JPH11213893A - 導電性焼成体およびそれを用いるガス放電表示パネル - Google Patents

導電性焼成体およびそれを用いるガス放電表示パネル

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JPH11213893A
JPH11213893A JP10009484A JP948498A JPH11213893A JP H11213893 A JPH11213893 A JP H11213893A JP 10009484 A JP10009484 A JP 10009484A JP 948498 A JP948498 A JP 948498A JP H11213893 A JPH11213893 A JP H11213893A
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JP
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silver
metal
electrode
display panel
powder
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Application number
JP10009484A
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English (en)
Inventor
Toshie Yamazaki
敏栄 山崎
Hiromi Hasegawa
博己 長谷川
Osamu Hattori
修 服部
Hideki Sekimoto
秀樹 関本
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Namics Corp
Original Assignee
Namics Corp
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Publication date
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  • Gas-Filled Discharge Tubes (AREA)
  • Conductive Materials (AREA)
  • Parts Printed On Printed Circuit Boards (AREA)
  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 銀粉末を導電性粉末として用い、ガス放電表
示パネル用電極の形成に有利な方法に適し、かつ色調の
問題を解消する導電性焼成体、該導電性焼成体からなる
電極、およびそれをバス電極または陽極として用いるガ
ス放電表示パネルを提供する。 【解決手段】 (A)銀、金および第8族貴金属から選
ばれる金属粉末、(B)ガラス粉末、(C)上記と同様
の金属から選ばれる金属原子含有有機化合物ならびに
(D)酸化バナジウムを含む組成物を焼成して得られる
導電性焼成体;ならびにそれをバス電極として用いる交
流型ガス放電表示パネル、および陽極として用いる直流
型ガス放電表示パネル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主としてガス放電
表示パネル(プラズマディスプレイパネル、PDP)に
用いられる導電性焼成体に関し、さらに詳細には、低い
電気抵抗を有し、色調のコントラストの良好な導電性焼
成体に関する。また、該導電性焼成体からなる電極、な
らびに該電極をバス電極として用いる交流型ガス放電表
示パネル、および同様に陽極として用いる直流型ガス放
電表示パネルに関する。
【0002】
【従来の技術】交流型および直流型のガス放電表示パネ
ルは公知である。たとえば、交流型ガス放電表示パネル
の典型的な基本構造は、図1に示すとおりである。な
お、図1は、該基本構造の要部を示すために、該パネル
を切り欠き、内部を示した斜視図である。
【0003】この構造によれば、ガラスのような透光性
材料からなる表示面側基板1と背面側基板2とを、所定
の空間を有して互いに対向させて構成してあり、該空間
には、放電ガスとして希ガスを封入した構造になってい
る。
【0004】表示面側基板1には、透明電極3とバス電
極4とから構成された、横方向に延びる、互いに平行な
一対の放電維持電極からなる多数の放電維持電極対が設
けられ、それらが透明な誘電体層5、さらには透明な保
護層6で覆われている。同様に誘電体層7で覆われた背
面側基板2には、上記の放電維持電極対と直交する多数
のアドレス電極8が設けられている。これら放電維持電
極対とアドレス電極8との交差部、またはその近傍に
は、隔壁9によって放電セルが画定され、これら各放電
セルを選択的に放電させて蛍光体10を発光させること
によって、表示が行われる。
【0005】放電維持電極の形成方法として、透明電極
3は、たとえば表示面側ガラス基板1の一面全域にIT
O(インジウム−スズ酸化物)膜またはネサ(酸化ス
ズ)膜を、真空蒸着法やスパッタ法などの方法であらか
じめ形成しておき、その後、ホトレジストを塗布し、露
光および現像によって該透明電極を形成する部位を保護
した状態でエッチング処理をし、最後にホトレジストを
除去することによって、所望の電極パターンが形成され
る。
【0006】バス電極4は、銀、金、アルミニウムなど
の導電性金属粉末を含むペーストをスクリーン印刷する
ことによってパターンを形成した後、焼成を行うことに
よって得られる。あるいは、透明電極形成後の表示面側
ガラス基板の一面全域にクロムや銅などの金属膜をスパ
ッタリングなどの方法で形成しておき、その後、ホトレ
ジストを塗布し、露光、現像によって、該バス電極を形
成する部位を保護した状態でエッチング処理をし、最後
にホトレジストを除去することにより、所望のパターン
が形成される。
【0007】透明基板としては、ガラス基板が最も一般
的である。ガラス基板上に電極および配線を形成する方
法としては、上記のスクリーン印刷法およびホトレジス
ト法のほか、ホトリソグラフィー法、リフトオフ法、あ
るいはスクリーン印刷の後にエッチングを行う方法な
ど、さまざまな方法が挙げられ、使用する材料として
は、電気抵抗が低く、製造コストも安いことから、銀が
一般的である。
【0008】しかしながら、銀を用いる場合、パターン
形成後、焼成によって銀とガラス基板との界面が銀白色
かまたは黄土色を呈する。銀白色は、銀粉末をガラス粉
末のような結着剤ととともに焼結して得られた厚膜自身
の色であり、黄土色は、銀粉末、結着剤であるガラス粉
末、およびフロート法でガラス基板を製造する際に該基
板のボトム面に付着して存在するスズの反応によって生
じた色である。
【0009】このようにして、バス電極を含む放電維持
電極を形成させたガラス基板を、ガス放電表示パネルの
表示面側基板として使用した場合、色の表示品質に大き
な影響を与える。すなわち、該バス電極が銀白色を呈す
ると、外光を反射してしまうので表示のコントラストが
低下してしまい、黄土色を呈すると、カラー表示の色調
が本来の色調とずれて、表示画面全体が黄色味を帯びて
見えてしまう。
【0010】その対策の一例として、銀厚膜とガラス基
板との界面に黒色ペースト膜を介在させる方法が提案さ
れている(特開平6−12987号公報)。しかしなが
ら、このような方法では、表示コントラストは高められ
るものの、工程が繁雑となり、製造コストが上昇してし
まう。また、別の方法として、銀粉末に黒色顔料を混ぜ
てペースト化することによって焼成体に黒味を帯びさ
せ、外光の反射を低減させて表示コントラストを向上す
る方法もある。しかしながら、この方法では、黒色顔料
の量が少量だと不均一な状態になるばかりか、十分な効
果が得られない。したがって、一般的にはかなりな量の
黒色顔料を添加しなければならず、その結果、電気抵抗
が大幅に上昇してしまう。さらに焼成体の表面も黒色を
帯びてしまうために、表示セル内で発生した光を吸収し
てしまう。
【0011】一方、導電性金属粉末としてアルミニウム
やニッケルなどを用いると、銀と比較して抵抗が大幅に
高くなるので好ましくない。
【0012】銅を用いると抵抗は低くなるが、ガス放電
表示パネルの場合、スパッタリングなどの適当な方法に
よって形成された銅のバス電極は、次の誘導電層や隔壁
を形成する工程には酸化性雰囲気が必要なことから、そ
の工程で酸化されて酸化銅となる。したがって、銅電極
を酸化から保護するために、その表面に保護層を形成し
てから次工程に進む必要がある。そのうえ、銅電極は銅
色を呈するために、銀を用いる場合と同様に表示画面の
色調がずれてしまい、その対策として、クロムなどの黒
色を呈する材料を下地として重ねてバス電極を形成する
必要がある。このように、銅を用いる場合は多重層から
なるバス電極を形成するので、工程が非常に繁雑とな
り、製造コストが上昇してしまう。
【0013】以上は交流型ガス放電表示パネルにおける
バス電極の形成の例であるが、直流型ガス放電表示パネ
ルにおける陽極の形成についても、まったく同様のこと
がいえる。
【0014】電気抵抗が低く、製造コストを考慮する
と、これらの電極を形成するには、上記の問題点への対
策を施したうえで、銀を使用する方法が最も望ましい。
特に、ガス放電表示パネルにおいては、その画面サイズ
が今後ますます大型化されていくことや、構造がより精
細化されていく方向にあることから、電極や配線の抵抗
をさらに低くする必要がある。そのうえ、産業用だけで
なく民生用として従来のCRTやプロジェクションタイ
プのTVなどに取って替わるためには、低い製造コスト
が極めて大きな要件となっている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、スク
リーン印刷のようなガス放電表示パネル用電極の形成に
有利な方法に適し、上記のような色調と光の吸収の問題
を解消し、かつ導電性および諸特性が安定した導電性焼
成体を提供することである。また、本発明の他の目的
は、このような導電性焼成体をバス電極として用いる交
流型ガス放電表示パネル、および陽極として用いる直流
型ガス放電表示パネルを提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために検討を重ねた結果、電極として、
銀、金または第8族金属の粉末およびガラス粉末に加え
て、上記の金属原子を含有する有機化合物、および酸化
バナジウムを配合して得た組成物を焼成した導電性焼成
体を用いることにより、その課題を解決しうることを見
出して、本発明を達成するに至った。
【0017】すなわち、本発明は、 (A)銀、金および第8族貴金属から選ばれる少なくと
も1種の金属粉末; (B)ガラス粉末; (C)銀、金および第8族貴金属から選ばれる少なくと
も1種の金属原子を分子中に含有する有機化合物;なら
びに (D)酸化バナジウムを含む組成物を焼成して得られる
導電性焼成体に関し;また、該導電性焼成体からなるバ
ス電極;ならびに放電空間を挟んで相対向する一対の基
板、少なくとも一方の基板の内面に設けられ、透明電極
とバス電極からなる放電維持電極、および該放電維持電
極の内側に順次設けられた誘電体層と保護層を備えた交
流型ガス放電表示パネル;ならびに放電空間を挟んで相
対向する一対の基板、少なくとも一方の基板の内面に設
けられた陽極、および他方の基板の内面に設けられた陰
極を備えた直流型ガス放電表示パネルにおいて、該バス
電極または該陽極が、上記の導電性焼成体からなる電極
であることを特徴とする、ガス放電表示パネルに関す
る。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の導電性焼成体に用いられ
る(A)成分は、該焼成体に導電性を与えるもので、1
種でも2種以上でもよく、銀、金、ルテニウム、ロジウ
ム、パラジウム、オスミウム、イリジウムおよび白金か
ら選ばれる金属粉末または相互の混合物もしくは合金で
あり、導電性および経済性から、銀もしくはパラジウム
またはその相互の混合物もしくは合金が好ましく、優れ
た導電性を与えることから、銀が特に好ましい。
【0019】金属粉末の形状は、球状でもリン片状でも
よいが、スクリーン印刷でパターンを形成する場合に
は、優れた印刷精度が得られることから、球状のものが
好ましい。粒径は、通常0.05〜5μm であり、0.
1〜3μm が好ましい。0.05μm 未満では、吸油量
が大きすぎて印刷適性を調製しにくく、また焼成の際に
収縮率が大きすぎて、クラックが発生しやすい。一方、
5μm を越えると、焼結性が悪く、電気抵抗値が高くな
るほか、精度のよい印刷ラインが得られない。
【0020】(B)成分のガラス粉末は、導電性焼成体
と基板とを接着させる接着剤として寄与し、さらに焼結
の際に軟化することによって、(A)成分相互の焼結を
促進させるとともに、組成物中に存在する金属酸化物を
基板側に集める効果がある。ガラス粉末としては、ホウ
ケイ酸鉛系、ホウケイ酸ビスマス系、ホウケイ酸亜鉛
系、ホウケイ酸アルカリ金属系、ホウケイ酸アルカリ土
類金属系、ホウ酸鉛系、ケイ酸鉛系などのガラスフリッ
トが例示され、誘電体が放電表示管のように電極に近接
して焼成、形成されるので、それらに対して影響を与え
ない温度で、かつパネルが歪まない温度で焼成が可能な
ことから、通常、軟化点が600℃以下のものが用いら
れ、580℃以下のものが好ましい。形状は特に限定さ
れず、粒径は、通常0.1〜10μm であり、0.2〜
5μm が好ましい。
【0021】焼成に供する組成物中の(B)成分の配合
量は、得られる焼成体の電気抵抗が十分に小さく、かつ
上記の効果が十分に得られることから、(A)成分10
0重量部に対して0.1〜15重量部が好ましく、0.
5〜10重量部がさらに好ましい。
【0022】(C)成分の金属原子を分子中に含有する
有機化合物は、(D)成分の酸化バナジウムとともに、
本発明の導電性焼成体および該焼成体からなる電極にお
いて、色調と光の吸収を解決するための特徴的な成分で
ある。
【0023】(C)成分の分子中に含有される金属原子
は、大気中での焼成で導電性焼成体を形成しうることか
ら、銀、金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オス
ミウム、イリジウムおよび白金から選ばれる少なくとも
1種であり、(A)成分の金属と同じでも、異なってい
てもよい。経済性および資源保護の観点から、銀、パラ
ジウムおよびルテニウムから選ばれる少なくとも1種が
好ましい。このような有機化合物としては、有機酸金属
塩、金属アルコキシド、および金属原子が酸素原子およ
び/または窒素原子を介して有機基と結合している金属
キレート錯体が挙げられる。有機酸金属塩としては、ギ
酸銀、酢酸銀、プロピオン酸銀、酪酸銀、ペンタン酸
銀、ヘキサン酸銀、ヘプタン酸銀、オクタン酸銀、デカ
ン酸銀、ドデカン酸銀、テトラデカン酸銀、ステアリン
酸銀、アクリル酸銀、メタクリル酸銀、オレイン酸銀の
ような直鎖状または分岐状の脂肪酸銀;安息香酸銀、フ
タル酸銀のような芳香族有機酸銀;およびシュウ酸銀、
マロン酸銀、コハク酸銀、アジピン酸銀、マレイン酸銀
のような多価有機酸銀など;ならびにこれらに対応する
有機酸パラジウム塩、有機酸ルテニウム塩などが例示さ
れる。金属アルコキシドとしては、銀テトラブトキシ
ド、銀テトラキス(ヘキシルオキシド)、銀テトラキス
(オクチルオキシド)のような銀アルコキシド;ならび
にこれらに対応するパラジウムアルコキシドおよびルテ
ニウムアルコキシドなどが例示される。金属キレート錯
体としては、銀アセチルアセトナート、銀メチルアセト
アセタート、銀エチルアセトアセタート、銀ブチルアセ
トアセタートのような銀β−ジケトン錯体などの銀キレ
ート錯体;ならびにそれらに対応するパラジウムキレー
ト錯体、ルテニウムキレート錯体などが例示される。
【0024】焼成に供する組成物中の(C)成分の配合
量は、電気抵抗が小さく、電極とガラス基板との界面の
色調が十分に黒いことから、(A)成分100重量部に
対し(C)成分中の金属原子に換算して0.5〜20重
量部が好ましく、1.0〜15重量部がさらに好まし
い。
【0025】(D)成分の酸化バナジウムは、(C)成
分の存在によって、組成物の焼成工程において(A)成
分の焼結を促進して、該(A)成分が焼成体の上層に偏
析し、残余の成分が下層を形成するように焼成体を形成
させて、得られた焼成体の上面が白く、背面が暗色にな
るようにする成分である。このような酸化バナジウムと
しては、V23 、V24 およびV25 が例示され
る。
【0026】焼成に供する組成物中の(D)成分の配合
量は、得られる焼成体の電気抵抗が十分に小さく、かつ
上記の効果が十分に得られることから、(A)成分10
0重量部に対して0.05〜5重量部が好ましく、0.
1〜2重量部がさらに好ましい。
【0027】本発明において、(C)成分および(D)
成分の効果と相まって、さらに焼成体の色調に関する上
記の効果を高めるために、さらに(E)成分として、
(D)成分以外の金属酸化物を配合してもよい。該金属
酸化物は、ガス放電表示パネルの製造過程でガラス基板
がさらされる温度範囲内で耐熱性があり、安定なもので
あれば、どのようなものでもよい。このような(E)金
属酸化物としては、金属複合酸化物Cr−Co−Mn−
Fe、Cr−Cu、Cr−Cu−Mn、Mn−Fe−C
u、Cr−Co−Fe;(FeO)x(Fe23)y で表
される鉄酸化物;MnO2 ;MoO2 ;Cr23 ;C
uO;PdO;RuO2 ;Bi23 などが例示され、
1種でも、2種以上を併用してもよい。背面の色調が良
好な焼成体を得るためには、黒色ないし濃色を呈するも
のが好ましく、黒色を呈するものが特に好ましいが、
(C)成分および(D)成分との組合せによって、それ
以外の色を呈するものを用いてもよい。形状は特に限定
されず、球状、リン片状、針状、不定形状など、どのよ
うな形状のものでも使用できる。粒径は、通常0.01
〜5μm 、好ましくは0.02〜2μm である。
【0028】(E)成分の配合量は、ガス放電表示パネ
ルの設計に応じて任意に設定できるが、電気抵抗および
電極とガラス基板との界面の色調の両方を満足させ、表
示セル内で発生した光を吸収せず、スクリーン印刷など
によるパターン形成の際の作業性に悪影響を与えないこ
とから、(A)成分100重量部に対して0.5〜20
重量部が好ましく、1〜15重量部がさらに好ましい。
【0029】本発明の焼成体を得るための組成物は、上
記の(A)〜(D)成分および必要に応じて配合される
(E)成分を、たとえば有機樹脂と有機溶媒からなるビ
ヒクルに配合し、らいかい機、ボールミル、三本ロール
ミルなどの適切な混練機により分散させて、ペーストの
形状に調製することによって得られる。
【0030】上記のペーストに用いられる有機樹脂は、
パターンの形成方法や処理方法によっても異なるが、焼
成の過程で揮発または熱分解して、焼成体中に炭化物を
残存させないものから適宜選択される。このような有機
樹脂としては、メチルセルロース、エチルセルロース、
ニトロセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セル
ロース、酪酸セルロースのようなセルロース系樹脂;
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチ
ル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリ
ル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、
(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)ア
クリル酸−2−ヒドロキシエチルなどの重合体および共
重合体のようなポリ(メタ)アクリル酸エステル類;ポ
リビニルアルコール;ポリ−α−メチルスチレン、ポリ
ブテンなどが例示される。
【0031】該有機樹脂の有機溶媒であり、組成物の分
散媒としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、
ジエチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、アミルベン
ゼン、p−シメン、テトラリンおよび石油系芳香族炭化
水素混合物などの芳香族炭化水素類;メントール、テル
ピネオール、カルペオール、ボルネオール、メンタンジ
オールなどのテルペンアルコール類;2−メトキシエタ
ノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノ
ール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエ
チレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリ
コールモノブチルエーテルなどのエーテルアルコール
類;エチレングリコールモノメチルエーテル酢酸エステ
ル、エチレングリコールモノエチルエーテル酢酸エステ
ル、エチレングリコールモノブチルエーテル酢酸エステ
ルなどのエーテルエステル類;ならびにメチルイソブチ
ルケトンなどのケトン類が例示され、単独でも、2種以
上の混合物でもよい。組成物の濃度は、下記のパターン
形成方法に適した見掛け粘度、たとえばスクリーン印刷
の場合は25℃において通常20〜500Pa・s、好まし
くは100〜300Pa・sの範囲のペーストが得られるよ
うに、パターン形成方法によって任意に定めることがで
きる。
【0032】さらに、本発明に用いられるペーストに
は、添加剤として、可塑剤、消泡剤、分散剤、レベリン
グ剤、感光性モノマー、重合開始剤、重合禁止剤、増感
剤、安定剤、密着促進剤などを、必要に応じて配合する
ことができる。これらのうち、可塑剤としては、フタル
酸エステル類、グリコール酸エステル類、リン酸エステ
ル類、セバチン酸エステル類、アジピン酸エステル類、
クエン酸エステル類などを用いることができる。また、
感光性ビヒクルに用いられる感光性モノマーとしては、
アクリル酸エステルなどを用いることができる。
【0033】このようにして得られたペーストを、基材
表面に印刷または塗布し、パターンを形成させる。パタ
ーン形成方法としては、スクリーン印刷法、ホトリソグ
ラフィー法、リフトオフ法、エッチング法などが例示さ
れる。このようにして基材表面にパターンを形成された
ペーストから、風乾などの常法によって有機溶媒を除去
した後、たとえば500〜580℃で10〜30分間焼
成して、本発明の導電性焼成体を基材表面に形成する。
なお、エッチング法の場合は、焼成体上に感光性樹脂を
露光、現像することによってパターンを形成した後、適
当なエッチング剤を使用してエッチング処理を行い、最
後に、残存した感光性樹脂を剥離して、パターン形成さ
れた導電性焼成体が得られる。
【0034】このような方法により、前述の組成物を用
いて、本発明の導電性焼成体からなる電極が得られる。
特に前述の構造の交流型ガス放電表示パネルのバス電
極、または直流型ガス放電表示パネルの陽極を形成させ
て、本発明の交流型または直流型のガス放電表示パネル
が得られる。なお、基板、透明電極、誘電体層、保護
層、蛍光体、アドレス電極、陰極など、ガス放電表示パ
ネルにおけるその他の構成要素は、従来から公知の材料
と形成方法を用いることができる。
【0035】
【発明の効果】本発明の焼成体は、電気抵抗が低く、か
つ、焼成体とガラス基板との界面の色調を効果的に黒味
を帯びさせることができる。また、ペーストの印刷性な
どの諸特性が優れている。これをガス放電表示パネルの
表示面側基板にバス電極や陽極として形成して使用すれ
ば、電気抵抗が低いばかりでなく、ブラックストライプ
的な効果が得られるので、外光の反射率とを抑え、従
来、単に銀や金などの粉末を使用したときに発生する表
示コントラストの低下や、表示される色調のずれといっ
た表示品質上の問題が解決できる。そのうえ、表示セル
内で発生した光を吸収しにくいので、電極に当たった光
がセル内に反射され、その分だけより効果的に蛍光体を
発光させることができる。さらに、本発明によって、こ
のような電極を、安価で簡単に形成することができる。
また、電極と同様にガラス基板表面に形成される配線に
本発明の焼成体を適用して、電気抵抗が低く、裏面から
の肉眼での識別が容易な配線を、簡単で安価に形成する
ことができる。
【0036】本発明によって得られた電極をバス電極と
して用いた交流型ガス放電表示パネル、および陽極とし
て用いた直流型ガス放電表示パネルは、優れた放電特性
と表示特性が工業的に容易に得られることから、極めて
有用である。
【0037】
【実施例】以下、実施例および比較例により、本発明を
より詳細に説明する。これらの例において、部は重量
部、組成の%は重量%を示す。本発明は、これらの実施
例によって限定されるものではない。
【0038】実施例1〜5 銀粉末(平均粒径0.5μm 、球状粒子)、ガラス粉末
(ホウケイ酸鉛ガラス、軟化温度約480℃、平均粒径
3μm 、球状粒子)、2−エチルヘキサン酸パラジウム
(パラジウム分22%)、V24 粉末(平均粒径2μ
m 、不定形粒子) 、CuO粉末(平均粒径3μm)および
Bi23 粉末(平均粒径5μm)を、表1に示すような
配合比で調合した。これを、エチルセルロースをエチレ
ングリコールモノブチルエーテル酢酸エステルに溶解し
て調製した有機ビヒクルとともに、混練機で混練するこ
とによって、ペースト化した。
【0039】次に、これらのペーストを、325メッシ
ュのスクリーン板を用いて、ソーダライムガラス基板の
トップ面(Sn付着なし)上に、それぞれ線幅150μ
m 、長さ50mmの印刷形状に、厚さ15μm にスクリー
ン印刷し、150℃で10分間乾燥した後、580℃で
10分間焼成することによって、評価試料を作製した。
【0040】得られた試料をガラス基板の背面側(印刷
されていない面側)から観察したときの色調と反射率、
焼成体表面の反射率およびシート抵抗値を測定した。そ
の結果を表1に示す。なお、以下の表において、色調
は、銀白色を1、黒色を5とする、濃色ほど数値の大き
い5段階で評価した値を記した。
【0041】
【表1】
【0042】実施例6〜10 銀粉末(平均粒径0.8μm 、球状粒子)パラジウム粉
末(平均粒径0.2μm 、球状粒子)、ガラス粉末(ホ
ウケイ酸鉛ガラス、軟化温度約450℃、平均粒径4μ
m 、不定形粒子)、2−エチルヘキサン酸銀(銀分43
%)、2−エチルヘキサン酸パラジウム(パラジウム分
27%)、V23 粉末(平均粒径2μm 、不定形粒
子) およびBi23 粉末(平均粒径5μm)を、表2に
示すような配合比で調合した。これを実施例1〜5で用
いたのと同じ有機ビヒクルとともに、混練機を使用して
混練することによってペースト化した。
【0043】次に、これらのペーストを、実施例1〜5
と同様の方法で処理することによって、評価試料を作製
した。得られた試料について、実施例1〜5と同様に評
価を行った。その結果を表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】実施例11〜15 銀粉末(平均粒径0.3μm 、球状粒子)、ガラス粉末
(ホウケイ酸鉛ガラス、軟化温度約450℃、平均粒径
4μm 、不定形粒子)、2−エチルヘキサン酸銀(銀分
43%)、2−エチルヘキサン酸ルテニウム(ルテニウ
ム分19%)およびV25 粉末(平均粒径2μm 、不
定形粒子)を、表3に示すような配合比で調合した。こ
れを実施例1〜5で用いたのと同じ有機ビヒクルととも
に、混練機を使用して混練することによってペースト化
した。
【0046】次に、これらのペーストを、実施例1〜5
と同様の方法で処理することによって、評価試料を作製
した。得られた試料について、実施例1〜5と同様に評
価を行った。その結果を表3に示す。
【0047】
【表3】
【0048】実施例16〜20 銀粉末(平均粒径0.3μm 、球状粒子)、ガラス粉末
(ホウケイ酸ビスマスガラス、軟化温度約500℃、平
均粒径2μm 、不定形粒子)、2−エチルヘキサン酸ル
テニウム(ルテニウム分19%)、V25 粉末(平均
粒径2μm 、不定形粒子)およびRuO2 粉末(平均粒
径0.3μm)を、表4に示すような配合比で調合した。
これを実施例1〜5で用いたのと同じ有機ビヒクルとと
もに、混練機を使用して混練することによってペースト
化した。
【0049】次に、これらのペーストを、実施例1〜5
と同様の方法で処理することによって、評価試料を作製
した。得られた試料について、実施例1〜5と同様に評
価を行った。その結果を表4に示す。
【0050】
【表4】
【0051】実施例21〜25 銀粉末(平均粒径1.5μm 、球状粒子)、ガラス粉末
(ホウケイ酸鉛ガラス、軟化温度約450℃、平均粒径
4μm 、不定形粒子)、2−エチルヘキサン酸銀(銀分
43%)、2−エチルヘキサン酸パラジウム(パラジウ
ム分27%)、V24 粉末(平均粒径2μm 、不定形
粒子)、Bi23 粉末(平均粒径5μm)およびCuO
粉末(平均粒径3μm)を、表5に示すような配合比で調
合した。これをメタクリル酸エステル系重合体、アクリ
ル酸−2−ヒドロキシプロピル、ベンゾインブチルエー
テル、イソプロピルチオキサントン、p−tert−ブチル
カテコールおよび2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレ
ゾールをジエチレングリコールモノブチルエーテルに溶
解して調製した感光性有機ビヒクルとともに、混練機を
使用して混練することによってペースト化した。
【0052】次に、これらのペーストを、250メッシ
ュのスクリーン板を用いて、ソーダライムガラス基板の
トップ面(Sn付着なし)上に、厚さ15μm になるよ
うにスクリーン印刷し、80℃で30分間乾燥した。つ
いでそれぞれ線幅150μmのパターンを形成するよう
に、ホトマスクを用いて500mJ/cm2の露光を行った
後、Na2 CO3 の0.4%水溶液によって2分間現像
することにより、電極パターンを作製した。これを58
0℃で15分間焼成することによって、評価試料を作製
した。
【0053】得られた試料について、実施例1〜5と同
様に評価を行った。その結果を表5に示す。
【0054】
【表5】
【0055】実施例26〜30 銀粉末(平均粒径1.0μm 、球状粒子)、ガラス粉末
(ホウケイ酸ビスマスガラス、軟化温度約500℃、平
均粒径2μm 、不定形粒子)、2−エチルヘキサン酸ル
テニウム(ルテニウム分19%)、V25 粉末(平均
粒径2μm 、不定形粒子)およびRuO2 粉末(平均粒
径0.3μm)を、表6に示すような配合比で調合した。
これを実施例21〜25で用いたのと同じ感光性有機ビ
ヒクルとともに、混練機を使用して混練することによっ
てペースト化した。
【0056】次に、これらのペーストを、実施例21〜
25と同様の方法で処理することによって、評価試料を
作製した。得られた試料について、実施例1〜5と同様
に評価を行った。その結果を表6に示す。
【0057】
【表6】
【0058】実施例31〜35 銀粉末(平均粒径1.5μm 、球状粒子)、ガラス粉末
(ホウケイ酸鉛ガラス、軟化温度約480℃、平均粒径
3μm 、不定形粒子)、2−エチルヘキサン酸銀(銀分
43%)、2−エチルヘキサン酸パラジウム(パラジウ
ム分27%)、V25 粉末(平均粒径2μm 、不定形
粒子)、Bi23 粉末(平均粒径5μm)およびCuO
粉末(平均粒径3μm)を、表7に示すような配合比で調
合した。これをエチルセルロースをエチレングリコール
モノブチルエーテル酢酸エステルに溶解して調製した有
機ビヒクルとともに、混練機を使用して混練することに
よってペースト化した。
【0059】実施例21〜25で用いたのと同様の感光
性有機ビヒクルを、250メッシュのスクリーン板を用
いて、ソーダライムガラス基板のトップ面(Sn付着な
し)上に、厚さ15μm になるようにベタ印刷した。8
0℃で30分間乾燥した後、線幅150μm 、線間70
μm のパターンを形成するように、ホトマスクを用いて
500mJ/cm2の露光を行った後、Na2 CO3 の0.4
%水溶液によって2分間現像することにより、複数の凹
部を有する電極形成用のパターンを形成した。ついで、
スクリーン印刷用のスクイジーを用いて、さきに調製し
たペーストを凹部に注入し、150℃で15分間乾燥し
た後、凸部の感光性樹脂を剥離し、580℃で10分間
焼成することによって、評価試料を作製した。
【0060】得られた試料について、実施例1〜5と同
様に評価を行った。その結果を表7に示す。
【0061】
【表7】
【0062】実施例36〜40 銀粉末(平均粒径1.5μm 、球状粒子)、ガラス粉末
(ホウケイ酸鉛ガラス、軟化温度約450℃、平均粒径
4μm 、不定形粒子)、2−エチルヘキサン酸ルテニウ
ム(ルテニウム分19%)、V25 粉末(平均粒径2
μm 、不定形粒子)およびRuO2 粉末(平均粒径0.
3μm)を、表8に示すような配合比で調合した。これを
実施例31〜35で用いたのと同じ有機ビヒクルととも
に、混練機を使用して混練することによってペースト化
した。
【0063】次に、これらのペーストを、実施例31〜
35と同様の方法で処理することによって、評価試料を
作製した。得られた試料について、実施例1〜5と同様
に評価を行った。その結果を表8に示す。
【0064】
【表8】
【0065】比較例1〜3 表9に示すように、実施例1〜5に用いた銀粉末、ガラ
ス粉末および2−エチルヘキサン酸パラジウムを用い、
24 粉末および他の酸化物を配合しない比較例1の
ペースト;実施例1〜5に用いた銀粉末、ガラス粉末、
24 粉末、Bi23 粉末およびCuO粉末を用
い、金属原子含有有機化合物を配合しない比較例2のペ
ースト;ならびに実施例11〜15に用いた銀粉末、ガ
ラス粉末、2−エチルヘキサン酸銀および2−エチルヘ
キサン酸ルテニウムを用い、V25 を配合しない比較
例3のペーストを、それぞれ実施例1〜5と同様な方法
で処理して、評価試料を作製した。得られた試料につい
て、実施例1〜5と同様の評価を行った。その結果を表
9に示す。
【0066】
【表9】
【0067】実施例1〜40で得られた本発明の焼成体
は、十分な色調と表示コントラストが得られる濃色を呈
し、焼成体表面の反射率が十分に大きくて、背景側の反
射率が小さく、しかも優れた導電性を示した。これらに
対して、比較例1〜3で得られた焼成体は、いずれの場
合も、色調、反射率および電気抵抗のすべてを満足させ
るような結果は得られなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】典型的なガス放電表示パネルの基本構造を示す
斜視図である。
【符号の説明】
1 表示面側基板 2 背面側基板 3 透明電極 4 バス電極 5 誘電体層 6 保護層 7 誘電体層 8 アドレス電極 9 隔壁 10 蛍光体 11 観察者
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H05K 1/09 C04B 35/00 J (72)発明者 関本 秀樹 新潟県新潟市濁川3993番地 ナミックス株 式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)銀、金および第8族貴金属から選
    ばれる少なくとも1種の金属粉末; (B)ガラス粉末; (C)銀、金および第8族貴金属から選ばれる少なくと
    も1種の金属原子を分子中に含有する有機化合物;なら
    びに (D)酸化バナジウムを含む組成物を焼成して得られる
    導電性焼成体。
  2. 【請求項2】 (A)が、銀およびパラジウムの少なく
    とも1種である、請求項1記載の導電性焼成体。
  3. 【請求項3】 (C)が、銀、パラジウムおよびルテニ
    ウムから選ばれる少なくとも1種の金属を分子中に有す
    る有機化合物である、請求項1記載の導電性焼成体。
  4. 【請求項4】 さらに、(E)次の金属複合酸化物Cr
    −Co−Mn−Fe、Cr−Cu、Cr−Cu−Mn、
    Mn−Fe−Cu、Cr−Co−Fe;(FeO)x(F
    23)y で表される鉄酸化物;MnO2 ;MoO2
    Cr23 ;CuO;PdO;RuO2 ;およびBi2
    3 から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物を配合し
    た、請求項1記載の導電性焼成体。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の導電性焼成体からなる電
    極。
  6. 【請求項6】 放電空間を挟んで相対向する一対の基
    板、少なくとも一方の基板の内面に設けられ、透明電極
    とバス電極からなる放電維持電極、ならびに該放電維持
    電極の内側に順次設けられた誘電体層および保護層を備
    えた交流型ガス放電表示パネルにおいて、 該バス電極が、請求項5記載の電極であることを特徴と
    するガス放電表示パネル。
  7. 【請求項7】 バス電極がパターン形成された、請求項
    6記載のガス放電表示パネル。
  8. 【請求項8】 放電空間を挟んで相対向する一対の基
    板、少なくとも一方の基板の内面に設けられた陽極、お
    よび他方の基板の内面に設けられた陰極を備えた直流型
    ガス放電表示パネルにおいて、 該陽極が、請求項5記載の電極であることを特徴とする
    ガス放電表示パネル。
  9. 【請求項9】 陽極がパターン形成された、請求項8記
    載のガス放電表示パネル。
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