JPH11218257A - 電磁弁及びその電磁弁を備えたブレーキ制御装置 - Google Patents

電磁弁及びその電磁弁を備えたブレーキ制御装置

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JPH11218257A
JPH11218257A JP2007498A JP2007498A JPH11218257A JP H11218257 A JPH11218257 A JP H11218257A JP 2007498 A JP2007498 A JP 2007498A JP 2007498 A JP2007498 A JP 2007498A JP H11218257 A JPH11218257 A JP H11218257A
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auxiliary
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JP2007498A
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Inventor
Masahiko Kamiya
雅彦 神谷
Yozo Mashima
要三 間嶋
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Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型で簡素な構成で、ブレーキ液圧が加わっ
た場合でも確実に全開状態を実現できる電磁弁及びその
電磁弁を採用したブレーキ制御装置を提供すること。 【解決手段】 主弁体52を有し大流量を連通・遮断可
能な主弁53と、補助弁体67を有し小流量を連通・遮
断可能な補助弁72と、プランジャ61に電磁力を付与
して移動させるソレノイド40とを備えた電磁弁(SR
弁)28において、ソレノイド40によって、プランジ
ャ61を初期ストロークs移動させて、自身の空ストロ
ークを吸収した後に、プランジャ61を中期ストローク
(h−s)移動させることにより、補助弁体67を移動
させて補助弁72を開弁させ、その後プランジャ61を
後期ストローク(l−h)移動させることにより、主弁
体52を移動させて主弁53を開弁させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばブレーキ装
置等に使用される電磁弁、及びその電磁弁をブレーキ液
圧の調節を行なう液圧制御弁として採用したブレーキ制
御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、トラクション制御や旋回トレ
ース制御(車両ヨーコントロール)を行うブレーキ制御
装置には、マスタリンダからポンプに至る管路を開閉し
てホイールシリンダ圧を調節するために、液圧制御弁と
して、電磁弁であるSR弁が設けられている。このSR
弁は、図19に示す様に、弁体1001をスプリング1
002により矢印A方向に付勢してその管路を閉ざすも
のである。
【0003】ところが、この構造のSR弁では、ブレー
キペダル1003が踏まれてマスタシリンダ1004側
の液圧(マスタシリンダ圧)が高くなる場合には、マス
タシリンダ圧が閉弁方向(矢印A方向)に働くので、ソ
レノイド1005に通電しても、ソレノイド1005の
電磁力によって発生する矢印B方向の吸引力が不足し
て、開弁できないことがある。
【0004】そのため、このSR弁を、例えばパワーア
シストブレーキ制御(PAB制御)を行う装置、即ちブ
レーキペダル1003を踏み込んだ場合に、ポンプ10
06を作動させて、ホイールシリンダ圧を通常より上げ
て制動力を向上させる加圧制御を行う装置に、そのまま
用いると、好適に加圧制御を行うことができないことが
ある。
【0005】この対策として、ソレノイドの体格を上げ
る方法も考えられるが、そうするとSR弁が大型化して
しまうので、例えば主弁と補助弁を用いたSR弁が提案
されている。これは、ソレノイドへの通電により補助通
路の開閉動作を行なう磁性体の補助弁体を備え、補助弁
体に加わるバネ力及び液圧に応じて補助通路を開き(補
助弁を開弁させ)、それにより、非磁性体の主弁体に加
わる差圧を低減した上で、バネ力により主弁体を移動さ
せて主通路を開く(主弁を開弁させる)ものである(特
開平9−60756号公報参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな小型化を実現する構造の主弁と補助弁を備えたSR
弁でも、必ずしも十分ではない。つまり、近年では、一
つのブレーキ制御装置にて、例えば通常のブレーキ操作
やアンチスキッド制御だけでなく、トラクション制御、
旋回トレース制御(車両ヨーコントロール)に加えて、
パワーアシストブレーキ制御等の様に、ポンプによりブ
レーキ液圧を高めることが必要な各種の制御が行われる
が、上述した従来の補助弁及び主弁を備えたSR弁で
も、小型化に伴うソレノイドの吸引力及びバネ力の不足
等により、確実に全開状態を実現できない場合があり、
それによる問題が生じることがあった。
【0007】具体的には、前記ポンプとして、ブレーキ
液圧の脈動が少ない例えばギヤポンプやベーンポンプ等
の連続ポンプの使用が考えられるが、小型化に伴う吸引
力の不足等により、例えばブレーキペダルが踏まれてブ
レーキ液圧が上昇した状態で、ポンプを作動させた場合
に、(SR弁を全開状態とすべきときに)SR弁が確実
に全開状態とならない場合には、その全開状態とならな
い部分(ポンプの吸入側)にて負圧が増大してキャビテ
ーションが発生し、騒音等が発生する可能性がある。
【0008】また、SR弁に、全開状態を確実に実現す
るための複雑な動作を行う構成を加えた場合には、複雑
な構造では、装置が大型化するとともに、コストが上昇
するので好ましくない。更に、ソレノドイの体格を大き
くする方法では、上述した様に、SR弁の小型化を実現
できない。
【0009】本発明は、前記課題を解決するためになさ
れたものであり、小型で簡素な構成で、ブレーキ液圧が
加わった場合でも確実に全開状態を実現できる電磁弁及
びその電磁弁を採用したブレーキ制御装置を提供するこ
とを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めになされた請求項1の発明は、主弁体を有し、大流量
を連通・遮断可能な主弁と、補助弁体を有し、小流量を
連通・遮断可能な補助弁と、移動部材(例えば磁性体か
らなるプランジャ)に電磁力を付与して移動させる電磁
力付与手段(例えばソレノイド)と、を備えた電磁弁に
おいて、電磁力付与手段によって、移動部材を初期スト
ローク移動させて、自身の空ストロークを吸収した後
に、移動部材を中期ストローク移動させることにより、
補助弁体を直接又は間接的に移動させて補助弁を開弁さ
せ、その後移動部材を後期ストローク移動させることに
より、主弁体を直接又は間接的に移動させて主弁を開弁
させる構成を備えたことを特徴とする電磁弁を要旨とす
る。
【0011】本発明では、電磁力付与手段により、移動
部材に電磁力(吸引力)を作用させ、移動部材を、初期
ストローク、中期ストローク、後期ストロークと、順次
移動させることにより、電磁弁の全開状態を確実に実現
する。以下、その原理・作用を説明する。
【0012】前記電磁力付与手段の電磁力により、移動
部材が、初期ストローク、中期ストローク、後期ストロ
ークと移動するにしたがって、電磁力付与手段と移動部
材との間隔が小さくなるので、移動部材を移動させる力
(吸引力)は、徐々に増大する。
【0013】そして、初期ストロークでは、電磁力付与
手段と移動部材との距離が大きく、よって弱い吸引力し
か発揮できない状態であるが、本発明では、この初期ス
トロークとは、補助弁体や主弁体を移動させずに移動部
材を移動させる構成(移動部材の空ストローク)である
ので、弱い吸引力であっても、容易に移動部材を移動さ
せることができる。
【0014】前記初期ストロークの動作により、電磁力
付与手段と移動部材との距離が狭まって、やや大きな吸
引力を発揮できる状態となっている。よって、次に、中
期ストロークでは、更に移動部材を移動させることによ
り、補助弁体を直接又は間接的に移動させて補助弁を開
弁させることができる。つまり、補助弁体を移動させる
には、やや大きな力が必要であるが、中期ストロークに
おけるやや大きな吸引力により、補助弁体を移動させ
て、容易に補助弁を開くことができる。
【0015】前記中期ストロークの動作により、電磁力
付与手段と移動部材との距離が更に狭まって、一層大き
な吸引力を発揮できる状態となっている。よって、次
に、後期ストロークでは、更に移動部材を移動させるこ
とにより、主弁体を直接又は間接的に移動させて主弁を
開弁させることができる。つまり、主弁体を移動させる
には、補助弁体を移動させるより一層大きな力が必要で
あるが、後期ストロークにおける一層大きな吸引力によ
り、主弁体を移動させて、容易に主弁を開くことができ
る。
【0016】この様に本実施例では、前記の様に各スト
ロークにおける動作が設定されているので、電磁力付与
手段を作動させることによって、十分な吸引力により、
補助弁を開弁させてから、確実に主弁を開弁して全開状
態を実現できる。特に本発明では、最初に移動部材を空
ストローク移動させる構成であるので、たとえ、ブレー
キペダルの踏込により、電磁弁を閉弁方向に付勢するブ
レーキ液圧が増加した場合でも、全てのストロークにお
ける移動部材に対する吸引力を十分に確保することがで
き、この点からも、開弁動作を確実に行うことができ
る。
【0017】また、上述した構成により、電磁弁の小型
化に伴い、例えばソレノイドが小型化し、それによって
ソレノイドの吸引力が低減した場合でも、確実に全開状
態を実現できる。その結果、全開状態とならない部分
(ポンプの吸入側)にて負圧が増大してキャビテーショ
ンが発生し、騒音等が発生することがない。
【0018】更に、簡素な構造で、全開状態を確実に実
現できるので、製造が簡易化され、コストも低減できる
という利点がある。請求項2の発明では、各ストローク
において、電磁力付与手段による開弁方向の付勢力が、
該付勢力に対抗する閉弁方向の付勢力を上回るように、
主弁体を付勢する付勢力(例えば補助スプリングによる
開弁方向の付勢力)、補助弁体を付勢する付勢力(例え
ばリターンスプリングによる閉弁方向の付勢力)、電磁
力付与手段による付勢力、主弁における差圧によって発
生する液圧力(例えば主弁の差圧ΔPb×主弁のシート
面積A1の閉弁方向の付勢力)、補助弁における差圧に
よって発生する液圧力(例えば補助弁の差圧ΔPa×補
助弁のシート面積A2の閉弁方向の付勢力)を設定す
る。
【0019】本発明では、例えば図4に示す様に、初期
ストロークにおいて、ソレノイドの吸引力Fcoilが、リ
ターンスプリングの付勢力Fsp1+補助スプリングの付
勢力Fsp2を上回る様に設定する。また、中期ストロー
クにおいて、ソレノイドの吸引力Fcoilが、リターンス
プリングの付勢力Fsp1+補助スプリングの付勢力Fsp2
+補助弁に作用する液圧力(油圧力)A2・ΔPaを上
回る様に設定する。
【0020】更に、後期ストロークにおいて、ソレノイ
ドの吸引力Fcoilが、リターンスプリングの付勢力Fsp
1+主弁に作用する液圧力(油圧力)A1・ΔPbを上
回る様に設定する。つまり、本発明では、各ストローク
において、電磁力付与手段による開弁方向の付勢力が、
該付勢力に対抗する閉弁方向の付勢力を上回るように、
各力の関係等を設定するので、電磁力付与手段を作動さ
せることによって、十分な吸引力により、補助弁を開弁
させてから、確実に主弁を開弁して全開状態を実現でき
る。
【0021】請求項3では、管路の流路を絞る絞り連通
路を備え、所定方向に移動して、管路を連通する主連通
路を絞り連通路を除いて開閉可能な主弁体を備えた主弁
と、主弁の移動方向である所定方向に移動し、主弁体の
絞り連通路を開閉可能な補助弁体を備えた補助弁と、主
弁体を主連通路を開く方向に付勢する主弁体付勢手段
(例えば補助スプリング)と、補助弁体を、可動部材を
介して絞り連通路を閉じる方向に付勢する補助弁体付勢
手段(例えばリターンスプリング)と、補助弁体付勢手
段の付勢力及び補助弁における差圧によって発生する液
圧力に抗して、補助弁体を絞り連通路を開く方向に付勢
し、補助弁体付勢手段の付勢力及び主弁における差圧に
よって発生する液圧力に抗して、主弁体を主連通路を開
く方向に付勢する電磁力を、移動部材(例えばプランジ
ャ)に付与する電磁力付与手段(例えばソレノイド)
と、を備え、電磁力付与手段によって、移動部材を初期
ストローク移動させた後に、移動部材により補助弁体を
中期ストローク移動させ、その後移動部材により主弁体
を後期ストローク移動させる構成を備えている。
【0022】本発明では、電磁力付与手段により、移動
部材に電磁力(吸引力)を付与することにより、補助弁
体付勢手段の付勢力に抗して、移動部材を初期ストロー
ク移動させる。その後、更に補助弁体付勢手段の付勢力
及び補助弁における差圧によって発生する付勢力に抗し
て、移動部材により補助弁体を中期ストローク移動させ
る。その後、更に補助弁体付勢手段の付勢力及び主弁に
おける差圧によって発生する付勢力に抗して、移動部材
により主弁体を後期ストローク移動させる。
【0023】この様に、本発明では、電磁力付与手段を
作動させることによって、十分な吸引力により、補助弁
を開弁させてから、確実に主弁を開弁して全開状態を実
現できる。請求項4の発明では、移動部材(例えばプラ
ンジャ)と一体の係止部材が、主弁体を係止して開弁方
向に移動させる構成を有する。
【0024】本発明は、前記請求項3の発明を例示した
ものであり、本発明では、移動部材と係止部材とが一体
であるので、例えばソレノイドに通電して、例えばプラ
ンジャを移動させると、係止部材も同時に移動するの
で、この係止部材が主弁体を係止して移動させることに
より、主弁を開弁させることができる。
【0025】請求項5の発明では、電磁弁の全閉状態に
おいて、移動部材の移動可能距離lと、空ストローク
(初期ストローク)sと、係止部材が主弁体に係止する
までの距離hとを、l>h>sの関係に設定する。本発
明は、前記各部材間の距離を設定したものであり、これ
により、各ストロークにおける移動を可能にして、確実
に全開状態を実現できる。
【0026】請求項6の発明では、主弁体付勢手段(例
えば補助スプリング)は、移動部材と一体の係止部材に
係止して、主弁体を開弁方向に付勢する。本発明は、前
記請求項4又は5の発明を例示したものであり、本発明
では、例えば補助スプリングは、移動部材と一体の係止
部材に係止して、主弁体を開弁方向に付勢する。そのた
め、移動部材の移動にともない、(圧縮により)付勢力
が増大した補助スプリングによって、主弁を大きく開く
ことができる。
【0027】請求項7の発明は、管路の流路を絞る絞り
連通路を備え、所定方向に移動して、管路を連通する主
連通路を絞り連通路を除いて開閉可能な主弁体を備えた
主弁と、主弁の移動方向である所定方向に移動し、主弁
体の絞り連通路を開閉可能な補助弁体を備えた補助弁
と、主弁体を主連通路を開く方向に付勢する主弁体付勢
手段(例えば補助スプリング)と、補助弁体を、可動部
材(例えばプランジャ)を介して絞り連通路を閉じる方
向に付勢する補助弁体付勢手段(例えばリターンスプリ
ング)と、補助弁体付勢手段の付勢力及び補助弁におけ
る差圧によって発生する液圧力に抗して、補助弁体を絞
り連通路を開く方向に付勢し、補助弁体付勢手段の付勢
力及び主弁における差圧によって発生する液圧力に抗し
て、主弁体を主連通路を開く方向に付勢する電磁力を、
移動部材に付与する電磁力付与手段(例えばソレノイ
ド)と、を備え、電磁力付与手段により、移動部材を初
期ストローク移動させた後に、移動部材により補助弁体
を中期ストローク移動させ、その後補助弁体により主弁
体を後期ストローク移動させる構成を備えている。
【0028】本発明では、電磁力付与手段により、移動
部材に電磁力(吸引力)を付与することにより、補助弁
体付勢手段の付勢力に抗して、移動部材を初期ストロー
ク移動させる。その後、更に補助弁体付勢手段の付勢力
及び補助弁における差圧によって発生する付勢力に抗し
て、移動部材により補助弁体を中期ストローク移動させ
る。その後、更に補助弁体付勢手段の付勢力及び主弁に
おける差圧によって発生する付勢力に抗して、補助弁体
により主弁体を後期ストローク移動させる。
【0029】この様に、本発明では、電磁力付与手段を
作動させることによって、十分な吸引力により、補助弁
を開弁させてから、確実に主弁を開弁して全開状態を実
現できる。本発明は、前記請求項3の発明の様に、移動
部材により主弁を開弁するものではなく、補助弁体によ
り主弁を開弁するものである。これによって、同様な効
果を奏する。
【0030】請求項8の発明では、補助弁体が、主弁体
と一体の係止部材に係止して、主弁体を移動させて開弁
させる構成を有する。本発明は、前記請求項7の発明を
例示したものであり、本発明では、主弁体と係止部材と
が一体であるので、例えばソレノイドに通電して、補助
弁体を移動させて係止部材に係止させ、これによって主
弁体も移動させて、主弁を開弁させることができる。
【0031】請求項9の発明では、電磁弁の全閉状態に
おいて、移動部材の移動可能距離lと、空ストローク
(初期ストローク)sと、補助弁体が主弁体の係止部材
に係止するまでの距離hとを、l>h>sの関係に設定
する。本発明は、前記各部材間の距離を設定したもので
あり、これにより、各ストロークにおける移動を可能に
して、確実に全開状態を実現できる。
【0032】請求項10の発明では、移動部材が、主弁
体と一体の係止部材に係止して、主弁体を移動させて開
弁させる構成を有する。本発明は、前記請求項3の発明
を例示したものであり、本発明では、主弁体と係止部材
とが一体であるので、例えばソレノイドに通電して、移
動部材を移動させて係止部材に係止させ、これによって
主弁体も移動させて、主弁を開弁させることができる。
【0033】請求項11の発明では、電磁弁の全閉状態
において、移動部材の移動可能距離lと、空ストローク
(初期ストローク)sと、移動部材が主弁体の係止部材
に係止するまでの距離hとを、l>h>sの関係に設定
する。本発明は、前記各部材間の距離を設定したもので
あり、これにより、各ストロークにおける移動を可能に
して、確実に全開状態を実現できる。
【0034】請求項12の発明は、主弁体を有し、大流
量を連通・遮断可能な主弁と、補助弁体を有し、小流量
を連通・遮断可能な補助弁と、補助弁体に電磁力を付与
して移動させる電磁力付与手段(例えばソレノイド)
と、を備えた電磁弁において、電磁力付与手段による電
磁力の付与によって、補助弁体の第1ストロークの移動
により、補助弁を開弁させ、その後補助弁体の第2スト
ロークの移動により、主弁体を直接又は間接的に移動さ
せて主弁を開弁させる構成を備えたことを特徴とする電
磁弁を要旨とする。
【0035】本発明では、前記請求項1の発明の初期ス
トローク(空ストローク)を有しておらず、中期ストロ
ークに相当する第1ストロークと後期ストロークに相当
する第2ストロークを有している。従って、本発明で
は、電磁力付与手段により、補助弁体に電磁力(吸引
力)を作用させ、補助弁体を第1,第2ストロークと順
次移動させる。この第1,第2ストロークと移動するに
従って、電磁力付与手段と補助弁体との間隔が小さくな
るので、補助弁体を移動させる力(吸引力)も、順次増
大する。
【0036】よって、第1ストロークでは、弱い力で移
動可能な補助弁体を弱い吸引力で移動させることができ
る。次に、第2ストロークでは、前記第1ストロークよ
り(電磁力付与手段と補助弁体との距離が狭まって)大
きな吸引力となるので、更なる補助弁体の移動により、
主弁体を直接又は間接的に移動させて主弁を開弁させる
ことができる。つまり、主弁体を移動させるには、補助
弁体を移動させるより大きな力が必要であるが、第2ス
トロークにおける大きな吸引力により、主弁体を移動さ
せて、容易に主弁を開くことができる。
【0037】この様に本実施例では、前記の様に各スト
ロークにおける動作が設定されているので、電磁力付与
手段を作動させることによって、十分な吸引力により、
補助弁を開弁させてから、確実に主弁を開弁して全開状
態を実現できる。特に本発明では、可動部材を使用せず
に、補助弁体に直接に電磁力を作用させる構成であるの
で、前記請求項1と同様な効果を奏するとともに、弁構
造を一層簡易化できるという利点がある。
【0038】請求項13の発明では、各ストロークにお
いて、電磁力付与手段による開弁方向の付勢力が、該付
勢力に対抗する閉弁方向の付勢力を上回るように、主弁
体を付勢する付勢力(例えば補助スプリングによる開弁
方向の付勢力)、補助弁体を付勢する付勢力(例えばリ
ターンスプリングによる閉弁方向の付勢力)、電磁力付
与手段による付勢力、主弁における差圧によって発生す
る液圧力(例えば主弁の差圧ΔPb×主弁のシート面積
A1の閉弁方向の付勢力)、補助弁における差圧によっ
て発生する液圧力(例えば補助弁の差圧ΔPa×補助弁
のシート面積A2における閉弁方向の付勢力)を設定す
る。
【0039】本発明では、例えば図13に示す様に、第
1ストロークにおいて、ソレノイドの吸引力Fcoilが、
リターンスプリングの付勢力Fsp1+補助弁に作用する
液圧力(油圧力)A2・ΔPaを上回る様に設定する。
更に、第2ストロークにおいて、ソレノイドの吸引力F
coilが、リターンスプリングの付勢力Fsp1−補助スプ
リングの付勢力Fsp2+主弁に作用する液圧力(油圧
力)A1・ΔPbを上回る様に設定する。
【0040】つまり、本発明では、各ストロークにおい
て、電磁力付与手段による開弁方向の付勢力が、該付勢
力に対抗する閉弁方向の付勢力を上回るように、各力の
関係等を設定するので、電磁力付与手段を作動させるこ
とによって、十分な吸引力により、補助弁を開弁させて
から、確実に主弁を開弁して全開状態を実現できる。
【0041】請求項14の発明は、管路の流路を絞る絞
り連通路を備え、所定方向に移動して、管路を連通する
主連通路を絞り連通路を除いて開閉可能な主弁体を備え
た主弁と、主弁の移動方向である所定方向に移動し、主
弁体の絞り連通路を開閉可能な補助弁体を備えた補助弁
と、主弁体を主連通路を開く方向に付勢する主弁体付勢
手段(例えば補助スプリング)と、補助弁体を、絞り連
通路を閉じる方向に付勢する補助弁体付勢手段(例えば
リターンスプリング)と、補助弁体付勢手段の付勢力及
び補助弁における差圧によって発生する液圧力に抗し
て、補助弁体を絞り連通路を開く方向に付勢し、補助弁
体付勢手段の付勢力及び主弁における差圧によって発生
する液圧力に抗して、主弁体を主連通路を開く方向に付
勢する電磁力を、補助弁体に付与する電磁力付与手段
(例えばソレノイド)と、を備え、電磁力付与手段によ
り、補助弁体を第1ストローク移動させ、その後補助弁
体により主弁体を第2ストローク移動させる構成を備え
ている。
【0042】本発明では、電磁力付与手段により、補助
弁体に電磁力(吸引力)を付与することにより、補助弁
体付勢手段の付勢力及び補助弁における差圧によって発
生する付勢力に抗して、補助弁体を第1ストローク開弁
方向に移動させる。その後、更に補助弁体付勢手段の付
勢力及び主弁における差圧によって発生する付勢力に抗
して、補助弁体により主弁体を第2ストローク開弁方向
に移動させる。
【0043】この様に、本発明では、電磁力付与手段を
作動させることによって、十分な吸引力により、補助弁
を開弁させてから、確実に主弁を開弁して全開状態を実
現できる。請求項15の発明では、各ストロークにおい
て、電磁力付与手段による開弁方向の付勢力が、該付勢
力に対抗する閉弁方向の付勢力を上回るように、補助弁
体を付勢する付勢力(例えばリターンスプリングによる
閉弁方向の付勢力)、電磁力付与手段による付勢力、主
弁に加わる差圧によって発生する液圧力(例えば主弁の
差圧ΔPb×主弁のシート面積A1の閉弁方向の付勢
力)、補助弁に加わる差圧によって発生する液圧力(例
えば補助弁の差圧ΔPa×補助弁のシート面積A2の閉
弁方向の付勢力)を設定する。
【0044】本発明では、主弁体付勢手段を備えていな
いので、例えば図15に示す様に、第1ストロークにお
いて、ソレノイドの吸引力Fcoilが、リターンスプリン
グの付勢力Fsp1+補助弁に作用する液圧力(油圧力)
A2・ΔPaを上回る様に設定する。
【0045】更に、第2ストロークにおいて、ソレノイ
ドの吸引力Fcoilが、リターンスプリングの付勢力Fsp
1+主弁に作用する液圧力(油圧力)A1・ΔPbを上
回る様に設定する。つまり、本発明では、主弁体付勢手
段を備えていないが、各ストロークにおいて、電磁力付
与手段による付勢力が、該付勢力に対抗する付勢力を上
回るように、各力の関係等を設定するので、電磁力付与
手段を作動させることによって、十分な吸引力により、
補助弁を開弁させてから、確実に主弁を開弁して全開状
態を実現できる。
【0046】請求項16の発明は、管路の流路を絞る絞
り連通路を備え、所定方向に移動して、管路を連通する
主連通路を絞り連通路を除いて開閉可能な主弁体を備え
た主弁と、主弁の移動方向である所定方向に移動し、主
弁体の絞り連通路を開閉可能な補助弁体を備えた補助弁
と、補助弁体を、絞り連通路を閉じる方向に付勢する補
助弁体付勢手段(例えばリターンスプリング)と、補助
弁体付勢手段の付勢力及び補助弁における差圧によって
発生する液圧力に抗して、補助弁体を絞り連通路を開く
方向に付勢し、補助弁体付勢手段の付勢力及び主弁にお
ける差圧によって発生する液圧力に抗して、主弁体を主
連通路を開く方向に付勢する電磁力を、補助弁体に付与
する電磁力付与手段(例えばソレノイド)と、を備え、
電磁力付与手段により、補助弁体を第1ストローク移動
させ、その後補助弁体により主弁体を第2ストローク移
動させる構成を備えている。
【0047】本発明は、前記請求項14の発明とは、主
弁体付勢手段(例えば補助スプリング)を備えていない
点が異なるが、他は同様である。従って、主弁体の上下
方向の位置が多少安定しないかも知れないが、前記請求
項14の発明とほぼ同様な作用効果を奏する。尚、主弁
体付勢手段が無くて済むので、構成が簡易化されるとい
う利点がある。
【0048】請求項17の発明では、補助弁体が、主弁
体と一体の係止部材に係止して、主弁体を移動させて開
弁させる構成を有する。本発明は、前記請求項12〜1
6の発明を例示したものであり、本発明では、主弁体と
係止部材とが一体であるので、例えばソレノイドに通電
して、例えば補助弁体を移動させて係止部材に係止して
移動させると、同時に主弁体も移動させて、主弁を開弁
させることができる。
【0049】請求項18の発明では、電磁弁の全閉状態
において、移動部材の移動可能距離lと、補助弁体が主
弁体の係止部材に係止するまでの距離hとを、l>hの
関係に設定する。本発明は、前記各部材間の距離を設定
したものであり、これにより、各ストロークにおける移
動を可能にして、確実に全開状態を実現できる。
【0050】請求項19の発明は、管路の流路を絞る第
1絞り連通路を備え、所定方向に移動して、管路を連通
する主連通路を第1絞り連通路を除いて開閉可能な主弁
体を備えた主弁と、主弁の移動方向である所定方向に移
動し、主弁体の第1絞り連通路を開閉可能な補助弁体を
備えた補助弁と、主弁体を主連通路を開く方向に付勢す
る主弁体付勢手段(例えば補助スプリング)と、補助弁
体を、第1絞り連通路を閉じる方向に付勢する補助弁体
付勢手段(例えばリターンスプリング)と、補助弁体付
勢手段の付勢力に抗して、補助弁体を第1絞り連通路を
開く方向に付勢する電磁力を、補助弁体に付与する電磁
力付与手段(例えばソレノイド)と、を備え、第1絞り
連通路とは別に、主弁体の閉弁方向への液圧による付勢
力を低減するような第2絞り連通路を設けたことを特徴
とする電磁弁を要旨とする。
【0051】本発明では、補助弁体の第1絞り連通路で
はなく、それとは別に第2絞り連通路を備えている。従
って、例えばブレーキペダルの踏込により、主弁体を閉
弁方向に付勢する液圧が増大した場合でも、第2絞り連
通路を介して液圧が導入されることにより、主弁体の閉
弁方向への液圧による付勢力を低減することが可能であ
る。それによって、主弁体付勢手段により主弁体を開弁
方向に移動させて、主弁を開弁させることができる。本
発明においても、前記請求項1と同様な効果を奏すると
ともに、複雑な構成を有しないので、一層構成を簡易化
できるという利点がある。
【0052】尚、第2絞り連通路以外に、同様な機能を
有する絞り連通路を設けてもよい。請求項20の発明で
は、第1絞り連通路は、補助弁体側とポンプ側とを主連
通路を介して連通し、第2絞り連通路は、補助弁体側と
ブレーキ液圧発生手段(例えばマスタシリンダ)側とを
連通する。
【0053】本発明では、第1絞り連通路は、補助弁体
側とポンプ側(詳しくは吸入側)とを連通しているの
で、補助弁が開弁状態の場合に、ポンプを作動させる
と、主弁体を閉弁方向に付勢する液圧が発生する。とこ
ろが、第2絞り連通路は、補助弁体側とブレーキ液圧発
生手段側とを連通しているので、流れにより発生する逆
方向の差圧によって前記主弁体の閉弁方向の付勢力を低
減することができる。それによって、主弁体付勢手段に
より主弁体を開弁方向に移動させて、主弁を開弁させる
ことができる。
【0054】請求項21の発明では、主弁体に液圧によ
る作用力が加わる場合に、主弁体に加わる液圧による閉
弁方向の付勢力と、主弁体に加わる液圧による開弁方向
の付勢力とが、ほぼ同じ又はわずかに開弁方向の付勢力
が大であるように、第1絞り連通路及び第2絞り連通路
の各絞り特性と、主弁体の受圧面積とを設定する。
【0055】ここで、絞り特性とは、例えば各絞り連通
路の流量(従って例えばポンプ流量)と各絞り連通路に
おける差圧との関係を示す特性である。例えば図17に
示す様に、下記式(1)又は(2)が成り立つ様に、各
値を設定する。
【0056】 ΔP1・A1=約ΔP2・(A3−A1) …(1) ΔP1・A1<ΔP2・(A3−A1) ;(但し、若干程度)…(2) 但し、ΔP1;第1絞り連通路における差圧ΔP2;第2
絞り連通路における差圧A1 ;主弁のシート面積A3
;主弁体の大径部の受圧面積これにより、例えばポン
プ等を作動させ、且つ補助弁を開いた場合には、主弁体
に加わる液圧による開弁方向及び閉弁方向の力がバラン
スするので、主弁体付勢手段による弱い付勢力によって
も、主弁体を開弁方向に移動させて、確実に主弁を全開
状態とすることができる。
【0057】請求項22の発明は、第1絞り連通路にお
ける差圧が、第2絞り連通路における差圧より大である
ように設定する。本発明は、前記請求項21の発明を例
示したものであり、例えば図17に示す様に、ポンプの
使用範囲において、第1絞り連通路における差圧ΔP1
が、第2絞り連通路における差圧ΔP2より大であるよ
うに設定する。
【0058】請求項23の発明では、主弁体が、その先
端が主連通路に着座する凸状の部材であり、第2絞り連
通路が、主弁体の大径部を軸方向に貫く連通路であり、
且つ大径部の外側壁の径方向には大径部を液密するシー
ル部材が配置されている。本発明は、第2絞り連通路と
シール部材との位置を例示したものであり、第2絞り連
通路を、主弁体の大径部を軸方向に貫くように形成した
場合には、大径部の外側壁には大径部を環状に液密する
シール部材を配置して、主弁体をその移動方向に液密
(油密)することができる。
【0059】これにより、前記式(1)又は(2)の設
定を確実に行なうことができるので確実な開弁動作を実
現できる。請求項24の発明では、主弁体が、その先端
が主連通路に着座する凸状の部材であり、第2絞り連通
路が、主弁体の大径部の外側壁と外側部材との間に形成
された環状すきまである。
【0060】請求項25の発明では、主弁体が、その先
端が主連通路に着座する凸状の部材であり、第2絞り連
通路が、主弁体の大径部の外側壁にて軸方向に設けられ
た溝である。前記請求項24,25の発明は、第2絞り
連通路の形成位置を例示したものであり、第2絞り連通
路を、主弁体の大径部の外側壁側に形成した場合には、
前記シール部材を省略できる。よって、その電磁弁の製
造を簡易化できるとともに、主弁体の摺動抵抗を低減で
きるので、電磁弁を小型化することができる。
【0061】請求項26の発明では、電磁弁は、車両制
動時にブレーキ液圧を発生するブレーキ液圧発生手段
(例えばマスタシリンダ)と、車両制動時に車輪制動力
を発生する車輪制動力発生手段(例えばホイールシリン
ダ)側にブレーキ液を供給するポンプの吸入側と、の間
の管路に配置される液圧制御弁であり、主弁が閉弁する
方向への液圧は、(例えば運転者のブレーキペダルの踏
込である)ブレーキ操作により発生するブレーキ液圧で
ある。
【0062】本発明は、電磁弁が使用される対象を示し
たものであり、例えばマスタシリンダとポンプの吸入側
との間に配置される液圧制御弁として使用される場合に
は、この液圧制御弁の開閉状態を調節することにより、
下記の様な各種のブレーキ制御を好適に行うことができ
る。
【0063】例えば通常ブレーキ時やアンチスキッド
制御時において、電磁弁をオフ(非通電)しているとき
には、(主弁体付勢手段より大きな付勢力を有する)補
助弁体付勢手段により、補助弁体を付勢して絞り連通路
(2つ以上ある場合には第1絞り連通路)を遮断すると
ともに、主弁体をも付勢して主連通路を遮断するように
構成されているので、電磁弁における全閉状態が維持さ
れている。
【0064】そして、この全閉状態では、例えばマスタ
シリンダからポンプに至る管路は遮断されているので、
他の管路を介した通常のブレーキ動作や、他の管路を遮
断し、ブレーキ液をリザーバに逃がすアンチスキッド制
御時の減圧動作等を行なうことができる。
【0065】また、例えばトラクション制御や旋回ト
レース制御(車両ヨーコントロール)を行なう際には、
ブレーキペダルが踏まれていない場合を考えると、主弁
体及び補助弁体とも液圧負荷(ブレーキ液圧の増圧によ
る負荷)がない状態である。このとき、電磁弁をオンし
て電磁力を発生させることにより、補助弁体付勢手段の
付勢力に打ち勝って、補助弁体は(電磁力によって発生
する吸引力による)吸引方向に移動する。これにより、
補助弁体による押圧を受けなくなった主弁体は、(ブレ
ーキペダルが踏まれておらず)ブレーキ液圧が増加して
いないので、主弁体付勢手段により開弁方向に移動し、
主連通路を開いて全開状態となる。
【0066】更に、ブレーキペダルの踏込時に、例え
ばホイールシリンダ圧を増加させて制動力を向上させる
パワーアシストブレーキ制御(PAB制御:加圧制御)
をおこなう際には、主弁体及び補助弁体とも、ブレーキ
ペダルが踏まれている場合を考えると、液圧負荷がかか
っている状態である。
【0067】本発明では、この状態のときに、電磁弁を
オンして電磁力(吸引力)を発生させると、補助弁体付
勢手段に抗して補助弁体が移動して絞り連通路を開き、
続いて、例えばプランジャや補助弁体の移動により増加
した吸引力により、主弁体が開弁方向に移動して、主弁
が開いて全開状態となる。
【0068】そして、前記,の全開状態では、例え
ばマスタシリンダからポンプに至る管路は最大限に開か
れているので、十分な流量が確保できる状態である。よ
って、ポンプを作動させて、例えばホイールシリンダ圧
の増圧動作を、速やかに且つ十分に行なうことができ
る。また、ポンプ吸入側での負圧発生によるキャビテー
ションに伴なう不具合もない。
【0069】請求項27の発明は、車両制動時にブレー
キ液圧を発生するブレーキ液圧発生手段と、車両制動時
に車輪制動力を発生する車輪制動力発生手段と、ブレー
キ液圧発生手段側から車輪制動力発生手段側にブレーキ
液を供給するポンプと、ブレーキ液発生手段とポンプの
吸入側とを連通する管路に配置された液圧制御弁と、を
備え、ポンプを作動させることにより、車輪制動力発生
手段のブレーキ液圧を増圧させるブレーキ制御装置であ
って、ポンプを作動させてブレーキ液圧を増圧する際に
用いられる液圧制御弁として、請求項1〜26のいずれ
かに記載の電磁弁を用いることを特徴とするブレーキ制
御装置を要旨とする。
【0070】本発明は、上述した電磁弁が用いられるブ
レーキ制御装置を示したものであり、このブレーキ制御
装置としては、トラクション制御や旋回トレース制御
(車両ヨーコントロール)を行なう装置に加え、ブレー
キペダルの踏込時に、例えばホイールシリンダ圧を増加
させて制動力を向上させるパワーアシストブレーキ制御
(PAB制御:加圧制御)をおこなう装置が挙げられ
る。
【0071】この場合、ブレーキペダルの踏み込み状態
にかかわらず、電磁力付与手段による電磁力のオンオフ
により、電磁弁を、全閉状態及び全開状態に設定するこ
とができ、特に確実に全開状態に設定することができ
る。
【0072】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施例を図
面に基づいて説明する。 [第1実施例] a)図1に、本実施例の電磁弁が使用されるブレーキ制
御装置のブレーキ配管概略図を示す。本実施例では前輪
駆動の4輪車において、右前輪−左後輪、左前輪一右後
輪の各配管系統を備えるX配管の油圧回路を構成する車
両に本発明によるブレーキ制御装置を適用した例につい
て説明する。
【0073】このブレーキ制御装置は、アンチスキッド
制御(ABS制御)、旋回トレース制御(車両ヨーコン
トロール)、トラクション制御(TRC制御)だけでな
く、特にブレーキペダルの踏込時にマスタシリンダ圧を
通常より増圧することができるパワーアシストブレーキ
制御(PAB制御:加圧制御)を行なうことが可能な構
成を備えた装置である。
【0074】図1に示すように、ブレーキペダル1は倍
力装置2と接続されており、この倍力装置2によりブレ
ーキ踏力等が倍力される。倍力装置2は、倍力された踏
力をマスタシリンダ3に伝達するプッシュロッド2a等
を有し、このプッシュロッド2aがマスタシリンダ3に
配設されたマスタピストン3aを押圧することによりマ
スタシリンダ圧が発生する。このマスタシリンダ圧は、
右前輪FR用のホイールシリンダ5及び左後輪RL用の
ホイールシリンダ6へ伝達される。
【0075】尚、マスタシリンダ3には、マスタシリン
ダ3内にブレーキ液を供給したり、マスタシリンダ3内
の余剰ブレーキ液を貯留するマスタリザーバ4が接続さ
れている。以下の説明は、右前輪FR及び左後輪RL側
について説明するが、第2の配管系統である左前輪FL
及び右後輪RR側についても全く同様であるため、説明
は省略する。
【0076】ブレーキ制御装置は、マスタシリンダ3に
接続する管路KAを備えており、管路KAには、例えば
比例制御弁(PV;プロポーショニングバルブ)11が
逆接続されている。この比例制御弁11によって、管路
KAは、マスタシリンダ3から比例制御弁11までの間
においてマスタシリンダ圧を受ける管路KA1と、比例
制御弁11から各ホイールシリンダ5,6までの間の管
路KA2との2部位に分けられている。
【0077】前記比例制御弁11は、通常、正方向にブ
レーキ液が流動する際には、ブレーキ液の基準圧を所定
の減衰比率をもって下流側に伝達する作用を有するの
で、比例制御弁11を逆接続することにより、管路KA
2側が基準圧となる。この比例制御弁11のホイールシ
リンダ5,6側には、SM弁15が配設されている。こ
のSM弁15は、管路KA2を連通・遮断状態に制御で
きる2位置弁として構成されている。尚、SM弁15に
は、SM弁15を遮断状態とした場合に、ホイールシリ
ンダ5,6側のブレーキ液圧(油圧)が所定以上となる
と開弁するリリーフ弁15aが設けられている。
【0078】更に、管路KA2は、SM弁15から2つ
に分岐しており、一方にはホイールシリンダ5へのブレ
ーキ液圧の増圧を制御する増圧制御弁12が備えられ、
他方にはホイールシリンダ6へのブレーキ液圧の増圧を
制御する増圧制御弁13が備えられている。
【0079】これら増圧制御弁12,13は、電子制御
装置(ECU20:図2参照)により連通・遮断状態を
制御できる2位置弁として構成されている。そして、こ
の2位置弁が連通状態に制御されているときには、マス
タシリンダ圧あるいはポンプ21のブレーキ液の吐出に
よるブレーキ液圧を各ホイールシリンダ5,6に加える
ことができる。
【0080】また、両増圧制御弁12,13と各ホイー
ルシリンダ5,6との間における管路KA2とリザーバ
22のリザーバ孔22aとを結ぶ管路KBには、ECU
20により連通・遮断状態を制御できる減圧制御弁2
3,24がそれぞれ配設されている。
【0081】更に、比例制御弁11と増圧制御弁12,
13とリザーバ22のリザーバ孔22aとを結ぶ管路K
Cには、例えばギアポンプやベーンポンプ等の回転式の
ポンプ(連続ポンプ)21が配設されている。このポン
プ21にはモータ26が接続されており、モータ26に
よってポンプ21は駆動される。また、ポンプ21が吐
出したブレーキ液の脈動を緩和するために、管路KCの
うちポンプ21の吐出側にはアキュムレータ27が配設
されている。
【0082】そして、リザーバ22とポンプ21の間
と、マスタシリンダ3とを接続するように管路KDが設
けられており、ポンプ21はこの管路KDを介して管路
KA1側のブレーキ液を汲み取り、管路KA2側へ吐出
することによって、ホイールシリンダ5,6におけるホ
イールシリンダ圧をマスタシリンダ圧よりも高くして車
輪制動力を高める。尚、比例制御弁11は、この際のマ
スタシリンダ圧とホイールシリンダ圧との差圧を保持す
る。
【0083】前記管路KDには、液圧制御弁として機能
する電磁弁であるSR弁28が設けられている。このS
R弁28は、後に詳述する様に、常時は閉(全閉状態)
とされているが、通電時には開(全開状態)となってそ
の管路KDを開くいわゆる常閉(Normal Close)弁であ
る。
【0084】また、前記ECU20は、図2に示す様
に、周知のCPU20a、ROM20b、RAM20c
及び入出力部20d等からなるマイクロコンピュータを
中心として構成されている。このECU20は、図示し
ないイグニッションスイッチがオンされることにより電
源が供給され、前記車輪速度センサ31や、ブレーキペ
ダル1の踏込時にオンするストップスイッチ32等から
の信号を受け、車輪5,6のスリップ状態を演算推定す
ると共に、ブレーキ力制御のための演算制御を行い、増
圧制御弁12,13、減圧制御弁23,24、SM弁1
5、SR弁28、ポンプモータ26に対する駆動制御信
号を出力する。
【0085】b)次に、本実施例の要部であるSR弁2
8の構成及びその動作について、図3〜図9に基づいて
詳細に説明する。 i)まず、SR弁28の構造について説明する。図3に示
すように、SR弁28は、ソレノイド40を備えるとと
もに、図示しないハウジング及びソレノイド40にわた
って構成された弁機構41を備えている。
【0086】前記ソレノイド40は、その中央に円筒状
の中空部42を備えるとともに、中空部42の上端を閉
塞するストッパ43を備えている。 前記弁機構41は、筒状のシートバルブ44と、シー
トバルブ44から伸びて弁機構41の外周を構成するス
リーブ46と、スリーブ46内に配置されて上下方向に
移動可能な弁複合体47などで構成されている。
【0087】このうち、前記スリーブ46は、非磁性体
の部材であり、シートバルブ44の上部に自身の下端が
外嵌して固定され、且つ自身の上端がストッパ43に外
嵌して固定されている。また、スリーブ46は、マスタ
シリンダ3側に連通する第1開口部48を備えている。
【0088】前記シートバルブ44には、その軸方向に
主連通路49が設けられており、その主連通路49、詳
しくは主連通路49の上端側(以下、上とは各図の上方
を示す)の第2開口部51を開閉するのが主弁体52で
ある。尚、主弁53は、主弁体52と主弁体52が着座
するシートバルブ44の上端部(主弁座)54とから構
成されている。
【0089】このシートバルブ44の下端側(以下、下
とは各図の下方を示す)には、主連通路49が開口する
第3開口部56が設けられ、第3開口部56がポンプ2
1の吸入側と連通している。これによって、マスタシリ
ンダ3側から供給され、前記スリーブ46の第1開口部
48から、主連通路49(あるいは後述する絞り連通路
71)を通って流れてきたブレーキ液は、ポンプ21を
介してホイールシリンダ5,6側へ吐出される。
【0090】前記弁複合体47は、磁性体からなるプ
ランジャ61と、該プランジャ61と一体に固定された
係止部材62と、プランジャ61の軸中心を貫く貫通孔
63内に配置された可動部材64と、可動部材64を図
の下方に付勢するリターンスプリング66と、プランジ
ャ61を貫いてその軸中心に配置された補助弁体67
と、主連通路49を開閉する主弁体52と、主弁体52
を上方に付勢する補助スプリング68などから構成され
ている。尚、プランジャ61以外は非磁性体である。
【0091】そして、前記プランジャ61及び係止部材
62、可動部材64、補助弁体67、主弁体52は、上
下方向に移動可能とされ、リターンスプリング66及び
補助スプリング68は、図の上下方向に伸縮可能とされ
ている。このうち、前記プランジャ61は、円筒状の部
材であり、その軸中心に形成され貫通孔63は、上方よ
り、大径部63a、中径部63b、小径部63cと、各
段差63d,63eを介して階段状に径が小さくなって
いる。また、プランジャ61の外側壁には、プランジャ
61の上方と下方とを連通するように、その軸方向に溝
状の側部連通路69が形成されている。このプランジャ
61は、ソレノイド40に通電(オン)されると、ソレ
ノイド40の電磁力により、上方(開弁方向)に付勢さ
れて、同方向に移動する。
【0092】尚、ストッパ43とプランジャ61の間に
は、これらの接触を回避して磁気ショートを防止するた
めのプレート60が介装されている。前記係止部材62
は、円筒状の部材であり、その上端はプランジャ61の
下端に外嵌し、プランジャ61と一体となる様に固定さ
れている。また、係止部材62の下端には、主弁体52
を下方より係止可能な様に、軸中心側に環状に張り出す
環状の係止部62aが設けられている。更に、係止部材
62の側壁には、内外を連通する第4開口部62bが設
けられている。
【0093】前記可動部材64は、前記貫通孔63の大
径部63a内に配置される円柱状の部材であり、リター
ンスプリング66により、下方に付勢されている。この
可動部材64は、リターンスプリング66に付勢されて
段差63dに着座することにより、プランジャ61を下
方に付勢する。
【0094】前記リターンスプリング66は、貫通孔6
3の大径部63a内にて、ストッパ43の下端と可動部
材64の上端との間に配置されており、可動部材64を
下方に付勢することにより、間接的に補助弁体67及び
主弁体52をその閉弁方向に付勢する。
【0095】前記補助弁体67は、大径の上部67a及
び小径の下部67bと段差67cを有する円柱状の部材
であり、上部67aは貫通孔63の中径部63b内に配
置され、下部67bは小径部63c内に配置されるとと
もにプランジャ61の下方に突出している。この下部6
7bの下端67dは半球状であり、この半球状の下端6
7dにより、主弁体52の軸中心を貫く絞り連通路71
を開閉する。つまり、補助弁体67の下端67dが、絞
り連通路71の上側の開口部分の外周(補助弁座)71
aに着座することにより、絞り連通路71を閉じる。
尚、補助弁72は、補助弁体67及び補助弁座71aか
ら構成されている。
【0096】前記主弁体52は、円筒状の部材であり、
その軸中心には、主弁体52の上端側と下端側(主連通
路49)とを連通する前記絞り連通路71が形成されて
いる。主弁体52の下端52aは、半球状に下方に突出
しており、この下端52aがシートバルブ44上端の主
弁座54に着座することにより、主連通路49を閉じ
る。また、主弁体52の外側壁は、その上端側より、段
差52b,52cを介して径が小さくなっており、上端
側の径の大きな外側壁には、軸方向に、主弁体52の上
方と下方とを連通する溝状の側部連通路52dが形成さ
れている。更に、主弁体52の段差52cには、係止部
材62の係止部62aが係止する構造であり、これによ
り、主弁体52を上方に移動可能である。
【0097】前記補助スプリング68は、主弁体52の
段差52bと係止部材62の係止部62aとの間に配置
され、主弁体52を上方(即ち開弁方向)に付勢する。
特に、本実施例では、図3に示すソレノイド40の非通
電状態において、ストッパ43の下端とプレート60の
上端との間隔(L間隔)をl、補助弁体67の上部67
aの下端とプランジャ61の貫通孔63の段差63eと
の間隔(S間隔)をs、主弁体52の段差52cと係止
部62aの上端との間隔(H間隔)をhとすると、l>
h>sの関係となる様に設定されている。
【0098】ii)次に、SR弁28内の各構成要素に加
わる力の関係について、図4に基づいて説明する。尚、
図4は、弁作動時の力とストロークとの関係を示すグラ
フである。図4に示す様に、プランジャ61のストロー
ク(エアギャップx)が小さくなるほど、ソレノイド4
0のプランジャ61に対する電磁力(吸引力)が大きく
なる。そこで、本実施例では、プランジャ61が移動す
るストロークの程度を3つに区分し、各ストローク(初
期ストローク、中期ストローク、後期ストローク)にお
いて、プランジャ61、補助弁72及び主弁53の動作
を確実に行うことができる様に、ストロークや力の関係
を設定している。つまり、ストロークが変化するとプラ
ンジャ61に対する吸引力が変化するが、この吸引力の
変化を見込んで、確実に補助弁72ひいては主弁53に
おける(全開状態を実現する)開弁動作ができる様に、
力の関係を設定している。以下具体的に説明する。
【0099】a)初期ストロークsは、S間隔により設
定されている。この初期ストロークsにおいては、下記
式に示す様に、ソレノイド40の吸引力Fcoilが、リタ
ーンスプリング66の付勢力Fsp1及び補助スプリング
68の付勢力Fsp2よりも、常に大きくなる様に設定さ
れている。
【0100】Fcoil>Fsp1+Fsp2 この初期ストロークsにおいては、ソレノイド40とプ
ランジャ61との間隔が大きいので、吸引力Fcoilは小
さいが、対抗する付勢力もリターンスプリング66の付
勢力Fsp1及び補助スプリング68の付勢力Fsp2のみで
あり、且つ移動させる対象もプランジャ61のみである
ので、小さな吸引力Fcoilでも、容易にプランジャ61
を初期ストロークs(即ち空ストローク分)移動させる
ことができる。
【0101】これにより、初期ストロークs分だけプラ
ンジャ61が図3の上方に移動するので、閉弁状態から
中間状態に変化する。この中間状態については、後
に図5にて詳述するが、プランジャ61及び係止部材6
2のみが、図5の上方に、初期ストロークs分移動した
状態である。
【0102】b)中期ストローク(h−s)は、H間隔
とS間隔との差である。この中期ストローク(h−s)
においては、下記式に示す様に、ソレノイド40の吸引
力Fcoilが、リターンスプリング66の付勢力Fsp1及
び補助スプリング68の付勢力Fsp2に補助弁72に作
用する液圧力(油圧力)A2・△Paを加えた値(中期
合力)より、常に大きくなる様に設定されている。
【0103】Fcoil>Fsp1+Fsp2+A2・△Pa 但し、A2 ;補助弁のシート面積(補助弁座の受圧面
積) △Pa;補助弁に加わる差圧(例えば200kgf/cm2) この中期ストローク(h−s)においては、プランジャ
61は補助弁体67を係止し、一体となって図5の上方
に移動するので、このプランジャ61及び補助弁体67
を移動させるには、前記初期ストロークsよりも大きな
吸引力Fcoilが必要である。つまり、リターンスプリン
グ66の付勢力Fsp1及び補助スプリング68の付勢力
Fsp2だけなく、補助弁72における差圧によって生じ
る油圧力A2・△Paに打ち勝つ吸引力Fcoilが必要と
なる。ところが、この中期ストローク(h−s)におい
ては、前記初期ストロークsの場合より、プランジャ6
1はソレイド40に近づいているので、前記中期合力
(Fsp1+Fsp2+A2・△Pa)を上回る十分な吸引力
Fcoilを発揮することができる。
【0104】これにより、中期ストローク(h−s)分
だけプランジャ61が図5の上方に移動するので、中間
状態から中間状態に変化する。この中間状態につ
いては、後に図6にて詳述するが、プランジャ61、係
止部材62及び補助弁体57が、図6の上方に、前記中
間状態から更に中期ストローク(h−s)分移動した
状態である。
【0105】c)後期ストローク(l−h)は、L間隔
とH間隔との差である。この後期ストローク(l−h)
においては、下記式に示す様に、ソレノイド40の吸引
力Fcoilが、リターンスプリング66の付勢力Fsp1に
主弁53に作用する液圧力(油圧力)A1・△Pbを加
えた値(後期合力)より、常に大きくなる様に設定され
ている。
【0106】Fcoil>Fsp1+A1・△Pb 但し、A1 ;主弁のシート面積(主弁座の受圧面積) △Pa;補助弁に加わる差圧(例えば10kgf/cm2) この後期ストローク(l−h)においては、プランジャ
61は主弁体52に係止し、一体となって図6の上方に
移動するので、このプランジャ61及び主弁体52を移
動させるには、前記中期ストローク(h−s)よりも大
きな吸引力Fcoilが必要である。つまり、リターンスプ
リング66の付勢力Fsp1だけなく、主弁53における
差圧によって生じる油圧力A1・△Pbに打ち勝つ吸引
力Fcoilが必要となる。ところが、この後期ストローク
(l−h)においては、前記中期ストローク(h−s)
の場合より、プランジャ61はソレイド40に近づいて
いるので、前記後期合力(Fsp1+A1・△Pb)を上
回る十分な吸引力Fcoilを発揮することができる。
【0107】これにより、後期ストローク(l−h)分
だけプランジャ61が図6の上方に移動するので、中間
状態から中間状態に変化する。この中間状態につ
いては、後に図7にて詳述するが、プランジャ61、係
止部材62、主弁体52及び補助弁体67が、図7の上
方に、前記中間状態から更に後期ストローク(l−
h)分移動した状態である。
【0108】尚、この後期ストローク(l−h)におい
て、補助スプリング68の付勢力Fsp2を加味しないの
は、一旦係止部62aが主弁体52に係止した後は、補
助スプリング68は、主弁体62と見かけ上一体とな
り、その付勢力Fsp2の影響は受けないと見なせるから
である。
【0109】d)上述した全てのストローク、即ち初期
ストロークs+中期ストローク(h−s)+終期ストロ
ーク(l−h)=合計lの動作により、プランジャ61
はL間隔がなくなるまで、即ちその上限にまで達するの
で、その動きが停止する。その後は、補助スプリング6
8の開弁方向の付勢力Fsp2によって、主弁体52が移
動し、中間状態となる。
【0110】この中間状態については、後に図8にて
詳述するが、主弁体52のみが、図8の上方に、前記中
間状態から更に(h−s)分移動した状態である。 e)更に、補助スプリング68の付勢力Fsp2によっ
て、主弁体52及び補助弁体67が移動し、SR弁28
は全開状態となる。
【0111】この全開状態については、後に図9にて詳
述するが、主弁体52及び補助弁体67が、図9の上方
に、前記中間状態から更にs分移動した状態である。
つまり、SR弁28は、補助スプリング68の付勢力F
sp2によって、中間状態から中間状態を経て、全開
状態となる。尚、中間状態から全開状態となるまで
に、主弁体52は、(h−s)+s=hだけ移動する。
【0112】f)そして、ソレノイド40への通電が停
止される(オフ)と、リターンスプリング66の付勢力
Fsp1によって、プランジャ61が前記図3の下方にL
間隔分の全ストロークl移動して(戻って)、図3に示
す全閉状態に戻る。 iii)次に、上述した図4に示したa)〜f)の各動作
を、各部材の位置等を示した図3、図5〜図9に基づい
て説明する。
【0113】a)全閉状態(図3) 図3に示す様に、ソレノイド40に通電されていない場
合には、SR弁28は、全閉状態である。尚、以下で
は、ブレーキペダル1が踏み込まれ、且つポンプ21が
オンの場合を考える。
【0114】つまり、リターンスプリング66の下方
(閉弁方向)への付勢力Fsp1により、可動部材64が
下方へ付勢され、この可動部材64により、プランジャ
61及び補助弁体67が下方に付勢され、補助弁体67
により、主弁体52が下方に付勢されている。これによ
り、補助弁72及び主弁53が閉じ、よって、全閉状態
となっている。
【0115】尚、このとき、補助スプリング68によ
り、主弁体52が上方(主弁53の開弁方向)に付勢さ
れ、主弁52により補助弁体67が上方に付勢されてい
るが、補助スプリング68の付勢力Fsp2は、リターン
スプリング66の付勢力Fsp1より小さいので、上述し
た全閉状態が維持される。
【0116】b)中間状態(図5) 図5に示す様に、ソレノイド40に通電されると、プラ
ンジャ61及びそれと一体の係止部材62は、上方に移
動する。つまり、上述した初期ストロークs分だけプラ
ンジャ61及び係止部材62が上昇して、補助弁体67
の上部67aの段差67cが、プランジャ61の貫通孔
63の段差63eに当接する状態となる。
【0117】この移動により、L間隔の値は、初期スト
ロークsだけ減少して(l−s)となる。また、プラン
ジャ61の上昇に伴って、S間隔は消滅し、可動部材6
4の下端と補助弁体67の上端との間に、初期ストロー
クs分の隙間ができる。更に、H間隔の値は、初期スト
ロークsだけ減少して(h−s)となる。
【0118】この様に、ソレノイド40の吸引力Fcoil
によって、初期ストロークsだけ、プランジャ61及び
係止部材62が上昇することにより、図3に示す全閉状
態から図5に示す中間状態に変化する。この初期スト
ロークsの移動は、補助弁72及び主弁73の開弁に直
接寄与するものではなく、プランジャ61のみを移動さ
せるいわゆる空ストロークの移動であるので、弱い吸引
力であっても確実にプランジャ61を移動させることが
できる。しかも、弱い吸引力Fcoilによる初期ストロー
クsにより、プランジャ61をソレノイド40に近づけ
ることができるので、結果として、より大きな吸引力F
coilを発揮する状態とすることができる。
【0119】c)中間状態(図6) 図6に示す様に、ソレノイド40への通電が維持される
と、プランジャ61、係止部材62及び補助弁体67
は、更に上方に移動する。つまり、上述した中期ストロ
ーク(h−s)分だけ、プランジャ61及び係止部材6
2とプランジャ61に係止された補助弁体67とが上昇
して、係止部62aが主弁体52の段差52cに当接す
る状態となる。
【0120】この移動により、L間隔の値は、更に中期
ストローク(h−s)だけ減少して(l−h)となる。
また、プランジャ61の上昇に伴って、補助弁体67も
(h−s)上昇するので、補助弁72はがその分だけ開
くことになる。尚、中期ストローク(h−s)とは、補
助弁71の流量確保のためのリフト量である。
【0121】そして、中間状態では、補助弁体67が
上昇することにより、補助弁72のみが開くので、その
分だけ、主弁53における差圧が減少して、主弁体52
を閉弁方向に付勢する液圧力が低減するので、主弁53
が開き易くなる。この様に、ソレノイド40の吸引力F
coilによって、中期ストローク(h−s)だけ、プラン
ジャ61、係止部材62及び補助弁体67が移動するこ
とにより、図5に示す中間状態から図6に示す中間状
態に変化する。
【0122】この中期ストローク(h−s)の移動によ
り、補助弁72が開弁するとともに、プランジャ61を
一層ストッパ43に近づけるので、結果として、一層大
きな吸引力Fcoilを発揮する状態とすることができる。 d)中間状態(図7) 図7に示す様に、ソレノイド40への通電が維持される
と、プランジャ61、係止部材62、補助弁体67及び
主弁体52は、更に上方に移動する。
【0123】つまり、上述した終期ストローク(l−
h)分だけ、プランジャ61、係止部材62及び補助弁
体67と係止部材に係止された主弁体52とが上昇し
て、補助弁72及び主弁53が共に開弁した状態とな
る。この移動により、L間隔の値は、更に後期ストロー
ク(l−h)だけ減少して「0」となる。即ちプランジ
ャ61は、その上限に達する。また、プランジャ61の
上昇に伴って、主弁体52も(l−h)上昇するので、
主弁53はその分だけ開く。尚、前記後期ストローク
(l−h)とは、主弁53が流体力によって閉まらない
(自閉しない)ための十分なリフト量である。
【0124】この様に、ソレノイド40の吸引力Fcoil
によって、後期ストローク(l−h)だけ、プランジャ
61、係止部材62、補助弁体67及び主弁52が移動
することにより、図6に示す中間状態から図7に示す
中間状態に変化する。この後期ストローク(l−h)
の移動により、プランジャ61を更に一層ソレノイド4
0に近づけるので、結果として、更に一層大きな吸引力
Fcoilを発揮する状態とすることができる。
【0125】e)中間状態(図8) 図7に示す様に、既にプランジャ61は、その上限に達
しているので、ソレノイド40への通電が維持されて
も、それ以上上昇しない。その後は、補助スプリング6
8の開弁方向の付勢力Fsp2によって、主弁体52が
(h−s)だけ上昇し、主弁体52の補助弁座71aに
補助弁体67が着座して、補助弁72が閉じた状態とな
る。
【0126】また、主弁体52の(h−s)の上昇によ
り、主弁体52のリフト量は(l−s)に増大し、主弁
53は更に開いた状態となる。即ち、補助スプリング6
8の付勢力Fsp2のみにより、図に示す中間状態とな
る。これにより、更に流量が確保できる。
【0127】f)全開状態(図9) 更に、ソレノイド40への通電状態が維持されると、更
に補助スプリング68の付勢力Fsp2によって、主弁体
52及び補助弁体67が移動し、SR弁28は全開状態
となる。
【0128】つまり、補助スプリング68の付勢力Fsp
2により、主弁体52が上昇して、全閉状態と同様にH
間隔の値hが確保される。また、この主弁体52の一層
の上昇により、主弁体52のリフト量は、L間隔の値l
と同じとなる。即ち、このl値が、最終的な主弁体52
のリフト量である。更に、主弁体52により補助弁体6
7が押し上げられて、補助弁体67の上部67aの上端
が、可動部材64の下端に当接する。これにより、S間
隔の値sが確保される。
【0129】これによって、SR弁28の全開状態が実
現され、この図9に示す状態において、大きな吸引力F
coilにより、全開状態を確実に維持することができる。 iii)次に、ブレーキ制御の動作に伴うSR弁28内の動
作について説明する。 通常ブレーキ時、アンチスキッド制御時(全閉状態;
図3) 本実施例では、例えば通常ブレーキ時やアンチスキッド
制御時において、SR弁28をオフしているときには、
図3に示す様に、リターンスプリング66により補助弁
体67を下方に付勢して絞り連通路71を遮断するとと
もに、補助弁体67を介して主弁体52を下方に押圧し
て、主連通路49を遮断するように構成されているの
で、SR弁28における全閉状態が維持されている。
【0130】そして、この全閉状態では、マスタシリン
ダ3からポンプ21に至る管路KDは遮断されているの
で、他の管路KA1,KA2を介して、通常のブレーキ
動作やアンチスキッド制御時の減圧動作等を行なう。例
えばSR弁28をオフして、その管路KDを遮断してい
る場合に、ブレーキペダル1が踏み込まれると、管路K
A1,KA2は連通しているので、ホイールシリンダ圧
が増大して、通常ブレーキによる制動力が発生する。
【0131】また、SR弁28をオフして、その管路K
Dを遮断している場合に、ブレーキペダル1が踏み込ま
れてスリップ状態が過大になり、それによって、アンチ
スキッド制御が行われる場合を考える。このうち、例え
ばアンチスキッド制御の減圧時には、例えば増圧制御弁
12をオンしてその管路KA2を遮断した状態で、減圧
制御弁23をオンしてリザーバ22に至る管路を開い
て、ホイールシリンダ5のブレーキ圧を低減する。
【0132】この場合に、SR弁28が全閉状態では、
管路KDを介したリザーバ22へのマスタシリンダ3か
らのブレーキフルードの流入はない。 トラクション制御時、旋回トレース制御(車両ヨーコ
ントロール)時(全開状態;図9) 例えばトラクション制御や旋回トレース制御を行なう際
に、SR弁28をオンしているときに、ブレーキペダル
1が踏まれていない状態を考えると、主弁体52及び補
助弁体67とも液圧負荷(ブレーキ液圧の増圧による絶
対圧)がない状態である。
【0133】従って、プランジャ61に、(プランジャ
61のストロークに応じた)ソレノイド40の吸引力F
coilが加わることにより、上述したリターンスプリング
66の付勢力Fsp1に打ち勝って、補助弁体67ひいて
は主弁体52は、吸引方向(上方)に移動する。そし
て、プランジャ61の移動終了後は、補助スプリング6
8の付勢力Fsp2によって、補助弁体67や主弁体52
を更に上昇させて、全開状態とする。
【0134】パワーアシストブレーキ制御時(PAB
制御時:加圧制御時)(全開状態;図9) また、例えばパワーアシストブレーキ制御を行なう際
に、SR弁28をオンしているときに、ブレーキペダル
1が踏まれた状態を考えると、主弁体52及び補助弁体
67とも液圧負荷がある状態である。
【0135】従って、プランジャ61に、(プランジャ
61のストロークに応じた)ソレノイド40の吸引力F
coilが加わることにより、上述したリターンスプリング
66の付勢力Fsp1及び液圧負荷(油圧力)に打ち勝っ
て、補助弁体67ひいては主弁体52は、吸引方向(上
方)に移動する。そして、プランジャ61の移動終了後
は、補助スプリング68の付勢力Fsp2によって、補助
弁体67や主弁体52を更に上昇させて、全開状態とす
る。
【0136】そして、前記,の全開状態では、マス
タシリンダ3からポンプ21に至る管路は最大限に開か
れているので、十分な流量を確保できる状態である。よ
って、ポンプ21を作動させて、ホイールシリンダ圧の
増圧動作を、速やかに且つ十分に行なうことができる。
また、ポンプ吸入側での負圧発生によるキャビテーショ
ンに伴なう不具合もない。
【0137】例えばトラクション制御時、旋回トレース
制御(車両ヨーコントロール)時、パワーアシストブレ
ーキ時において、ホイールシリンダ圧を増圧する場合に
は、SR弁28をオンしてその管路KDを開く。このと
き、ポンプ21を作動することにより、本実施例では、
ブレーキペダル1の踏込の有無にかかわらず、マスタシ
リンダ3側からホイールシリンダ5,6側にブレーキ液
を供給して、ホイールシリンダ圧を増圧することができ
る。この様に、本実施例では、SR弁28において、全
閉状態と全開状態とを、確実に切り替えることができる
ので、上述した各種の制御を好適に行うことができる。
【0138】また、本実施例では、プランジャ61が移
動する各ストロークにおいて、ソレノイド40の吸引力
Fcoilが、プランジャ61を下降させようとする力、具
体的には、初期ストロークsにおける両スプリング6
6,68の付勢力(Fsp1+Fsp2)、中期ストローク
(h−s)における補助弁72を閉弁させようとする中
期合力(Fsp1+Fsp2+A2・△Pa)、後期ストロー
ク(l−h)における主弁53を閉弁させようとする後
期合力(Fsp1+A1・△Pb)よりも、常に大きくな
る様に設定している。それにより、各ストロークにおい
て、確実にプランジャ61を上昇させることができる。
【0139】更に、プランジャ61を下降させようとす
る力は、ブレーキ液圧が増大する場合に大きくなるが、
本実施例では、ソレノイド40の吸引力Fcoilがプラン
ジャ61のストロークが小さくなるほど大きくなること
を利用して、前記図4に示した様に、常にソレノイド4
0の吸引力Fcoilが、各ストロークにおけるプランジャ
61を下降させようとする力よりも大きく設定している
ので、確実にプランジャ61を上昇させて、全開状態に
まで到達させることができる。
【0140】加えて、各中間状態において部材同志が当
接して係止状態となる瞬間には動的な力(可動部の運動
エネルギ、慣性力、衝突エネルギ)が加わるので開弁側
の電磁力としてはより有利に(余裕の出る方向に)働
く。しかも、一旦、プランジャ61が上限に達した後
に、大きな吸引力によりプランジャ61を保持するとと
もに、補助スプリング68により、主弁体52を上昇さ
せた状態を維持でき、それによって全開状態を維持でき
るので、ブレーキペダル1が踏まれてブレーキ液圧が大
きくなった場合でも、確実に全開状態を実現できる。
【0141】更に、本実施例では、上述した構成によ
り、全開状態を維持できるので、SR弁28の構成も簡
易化でき、小型化を実現できる。[第2実施例]次に、
第2実施例について、図10に基づいて説明するが、前
記第1実施例と同様な箇所の説明は、省略又は簡略化す
る。
【0142】i)まず、本実施例の電磁弁(SR弁)の構
造を説明する。本実施例のSR弁は、前記第1実施例の
様に、係止部材によって主弁体を移動させるものではな
く、補助弁体により主弁体を移動させるものである。
尚、図10は電磁弁(SR弁)の概略構成を示す断面図
であり、SR弁の全閉状態を示している。
【0143】図10に示す様に、SR弁80は、前記第
1実施例と同様に、ソレノイド81及びストッパ82
と、スリーブ83、シートバルブ84及び弁複合体86
を備えている。前記弁複合体86は、プレート85、プ
ランジャ91、リターンスプリング92、可動部材9
3、補助弁体94、主弁体96、(主弁体96と一体
の)係止部材97、及び補助スプリング98から構成さ
れている。尚、プランジャ91以外は非磁性体である。
【0144】このうち、前記プランジャ91、リターン
スプリング92及び可動部材93は、前記第1実施例と
ほぼ同様の部材であり、プランジャ91は、貫通孔10
1及び側部連通路102を備えている。前記補助弁体9
4は、大径の上部94a、中径の中部94b、及び小径
の下部94cを有する部材である。特に、中部94bの
下端側には、貫通孔94dが形成され、この貫通孔94
dには、係止部材97が所定の間隔hを保って貫通して
配置されている。そして、下部94cの下端94eによ
り、主弁体96の絞り連通路106を開閉する。
【0145】前記主弁体96の軸中心には、大径の中空
部107及び前記絞り連通路106が形成されている。
そして、主弁体96の下端96aが主弁座108に着座
することにより、主連通路109を閉じる。更に、主弁
体96の外側壁には、側部連通路111が形成され、主
弁体96の上端には、補助弁体94との間隔を保つため
に、凸部96bが形成されている。
【0146】特に、主弁体96には、中空部107の左
右方向の両側壁を連結する様に、主弁体96の軸中心を
横断して、係止部材97が配置固定されており、この係
止部材97が前記貫通孔94dを貫いている。この係止
部材97は、補助弁体94が上方に移動した際に、補助
弁体94に係止することにより、主弁体96を同方向に
移動させて、主弁110を開くものである。
【0147】前記補助スプリング98は、主弁体96の
段差96cとシートバルブ84との間に配置され、主弁
体96を上方、即ち開弁方向に付勢する。本実施例で
は、ソレノイド81の非通電状態において、ストッパ8
2の下端とプレート85の上端との間隔(L間隔)を
l、補助弁体94の上部94aの下端とプランジャ91
の貫通孔101の段差101aとの間隔(S間隔)を
s、補助弁体94の貫通孔94dの下端と係止部材97
の下端との間隔(H間隔)をhとすると、l>h>sの
関係となる様に設定されている。
【0148】ii)次に、本実施例のSR弁80の動作を
説明する。 a)全閉状態 ソレノイド81に通電されていない場合には、SR弁8
0は、全閉状態である。尚、以下では、ブレーキペダル
1が踏み込まれ、且つポンプ21がオンの場合を考え
る。
【0149】つまり、リターンスプリング92の下方へ
の付勢力Fsp1により、可動部材93が下方へ付勢さ
れ、この可動部材93により、プランジャ91及び補助
弁体94が下方に付勢され、補助弁体94により、主弁
体96が下方に付勢されている。これにより、補助弁1
12及び主弁110が閉じ、よって、全閉状態となって
いる。
【0150】b)中間状態 ソレノイド81に通電されると、プランジャ91及び可
動部材93は、初期ストローク(空ストローク)s分だ
け上方に移動する。 c)中間状態 ソレノイド81への通電が維持されると、プランジャ9
1、可動部材93及び補助弁体94は、更に上方に移動
する。
【0151】つまり、中期ストローク(h−s)分だ
け、プランジャ91、可動部材93及びプランジャ91
に係止された補助弁体94が移動して、補助弁体94の
貫通孔94dの下端が係止部材97の下端に当接する状
態となる。このプランジャ91の上昇に伴って、補助弁
体94も(h−s)上昇するので、補助弁112はその
分だけ開くことになる。
【0152】d)中間状態 ソレノイド81への通電が維持されると、プランジャ9
1、可動部材93、補助弁体94及び主弁体96は、更
に上方に移動する。つまり、後期ストローク(l−h)
分だけ、プランジャ91、可動部材93及び補助弁体9
4が上昇するが、この補助弁体94の貫通孔94dによ
って係止部材97が係止されるので、補助弁体94の上
昇とともに主弁体96も上昇して、補助弁112及び主
弁110が共に開弁した状態となる。
【0153】e)中間状態 前記中間状態の動作により、既にプランジャ91は、
その上限に達しているので、ソレノイド81への通電が
維持されても、それ以上上昇しない。その後は、補助ス
プリング98の付勢力Fsp2によって、主弁体96が
(h−s)だけ上昇して、補助弁座96fに補助弁体9
4が着座して、補助弁112が閉じた状態となる。
【0154】f)全開状態 更に、ソレノイド81への通電状態が維持されると、更
に補助スプリング98の付勢力Fsp2によって、主弁体
96及び補助弁体94が上昇し、SR弁80は全開状態
となる。
【0155】この様に、本実施例では、L間隔、S間
隔、H間隔の値が、l>h>sの様に設定されている。
よって、ソレノイド81への通電により、プランジャ9
1が空ストロークs上昇し、その後、プランジャ91の
上昇により(プランジャ91に係止された)補助弁体9
4が上昇し、この補助弁体94の上昇により(係止部材
97を介して係止された)主弁体96が持ち上げられ
る。それによって、前記第1実施例と同様に、SR弁8
0は、ポンプ21の作動時に、ブレーキペダル1が踏ま
れて、ブレーキ液圧が増加している場合でも、ソレノイ
ド81に通電することにより、確実に全開状態を実現す
ることができる。 [第3実施例]次に、第3実施例について、図11に基
づいて説明するが、前記実施例と同様な箇所の説明は、
省略又は簡略化する。
【0156】i)まず、本実施例の電磁弁(SR弁)の構
造を説明する。本実施例のSR弁は、主弁の構成は前記
第2実施例とほぼ同様であり、プランジャの移動によ
り、係止部材を介して主弁体を移動させるものである。
尚、図11は電磁弁(SR弁)の概略構成を示す断面図
であり、SR弁の全閉状態を示している。
【0157】図11に示す様に、SR弁120は、前記
第2実施例と同様に、ソレノイド121及びストッパ1
22と、スリーブ123、シートバルブ124及び弁複
合体126を備えている。前記弁複合体126は、プレ
ート125、リターンスプリング131、プランジャ1
32、(プランジャ132と一体の)第1係止部材13
3、補助弁体134、主弁体136、(主弁体136と
一体の)第2係止部材137、及び補助スプリング13
8から構成されている。尚、プランジャ132以外は非
磁性体である。
【0158】このうち、前記プランジャ132は、大径
部132a及び小径部132bからなり、大径部132
aには側部連通路141を備え、大径部132aの上端
側に形成された凹部132cには、リターンスプリング
131が配置されている。また、小径部132bには、
図の左右方向に、貫通孔132dが形成されており、こ
の貫通孔には、第2係止部材137が、所定の間隔(H
間隔)を保って貫通して配置されている。更に、小径部
132bの下端には、筒状の第1係止部材133が外嵌
してプランジャ132と一体に固定されている。この第
1係止部材133の先端には、軸中心に向かって環状に
張り出す係止部133aが設けられ、側壁には内外を連
通する連通孔133bが設けられている。
【0159】前記補助弁体134は、大径の上部134
aと小径の下部134bとが段差134cにて接続した
円柱状の部材であり、その上部134aはプランジャ1
32の小径部132bの下端と係止部133aとの間に
配置され、補助弁体134の下部134bは、第1係止
部材133の下端側の連通孔133bから下方に突出し
ている。この補助弁体134の下部134bの下端によ
り、主弁体136の絞り連通路141を開閉する。
【0160】前記主弁体136の軸中心には、大径の中
空部136a及び前記絞り連通路141が形成されてお
り、主弁体136の下端136bが主弁座124aに着
座することによって、主連通路142を閉じる。また、
主弁体136の外側壁には、側部連通路143が形成さ
れている。更に、主弁体136には、中空部136aを
図の左右方向に横断して、第2係止部材137が配置固
定されており、この第2係止部材137が前記貫通孔1
32dを貫いている。
【0161】この第2係止部材137は、プランジャ1
32が上方に移動した際に、プランジャ132に係止す
ることにより、主弁体136を同方向に移動させて、主
弁144を開くものである。前記補助スプリング138
は、主弁体136の段差136cとシートバルブ124
との間に配置され、主弁体136を上方、即ち開弁方向
に付勢する。
【0162】本実施例では、ソレノイド121の非通電
状態において、ストッパ122の下端とプレート125
の上端との間隔(L間隔)をl、補助弁体134の上部
134aの下端と第1係止部材133の係止部133a
の上端との間隔(S間隔)をs、プランジャ132の貫
通孔132dの下端と第2係止部材137の下端との間
隔(H間隔)をhとすると、l>h>sの関係となる様
に設定されている。
【0163】ii)次に、本実施例のSR弁120の動作
を説明する。 a)全閉状態 ソレノイド121に通電されていない場合には、SR弁
120は、全閉状態である。尚、以下では、ブレーキペ
ダル1が踏み込まれ、且つポンプ21がオンの場合を考
える。
【0164】つまり、リターンスプリング131の下方
への付勢力Fsp1により、(第1係止部材133と一体
の)プランジャ132が下方へ付勢され、このプランジ
ャ132により、補助弁体134が下方に付勢され、補
助弁体134により、主弁体136が下方に付勢されて
いる。これにより、補助弁146及び主弁144が閉
じ、よって、全閉状態となっている。
【0165】b)中間状態 ソレノイド121に通電されると、プランジャ132
は、初期ストローク(空ストローク)s分だけ上方に移
動する。 c)中間状態 ソレノイド121への通電が維持されると、(第1係止
部材133と一体の)プランジャ132及び補助弁体1
34は、更に上方に移動する。
【0166】つまり、中期ストローク(h−s)分だ
け、プランジャ132及び第1係止部材133と、第1
係止部材133により係止された補助弁体134とが上
昇して、プランジャ132の貫通孔132dの下端が第
2係止部材137の下端に当接する状態となる。
【0167】このプランジャ132の上昇に伴って、補
助弁体134も(h−s)上昇するので、補助弁146
はその分だけ開くことになる。 d)中間状態 ソレノイド121への通電が維持されると、プランジャ
132及び第1係止部材133と、補助弁体134及び
主弁体136は、更に上方に移動する。
【0168】つまり、後期ストローク(l−h)分だ
け、プランジャ132及び第1係止部材133と、補助
弁体134が上昇するが、プランジャ132の貫通孔1
32dによって第2係止部材137が係止されるので、
プランジャ132の上昇とともに(第2係止部材137
と一体の)主弁体136も上昇して、補助弁146及び
主弁144が共に開弁した状態となる。
【0169】e)中間状態 前記中間状態の動作により、既にプランジャ132
は、その上限に達しているので、ソレノイド121への
通電が維持されても、それ以上上昇しない。その後は、
補助スプリング138の付勢力Fsp2によって、主弁体
136が(h−s)だけ上昇して、主弁体136の補助
弁座136dに補助弁体134が着座して、補助弁14
6が閉じた状態となる。
【0170】f)全開状態 更に、ソレノイド121への通電状態が維持されると、
更に補助スプリング138の付勢力Fsp2によって、主
弁体136及び補助弁体134が上昇し、SR弁120
は全開状態となる。
【0171】この様に、本実施例では、H間隔、S間
隔、H間隔の値が、l>h>sの様に設定されている。
よって、ソレノイド121への通電により、プランジャ
132が空ストロークs上昇し、その後、プランジャ1
32の上昇により(第1係止部材133に係止された)
補助弁体134が上昇し、プランジャ132の上昇によ
り(第2係止部材137に係止された)主弁体136が
持ち上げられる。それによって、前記第1実施例と同様
に、SR弁120は、ポンプ21の作動時に、ブレーキ
ペダル1が踏まれて、ブレーキ液圧が増加している場合
でも、ソレノイド121に通電することにより、確実に
全開状態を実現することができる。 [第4実施例]次に、第4実施例について、図12及び
図13に基づいて説明するが、前記実施例と同様な箇所
の説明は、省略又は簡略化する。
【0172】i)まず、本実施例の電磁弁(SR弁)の構
造を説明する。本実施例のSR弁は、主弁の構成は前記
第3実施例とほぼ同様であり、補助弁体を兼ねるプラン
ジャの移動により、係止部材を介して主弁体を移動させ
るものである。尚、図12は電磁弁(SR弁)の概略構
成を示す断面図であり、SR弁の全閉状態を示してい
る。
【0173】図12に示す様に、SR弁150は、前記
第3実施例と同様に、ソレノイド151及びストッパ1
52と、スリーブ153、シートバルブ154及び弁複
合体156を備えている。前記弁複合体156は、プレ
ート155、リターンスプリング157、プランジャを
兼ねる補助弁体158、主弁体159、(主弁体159
と一体の)係止部材161、及び補助スプリング162
から構成されている。尚、補助弁体158以外は非磁性
体である。
【0174】このうち、前記補助弁体158は、大径の
上部158a、中径の中間部158b及び小径の下部1
58cからなり、上部158aには側部連通路163を
備え、上部158aの上端側に形成された凹部164に
は、リターンスプリング157が配置されている。
【0175】また、中間部158bには、図の左右方向
に、貫通孔158dが形成されており、この貫通孔15
8dには、係止部材161が、所定の間隔(H間隔)を
保って貫通して配置されている。そして、下部158c
の下端により、主弁体159の絞り連通路166を開閉
する。
【0176】前記主弁体159の軸中心には、大径の中
空部159a及び前記絞り連通路166が形成されてお
り、主弁体159の下端159bが主弁座154aに着
座することによって、主連通路167を閉じる。また、
主弁体159の外側壁には、側部連通路159cが形成
されている。更に、主弁体159には、中空部159a
を横断して、係止部材161が配置固定されており、こ
の係止部材161が前記貫通孔158dを貫いている。
【0177】この係止部材161は、補助弁体158が
上方に移動した際に、補助弁体158に係止することに
より、主弁体159を同方向に移動させて、主弁168
を開くものである。尚、前記補助スプリング162は、
前記実施例3と同様なものである。
【0178】本実施例では、ソレノイド151の非通電
状態において、ストッパ152の下端とプレート155
の上端との間隔(L間隔)をl、補助弁体158の貫通
孔158dの下端と係止部材161の下端との間隔(H
間隔)をhとすると、l>hの関係となる様に設定され
ている。尚、本実施例では、前記実施例1〜3と異な
り、空ストロークを設定しないので、前記S間隔を有し
ない。
【0179】ii)次に、本実施例のSR弁150の動作
を、図13のグラフに基づいて説明する。a)全閉状態
ソレノイド151に通電されていない場合には、SR弁
150は、全閉状態である。尚、以下では、ブレーキペ
ダル1が踏み込まれ、且つポンプ21がオンの場合を考
える。
【0180】つまり、リターンスプリング157の下方
への付勢力Fsp1により、プランジャ(補助弁体)15
8が下方へ付勢され、この補助弁体158により、主弁
体159が下方に付勢されている。これにより、補助弁
169及び主弁168が閉じ、よって、全閉状態となっ
ている。
【0181】b)中間(中開)状態 ソレノイド151に通電されると、補助弁体158は、
上方に移動する。つまり、H間隔のh分(第1ストロー
ク)だけ補助弁体158が移動して、補助弁体158の
貫通孔158dの下端が係止部材161の下端に当接す
る状態となる。この補助弁体158の上昇に伴って、補
助弁169はその分だけ開くことになる。
【0182】前記全開状態からこの中間状態に至る間の
力の関係を、下記式及び図13に示す。 Fcoil>Fsp1+A2・△Pa 但し、A2 ;補助弁のシート面積(補助弁座の受圧面
積) △Pa;補助弁に加わる差圧 つまり、H間隔をつめる様な作動中は、常に、ソレノイ
ド151の吸引力Fcoilが、リターンスプリング157
の付勢力Fsp1+補助弁体158に加わる油圧力A2・
△Paを上回る様に設定されている。
【0183】c)全開状態 ソレノイド151への通電が維持されると、補助弁体1
58、係止部材161及び主弁体159は、更に上方に
移動し、補助弁体158はその上限に達する。つまり、
第2ストローク(l−h)分だけ補助弁体158が上昇
するが、補助弁体158の貫通孔158dによって係止
部材161が係止されるので、補助弁体158の上昇と
ともに(係止部材161と一体の)主弁体159も上昇
して、補助弁169及び主弁168が共に開弁した状態
(全開状態)となる。
【0184】前記中間状態からこの全開状態に至る間の
力の関係を、下記式及び図13に示す。 Fcoil>Fsp1−Fsp2+A1・△Pb 但し、A1 ;主弁のシート面積(主弁座の受圧面積) △Pb;主弁に加わる差圧 つまり、第2ストローク(l−h)をつめる様な作動中
は、常に、ソレノイド151の吸引力Fcoilが、リター
ンスプリング157の付勢力Fsp1と補助スプリングの
付勢力Fsp2との差に主弁体159に加わる油圧力A1
・△Pbを加えた値を上回る様に設定されている。
【0185】この様に、本実施例では、L間隔及びH間
隔の値が、l>hの様に設定されている。よって、ソレ
ノイド151への通電により、補助弁体158が上昇
し、この補助弁体158の上昇により(係止部材161
に係止された)主弁体159が持ち上げられる。それに
よって、前記第1実施例と同様に、SR弁150は、ポ
ンプ21の作動時に、ブレーキペダル1が踏まれて、ブ
レーキ液圧が増加している場合でも、ソレノイド151
に通電することにより、確実に全開状態を実現すること
ができる。 [第5実施例]次に、第5実施例について、図14及び
図15に基づいて説明するが、前記実施例と同様な箇所
の説明は、省略又は簡略化する。
【0186】i)まず、本実施例の電磁弁(SR弁)の構
造を、図14に基づいて説明する。本実施例のSR弁の
構造は、前記第4実施例とほぼ同様であり、補助スプリ
ングを有しない点のみが異なる。つまり、図14に示す
様に、本実施例のSR弁170は、前記第4実施例と同
様に、ソレノイド171、ストッパ172、スリーブ1
73、シートバルブ174及び弁複合体175を備え、
弁複合体175は、プレート176、リターンスプリン
グ177、プランジャを兼ねる補助弁体178、主弁体
179、及び(主弁体179と一体の)係止部材181
を備えているが、補助スプリングのみが省略されてい
る。
【0187】また、前記第4実施例と同様に、ソレノイ
ド171の非通電状態において、ストッパ172の下端
とプレート176の上端との間隔(L間隔)をl、補助
弁体178の貫通孔178aの下端と係止部材181の
下端との間隔(H間隔)をhとすると、l>hの関係と
なる様に設定されている。
【0188】ii)次に、本実施例のSR弁170の動作
を、図15のグラフに基づいて説明する。 a)全閉状態 ソレノイド171に通電されていない場合には、SR弁
170は、全閉状態である。尚、以下では、ブレーキペ
ダル1が踏み込まれ、且つポンプ21がオンの場合を考
える。
【0189】つまり、リターンスプリング177の下方
への付勢力Fsp1により、プランジャ(補助弁体)17
8が下方へ付勢され、この補助弁体178により、主弁
体179が下方に付勢されている。これにより、補助弁
182及び主弁183が閉じ、よって、全閉状態となっ
ている。
【0190】b)中間(中開)状態 ソレノイド171に通電されると、補助弁体178は、
上方に移動する。つまり、H間隔のh分(第1ストロー
ク)だけ補助弁体178が移動して、補助弁体178の
貫通孔178aの下端が係止部材181の下端に当接す
る状態となる。この補助弁体178の上昇に伴って、補
助弁182はその分だけ開くことになる。
【0191】前記全開状態からこの中間状態に至る間の
力の関係を、下記式及び図15に示す。 Fcoil>Fsp1+A2・△Pa 但し、A2 ;補助弁のシート面積(補助弁座の受圧面
積) △Pa;補助弁に加わる差圧 つまり、H間隔をつめる第1ストロークの作動中は、常
に、ソレノイド171の吸引力Fcoilが、リターンスプ
リング177の付勢力Fsp1+補助弁体178に加わる
油圧力A2・△Paを上回る様に設定されている。
【0192】c)全開状態 ソレノイド171へ通電されると、補助弁体178、係
止部材181及び主弁体179は、上方に移動し、補助
弁体178はその上限に達する。つまり、第2ストロー
ク(l−h)分だけ補助弁体178が上昇するが、補助
弁体178の貫通孔178aによって係止部材181が
係止されるので、補助弁体178の上昇とともに(係止
部材181と一体の)主弁体179も上昇して、補助弁
182及び主弁183が共に開弁した状態(全開状態)
となる。
【0193】前記中間状態からこの全開状態に至る間の
力の関係を、下記式及び図15に示す。 Fcoil>Fsp1+A1・△Pb 但し、A1 ;主弁のシート面積(主弁座の受圧面積) △Pb;主弁に加わる差圧 つまり、第2ストローク(l−h)における作動中は、
常に、ソレノイド171の吸引力Fcoilが、リターンス
プリング177の付勢力Fsp1+主弁体179に加わる
油圧力A1・△Pbを上回る様に設定されている。
【0194】この様に、本実施例では、L間隔及びH間
隔の値が、l>hの様に設定されている。よって、ソレ
ノイド171への通電により、補助弁体178が上昇
し、この補助弁体178の上昇により(係止部材181
に係止された)主弁体179が持ち上げられる。それに
よって、前記第1実施例と同様に、SR弁170は、ポ
ンプ21の作動時に、ブレーキペダル1が踏まれて、ブ
レーキ液圧が増加している場合でも、ソレノイド171
に通電することにより、確実に全開状態を実現すること
ができる。
【0195】本実施例の場合には、前記第4実施例とほ
ぼ同様な効果を奏するとともに、補助スプリングを使用
しないので、構成が簡易化できるという利点がある。 [第6実施例]次に、第6実施例について、図16及び
図17に基づいて説明するが、前記実施例と同様な箇所
の説明は、省略又は簡略化する。
【0196】i)まず、本実施例の電磁弁(SR弁)の構
造を説明する。 本実施例のSR弁は、主弁体に加わる差圧を調節して、
主弁体を移動させるものである。尚、図16は電磁弁
(SR弁)の概略構成を示す断面図であり、SR弁の全
閉状態を示している。
【0197】図16に示す様に、SR弁190は、前記
第5実施例と同様に、ソレノイド191及びストッパ1
92と、スリーブ193、シートバルブ194及び弁複
合体195を備えている。前記弁複合体195は、プレ
ート196、リターンスプリング197、プランジャを
兼ねる補助弁体198、主弁体199、補助スプリング
201から構成されている。尚、補助弁体198以外は
非磁性体である。
【0198】このうち、前記プランジャ(補助弁体)1
98は、大径の上部198a及び小径の下部198bか
らなり、上部198aには側部連通路202を備え、上
部198aの上端側に形成された凹部198cには、リ
ターンスプリング197が配置されている。そして、下
部198bの下端により、主弁体199の第1絞り連通
路203を開閉する。
【0199】前記主弁体199は、大径の上部199a
と小径の下部199bとを有し、上部199aの外周に
は、外側壁の径方向を環状に液密(油密する)シール部
材204が嵌め込まれている。主弁体199の軸中心に
は、ポンプ21側と主弁体199の上方とを連通する前
記第1絞り連通路203が形成されており、また、軸中
心からずれて、マスタシリンダ3側と主弁体199の上
方とを連通する第2絞り連通路206が形成されてい
る。そして、主弁体199の下部199bの下端が主弁
座194aに着座することによって、主連通路207を
閉じる(主弁208を閉じる)。
【0200】前記補助スプリング201は、主弁体19
9の上部199aの段差199cとシートバルブ194
の上端との間に配置されて、主弁体199を上方に付勢
する。 ii)次に、本実施例のSR弁190の動作を、図17の
グラフに基づいて説明する。
【0201】本実施例では、第1絞り連通路203にお
ける第1絞り特性(従ってその内径)と第2絞り連通路
206における第2絞り特性(従ってその内径)は、図
17に示される様に設定されている。つまり、流量Q
(ポンプ流量Qp)が増加するにつれて、第1絞り連通
路203及び第2絞り連通路206により発生する差圧
ΔPは増加するが、常に、第1絞り連通路203におけ
る差圧ΔP1(最小差圧ΔP1min、最大差圧ΔP1max)
の方が、第2絞り連通路206における差圧ΔP2(最
小差圧ΔP2min、最大差圧ΔP2max)より大きくなる様
に設定されている。
【0202】更に下記式(1)又は(2)となる様に、
第1及び第2の絞り特性、及びA1、A3を設定してい
る。 ΔP1・A1=約ΔP2・(A3−A1) …(1) ΔP1・A1<ΔP2・(A3−A1) ;(但し、若干程度)…(2) 但し、A1;主弁のシート面積 A3;主弁体の大径部の受圧面積 即ち、主弁体199が僅かな力で作動可能な様に、第1
及び第2の絞り特性、及びA1、A3を設定する。それ
により、補助スプリング201の付勢力Fsp2によっ
て、確実に全開状態を実現できる。
【0203】以下、その動作を順を追って説明する。 a)全閉状態 ソレノイド191に通電されていない場合には、SR弁
190は、全閉状態である。尚、以下では、ブレーキペ
ダル1が踏み込まれ、且つポンプ21がオンの場合を考
える。
【0204】つまり、リターンスプリング197の下方
への付勢力Fsp1により、プランジャ(補助弁体)19
8が下方へ付勢され、この補助弁体198により、主弁
体199が下方に付勢されている。これにより、補助弁
209及び主弁208が閉じ、よって、全閉状態となっ
ている。
【0205】b)全開状態 ソレノイドへ191の通電が開始され、それが維持され
ると、補助弁体198は上方に移動し、補助弁体198
はその上限に達する。このとき、上述した第1及び第2
の絞り特性、及びA1、A3の設定により、例えばポン
プ流量Qpの場合には、ΔP1・A1=約ΔP2・(A3
−A1)であり、前記式(1)を満たす。従って、主弁
体199に加わる上下の付勢力がほぼ釣り合っているの
で、主弁体199は補助スプリング201の上方への付
勢力FSP2により、全開状態となる。
【0206】この様に、本実施例では、第1の絞り連通
路203だけでなく第2の絞り連通路206を設けて、
主弁体199に加わる力の調節を行っているので、前記
第1実施例と同様に、SR弁190は、ポンプ21の作
動時に、ブレーキペダル1が踏まれて、ブレーキ液圧が
増加している場合でも、ソレノイド191に通電するこ
とにより、確実に全開状態を実現することができる。 [第7実施例]次に、第7実施例について、図18に基
づいて説明するが、前記実施例と同様な箇所の説明は、
省略又は簡略化する。
【0207】i)まず、本実施例の電磁弁(SR弁)の構
造を説明する。本実施例のSR弁は、その作動原理は前
記第6実施例と同様であるが、第2絞り連通路の位置が
異なる。尚、図18(a)は電磁弁(SR弁)の概略構
成を示す縦断面図であり、SR弁の全閉状態を示してい
る。図18(b)は主弁体の平面図である。
【0208】図18に示す様に、SR弁210は、前記
第6実施例と同様に、ソレノイド211及びストッパ2
12と、スリーブ213、シートバルブ214及び弁複
合体215を備えている。前記弁複合体215は、プレ
ート216、リターンスプリング217、プランジャを
兼ねる補助弁体218、主弁体219、補助スプリング
221から構成されている。尚、補助弁体218以外は
非磁性体である。
【0209】このうち、前記プランジャ(補助弁体)2
18は、大径の上部218a及び小径の下部218bか
らなり、上部218aには側部連通路222を備え、上
部218aの上端側に形成された凹部218cには、リ
ターンスプリング217が配置されている。
【0210】前記主弁体219は、大径の上部219a
と小径の下部219bとを有し、主弁体219の軸中心
には、ポンプ21側と主弁体219の上方とを連通する
前記第1絞り連通路223が形成されている。また、上
部219aの外側壁には、マスタシリンダ3側と主弁体
219の上方とを連通する第2絞り連通路226が、ス
リーブ213との間の環状すきまとして形成されてい
る。
【0211】前記補助スプリング221は、前記第6実
施例と同様に、主弁体219を上方に付勢する。本実施
例のSR弁210の動作は、前記第6実施例と同様であ
るので、その説明は省略するが、本実施例では、前記第
6実施例と同様な効果を奏する。また、第2の絞り連通
路226が外側壁とスリーブ213との間の環状すきま
として設けられているので、その形成が容易である。ま
た、シール部材を使用しないので、主弁体219の摺動
抵抗が少なく、よって、各スプリングとして小型のもの
を使用することができる。さらに、これの別形態とし
て、第2絞り連通路226を外側壁に軸方向の溝状に設
けることで絞りとして形成することも可能である。
【0212】尚、本発明の実施の形態は、下記の実施例
に何等限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に
属する限り種々の形態を取り得ることはいうまでもな
い。 (1)例えば、主弁体や補助弁体の形状は、同じ機能を
実現できるものであれば、種々採用できる。
【0213】(2)また、リターンスプリング及び補助
スプリングの代わりに、ゴムなどの弾性体を採用し、圧
縮することによって弾性で付勢力を生じるものを採用し
てもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施例である電磁弁をブレーキ制御装置
に適用した場合の概略構成を示すモデル図である。
【図2】 第1実施例の電気的構成を示すブロック図で
ある。
【図3】 第1実施例である電磁弁の全閉状態を示す断
面図である。
【図4】 第1実施例における力とストロークとの関係
を示すグラフである。
【図5】 第1実施例である電磁弁の中間状態を示す
断面図である。
【図6】 第1実施例である電磁弁の中間状態を示す
断面図である。
【図7】 第1実施例である電磁弁の中間状態を示す
断面図である。
【図8】 第1実施例である電磁弁の中間状態を示す
断面図である。
【図9】 第1実施例である電磁弁の全開状態を示す断
面図である。
【図10】 第2実施例である電磁弁の全閉状態を示す
断面図である。
【図11】 第3実施例である電磁弁の全閉状態を示す
断面図である。
【図12】 第4実施例である電磁弁の全閉状態を示す
断面図である。
【図13】 第4実施例における力とストロークとの関
係を示すグラフである。
【図14】 第5実施例である電磁弁の全閉状態を示す
断面図である。
【図15】 第5実施例における力とストロークとの関
係を示すグラフである。
【図16】 第6実施例である電磁弁の全閉状態を示す
断面図である。
【図17】 第6実施例における主弁体についての差圧
と流量の関係を示すグラフである。
【図18】 第7実施例である電磁弁の全閉状態を示す
断面図である。
【図19】 従来技術の電磁弁の概略構成を説明する断
面図である。
【符号の説明】
1…ブレーキペダル 3…マスタシリンダ 5,6…ホイールシリンダ 20…電子制御装置 21…ポンプ 28,80,120,150,170,190,210
…電磁弁(SR弁) 40,81,121,151,171,191,211
…ソレノイド 52,96,136,159,179,199,219
…主弁体 53,110,144,168,183,208…主弁 67,94,134,158,178,198,218
…補助弁体 72,112,146,169,182,209…補助
弁 61,91,132…プランジャ 62,97,161,181…係止部材 49,109,142,167,207…主連通路 71,106,141,166…絞り連通路 68,98,138,162,201,221…補助ス
プリング 66,92,131,157,177,197,217
…リターンスプリング 203,223…第1絞り連通路 206,226…第2絞り連通路 133…第1係止部材 137…第2係止部材

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主弁体を有し、大流量を連通・遮断可能
    な主弁と、 補助弁体を有し、小流量を連通・遮断可能な補助弁と、 移動部材に電磁力を付与して移動させる電磁力付与手段
    と、 を備えた電磁弁において、 前記電磁力付与手段によって、 前記移動部材を初期ストローク移動させて、自身の空ス
    トロークを吸収した後に、 前記移動部材を中期ストローク移動させることにより、
    前記補助弁体を直接又は間接的に移動させて前記補助弁
    を開弁させ、 その後前記移動部材を後期ストローク移動させることに
    より、前記主弁体を直接又は間接的に移動させて前記主
    弁を開弁させる構成を備えたことを特徴とする電磁弁。
  2. 【請求項2】 前記各ストロークにおいて、前記電磁力
    付与手段による開弁方向の付勢力が、該付勢力に対抗す
    る閉弁方向の付勢力を上回るように、 前記主弁体を付勢する付勢力、前記補助弁体を付勢する
    付勢力、前記電磁力付与手段による付勢力、前記主弁に
    おける差圧によって発生する液圧力、前記補助弁におけ
    る差圧によって発生する液圧力を設定することを特徴と
    する請求項1に記載の電磁弁。
  3. 【請求項3】 管路の流路を絞る絞り連通路を備え、所
    定方向に移動して、前記管路を連通する主連通路を前記
    絞り連通路を除いて開閉可能な主弁体を備えた主弁と、 前記主弁の移動方向である所定方向に移動し、前記主弁
    体の絞り連通路を開閉可能な補助弁体を備えた補助弁
    と、 前記主弁体を前記主連通路を開く方向に付勢する主弁体
    付勢手段と、 前記補助弁体を、可動部材を介して前記絞り連通路を閉
    じる方向に付勢する補助弁体付勢手段と、 前記補助弁体付勢手段の付勢力及び前記補助弁における
    差圧によって発生する液圧力に抗して、前記補助弁体を
    前記絞り連通路を開く方向に付勢し、前記補助弁体付勢
    手段の付勢力及び前記主弁における差圧によって発生す
    る液圧力に抗して、前記主弁体を前記主連通路を開く方
    向に付勢する電磁力を、移動部材に付与する電磁力付与
    手段と、 を備え、 前記電磁力付与手段によって、前記移動部材を初期スト
    ローク移動させた後に、前記移動部材により前記補助弁
    体を中期ストローク移動させ、その後前記移動部材によ
    り前記主弁体を後期ストローク移動させる構成を備えた
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁弁。
  4. 【請求項4】 前記移動部材と一体の係止部材が、前記
    主弁体を係止して開弁方向に移動させる構成を有するこ
    とを特徴とする請求項3に記載の電磁弁。
  5. 【請求項5】 前記電磁弁の全閉状態において、 前記移動部材の移動可能距離lと、前記空ストロークs
    と、前記係止部材が前記主弁体に係止するまでの距離h
    とを、l>h>sの関係に設定することを特徴とする請
    求項4に記載の電磁弁。
  6. 【請求項6】 前記主弁体付勢手段は、前記移動部材と
    一体の係止部材に係止して、前記主弁体を開弁方向に付
    勢することを特徴とする請求項4又は5に記載の電磁
    弁。
  7. 【請求項7】 管路の流路を絞る絞り連通路を備え、所
    定方向に移動して、前記管路を連通する主連通路を前記
    絞り連通路を除いて開閉可能な主弁体を備えた主弁と、 前記主弁の移動方向である所定方向に移動し、前記主弁
    体の絞り連通路を開閉可能な補助弁体を備えた補助弁
    と、 前記主弁体を前記主連通路を開く方向に付勢する主弁体
    付勢手段と、 前記補助弁体を、可動部材を介して前記絞り連通路を閉
    じる方向に付勢する補助弁体付勢手段と、 前記補助弁体付勢手段の付勢力及び前記補助弁における
    差圧によって発生する液圧力に抗して、前記補助弁体を
    前記絞り連通路を開く方向に付勢し、前記補助弁体付勢
    手段の付勢力及び前記主弁における差圧によって発生す
    る液圧力に抗して、前記主弁体を前記主連通路を開く方
    向に付勢する電磁力を、移動部材に付与する電磁力付与
    手段と、 を備え、 前記電磁力付与手段により、前記移動部材を初期ストロ
    ーク移動させた後に、前記移動部材により前記補助弁体
    を中期ストローク移動させ、その後前記補助弁体により
    前記主弁体を後期ストローク移動させる構成を備えたこ
    とを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁弁。
  8. 【請求項8】 前記補助弁体が、前記主弁体と一体の係
    止部材に係止して、前記主弁体を移動させて開弁させる
    構成を有することを特徴とする請求項7に記載の電磁
    弁。
  9. 【請求項9】 前記電磁弁の全閉状態において、 前記移動部材の移動可能距離lと、前記空ストロークs
    と、前記補助弁体が前記主弁体の係止部材に係止するま
    での距離hとを、l>h>sの関係に設定することを特
    徴とする請求項8に記載の電磁弁。
  10. 【請求項10】 前記移動部材が、前記主弁体と一体の
    係止部材に係止して、前記主弁体を移動させて開弁させ
    る構成を有することを特徴とする請求項3に記載の電磁
    弁。
  11. 【請求項11】 前記電磁弁の全閉状態において、 前記移動部材の移動可能距離lと、前記空ストロークs
    と、前記移動部材が前記主弁体の係止部材に係止するま
    での距離hとを、l>h>sの関係に設定することを特
    徴とする請求項10に記載の電磁弁。
  12. 【請求項12】 主弁体を有し、大流量を連通・遮断可
    能な主弁と、 補助弁体を有し、小流量を連通・遮断可能な補助弁と、 補助弁体に電磁力を付与して移動させる電磁力付与手段
    と、 を備えた電磁弁において、 前記電磁力付与手段による電磁力の付与によって、 前記補助弁体の第1ストロークの移動により、前記補助
    弁を開弁させ、 その後前記補助弁体の第2ストロークの移動により、前
    記主弁体を直接又は間接的に移動させて前記主弁を開弁
    させる構成を備えたことを特徴とする電磁弁。
  13. 【請求項13】 前記各ストロークにおいて、前記電磁
    力付与手段による開弁方向の付勢力が、該付勢力に対抗
    する閉弁方向の付勢力を上回るように、 前記主弁体を付勢する付勢力、前記補助弁体を付勢する
    付勢力、前記電磁力付与手段による付勢力、前記主弁に
    おける差圧によって発生する液圧力、前記補助弁におけ
    る差圧によって発生する液圧力を設定することを特徴と
    する請求項12に記載の電磁弁。
  14. 【請求項14】 管路の流路を絞る絞り連通路を備え、
    所定方向に移動して、前記管路を連通する主連通路を前
    記絞り連通路を除いて開閉可能な主弁体を備えた主弁
    と、 前記主弁の移動方向である所定方向に移動し、前記主弁
    体の絞り連通路を開閉可能な補助弁体を備えた補助弁
    と、 前記主弁体を前記主連通路を開く方向に付勢する主弁体
    付勢手段と、 前記補助弁体を、前記絞り連通路を閉じる方向に付勢す
    る補助弁体付勢手段と、 前記補助弁体付勢手段の付勢力及び前記補助弁における
    差圧によって発生する液圧力に抗して、前記補助弁体を
    前記絞り連通路を開く方向に付勢し、前記補助弁体付勢
    手段の付勢力及び前記主弁における差圧によって発生す
    る液圧力に抗して、前記主弁体を前記主連通路を開く方
    向に付勢する電磁力を、前記補助弁体に付与する電磁力
    付与手段と、 を備え、 前記電磁力付与手段により、前記補助弁体を第1ストロ
    ーク移動させ、その後前記補助弁体により前記主弁体を
    第2ストローク移動させる構成を備えたことを特徴とす
    る請求項13に記載の電磁弁。
  15. 【請求項15】 前記各ストロークにおいて、前記電磁
    力付与手段による開弁方向の付勢力が、該付勢力に対抗
    する閉弁方向の付勢力を上回るように、 前記補助弁体を付勢する付勢力、前記電磁力付与手段に
    よる付勢力、前記主弁に加わる差圧によって発生する液
    圧力、前記補助弁に加わる差圧によって発生する液圧力
    を設定することを特徴とする請求項12に記載の電磁
    弁。
  16. 【請求項16】 管路の流路を絞る絞り連通路を備え、
    所定方向に移動して、前記管路を連通する主連通路を前
    記絞り連通路を除いて開閉可能な主弁体を備えた主弁
    と、 前記主弁の移動方向である所定方向に移動し、前記主弁
    体の絞り連通路を開閉可能な補助弁体を備えた補助弁
    と、 前記補助弁体を、前記絞り連通路を閉じる方向に付勢す
    る補助弁体付勢手段と、 前記補助弁体付勢手段の付勢力及び前記補助弁における
    差圧によって発生する液圧力に抗して、前記補助弁体を
    前記絞り連通路を開く方向に付勢し、前記補助弁体付勢
    手段の付勢力及び前記主弁における差圧によって発生す
    る液圧力に抗して、前記主弁体を前記主連通路を開く方
    向に付勢する電磁力を、前記補助弁体に付与する電磁力
    付与手段と、 を備え、 前記電磁力付与手段により、前記補助弁体を第1ストロ
    ーク移動させ、その後前記補助弁体により前記主弁体を
    第2ストローク移動させる構成を備えたことを特徴とす
    る請求項15に記載の電磁弁。
  17. 【請求項17】 前記補助弁体が、前記主弁体と一体の
    係止部材に係止して、前記主弁体を移動させて開弁させ
    る構成を有することを特徴とする請求項12〜16のい
    ずれかに記載の電磁弁。
  18. 【請求項18】 前記電磁弁の全閉状態において、 前記移動部材の移動可能距離lと、前記補助弁体が前記
    主弁体の係止部材に係止するまでの距離hとを、l>h
    の関係に設定することを特徴とする請求項17に記載の
    電磁弁。
  19. 【請求項19】 管路の流路を絞る第1絞り連通路を備
    え、所定方向に移動して、前記管路を連通する主連通路
    を前記第1絞り連通路を除いて開閉可能な主弁体を備え
    た主弁と、 前記主弁の移動方向である所定方向に移動し、前記主弁
    体の第1絞り連通路を開閉可能な補助弁体を備えた補助
    弁と、 前記主弁体を前記主連通路を開く方向に付勢する主弁体
    付勢手段と、 前記補助弁体を、前記第1絞り連通路を閉じる方向に付
    勢する補助弁体付勢手段と、 前記補助弁体付勢手段の付勢力に抗して、前記補助弁体
    を前記第1絞り連通路を開く方向に付勢する電磁力を、
    前記補助弁体に付与する電磁力付与手段と、 を備え、 前記第1絞り連通路とは別に、前記主弁体の閉弁方向へ
    の液圧による付勢力を低減するような第2絞り連通路を
    設けたことを特徴とする電磁弁。
  20. 【請求項20】 前記第1絞り連通路は、前記補助弁体
    側とポンプ側とを前記主連通路を介して連通し、前記第
    2絞り連通路は、前記補助弁体側とブレーキ液圧発生手
    段側とを連通することを特徴とする請求項19に記載の
    電磁弁。
  21. 【請求項21】 前記主弁体に液圧による作用力が加わ
    る場合に、前記主弁体に加わる液圧による閉弁方向の付
    勢力と、前記主弁体に加わる液圧による開弁方向の付勢
    力とが、ほぼ同じ又はわずかに開弁方向の付勢力が大で
    あるように、第1絞り連通路及び第2絞り連通路の各絞
    り特性と、前記主弁体の受圧面積とを設定することを特
    徴とする請求項19又は20に記載の電磁弁。
  22. 【請求項22】 前記第1絞り連通路における差圧が、
    前記第2絞り連通路における差圧より大であるように設
    定することを特徴とする請求項21に記載の電磁弁。
  23. 【請求項23】 前記主弁体が、その先端が主連通路に
    着座する凸状の部材であり、 前記第2絞り連通路が、前記主弁体の大径部を軸方向に
    貫く連通路であり、且つ前記大径部の外側壁の径方向に
    は大径部を液密するシール部材が配置されていることを
    特徴とする請求項19〜22のいずれかに記載の電磁
    弁。
  24. 【請求項24】 前記主弁体が、その先端が主連通路に
    着座する凸状の部材であり、 前記第2絞り連通路が、前記主弁体の大径部の外側壁と
    外側部材との間に形成された環状すきまであることを特
    徴とする請求項19〜22のいずれかに記載の電磁弁。
  25. 【請求項25】 前記主弁体が、その先端が主連通路に
    着座する凸状の部材であり、 前記第2絞り連通路が、前記主弁体の大径部の外側壁に
    て軸方向に設けられた溝であることを特徴とする請求項
    19〜22のいずれかに記載の電磁弁。
  26. 【請求項26】 前記電磁弁は、 車両制動時にブレーキ液圧を発生するブレーキ液圧発生
    手段と、車両制動時に車輪制動力を発生する車輪制動力
    発生手段側にブレーキ液を供給するポンプの吸入側と、
    の間の管路に配置される液圧制御弁であり、 前記主弁が閉弁する方向への液圧は、ブレーキ操作によ
    り発生する前記ブレーキ液圧であることを特徴とする請
    求項1〜25のいずれかに記載の電磁弁。
  27. 【請求項27】 車両制動時にブレーキ液圧を発生する
    ブレーキ液圧発生手段と、 車両制動時に車輪制動力を発生する車輪制動力発生手段
    と、 前記ブレーキ液圧発生手段側から前記車輪制動力発生手
    段側にブレーキ液を供給するポンプと、 前記ブレーキ液圧発生手段と前記ポンプの吸入側とを連
    通する管路に配置された液圧制御弁と、 を備え、 前記ポンプを作動させることにより、前記車輪制動力発
    生手段のブレーキ液圧を増圧させるブレーキ制御装置で
    あって、 前記ポンプを作動させてブレーキ液圧を増圧する際に用
    いられる液圧制御弁として、請求項1〜26のいずれか
    に記載の電磁弁を用いることを特徴とするブレーキ制御
    装置。
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