JPH1121436A - 難燃性ポリエステルエラストマー組成物 - Google Patents

難燃性ポリエステルエラストマー組成物

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JPH1121436A
JPH1121436A JP19053997A JP19053997A JPH1121436A JP H1121436 A JPH1121436 A JP H1121436A JP 19053997 A JP19053997 A JP 19053997A JP 19053997 A JP19053997 A JP 19053997A JP H1121436 A JPH1121436 A JP H1121436A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた難燃性、耐熱性及び耐加水分解性を有
し、しかも加熱時の揮散性が少ない難燃性ポリエステル
エラストマー組成物を提供する。 【解決手段】 下記のポリエステルエラストマー組成物
(A)100重量部及び平均粒子径が2〜100μmの
トリアジン基を有する化合物(B)0.5〜50重量部
からなることを特徴とする難燃性ポリエステルエラスト
マー組成物。ポリエステルエラストマー組成物(A)
は、結晶性芳香族ポリエステルセグメントとポリラクト
ンセグメントとからなるポリエステル型ブロック共重合
体(a)、不揮発性の2官能以上の化合物で、その官能
基が上記共重合体(a)の末端基と反応し得る化合物
(b)及び不揮発性の、ピペリジン骨格をその構成成分
の一部とするジアザスピロデカン誘導体を繰り返し単位
とする高分子量安定剤(c)からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非ハロゲン系の難
燃剤を使用し、加熱時の揮散性が少ない、難燃性ポリエ
ステルエラストマー組成物に関するものである。更に、
機械的特性が優れ、耐熱性や耐水性に優れた難燃性ポリ
エステルエラストマー組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、結晶性芳香族ポリエステルセグメ
ントとポリラクトンセグメントとからなるポリエステル
型ブロック共重合体(a)は、結晶性芳香族ポリエステ
ルとラクトンを反応させる方法(特公昭48−4116
号公報)、結晶性芳香族ポリエステルとラクトンを反応
させ、得られるブロック初期共重合体に多官能アシル化
剤を反応させて鎖延長させる方法(特公昭48−411
5号公報)、結晶性芳香族ポリエステルの存在下にラク
トン類を固相状態で重合させる方法(特公昭52−49
037号公報)等により得られることが知られている。
【0003】これらの製造方法によって得られる結晶性
芳香族ポリエステルセグメントとポリラクトンセグメン
トとからなるポリエステル型ブロック共重合体(a)
は、優れたゴム状弾性を有し、かつ耐候性にも優れる。
しかし、耐熱性が不十分であり、高温に長時間曝される
と、強度および伸度が著しく低下するという難点があ
る。さらに、このブロック共重合体(a)は耐水性が不
十分であり、水の存在下で加水分解を起こし易い。その
ため、これらのブロック共重合体(a)は、そのまま、
繊維、フィルム、成形材料などの素材として実用に供す
ることが難しい。
【0004】そこで、上記のようなポリエステル型ブロ
ック共重合体の耐熱性および耐水性を改善するため、1
官能以上のエポキシ化合物を配合する方法(特開昭58
−162654号公報)などが提案されている。この方
法により、耐熱性および耐水性は改良される。しかし、
この方法は、使用するエポキシ化合物の種類により加熱
時の揮散性が多いという問題点を有している。
【0005】また、一般に、熱可塑性樹脂に難燃性を付
与する方法としては、難燃剤としてハロゲン系難燃剤、
さらに難燃助剤としてアンチモン化合物を樹脂に配合す
る方法が一般的であるが、難燃剤としてハロゲン系難燃
剤、難燃助剤としてアンチモン化合物を熱可塑性樹脂に
配合する方法では、混練時および成型時にハロゲン系難
燃剤の一部が分解し、遊離したハロゲンガスやハロゲン
化合物か生成し、コンパウンド用混練機や射出成形機等
のシリンダー、スクリューおよび金型の表面を腐食させ
ることがある。特に成形品の用途が電器・電子機器部品
分野では、使用中に金属部分を腐食し、接点不良や導通
不良を引き起こすおそれがある。さらに、難燃性の効果
を高めるために、通常、難燃助剤としてアンチモン化合
物を併用することが多いが、このアンチモン化合物は樹
脂にとって異物であるため、機械特性低下の原因になる
という欠点がある。
【0006】また、前述のようなエポキシ化合物の配合
により樹脂の耐熱性および加水分解性は改善されるが、
成形品の用途によっては厳しい使用環境に曝される場合
があるので、ヒンダードフェノール系化合物等の安定剤
を配合することが一般的である。しかし、安定剤の配合
は安定剤の種類と配合量が不適切である場合は、樹脂の
特性を改善出来ないばかりか、樹脂との親和性不良から
機械特性を低下させる等の悪影響がある。さらに、安定
剤の種類によっては加工工程で安定剤が揮散し、衛生上
問題となる上、配合した成形品中に残存する安定剤が減
少するため、耐熱性や耐加水分解性改善効果が不十分と
なる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来の問
題点を解決し、優れた難燃性、耐熱性及び耐加水分解性
を有し、しかも加熱時の揮散性が少ない難燃性ポリエス
テルエラストマー組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の難燃性ポリエステルエラストマー組成物
は、下記のポリエステルエラストマー組成物(A)10
0重量部及び平均粒子径が2〜100μmのトリアジン
基を有する化合物(B)0.5〜50重量部からなるこ
とを特徴とする。
【0009】ここで、ポリエステルエラストマー組成物
(A)は、結晶性芳香族ポリエステルセグメントとポリ
ラクトンセグメントとからなるポリエステル型ブロック
共重合体(a)100重量部、下記(1)式を満足する
2官能以上の化合物で、かつ、その官能基が上記共重合
体(a)の末端基と反応し得る化合物(b)0.1〜1
0重量部及びピペリジン骨格をその構成成分の一部とす
るジアザスピロデカン誘導体を繰り返し単位とする高分
子量安定剤(c)0.1〜5重量部からなる。
【0010】 (W1−W2)/W1≦0.1 −−−(1) [式(1)において W1は熱処理前のサンプル重量、
W2は200℃で30分熱処理した後のサンプル重量を
示す。]
【0011】ここで、トリアジン基を有する化合物
(B)の平均粒子径とは、粒子の表面特性を調整するた
めに有機又は無機系の化合物で表面をコーティングし、
次いで走査型電子顕微鏡で撮影した粉体の像を、イメー
ジアナライザーで解析した粉体の平均粒子径を意味す
る。
【0012】なお、本明細書中で、「結晶性芳香族ポリ
エステルセグメントとポリラクトンセグメントとからな
るポリエステル型ブロック共重合体(a)」を「ブロッ
ク共重合体(a)」と、「下記(1)式を満足する2官
能以上の化合物で、かつその官能基が上記ブロック共重
合体(a)の末端基と反応し得る化合物(b)」を「化
合物(b)」と、「ピペリジン骨格をその構成成分の一
部とするジアザスピロデカン誘導体を主たる繰り返し単
位とする高分子量安定剤(c)」を「高分子量安定剤
(c)」と、「平均粒子径が2〜100μmのトリアジ
ン基を有する化合物(B)」を「トリアジン基を有する
化合物(B)」と、略して記することがある。
【0013】上記の構成からなる本発明の難燃性ポリエ
ステルエラストマー組成物は、本発明で用いるブロック
共重合体(a)が本来有している特性に加えて、加熱時
の揮散性が少なく、優れた難燃性、耐熱性及び耐加水分
解性を有している。
【0014】また、本発明の難燃性ポリエステルエラス
トマー組成物は、化合物(b)が、ビスフェノールF−
ジグリシジルエーテル、ビスフェノールA−ジグリシジ
ルエーテル、又はビスフェノールS−ジグリシジルエー
テルであることができる。
【0015】また、本発明の難燃性ポリエステルエラス
トマー組成物は、高分子量安定剤(c)が前記(1)式
を満足することができる。
【0016】さらにまた、本発明の難燃性ポリエステル
エラストマー組成物は、トリアジン基を有する化合物
(B)が、メラミン又はメラミンシアヌレートであるこ
とができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳細
に説明する。
【0018】本発明の難燃性ポリエステル組成物の製造
に用いる結晶性芳香族ポリエステルセグメントとポリラ
クトンセグメントとからなるポリエステル型ブロック共
重合体自体は公知のものであり、典型的には結晶性芳香
族ポリエステルとラクトン類とを反応させることによっ
て得ることが出来る。
【0019】ここで用いることができる結晶性芳香族ポ
リエステルとしては、主としてエステル結合またはエス
テル結合とエーテル結合とからなるポリエステルが好ま
しいものとして挙げられ、少なくとも1種の芳香族核を
有する基を主たる繰り返し単位とし、かつ、分子末端に
主として水酸基を有するものが用いられる。この結晶性
芳香族ポリエステルは、融点が150℃以上のものが、
また、分子量は用途によって異なるが、成形材料として
使用する場合は5000以上、さらに8000以上のも
のが好ましい。接着剤やコーティング剤などとして使用
される場合の分子量は5000以下である。
【0020】上記結晶性芳香族ポリエステルの好ましい
具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリテ
トラメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘ
キシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−
2,6−ナフタレートなどのホモポリエステル;ポリエ
チレンオキシベンゾエート、ポリ−p−フェニレンビス
オキシエトキシテレフタレートなどのポリエステルエー
テル;主としてテトラメチレンテレフタレート単位又は
エチレンテレフタレート単位からなり、他にテトラメチ
レンイソフタレート単位又はエチレンイソフタレート単
位、テトラメチレンアジペート単位又はエチレンアジペ
ート単位、テトラメチレンセバケート単位又はエチレン
セバケート単位、1,4一シクロヘキシレンジメチレン
テレフタレート単位、テトラメチレン−p−オキシベン
ゾエート単位又はエチレン−p−オキシベンゾエート単
位などの共重合成分を有する共重合ポリエステル又は共
重合ポリエステルエーテルなどである。なお、共重合体
の場合にはテトラメチレンテレフタレートまたはエチレ
ンテレフタレート単位が60モル%以上含まれることが
好ましい。
【0021】またラクトン類としては、カプロラクトン
が最も好ましいが、その他、エナントラクトン、カプリ
ロラクトン等も使用することができ、これらのラクトン
類も2種以上を併用することができる。
【0022】上記結晶性芳香族ポリエステルとラクトン
類との共重合割合は、その用途によって適宜変えること
ができる。一般に、結晶性芳香族ポリエステルの割合が
増大すると、得られるブロック共重合体(a)は硬くな
り、強度、伸度などの機械的特性が向上する。ラクトン
類の割合が増大すると、得られるブロック共重合体
(a)は軟質化し、低温特性が向上する。従って、機械
的強度、低温特性などのバランスを考慮しながら、用途
に応じて両者の共重合割合が選定され得る。標準的な配
合比率としては、重量比で芳香族ポリエステル/ラクト
ン類が97/3〜5/95、より一般的には95/5〜
30/70の範囲である。硬質の成形体を得たい場合に
は上記割合を95/5〜70/30の範囲から選択する
のがよい。
【0023】次に、本発明で使用される下記(1)式を
満足する2官能以上の化合物で、かつその官能基が上記
ブロック共重合体(a)の末端基と反応し得る化合物
(b)としては下記(1)式を満足し、同一分子内に2
個以上有する化合物であれば、その構造に一切制限はな
い。
【0024】 (W1−W2)/W1≦0.1 (1) [式(1)において W1は熱処理前のサンプル重量、
W2は200℃で30分熱処理した後のサンプル重量を
示す。]
【0025】具体例としては、ビスフェノールA−ジグ
リシジルエーテル、ビスフェノールF−ジグリシジルエ
ーテル、ビスフェノールS−ジグリシジルエーテル、ク
レゾールノボラック型グリシジルエーテル、フェノール
ノボラック型グリシジルエーテル、ポリカルボジイミ
ド、ビスオキサゾリン化合物等が挙げられる。特に好ま
しい例としてはビスフェノールF−ジグリシジルエーテ
ル、ポリカルボジイミド、ビスオキサゾリン化合物等が
挙げられる。
【0026】これら化合物(b)の配合量は、用いられ
るブロック共重合体(a)の末端に存在する官能基の
量、あるいは最終的に得られる組成物の要求特性によっ
て変わり得る。好ましくは上記ポリエステル型ブロック
共重合体100重量部に対して、0.1重量部〜10重
量部、より好ましくは0.3重量部〜8重量部である。
0.1重量部未満では、このような化合物を反応させる
ことによって得られる作用効果、例えば、増粘による成
形性の向上効果、耐熱性および耐水性の向上効果が有意
に発揮されない。また10重量部を超えると、未反応化
合物が残存することによって、成形体の表面性状が粗雑
になる等、成形品の品質に悪影響が現れてくる。
【0027】本発明において用いるポリエステルエラス
トマー組成物(A)において、前記ブロック共重合体
(a)と化合物(b)との反応は触媒を用いなくとも起
こり得るが、反応の促進または親和性の向上の点から、
触媒を用いることが望ましい。触媒としては、一般にア
ミン類、リン化合物、炭素原子数が10以上であるモノ
カルボン酸および/またばジカルボン酸類の、元素周期
律表Ia族またはIIa族の金属塩類などが挙げられる。
なかでもトリブチルフォスフィン、トリフェニルフォス
フィンなどの3価のリン化合物;およびステアリン酸カ
ルシウム、ステアリン酸ナトリウムなどのステアリン酸
の金属塩類が好ましい。これらの触媒は、単独でまたは
2種以上混合して用いられ得る。また、上記触媒は一括
して添加しても分割して添加しても、同様の効果が得ら
れ、触媒の添加量は、通常、上記ブロック共重合体
(a)100重量部に対して3重量以下、好ましくは
0.03〜2重量部である。
【0028】本発明で用いられる、ピペリジン骨格をそ
の構成成分の一部とするジアザスピロデカン誘導体を主
たる繰り返し単位とする高分子量安定剤(c)は、安定
化作用を有するピペリジン基あるいは置換ピペリジン基
が、直接もしくはアルキル基、シクロアルキル基、アル
キレン基、シクロアルキレン基、アリール基又はそれら
の基を組み合わせて形成される基、さらにはそれらの基
が窒素、酸素等のいわゆるヘテロ原子を含有するもの等
により高分子鎖に結合したものであり、ここでいう高分
子鎖とは飽和炭化水素、不飽和炭化水素から構成される
ものであっても、それら炭化水素基が酸素、窒素等のい
わゆるヘテロ原子もしくはヘテロ原子含有結合基を介し
て結合したものであってもよい。
【0029】上記高分子量安定剤(c)の分子量は特に
限定されるものではないが、ピペリジン骨格を少なくと
も1単位含有する成分を繰り返し単位とし、該繰り返し
単位が2単位以上結合したものである。繰り返し単位の
数は2個から100個の範囲であり、より一般的には3
個から50個である。繰り返し単位が少ないと安定剤の
分子量が低く、揮発性が高くなるため、成形時に揮散し
て所定の添加量が得られない等の問題が生じ、繰り返し
単位数が大きすぎると安定剤自体の粘度か高くなり、本
発明ではエラストマーへの分散が困難になる等の不都合
が生じる可能性がある。
【0030】上記高分子量安定剤(c)の添加量は、該
エラストマーの用途によって適宜変えられ得る。一般に
はより高度な熱安定性を要求される用途では添加量を高
める必要があるが、添加量を高めすぎると安定剤が成形
時に析出し、成形金型を汚染したり、ポリマー流路に堆
積して成形に不都合を生じる原因となる。また、成形品
として加工した後でも成形品を使用中にその表面に析出
して、見栄えが悪くなったり、衛生上問題を生じる可能
性がある。従って、添加量は0.1〜5重量部の範囲が
適切であり、より好ましくは0.3〜3重量部である。
【0031】上記高分子量安定剤(c)は単独でまたは
他の一般的な安定剤と混合して用いることができるが、
共に用いるのに適した安定剤としてはヒンダードフェノ
ール系、アミン系、リン系、チオエーテル系、金属塩
系、などが挙げられる。本発明においては揮散性と機械
的特性、耐熱性、耐加水分解性のバランスを取る観点よ
り、安定剤としても揮発性の低い化合物を選定すること
が望ましい。
【0032】また、本発明で使用されるトリアジン基を
有する化合物(B)としては、メラミン、メラミンシア
ヌレートが好ましく、メラミンシアヌレートが特に好ま
しい。このメラミンシアヌレートは、シアヌール酸とメ
ラミンの混合物を水スラリーとし、充分混合して両者の
塩を微粒子状に形成させた後、このスラリーを濾過、乾
燥して得られる粉末であり、単なる混合物とは異なる。
メラミンシアヌレートの形態としては特に制限はない
が、本発明の難燃性ポリエステルエラストマー組成物か
ら得られる成型品の機械的強度や表面性の点からできる
限り微細な粉末として得られたものを用いる。具体的に
は、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した粉末の像
を、イメージアナライザーで分析した粉末の平均粒子径
が2〜100μmであるものであり、2〜70μmであ
るものが特に好ましい。さらに粒子の表面特性を調整
し、マトリックスとの親和性を変化させて粒子の凝集を
押さえる、あるいはマトリックス中への分散性を高める
目的で有機あるいは無機系の化合物で表面をコーティン
グすることが好ましく、該化合物としてはポリビニール
アルコール系化合物やシリカ系化合物が好ましい。
【0033】上記トリアジン基を有する化合物(B)の
使用量は、前記ポリエステル型ブロック共重合体(a)
100重量部に対して0.5〜50重量部、好ましくは
2〜35重量部である。0.5重量部より少ないと難燃
性の向上効果が認められず、また50重量部を越えると
成型品の機械的物性や表面外観が損なわれるため好まし
くない。
【0034】本発明の難燃性ポリエステルエラストマー
組成物は、必要に応じてさらに、繊維状強化材又は無機
フィラーを含有することができる。前記ポリエステル型
ブロック共重合体(a)100重量部に対して、繊維状
強化材又は無機フィラーを合計量が100重量部を超え
ない範囲で配合することにより、強度・剛性・耐熱性・
寸法安定性等の向上を図ることが可能である。繊維状強
化材としては、ガラス繊維、シリカガラス繊維、アルミ
ナ繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維な
どの無機繊維、チタン酸カルウムウィスカー、酸化亜鉛
ウィスカーなどのウィスカーおよび炭素繊維等が挙げら
れる。無機フィラーとしてはタルク、ワラストナイト、
カオリン、マイカ、セリサイト、クレー、アルミナシリ
ケート、ガラスビーズ、ミルドガラスファイバー、炭酸
カルシウム、シリカなどか挙げられる。
【0035】本発明の難燃性ポリエステルエラストマー
組成物には、用途、目的などに応じて、従来公知の結晶
化促進剤、結晶核材、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑
剤、滑剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、導電性改良
剤、耐加水分解改良剤、多官能架橋剤、耐衝撃改良剤、
着色剤などを配合することができる。また、本発明の目
的を損なわない限り、ポリエステル、ポリアミド、ポリ
オレフィン、ポリウレタンのような他の種類の樹脂もブ
レンドすることができる。
【0036】本発明の難燃性ポリエステルエラストマー
組成物の製造方法としては、特に限定されるものではな
く、任意の方法で行うことができる。たとえば押出機、
ロールミル、バンバリーミキサーなどで加熱・混練する
ことにより、目的の組成物を得ることができる。
【0037】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明の構成及び作用
効果をより詳細に説明するが、本発明はもとより下記実
施例によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨
に適合しうる範囲で変更して実施することも可能であ
り、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0038】本明細書で採用した各種物性値の測定方法
は下記の通りである。
【0039】[引張破断強伸度]射出成形機(山城精機
社mode1‐SAV)を用いて、チップを100mm
×100mm×2mmの平板に成形した後、ダンベル状
3号形の試験片を平板から打ち抜いた。東洋精機社製テ
ンシロンUTM−IIIを用いて、得られた試験片を毎分
500mmの速さで伸長し、試験片が破断したときの荷
重(kg)を初期断面積(cm2)を除した値を引張破
断強度(kg/cm2)とし、試験片が破断するまでの
試料の伸びの原試料長に対する割合を引張破断伸度
(%)とした。
【0040】[粉体粒子径の測定]粉体粒子を走査型電
子顕微鏡(株式会社日立製作所製S−510型)で観察
し、写真撮影したものを拡大して複写し、粉体の外形を
トレースし任意に1000個の粒子を選んで黒く塗りつ
ぶした。この像を画像解析装置(ニレコ株式会社製ルー
ゼックス2−D型)を用いてそれぞれの粒子の円相当径
を測定した。
【0041】[揮散性]乾燥により水分率を0.03%
以下にしたペレットを、直径6cm×高さ3cmのガラ
ス製秤量瓶に約20g採取し、精秤(SO)した後15
0℃で2時間、熱風乾燥機にて処理した。冷却後の試料
重量を精秤(S1)し、下式により加熱減量率を算出し
た。加熱減量率が低いものほど揮散性良好な試料であ
る。
【0042】 加熱減量率(%)=(SO−S1)×100/S0
【0043】[難燃性]UL−94に定められている評
価基準に従い、1/16インチ(0.794mm)の厚
みで試験を実施した。難燃性レベルはV−0>V−1>
V−2>HBの順に低下する。
【0044】[耐熱性]ダンベル試験片を、180℃の
熱風乾燥機にて処理し、引張伸度保持率が初期引張伸度
の50%になる時間を測定し、耐熱性の指標とした。
【0045】[耐加水分解性]ダンベル試験片を、沸騰
水中に浸漬し、引張伸度保持率が初期引張伸度の50%
になる時間を測定し、耐加水分解性の指標とした。
【0046】(製造例1)ポリテトラメチレンテレフタ
レート70kg、ε−カプロラクトン30kgを反応容
器にとり、窒素ガスでパージした後、230℃で攪拌し
ながら2時間溶融反応させることで、ポリエステル型ブ
ロック共重合体のチップを得た。得られたポリエステル
型ブロック共重合体は、還元比粘度が1.163であ
り、酸価が65当量/106gであり、引っ張り破断強
度が370kg/cm2であり、引っ張り破断伸度が7
10%であった。
【0047】(製造例2)ポリテトラメチレンテレフタ
レートの代わりにポリテトラメチレン−2,6−ナフタ
レートを用い、溶融反応温度を245℃とする以外は製
造例1と同様の方法で、ナフタレン基含有ポリエステル
型ブロック共重合体を得た。得られたナフタレン基含有
ブロック共重合体は、還元比粘度が、1.052であ
り、酸価が48当量/106gであり、引っ張り破断強
度が400kg/cm2であり、引っ張り破断伸度が6
50%であった。
【0048】製造例1あるいは製造例2で得られたポリ
エステル型ブロック共重合体チップ、表2に示した変成
剤の所定量、表2に示したメラミンシアヌレートの所定
量及び表2に示したピペリジン骨格を有する高分子量安
定剤をドラムタンブラーに入れ、室温にて30分間攪拌
した。混合物を40mmφ同方向2軸押出機を用いて2
30℃にて押出し、水冷後切断チップ化した。得られた
チップを100℃にて減圧乾燥してから各種試験に供し
た。その結果を表2に示した。
【0049】なお、表1及び表2中の変成剤−Aはビス
フェノールF−ジグリシジルエーテル、変成剤−Bはポ
リカルボジイミド、変成剤−Cはポリエチレングリコー
ルジグリシジルエーテルを夫々意味する。また、安定剤
−Aはヘキスト社製のピペリジン骨格を有する高分子量
安定剤ホスタビンN−30、安定剤−Bは安定剤−Aと
同様の構造を有し、低分子量の安定剤ホスタビンN−2
0を夫々意味する。200℃×30分熱処理時の加熱減
量率を表1に示した。変成剤−A、変成剤−B及び安定
剤−Aが前記(1)式を満足する。
【0050】更に、表2中のMC−1はシリカ系化合物
で表面コーティングした平均粒子径20μmのメラミン
シアヌレート、MC−2はシリカ系化合物で表面コーテ
ィングした平均粒子径70μmのメラミンシアヌレート
を夫々意味する。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【発明の効果】本発明の難燃性ポリエステルエラストマ
ー組成物によれば、結晶性芳香族ポリエステルセグメン
トとポリラクトンセグメントとからなるポリエステル型
ブロック共重合体(a)が本来有している特性を保持し
ながら、さらに、加熱時に揮散性が少なく、有害ガスの
発生及び腐食性が無く、難燃性、耐熱性及び耐加水分解
性に優れている。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記のポリエステルエラストマー組成物
    (A)100重量部及び平均粒子径が2〜100μmの
    トリアジン基を有する化合物(B)0.5〜50重量部
    からなることを特徴とする難燃性ポリエステルエラスト
    マー組成物。ここで、ポリエステルエラストマー組成物
    (A)は、結晶性芳香族ポリエステルセグメントとポリ
    ラクトンセグメントとからなるポリエステル型ブロック
    共重合体(a)100重量部、下記(1)式を満足する
    2官能以上の化合物で、かつ、その官能基が上記共重合
    体(a)の末端基と反応し得る化合物(b)0.1〜1
    0重量部及びピペリジン骨格をその構成成分の一部とす
    るジアザスピロデカン誘導体を繰り返し単位とする高分
    子量安定剤(c)0.1〜5重量部からなる。 (W1−W2)/W1≦0.1 −−−(1) [式(1)において W1は熱処理前のサンプル重量、
    W2は200℃で30分熱処理した後のサンプル重量を
    示す。]
  2. 【請求項2】 化合物(b)が、ビスフェノールF−ジ
    グリシジルエーテル、ビスフェノールA−ジグリシジル
    エーテル又はビスフェノールS−ジグリシジルエーテル
    であることを特徴とする請求項1記載の難燃性ポリエス
    テルエラストマー組成物。
  3. 【請求項3】 高分子量安定剤(c)が前記(1)式を
    満足することを特徴とする請求項1又は2記載の難燃性
    ポリエステルエラストマー組成物。
  4. 【請求項4】 トリアジン基を有する化合物(B)が、
    メラミン又はメラミンシアヌレートであることを特徴と
    する請求項1、2又は3記載の難燃性ポリエステルエラ
    ストマー組成物。
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