体を伝搬する誘導波を検出するセンサとを上記物体の表面に当接し、時間とともに周波数が変化するチャープ信号によって誘導波を上記発振子により上記物体の表面に励起し、上記発振子により励起された誘導波と上記誘導波が欠陥を伝搬するときに生じる散乱波とを検出し、上記センサで検出された上記誘導波と上記散乱波の検出信号を解析することにより物体内の欠陥を検査することを特徴とする。
本発明に係る欠陥検査装置及び方法は、パイプ状又は棒状の物体に対して、時間とともに周波数が変化する周期信号であるチャープ信号に応じた振動を励起して、その振動を検出し、解析することにより物体の検査を行う。チャープ信号は、時間とともに周波数を変化しているので、欠陥がある場合に生じる散乱波は、伝搬距離が長くなっているため、主たる誘導波と比較してセンサ13への到達時刻が遅れる性質があり、異なる周波数成分の誘導波と散乱波とが重なりあうので、散乱波が生じない場合の検出信号に対して判別することが容易である。このことにより、確実、簡単且つ高速に薄板、パイプ状又は棒状の物体の非破壊検査を行うことができる。
以下、本発明が適用された検査装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、物体1の欠陥の有無を検査する検査装置2を示した図である。
本説明で、欠陥とは、物体の表面に生じた傷、又は、物体内部に生じた亀裂又は剥離、又は物体内部に設けられた空洞、孔などである。
検査対象である物体1は、図1に示すように、例えば繊維強化プラスチック(FRP: Fiber Reinforced Plastics)等の薄板である。
なお、物体の実施の形態例としてFRP製の薄板を用いるが、所定の誘導波発生手段を用いて誘導波が励起でき、所定のセンサを用いてその誘導波や誘導波が欠陥を伝搬するときに生じる散乱波を検出することができる形状をした物体であれば薄板でなくても、パイプ状、又は棒状の構造物を検査対象とすることもできる。
検査装置2は、図1に示すように、直方体の支持部材10と、所望とするチャープ信号を発生するファンクションジェネレータ11と、誘導波を励起する発振子12と、薄板1に生じる誘導波と散乱波とを検出するセンサ13と、センサ13が検出する検出信号を増幅する増幅器14と、増幅器14が増幅するアナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換器15と、A/D変換器15が生成するディジタル信号が入力され検出信号を解析するコンピュータ16とを備えている。
支持部材10は直方体であり、その長手方向の底面における一端部近傍に、発振子12が設けられ、他端部近傍にセンサ13が取り付けられている。よって、発振子12とセンサ13との間の距離をほぼ一定に保つことができ、薄板1に対する検査領域の位置決めがしやすい。
ファンクションジェネレータ11は、所望とするチャープ信号を発生し、発生した信号を発振子12に供給する。
発振子12は、ファンクションジェネレータ11から供給されたチャープ信号によって、誘導波の一種である板波(ラム波)を薄板1内に励起する。
センサ13は、薄板1内を伝搬する誘導波と散乱波とを検出し、電気信号に変換するものである。具体的には、センサ13は、超音波探傷子、又は弾性波を検出するAE(アコースティック・エミッション)センサ、加速度センサといったものである。
コンピュータ16は、A/D変換器15によりディジタル信号に変換された検出信号をメモリに蓄積する。コンピュータ16は、メモリに蓄積した検出信号を解析し、薄板1内の欠陥の有無を検査する。
次に、この検査装置2の使用例について説明する。
まず、検査作業を行うユーザは、支持部材10に設けられた発振子12とセンサ13とを薄板1の表面に当接する。発振子12とセンサ13とが薄板1表面に当接されると、検査装置2は、ユーザの操作により、発振子12が当接された薄板1の箇所に対して誘導波を発生させ、その誘導波と散乱波とを検出することで、発振子12とセンサ13との間の検査領域における欠陥検査を行う。検査が終了すると、ユーザは支持部材10を持ち上げて発振子12とセンサ13とを薄板1の表面から離す。次に、ユーザは、検査を行っていない検査領域の表面に発振子12とセンサ13とを当接し、検査装置2を操作して、欠陥検査を行う。この作業を繰り返し行うことで、薄板1全体に亘って欠陥検査を行う。
発振子12とセンサ13とを薄板1に当接させてその検査領域を検査する場合、まず、ファンクションジェネレータ11は、所望とするチャープ信号を発生し、このチャープ信号を発振子12に供給する。発振子12は、ファンクションジェネレータ11から供給されたチャープ信号によって発振子12が設置されている薄板1内に誘導波を励起する。
ここで、発振子12によって励起した薄板1内を伝搬する誘導波は、薄板1内に欠陥があるとセンサ13への到達時間が変化したり、振幅が低下したりする。この現象は誘導波の伝搬速度が板の厚さによって変化することと、欠陥があると誘導波が散乱することとに起因している。また、欠陥がある場所では誘導波が散乱するため、その散乱波が誘導波の到達から遅れてセンサ13で検出される。コンピュータ16は、センサ13で検出した誘導波の振幅変化と散乱波との情報を解析して薄板1内の欠陥の有無を判定する。
次に、ファンクションジェネレータ11から発生されるチャープ信号について説明する。
ファンクションジェネレータ11が発生するチャープ信号は、図2に示すように、周波数が時間に応じて変化する(周期が時間に応じて変化する)正弦波信号である。周波数は、高くなる方向に変化しても良いし、低くなる方向に変化しても良い。周波数の変化は線形であることが望ましいが、変化が継続し(一定の周波数で固定とはならず)且つ逆方向へ変化しなければ線形である必要もない。
また、本例ではファンクションジェネレータ11から発生されるチャープ信号の振幅は、図2に示すように、初期を除いて一定としているが、発振子12の特性によって励起される誘導波の振幅は一定とはならない。励起される誘導波の振幅が一定となるようにチャープ信号の振幅を周波数によって調整することも可能である。
また、発振子12に振幅の大きなチャープ信号を初期に入力すると、所要の周波数以外の誘導波まで同時に励起されてしまう。これを防止するためにチャープ信号の初期信号は低振幅とし、徐々に振幅を大きくしている。
次に、ファンクションジェネレータ11から発生させたチャープ信号を発振子12に入力して薄板1内に誘導波を励起する。チャープ信号は、パルス信号と比較して持続時間が長いため、パルス信号を使用する場合と比較して低電圧で高エネルギーの誘導波を励起することができる。したがって、放電が問題となる可燃性のタンクや輸送配管の検査において有利である。
薄板1に欠陥がある場合には、センサ13への到達時刻が変化したり、振幅が低下したりする。この現象は、誘導波の伝搬速度が板の厚さによって変化することと、欠陥があると誘導波が散乱するためにエネルギーが損失することとに起因している。また、欠陥がある場所を誘導波が伝搬するときに散乱するため、その散乱波が誘導波の到達から遅れてセンサ13で検出される。バースト信号を使用して誘導波を励起した場合にも低電圧で高エネルギーの誘導波を励起でき、また欠陥がある場合には同じような現象が起こるが、同一の周波数の誘導波が励起されるためにセンサ13で検出した信号から欠陥における散乱波の発生や欠陥による誘導波の到達時間の遅延を判定することは難しい。
本発明における欠陥の判定は、センサ13で検出した信号を基にコンピュータ16で行う。コンピュータ16は、センサ13で検出した誘導波の振幅と、欠陥のない場所(健全部)で予め測定しておいた誘導波の振幅とを比較する。また、センサ13で検出した誘導波の時間−周波数解析を実施して拡散波の発生の有無を調査する。これらの情報から薄板1内の欠陥の有無を判定する。
誘導波の到達時刻の変化を検査に使用する従来手法では、発振子12とセンサ13との間の距離を精度良く一定に保つ必要があり、例えば、FRP製のタンクなど、異方性を有する構造物の検査の際には、異方性主軸に対して誘導波を送受信する角度を一定に保って検査する必要があった。本発明では欠陥における散乱波と振幅変化の情報を使用するので発振子とセンサとの間の距離や異方性主軸に対する誘導波の送受信角度が多少変化しても精度良く欠陥を検出することができる。
次に、薄板構造物の欠陥の解析方法について説明をする。
具体例として、図3に示すように、検査対象物に、ロケットの燃料タンクの側壁を模擬した厚さ1mmのCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)に厚さ1mmのアルミニウムライナを密着させた薄板の積層板3を用いる。また、検査対象となる積層板3には模擬欠陥として、CFRP層とアルミニウムライナ層との層間に、人工的に幅10mmの剥離を導入してある。検査装置2は、この剥離4を判定するものとする。
まず、予め薄板構造物内で欠陥がないと判っている健全部において、検査に必要な参照波形を取得する。本例では、剥離のない健全部において誘導波を送受信して参照となる波形を取得し、その最大振幅と周波数毎の到達時刻の情報を記録して以後の検査に使用する。なお、周波数毎の到達時刻の情報はウェーブレット変換により調べる。
積層板3内に存在する剥離4は、発振子12とセンサ13とを積層板3の表面上で走査しながら欠陥を探すが、剥離4と、検査装置2における発振子12とセンサ13との位置関係は、図3に示すように検査区間21〜24の4つの場合に分けることができる。
検査区間21は、図3に示すように、発振子12とセンサ13との間に剥離4がなく健全な場合である。また、検査区間22は、図3に示すように、センサ13の直下に剥離4がある場合である。さらに、検査区間23は、図3に示すように、発振子12とセンサ13との間に剥離4がある場合である。そして、検査区間24は、図3に示すように、発振子12の直下に剥離4がある場合である。
本具体例では、発振子12として、周波数帯域500〜4000kHzの誘導波を励起できる発振子を用いたが、これにファンクションジェネレータ11で発生させた図2に示すような時間とともに周波数成分が線形に高くなる信号を入力して誘導波を励起した。また、誘導波を検出するセンサ13として、周波数帯域500〜4000kHzのセンサを用いる。また、支持部材10は、発振子12とセンサ13との間を一定距離250mmに保つように設けられている。
次に、上述した条件によって4つの検査区間21〜24で誘導波を送受信した結果を図4に示す。
検査区間22,24で検出した信号の最大振幅値(62.5mVと60.6mV)は、図4に示すように、検査区間21(健全部)の検出信号の最大振幅値(406mV)に対して、約85%低下する。また、検査区間23の検出結果の最大振幅値(189mV)は、検査区間21(健全部)の検出信号の最大振幅値(406mV)に対して約53%低下する。
ここで、本発明では発振子12に入力する入力信号として、時間とともに周波数が変化するチャープ信号を用いることを特徴としている。パルス信号を発振子12への入力信号として誘導波を励起する従来の方法の場合、剥離のある検査区間22、24の誘導波の最大振幅は検査区間21(健全部)の最大振幅と比較して約50%しか低下しない。したがって、本発明で提案する手法で励起した誘導波を用いた方が剥離の存在によって大幅に振幅が低下することから、剥離を探すのにより有効であることがわかる。
検査区間22、24に対して、検査区間23における検出信号の最大振幅値の低下幅は小さい。検査対象物(本具体例では積層板3)の表面状態や発振子12、センサ13の検査対象物への設置状態によって剥離のない健全部でも最大振幅が変化することがあるため、検査区間23において剥離の有無の判定する際に、単に検出信号の最大振幅の低下幅を比較することは、十分であるとはいえない。
ここで、本発明では誘導波の励起源としてチャープ信号を用いているが、任意の時刻において発振子12の直下で励起される誘導波の周波数は、その時刻に発振子に入力したチャープ信号の周波数に対応している。本発明では発振子12に周波数成分が時間とともに線形に高くなるチャープ信号を入力しているので、発振子12は周波数成分が時間とともに線形に高くなる誘導波を励起する。
一方、任意の時刻においてセンサ13で検出される誘導波の周波数はその時刻から誘導波の伝搬時間分を差し引いた時刻に発振子12にて励起された誘導波の周波数と一致する。なお、誘導波の伝搬時間は伝搬距離(本具体例では250mm)を誘導波の伝搬速度で除することで得られる。
検査対象区間に剥離が存在しない場合、センサ13には時間とともに周波数が変化する誘導波のみが検出される。一方、検査対象区間に剥離が存在する場合には時間とともに周波数が変化する誘導波に混じって剥離した場所で散乱した誘導波である散乱波が検出される。この散乱波は、欠陥のある場所で回折などを起こして見かけ上の伝搬距離が長くなっているため、主たる誘導波と比較してセンサ13への到達時刻が遅れる性質がある。ただし、この散乱波の振幅は小さく、図4に示すような誘導波の時間と振幅との関係のグラフのみから散乱波の発生の有無を判定することは難しい。
そこで、本発明の手法では、センサ13で検出した誘導波を時間と周波数の成分に分解して散乱波の有無を判定する。すなわち、この解析を行うことによって、発振子12で励起した誘導波と欠陥で散乱した誘導波を分解することができる。本発明では、この解析に時間―周波数解析法の一種であるウェーブレット変換を使用した。図5に検査区間21(健全部)と検査区間23で得られた検出信号のウェーブレット変換結果を等高線表示したものを示す。
また、図6に、検査区間21(健全部)と検査区間23で得られた検出信号のウェーブレット変換結果の等高線に含まれる周波数帯域の時間変化を模式的に線図表示したものを示す。
図5及び図6に示すように、検査区間21における検出信号に対するウェーブレット変換の結果は、時間とともに信号の周波数成分が高周波帯から低周波帯へ推移している。
一方、検査区間23の検出信号は、検査区間21の検出信号と同様に周波数成分が時間とともに高周波数帯域から低周波数帯域へ推移している。しかし、この成分とは別に図5及び図6中の丸で囲んだ時間帯に欠陥によって散乱した散乱波が主たる誘導波から遅れて検出されている。したがって、図5及び図6に示すように、検査区間21と検査区間23との検出信号のウェーブレット変換結果は、振動の発生から所定時間経過後、本具体例では、発振子12が誘導波を励起してから約700μ秒経過後の信号に含まれる周波数成分が互いに大きく異なる。つまり、このような所定時間経過後における周波数成分の差異は、剥離4によって生じたといえる。そこで、ウェーブレット変換した信号の約700μ秒経過後の信号に含まれる周波数成分を剥離の有無の判定指標として用いる。
では、ウェーブレット変換した信号の約700μ秒経過後の信号に含まれる周波数成分と、先に示した誘導波の最大振幅変化に着目して剥離の判定を行うコンピュータに格納されている剥離判定プログラムのフローチャートを図7に示す。
ステップS1において、まず、コンピュータ16は、剥離判定プログラムに記述された命令に従い、A/D変換器15から供給された信号から、最大振幅値を算出し、検査区間21における検出信号の最大振幅値に対して70%以上低下しているか否かを判断する。
なお、この剥離判定プログラムでは、最大振幅値の低下幅70%を判断基準として用いるが、剥離の状態または、構造物の種類によって適切な判定値に変更しなければならないのは勿論である。
検出信号の最大振幅値の低下幅が70%以上であると判断されると、コンピュータ16は、ステップS2において、剥離判定プログラムに記述された命令に従って、発振子12又はセンサ13の直下に剥離があると判断する。
検出信号の最大振幅値の低下幅が70%以内であると判断されると、コンピュータ16は、ステップS3において、剥離判定プログラムに記述された命令に従って、検出信号に対してウェーブレット変換を施す。
検出信号にウェーブレット変換が施されると、コンピュータ16は、ステップS4において、剥離判定プログラムに記述された命令に従ってウェーブレット変換結果の約700μ秒経過後に160kHz付近の周波数帯が所定の閾値を超えて検出されているか判定する。
なお、欠陥における散乱波の発生の有無を判定する際に使用する閾値、また、着目する時間帯及び周波数帯域は、対象とする構造物の種類や検出したい欠陥の種類によって変更する必要がある。
ウェーブレット変換結果の約700μ秒経過後に160kHz付近の周波数帯が所定の値を超えて検出されると、コンピュータ16は、ステップS5において、剥離判定プログラムに記述された命令に従って、発振子12とセンサ13との間に剥離があると判定する。
ウェーブレット変換結果の700μ秒経過後に160kHz付近の周波数帯が所定の値を超えて検出されなければ、コンピュータ16は、ステップS6において、剥離判定プログラムに記述された命令に従って、発振子12とセンサ13との間に剥離がないと判定する。
このように、最大振幅の低下幅の比較だけでなく、ウェーブレット変換結果の周波数解析を行うことで、構造物における剥離の有無の判定をより正確に行うことができる。
また、本発明に係る欠陥検査装置及び方法は、薄板、パイプ状又は棒状の物体に対して、時間とともに周波数が変化するチャープ信号によって誘導波を励起して、その誘導波と誘導波が欠陥を伝搬するときに生じる散乱波を検出し、解析することにより物体の検査を行う。本発明では誘導波を用いるので、発振子とセンサとの間に存在する欠陥を一回の誘導波の送受信で検査することができ、検査時間を大幅に短縮することができる。
本発明で誘導波の励起源として使用するチャープ信号は、パルス信号と比較して持続時間が長いため、低電圧で高エネルギーの誘導波を励起することができる。可燃性のタンクや輸送配管の検査において高電圧の信号を使用すると放電が発生して発火する可能性があるが、その可能性を低減することができる。
また、バースト信号を使用した場合も低電圧で高エネルギーの誘導波を励起できるが、同一の周波数の誘導波が励起されるために欠陥における散乱波の発生や欠陥によって生じる誘導波の到達時刻の遅延を判定することは難しい。本発明ではチャープ信号を誘導波の励起源としているので、時間とともに周波数が変化する誘導波を励起する。したがって、センサで検出した信号の時間と周波数情報とを用いることで、誘導波が欠陥を伝搬するときに生じる散乱波の発生、及び、欠陥による誘導波の到達時刻の遅延を明確に判定することができる。
誘導波の到達時刻の変化を検査に使用する従来手法では、発振子とセンサとの間の距離を精度良く一定に保つ必要があり、また、繊維強化プラスチック(FRP: Fiber Reinforced Plastics)製のタンクなど異方性を有する構造物の検査の際には異方性主軸に対して誘導波を送受信する角度を一定に保って検査する必要がある。本発明では欠陥における散乱波と振幅変化の情報を使用するので発振子−センサ間距離や異方性主軸に対する誘導波の送受信角度が多少変化しても精度良く欠陥を検出することができる。
なお、本具体例では、CFRPとアルミニウムライナーとを密着させた積層板3における剥離の有無についての判定例を示したが、この具体例に限らず、剥離の有無の判定における過程に用いられた最大振幅の減少幅、及びウェーブレット変換された結果の判定に関する各パラメータを変更することで、その他の材質を検査対象物とし、剥離以外の構造物における欠陥の有無を判定することも可能である。
本実施形態は、支持部材10に発振子12とセンサ13とが取り付けられており、発振子12にチャープ信号を入力して励起した誘導波を別の場所にあるセンサ13で検出して、剥離の有無の判定を行うが、図8に示すように、発振子とセンサとの役割を同時に果たす送受信子31を用いて、励起した誘導波が剥離5を伝搬するときに生じる拡散波や反射波を、誘導波を励起した位置と同位置で送受信子31により検出し、剥離の有無の判定を行うこともできる。
さらに、本実施の形態では、薄板の剥離に関する検査例を示したが、薄板のみに限定されるものではなく、図9に示すように、管状構造物6の欠陥検査を行うことも可能である。
他の実施の形態として示す検査装置7における支持部材10は、図10に示すように、その長手方向の両端部に規制孔10a、10bを有している。発振子12の一端部は、孔部が設けられており、規制孔10aを介して、ねじ17によって締結されることにより、支持部材10の一端部に発振子12が取り付けられる。また、発振子12は、その略中央部に軸受けである球体12aが設けられ、その球体12aを、凹球面を有する部材に狭持することにより構成される球座機構19を有する。
同様に、センサ13の一端部は、孔部が設けられており、規制孔10bを介して、ねじ18が用いられて、支持部材10の発振子12が取り付けられていない他端部にセンサ13が取り付けられる。また、センサ13は、その略中央部に軸受けである球体13aが設けられ、その球体13aを、凹球面を有する部材に狭持することにより構成される球座機構20を有する。
このように発振子12とセンサ13とは、それぞれねじ17、18によって、支持部材10の両端部に設けられている規制孔10a、10bに取り付けられているので、発振子12とセンサ13とは、ねじ17、18を軸として回転することができ、さらに、規制孔10a、10bによって規制された範囲内でねじ17、18の位置を移動することができる。よって、検査装置7においては、発振子12とセンサ13との距離を変化させることができ、球座機構19、20により曲面状の試験体面でも設置することができる。
また、発振子12とセンサ13とは、その中央部に球体12a、13aの軸受けを有しているので、曲面に発振子12とセンサ13とを設置することができ、管状構造物6の欠陥検査を行うことができ、さらに凹凸状の試験体面でも、発振子12とセンサ13を容易に設置することができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々に変更することができることは勿論である。
本発明が適用された検査装置のブロック図である。 検査装置の発振子に提供される入力信号を示す図である。 検査装置による薄板構造物内に生じた剥離の検査具体例を示した図である。 センサから出力された検出信号を示す図である。 センサから出力された検出信号に対してウェーブレット変換を施して得られたウェーブレット係数の等高線図である。 センサから出力された検出信号に対してウェーブレット変換を施して得られたウェーブレット係数の等高線を模式的に示した線図である。 剥離判定プログラムのフローチャートである。 検査装置による薄板構造物内に生じた欠陥の検査具体例を示した図である。 検査装置による管状構造物内に生じた欠陥の検査具体例を示した図である。 検査装置による管状構造物内に生じた欠陥の検査具体例を示した図である。
符号の説明
1、3 薄板、2、7 検査装置、4、5 剥離箇所、6 管状構造物、10 支持部材、11 ファンクションジェネレータ、12 発振子、13 センサ、14 アンプ、15 A/D変換器、16 コンピュータ、17、18 ねじ、19、20 球座機構、21、22、23、24 検査区間、31 送受信子

Claims (6)

  1. 薄板、パイプ状又は棒状の物体内の欠陥を検査する欠陥検査装置において、
    時間とともに周波数が変化するチャープ信号を発生する信号発生器と、
    上記物体の表面に当接され、上記信号発生器が発生する上記チャープ信号によって誘導波を上記物体に励起する発振子と、
    上記物体の表面に当接され、上記物体の誘導波と上記誘導波が欠陥を伝搬するときに生じる散乱波とを検出するセンサと、
    上記センサの検出信号を解析する解析部とを備え、
    上記センサは、上記発振子により励起された上記チャープ信号に応じた誘導波と上記誘導波が欠陥を伝搬するときに生じた散乱波とを検出し、
    上記解析部は、上記センサで検出された上記誘導波と上記散乱波の検出信号を解析することにより物体内の欠陥を検査すること
    を特徴とする欠陥検査装置。
  2. 上記解析部は、
    上記発振子で励起した上記誘導波の振幅を、上記物体の欠陥がない部分である健全部で予め検出しておいた誘導波の振幅と比較し、上記振幅が閾値を超えて変化している場合には、上記発振子又は上記センサの直下、若しくは上記発振子と上記センサとの両方の直下に欠陥が存在すると判定すること
    を特徴とする請求項1記載の欠陥検査装置。
  3. 上記解析部は、
    上記センサにより検出された検出信号をウェーブレット変換し、検出時刻が遅延して到達する上記散乱波が含まれているか否かを判定し、上記散乱波が含まれている場合には上記発振子と上記センサとの間に欠陥が存在すると判定すること
    を特徴とする請求項2記載の欠陥検査装置。
  4. 薄板、パイプ状又は棒状の物体内の欠陥を検査する欠陥検査方法において、
    当該物体の表面に誘導波を励起する発振子と、当該物体を伝搬する誘導波を検出するセンサとを上記物体の表面に当接し、
    時間とともに周波数が変化するチャープ信号によって誘導波を上記発振子により上記物体の表面に励起し、
    上記発振子により励起された誘導波と上記誘導波が欠陥を伝搬するときに生じる散乱波とを検出し、
    上記センサで検出された上記誘導波と上記散乱波の検出信号を解析することにより物体内の欠陥を検査すること
    を特徴とする欠陥検査方法。
  5. 上記発振子で励起した上記誘導波の振幅を、上記物体の欠陥がない部分である健全部で予め検出しておいた誘導波の振幅と比較し、上記振幅が閾値を超えて変化している場合には、上記発振子又は上記センサの直下、若しくは上記発振子と上記センサとの両方の直下に欠陥が存在すると判別すること
    を特徴とする請求項4記載の欠陥検査方法。
  6. 上記センサにより検出した検出信号をウェーブレット変換し、検出時刻が遅延して到達する上記散乱波が含まれているか否かを判定し、上記散乱波が含まれている場合には上記発振子と上記センサとの間に欠陥が存在すると判定すること
    を特徴とする請求項5記載の欠陥検査方法。
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