JPH1120663A - 車両用液圧ブレーキ装置 - Google Patents

車両用液圧ブレーキ装置

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JPH1120663A
JPH1120663A JP9190608A JP19060897A JPH1120663A JP H1120663 A JPH1120663 A JP H1120663A JP 9190608 A JP9190608 A JP 9190608A JP 19060897 A JP19060897 A JP 19060897A JP H1120663 A JPH1120663 A JP H1120663A
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JP
Japan
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pressure
chamber
piston
master
regulator
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JP9190608A
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English (en)
Inventor
Masaki Oishi
昌樹 大石
Michiji Nishii
理治 西井
Atsushi Yasuda
敦 安田
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Aisin Corp
Original Assignee
Aisin Seiki Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液圧倍力手段を備えた車両用液圧ブレーキ装
置において、装置を大型とすることなく高倍力比を得る
ことができる構造とする。 【解決手段】 後方を圧力室R4に露呈すると共に前方
にレギュレータ室R6を形成する制御ピストン30を、
シリンダボデー1内でマスタピストン20の前方に液密
的摺動自在に収容してマスタピストン20に連動するよ
うに配置する。これらのマスタピストン20及び制御ピ
ストン30は同軸上に配設し、制御ピストン30の、圧
力室R4に露呈する側の受圧面積をレギュレータ室R6
に露呈する側の受圧面積より大に設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用の車輪の
ホイールシリンダにブレーキ液圧を供給する液圧ブレー
キ装置に関し、特に液圧倍力手段を備えた車両用液圧ブ
レーキ装置に係る。
【0002】
【従来の技術】自動車用の液圧ブレーキ装置に関しては
種々の形態の装置が知られているが、液圧倍力手段を備
えたものとして、米国特許第3928970号公報に記
載されたものがある。同公報には、加圧流体源の圧力を
利用したマスタシリンダに関し、シリンダボア内に摺動
自在に収容されるピストンを有し、その前方にブレーキ
液圧回路に接続する圧力室を形成すると共に、その後方
に加圧流体源に接続するパワー室を形成し、加圧流体源
からの流体の供給を制御する弁装置を備えたマスタシリ
ンダ装置が開示されている。同公報では、加圧流体源を
有するマスタシリンダにおいて、ピストンはブレーキペ
ダル操作によって直接駆動されるが、加圧状態で移動す
るインレットもしくはインレットシールを必要としない
ように構成することを目的としている。そして、第1の
ピストンと第2のピストンの間に第1の圧力室を形成し
て液圧回路に接続し、第2のピストンの前方に第2の圧
力室を形成して第1のピストンの後方に接続し、第2の
圧力室内に加圧流体源の出力液圧を導入する導入弁を設
けると共に、第2の圧力室をリザーバに連通する排出弁
を設け、これらの弁を第2のピストンの作動に応じて駆
動するように構成したマスタシリンダ装置が提案されて
いる。
【0003】また、英国特許GB2170874A号公
報においては、第1及び第2のピストンを有し、サーボ
室が第1のピストンの背面に形成されており、このサー
ボ室に対し加圧流体源からスプール弁を介して加圧流体
が供給されるように構成されたサーボ加圧マスタシリン
ダ装置が提案されている。同公報に記載の装置はマスタ
シリンダに対しスプール弁が垂直又は平行に並設されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記公報に記載の装置
においては、何れも弁装置を介して調圧された後の加圧
流体がパワー室(サーボ室)に供給されるように構成さ
れている。そして、所謂レギュレータとしての調圧作動
に関しては、弁装置によって、制御用ピストンの前方に
付与されるレギュレータ液圧が制御用ピストンの後方に
付与されるマスタシリンダ液圧と略等しくなるように調
整される。
【0005】上記装置における各諸元と液圧の関係をモ
デルで表すと図9に示すようになり、レギュレータRG
はレギュレータ液圧Pを出力するように制御される。図
9に示すように、マスタピストン200の断面積をA、
パワー室Roによる助勢面積をB(=A−C)、入力ロ
ッド100の断面積をC、入力ロッド100に付与され
る入力をF、マスタシリンダ液圧(=レギュレータ液
圧)をPとすると、図9に示す関係からP・A=F+P
・Bとなり、これをまとめるとP(A−B)=Fとな
る。これから、倍力比はP/F=1/(A−B)=1/
Cとして求められる。
【0006】従って、上記装置に対し倍力比P/Fを増
大するためには、上記の入力ロッド100の断面積Cを
小さくすればよいが、材料強度上、自ずから限界があ
る。このため、上記英国特許GB2170874A号に
記載のようにマスタピストンを段付形状とするのが一般
的であり、これによれば確かに必要な倍力機能が得られ
る。然し乍ら、段付マスタピストンを用いれば、当然乍
ら径方向の寸法が大となり、液圧室等との関係上、軸方
向の寸法も大となり、大型化が不可避となる。
【0007】そこで、本発明は、液圧倍力手段を備えた
車両用液圧ブレーキ装置において、装置を大型とするこ
となく高倍力比を得ることができる構造とすることを課
題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を達成するた
め、本発明は、シリンダボデー内にマスタピストンを液
密的摺動自在に収容して該マスタピストンの前方に圧力
室を形成すると共に後方にパワー室を形成し、前記マス
タピストンの摺動に応じて前記圧力室からブレーキ液圧
を出力する少くとも一つのマスタシリンダと、ブレーキ
液を所定の圧力に昇圧してパワー液圧を出力する補助液
圧源と、前記シリンダボデー内で前記マスタピストンの
前方に液密的摺動自在に収容し前記マスタピストンに連
動するように配置し、後方を前記圧力室に露呈すると共
に前方にレギュレータ室を形成する制御ピストンを有
し、前記補助液圧源の出力パワー液圧を前記レギュレー
タ室に導入し前記マスタシリンダの出力ブレーキ液圧に
応じてレギュレータ液圧に調圧するレギュレータとを備
え、該レギュレータを介して出力するブレーキ液圧を前
記パワー室に付与して前記マスタピストンを助勢する車
両用液圧ブレーキ装置において、前記マスタピストン及
び前記制御ピストンを前記シリンダボデー内に同軸上に
配設し、前記制御ピストンの、前記圧力室に露呈する側
の受圧面積を前記レギュレータ室に露呈する側の受圧面
積より大に設定することとしたものである。
【0009】更に、前記車両用液圧ブレーキ装置におい
て、前記マスタシリンダの圧力室を、前記マスタピスト
ンの初期位置において、ブレーキ液を貯蔵するリザーバ
に前記制御ピストン側で連通するように構成するとよ
い。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
参照して説明する。図1は本発明の一実施形態に係る液
圧ブレーキ装置を示すもので、シリンダボデー1内にマ
スタシリンダMCとレギュレータRGが構成されてい
る。本実施形態のマスタシリンダMCは二つの圧力室R
2,R4が形成されたタンデムマスタシリンダで、所謂
ダイアゴナル配管が構成されている。即ち、車両後方側
(図1の右側)に設けられたブレーキ操作部材たるブレ
ーキペダル2に踏力が加えられると、この踏力がプッシ
ュロッド3を介してブレーキ作動力として伝えられ、こ
れに応じてマスタシリンダMCの二つの圧力室R2,R
4からの出力ブレーキ液圧が、夫々車両前方右側及び後
方左側の車輪FR,RLのホイールシリンダWfr,Wr
l、並びに前方左側及び後方右側の車輪FL,RRのホ
イールシリンダWfl,Wrrに出力されるように構成され
ている。このとき、レギュレータRGからはブレーキペ
ダル2の操作に応じてレギュレータ液圧が出力され、後
述するようにレギュレータRGの作動に応じてマスタシ
リンダMCが助勢される。
【0011】シリンダボデー1には、内径が異なる孔1
a,1b,1c等から成る段付孔が形成されており、こ
の中にマスタピストン10,20及び制御ピストン30
が収容され、マスタピストン10,20の間に圧力室R
2が形成され、マスタピストン20と制御ピストン30
との間に圧力室R4が形成されている。尚、孔1aの後
端はこれより大きい内径を有するパワー室R1に連通し
ている。最も径が小さい孔1bと、これより大径の孔1
aの両者に、制御ピストン30の両端部が夫々液密的摺
動自在に嵌合されている。
【0012】マスタピストン10は、図2に拡大して示
すように、その前方端部の外面にランド部11が形成さ
れ、これに断面カップ形状で環状のシール部材12と環
状のシール部材13が装着されて孔1aに液密的摺動自
在に嵌合され、前端面がマスタピストン20の後端面に
対向するように配設されている。従って、シール部材1
2,13によってパワー室R1と圧力室R2が分離され
ている。マスタピストン10の本体部14は円筒状のス
リーブ15によって支持されている。このスリーブ15
の内面及び外面には環状の溝が形成されると共に、これ
から軸方向に一定距離隔てた内面にも環状の溝が形成さ
れている。これらの溝には夫々環状のシール部材16,
17及び断面カップ形状で環状のシール部材18が収容
されており、パワー室R1に対するシール性が確保され
ている。更に、マスタピストン10の先端面から軸方向
に凹部10aが形成されており、先端部にはリテーナ1
9が装着されている。
【0013】マスタピストン20の外周には、後端部に
ランド部21が形成されると共に、軸方向に所定距離隔
てた前方側にはランド部21と同径のランド部22が形
成されており、これらのランド部21,22には、夫々
断面カップ形状で環状のシール部材23,24が配設さ
れて孔1aに液密的摺動自在に嵌合されている。また、
マスタピストン20の両端から軸方向に凹部20a,2
0bが形成されると共に、マスタピストン20の径方向
に穴20cが形成され、その底部で連通孔20dを介し
て凹部20aに連通している。ランド部21,22間に
形成された環状の給液室R3はポート1eを介してリザ
ーバ4に連通しており、給液室R3は穴20c、連通孔
20d及び凹部20aを介して圧力室R2に連通し得
る。更に、マスタピストン20の先端部にはリテーナ2
9が装着されている。
【0014】マスタピストン20の後端側にはリテーナ
25が装着され、これに弁体26が係止されて弁体26
のマスタピストン10方向への移動が規制されている。
弁体26の先端にはゴム等の弾性部材が被着され、連通
孔20dに当接してこれを密閉し得るように構成されて
いる。弁体26の他端側にはロッド27が一体的に形成
され、その後端に係止部28が形成されており、係止部
28は凹部10a内を移動可能に配置され、リテーナ1
9に係止されてマスタピストン20方向への移動が規制
されている。そして、マスタピストン10のリテーナ1
9とマスタピストン20のリテーナ25との間にスプリ
ング5が張設され、両者間が離隔する方向に付勢されて
いる。尚、マスタピストン20の後退位置は、シリンダ
ボデー1に固定された係止ピン7によって規制される。
【0015】図3に拡大して示すように、制御ピストン
30の外周には、後端部に大径のランド部31が形成さ
れると共に、軸方向に所定距離隔てた前方側には小径の
ランド部32が形成されており、ランド部31に断面カ
ップ形状で環状のシール部材33が配設されて孔1aに
液密的摺動自在に嵌合され、ランド部32は孔1bに摺
動自在に嵌合されている。而して、シール部材33によ
って、圧力室R4と給液室R5が分離され、シール部材
34によって、給液室R5と後述のレギュレータ室R6
が分離されている。即ち、シール部材33とシール部材
34との間に給液室R5が形成され、給液室R5はポー
ト1tを介してリザーバ4に連通接続されている。
【0016】制御ピストン30には、軸方向の両端部に
凹部30a及び段付凹部30bが形成されると共に、径
方向に貫通する連通孔30cが形成されている。この連
通孔30cは連通孔30dを介して凹部30aの底部に
連通している。制御ピストン30の後端側にはリテーナ
35が装着され、これに前述の弁体26と同一構成の弁
体36が係止されて弁体36のマスタピストン10方向
への移動が規制されている。弁体36の他端側にはロッ
ド37が一体的に形成され、その後端に係止部38が形
成されており、係止部38は凹部20b内を移動可能に
配置され、リテーナ29に係止されて制御ピストン30
方向への移動が規制されている。一方、制御ピストン3
0の段付凹部30bの底部には、後述するスプール53
の後端部が保持されている。また、マスタピストン20
のリテーナ29と制御ピストン30のリテーナ35との
間にはスプリング6が張設され、両者間が離隔する方向
に付勢されている。
【0017】図1に示すように、シリンダボデー1の前
方にはレギュレータRGが形成されており、このレギュ
レータRGに補助液圧源40が接続され、その出力パワ
ー液圧が適宜制御されて例えば図1に二点鎖線で示した
液圧制御装置PCに対しレギュレータ液圧が出力され
る。液圧制御装置PCは、本実施形態には直接関係しな
いので詳細な説明は省略するが、例えばアンチスキッド
制御等を行なうための電磁弁、コントローラ等を含み、
ホイールシリンダWfr等に供給されるレギュレータ液圧
が車両の運転状態に応じて適宜制御されるように構成さ
れている。補助液圧源40は電動モータ41によって駆
動される液圧ポンプ42を備え、入力側がリザーバ4に
接続され出力側がアキュムレータ43に接続され、この
アキュムレータ43からポート1pを介してレギュレー
タRGにパワー液圧が供給されるように構成されてい
る。
【0018】レギュレータRGは、図3に拡大して示す
ように、孔1bに連通する段付の孔1c内に段付円筒体
のスリーブ51が嵌着されている。スリーブ51の外周
には複数の環状溝が形成されており、夫々に環状のシー
ル部材が嵌合されている。また、隣接するシール部材間
にはスリーブ51の径方向に連通孔51e,51fが形
成されており、これらを介してスリーブ51の中空部が
夫々ポート1s、液圧路P1に連通接続されている。ス
リーブ51の後端面と制御ピストン30の前端面との間
にはレギュレータ室R6が形成され、液圧路P2を介し
てパワー室R1(図1及び図2)に連通接続されてい
る。スリーブ51の中空部内は孔51a,51b,51
c,51dから成る段付孔に形成されており、最小径の
孔51b内は、連通孔51e及びポート1sを介してリ
ザーバ4に連通するドレン室R7となっている。
【0019】孔51aには更にスリーブ52が収容され
ており、その中空部内には段付孔52aが形成されてお
り、これに直交する径方向に、レギュレータ室R6に連
通する連通孔52bが形成されている。スリーブ52の
段付孔52aにはスプール53が摺動自在に収容されて
いる。また、孔51bにはプランジャ54が収容されて
おり、その基部54aが孔51bに摺動自在に支持さ
れ、その後端面にスプール弁機構50のスプール53の
先端面が当接するように配設されている。
【0020】そして、孔51c内には、円柱状に形成さ
れた例えばゴム製の弾性部材70が嵌合されており、プ
ランジャ54はこれを貫通して先端がポペット弁機構6
0内に延出している。プランジャ54の基部54aと弾
性部材70との間には環状の伝達部材71が介装されて
おり、これに当接する面と反対側の弾性部材70の面に
は環状の凹部が形成されている。更に、弾性部材70の
前端面にはプレート72が配設され、弾性部材70に対
してその全面に亘り均一に液圧が付与されるように構成
されている。孔51c内の弾性部材70とポペット弁機
構60との間にはパワー出力室R8が形成され、スリー
ブ51の連通孔51fを介して液圧路P1に連通してい
る。この液圧路P1は図1に明らかなようにパワー室R
1に連通接続され、パワー室R1は液圧路P2を介して
レギュレータ室R6に連通接続されている。換言すれ
ば、パワー出力室R8、液圧路P1、パワー室R1、液
圧路P2及びレギュレータ室R6によって調圧室が構成
されている。
【0021】スプール弁機構50は図4に拡大して示す
ように、段付円柱形状のスプール53を備え、その大径
部に複数のラビリンス溝が形成されている。また、スプ
ール53の中間部にはリテーナ54が支承され、このリ
テーナ54は制御ピストン30の段付凹部30b内で支
承されている。そして、リテーナ54とスリーブ52と
の間にはスプリング55が張架され、スプール53が制
御ピストン30の段付凹部30bの底面に当接するよう
に付勢されている。
【0022】スプール53のスリーブ52への嵌合部に
おいて、連通孔52bは常時レギュレータ室R6に開口
し、スプール53の初期位置ではドレン室R7と連通す
るが、スプール53の前進作動に応じてその大径部によ
って流路面積が制限され、遂には連通孔52bが遮蔽さ
れるように構成されている。図3に示すように、ドレン
室R7はスリーブ51の連通孔51e、そしてポート1
sを介してリザーバ4(図1)に連通されている。従っ
て、スプール53の初期位置ではレギュレータ室R6内
もリザーバ4と連通し、大気圧のブレーキ液が充填され
ている。尚、減圧弁手段としては、このスプール弁機構
50に限らず他の態様でもよく、その配置もレギュレー
タRG内ではなく例えばパワー室R1に近接配置するこ
としてもよい。
【0023】ポペット弁機構60は図5に拡大して示す
ように構成されている。スリーブ61は有底円筒体で、
軸方向に中空部61aが形成されると共に、これに連通
する径方向の連通孔61bが形成され、更に中空部61
aに平行にスリーブ61を貫通する連通孔61cが形成
されている。また、スリーブ61の底部中央には軸方向
に連通孔61dが形成されており、中空部61a側に弁
座61eが形成されている。スリーブ61の外周には複
数の環状溝が形成されており、夫々に環状のシール部材
が嵌合され、隣接するシール部材間に連通孔61bが形
成されており、この連通孔61bを介して中空部61a
が図1及び図3に示すポート1pに連通接続されてい
る。
【0024】スリーブ61の中空部61a内には弁部材
63、リテーナ64、スプリング65及びフィルタ66
が収容され、中空部61aに段付円柱状のスリーブ62
の小径部が嵌着されると、スリーブ61の中空部61a
内にパワー入力室R9が形成される。尚、このパワー入
力室R9は連通孔61dを介してパワー出力室R8(図
3)と連通し得る。スリーブ62には軸方向に穴62a
が形成されており、この穴62aに直交する径方向に連
通孔62bが形成されている。弁部材63は先端に弁体
63aが形成され、鍔部63bを介して、大径部63
c、中径部63d及び小径部63eから成る段付円柱体
が形成されており、中径部63d部分がスリーブ62の
穴62aに摺動自在に支持される。尚、穴62aの開口
面積は弁体63aの弁座61eへの着座面積と略等しく
なるように設定されている。
【0025】弁部材63はフィルタ66と共にスリーブ
61の中空部61a内に収容され、スプリング65が弁
部材63の鍔部63bとリテーナ64との間に張設され
ると、弁体63aが弁座61eに着座する方向に付勢さ
れる。この状態で、弁部材63の中径部63dが穴62
aに支持されるように、スリーブ62の小径部がスリー
ブ61の中空部61aに嵌着される。このとき、スリー
ブ61の前端面とスリーブ62の後端面との間には間隙
62cが形成され、穴62aが連通孔62b及び間隙6
2c並びにスリーブ61の連通孔61cを介して、パワ
ー出力室R8、即ち弁座61eに着座する弁部材63の
弁体63aの頂面側に連通している。これにより、弁部
材63に対しては両端部から軸方向に略等しい圧力が加
わることになるので、弁部材63に対する負荷は極めて
小さいものとなる。尚、弁部材63の弁体63aに対向
するようにプランジャ54が配置されているが、図5に
示す初期位置では弁体63aとプランジャ54の先端と
の間に若干のクリアランスが形成される。
【0026】而して、図1及び図3に示す初期位置で
は、レギュレータ室R6内はスリーブ52の連通孔52
a,52b及びスリーブ51の連通孔51e、そしてポ
ート1sを介してリザーバ4に連通しており、大気圧と
なっているが、制御ピストン30の前進移動に伴ってス
プール53が前進すると、図6に示すようにスリーブ5
2の連通孔52bがスプール53の外周面によって遮蔽
され、代わって図7に示すようにポペット弁機構60の
弁部材63が開弁する。これにより、補助液圧源40の
パワー液圧が先ず液圧路P1を介してパワー室R1に供
給され、更に液圧路P2を介してレギュレータ室R6内
に供給されて各室内が増圧される。制御ピストン30の
前方のランド部32に加わるレギュレータ液圧による力
が後方のランド部31に加わるマスタシリンダ液圧によ
る力を上回ると、制御ピストン30が後方に移動し、ポ
ペット弁機構60の弁部材63が閉弁すると共にスプー
ル弁機構50のスプール53が開弁するので、レギュレ
ータ室R6(及びパワー室R1、パワー出力室R8並び
に液圧路P1,P2)内が減圧される。このような作動
が繰り返されることによって、同室内が所定のレギュレ
ータ液圧に調圧される。
【0027】次に、上記の構成になる液圧ブレーキ装置
の全体作動を説明する。図1乃至図3はブレーキペダル
2の非操作時の状態を示すもので、この状態から、ブレ
ーキペダル2が操作され、プッシュロッド3を介してマ
スタピストン10が前方(図1の左方)に押圧される
と、マスタピストン20に弁体26が当接し、弁体26
の弾性部材によって連通孔20dが閉塞され、圧力室R
2と給液室R3との連通が遮断され密閉状態となる。ま
た、制御ピストン30に弁体36が当接し、弁体36の
弾性部材によって連通孔30dが閉塞され、圧力室R4
と給液室R5との連通が遮断され密閉状態となる。この
ように、圧力室R2と給液室R3との連通及び圧力室R
4と給液室R5との連通が遮断された状態で、マスタピ
ストン10がブレーキペダル2の操作力によって駆動さ
れると、マスタピストン10,20はスプリング5を介
して、マスタピストン20と制御ピストン30はスプリ
ング6を介して、夫々図2及び図3の状態に保持されて
いるので、これらは一体となって前進する。
【0028】従って、制御ピストン30に支持されたス
プール53によって連通孔52bが閉塞され、リザーバ
4との連通が遮断される。同時に、補助液圧源40のパ
ワー液圧が液圧路P1を介してパワー室R1に供給され
る。これにより、マスタピストン10及び20が前進
し、圧力室R2,R4内が更に圧縮され、ポート1x,
1yからマスタシリンダ液圧が出力される。このとき、
制御ピストン30のランド部31のシール径はランド部
32のシール径より大きいので、制御ピストン30の移
動に伴いマスタシリンダ液圧より大のレギュレータ液圧
が発生するように制御される。尚、この作動については
図8を参照して後述する。而して、ブレーキペダル2の
操作に応じてパワー出力室R8から液圧路P1を介して
パワー室R1に供給されるパワー液圧(即ち、レギュレ
ータ液圧)によってマスタピストン10の移動が助勢さ
れることとなる。
【0029】この間、レギュレータ室R6内のレギュレ
ータ液圧によって制御ピストン30に付与される力が、
圧力室R2,R4内のマスタシリンダ液圧によって制御
ピストン30に付与される力より大であれば、スプール
弁機構50のスプール53が開弁しポペット弁機構60
の弁部材63が閉弁する方向に、制御ピストン30が移
動し、レギュレータ室R6内が減圧される。制御ピスト
ン30に付与される力の関係が上記と逆になると、スプ
ール弁機構50のスプール53が閉弁しポペット弁機構
60の弁部材63が開弁する方向に、制御ピストン30
が移動し、レギュレータ室R6内が増圧される。このよ
うな制御ピストン30の移動とこれに伴うスプール弁機
構50及びポペット弁機構60の開閉作動の繰り返しに
よってレギュレータ液圧がマスタシリンダ液圧より所定
値以上高い圧力に調圧される。
【0030】具体的には、制御ピストン30の小径のラ
ンド部32の受圧面積に付与されるレギュレータ液圧に
よる力と、大径のランド部31の受圧面積に付与される
マスタシリンダ液圧による力とが等しくなるように制御
され、マスタシリンダ液圧より所定値以上高く、且つマ
スタシリンダ液圧に略比例したレギュレータ液圧が出力
され、ブレーキペダル入力とマスタシリンダ液圧の間
に、第1のブレーキ液圧特性が得られる。更に、パワー
出力室R8内のパワー液圧によって弾性部材70が変形
すると、この弾性部材70が伝達部材71に当接し、弁
部材63が弁座61eに着座する方向に押圧されると共
に、スプール53は連通孔52bへの開口面積が増大す
る方向に押圧される。これにより、レギュレータ液圧が
減圧され、ブレーキペダル入力とマスタシリンダ液圧の
間に、第1のブレーキ液圧特性の増圧勾配より緩やかな
増圧勾配を有する第2のブレーキ液圧特性が得られる。
【0031】上記の構成になる本実施形態の液圧ブレー
キ装置において各諸元と液圧の関係をモデルで表すと図
8に示すようになり、レギュレータRGはレギュレータ
液圧Ppを出力するように制御される。図9と対比し得
るように、図8においてマスタピストン300の断面積
をA、パワー室Roによる助勢面積をB(=A−C)、
入力ロッド100(図1に示すマスタピストン10の本
体部14に相当)の断面積をC、段付制御ピストン30
0の両端部の断面積(即ち、受圧面積)をD及びE、入
力ロッド100に付与される入力をF、マスタシリンダ
液圧をPm、レギュレータ液圧をPp、制御ピストン3
00の断面積比をκ(=D/E)とすると、同図のレギ
ュレータ側の力の釣合いから、D・Pm=E・Ppとな
り、マスタシリンダ側の力の釣合いから、Pp・(A−
C)+F=A・Pmとなる。従って、前者からPp=
(D/E)・Pm=κ・Pmとし、これを後者に代入し
て整理すると、倍力比はPm/F=1/{A・(1/κ
−1)+C}となる。
【0032】上記の倍力比の式から明かなように、マス
タピストン200の断面積Aと入力ロッド100の断面
積Cが一定であっても、制御ピストン300の断面積比
κ(図3における制御ピストン30のランド部31,3
2の受圧面積の比に相当)の値を1以上に設定すること
により高倍力比を得ることができる。而して、シリンダ
ボデー1を径方向及び軸方向の何れにも増大することな
く、高倍力化が可能となる。
【0033】また、本実施形態のマスタシリンダMCで
は、図1及び図3に示すようにマスタピストン10,2
0の給液室R3,R5への連通孔が制御ピストン30側
に設けられているので、マスタピストン10のパワー室
R1側はパワー室R1と圧力室R2を分離するシール部
材12,13を設けるのみでよい。これにより、本実施
形態では従来装置に比し軸方向の寸法が短縮されてい
る。
【0034】
【発明の効果】本発明は上述のように構成されているの
で以下に記載の効果を奏する。即ち、請求項1に記載の
車両用液圧ブレーキ装置は、マスタピストン及び制御ピ
ストンをシリンダボデー内に同軸上に配設し、制御ピス
トンの、圧力室に露呈する側の受圧面積をレギュレータ
室に露呈する側の受圧面積より大に設定することとして
いるので、小型で高倍力比を得ることができ、製造も容
易である。
【0035】更に、請求項2に記載のように、マスタピ
ストンの初期位置において、ブレーキ液を貯蔵するリザ
ーバに制御ピストン側で圧力室が連通するようにマスタ
シリンダを構成すれば、軸方向の寸法を短縮でき、一層
の小型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用液圧ブレーキ
装置の断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る車両用液圧ブレーキ
装置におけるマスタシリンダ部分を拡大して示す断面図
である。
【図3】本発明の一実施形態に係る車両用液圧ブレーキ
装置におけるレギュレータ部分を拡大して示す断面図で
ある。
【図4】本発明の一実施形態に係る車両用液圧ブレーキ
装置におけるスプール弁機構を拡大して示す断面図であ
る。
【図5】本発明の一実施形態に係る車両用液圧ブレーキ
装置におけるポペット弁機構を拡大して示す断面図であ
る。
【図6】本発明の一実施形態におけるスプール弁機構の
作動状態を拡大して示す断面図である。
【図7】本発明の一実施形態におけるポペット弁機構の
作動状態を拡大して示す断面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る車両用液圧ブレーキ
装置における各諸元と液圧の関係を示すモデルの断面図
である。
【図9】従来装置における各諸元と液圧の関係を示すモ
デルの断面図である。
【符号の説明】
1 シリンダボデー 2 ブレーキペダル 4 リザーバ 10,20 マスタピストン 30 制御ピストン 40 補助液圧源 50 スプール弁機構 60 ポペット弁機構 70 弾性部材 MC マスタシリンダ RG レギュレータ R1 パワー室 R2,R4 圧力室 R3,R5 給液室 R6 レギュレータ室 R7 ドレン室 R8 パワー入力室 R9 パワー出力室 P1,P2 液圧路

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダボデー内にマスタピストンを液
    密的摺動自在に収容して該マスタピストンの前方に圧力
    室を形成すると共に後方にパワー室を形成し、前記マス
    タピストンの摺動に応じて前記圧力室からブレーキ液圧
    を出力する少くとも一つのマスタシリンダと、ブレーキ
    液を所定の圧力に昇圧してパワー液圧を出力する補助液
    圧源と、前記シリンダボデー内で前記マスタピストンの
    前方に液密的摺動自在に収容し前記マスタピストンに連
    動するように配置し、後方を前記圧力室に露呈すると共
    に前方にレギュレータ室を形成する制御ピストンを有
    し、前記補助液圧源の出力パワー液圧を前記レギュレー
    タ室に導入し前記マスタシリンダの出力ブレーキ液圧に
    応じてレギュレータ液圧に調圧するレギュレータとを備
    え、該レギュレータを介して出力するブレーキ液圧を前
    記パワー室に付与して前記マスタピストンを助勢する車
    両用液圧ブレーキ装置において、前記マスタピストン及
    び前記制御ピストンを前記シリンダボデー内に同軸上に
    配設し、前記制御ピストンの、前記圧力室に露呈する側
    の受圧面積を前記レギュレータ室に露呈する側の受圧面
    積より大に設定したことを特徴とする車両用液圧ブレー
    キ装置。
  2. 【請求項2】 前記マスタシリンダの圧力室は、前記マ
    スタピストンの初期位置において、ブレーキ液を貯蔵す
    るリザーバに前記制御ピストン側で連通するように構成
    したことを特徴とする請求項1記載の車両用液圧ブレー
    キ装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6418716B1 (en) 2000-05-17 2002-07-16 Nissin Kogyo Co., Ltd. Hydraulic brake booster
WO2014010701A1 (ja) * 2012-07-12 2014-01-16 株式会社アドヴィックス 車両用制動装置

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