JPH112145A - 筒内噴射型内燃機関 - Google Patents

筒内噴射型内燃機関

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Publication number
JPH112145A
JPH112145A JP9157045A JP15704597A JPH112145A JP H112145 A JPH112145 A JP H112145A JP 9157045 A JP9157045 A JP 9157045A JP 15704597 A JP15704597 A JP 15704597A JP H112145 A JPH112145 A JP H112145A
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JP
Japan
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fuel
pressure
injection
pump
engine
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Pending
Application number
JP9157045A
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English (en)
Inventor
Kazuchika Tajima
一親 田島
Hiroki Tamura
宏記 田村
Hitoshi Kamura
均 加村
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Mitsubishi Motors Corp
Original Assignee
Mitsubishi Motors Corp
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Publication date
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Publication of JPH112145A publication Critical patent/JPH112145A/ja
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

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  • Fuel-Injection Apparatus (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 筒内噴射型内燃機関において、高圧燃料ポン
プにより所定の高燃圧を発生できないような場合にも、
適切に燃料噴射を制御して燃焼安定性を確保できるよう
にする。 【解決手段】 燃焼室24内に直接燃料を噴射する噴射
弁1と、噴射弁1に燃料ポンプ4,5から燃料を圧送す
るポンプ装置と、噴射弁1に作用する燃料圧力を変更す
る燃料圧力変更手段4,5,14と、噴射弁1に作用す
る燃料圧力を検出する燃料圧力検出手段69と、燃料圧
力検出手段69で検出された燃料圧力に基づいて噴射弁
1の作動を制御する制御手段51とをそなえるように構
成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、筒内噴射型内燃機
関に関し、特に、燃料圧力が所定の高圧状態まで立ち上
がる過渡時において適切に燃料噴射制御を行なえるよう
にした、筒内噴射型内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、火花点火式エンジン(一般には、
ガソリンエンジンが対応するので、以下、ガソリンエン
ジンという)において、燃料をシリンダ(燃焼室)内に
直接噴射するようにした、いわゆる筒内噴射型内燃機関
(筒内噴射エンジン)が実用化されている。
【0003】かかる筒内噴射エンジンでは、吸気バルブ
の開閉に関係なく自由なタイミングで燃料噴射を行なえ
るので、例えば予混合燃焼に適したタイミングで燃料噴
射を行なうことによりエンジン出力を向上させることが
でき、例えば層状燃焼に適したタイミング(点火時期に
近い圧縮行程)で燃料噴射を行なうことにより燃費を向
上させることができる。
【0004】このような筒内噴射エンジンでは、このよ
うな性能を発揮するためには高い燃料圧力(燃圧)で燃
料を噴射することが必要になる。つまり、燃料噴射圧力
を上げて燃料噴霧を微粒化し、燃料噴射期間を短縮化さ
せることが、燃焼効率を向上させることができ、予混合
燃焼の場合も層状燃焼の場合も、出力性能,燃費性能の
向上や排出ガスの低減に効果的である。
【0005】また、過給機構をそなえた機関では、過給
時には、過給圧に応じた高い燃料噴射圧力が要求され、
さらに、層状燃焼に適した圧縮行程での燃料噴射にもや
はり高い燃圧が要求される。そこで、筒内噴射型内燃機
関では、このように十分に高い(例えば数十気圧程度)
燃料噴射圧力が得られるように、その燃料供給装置が構
成されている。
【0006】例えば図10は、特開平7−83134号
公報に開示された内燃機関用燃料供給装置を示す。図1
0に示すように、燃料噴射弁(インジェクタ)1を装備
したデリバリパイプ1Aと燃料タンク2との間には、燃
料通路3がそなえられ、この燃料通路3は、燃料タンク
2から燃料噴射弁1へ燃料を送給する送給路3Aと、燃
料噴射弁1で噴射されなかった燃料を燃料タンク2に戻
す返送路3Bとから構成される。そして、送給路3A
に、低圧燃料ポンプ(フィードポンプ)4と高圧燃料ポ
ンプ5とがそなえられる。
【0007】低圧燃料ポンプ4は、送給路3A上流部の
燃料タンク2内に設けられたフィードポンプであって、
燃料タンク2内の燃料を燃料フィルタ6で濾過しながら
吸引してこれを大気圧状態から数気圧程度まで加圧して
送給路3Aの下流側へ圧送する。低圧燃料ポンプ4に
は、電動式ポンプが用いられており、この電動式の低圧
燃料ポンプ4は、エンジンの始動とともに起動しエンジ
ンの停止時には停止するが、エンジンの回転速度に依存
することなく所定の吐出圧を発生できる。
【0008】高圧燃料ポンプ5は、この低圧燃料ポンプ
4から吐出された燃料を数十気圧程度まで加圧するもの
で、高圧燃料ポンプ5には、ポンプ効率やコストの面で
高圧燃料ポンプとして電動式ポンプよりも有利な機関駆
動式ポンプ(以下、エンジン駆動ポンプという)が用い
られており、当然ながら、エンジンと連動して作動し、
エンジンの回転速度に応じて吐出圧を発生する。
【0009】また、低圧燃料ポンプ4から高圧燃料ポン
プ5までの送給路3Aの途中には、逆止弁8及び燃料フ
ィルタ7が介装されており、低圧燃料ポンプ4から吐出
された燃料が燃料フィルタ7により更に濾過され、逆止
弁8によりこの低圧燃料ポンプ4からの吐出圧が維持さ
れるようになっている。また、燃料噴射弁1の下流部分
(返送路3Bの最上流部分)には、高圧燃料ポンプ5か
らの吐出圧を設定圧(例えば50気圧)に調整する高圧
制御弁(高圧レギュレータ)10が設けられている。こ
の高圧制御弁10は、高圧燃料ポンプ5からの吐出圧が
設定圧を越えるまでは閉鎖していて、吐出圧が設定圧を
越えると、この越えた圧力分の燃料を燃料タンク2側へ
返送して、燃料噴射弁1における燃圧を設定圧に安定さ
せる。
【0010】また、高圧燃料ポンプ5の直下流部分に
は、送給路3Aの上流側から下流側へのみ燃料を通過さ
せる逆止弁20が設けられ、さらに、これらの高圧燃料
ポンプ5及び逆止弁20を迂回するように第1バイパス
通路11が設けられ、この第1バイパス通路11には、
送給路3Aの上流側から下流側へのみ燃料を通過させる
逆止弁12が設けられる。
【0011】逆止弁20は、高圧燃料ポンプ5における
逆流を防止するように機能する。逆止弁12は、高圧燃
料ポンプ5の吐出圧が低く、高圧燃料ポンプ5の上流側
よりも下流側の方が燃圧が低いときに第1バイパス通路
11を開放し、高圧燃料ポンプ5の吐出圧が高まり高圧
燃料ポンプ5の上流側よりも下流側の方が燃圧が高くな
ると第1バイパス通路11を閉鎖する。
【0012】さらに、高圧制御弁10を迂回するように
第2バイパス通路13が設けられており、高圧燃料ポン
プ5の吐出圧が高まる前の高圧制御弁10の閉鎖時に、
この第2バイパス通路13を通じて燃料通路3内の燃料
が燃料タンク2側へ返戻しうるようにして、この返戻す
る燃料流と共に燃料噴射弁1の近傍に含有したベーパ
(気泡)が排出しうるようになっている。
【0013】もちろん、この第2バイパス通路13が開
通していると、当然ながら高圧燃料ポンプ5の吐出圧が
高まっても燃圧は高まらず高圧燃料噴射ができないの
で、この第2バイパス通路13にはコントローラ(EC
U)51により制御される電磁切換弁14が介設されて
おり、始動直後(イグニッションキースイッチ52が入
力されてから所定時間内)のみ電磁切換弁14が開放さ
れ、その後のエンジン作動時やエンジン停止時には電磁
切換弁14が閉鎖されるようになっている。
【0014】これにより、始動直後、高圧燃料ポンプ5
の吐出圧が高まるまでの間は、第2バイパス通路13を
開通させることで燃料内のベーパを速やかに排出するこ
とができ、その後、第2バイパス通路13を閉鎖するこ
とで、高圧制御弁10を通じて燃圧を所定圧まで高める
ことができ、高い燃圧による通常運転を行なえるように
なっている。
【0015】なお、図10に示すように、送給路3Aの
高圧燃料ポンプ5よりも上流側には、燃料ポンプ2に至
る分岐路9Aが設けられ、この分岐路9Aには、低圧燃
料ポンプ4からの燃圧が所定の低圧値以上にならないよ
うに安定させる低圧制御弁(低圧レギュレータ)9が設
けられている。さらに、高圧燃料ポンプ5の直上流部に
は、ダンパ18が設けられており、このダンパ18によ
って低圧燃料ポンプ4からの吐出脈動が抑制され、高圧
燃料ポンプ5側(燃料噴射弁1側)へ供給する燃圧が安
定するようになっている。
【0016】また、デリバリパイプ1Aの直上流部にも
アキュムレータ19が設けられており、このアキュムレ
ータ19によって高圧燃料ポンプ5の吐出脈動が抑制さ
れ、デリバリパイプ1Aへ供給する燃圧が安定するよう
になっている。また、第2バイパス通路13(ここで
は、電磁切換弁14の下流側)には、燃料噴射弁1部分
の燃料圧力を所定の低圧に保持しうる燃料圧力保持機構
(絞り)15が設けられ、この絞り15により、エンジ
ンの始動直後、第2バイパス通路13が開放した際に、
低圧制御弁9で制御される設定圧に近い程度の燃料圧力
が得られるようになっている。
【0017】また、第2バイパス通路13よりも下流の
返送路3Bにも、低圧制御弁(低圧レギュレータ)17
が設けられており、この低圧レギュレータ17により第
2バイパス通路13の開通時の燃圧が所定の低圧値を越
えないように調整される。ここでは、2つの低圧レギュ
レータ9,17が設けられるが、実際の燃圧調整にかか
るのは、低圧レギュレータ17であり、低圧レギュレー
タ9はむしろ燃圧を安定化させる機能を果たしている。
【0018】なお、これらの低圧レギュレータ9,17
は、高圧レギュレータ10と同様に、燃料圧力が設定圧
を越えるまでは閉鎖し、設定圧を越えるとこの越えた圧
力分の燃料を燃料タンク2側へ返送して燃料噴射弁1に
おける燃圧を設定圧に安定させる。また、燃料噴射弁1
の作動は、コントローラ(ECU)51によりコンピュ
ータ制御される。つまり、コントローラ51では、エン
ジン回転数や吸入空気量等の情報に応じた量及びタイミ
ングで燃料が噴射されるように、燃料噴射弁1の駆動パ
ルス幅と駆動パルス発信タイミングを設定し、この設定
したパルス幅及びタンミングで駆動パルスを発して燃料
噴射弁1を作動(燃料噴射)させる。
【0019】コントローラ51では、このような燃料噴
射弁1の駆動制御とともに、電磁切換弁14による第2
バイパス通路13の開閉制御を行なうが、燃料噴射弁1
の駆動制御は第2バイパス通路13の開閉制御と連動し
て行なう。つまり、エンジンの始動時には電磁切換弁1
4を開放し第2バイパス通路13を開通させるとともに
低圧燃料噴射モードで燃料噴射弁1の駆動制御を行な
い、その後は、電磁切換弁14を閉鎖し第2バイパス通
路13を閉鎖するとともに高圧燃料噴射モード(通常運
転モード)で燃料噴射弁1の駆動制御を行なう。
【0020】このように電磁切換弁14の開閉に対応し
て燃料噴射モードを切り換えるのは、電磁切換弁14の
開閉に応じて燃圧が変化するためである。つまり、燃料
噴射量は燃圧と噴射期間とから決まり、噴射期間が一定
でも燃圧が高ければ燃料噴射量は多くなり、また、イン
ジェクタ無駄時間はバッテリ電圧により変化するほか、
燃圧に応じても変化する。そこで、燃料噴射弁1による
燃料噴射期間、即ちパルス幅を規定するインジェクタゲ
インとインジェクタ無駄時間とを、燃圧が高いときは高
圧燃料噴射モードに、燃圧が低いときは低圧燃料噴射モ
ードにと、異なるモードに設定しているのである。
【0021】なお、始動時における電磁切換弁14及び
燃料噴射モードの切換タイミングは、始動後エンジン回
転数が所定値に達したら行なうようにしたり、エンジン
始動後所定時間が経過したら行なうようにするなどが考
えられ、いずれにしても、電磁切換弁14を開放から閉
鎖へ切り換えるのと同時に、燃料噴射モードを低圧燃料
噴射モードから高圧燃料噴射モードへと切り換える。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
従来の筒内噴射型内燃機関の燃料供給装置では、電磁切
換弁14を開放から閉鎖へと切換指令しても、第2バイ
パス通路13がすぐに閉鎖するわけではなく、さらに、
第2バイパス通路13が閉鎖しても、すぐに燃圧が所定
の高圧状態に上昇するわけではなく、電磁切換弁14の
切換に対する燃圧上昇には、応答遅れが発生してしま
う。
【0023】この応答遅れの間には、燃圧が所定の高圧
に達していないにもかかわらず、燃料噴射モードは高圧
燃料噴射モードへと切り換えられ、所定の高い燃圧に応
じた高圧燃料噴射モードで噴射弁1が制御される。この
ため、電磁切換弁14及び燃料噴射モードの切換直後
に、空気量と燃料量とのバランス(即ち、空燃比)が狂
って、燃焼が不安定となる。
【0024】前述のように、噴射時間が一定であれば
(即ち、エンジン回転数及び噴射期間が一定であれ
ば)、燃圧が高いほど燃料噴射量は多くなり逆に燃圧が
低いほど燃料噴射量は少なくなる。したがって、高圧燃
料噴射モードでは、高い燃圧に応じて燃料噴射弁1の駆
動時間(即ち、燃料噴射期間)が比較的短い期間に設定
され制御が行なわれる。
【0025】このため、高圧燃料噴射モードで燃料噴射
弁1の作動を制御しているが、実際の燃圧はまだ設定さ
れた高燃圧に達していないという場合には、実際の燃圧
に見合った燃料噴射期間よりも短い期間で燃料噴射が行
なわれることになり、燃料不足(即ち、空燃比が大き過
ぎる状態)を招き、燃焼が不安定になり、エンジン回転
数も不安定になるのである。
【0026】例えば図11は電磁切換弁14及び燃料噴
射モードの切換に伴う燃圧及びエンジン回転数の変化を
示すもので、高圧燃料噴射モードへの切換時に、燃焼が
不安定となることから、エンジン回転数は、滑らかに上
昇せずに、符号Aを付すように一旦停滞していわゆる二
段モーションのように段をつけた上昇特性になり、運転
フィーリングを損ねるという不具合がある。もちろん、
極めて短時間ではあるがこのように燃焼が不安定になる
と、排出ガス上も好ましくはない。
【0027】また、上述の従来の筒内噴射型内燃機関の
燃料供給装置では、例えば高圧燃料ポンプが故障するな
どして燃圧が所定の高圧状態まで上昇しないような事態
が生じても、これを検知する手段がないため、上述のモ
ード切換の過渡時と同様に、空気量と燃料量とのバラン
ス(即ち、空燃比)が狂って、燃焼が不安定となり、エ
ンジンストールに陥るおそれがある。
【0028】つまり、始動後所定時間が過ぎると、或い
は、始動後エンジン回転数が所定値を越えると、燃料噴
射モードは低圧燃料噴射モードから高圧燃料噴射モード
へと切り換えられ、高い燃圧に応じて燃料噴射弁1が制
御されるようになる。しかし、実際の燃圧は所定の高燃
圧には達せず、実際の燃圧に見合った燃料噴射期間より
も短い期間で燃料噴射が行なわれることになり、燃料不
足(即ち、空燃比が大き過ぎる状態)を招き、燃焼が不
安定になるのである。
【0029】ところで、燃料圧力を検出してこれを燃料
噴射制御に反映させる技術は、従来より各種提案されて
おり、例えば特開昭63−268940号公報には、燃
圧情報から燃料噴射弁内にベーパが生じているか否かを
判定し、ベーパが生じていると判定しうるときには燃料
噴射を増加させる技術が開示されているが、条件の異な
る制御であり、このままでは、上述の課題を解決しえな
い。
【0030】また、特開昭61−255234号公報に
は、燃料噴射弁への給電電圧が低下すると燃料噴射量が
減少するので、これを回避するために、給電電圧が低下
すると燃圧が低下する点に着目し、燃圧が低下時には、
燃料噴射時間を長くさせる技術が開示されているが、上
述の課題とは前提条件が異なり、このままでは、上述の
課題を解決しえない。
【0031】本発明は、上述の課題に鑑み創案されたも
ので、高圧燃料ポンプにより所定の高燃圧を発生できな
いような場合にも、適切に燃料噴射を制御して燃焼安定
性を確保できるようにした、筒内噴射型内燃機関を提供
することを目的とする。
【0032】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1記載
の本発明の筒内噴射型内燃機関は、該ポンプ装置により
噴射弁に燃料ポンプから燃料を圧送することで、噴射弁
により燃焼室内に直接燃料を噴射し、この噴射弁に作用
する燃料圧力が、燃料圧力変更手段によって変更され
る。
【0033】この際、噴射弁に作用する燃料圧力が燃料
圧力検出手段により検出されて、制御手段が、この燃料
圧力検出手段で検出された燃料圧力に基づいて該噴射弁
の作動を制御するように構成しているので、燃料圧力変
更手段によって燃料圧力が変化した場合にも、噴射弁に
よる燃焼室内への燃料供給は、常にその時の燃料圧力に
応じて行なわれるようになり、燃料供給量も適切に制御
されるようになる。
【0034】請求項2記載の本発明の筒内噴射型内燃機
関は、該噴射弁の下流に設けられた該燃料圧力変更手段
により、該内燃機関の始動時には該燃料圧力を第1の圧
力に調整し、該内燃機関の通常運転時には該燃料圧力を
該第1の圧力よりも高い第2の圧力に調整するように構
成しているので、始動時に確実に燃料圧力を調整するこ
とができ、この燃料圧力調整に応じて燃料供給量も適切
に制御されるようになる。
【0035】請求項3記載の本発明の筒内噴射型内燃機
関は、該ポンプ装置が、低圧燃料ポンプと、高圧燃料ポ
ンプと、バイパス手段とからなり、燃料タンク内の燃料
は、低圧燃料ポンプで加圧吐出されて高圧燃料ポンプに
送られ、この高圧燃料ポンプでさらに加圧されて噴射弁
に供給されるようになっており、高圧燃料ポンプの吐出
圧が所定圧以下のときには、バイパス手段を通じて低圧
燃料ポンプからの吐出燃料が噴射弁に供給されるため、
高圧燃料ポンプの吐出圧が所定圧以下であっても、低圧
燃料ポンプの吐出圧を利用して噴射弁からの燃料噴射が
可能になる。
【0036】なお、高圧燃料ポンプは、ポンプ効率やコ
スト面を考慮すると、内燃機関駆動式のポンプであるこ
とが好ましい。このように高圧燃料ポンプとして内燃機
関駆動式のポンプを用いた場合、内燃機関の始動と共に
高圧燃料ポンプが起動するが、高圧燃料ポンプの吐出圧
が所定の高い圧力まで達するには時間遅れが生じるが、
上述のように、高圧燃料ポンプの吐出圧が所定圧以下で
あっても、低圧燃料ポンプの吐出圧を利用して噴射弁か
らの燃料噴射を支障なく行なわれる。
【0037】請求項4記載の本発明の筒内噴射型内燃機
では、燃焼室内の圧力が高い圧縮行程での燃料噴射は、
燃料圧力が所定圧以下の場合には行なわれないため、高
圧な燃焼室内への低圧な燃料噴射により生じる噴射弁側
への吸入空気の逆流を防止し、且つ、燃焼室内へ安定し
て燃料を供給することができ、燃料圧力が所定圧以上の
場合には、圧縮行程での燃料噴射も許容されるようにな
り、要求される燃料噴射量の多い場合に、吸気行程から
圧縮行程に亘って燃料噴射を行なうようにすることがで
きる。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、図面により、本発明の実施
の形態について説明すると、図1〜図6は本発明の第1
実施形態としての筒内噴射型内燃機関を示すものであ
り、図7〜図9は本発明の第2実施形態としての筒内噴
射型内燃機関を示すものであり、これらの図に基づいて
説明する。
【0039】まず、第1実施形態にかかる火花点火式筒
内噴射型内燃機関(以下、筒内噴射エンジンともいう)
の構成について、図2を参照して説明する。図2に示す
ように、エンジン本体21の各シリンダ(気筒)22内
のピストン23上方には燃焼室24がそなえられ、この
燃焼室24に、吸気通路25が導かれている。吸気通路
25は、上流側からエアフィルタ26,吸気管27,ス
ロットルボディ28,サージタンク29,吸気マニホー
ルド30の順で接続され、スロットルボディ28には、
スロットルバルブ31が内蔵される。
【0040】また、スロットルボディ28を迂回するよ
うに、エアバイパス通路32がそなえられ、スロットル
バルブ31の開度が小さくてこのエアバイパス通路32
を通じて燃焼室24の吸気量を増大させうるようになっ
ている。このエアバイパス通路32には、テッパモータ
で所要開度に調整されるか、電磁弁のデューティ制御に
より開度調整されるエアバイパスバルブ33が介装され
ている。
【0041】また、スロットルボディ28には、アイド
ル運転時の吸気量調整を行なうアイドルスピードコント
ロール部34がそなえられ、アイドルスピードコントロ
ール部34は、スロットルバルブ31(吸気通路25)
を迂回するエアバイパス通路35とエアバイパス通路3
5を開閉するエアバイパスバルブ36とから構成され、
エアバイパスバルブ36は例えば図示しないステッパモ
ータで駆動される。
【0042】これらのエアバイパスバルブ33,36の
各開閉制御は、コントローラとしての電子制御装置(E
CU)51を通じて行なわれる。また、燃焼室24には
排気通路37が接続されており、前記吸気通路25及び
この排気通路37の燃焼室24への開口部、即ち吸気ポ
ート25A及び排気ポート37Aには、吸気弁38及び
排気弁39が装備されている。
【0043】そして、本エンジンでは、燃料噴射弁(イ
ンジェクタ)1は、各シリンダ22において、燃焼室2
4へ直接燃料噴射するように配設されている。ところ
で、本筒内噴射エンジンの燃料供給系に着目すると、図
2,図3に示すように、燃料タンク2と燃料噴射弁(イ
ンジェクタ)1を装備したデリバリパイプ1Aとの間に
は、燃料タンク2から燃料噴射弁1へ燃料を送給する送
給路3Aと、燃料噴射弁1で噴射されなかった燃料を燃
料タンク2に戻す返送路3Bとから構成された、燃料通
路3がそなえられている。そして、送給路3Aに、低圧
燃料ポンプ(フィードポンプ)4と高圧燃料ポンプ5と
がそなえられる。
【0044】低圧燃料ポンプ4は、送給路3A上流部の
燃料タンク2内に設けられたフィードポンプであって、
燃料タンク2内の燃料を燃料フィルタ6で濾過しながら
吸引してこれを大気圧状態から数気圧程度まで加圧して
送給路3Aの下流側へ駆動する。低圧燃料ポンプ4に
は、電動式ポンプが用いられており、この電動式の低圧
燃料ポンプ4は、エンジンの始動とともに起動しエンジ
ンの停止時には停止するが、エンジンの回転速度に依存
することなく所定の吐出圧を発生できる。
【0045】高圧燃料ポンプ5は、この低圧燃料ポンプ
4から吐出された燃料を数十気圧程度まで加圧するもの
で、高圧燃料ポンプ5には、ポンプ効率やコストの面で
高圧燃料ポンプとして電動式ポンプよりも有利な機関駆
動式ポンプ(以下、エンジン駆動ポンプという)が用い
られており、当然ながら、エンジンと連動して作動し、
エンジンの回転速度に応じて吐出圧を発生する。
【0046】したがって、このような低圧燃料ポンプ4
と高圧燃料ポンプ5との組み合わせから、始動時には燃
圧が低圧状態から高圧状態へと変更されていくことにな
り、これらの低圧燃料ポンプ4と高圧燃料ポンプ5とか
ら、噴射弁1に作用する燃料圧力を変更する燃料圧力変
更手段が構成される。また、低圧燃料ポンプ4から高圧
燃料ポンプ5までの送給路3Aの途中には、逆止弁8及
び燃料フィルタ7が介装されており、低圧燃料ポンプ4
から吐出された燃料が燃料フィルタ7により更に濾過さ
れ、逆止弁8によりこの低圧燃料ポンプ4からの吐出圧
が維持されるようになっている。
【0047】また、燃料噴射弁1の下流部分(返送路3
Bの最上流部分)には、高圧燃料ポンプ5からの吐出圧
を設定圧(例えば50気圧)に調整する高圧制御弁(高
圧レギュレータ)10が設けられている。この高圧制御
弁10は、高圧燃料ポンプ5からの吐出圧が設定圧を越
えるまでは閉鎖していて、吐出圧が設定圧を越えると、
この越えた圧力分の燃料を燃料タンク2側へ返送して、
燃料噴射弁1における燃圧を設定圧に安定させるように
なっている。
【0048】また、高圧燃料ポンプ5の直下流部分に
は、送給路3Aの上流側から下流側へのみ燃料を通過さ
せる逆止弁20が設けられ、さらに、これらの高圧燃料
ポンプ5及び逆止弁20を迂回するようにバイパス通路
11が設けられ、このバイパス通路11には、送給路3
Aの上流側から下流側へのみ燃料を通過させる逆止弁1
2が設けられており、これらのバイパス通路11及び逆
止弁12からバイパス手段が構成される。
【0049】逆止弁20は、高圧燃料ポンプ5における
逆流を防止するように機能する。逆止弁12は、高圧燃
料ポンプ5の吐出圧が低く、高圧燃料ポンプ5の上流側
よりも下流側の方が燃圧が低いときにバイパス通路11
を開放し、高圧燃料ポンプ5の吐出圧が高まり高圧燃料
ポンプ5の上流側よりも下流側の方が燃圧が高くなると
バイパス通路11を閉鎖するようになっている。
【0050】さらに、送給路3Aの高圧燃料ポンプ5よ
りも上流側には、燃料ポンプ2に至る分岐路9Aが設け
られ、この分岐路9Aには、低圧燃料ポンプ4からの燃
圧が所定の低圧値以上にならないように安定させる低圧
制御弁(低圧レギュレータ)9が設けられている。ま
た、高圧燃料ポンプ5の直上流部には、ダンパ18が設
けられており、このダンパ18によって低圧燃料ポンプ
4からの吐出脈動が抑制され、高圧燃料ポンプ5側(燃
料噴射弁1側)へ供給する燃圧が安定するようになって
いる。
【0051】また、デリバリパイプ1Aの直上流部にも
アキュムレータ19が設けられており、このアキュムレ
ータ19によって高圧燃料ポンプ5の吐出脈動が抑制さ
れ、デリバリパイプ1Aへ供給する燃圧が安定するよう
になっている。なお、低圧レギュレータ9は、高圧レギ
ュレータ10と同様に、燃料圧力(以下、単に燃圧とも
言う)が設定圧を越えるまでは閉鎖し、設定圧を越える
とこの越えた圧力分の燃料を燃料タンク2側へ返送する
もので、燃料噴射弁1における燃圧を設定圧に安定させ
るように作動する。
【0052】ところで、本エンジンでは、エンジンが始
動したら(イグニッションキースイッチ52が入力され
たら)、ECU51により、図2に示すように、インジ
ェクタ1,点火プラグ45(図示略),エアバイパスバ
ルブ33,36が制御され、これにより、燃料噴射量や
燃料噴射タイミングや点火時期や吸気量(空燃比)とい
ったエンジン制御要素が制御されるようになっている。
【0053】このような制御を行なうために、本エンジ
ンには、吸気温度センサ61,スロットル開度を検出す
るスロットルポジションセンサ(TPS)62,アイド
ルスイッチ63,第1気筒検出センサ64,クランク角
センサ65,エンジンの冷却水温を検出する水温センサ
66,排ガス中の酸素濃度を検出するO2 センサ67,
エアフローセンサ68,エアコンスイッチ(図示略),
変速ポジションセンサ(図示略),車速センサ(図示
略),パワーステアリングの作動状態を検出するパワス
テスイッチ(図示略),スタータスイッチ(図示略)等
が設けられており、これらのセンサはECU51に接続
されている。
【0054】なお、ECU51内には、クランク角セン
サ65に基づいて機関回転数(エンジン回転数)を算出
する機能がそなえられている。さらに、本エンジンで
は、これらのセンサ類に加えて、インジェクタ1に作用
する燃圧(インジェクタ1から噴射される燃料圧力)を
検出する燃圧センサ(燃料圧力検出手段)69が設けら
れており、燃圧検出情報がECU51に入力されるよう
になっている。なお、図3に示すように、燃圧センサ6
9をデリバリパイプ1Aの下流側のデリバリパイプ1A
に近い位置に設置することで、燃圧を精度よく検出する
ことができる。
【0055】ここで、ECU51を通じて制御される本
エンジンに関する制御内容について説明する。本エンジ
ンでは、燃焼室24内に均一に燃料を噴射することで成
立しうる予混合燃焼と、燃焼室24内に臨んだ点火プラ
グ(図示略)の周囲に噴射燃料を偏在させることで成立
しうる層状燃焼とを運転状態に応じて切り替えるエンジ
ンであり、エンジンの運転モードとして、圧縮行程で燃
料を噴射することで上記の層状燃焼運転を行なう層状燃
焼モードと、主として吸気行程で燃料を噴射することで
上記の予混合燃焼運転を行なう予混合燃焼モードとが設
けられている。
【0056】さらに、層状燃焼モードとして、層状燃焼
により燃料の極めて希薄な状態(即ち、空燃比が理論空
燃比よりも極めて大)での運転(超リーン燃焼運転)を
行なう超リーン運転モード(圧縮リーン運転モード)が
設けられている。また、予混合燃焼モードとしては、超
リーン運転モードほどではないが燃料の希薄な状態(即
ち、空燃比が理論空燃比よりも大)で運転を行なうリー
ン運転モード(吸気リーン運転モード)と、空燃比が理
論空燃比となるようにO2 センサ情報等に基づいてフィ
ードバック制御を行なうストイキオ運転モード(ストイ
キオフィードバック運転モード)と、燃料の過濃な状態
(即ち、空燃比が理論空燃比よりも小)で運転を行なう
エンリッチ運転モード(オープンループモード)とが設
けられている。
【0057】なお、圧縮リーン運転モードでは、最も希
薄な燃焼(空燃比が30〜40程度又はそれ以上)を実
現でき、このモードでは、燃料噴射を圧縮行程後期のよ
うに極めて点火時期に近い段階で行ない、しかも燃料を
点火プラグの近傍に集めて部分的にはリッチにし全体的
にはリーンとしながら着火性,燃焼安定性を確保しつつ
節約運転を行なうことができる。
【0058】吸気リーン運転モードも希薄燃焼(空燃比
が20〜24程度)を実現できるが、このモードでは、
燃料噴射を圧縮リーン運転モードよりも前の吸気行程に
行ない、燃料を燃焼室内に拡散させて全体空燃比をリー
ンにしながら着火性,燃焼安定性を確保しつつある程度
の出力を確保するようにして、節約運転を行なうことが
できる。
【0059】ストイキオ運転モードは、O2センサの出
力に基づいて、空燃比をストイキオ又はストイキオ近傍
の状態に維持しながら十分なエンジン出力を効率よく得
られるようにしている。また、オープンループ燃焼運転
モードでは、加速時や発進時等に十分な出力が得られる
ように、オープンループ制御によりストイキオ又はこれ
よりもリッチな空燃比(エンリッチ)での燃焼運転を行
なう。
【0060】このような空燃比や燃焼形態にかかるモー
ド設定に応じて、燃料噴射弁1を通じた燃料噴射量の制
御や燃料噴射タンミングの制御,エアバイパスバルブ3
3,36を通じた吸気量の制御,点火プラグの駆動を通
じた点火時期の制御が行なわれる。このため、本エンジ
ンには、図1に示すように、各種センサからエンジンの
始動を検出する始動検出手段51Aと、始動検出手段5
1Aで始動が検出されたら各種センサからエンジンの運
転状態を判定する運転状態判定手段51Bと、運転状態
判定手段51Bの判定結果に基づいて運転モード(上記
の空燃比や燃焼形態にかかるモード)を選択する運転モ
ード選択手段51Cが設けられている。
【0061】本エンジンでは、燃料噴射制御に特徴があ
り、図1に示すように、この燃料噴射制御を行なう燃料
噴射制御手段51Dは、運転モード選択手段51Cで選
択された運転モードと、燃圧センサ69で検出された燃
圧情報と、他の各種センサ〔水温センサ66,クランク
角センサ(エンジン回転数センサ)65,エアフローセ
ンサ68等〕で検出された検出情報とから燃料噴射期間
及び燃料噴射タイミングを設定して燃料噴射弁1の制御
を行なうようになっている。
【0062】通常、燃料噴射制御手段51Dでは、エン
ジン回転数や吸入空気量等の各検出情報に応じて、燃料
噴射弁1の駆動パルス幅(即ち、噴射量)と駆動パルス
発信タイミング(即ち、噴射タイミング)を設定し、こ
の設定したパルス幅及びタンミングで駆動パルスを発し
て燃料噴射弁1を作動させ燃料を噴射するが、本エンジ
ンでは、これに燃圧情報も加えてパルス幅及びタンミン
グを設定するようになっている。
【0063】つまり、例えば始動時のインジェクション
パルス幅PWは、一般には、冷却水温WTに応じた始動
パルス幅TST(WT)、始動時の行程数に応じた始動時
行程数補正係数KSGT(IG)、始動時のエンジン回転
数Neに応じた始動時回転数補正係数KCRK(Ne)、
吸気圧又は吸気流量に応じた吸気補正係数KAP、及び
インジェクタ無駄時間TDから、次式により算出され
る。
【0064】 PW=TST(WT)×KSGT(IG)×KCRK(Ne)×KAP+TD ・・・(1) これに対して、本エンジンによる始動時のインジェクシ
ョンパルス幅PWは、上記の水温対応基本始動パルス幅
TST(WT),始動時行程数補正係数KSGT(IG),
始動時回転数補正係数KCRK(Ne),吸気補正係数K
AP及びインジェクタ無駄時間TDに加えて、燃圧に応
じた補正係数(燃圧補正係数)KFP、冷却水温が所定
水温以下の場合における燃料性状を考慮した補正係数K
MIXを用いて、次式により算出されるようになってい
る。
【0065】 PW=TST(WT)×KSGT(IG)×KCRK(Ne)×KAP×KFP ×KMIX+TD ・・・(2) このように、始動時のインジェクションパルス幅(燃料
噴射期間)PWを、燃圧も考慮して設定しているのは、
以下の理由による。つまり、通常運転時、即ち、始動直
後を除いた運転時には、燃圧は、一般に高圧制御弁10
で調圧された高い設定圧力(数十気圧レベル)PH とな
るので、この高い設定圧力PH に応じて、燃料噴射制御
(燃料噴射弁1の制御)や吸気量制御や点火時期制御が
行なわれるようになっている。
【0066】ところが、電動式ポンプである低圧燃料ポ
ンプ4は始動時に速やかに起動してその吐出圧が比較的
速やかに低圧レギュレータ9で調圧される設定圧力(数
気圧程度の比較的低い圧力)PL 程度まで達するのに対
して、エンジン駆動式ポンプである高圧燃料ポンプ5
は、エンジンの回転に応じて吐出圧が高まっていくた
め、吐出圧が設定圧力PH 以上に上昇するには時間がか
かる。
【0067】したがって、始動時には、はじめは高圧燃
料ポンプ5の吐出圧が低いため、バイパス通路11を通
じて、低圧燃料ポンプ4から吐出された燃料が低圧レギ
ュレータ9で調圧される設定圧力PL 以内の燃圧でデリ
バリパイプ1Aから各燃料噴射弁1へ供給され、各燃料
噴射弁1からこの低い燃圧(低圧燃料ポンプ4設定圧力
L 以下の圧力)で燃焼室24へ噴射される。
【0068】そして、高圧燃料ポンプ5の吐出圧が高ま
ると、この高圧燃料ポンプ5で高められた燃圧に応じて
各燃料噴射弁1から燃料噴射が行なわれるようになる。
高圧燃料ポンプ5が通常作動するようになれば、高圧制
御弁10により高い設定圧力PH に燃圧調整され、各燃
料噴射弁1からこの設定圧力PH の燃圧で燃料噴射され
る。
【0069】このように高圧燃料ポンプ5の吐出圧が所
定の圧力域まで高まるのは、低圧燃料ポンプ4に比べれ
ば時間がかかるものの、エンジンが円滑に始動すれば僅
かな時間であり、エンジン運転の大部分は、燃圧をこの
ような高い設定圧力PH に調整しながら燃料噴射が行な
われる。そこで、本エンジンでは、この高い設定圧力P
H に対応して燃料噴射弁1の制御量等を設定するように
なっている。すなわち、水温対応基本始動パルス幅TS
T(WT)は高い設定圧力PH に対応して設定されている
のである。
【0070】しかしながら、高圧燃料ポンプ5が通常作
動するまでの間には、燃圧がこの高いが設定圧力PH
りも低い過渡状態が発生する。そこで、このような低燃
圧時に対応すべく、パルス幅PWが燃圧補正係数KFP
に応じて補正されるようになっているのである。ここ
で、燃圧補正係数KFPについて説明すると、この燃圧
補正係数KFPは、燃圧センサ69で検出された燃圧値
F に対して例えば図4に示すような特性に設定され
る。図4に示すように、燃圧補正係数KFPは、燃圧が
設定圧力PHに達した場合には1.0となり、燃圧が設
定圧力PH に達するまでの間は、燃圧が低いほど1.0
よりも大きな値となるように設定されている。
【0071】したがって、燃圧が低いほどパルス幅PW
が長くなることになる。これは、一定の燃料噴射量を得
るためには、燃圧が低いほど長い噴射期間で燃料噴射を
行なう必要があるためである。このように、燃圧補正係
数KFPにより、燃圧が設定圧力PH よりも低ければ低
いほど、通常時(設定圧力PH の場合)よりもパルス幅
PWが長く調整されるようになり、水温対応基本始動パ
ルス幅TST(WT)が燃圧PH に対応して設定されて
も、燃圧に応じたパルス幅PWが設定されることにな
る。
【0072】また、本エンジンでは、シリンダ22内に
直接燃料噴射を行なうため圧縮行程噴射を行なうことが
できるが、圧縮行程時には筒内圧が高いため、特に、始
動時のように燃圧が低い場合に、圧縮行程噴射を行なう
と燃焼室内に吸入された吸入空気が燃料噴射弁1内に逆
流して安定した燃料供給ができなくなるおそれがある。
【0073】そこで、本エンジンでは、燃圧が、上述の
ような吸入空気の逆流による不十分な燃料供給のおそれ
のない基準値以上にならないと、圧縮行程噴射を禁止す
るように設定されている。つまり、エンジンの運転モー
ドとして、圧縮行程で燃料を噴射する層状燃焼モードを
禁止して、主として吸気行程で燃料を噴射する予混合燃
焼モードの中からいずれかを選択し、しかも、この予混
合燃焼モードでも燃料噴射終了時期が圧縮行程まで進入
しないように設定される。
【0074】なお、予混合燃焼モードには、吸気リーン
運転モード,ストイキオ運転モード,エンリッチ運転モ
ードがあるが、これらのモードでは主として吸気行程で
燃料を噴射するが、一般には、燃料噴射終了時期が圧縮
行程まで進入することも許容されている。また、燃圧が
低い場合には、ストイキオ運転モードを選択するのが、
最も一般的である。
【0075】もちろん、燃圧が基準値以上になれば、圧
縮行程噴射を許容するようになり、例えばエンジン回転
数やエンジン負荷等の他のエンジン運転状態に応じて圧
縮行程噴射を設定しうるようになっている。本発明の第
1実施形態としての筒内噴射型内燃機関は、上述のよう
に構成されているので、イグニッションキースイッチ5
2が入力されエンジンが始動したら、ECU51によ
り、インジェクタ1,点火プラグ45(図示略),エア
バイパスバルブ33,36が制御され、これにより、燃
料噴射量や燃料噴射タイミングや点火時期や吸気量(空
燃比)といったエンジン制御要素が制御される。
【0076】本エンジンの特徴である燃料噴射制御につ
いて説明すると、図5に示すように、まず、イグニッシ
ョンキースイッチ52がオンか否か(ステップA10)
及びエンジンが作動しているか否か(ステップA20)
を判定する。エンジンが始動するとこれらの判定がYe
sとなり、エンジンストール(エンスト)時にはステッ
プA20でNo判定される。
【0077】キースイッチ52がオンとなり且つエンジ
ンが作動していれば、ステップA30に進み、燃圧セン
サ69により燃圧を検出しこれをECU51内に取り込
む。そして、検出された燃圧に基づき、燃料噴射量及び
燃料噴射時期を設定し(ステップA40)、設定された
燃料噴射量及び燃料噴射時期に応じて燃料噴射弁1が駆
動される(ステップA50)。
【0078】つまり、燃料噴射量の設定については、前
式(2)により、水温対応基本始動パルス幅TST(W
T),始動時行程数補正係数KSGT(IG),始動時回
転数補正係数KCRK(Ne),吸気補正係数KAP及び
インジェクタ無駄時間TDに加えて、燃圧に応じた補正
係数(燃圧補正係数)KFP,冷却水温が所定水温以下
の場合に燃料性状を考慮した補正係数KMIXを用い
て、インジェクションパルス幅PWを算出する。
【0079】このように、燃圧も考慮してインジェクシ
ョンパルス幅(燃料噴射期間)PWを設定することで、
燃圧が所定圧に達しない場合にも燃料噴射量が適切に制
御されることになり、エンジンの燃焼を安定して行なう
ことができるようになる。つまり、始動時には、エンジ
ン駆動式ポンプである高圧燃料ポンプ5はエンジンの回
転に応じて吐出圧が高まっていくため、高圧燃料ポンプ
5の吐出圧が設定圧力PH 以上に上昇するには時間がか
かり、始動直後には、高圧燃料ポンプ5の吐出圧が低い
ため、バイパス手段即ちバイパス通路11を通じて低圧
燃料ポンプ4から吐出された燃料が高圧燃料ポンプ5で
加圧されることなくデリバリパイプ1Aから各燃料噴射
弁1へ供給される。
【0080】この後は、高圧燃料ポンプ5の吐出圧が高
まり、燃圧が高い設定圧力PH に達するようになるが、
このように、始動から設定圧力PH に達するまでの過渡
時には、設定圧力PH よりも低い燃圧状態となり、しか
も、この間は燃圧が一定とはならない。これに対して、
本エンジンでは、このような燃圧が設定圧力PH に達し
ない過渡状態のときには、パルス幅PWが、例えば図4
に示すような特性燃圧補正係数KFPによって補正さ
れ、燃圧が低いほどパルス幅PWが長く設定されるよう
になり、燃圧に応じた燃料噴射量が噴射弁1から噴射さ
れることになる。したがって、燃圧上昇の過渡時にも、
燃焼室24内には常に適切な量の燃料が供給されること
になり、空燃比が適切に保持され安定した燃焼が行なわ
れるのである。
【0081】例えば図6は本エンジンにおける始動時の
燃圧及びエンジン回転数の変化を示すもので、燃圧が上
昇していくにしたがって、エンジン回転数が円滑に上昇
するようになり(実線参照)、例えば従来生じた二段モ
ーション(破線部A参照)のような上昇特性が生じなく
なり、運転フィーリングが向上する効果があり、排出ガ
ス性状の上でも好ましい。また、燃圧に基づき燃料噴射
量を設定することで、例えば高圧燃料ポンプ5の故障等
により、燃圧が設定圧力PH に達しないような場合に
も、その時の燃圧状態に応じて適切な燃料噴射量て設定
されるので、このようなポンプ系統のフェイル時にも、
燃焼を安定して行なうことができ、フェールセーフ機能
を確立できる効果もある。
【0082】また、噴射時期については、燃圧が基準値
以上にならないと圧縮行程噴射が禁止され、予混合燃焼
モードの中から例えばストイキオ運転モードをはじめと
したいずれかのモードが選択され、しかも、圧縮行程開
始前に燃料噴射が完了するように噴射時期が設定され
る。もちろん、燃圧が基準値以上になれば、圧縮行程噴
射が許容されるので、噴射時期は圧縮行程まず含んだ広
い領域内から設定することができるようになり、例え
ば、エンジン始動時に燃料量を確保するために排気行程
から燃料噴射を開始するような必要性も低下する。した
がって、排気行程における使用効率の悪い燃料噴射を回
避して、燃料を効率よく使用できる条件下で必要量の燃
料供給を行なうことができるようになり、燃費の上でも
又排ガス性状の上でも好ましい。
【0083】次に、第2実施形態にかかる火花点火式筒
内噴射型内燃機関(筒内噴射エンジンともいう)につい
て説明する。このエンジンの全体構成は第1実施形態
(図2参照)とほぼ同様であり、本実施形態では、その
燃料供給系の構成が第1実施形態と異なっている。そこ
で、図7,図8を参照して第2実施形態にかかる燃料供
給系を説明する。
【0084】つまり、本筒内噴射エンジンの燃料供給系
は、図8に示すように構成され、従来技術で説明した燃
料供給系構造(図10参照)のものに、燃圧センサ(燃
料圧力検出手段)69が追加されており、ECU51に
よる燃料噴射制御が、この燃圧センサ69の情報に基づ
いて行なわれるように構成されている。すなわち、燃料
タンク2からデリバリパイプ1Aに至る燃料通路3の送
給路3Aには、上流側から、燃料フィルタ6,低圧燃料
ポンプ(フィードポンプ)4,逆止弁8及び燃料フィル
タ7が装備され、燃料フィルタ7の下流には燃料タンク
2に通じる分岐路9Aが設けられ、さらに、この分岐部
の下流にはダンパ18,高圧燃料ポンプ5,アキュムレ
ータ19,逆止弁20の順に装備される。分岐路9Aに
は、低圧制御弁(低圧レギュレータ)9が介装される。
【0085】また、高圧燃料ポンプ5及び逆止弁20を
迂回するように第1バイパス通路11が設けられ、この
第1バイパス通路11には逆止弁12が設けられ、バイ
パス手段を構成している。なお、低圧燃料ポンプ4には
電動式ポンプが用いられ、高圧燃料ポンプ5には、機関
駆動式ポンプ(エンジン駆動ポンプ)が用いられてい
る。
【0086】デリバリパイプ1Aから燃料タンク2に至
るように設置され燃料噴射弁1で噴射されなかった燃料
を燃料タンク2に戻す返送路3Bには、高圧制御弁(高
圧レギュレータ)10が設けられ、さらに、高圧制御弁
10を迂回するように第2バイパス通路13が設けられ
ており、この第2バイパス通路13には、コントローラ
(ECU)51により制御される電磁切換弁(バイパス
弁)14と、燃料圧力保持機構としての絞り15とが設
けられている。電磁切換弁(バイパス弁)14は、燃料
圧力変更手段として機能する。
【0087】また、第2バイパス通路13よりも下流の
返送路3Bにも、燃圧が所定の低圧値を越えないように
調整する低圧制御弁(低圧レギュレータ)17が介装さ
れている。なお、各構成要素は、従来技術及び第1実施
形態の場合と同様に機能する。また、ここでは、電磁切
換弁14は始動後所定時間以内だけ開通しその後は閉鎖
されるようになっている。
【0088】そして、本エンジンでは、返送路3Bにお
けるデリバリパイプ1Aの直下流部に、燃圧センサ69
が設けられている。また、本エンジンでも、運転モード
として、圧縮行程で燃料を噴射することで上記の層状燃
焼運転を行なう層状燃焼モードと、主として吸気行程で
燃料を噴射することで上記の予混合燃焼運転を行なう予
混合燃焼モードとが設けられており、エンジンが始動し
たら(イグニッションキースイッチ52が入力された
ら)、エンジンの運転状態にかかる種々の検出データに
基づいて、ECU51により、運転モードが選択され、
運転モードに基づいて、インジェクタ1,点火プラグ4
5(図示略),エアバイパスバルブ33,36が制御さ
れ、これにより、燃料噴射量や燃料噴射タイミングや点
火時期や吸気量(空燃比)といったエンジン制御要素が
制御されるようになっている。
【0089】このため、本エンジンには、図7に示すよ
うに、各種センサからエンジンの始動を検出する始動検
出手段51Aと、始動検出手段51Aで始動が検出され
たら各種センサからエンジンの運転状態を判定する運転
状態判定手段51Bと、運転状態判定手段51Bの判定
結果に基づいて運転モード(上記の空燃比や燃焼形態に
かかるモード)を選択する運転モード選択手段51Cが
設けられている。
【0090】本エンジンでは、燃料噴射制御に特徴があ
り、図7に示すように、この燃料噴射制御に関係する燃
料噴射制御手段51Dは、始動検出手段51Aで始動が
検出されてからの経過時間を出力するタイマ手段51E
からの経過時間情報,運転モード選択手段51Cで選択
された運転モード情報,燃圧センサ69で検出された燃
圧情報,及び他の各種センサ〔水温センサ66,クラン
ク角センサ(エンジン回転数センサ)65,エアフロー
センサ68等〕で検出された検出情報から、電磁切換弁
(バイパス弁)14の切換を制御するとともに、燃料噴
射期間及び燃料噴射タイミングを設定して燃料噴射弁1
の制御を行なうようになっている。
【0091】つまり、燃料噴射制御手段51Dでは、タ
イマ手段51Eからの経過時間情報に基づいて、始動後
所定時間内は、電磁切換弁14を開放状態として、低圧
燃料ポンプ4に吐出され低圧レギュレータ17の調圧に
より得られる低い設定圧(第1の圧力)PL に基づいて
燃料噴射制御を行ない、始動後所定時間が経過したら、
電磁切換弁14を閉鎖して、その後は、高圧燃料ポンプ
5に吐出され高圧レギュレータ10の調圧により得られ
る高い設定圧(第2の圧力)PH に基づいて燃料噴射制
御を行なうように構成されている。
【0092】この場合の所定時間とは、高圧燃料ポンプ
5の吐出圧が有効なレベルに高まるまでの時間、又は、
燃料噴射弁1の近傍に含有したベーパ(気泡)を排出し
うる期間が完了すると予測されるまでの時間のうちの長
いほうの時間に設定されている。そして、燃料噴射量の
設定に関し、燃料噴射制御手段51Dでは、電磁切換弁
14の開放時にはインジェクションパルス幅PWを前式
(1)により算出し、電磁切換弁14の閉鎖時にはイン
ジェクションパルス幅PWを前式(2)により第1実施
形態と同様に算出するようになっている。
【0093】つまり、電磁切換弁14の開放時には、燃
圧を考慮することなく、インジェクションパルス幅TS
T(WT)を、水温対応基本始動パルス幅TST(WT),
始動時行程数補正係数KSGT(IG),始動時回転数補
正係数KCRK(Ne),吸気補正係数KAP,冷却水温
が所定水温以下の場合に燃料性状を考慮した補正係数K
MIXに基づいて前式(2)により算出する。この場
合、水温対応基本始動パルス幅TST(WT)は、低い設
定圧力PL に対応して設定される。
【0094】また、電磁切換弁14の閉鎖時には、燃圧
を考慮して、第1実施形態と同様に、水温対応基本始動
パルス幅TST(WT),始動時行程数補正係数KSGT
(IG),始動時回転数補正係数KCRK(Ne),吸気補
正係数KAP及びインジェクタ無駄時間TDに加えて、
燃圧に応じた補正係数(燃圧補正係数)KFP,冷却水
温が所定水温以下の場合に燃料性状を考慮した補正係数
KMIXを用いて、前式(2)により算出する。この場
合、水温対応基本始動パルス幅TST(WT)は、高い設
定圧力PH に対応して設定される。
【0095】なお、燃圧補正係数KFPについては、第
1実施形態と同様な特性(図4参照)で設定する。ま
た、本実施形態でも、燃圧が基準値以上にならないと、
圧縮行程噴射を禁止するように設定されている。もちろ
ん、燃圧が基準値以上になれば、圧縮行程噴射を許容す
るようになり、例えばエンジン回転数やエンジン負荷等
の他のエンジン運転状態に応じて圧縮行程噴射を設定し
うるようになっている。
【0096】本発明の第2実施形態としての筒内噴射型
内燃機関は、上述のように構成されているので、イグニ
ッションキースイッチ52がオンか否か(ステップB1
0)及びエンジンが作動しているか否か(ステップB2
0)を判定する。エンジンが始動するとこれらの判定が
Yesとなり、キースイッチ52がオフの時にはステッ
プB10でNo判定され、エンジンストール(エンス
ト)時にはステップB20でNo判定される。
【0097】これらのNo判定時は、ステップB90に
進みタイマをリセットし、ステップB100で、バイパ
ス弁(電磁切換弁)14を開にする。キースイッチ52
がオンとなり且つエンジンが作動していれば、ステップ
B30に進み、タイマをセット(即ち、計時カウント開
始)し、ステップB40で、タイマのカウント時間(即
ち、始動後の経過時間)が所定時間を経過したか否かを
判定する。
【0098】始動後、所定時間が経過するまでは、ステ
ップB40からNoルートを経てステップB110に進
み、バイパス弁(電磁切換弁)14を開にする。これに
より、始動後、デリバリパイプ1A内のベーパが速やか
に排出されるとともに、高圧燃料ポンプ5が有効に作動
するまでは、低圧燃料ポンプ4の吐出圧を利用してほぼ
安定した燃圧で燃料供給を行なうことができる。
【0099】ついで、ステップB110に進み、燃料噴
射量,燃料噴射時期を設定〔式(1)に基づき設定〕し
て、設定された燃料噴射量及び燃料噴射時期に応じて燃
料噴射弁1を駆動する(ステップB80)。一方、始動
後、所定時間が経過したら、ステップB40からYes
ルートを経てステップB50に進み、バイパス弁(電磁
切換弁)14を閉にする。これにより、高圧燃料ポンプ
5の吐出圧が有効に作用するようになる。
【0100】ついで、ステップB60に進み、燃圧セン
サ69により燃圧を検出しこれをECU51内に取り込
む。そして、検出された燃圧に基づき、燃料噴射量及び
燃料噴射時期を設定し(ステップB70)、設定された
燃料噴射量及び燃料噴射時期に応じて燃料噴射弁1が駆
動される(ステップB80)。ステップB70では、燃
料噴射量の設定について、前式(2)により、水温対応
基本始動パルス幅TST(WT),始動時行程数補正係数
KSGT(IG),始動時回転数補正係数KCRK(N
e),吸気補正係数KAP及びインジェクタ無駄時間T
Dに加えて、燃圧に応じた補正係数(燃圧補正係数)K
FP,冷却水温が所定水温以下の場合に燃料性状を考慮
した補正係数KMIXを用いて、インジェクションパル
ス幅PWを算出するので、燃圧が所定圧に達しない場合
にも燃料噴射量が適切に制御されることになり、エンジ
ンの燃焼を安定して行なうことができるようになる。
【0101】つまり、始動時に、電磁切換弁14を閉鎖
してから、エンジン駆動式ポンプである高圧燃料ポンプ
5による高い吐出圧が得られるまでの過渡時において、
パルス幅PWが、例えば図4に示すような特性燃圧補正
係数KFPによって補正され、燃圧が低いほどパルス幅
PWが長く設定され、燃圧に応じた燃料噴射量が噴射弁
1から噴射されることになる。これにより、燃圧上昇の
過渡時にも、燃焼室24内には常に適切な量の燃料が供
給されることになり、空燃比が適切に保持され安定した
燃焼が行なわれる。
【0102】例えば従来生じた二段モーション(鎖線部
A参照)のような上昇特性が生じなくなり、運転フィー
リングが向上する効果があり、排出ガス性状の上でも好
ましい。また、例えば高圧燃料ポンプ5の故障等によ
り、燃圧が設定圧力PH に達しないような場合にも、そ
の時の燃圧状態に応じて適切な燃料噴射量て設定される
ので、このようなポンプ系統のフェイル時にも、燃焼を
安定して行なうことができ、フェールセーフ機能を確立
できる効果もある。
【0103】また、噴射時期については、燃圧が基準値
以上にならないと圧縮行程噴射が禁止され、予混合燃焼
モード(例えばストイキオ運転モード)が選択され、し
かも、圧縮行程開始前に燃料噴射が完了するようにその
噴射時期が設定される。そして、燃圧が基準値以上にな
れば、圧縮行程噴射が許容されるので、噴射時期は圧縮
行程まず含んだ広い領域内から設定することができるよ
うになる。
【0104】したがって、エンジン始動時に燃料量を確
保するために排気行程から燃料噴射を開始するような必
要性も低下し、排気行程における使用効率の悪い燃料噴
射を回避して、燃料を効率よく使用できる条件下で必要
量の燃料供給を行なうことができるようになり、燃費の
上でも又排ガス性状の上でも好ましい。なお、各実施形
態では、デリバリパイプ1Aから燃料タンク2に向けて
返送路3Bがそなえられているが、この返送路3Bのな
い油路構成(リターンレスタイプ)であっても本エンジ
ンにおける燃料噴射制御を適用しうるものである。
【0105】また、各実施形態では、低圧燃料ポンプに
は電動ポンプを使用し、高圧燃料ポンプにはエンジン駆
動のポンプを使用しているが、各ポンプはこのような種
類のものに限定されるものではなく、いずれの種類の燃
料ポンプであっても、始動時に吐出圧が所定圧に達する
までの過渡状態で、本エンジンのように燃圧に基づいて
燃料噴射を制御することで、不安定になりがちな過渡状
態での燃焼を安定させることができる効果がある。もち
ろん、フェールセーフ機能を確保しうる効果もある。
【0106】また、各実施形態では、燃料ポンプを低圧
燃料ポンプと高圧燃料ポンプとの2段ポンプ構成として
いるが、燃料ポンプをただ1つだけ装備してこのポンプ
により所定圧(例えばPH )まで燃料を加圧できるよう
にした燃料供給システムにおいても適用することができ
る。
【0107】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1記載の本
発明の筒内噴射型内燃機関によれば、燃料圧力変更手段
によって燃料圧力が変化した場合にも、噴射弁による燃
焼室内への燃料供給は、常にその時の燃料圧力に応じて
行なわれるようになり、燃料供給量も適切に制御される
ようになるため、燃焼を常に安定して行なうことができ
るようになる。したがって、ポンプ装置からの吐出圧の
立ち上がり時等の燃料圧力が変化し易い機関の始動時に
も、安定した燃焼を行なうことができるようになる利点
がある。また、ポンプ装置からの吐出圧が所定圧に達し
ないようなポンプ装置の故障時等にも、燃料圧力に応じ
た燃料噴射により安定した燃焼を行なうことができる利
点がある。
【0108】請求項2記載の本発明の筒内噴射型内燃機
関によれば、燃料圧力は、始動時にまず第1の圧力に調
整され、始動後の通常運転時にはこの第1の圧力よりも
高い第2の圧力に調整されるので、通常運転時に、燃料
圧力を高めて燃焼効率を向上させながら、燃料圧力を高
めにくい始動時には、確実に実現できる低い燃料圧力で
燃料噴射することにより、機関の始動運転を安定して行
なうことができるようになる。
【0109】請求項3記載の本発明の筒内噴射型内燃機
関によれば、高圧燃料ポンプの吐出圧が所定圧以下であ
っても、低圧燃料ポンプの吐出圧を利用して噴射弁から
確実に燃料噴射を行なうことができるようになり、例え
ば始動時に高圧燃料ポンプの吐出圧が高まらない間に
も、機関を確実に始動させることができ、その後の機関
作動時にも、少なくとも低圧燃料ポンプの吐出圧を確保
し機関を作動させることができる。
【0110】なお、高圧燃料ポンプとして内燃機関駆動
式のポンプを用いた場合、内燃機関の始動と共に高圧燃
料ポンプが起動するが、高圧燃料ポンプの吐出圧が所定
の高い圧力まで達するには時間遅れが生じるが、上述の
ように、高圧燃料ポンプの吐出圧が所定圧以下であって
も、低圧燃料ポンプの吐出圧を利用して噴射弁からの燃
料噴射を支障なく行なうことができ、機関の確実な始動
を行なうことができる効果がある。
【0111】請求項4記載の本発明の筒内噴射型内燃機
関によれば、燃料圧力が所定圧以下の場合には、燃焼室
内の圧力が高い圧縮行程での燃料噴射は行なわれないた
め、高圧な燃焼室内への低圧な燃料噴射により生じる噴
射弁側への吸入空気の逆流を防止し、且つ、噴射弁から
安定した燃料供給を行なうことができ、この燃料逆流の
おそれのない燃料圧力が所定圧以上の場合には、圧縮行
程での燃料噴射を許容することで、要求される燃料噴射
量の多い場合に、吸気行程から圧縮行程に亘って燃料噴
射を行なうようにすることができ、燃料噴射時期として
吸気行程直前の排気行程を利用する必要も解消されて、
無駄のない効率のよい燃料噴射を実現することができる
効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態としての筒内噴射型内燃
機関の燃料噴射系の構成を模式的に示すブロック図であ
る。
【図2】本発明の第1実施形態としての筒内噴射型内燃
機関の構成を示す制御ブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態としての筒内噴射型内燃
機関の燃料噴射系の構成を示す模式図である。
【図4】本発明の第1実施形態としての筒内噴射型内燃
機関の燃料噴射系における燃料圧力対応補正を説明する
図である。
【図5】本発明の第1実施形態としての筒内噴射型内燃
機関の燃料噴射系の制御を説明するフローチャートであ
る。
【図6】本発明の第1実施形態としての筒内噴射型内燃
機関の燃料噴射系の切換制御に対する機関の作動特性を
例示する図である。
【図7】本発明の第2実施形態としての筒内噴射型内燃
機関の燃料噴射系の構成を模式的に示すブロック図であ
る。
【図8】本発明の第2実施形態としての筒内噴射型内燃
機関の燃料噴射系の構成を示す模式図である。
【図9】本発明の第2実施形態としての筒内噴射型内燃
機関の燃料噴射系の制御を説明するフローチャートであ
る。
【図10】従来の筒内噴射型内燃機関の燃料噴射系の構
成を示す模式図である。
【図11】従来の筒内噴射型内燃機関の燃料噴射系の切
換制御に対する機関の作動特性を例示する図である。
【符号の説明】
1 燃料噴射弁(インジェクタ) 1A デリバリパイプ 2 燃料タンク 4 燃料圧力変更手段を構成する低圧燃料ポンプ(フィ
ードポンプ) 5 燃料圧力変更手段を構成する高圧燃料ポンプ 9,17 低圧制御弁(低圧レギュレータ) 10 高圧制御弁(高圧レギュレータ) 11 バイパス通路(バイパス手段) 14 燃料圧力変更手段としての電磁切換弁(バイパス
弁) 51 コントローラとしての電子制御装置(ECU) 51D 制御手段としての燃料噴射制御手段 69 燃圧センサ(燃料圧力検出手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F02M 69/00 F02M 69/00 320A

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃焼室内に直接燃料を噴射する噴射弁
    と、 該噴射弁に燃料ポンプから燃料を圧送するポンプ装置
    と、 該噴射弁に作用する燃料圧力を変更する燃料圧力変更手
    段と、 該噴射弁に作用する燃料圧力を検出する燃料圧力検出手
    段と、 該燃料圧力検出手段で検出された燃料圧力に基づいて該
    噴射弁の作動を制御する制御手段とをそなえたことを特
    徴とする、筒内噴射型内燃機関。
  2. 【請求項2】 該燃料圧力変更手段は、該噴射弁の下流
    に設けられ、該内燃機関の始動時には該燃料圧力を第1
    の圧力に調整し、該内燃機関の通常運転時には該燃料圧
    力を該第1の圧力よりも高い第2の圧力に調整すること
    を特徴とする、請求項1記載の筒内噴射型内燃機関。
  3. 【請求項3】 該ポンプ装置は、該燃料タンク内の燃料
    を加圧吐出する低圧燃料ポンプと、該低圧燃料ポンプか
    らの吐出燃料をさらに加圧して該噴射弁に供給する高圧
    燃料ポンプと、該高圧燃料ポンプの吐出圧が所定圧以下
    のときに該高圧燃料ポンプをバイパスさせて該低圧燃料
    ポンプからの吐出燃料を該噴射弁に供給させるバイパス
    手段とからなることを特徴とする、請求項2記載の筒内
    噴射型内燃機関。
  4. 【請求項4】 該制御手段は、該燃料圧力検出手段で検
    出された燃料圧力が該所定圧以内のときには燃料噴射終
    了時期が該内燃機関の圧縮行程に進入しないように規制
    して該噴射弁の作動を制御し、該燃料圧力検出手段で検
    出された燃料圧力が該所定圧を越えたときには該燃料噴
    射終了時期の該規制を解除して該噴射弁の作動を制御す
    ることを特徴とする、請求項1記載の筒内噴射型内燃機
    関。
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