JPH11209656A - 鋼材用の有機樹脂塗料および有機樹脂塗料を塗布した鋼材 - Google Patents

鋼材用の有機樹脂塗料および有機樹脂塗料を塗布した鋼材

Info

Publication number
JPH11209656A
JPH11209656A JP10015886A JP1588698A JPH11209656A JP H11209656 A JPH11209656 A JP H11209656A JP 10015886 A JP10015886 A JP 10015886A JP 1588698 A JP1588698 A JP 1588698A JP H11209656 A JPH11209656 A JP H11209656A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
compsn
rust
steel material
chromium sulfate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP10015886A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Kishikawa
浩史 岸川
Hideaki Yuki
英昭 幸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP10015886A priority Critical patent/JPH11209656A/ja
Publication of JPH11209656A publication Critical patent/JPH11209656A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 反応副生成物の発生を抑制し、外観を損なう
ことなく、鋼材表面に早期に耐候性安定錆を形成できる
有機樹脂塗料および鋼材を提供する。 【解決手段】 有機樹脂塗料中に硫酸クロムを0.1%
以上1.0%未満を含有させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、海岸隣接地域にお
ける海塩粒子が飛来する厳しい大気腐食環境において、
腐食に対して保護性のある錆層(以下、耐候性安定錆と
いう)を、外観を損なうことなく早期に形成することが
できる鋼材用の有機樹脂塗料および有機樹脂塗料を塗布
した鋼材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鋼にP,Cu,Cr,Ni等の元素を添加すること
により、大気中における耐食性を向上させることができ
る。これらの低合金鋼は耐候性鋼と呼ばれるが、屋外に
おいて数年で腐食に対して保護性のある耐候性安定錆を
形成し、以後塗装等の耐食処理作業を不要とするいわゆ
るメインテナンスフリー鋼である。
【0003】しかしながら、耐候性安定錆が形成される
までに数年かかるため、それまでの期間中に浮き錆(密
着性が低く、容易に剥離する錆)や流れ錆(水の流れに
沿って、流れた跡に生じる赤錆)を生じ、好ましくない
ばかりでなく周囲環境の汚染原因にもなるという問題を
残している。特に海塩粒子が飛来する環境においては、
特に問題であった。
【0004】浮き錆および流れ錆の発生の対策として
は、特開平1−142088号公報にあるように、リン
酸塩皮膜を形成させる表面処理方法が提案されている。
しかし、本提案は処理内容が複雑であるのに加えて、リ
ン酸塩皮膜処理を施すに際してリン酸水溶液の粘度が低
いため、凹凸の大きな溶接部に均一な被膜を形成させる
のは容易ではなく、建築構造物への適用が困難である。
また、各種塩分が飛来するような厳しい大気腐食環境下
では、生成錆がβ−FeOOHという剥離性のある錆に
なり、耐候性安定錆が形成できない。
【0005】上記対策として、発明者らは特開平06−
226198号公報に、硫酸クロムまたは硫酸銅1〜6
5質量%含む有機樹脂塗料を被覆して安定さびを早期に
生成する方法を提案している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開平06−
226198号公報の提案の方法では、流れ錆および浮
き錆を防止することはできるが、被覆材の表面に反応副
生成物(硫酸鉄)が発生し、外観を損なうという問題が
ある。
【0007】本発明の目的は、反応副生成物の発生を抑
制し、外観を損なうことなく、鋼材表面に早期に耐候性
安定錆を形成できる有機樹脂塗料および鋼材を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、かかる目
的を達成すべく種々検討を重ね、以下(A) 〜(E) の知見
を得た。
【0009】(A) 20年以上暴露して生成させた耐候性
安定錆を解析した結果、耐候性安定錆がα−(Fe、C
r)OOH(以下、クロムゲーサイトという)からなる
微細結晶の緻密な集合により構成されている。
【0010】(B) 耐候性安定錆を早期に生成して浮き錆
や流れ錆の生成を抑えるためには、緻密なクロムゲーサ
イトを早く生成させることが重要である。 (C) クロムゲーサイトを早期に生成させるには、硫酸ク
ロムを鋼材表面に添加することが有効である。
【0011】(D) 硫酸クロムを鋼材表面に添加する方法
として、有機樹脂塗料中に分散させるのが良く、この硫
酸クロム含有塗料を鋼材表面に塗布すると効果を発揮す
る。 (E) 浮き錆や流れ錆の生成を抑制したまま、同時に反応
副生成物(硫酸鉄)による表面汚損を抑制するには、有
機樹脂塗料中の硫酸クロム含有濃度に臨界的範囲が存在
する。
【0012】本発明は、以上の知見に基づいてなされた
もので、その要旨は下記(1) (2) に示す通りである。 (1) 硫酸クロムを0.1%以上1.0%未満含有するこ
とを特徴とする反応副生成物による表面汚損を抑制する
鋼材用の有機樹脂塗料。 (2) 上記(1) の塗料を塗布した鋼材。
【0013】なお、ここでいう硫酸クロムの濃度は、水
や溶剤等の揮発分を除いた塗料固形分に対する重量%
(以下、全ての%は重量%を示す)を意味する。
【0014】
【発明の実施の形態】硫酸クロムは、有機樹脂塗料中に
水が浸透してきたときに,クロムイオンと硫酸イオンと
なり有機樹脂塗料と鋼の界面に到達する。生成硫酸イオ
ンと水は、鋼を腐食させ鉄イオンを新たに生成する。ク
ロムイオンは,この生成鉄イオンと反応して耐候性安定
錆の主成分であるクロムゲーサイトを生成する。
【0015】クロムゲーサイトを生成するには、塗料中
に0.1%以上の硫酸クロムを添加する必要がある。一
方、硫酸クロムを1%未満としたのは、塗料中に1.0
%以上存在すると、硫酸イオンと鋼が反応して発生する
硫酸鉄が塗装表面に現れ、外観を著しく損なうからであ
る。好ましくは、0.3%以上0.8以下がよい基材樹
脂は特定なものでなくてもよく、エポキシ樹脂、ウレタ
ン樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹
脂、アルキド樹脂、フタル酸樹脂等を例示することがで
きる。また上記樹脂を塗料化して塗装を行うが,油性
(溶剤系)の塗料にしても、水性塗料にしても特に問題
ない。
【0016】塗料中には、硫酸クロムの他に、ベンガ
ラ、二酸化チタン、カーボンブラック、フタロシアニン
ブルー等の着色顔料、タルク、シリカ、マイカ、硫酸バ
リウム、炭酸カルシウム等の体質顔料、酸化クロム、ク
ロム酸亜鉛、クロム酸鉛、塩基性硫酸鉛等の防錆顔料、
その他チキソ剤、分散剤、酸化防止剤等慣用の添加剤を
含むことができる。
【0017】使用時には適当量の溶剤または水により塗
装作業に適した粘度に調整されていることは言うまでも
ないことであり、この溶剤または水は、塗装後自然乾燥
により蒸散していくが、水の一部は、耐候性安定錆生成
反応にも寄与するものと考えられる。
【0018】鉄、銅、ニッケルの化合物やリン酸を直
接、あるいはこれらの水溶液として添加しても良い。そ
の理由は、鉄イオン、銅イオン、ニッケルイオンあるい
はリン酸イオンがクロムイオンと共存することにより、
クロムゲーサイトの生成を促進させる効果を有するから
である。
【0019】塗料が乾燥固化した後の望ましい膜厚は、
5〜150μm である。その理由は、5μm 未満では、
塗料表面からの水や各種塩類の透過が大きく腐食性が増
し過ぎ、クロムゲーサイトの生成が困難になるおそれが
あり、150μm を超えると、水の供給が小さくなり過
ぎるため、クロムゲーサイトの生成が遅れるばかりでな
く、成膜のコスト的にも不利であるからである。
【0020】以上に記載の塗料は、通常の塗装方法と同
じくエアスプレー、エアレススプレーあるいは刷毛塗り
等慣用の方法で塗装することができため、現地での鋼材
の切断、溶接等の加工後にも対応ができる。
【0021】耐候性安定錆が生成した後には、鋼材の腐
食速度が極めて遅くなるため、さらに上層に着色塗膜を
被覆することも可能で、ブラスト処理等の表面を有する
裸仕様鋼材に着色塗膜を被覆する場合に比べて、その着
色塗膜の寿命延長効果も期待できる。
【0022】本塗料を塗装する鋼材は、特に鋼種を限定
されるものではなく普通鋼、耐候性鋼等の低合金鋼、お
よび既に錆が発生している各種鋼材であっても、耐候性
安定錆を生成するものであればよい。
【0023】耐候性安定錆の生成前、あるいは後に何ら
かの外力が作用して亀裂の発生や微小な剥離を生じて
も、健全部の塗膜中に硫酸クロムが残存しておれば、そ
の損傷部において健全部からの硫酸クロムの供給があ
り、耐候性安定錆を生成あるいは再生する力が期待でき
る。
【0024】
【実施例】表1に実施例に用いた試験鋼の化学成分を、
表2に鋼材の前処理方法を、表3に基材樹脂組成を示
す。試験片の寸法は150 ×70×3.2mm とした。なお、基
材樹脂のうち、硬化剤を使用した樹脂は、硬化剤を塗装
直前に混合した。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】表4〜6にサンプルの作製条件及び試験結
果を示す。表4〜6に示す基材樹脂および添加剤からな
る配合組成のものに適当量の溶剤(イソプロピルアルコ
ール60%、イソブチルアルコール20%、1−ブタノ
ール20%の組成)を加えて粘度を200〜1000CP
S に調整した塗料を作製し、エアースプレーによる塗装
方法により被覆した。粘度測定はB型粘度計により行っ
た。作製した各サンプル試験片を水平に設置し、人工海
水製造用の原料となる粉末を1mg/dm2 となるように毎
日各サンプル試験片の上面に散布するという同一条件
で、海岸より100m の位置にある新潟県直江津市の海
岸隣接地域に1年間暴露した。
【0029】暴露2ケ月の時点で、各サンプル試験片の
塗膜表面の外観を目視観察し、硫酸鉄の生成による反応
副生成物の有無を調べた。1年間暴露した各サンプル試
験片の残存皮膜および錆を除去した後、重量を測定し、
予め測定していた塗装前の鋼材重量から減ずることによ
り、腐食減量を測定した。また、1年間暴露後の各サン
プル試験片に生成した錆の断面をラマン分光法で構造解
析し、錆中の元素分析を行いクロムゲーサイト層の生成
有無を確認した。
【0030】表4〜6の結果には、測定した腐食減量の
半分である片面の平均腐食減量を示し、塗料配合組成は
溶剤分と水分を除外した組成であり、ゲーサイトが生成
しているものは○印、生成していないものは×印を付
け、反応副生成物の発生がないものに○印、発生してい
るものに×印をそれぞれ付けた。なお、無塗装および硫
酸クロム無添加のサンプル試験片には、該当するところ
に−印を付けた。
【0031】
【表4】
【0032】
【表5】
【0033】
【表6】
【0034】表4および表5に示すように、本発明例の
試験番号1〜23では、流れ錆や反応副生成物(硫酸
鉄)による汚損は認められず、腐食減量が小さくかつ耐
候性安定錆が生成しているのが認められた。特に硫酸ク
ロムを単独で用いたものに比べ、表5に示す試験番号1
1〜23の銅やニッケル等を併用したものは、その相乗
効果により腐食減量が低い傾向にあった。試験番号8、
20〜23に示すように、錆層を予め形成後に塗布した
場合も、十分な効果が認められた。
【0035】表6に示すように、比較例24〜34で
は、硫酸クロムが無添加あるいは添加量が適正範囲外で
あるため、腐食減量が大きかった。また、硫酸クロムの
添加量が適正範囲を超えたものは反応副生成物(硫酸
鉄)による汚損が認められた。なお、比較例33および
比較例34は、上下面に塗料を被覆をしたものである
が、硫酸クロムを含有していないため腐食減量が大きか
った。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、反応副生成物の発生を
抑制し、外観を損なうことなく、鋼材表面に早期に耐候
性安定錆を形成できる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硫酸クロムを0.1%以上1.0%未満
    含有することを特徴とする反応副生成物による表面汚損
    を抑制する鋼材用の有機樹脂塗料。
  2. 【請求項2】 請求項1の塗料を塗布した鋼材。
JP10015886A 1998-01-28 1998-01-28 鋼材用の有機樹脂塗料および有機樹脂塗料を塗布した鋼材 Withdrawn JPH11209656A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10015886A JPH11209656A (ja) 1998-01-28 1998-01-28 鋼材用の有機樹脂塗料および有機樹脂塗料を塗布した鋼材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10015886A JPH11209656A (ja) 1998-01-28 1998-01-28 鋼材用の有機樹脂塗料および有機樹脂塗料を塗布した鋼材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11209656A true JPH11209656A (ja) 1999-08-03

Family

ID=11901283

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10015886A Withdrawn JPH11209656A (ja) 1998-01-28 1998-01-28 鋼材用の有機樹脂塗料および有機樹脂塗料を塗布した鋼材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11209656A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1378585B1 (en) Corrosion resistant trivalent chromium phosphated chemical conversion coatings
JP5600992B2 (ja) 耐候性に優れた表面処理耐食性鋼材
JP3345023B2 (ja) 鋼材の表面処理剤および表面処理鋼材
JP4455712B2 (ja) 耐大気腐食性を有する被覆鋼
JPH11209656A (ja) 鋼材用の有機樹脂塗料および有機樹脂塗料を塗布した鋼材
JP3414269B2 (ja) 耐候性に優れた表面処理鋼材
JP3932779B2 (ja) 表面処理鋼材および塗膜の形成方法
JPH0813158A (ja) 耐候性に優れた鋼材およびその表面処理方法
JP3219003B2 (ja) 鋼材の表面処理剤および表面処理鋼材
JP2666673B2 (ja) 耐候性に優れる表面処理鋼材
JPS62260866A (ja) 耐候性鋼の錆安定化表面処理法
JPH11217676A (ja) 鋼材の表面処理剤および表面処理鋼材
JP3997809B2 (ja) 防食表面処理方法と鋼材
JP3607188B2 (ja) 耐候性表面処理鋼材および処理方法
JP3744205B2 (ja) 耐候性に優れる表面処理鋼材
JP3817942B2 (ja) 耐候性に優れる表面処理鋼材
JP3642511B2 (ja) 有機樹脂塗料及び表面処理鋼材
JP2737598B2 (ja) 耐候性に優れる表面処理鋼材
JP2001040280A (ja) 耐候性鋼材用塗料組成物およびこれを用いた安定錆の形成方法
JP2827781B2 (ja) 鋼材の表面処理方法
JP2001115270A (ja) 保護性さび生成促進処理方法
JP3416874B2 (ja) 高意匠性鋼材の表面処理方法
JP2001081580A (ja) 錆安定化処理がなされた鋼構造物
JP2000160364A (ja) 耐候性に優れる表面処理鋼材
JP2000160363A (ja) 耐候性に優れる表面処理鋼材

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20050405