JPH11207249A - 滑らかな凹凸のある外観を持つ塗装金属板の製造方法 - Google Patents

滑らかな凹凸のある外観を持つ塗装金属板の製造方法

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JPH11207249A
JPH11207249A JP891698A JP891698A JPH11207249A JP H11207249 A JPH11207249 A JP H11207249A JP 891698 A JP891698 A JP 891698A JP 891698 A JP891698 A JP 891698A JP H11207249 A JPH11207249 A JP H11207249A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 滑らかな凹凸外観を持つプレコート鋼板を欠
陥の発生なく製造する方法を提供する。 【解決手段】 第1層として通常の塗料を塗布し、強制
的な乾燥や硬化をすることなく引き続いて第2層として
熱硬化性樹脂をバインダー成分とし、その樹脂を架橋す
るための架橋剤成分を含有する塗料中に、特定の条件を
満たす別の樹脂を混合した塗料を金属板に塗布し、強制
的な乾燥や硬化することによって、滑らかな凹凸のある
外観を持つ塗装金属板を欠陥なく製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建材用、自動車
用、家電・器物用等に用いられる、凹凸のある外観を持
つ塗装金属板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】金属板への塗装は、従来金属板を成形加
工した後に行われていた。このいわゆるポストコートの
塗装は、エアスプレー、エアレススプレー、静電塗装、
或いはこれらの組み合わせ技術で行われ、乾燥後の外観
は、滑らかな凹凸のあるユズ肌状外観となる。一方、近
年、公害問題の解決、塗装スペースの有効活用、コスト
ダウン等の観点から、あらかじめ金属板に被覆層を設け
た塗装金属板が広く用いられるようになっている。塗装
金属板は、ロールコーターやカーテンコーターで塗装さ
れ、その表面は平滑であり、美観な外観を呈している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】塗装金属板の用途が広
がり、また需要量が増えるに従って、問題点も見られる
ようになってきた。その一つは、塗膜のキズ付き性であ
る。平滑な塗装金属板の塗膜は、凹凸のあるユズ肌外観
のポストコートの塗膜に比べて小さなキズでも目立ちや
すいという欠点がある。製造時、輸送時、加工成形時の
キズのいずれも、凹凸のある外観のほうが目立ちにく
い。また、塗装後の金属板を積み重ねて放置しておいた
ときに生じるプレッシャーマークも、平滑な塗装金属板
の塗膜で目立ちやすいことが多い。更に、塗装金属板の
適用部位によっては、むしろ周辺のポストコートされた
金属板との調和が要求される場合もある。
【0004】これらの問題点を解決する方法として、特
願平9−28134号、特願平9−28135号、特願
平9−98573号等の滑らかな凹凸のある外観を持つ
塗装金属板が提案されている。しかし、これらの発明に
使用される塗料は、カーテンコーターで塗布するとき
に、空気同伴を起こしやすいという欠点を持っていた。
この理由は明確ではないが、いずれも表面張力が塗料よ
りも低い樹脂ビーズが含有されているために、表面張力
の不均一を生じるためではないかと考えられる。本発明
は、上述の問題点を解決するために、滑らかな凹凸のあ
る外観を持つ塗装金属板を効率よく、欠陥なく製造する
方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、滑らかな凹凸
のある外観を持つ塗装金属板の製造方法であって、第1
層として樹脂Aをバインダー成分とし、必要に応じて樹
脂Aを架橋するための架橋剤成分を含有する塗料(塗料
Aと称する)を塗布してから、強制的な乾燥や硬化をす
ることなく引き続いて第2層として熱硬化性樹脂Cをバ
インダー成分とし、樹脂Cを架橋するための架橋剤成分
を含有する塗料(塗料Cと称する)中に、その塗料Cの
表面張力より低い表面張力を持ち、常温で固体であり、
塗料A及びCには溶解せず、かつそれら塗料の焼付け過
程で溶融する樹脂Bを混合した塗料を金属板に塗布し、
強制的な乾燥や硬化することを特徴とする滑らかな凹凸
のある外観を持つ欠陥の少ない塗装金属板の製造方法で
ある。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。滑らかな凹凸のある外観を発現する基本的な原理
は以下の通りであると考えられる。表面張力差によっ
て、塗料を塗布した後の塗膜表面に、その温度(常温)
で固体である樹脂Bを配向させることによって塗膜表面
に凸部を形成し、その凸部を塗膜の焼付け乾燥過程で適
度にレベリングさせることによって、乾燥後の塗膜に滑
らかな凹凸を持つ外観を与える。樹脂Bへの塗料の濡れ
が悪いことによって、樹脂Bは塗膜表面に接して存在し
やすく、樹脂Bが塗膜表面に存在する部分で塗料が盛り
上がって凸部を形成する。この凸部の高さは、塗膜の乾
燥過程におこるレベリングによって小さくなるが、塗料
が熱硬化性樹脂をバインダー成分とするため、乾燥過程
のある時点で塗膜のレベリングが止まり、滑らかな凹凸
を持つ外観を与えるものである。
【0007】本発明は、まず樹脂Bを含まない塗料Aを
金属板上に塗布し、この層を強制的な乾燥や硬化をせず
に、樹脂Bを含む塗料Cをウェット−オン−ウェットで
塗布することに特徴がある。樹脂Bを含む塗料は、塗布
性が悪く、特にカーテンコーターで塗布すると空気同伴
による欠陥、樹脂Bの凝集による線状の欠陥等、樹脂B
があるが故の欠陥を塗布時に生じやすい。本発明は、塗
布性の悪い樹脂Bを含む塗料によって凹凸のある外観を
得ようとするときに、まず樹脂Bを含まない塗料Aを塗
布して、この塗膜を強制的な乾燥・硬化をすることな
く、この上から樹脂Bを含む塗料Cをウェット−オン−
ウェットで塗布し、両層の塗膜を同時に強制乾燥、或い
は硬化することで、滑らかな凹凸のある外観を発現する
とともに、塗布時の欠陥を防止して、製造時の歩留を向
上することを目的としている。
【0008】第1層として樹脂Bを含まない塗料Aを塗
布することで、第2層の塗料Cの塗布時に発生する欠陥
を目立たなくする、あるいは無くすることができる。特
に、塗料Aと樹脂Bを含まない塗料Cとが同じ塗料の場
合には、たとえば塗料Cを塗布したときに空気同伴等の
欠陥が発生しても、焼付け時に下に塗装されている塗料
Aとの混合が起こって欠陥が消滅したり、目立たなくな
ったりする効果がある。また、塗料A中の樹脂Aと塗料
C中の樹脂Cが同じ樹脂の場合には、両樹脂はまざりや
すく、一体となって密着性が向上する。塗料Aの表面張
力を、塗料Cの表面張力より大きくすると、塗料Cを塗
布したときの塗料A上への塗料Cの濡れ広がりが容易に
おこるため、空気同伴等の欠陥が発生しにくくなる。
【0009】本発明における樹脂Bの表面張力は、樹脂
Bを除いた状態での塗料Cの表面張力より低いことが必
要である。塗料Cの表面張力と樹脂Bの表面張力の関係
は、以下のようにして調べることができる。まず、塗料
に樹脂Bを加えた後、その塗料を鋼板上に焼付け板温2
30℃となるように焼き付けたときの乾燥膜厚が樹脂B
の固体状態での平均粒径より厚くなるように塗布し、樹
脂Bが溶融状態にならない温度(樹脂Bの軟化点以下)
で5分程度乾燥し、溶剤を極力揮発させる。次いで、こ
の塗り板を切断して樹脂に埋め込み、塗り板の断面方向
から塗膜を観察する。樹脂Bが塗膜の表面に接するよう
に浮上しているか、または樹脂Bの一部が塗膜の表面か
ら空気側に出ており、かつ、樹脂Bが塗膜の表面と接触
する部分のつくる角度が40度より大きいときに、樹脂
Bの表面張力は、塗料の表面張力より小さいと判定す
る。
【0010】このとき、樹脂Bは鋼板側の界面とは接し
ていないことを前提とする。これは樹脂Bの表面張力が
塗料より小さい場合には、樹脂Bが塗布、乾燥の過程で
一旦塗膜表面に接すると、そのまま表面に残るほうが塗
膜中に潜るよりも系の表面自由エネルギーが低くなるた
め、樹脂Bが表面に接したままで存在しようとする力が
働くことを利用している。表面に接している樹脂Bの表
面張力が、塗料の表面張力より小さいほど、樹脂Bに接
する塗料はよりはじかれた状態となり、塗料が樹脂Bに
接する角度が大きくなることも利用している。樹脂B上
に塗料を滴下して接触角を測定することを考えると、樹
脂Bが塗料に濡れにくいほど、つまり樹脂Bの表面張力
が塗料より小さいほど、接触角が大きくなる現象と同じ
である。
【0011】実験の結果、塗膜の表面に接する樹脂Bと
塗料の接触角は40度以上のときに、樹脂Bが塗膜表面
に接して存在する場合の、塗膜の凸部の形成が大きくな
り、より凹凸外観が明確になることがわかった。これら
の様子を図1に示す。すなわち、図1は樹脂Bの表面張
力が元の塗料よりも小さい状態を示す塗膜の断面図であ
る。この図のように、樹脂Bは塗膜表面に浮いており、
また、樹脂Bへの塗料の接触角θは40度よりも大きい
し、膜厚は樹脂Bの平均粒径よりも大きくしているの
で、樹脂Bが下地との界面に接することは少ない条件と
なっている。
【0012】しかも、塗布、乾燥の過程で表面に接する
機会のなかった樹脂Bはそのまま塗膜中に残っている。
塗膜中に残っている樹脂Bは観察の対象外である。樹脂
Bの比重が塗料より軽い場合にも、樹脂Bが塗膜表面に
接して存在することが考えられるが、もし樹脂Bの表面
張力が塗料より大きい場合には、樹脂Bの表面は塗料で
濡らされ、樹脂Bへの塗料の接触角は40度より大きく
ならず、樹脂Bによる凸部形成が不十分となり、十分凹
凸のある外観が得られない。
【0013】樹脂Bは、常温で固体であって、樹脂Bを
加えない状態の塗料A及びCに溶解しないことが求めら
れる。常温とは、通常の塗装金属板の製造設備における
塗装時の温度であり、設備のある場所によるが、冬場は
−10℃、夏場は40℃程度である。樹脂Bは、塗料が
塗装される温度で固体であれば問題ない。樹脂Bが固体
でなく、液体であると、この塗料を塗装した直後の塗膜
表面の凸部の形成が不十分となる。
【0014】また、樹脂Bが塗料AやCに容易に溶解す
ると、樹脂Bが液状であるのと同じことになり、この塗
料を塗装した直後の塗膜表面の凸部の形成が不十分とな
る。つまり、塗料を製造してから、塗装されるまでに、
仮に樹脂Bが塗料中の溶剤に少し溶解し、あるいは膨潤
したとしても、塗装されるときに固体であれば、凸部の
形成に不都合はない。樹脂Bの種類は特に限定されるこ
とはなく、公知の樹脂を用いることができる。フッ素樹
脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、
エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ブチラール樹脂、ポリ
オレフィン樹脂、あるいはこれらの混合物、共重合体等
が例として挙げられる。
【0015】樹脂Bは、塗料の焼付け過程で溶融状態に
なることが必要である。樹脂Bが焼付け過程で溶融する
と、塗膜の凹凸がより滑らかに形成され、外観に優れる
ことを見いだした。樹脂Bが焼付け過程で溶融しない
と、よりゴツゴツした感じの滑らかでない凹凸を持つ塗
膜となる。塗膜の外観は好みの問題があり、どちらが良
いとは一概には言えないが、本発明では、樹脂Bは焼付
け過程で溶融状態となるように選択する。温度が制御で
きる鉄板の上に樹脂Bを乗せ、鉄板の温度を15℃/分
の速度で昇温し、樹脂Bが目視で溶融状態になったとき
の鉄板の温度を、樹脂Bの軟化点と称する。樹脂Bの軟
化点は、塗料の焼付け板温よりも低いことが必要であ
る。
【0016】樹脂Bの大きさは特に限定されないが、最
大粒径は100μm以下であることが望ましい。100
μmを越えると、ロールコーターやカーテンコーター、
ローラーカーテンコーターでの塗装作業性が悪くなる。
樹脂Bの塗料C中への配合量も特に限定されるものでは
ないが、乾燥塗膜中に重量で2〜30%含まれているこ
とが望ましい。1%以下では凸部の形成が不十分とな
り、30%以上では凹凸の滑らかさがやや悪くなった
り、また、塗膜物性特に加工性が低下することがある。
【0017】本発明の塗料A及びC中のバインダー樹脂
の種類は特に限定されることはなく、公知の樹脂を用い
ることができる。塗料A中の樹脂Aは熱硬化性樹脂、熱
可塑性樹脂の両者が使用できる。一方、塗料C中の樹脂
Cには熱硬化性樹脂が必須である。樹脂としては、フッ
素樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹
脂、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、あるいはこれらの
混合物、共重合体等が例として挙げられる。
【0018】凹凸をより鮮明に発現するためには、バイ
ンダー樹脂Cとして熱硬化性樹脂を用いる。熱可塑性樹
脂をバインダー樹脂Cとして用いると、塗膜の焼付け乾
燥過程で温度の上昇とともに塗膜中の樹脂の粘度が低下
し、塗膜を形成した直後に形成された凸部のレベリング
が進みすぎて、凹凸が少なくなってしまうからである。
バインダー樹脂の架橋成分としては、メラミン樹脂、ベ
ンゾグアナミン樹脂等のアミノ樹脂、イソシアネート樹
脂、あるいはブロックイソシアネート樹脂、エポキシ樹
脂、酸過剰ポリエステル樹脂等の酸基を含む樹脂、フェ
ノール樹脂等が挙げられる。また、バインダー樹脂Aや
Cの分子中に架橋に寄与する官能基、あるいはブロック
された官能基を含んでいても良い。塗料中の樹脂Aも、
熱硬化性樹脂であることが、樹脂Cが熱硬化性樹脂であ
る理由と同じ理由で望ましい。また、塗料Aによる第1
層と塗料Cによる第2層の層間密着性を確保するため
に、塗料AとCとは同じ塗料、あるいは同じ種類の樹脂
系を用いた塗料であることが望ましい。
【0019】塗装金属板を製造する通常のラインでは、
焼付けの板温は最大でも250℃程度、通常は210〜
240℃程度であることを考えると、エネルギーコスト
を増大させずに、効率的に塗装鋼板を製造するために
は、塗料の焼付け温度もこの範囲であることが望まし
い。従って、樹脂Aとその架橋成分も250℃より低い
焼付け板温で焼付け可能であることが望ましい。この点
から、樹脂Bの軟化点も、塗膜の焼付け過程で樹脂Bを
溶融させるために、250℃以下であることが望まし
い。さらに、塗膜の焼付け硬化が充分進み、塗膜の流動
性が完全になくなってから樹脂Bが溶融すると、塗膜の
凹凸に滑らかさが不足する。実験により、塗膜の焼付け
板温(最高到達板温)よりも、樹脂Bの軟化点が30℃
以上低いときに、特に滑らかな凹凸を生じることがわか
った。つまり、樹脂Bの軟化点は210℃以下で、かつ
塗料の焼付け板温よりも30℃以上低いことが望まし
い。
【0020】塗装金属板には、加工性、硬度、耐汚染
性、耐薬品性など多くの性能が要求されるため、使用さ
れている主樹脂の種類はポリエステル樹脂、アクリル樹
脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂にほぼ
限定されている。樹脂Bは塗膜中に残り、塗膜の性能に
影響を与えるので、樹脂Bの種類も、この中から選択す
ることが望ましい。この内、フッ素樹脂は、融点や軟化
点が高いため、前述の樹脂Bに望ましい軟化点である2
30℃より高いものが多いこと、さらに高価であること
から望ましくない。樹脂A、Cとしては、加工性に優
れ、硬度や耐汚染性など他の性能とのバランスがとりや
すいポリエステル樹脂が最も適している。架橋剤として
は、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等のアミノ樹
脂やイソシアネート樹脂が、加工性と他の性能のバラン
スの点から優れている。
【0021】金属板としては、たとえば鋼板、アルミ
板、ステンレス板、チタン板、銅板等が挙げられる。こ
のうち鋼板の例として、冷延鋼板、熱延鋼板、亜鉛めっ
き鋼板、合金化亜鉛めっき鋼板、亜鉛−鉄合金めっき鋼
板、亜鉛−アルミ合金めっき鋼板、アルミめっき鋼板、
クロムめっき鋼板、ニッケルめっき鋼板、亜鉛−ニッケ
ル合金めっき鋼板、すずめっき鋼板等が挙げられる。次
いで金属板には必要に応じて前処理を施すことができ
る。前処理としては、水洗、湯洗、酸洗、アルカリ脱
脂、研削、研磨、クロメート処理、リン酸亜鉛処理、複
合酸化皮膜処理等があり、これらを単独または組み合わ
せて塗装前処理を行う。塗装前処理の条件は適宜選択す
ればよい。
【0022】次いで必要に応じて、下塗り塗料を金属板
上に塗布し、硬化乾燥させることにより下塗り塗膜層を
形成することができる。下塗り塗料としては、種類は特
に限定されないが、ポリエステル樹脂系、エポキシ樹脂
系、ウレタン樹脂系、アクリル樹脂系等があり、これを
ロールコーター、カーテンフローコーター、ローラーカ
ーテンコーター、静電塗装機、ハケ、ブレードコータ
ー、ダイコーター等で必要な膜厚になるように塗装し、
次いで常温放置であるいは熱風炉、誘導加熱炉、近赤外
線炉、遠赤外線炉、エネルギー線硬化炉等で硬化乾燥す
ることによって下塗り塗膜層が得られる。下塗り塗膜層
には必要に応じて公知の顔料や添加剤を加えることがで
きる。膜厚は任意であるが、塗装金属板においては1〜
30μm程度、特に3〜12μmの乾燥膜厚が一般的で
ある。乾燥条件は塗料の内容と得たい性能に応じて適宜
選択すればよいが、熱風炉や誘導加熱炉、近赤外線炉等
で最高到達板温150〜240℃、到達時間10〜20
0秒程度の条件が一般的である。下塗り塗膜層はなくて
もよいし、1層であっても、多層であっても差し支えな
い。
【0023】次に、塗料A(樹脂Bを含まない)を塗布
する。塗料内容の詳細はすでに述べた通りである。この
塗料を、ロールコーター、カーテンフローコーター、ロ
ーラーカーテンコーター、静電塗装機、ハケ、ブレード
コーター、ダイコーター等で必要な膜厚になるように塗
装する。塗装方法としては、ロールコーターが最も適し
ている。次いで、塗料A(樹脂Bを含まない)の層を強
制的な乾燥、硬化することなく、塗料C(樹脂Bを含
む)を塗布する。塗布の手段は特に限定されず、ロール
コート法によってもよいが、ウェット−オン−ウェット
で塗布するので、非接触であるカーテンフローコータ
ー、ダイコーター、静電塗布、スプレー塗布等が適して
いる。
【0024】次いで熱風炉、誘導加熱炉、近赤外線炉、
遠赤外線炉等で、樹脂Bの軟化点以上の温度で硬化乾燥
する(樹脂Bは焼付け過程で溶融状態となる)。塗膜層
の厚みは特に限定されるものではないが、乾燥膜厚とし
て両層併せて5〜40μmとなるように製造するのが普
通である。初めに塗装する層と、後から塗装する層の膜
厚はそれぞれ限定されるものではなく、適宜選択でき
る。コストを考えるとできるだけ低い膜厚で美麗な外観
を得ることが望ましく、欠陥の発生を防止する、あるい
は目立たなくするという観点で考えると、第1層目は比
較的薄くて良く0.5〜10μm、第2層目は凹凸外観
を得るためのビーズが含有されることを考慮して5〜2
0μm程度が適当である。
【0025】塗料の色は特に限定されない。クリアーで
もよい。また、下塗り、上塗り塗料A、Cともに必要に
応じて消泡剤、レベリング剤等の添加剤や、体質顔料、
着色顔料、防錆顔料等の公知の顔料、キシレン、シクロ
ヘキサノン、ソルベッソ150、ブチルセロソルブ等の
公知の溶剤等を加えることができる。また、樹脂A、C
が水系樹脂の場合には、水やブチルセロソルブなどの水
に混ざる溶剤を加えることが可能である。また、この滑
らかな凹凸を持つ塗膜の上にさらに、塗膜を塗り重ねる
ことも可能である。たとえば、クリアー塗膜を塗り重ね
て光沢の向上をはかる、保護層とする、別の機能を付与
するなどが考えられる。また、色のついたエナメル塗膜
を塗り重ねても良い。また、滑らかな凹凸を持つ塗膜を
重ねて形成してもよい。
【0026】
【実施例】本発明の塗装金属板の実施例を説明する。厚
み0.6mmの溶融亜鉛めっき鋼板に塗装前処理用の塗
布型クロメート処理を施し(Crとして50mg/m2
の付着量)、下塗りとして市販のポリエステル樹脂系プ
ライマー塗料(日本ペイント製P185)を乾燥膜厚が
5μmとなるようにロールコーターで塗布したのち、高
周波誘導加熱炉で最高到達板温215℃となるように焼
き付けた。ついで塗料A(樹脂Bを含まない)をロール
コーターで塗布したのち、塗料C(樹脂Bを含む)をロ
ーラーカーテンコーターで塗布し、高周波誘導加熱炉で
焼き付けた。2層に塗り重ねた塗膜層は、最高到達板温
は230℃となるように焼付けを行った。塗料A、Cの
内容(樹脂の種類等)と乾燥膜厚を表1に示した。
【0027】
【表1】
【0028】使用した樹脂A、Cとしては、平均分子量
16000と平均分子量10000のポリエステル樹脂
を用いた。前者をポリエステル樹脂1、後者をポリエス
テル樹脂2とした。いずれもメラミン樹脂で架橋した。
メラミン樹脂として、メチル化メラミン樹脂/ブチル化
メラミン樹脂=70/30(固形分重量比)の混合物を
用い、ポリエステル樹脂/メラミン樹脂=70/30
(固形分重量比)で配合した。この樹脂組成物に、チタ
ン白を顔料重量濃度50%となるように分散して塗料
A、Cを得た。塗料Cには、表面張力を下げるためにシ
リコン系添加剤を塗料中に0.05%添加した水準も試
験した。塗料Cに配合する樹脂Bとしては、結晶性で軟
化点110℃、平均粒径が40μmのポリエステル樹脂
を用いた。表面張力は使用したいずれの塗料よりも低か
った。両者の表面張力値の関係については、前述した方
法によって調べた。樹脂Bの最大粒径はいずれも100
μm以下である。塗料Cへの配合量は、樹脂Cの固形分
中に6重量%とした。
【0029】塗装金属板は、その外観と20℃における
折り曲げ加工性を評価した。滑らかな凹凸外観が得られ
ている場合は、◎とし、凹凸外観が得られていない場合
には×とした。また、凹凸があるが滑らかでない場合、
凹凸感に乏しい場合は◎から減点し、良いほうから順に
〇、△と評価した。〇または◎の場合に、滑らかな凹凸
感がある、と評価した。なお、「滑らかな凹凸感」はい
わゆるユズ肌といわれるような外観である。20℃にお
ける折り曲げ加工性は、塗装金属板を所定の枚数の板
(塗装金属板と同じ厚みの板)を挟んで180曲げ(T
折り曲げ)し、加工を受けた塗膜を観察して割れの程度
を評価した。7点は割れなし、1点は全面に大きな亀裂
を生じる場合で、その間を程度に応じて点数化した。な
お、加工性は樹脂Bの配合されていない元の塗料の性能
に依存しており、各樹脂系によってレベルが異なる。加
工性は、樹脂Bの配合によって加工性のレベルが元の塗
料から大きく劣化するかどうかを見るために評価した。
【0030】実施例、比較例のいずれの水準でも、折り
曲げ加工性は20℃で評点7点(塗膜に割れなし)であ
った。また、凹凸外観はいずれの水準でも◎であった。
また、1層目(樹脂Bを含まない塗料Aによる)と2層
目(樹脂Bを含む塗料Cによる)の塗膜の合計膜厚分
を、ローラーカーテンコーターで1回で塗布した時と、
本発明による2層をウェット−オン−ウェットで塗り重
ねた場合の外観を比較して、表中に示した。1層塗膜
で、乾燥膜厚が少ない比較例4と9では、ローラーカー
テンコーターで塗布した時に、空気同伴によると思われ
る泡欠陥が発生したが、同じ膜厚を2回に分けて塗装
(ウェット−オン−ウェット)した本発明例3と10で
は、泡欠陥が発生していない(または泡欠陥として認識
できない程度に軽微である)。本発明の効果が明らかで
ある。
【0031】
【発明の効果】以上述べたように、塗装金属板に通常の
塗料を塗布した後、強制的に乾燥・硬化することなく、
元の塗料との表面張力の値の関係を特定した常温で固体
の樹脂Bを配合した塗料を塗布して、両塗膜層を強制的
に乾燥・硬化することによって、滑らかな凹凸のある外
観を持つ塗装金属板を効率よく提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】樹脂Bの表面張力が元の塗料よりも小さい状態
を示す塗膜の断面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B32B 15/08 B32B 15/08 G 104 104Z

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1層として樹脂Aをバインダー成分と
    し、必要に応じて樹脂Aを架橋するための架橋剤成分を
    含有する塗料(塗料Aと称する)を塗布してから、強制
    的な乾燥や硬化をすることなく引き続いて第2層として
    熱硬化性樹脂Cをバインダー成分とし、樹脂Cを架橋す
    るための架橋剤成分を含有する塗料(塗料Cと称する)
    中に、その塗料Cの表面張力より低い表面張力を持ち、
    常温で固体であり、塗料A及びCには溶解せず、かつそ
    れら塗料の焼付け過程で溶融する樹脂Bを混合した塗料
    を金属板に塗布し、強制的な乾燥や硬化することを特徴
    とする滑らかな凹凸のある外観を持つ欠陥の少ない塗装
    金属板の製造方法。
  2. 【請求項2】 樹脂A、B、Cがポリエステル樹脂であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の凹凸のある外観を
    持つ塗装金属板の製造方法。
  3. 【請求項3】 樹脂AとCが同じ樹脂であることを特徴
    とする請求項1または2に記載の凹凸のある外観を持つ
    塗装金属板の製造方法。
  4. 【請求項4】 塗料Aと塗料Cが、樹脂Bを含むこと以
    外は同一であることを特徴とする請求項1から3のいず
    れかに記載の凹凸のある外観を持つ塗装金属板の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 塗料Aの表面張力が塗料Cの表面張力よ
    りも大きいことを特徴とする請求項1から4のいずれか
    に記載の凹凸のある外観を持つ塗装金属板の製造方法。
  6. 【請求項6】 第1層目の塗料Aはロールコーターで、
    第2層目の塗料Bはカーテンコーターまたはダイコータ
    ーで塗布することを特徴とする請求項1から5のいずれ
    かに記載の塗装金属板の製造方法。
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