JPH1121393A - 高純度過酸化水素水容器用樹脂組成物 - Google Patents

高純度過酸化水素水容器用樹脂組成物

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JPH1121393A
JPH1121393A JP17477497A JP17477497A JPH1121393A JP H1121393 A JPH1121393 A JP H1121393A JP 17477497 A JP17477497 A JP 17477497A JP 17477497 A JP17477497 A JP 17477497A JP H1121393 A JPH1121393 A JP H1121393A
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JP
Japan
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hydrogen peroxide
resin composition
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compound
amount
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JP17477497A
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Inventor
Shoichiro Kajiwara
庄一郎 梶原
Yuichi Serizawa
裕一 芹沢
Kazunori Nagai
和則 長井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】半導体製造用等極めて高純度な品質を要求され
る高純度過酸化水素水を高度に保持し、過酸化水素水に
よる劣化を生じない過酸化水素水容器用樹脂組成物を提
供する。 【解決手段】チーグラー触媒により重合したポリエチレ
ンまたはエチレン・α−オレフィン共重合体からなる樹
脂組成物において、チオジプロピオン酸エステルを構造
内に有し、且つ分子量700以下のチオジプロピオン酸
エステル系化合物の中から選択された少なくとも1種の
化合物を50〜1000重量ppm含有することを特徴
とする高純度過酸化水素水容器用樹脂組成物を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は過酸化水素水用樹脂
組成物に関する。更に詳しくは含有不純物濃度が極めて
低い高純度な品質が要求される半導体製造分野、医療品
分野等に使用される、過酸化水素水による劣化が抑制さ
れた高純度過酸化水素水容器用樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体製造分野では半導体を形成するシ
リコンウエハの処理を始め多くの工程で、過酸化水素
水、硫酸、ふっ酸、アンモニア水等、種々の高純度薬品
が使用されている。これらの薬品には半導体の歩留まり
低下を引き起こす不純物、微粒子が極めて少ない高純度
な品質が要求される。例えば要求される品質は各金属不
純物の含有量が1.0重量ppb未満、0.2μm以上
の微粒子が100個/ml以下と厳しい。さらには、金
属不純物0.1重量ppb未満、0.1μm以上の微粒
子が100個/ml以下という極めて高い品質が近年要
求されつつある。したがって、これら高純度薬品の品質
を保持し輸送、保存するためには不純物、微粒子の発生
がない容器が要求される。
【0003】高純度過酸化水素水の容器材質としては成
形性、価格等の面からポリオレフィンが多く使用されて
おり、中でも特に高密度ポリエチレンもしくはエチレン
・α−オレフィン共重合体が多く使用されている。しか
しながら、従来のポリエチレンもしくはエチレン・α−
オレフィン共重合体を使用する場合、樹脂中の低分子量
のオリゴマー溶出による微粒子発生、添加剤に起因する
微粒子、不純物溶出等が起こり、高純度薬品用容器材質
としては使用に耐えない。
【0004】このため、これらの問題を解決するために
本発明者らは特開平7−62161号公報で、ポリオレ
フィン中のオリゴマー含有量の目安となる沸騰n−ヘキ
サンによる抽出した際の抽出量が0.2重量%以下、ポ
リオレフィンに対する添加剤の量が全体で100重量p
pm以下であることを特徴とする高品質なポリエチレン
樹脂組成物からなる過酸化水素水容器を開示した。
【0005】また、ポリエチレンもしくはエチレン・α
−オレフィン共重合体は通常、チーグラー触媒もしくは
フィリップス触媒により製造されるが、高純度過酸化水
素水用材質としては特にチーグラー触媒で重合されたポ
リエチレンもしくはエチレン・α−オレフィン共重合体
あるいはそれらに改質のために必要な最小限の量の添加
剤を添加した樹脂組成物が好ましい。これはフィリップ
ス触媒に比べチーグラー触媒で重合されたポリエチレン
もしくはエチレン・α−オレフィン共重合体の方が、樹
脂中に残存している金属触媒の過酸化水素水への溶出が
少ないためである。一方、フィリップス触媒で重合され
たポリエチレンもしくはエチレン・α−オレフィン共重
合体からなる樹脂組成物は樹脂中に残存する金属触媒の
過酸化水素水への溶出が多く、高純度に過酸化水素水を
保持できない。
【0006】しかしながら、チーグラー触媒で重合され
たポリエチレンもしくはエチレン・α−オレフィン共重
合体、あるいはこれらによる樹脂組成物を容器材質とし
て用いる場合でも、過酸化水素水との接触により残存す
る触媒が原因で容器が劣化する現象があり、その結果、
輸送、貯蔵中における容器の破損、それに伴う過酸化水
素水の漏洩、更には漏洩した過酸化水素水の急激な分解
等の問題が起こることがあった。
【0007】チーグラー触媒によるポリエチレンもしく
はエチレン・α−オレフィン共重合体あるいはこれらに
よる樹脂組成物のこの現象は過酸化水素水を用いたとき
に極めて顕著である。例えば薬液としてアンモニア水、
ふっ酸等を用いた場合はこのような劣化はほとんど起こ
らない。
【0008】チーグラー触媒による上記の問題に対して
は、例えばステアリン酸カルシウム等金属石鹸を添加し
た樹脂組成物とすることで解決できるが、このような樹
脂組成物を高純度過酸化水素水用容器に使用した場合、
金属石鹸に由来する金属不純物が過酸化水素水中へ溶出
してしまう。さらに、微粒子も多く発生する。その結
果、これら樹脂組成物は高純度過酸化水素水容器用材質
としては使用できなくなるという問題があった。
【0009】以上のことから、高純度過酸化水素水の品
質を低下させずかつ過酸化水素水による劣化がないポリ
エチレンもしくはエチレン・α−オレフィン共重合体あ
るいはこれらによる樹脂組成物からなる高純度過酸化水
素水容器用樹脂組成物を提供することは困難であった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は半導体製造用
等極めて高純度な品質を要求される高純度過酸化水素水
を高度に保持し、過酸化水素水による劣化を生じない過
酸化水素水容器用樹脂組成物を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意努力の
結果、微粒子の発生、不純物の溶出無しに過酸化水素水
による劣化が防止されたポリエチレンまたはエチレン・
α−オレフィン共重合体による樹脂組成物からなる高純
度過酸化水素水容器用樹脂組成物を見いだし本発明に到
達した。
【0012】すなわち、本発明は、チーグラー触媒によ
り重合したポリエチレンまたはエチレン・α−オレフィ
ン共重合体からなる樹脂組成物において、チオジプロピ
オン酸エステルを構造内に有し、且つ分子量700以下
のチオジプロピオン酸エステル系化合物の中から選択さ
れた少なくとも1種の化合物を50〜1000重量pp
m含有する樹脂からなる高純度過酸化水素水容器用樹脂
組成物に関するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】チーグラー触媒により重合したポ
リエチレンまたはエチレン・α−オレフィン共重合体
は、マグネシウム化合物、チタン等の遷移金属化合物、
及び有機アルミニウム化合物からなる触媒を使用し、エ
チレン、もしくは少なくとも一種類の炭素数3〜20の
α−オレフィンとを所望密度になるような割合で重合さ
せることにより得られる。重合はスラリー重合、気相重
合、溶液重合など種々の方法により行ないうる。
【0014】また、好ましくはJIS K6760によ
り測定される密度が0.930〜0.980g/cm
3 、より好ましくは密度が0.935〜0.980g/
cm3の範囲にあり、且つ、好ましくはJIS K67
60により測定されるメルトインデックス(MI)が
0.01〜1.0g/10minの範囲にあるポリエチ
レンまたはエチレン・α−オレフィン共重合体が本発明
で使用される。ここで密度が0.930g/cm3 未満
では樹脂からの溶出成分が増加し微粒子発生の原因とな
ってしまい、一方0.980g/cm3 より大きいと耐
衝撃強度が劣る。またMIが0.01g/10min未
満では成形流動性が劣り、1.0g/10minより大
きいと耐衝撃強度や溶融張力が劣ってしまい適当ではな
い。
【0015】さらには樹脂中のオリゴマー含有量の指針
となる沸騰n−ヘキサンにより抽出した際の抽出量が
0.2重量%以下であるポリエチレンまたはエチレン・
α−オレフィン共重合体を用いることが好ましい。抽出
操作はソックスレー抽出装置を用いて充分な時間、例え
ば20時間沸騰n−ヘキサンにより抽出することで行な
われる。これにより、微粒子発生原因の一つである樹脂
中のオリゴマー含有量の指針が求められる。抽出量が
0.2重量%を超えるポリエチレンまたはエチレン・α
−オレフィン共重合体を用いた場合は微粒子発生が著し
くなり、高純度過酸化水素水容器用樹脂として使用に耐
えなくなる。このため、本発明にこれらを使用すること
はできない。
【0016】本発明におけるチオジプロピオン酸エステ
ル系化合物は、分子量が700以下の化合物が使用され
る。ここでいうチオジプロピオン酸エステル系化合物と
は、S(C24 COOR)2 で表される。ここでR
は、Cm 2m+1(mは1以上の整数)で表される飽和炭
化水素である。具体的には、ジラウリルチオジプロピオ
ネート(分子量515)、ジミリスチルチオジプロピオ
ネート(分子量571)、ジステアリルチオジプロピオ
ネート(分子量683)等が挙げられる。
【0017】この中でもジラウリルチオジプロピオネー
トが極めて好ましく、これを用いた場合、少量の含有量
で過酸化水素水による劣化を抑制することができ、さら
に樹脂からの不純物溶出、微粒子発生も充分抑えること
ができる。これに対し、分子量が700を越えるチオジ
プロピオン酸エステル系化合物は、過酸化水素水による
劣化に対する防止効果が著しく低くなるため使用に耐え
ない。
【0018】チオジプロピオン酸エステル系化合物は5
0〜1000重量ppm含有することが好ましい。含有
量が50重量ppm未満であると過酸化水素水による樹
脂組成物の劣化を充分抑えることができなく、一方10
00重量ppmを越えると許容できない量の微粒子発
生、不純物の溶出が起こることがある。
【0019】このように選択されたチオジプロピオン酸
エステル系化合物単独でも過酸化水素水による劣化を抑
制することができるが、さらに第三級ブチル基を少なく
とも一つ有するフェノール系化合物からなる分子量40
0以下のヒンダードフェノール系化合物の中から選択さ
れた少なくとも1種の化合物を併用することで、樹脂組
成物からの不純物溶出、微粒子発生を抑えつつ、より一
層劣化を抑えることができる。
【0020】本発明におけるヒンダードフェノール系化
合物としては分子量が400以下の化合物が使用され
る。ここでヒンダードフェノール系化合物とは、第三級
ブチル基を少なくとも一つ有するフェノール系化合物で
ある。また、分子内に第三級ブチル化ヒドロキシフェニ
ル基を複数有しても良い。
【0021】具体的には、2,6−ジ−t−ブチルフェ
ノール(分子量206)、2,6−ジ−t−ブチル−4
−メチルフェノール(分子量220)、2,6−ジ−t
−ブチル−4−エチルフェノール(分子量234)、
2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノ
ール(分子量236)、2−t−ブチル−4−メトキシ
フェノール(分子量180)、3−t−ブチル−4−メ
トキシフェノール(分子量180)、2,4−ジメチル
−6−t−ブチルフェノール(分子量178)、2,
2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチル
フェノール)(分子量340)、2,2’−メチレン−
ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(分
子量368)、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メ
チル−6−t−ブチルフェノール)(分子量382)等
が挙げられる。
【0022】この中でも2,6−ジ−t−ブチル−4−
メチルフェノール(BHT)が極めて好ましく、これを
チオジプロピオン酸エステル系化合物と併用した場合、
少量の含有量で過酸化水素水による劣化を抑制すること
ができ、さらに樹脂からの不純物溶出、微粒子発生も充
分抑えることができる。これに対し、分子量が400を
越えるヒンダードフェノール系化合物は、過酸化水素水
による劣化に対する防止効果が著しく低くなるため使用
に耐えない。
【0023】ヒンダードフェノール系化合物の含有量は
ポリエチレンまたはエチレン・α−オレフィン共重合体
に対して50〜1000重量ppmであることが好まし
い。1000重量ppmを越えると許容できない量の微
粒子発生が生じることがある。なお、本発明に用いられ
るチオジプロピオン酸エステル系化合物、ヒンダードフ
ェノール系化合物の等級に制限はない。ここで等級とは
チオジプロピオン酸エステル系化合物あるいはヒンダー
ドフェノール系化合物の純度をいう。但し、等級によっ
てはチオジプロピオン酸エステル系化合物、ヒンダード
フェノール系化合物の製造時、保管時等に金属を代表と
する不純物、微粒子の混入も否定できず、これが問題と
なることもありうる。この場合は必要に応じて公知の方
法、すなわち洗浄、蒸留、再結晶化等の方法でそれをあ
らかじめ精製して使用することが好ましい。
【0024】チオジプロピオン酸エステル系化合物、ヒ
ンダードフェノール系化合物の、ポリエチレンまたはエ
チレン・α−オレフィン共重合体からなる樹脂組成物へ
含有させる方法に制限はない。例として、重合後のポリ
エチレンまたはエチレン・α−オレフィン共重合体の粉
体をペレット化する段階に添加する方法、または予めバ
ンバリーミキサー、ミキシングロール、その他特殊ミキ
サーなどで製造されたチオジプロピオン酸エステル系化
合物、ヒンダードフェノール系化合物を高濃度含むマス
ターバッチと、ポリエチレンまたはエチレン・α−オレ
フィン共重合体とを成形前、あるいは成形機内でブレン
ドする方法、もしくはチオジプロピオン酸エステル系化
合物、ヒンダードフェノール系化合物を容器成形時に直
接添加する方法等が挙げられる。但し、含有する際に環
境、装置等からの金属不純物の持ち込みを極力排除する
ことが肝要である。
【0025】本発明による樹脂組成物を用いて高純度過
酸化水素水用容器を成形する方法、成形する環境に制限
はない。成型方法は例としてブロー成形、回転成形、射
出成形、押出成形等既知の成形方法が、環境としては通
常の室内環境下や、空気中の浮遊粒子を適切なフィルタ
ーで除去し得られた空気からなる清浄な空間、いわゆる
クリーンルーム等が挙げられる。中でもクリーンルーム
内で、かつ微粒子を除去したガスを用いたブロー成形に
よる成形方法は、清浄度の高い高純度過酸化水素水用容
器を成形するためにより好ましい。
【0026】また、チオジプロピオン酸エステル系化合
物、ヒンダードフェノール系化合物、有機顔料及び無機
顔料を除き、その他の改質のための添加剤の合計含有量
が100重量ppm以下の樹脂組成物が、本発明による
高純度過酸化水素水用樹脂組成物として使用される。そ
の他の改質のための添加剤合計含有量が100重量pp
mを越えると微粒子が発生することがあり、高純度過酸
化水素水の容器材質として使用できないことが多々あ
る。このため、必要に応じそれらを用いる場合は添加量
を100重量ppm以下にする必要がある。さらには一
切添加しないことが、より好ましい。
【0027】ここでいう、その他の改質のための添加剤
とは例えばヒンダードアミン系化合物などの耐光安定
剤、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等の金
属石鹸、あるいはハイドロタルサイトなどの中和剤、滑
剤等が挙げられる。また、有機顔料として、フタロシア
ニン系、キナクリドン系、アゾ系等が、無機顔料とし
て、酸化チタン、カーボンブラック、ベンガラ等が挙げ
られる。
【0028】有機、無機顔料の本発明による高純度過酸
化水素水用樹脂組成物における含有量に制限はない。し
かしながら、含有量が少ない場合は充分な遮光効果、着
色効果が得られず、また極めて含有量が多いと許容でき
ない微粒子発生が懸念されることがある。このため、好
ましい含有量の例として0.01〜5重量%が挙げられ
る。これらの有機、無機顔料、あるいはその他の改質の
ための添加剤を、本発明における高純度過酸化水素水用
樹脂組成物への含有させる方法に制限はない。例として
はこれらを高濃度に含有するマスターバッチを使用する
方法等が挙げられる。
【0029】以上のことから、チーグラー触媒によるポ
リエチレンまたはエチレン・α−オレフィン共重合体の
劣化を防止する従来の添加剤、例えばステアリン酸カル
シウム等金属石鹸などが添加された従来の樹脂組成物と
は異なり、本発明によれば、高純度過酸化水素水を充填
しても微粒子増加、不純物特に金属類溶出が起こらず、
かつ過酸化水素水による劣化が充分抑えられた優れた高
純度過酸化水素水容器用樹脂組成物を提供することがで
きる。なお、本発明における容器に充填される過酸化水
素水の濃度に制限はないが通常5〜60重量%のものが
用いられる。
【0030】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるも
のでない。なお、測定した金属系不純物の種類は、「Bo
okof SEMI Standards 1995 Process Chemical Volume」
における「SEMI C 8.5-95Standard for hydrogen perox
ide, grade 3 」中の「Specification 」に記載されて
いる金属であった。また、これらの金属系不純物の測定
はICP-MS法もしくは原子吸光法によった。また、微粒子
測定はレーザー光散乱を利用する測定方法によった。
【0031】実施例1 チーグラー触媒で重合し、かつチオジプロピオン酸エス
テル系化合物を添加する前の密度が0.956g/cm
3 ,MIが0.35g/10min であり、また沸騰n−ヘ
キサンにより抽出した際の抽出量が0.08重量%以下
のポリエチレンからなる高密度ポリエチレン樹脂組成物
(東ソー製商品名ニポロンハード8022)にジラウリ
ルチオプロピオネートを所定量添加し、その樹脂組成物
を用いて約26cm×26cm×35cmのほぼ直方体
の容器を成形した。これに31重量%過酸化水素水を2
0kg充填し、60℃で4ヶ月放置した。その後内容物
を20kgの水に代え、底面を下にし垂直方向から落下
させ、破損の有無を求めた。なお、最初の落下高さは
1.0mとし、破損しない場合は高さを各0.5m加
え、5.0mまで落下を継続し、落下試験を行なった。
【0032】また、落下試験を行なっていない、同じ種
類の容器を用い、31重量%過酸化水素水を20kg充
填した。その後、50℃で1ヶ月放置し、放置により樹
脂からの過酸化水素水への不純物溶出濃度を求める溶出
試験を行なった。なお、溶出金属濃度の定量下限は0.
01重量ppbであった。さらに、落下試験、溶出試験
を行なっていない、同じ種類の容器を用い、31重量%
過酸化水素水を20kg充填した。続いてリオン社製
0.1μm対応パーティクルカウンター(KL−24)
を用い、過酸化水素水中の微粒子量を測定した。その
後、トラック積載により300kmの輸送を行なった
後、再度同様に微粒子量を測定し、輸送による微粒子増
加量を求める微粒子発生試験を行なった。試験で得られ
た結果を表1に示す。これらすべての種類の容器は高純
度過酸化水素水用容器として適当であった。
【0033】比較例1 ジラウリルチオジプロピオネートの添加量を変えた以外
は実施例1と同様に行ない各種試験を行なった。得られ
た結果を表2に示す。これらすべての容器は高純度過酸
化水素水用容器としては不適当であった。
【0034】実施例2 ジラウリルチオジプロピオネートの代わりに表3に示す
ジプロピオン酸エステル系化合物、添加量にした以外は
実施例1と同様に行なった。得られた結果を表3に示
す。これらすべての容器は高純度過酸化水素水用容器と
して適当であった。
【0035】比較例2 ジラウリルチオジプロピオネートの代わりに表4に示す
化合物、添加量にした以外は実施例1と同様に行なっ
た。得られた結果を表4に示す。これらすべての容器は
高純度過酸化水素水用容器としては不適当であった。
【0036】実施例3 ジラウリルチオプロピオネートの添加量を50重量pp
mとし、新たにヒンダードフェノール系化合物としてB
HTを50もしくは500重量ppm添加した以外は実
施例1と同様に行なった。得られた結果を表5に示す。
BHTを併用することで一層劣化を防止することがで
き、これらの容器は高純度過酸化水素水用容器として適
当であった。
【0037】比較例3 ジラルリルチオプロピオネートの添加量を50重量pp
m、BHTを1300重量ppmとした以外は実施例3
と同様に行なった。得られた結果を表6に示す。これら
すべての容器は高純度過酸化水素水用容器としては不適
当であった。
【0038】実施例4 BHTの代わりに表7に示すヒンダードフェノール系化
合物、添加量にした以外は実施例3と同様に行なった。
得られた結果を表7に示す。これらすべての容器は高純
度過酸化水素水用容器として適当であった。
【0039】比較例4 BHTの代わりに表8に示すヒンダードフェノール系化
合物、添加量にした以外は実施例3と同様に行なった。
得られた結果を表8に示す。分子量500以上のヒンダ
ードフェノール系化合物を併用しても併用による劣化の
改善は認められなかった。
【0040】比較例5 フィリップス触媒で製造され、またチオジプロピオン酸
エステル系化合物を添加せず、さらにその他の添加され
た添加剤の総量が100重量ppm以下、及び沸騰n−
ヘキサンによる抽出した際の抽出量が0.2重量%以下
である高密度ポリエチレン樹脂組成物(東燃製RS10
00)を用いた以外は実施例1と同様に行なった。得ら
れた結果を表9に示す。この容器は高純度過酸化水素水
用容器としては不適当であった。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】
【表5】
【0046】
【表6】
【0047】
【表7】
【0048】
【表8】
【0049】
【表9】
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、高純度過酸化水素水を
充填しても微粒子増加、不純物特に金属類溶出が起こら
ず、かつ過酸化水素水による劣化が充分抑えられた優れ
た高純度過酸化水素水容器用樹脂組成物を提供すること
ができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チーグラー触媒により重合したポリエチ
    レンまたはエチレン・α−オレフィン共重合体からなる
    樹脂組成物において、チオジプロピオン酸エステルを構
    造内に有し、且つ分子量700以下のチオジプロピオン
    酸エステル系化合物の中から選択された少なくとも1種
    の化合物を50〜1000重量ppm含有することを特
    徴とする高純度過酸化水素水容器用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 チオジプロピオン酸エステル系化合物が
    ジラウリルチオジプロピオネートである請求項1記載の
    高純度過酸化水素水容器用樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 第三級ブチル基を少なくとも一つ有する
    フェノール系化合物からなるヒンダードフェノール系化
    合物の中から選択された少なくとも1種の化合物を含有
    する請求項1〜2記載の高純度過酸化水素水容器用樹脂
    組成物。
  4. 【請求項4】 ヒンダードフェノール系化合物の分子量
    が400以下であり、且つ含有量が50〜1000重量
    ppmである請求項3記載の高純度過酸化水素水容器用
    樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 ヒンダードフェノール系化合物が2,6
    −ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールである請求項
    4記載の高純度過酸化水素水容器用樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 チオジプロピオン酸エステル系化合物、
    ヒンダードフェノール系化合物、無機顔料及び有機顔料
    を除く、他の含有添加剤の総量が100重量ppm以下
    である請求項1〜5記載の高純度過酸化水素水容器用樹
    脂組成物。
  7. 【請求項7】 ポリエチレンまたはエチレン・α−オレ
    フィン共重合体が、沸騰n−ヘキサンによる抽出量が
    0.2重量%以下である請求項1〜6記載の高純度過酸
    化水素水容器用樹脂組成物。
JP17477497A 1997-06-30 1997-06-30 高純度過酸化水素水容器用樹脂組成物 Pending JPH1121393A (ja)

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WO2017163816A1 (ja) 2016-03-24 2017-09-28 富士フイルム株式会社 感活性光線性又は感放射線性組成物、感活性光線性又は感放射線性組成物の製造方法、パターン形成方法、及び電子デバイスの製造方法
WO2017163922A1 (ja) 2016-03-24 2017-09-28 富士フイルム株式会社 感活性光線性又は感放射線性組成物、感活性光線性又は感放射線性組成物の精製方法、パターン形成方法、及び電子デバイスの製造方法
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