JPH11206817A - 車椅子用キャスタ - Google Patents

車椅子用キャスタ

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JPH11206817A
JPH11206817A JP10013718A JP1371898A JPH11206817A JP H11206817 A JPH11206817 A JP H11206817A JP 10013718 A JP10013718 A JP 10013718A JP 1371898 A JP1371898 A JP 1371898A JP H11206817 A JPH11206817 A JP H11206817A
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caster
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Takayuki Tagawa
孝之 田川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 意識的な操作をすることなく片流れが防止さ
れ、かつ衝撃が吸収される軽量かつ簡単な構成の車椅子
用キャスタを提供することである。 【解決手段】 車椅子の主車輪の前方左右に配置される
一対の補助輪1a、1bと、該補助輪1a、1bの輪軸
2の両端を支持する一対の軸支持部材3(3a、3
b)、4(4a、4b)と、該一対の軸支持部材3(3
a、3b)、4(4a、4b)を支持するフォーク5
と、該フォーク5を車椅子に回転自在に取り付ける支軸
6a、6bとを備えてなる車椅子用キャスタ。前記軸支
持部材3a、3b、4a、4bが弾性材で形成されてお
り、その弾性材の上下方向の変形量が、前記キャスタが
進行方向を向いているときに、内側にある軸支持部材3
a、3bよりも外側にある軸支持部材4a、4bのほう
が大きいように構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車椅子用キャスタ
に関する。さらに詳しくは、衝撃吸収性に優れ、横傾斜
路面での片流れを防止することができる車椅子用キャス
タに関する。
【0002】
【従来の技術】図10に示されるように、一般に車椅子
は、座面90と背もたれ91に用いられる布を折り畳み
自在に支持するフレーム92と背もたれ91の背後にフ
レーム92から延設される介助者用ハンドル93と、座
面90の左右に設けられるハンドリム94付きの主車輪
95と、主車輪95の前方左右に設けられるキャスタ9
6とからなり、キャスタ96の前方には足載せ台97が
設けられている。
【0003】このような車椅子が通常走行する車道脇の
歩道では、とくに建物の出入口などで、図9に示される
ように、車道R1に向けて傾斜が付けられており、車椅
子使用者にとって、横に傾斜が付けられた横傾斜路面R
2を直進しなければならないばあいが多い。しかし、こ
のような横傾斜路面R2では車輪が傾斜側(谷側)に流
される(片流れする)ため、平坦路と同じように車椅子
を操作すると、車椅子は斜面に沿って自然に車道R1に
出ていってしまう。したがって、車椅子使用者は、より
多くのエネルギーを費やして直進走行を保持しなくては
ならない。
【0004】そこで最近、車椅子前部キャスタの支軸を
車体と独立に傾斜可能として、レバー操作によって傾斜
面に沿って荷重が掛かるほう(谷側)の補助輪に逆キャ
ンバー角を発生させる片流れ防止装置付きの車椅子が商
品化されている。
【0005】それとは別に、走行時の凹凸を通過すると
きの衝撃を吸収するために、車椅子前部キャスタの支軸
にスプリングを利用した緩衝装置を設けることは既に考
案されている(実開昭64─37230号公報参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述の片流れ防止装置
付きの車椅子では、横傾斜路面の傾斜角に応じて直進性
が良くなる用にレバー操作で補助輪の傾斜角度を微調整
してやる必要があり、また、横傾斜路面から平坦路面に
戻った場合には操作レバーをニュートラルな角度に戻す
必要があり、使用者への負担が大きく、握力など筋力の
弱い者の使用を困難にしている。さらに、支軸を車体と
独立に傾斜させる装置がキャスタ上に付くことにより相
当の重量増となり、在来の車椅子に比べ段差乗り越えな
どによる衝撃を多く被り、また介助者にとっては、階段
などにおいて車椅子の運搬および車椅子に乗せたままの
運搬の負担が大きくなるという問題がある。さらに、こ
の片流れ防止装置には、緩衝装置が設けられていない。
【0007】一方、前述の緩衝装置が設けられた車椅子
(実開昭64─37230号公報参照)では、衝撃の吸
収はできるが、片流れ現象を助長させてしまうという問
題がある。すなわち、横傾斜路面では谷側の補助輪に山
側よりも大きな荷重がかかるため、谷側の補助輪が山側
よりも余計に沈み込むため、谷側に周り易くなるのであ
る。
【0008】本発明は、前記問題に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、意識的な操作をする
ことなく片流れが防止され、かつ衝撃が吸収される軽量
かつ簡単な構成の車椅子用キャスタを提供することであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成する
ために、本発明のうちで請求項1にかかる発明は、車椅
子の主車輪の前方左右に配置される一対の補助輪と、該
補助輪の輪軸の両端を支持する一対の軸支持部材と、該
一対の軸支持部材を支持するフォークと、該フォークを
車椅子に回転自在に取り付ける支軸とを備えてなる車椅
子用キャスタであって、前記軸支持部材が弾性材で形成
されており、その弾性材の上下方向の変形量が、前記キ
ャスタが進行方向を向いているときに、内側にある軸支
持部材よりも外側にある軸支持部材のほうが大きいよう
に構成されてなることを特徴とする。弾性材としては、
ゴムのほかに、スプリングを利用することができる。ゴ
ムの場合は、輪軸を貫通状に支持する軽量かつ簡単な構
成の軸支持部材とすることができる。スプリングの場合
は、輪軸の上下方向に取り付けてフォークに支持させる
ことができる。軸支持部材が弾性材で形成されているの
で衝撃を吸収することができる。また、内側にある軸支
持部材よりも外側にある軸支持部材の方が変形量が大き
いので、補助輪の上部が内側に向けて倒れ、前後方向か
ら見たばあいに左右の補助輪がハの字形に下開きとな
る。補助輪の傾斜角度は、支軸にかかる荷重が大きいほ
ど大きくなる。したがって、横傾斜路面では、自然と
(レバーなどの操作をしなくても)谷側の補助輪の傾き
が山側の補助輪よりも大きくなり、片流れを防止するこ
とができる。したがって、ハンドリムまたは背側ハンド
ルに大きな力を必要としない。同様に、コーナリング時
においても、荷重が大きくかかる外周側の補助輪の方が
傾きが大きくなり、舵取りが安定する。ゴム製軸支持部
材の材料としては、天然ゴム、合成ゴム、熱可塑性エラ
ストマーなどがあるが、弾性、圧縮永久歪に優れるエチ
レンプロピレンゴム(EPDM)、ブタジエンゴム(B
R)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(C
R)、ポリウレタンなどのウレタンゴム(U)、シリコ
ーンゴム(Q)などを好適に用いることができる。これ
らは、衝撃を吸収し、輪軸を適度に傾けさせるのに最適
である。
【0010】請求項2にかかる発明は、請求項1に記載
の発明に加えて、前記弾性材の変形による前記補助輪の
傾きは、前記支軸にかかる荷重が20kgf のときに垂直
線に対して2°以上15°以下である。フォーク間の距
離は、およそ40〜60mmであり、内側と外側の軸支持
部材の変形量の差は、2〜15mmであることが好まし
い。補助輪の傾きが2°未満では片流れの防止効果が期
待できない。15°を超えると補助輪がフォーク(キャ
スタ脚)と干渉しやすく、干渉しないようにフォーク間
の距離を広げると、乗員の乗降性を悪化させるなど、車
体のレイアウト上よくない。
【0011】請求項3にかかる発明は、請求項1または
2に記載の発明に加えて、前記弾性材の前記輪軸の軸心
に対する上下側部分の硬度は、内側にある軸支持部材よ
りも外側にある軸支持部材の方が小さく構成されてい
る。ゴム製の4つの軸支持部材を、全て同じ硬度としな
いで、外側の軸支持部材を内側の軸支持部材よりも軟ら
かくすることによって、前述のように、ハの字形に傾か
せることができる。
【0012】請求項4にかかる発明は、請求項1、2ま
たは3に記載の発明に加えて、前記弾性材の前記輪軸の
軸心に対する前後側部分の硬度は、相互に等しく構成さ
れている。トー変化を抑えてトーイン・トーアウトがイ
ーブンにすることができ、車体の挙動が安定する。トー
角とは、車体直進時における輪軸と進行方向とのなす平
面角度(上から見た角度)であり、肉眼では殆どわから
ないほどの僅かなものであるが、このトーによってキャ
ンバースラスト(キャンバーによって横方向へ車輪が廻
ろうとする力)を補正し、走行時の車体の挙動を安定さ
せることができる。自動車では、トーイン(前方側が閉
じたハの字形)となるようにどの車も設計されている。
トーアウトでは車体の挙動が不安定となるからである。
車椅子では、右の補助輪と左の補助輪がそれぞれ独立で
旋回するので、トーイン・トーアウト・イーブン、すな
わちトー変化が生じないことが段差の乗り越え時などで
車体の挙動が安定する上で重要である。
【0013】請求項5にかかる発明は、請求項1、2、
3または4に記載の発明に加えて、前記弾性材の前記輪
軸の軸心に対する上下側の長さは、内側にある軸支持部
材よりも外側にある軸支持部材の方が長く構成されてい
る。硬度を変化させなくても、内側と外側とで軸支持部
材の大きさや形状、厚さを変えることによって、変形量
を変化させることができる。上下方向の長さが長い方が
変形量が大きく、前述のように、ハの字形に傾かせるこ
とができる。
【0014】請求項6にかかる発明は、請求項1、2、
3、4または5に記載の発明に加えて、前記各軸支持部
材は、輪軸の軸心に対する弾性材の上下側の長さが前後
側の長さよりも長くされている。例えば、軸支持部材の
形状を、上下側に長い楕円とする。長方形などでもよ
い。前後側の長さが短ければ、前後方向の変形量を抑制
でき、トー変化を抑えることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、図示例と
ともに説明する。図1および図2は、本発明の車椅子用
キャスタの無負荷状態での縦断面図および側面図であ
り、図3は、平坦路走行時の前後方向から見た場合の左
右のキャスタの動作説明図、図4は、水平方向断面図で
あり、無負荷および有負荷状態での左右のキャスタの動
作説明図、図5は横傾斜路面走行時の前後方向から見た
場合の左右のキャスタの動作説明図、図6は、横傾斜路
面走行時の車椅子の状態説明図、図7および図8は、他
の実施例の説明図である。
【0016】図1において、本発明の車椅子用キャスタ
は、補助輪1と、補助輪1を回転自在に軸支する輪軸2
と、輪軸2の両端を支持する一対の軸支持部材3、4
と、軸支持部材3、4を支持するフォーク5と、フォー
ク5から立設する支軸6とからなり、支軸6は、車椅子
本体の主車輪の前方左右のフレームに取り付けられる。
また、図2に示されるように、フォーク5は、輪軸2よ
りも支軸6が前方に出るような前倒しとなっている。
【0017】図1及び図2に示されるように、軸支持部
材3、4は、上下方向に長い楕円であり、フォーク5の
下方に設けられた楕円孔7に嵌着するための溝が外周に
形成されており、中心には輪軸2を貫通させ、輪軸2の
大径端部9を固定するための段付孔10が形成されてい
る。この軸支持部材3、4は、全体がゴムなどの弾性材
により形成されており、支軸6にかかる荷重の大きさに
よって適宜弾性変形し、凸凹道や段差での衝撃を吸収す
ることができる。また、軸支持部材3と軸支持部材4と
で弾性材の硬度が異なり、輪軸2の軸心Oに対して上下
側の長さD1が荷重によって変形しうる長さであるの
で、走行中の軸支持部材3の変形量と軸支持部材4の変
形量は異なり、輪軸2および補助輪1は傾く。一方で、
軸支持部材3、4は、軸心Oに対して前後側の長さD2
が短いので、前後方向には変形しない。このように、補
助輪1にキャンバー角を発生させることができるが、ト
ー変化はしない。なお、軸支持部材3、4の前後側の硬
度を同じにすることによっても、トー変化を抑えること
ができる。
【0018】次に、図3および図4に基づいて、車椅子
前方左右のキャスタの関係を詳細に説明する。図3は前
後方向から見た要部断面図であり、図4は、上から見た
ときの要部断面図である。
【0019】図3に示されるように、左右に配設される
計2つの補助輪1a、1bは、合計4つの軸支持部材3
a、3b、4a、4bによって支持されている。軸支持
部材3a、3b、4a、4bの形状は、図2に示される
ように、上下方向に長い楕円であり4つとも同じである
が、内側にある軸支持部材3a、3bと、外側にある軸
支持部材4a、4bとでは、硬度が異なる。外側の軸支
持部材4a、4bは、内側の軸支持部材3a、3bより
も軟らかく変形量が大きいので、補助輪1a、1bは、
上部が内側に向けて傾くハの字形の下開きになり、キャ
ンバー角が発生する。図3は平坦路面であり、左右の支
軸6a、6bに同じ荷重がかかっているので、左右の補
助輪1a、1bの傾きは同じである。
【0020】一方、図4に示されるように、軸支持部材
3a、3b、4a、4bは前後側には変形しないので、
輪軸2a、2bは傾かず、補助輪1a、1bは、進行方
向と平行でトーイン・トーアウト・イーブンになる。
【0021】このような軸支持部材3a、3b、4a、
4bを形成するための弾性材料としては、天然ゴム、合
成ゴム、熱可塑性エラストマーなどがあるが、弾性、圧
縮永久歪に優れるエチレンプロピレンゴム(EPD
M)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(I
R)、クロロプレンゴム(CR)、ポリウレタンなどの
ウレタンゴム(U)、シリコーンゴム(Q)などを好適
に用いることができる。これらは、衝撃を吸収し、車輪
を適度に傾けさせる。
【0022】また、内側の軸支持部材3a、3bと外側
の軸支持部材4a、4bの弾性材料の硬度差は、支軸荷
重が20kgf のばあいの圧縮変形量の差が2mm〜15mm
であることが好ましい。または、フォーク5間の距離
は、40〜60mmであり、輪軸2の傾きが2°〜15°
であることが好ましい。2°未満では、片流れ防止効果
が好ましくなく、15°を超えると、補助輪1がフォー
ク5に干渉する。干渉しないようにフォーク5間の距離
を広げると足載せ台に干渉するなど、使用者の乗降に不
便になる。
【0023】例えば、図1および図2に示されるような
楕円の軸支持部材3、4において、長径D1を約75m
m、短径D2を約30mm、厚さTを約15mm、内側の軸
支持部材3の硬度(JIS A 硬度)を約68°、外
側の軸支持部材4の硬度を約50°としたものを挙げる
ことができる。
【0024】次に、本発明の車椅子用キャスタの横傾斜
路面での動作を図5および図6に基づいて説明する。
【0025】図5に示されるように、水平面Hに対し、
θ°横に傾いた横傾斜路面Rでは、谷側の補助輪11b
に山側11aよりも多くの荷重がかかる。したがって、
谷側の軸支持部材13b、14bの変形量は、山側の軸
支持部材13a、14aの変形量よりも大きく、大きな
逆キャンバー角θ2が発生する。逆キャンバー角とは、
車輪にかかる荷重が大きい方とは逆方向に車輪が傾斜す
る傾斜角度をいい、逆キャンバー角が発生すると片流れ
に抵抗するので車体の直進性をサポートする。図5にお
いて、nは斜面に対する垂直線であり、m1、m2は補
助輪11a、11bの中心線である。垂直線nと補助輪
11bの中心線m2とのなす角θ2は、逆キャンバー角
であり、垂直線nと補助輪11aの中心線m1とのなす
角θ1は、キャンバー角である。
【0026】図6に示されるように、車道R1に向けて
傾斜角θが付けられた横傾斜路面R2では、車椅子使用
者(介助者を含む)が意識することなく、乗員の体重と
車椅子の重量によって、谷側の補助輪11bが山側の補
助輪11aよりも大きく傾く(逆キャンバー角が発生す
る)。したがって、使用者の右手に大きな負担がかかる
ことなく、平坦路面の走行と同様に楽々直進走行するこ
とができる。
【0027】なお、横傾斜路面を走行中でも、図4に示
される軸支持部材3a、3b、4a、4bと同様に、前
後側には変形しないのでトー変化がなく、車椅子本体の
挙動は安定している。
【0028】また、図示しないが、コーナリング時にお
いても、横傾斜路面と同様な効果が得られる。すなわ
ち、より荷重のかかる外周側の補助輪のキャンバー角
が、内周側の補助輪のキャンバー角より大きくなるの
で、より大きなコーナリング性が得られる。
【0029】次に、他の実施例を図7、図8に基づいて
説明する。図7は軸支持部材の形状を変えずに硬度変化
を付けたもの、図8は硬度変化を付けずに軸支持部材の
形状を変えたものの一例である。
【0030】図7において、軸支持部材15は、硬度の
異なる4つのブロック(前部f、後部b、上部u、下部
d)に分けられて一体的に形成されている。内側の軸支
持部材と外側の軸支持部材とで、形状は同じであって
も、硬度を変えることによって変形量に差を付けること
ができる。つまり、前部fおよび後部bは、トー変化を
抑えるため、同じ硬度にし、上部uおよび下部dの硬度
は、キャンバー角を付けるため、内側の軸支持部材と外
側の軸支持部材とで異ならせる。内側の軸支持部材の上
部uおよび下部dの硬度を、外側の軸支持部材の上部u
および下部dの硬度よりも大きくすることによって、ハ
の字形の下開きにすることができる。
【0031】また、図8に示されるように、内側の軸支
持部材16と外側の軸支持部材17とで、上下側の長さ
L1、L2を異ならせることによって、硬度に差を付け
なくても変形量に差をつけることができる。このばあ
い、前後側の長さは、内側の軸支持部材16と外側の軸
支持部材17とで同じにし、トー変化がおきないように
する。
【0032】なお、内側の軸支持部材と外側の軸支持部
材とで形状および硬度を共に変えることも可能である。
いずれにしても、軸支持部材全体を弾性材で形成するこ
とによって、衝撃を吸収し、横傾斜路面の傾斜度に応じ
た最適な傾きを補助輪に与えることができる軸支持部材
を、軽量且つ簡単に、提供することができる。
【0033】また、軸支持部材全体を弾性材で形成しな
くても、上下方向にのみ、スプリングなどの機械的な付
勢手段を設けて、フォークに取り付けるようにしてもよ
い。そのばあいも同様に形状、長さおよび硬度に変化を
つけて、補助輪を傾かせることができる。
【0034】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明のうち請
求項1乃至6にかかる発明では、軸支持部材の一部また
は全部が弾性材で形成されているので、凸凹や段差によ
り走行時に補助輪から車椅子に伝わる衝撃を吸収するこ
とができる。また、弾性材の変形量が内側の軸支持部材
と外側の軸支持部材とで異なるのでキャンバー角を発生
させることができ、横傾斜路面を平坦路面と同様に直線
走行させることができる。さらに、弾性材が前後方向に
は変形しないように形状または硬度を調整してあるの
で、トー変化を抑えて車体の挙動を安定させることがで
きる。
【0035】請求項1乃至2に記載の発明では、内側に
ある軸支持部材よりも外側にある軸支持部材のほうが弾
性材の変形量が大きいので、補助輪は前後方向から見た
ばあいにハの字形に下開きになり、直進走行性が良好で
ある。また、補助輪の傾斜角度を適性化することによ
り、効率よく片流れを防止し、他の部材との干渉を防ぐ
ことができる。
【0036】請求項3乃至5に記載の発明では、弾性材
の硬度、形状、上下側および前後側の長さおよび硬度を
変えることによって、最適な軸支持部材を形成すること
ができ、軽量、低コスト、ノーメンテナンス、使用者の
ストレスフリー、互換性を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車椅子用キャスタの一実施例の無荷重
状態での正面図である。
【図2】本発明の車椅子用キャスタの一実施例の無荷重
状態での側面図である。
【図3】本発明の車椅子用キャスタの平坦面走行時の動
作説明図であり、前後方向から見た図である。
【図4】本発明の車椅子用キャスタの平坦面走行時の動
作説明図であり、上から見た図である。
【図5】本発明の車椅子用キャスタの横傾斜路面走行時
の動作説明図であり、前後方向から見た図である。
【図6】本発明のキャスタ付車椅子の動作説明図であ
る。
【図7】本発明の車椅子用キャスタの他の実施例の説明
図である。
【図8】本発明の車椅子用キャスタのさらに他の実施例
の説明図である。
【図9】従来の車椅子の動作説明図である。
【図10】車椅子の外観説明図である。
【符号の説明】
1、1a、1b 補助輪 2、2a、2b 輪軸 3、3a、3b 内側の軸支持部材 4、4a、4b 外側の軸支持部材 5 フォーク 6 支軸

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車椅子の主車輪の前方左右に配置される
    一対の補助輪と、該補助輪の輪軸の両端を支持する一対
    の軸支持部材と、該一対の軸支持部材を支持するフォー
    クと、該フォークを車椅子に回転自在に取り付ける支軸
    とを備えてなる車椅子用キャスタであって、前記軸支持
    部材が弾性材で形成されており、その弾性材の上下方向
    の変形量が、前記キャスタが進行方向を向いているとき
    に、内側にある軸支持部材よりも外側にある軸支持部材
    のほうが大きいように構成されてなることを特徴とする
    車椅子用キャスタ。
  2. 【請求項2】 前記弾性材の変形による前記補助輪の傾
    きは、前記支軸にかかる荷重が20kgf のときに垂直線
    に対して2°以上15°以下である請求項1記載の車椅
    子用キャスタ。
  3. 【請求項3】 前記弾性材の前記輪軸の軸心に対する上
    下側部分の硬度は、内側にある軸支持部材よりも外側に
    ある軸支持部材の方が小さく構成されている請求項1ま
    たは2記載の車椅子用キャスタ。
  4. 【請求項4】 前記弾性材の前記輪軸の軸心に対する前
    後側部分の硬度は、相互に等しく構成されている請求項
    1、2または3記載の車椅子用キャスタ。
  5. 【請求項5】 前記弾性材の前記輪軸の軸心に対する上
    下側の長さは、内側にある軸支持部材よりも外側にある
    軸支持部材の方が長く構成されている請求項1、2、3
    または4記載の車椅子用キャスタ。
  6. 【請求項6】 前記各軸支持部材は、輪軸の軸心に対す
    る弾性材の上下側の長さが前後側の長さよりも長くされ
    ている請求項1、2、3、4または5記載の車椅子用キ
    ャスタ。
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Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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