JP4904613B2 - 車両の液圧ブレーキ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は車両の液圧ブレーキ装置に関し、ブレーキペダル操作に応じてマスタシリンダを助勢する助勢手段を備えた液圧ブレーキ装置に係る。
【0002】
【従来の技術】
米国特許第3910048号の明細書には、圧力比変換器を備えたパワーブレーキシステム用のサーボモータが開示されている。このサーボモータは、マスタシリンダに操作力を伝達する同軸の第1及び第2ピストンが設けられ、差圧によって駆動される壁に第1ピストンが連結され、この第1ピストン内に同軸に第2ピストンが収容され、差圧発生用の制御弁を駆動する入力を伝達すると共に、マスタシリンダ内に配置したロック弁を駆動するように構成されている。これにより、壁の移動に応じて第1及び第2ピストンが共に移動すると、流体がロック弁を介してロック室に流入する。そして、差圧によって発生し得る最大出力に達すると、第1及び第2ピストンの同時移動が終了し、運転者によって更に操作力が加えられると、第2ピストンが第1ピストン内を移動し、ロック弁を閉成してロック室内の流体を保持して第1ピストンの移動を禁止するように構成されている。
【0003】
具体的には、第1及び第2ピストンが前進すると、圧力室112及び146内に液圧が発生し、この第1及び第2ピストンの出力はサーボモータ12内の第2室32が大気圧となるまで図3の線188に従って増加し、図3の点190で、ブレーキペダル20の入力がプランジャ70及びスリーブ66を介して第2ピストン60に伝達される。この入力によって第2ピストン60が独立して駆動され、スプリング130によって流路120が閉成され、更に第2ピストン60が駆動されると出力は図3の線192に示すようになる。一方、負圧が消失した場合には、ブレーキペダル20に付与される入力によって第2ピストン60が第1ピストン58内を移動し、弁手段118によって直ちに流路120が閉成され、パワー液圧が存在しないときに両ピストンが駆動される場合の図3の線195に示す出力より大きな出力となり、線196に示すようになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の米国特許第3910048号に記載のサーボモータにおいては、昇圧した液圧をロック室に封じ込めることによって、図3の点190以降は第2ピストン60の第1ピストン58内の移動に応じて線192に従って出力されるように構成されている。また、助勢手段が失陥したとき、例えば負圧消失時には第2ピストン60の第1ピストン58内の移動に応じて線196に従って出力されるように構成されている。これを達成するためには、同米国特許の図1に示すように、助勢手段のサーボモータ12を、第2ピストン60の第1ピストン58に対する十分な相対移動量を確保し得るように構成する必要があり、従前のサーボモータの構成に対し大幅な変更が必要となる。従って、液圧ブレーキ装置全体を新たに設計する必要があり、コストの上昇は不可避となる。
【0005】
そこで、本発明は、ブレーキペダル操作に応じてマスタシリンダを駆動する助勢手段を備えた車両の液圧ブレーキ装置において、助勢手段に対する変更を最小限に抑え、実質的にマスタシリンダのみを所定の構造とすることによって、助勢手段失陥時に適切な入出力特性を確保し得るようにすることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明は請求項1に記載のように、ブレーキペダルの操作に応じてマスタピストンを前進駆動しリザーバのブレーキ液を圧力室で加圧して出力するマスタシリンダと、前記ブレーキペダルの操作に応じて前記マスタピストンを助勢する助勢手段を備えた車両の液圧ブレーキ装置において、前記マスタピストンの有効断面積より大の有効断面積を有し、前記マスタピストンとの間に圧力伝達室を形成すると共に、前記助勢手段の助勢作動に連動し得る補助ピストンと、該補助ピストンを介して前記助勢手段によって前記マスタピストンを助勢するときには前記圧力伝達室と前記リザーバとの連通を遮断し、前記圧力伝達室にブレーキ液が充填されて前記マスタピストンと前記補助ピストンとが流体的に結合され、前記助勢手段による助勢を行なわないときには前記圧力伝達室を前記リザーバに連通する弁手段とを備えることとしたものである。
【0007】
而して、前記助勢手段により前記補助ピストンを介して前記マスタピストンを助勢するときには、前記弁手段によって前記圧力伝達室を密閉して前記補助ピストンと前記マスタピストンとを流体的に結合し、前記助勢手段による助勢を行なわないときには、前記弁手段によって前記圧力伝達室を大気圧として前記補助ピストンと前記マスタピストンとを機械的に結合することができる。尚、前記助勢手段としては、負圧式助勢手段の負圧ブースタでも、液圧式助勢手段の液圧ブースタでもよい。
【0008】
前記補助ピストンは、請求項2に記載のように、前記マスタピストンの有効断面積より大の有効断面積の大径部を有し、前記マスタピストンの後方に同軸上に配置して前記大径部と前記マスタピストンとの間に前記圧力伝達室を形成し、前記補助ピストン内に前記弁手段を構成することができる。
【0009】
尚、前記補助ピストン又は前記マスタピストンと前記助勢手段との間に弾性部材を配設し、前記ブレーキ入力伝達部材は前記弾性部材を介することなく前記ブレーキペダルに連結するように配設するとよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の望ましい実施形態を図面を参照して説明する。図1及び図2は本発明の一実施形態の液圧ブレーキ装置を示すもので、ブレーキペダル(図示せず)に加えられた踏力が入力ロッド3を介してブレーキ作動力として伝えられ、これに応じて負圧ブースタ40によって助勢されてマスタシリンダ10からブレーキ液圧が出力され、車両の各車輪に装着されたホイールシリンダ(図示せず)に供給されるように構成されている。尚、図1にマスタシリンダ部を示し、図2に負圧ブースタ部を示す。
【0012】
マスタシリンダ10は、図1に示すように、第1のシリンダ1aと、これに収容する第2のシリンダ1b、第3のシリンダ1c及び第4のシリンダ1dから成るシリンダボデー内に、マスタピストンたる第1のピストン11及び第2のピストン12と、本発明の補助ピストンたる第3のピストン20が直列に収容されて成る。第1のシリンダ1aは有底筒体で、開口部に向かって順次内径が増加するように段付孔が形成されている。第2のシリンダ1bは略円筒体で、径が異なるシリンダボア1e及び1fから成る段付孔が形成されており、その内周面の軸方向に複数の溝1mが形成されている。
【0013】
第3のシリンダ1c及び第4のシリンダ1dは何れも筒体で、これらが重合され、両者間に環状の流路(液室)1rが形成されている。第3のシリンダ1cには、シリンダボア1e及び1fの内径より大の内径を有するシリンダボア1gが形成され、側面には流路1rに連通するポート1pが形成されている。また、第4のシリンダ1dの底部には、シリンダボア1fの内径と同径でシリンダボア1gより小径の孔1hが形成されている。そして、第1のシリンダ1aには給液ポート1i,1j及び出力ポート1k,1nが形成されており、出力ポート1kは溝1mを介してシリンダボア1e内に連通し、出力ポート1nは溝1mを介してシリンダボア1f内に連通している。
【0014】
第1のシリンダ1a内の第2のシリンダ1b前端には、径方向に連通孔17aが形成された環状部材17と、その両側に配設するカップ状のシール部材(代表してS1で表す)が配設され、連通孔17aを介してシリンダボア1e内が給液ポート1iに連通し得るように構成されている。また、第2のシリンダ1bと第3のシリンダ1cとの間にも、径方向に連通孔18aが形成された環状部材18と、その両側に配設するシール部材S1が介装され、連通孔18aを介してシリンダボア1f内が給液ポート1jに連通し得るように構成されている。
【0015】
シリンダボア1e内には有底筒体の第1のピストン11が収容され、環状部材17に対し液密的摺動自在に支持されており、第1のシリンダ1aと第1のピストン11との間に圧力室R1が郭成されている。また、シリンダボア1f内には有底筒体の第2のピストン12が収容され、環状部材18に液密的摺動自在に支持されており、第1のピストン11と第2のピストン12の間に圧力室R2が郭成されている。第1のピストン11は、シリンダボア1eとシリンダボア1fの間の段差で後端位置が規制され、非作動時の後端位置で、そのスカート部に形成された連通孔11aが環状部材17の連通孔17aと対向し、給液ポート1iを介して圧力室R1がリザーバ4に連通するように構成されている。
【0016】
第1のシリンダ1a内の先端面と第1のピストン11の凹部底面との間にはスプリング13が張架され、第1のピストン11が後方に付勢されている。更に、第2のピストン12の前方の凹部底面にはロッド14の一端が固着され、その他端側の頭部がリテーナ15の先端部に係止し得るように配設されており、第1のピストン11と第2のピストン12との間にはスプリング16が張架され、両者間が拡張する方向に付勢されている。而して、ロッド14の頭部がリテーナ15の先端部に係止された位置で第2のピストン12の後方移動が規制され、非作動時にはその位置で第2のピストン12のスカート部に形成された連通孔12aが環状部材18の連通孔18aと対向し、給液ポート1jを介して圧力室R2がリザーバ4に連通するように構成されている。尚、ロッド14及びリテーナ15を設けることなく、後方に配置する第3のピストン20との関係において第2のピストン12の後端位置を規制することとしてもよい。更に、第2のピストン12の後端面には溝12bが形成されており、後述するように、第3のピストン20の前端面に当接したときにもその中空部(20b)に連通する流路が確保されるように構成されている。
【0017】
第3のピストン20は円筒体で、図1に示すように、その前端部が拡径されて大径のランド部20aが形成されており、このランド部20aは、環状部材18に対して摺動する第2のピストン12の有効断面積より大の有効断面積を有する。本発明の大径部たるランド部20aは、その前方にカップ状のシール部材S2が配設され、シリンダボア1g内に液密的摺動自在に収容される。これにより、シリンダボア1gの内面と第2のピストン12の外面との間でシール部材S1及びS2間に圧力伝達室R3が郭成される。また、第3のピストン20は、ランド部20aの後方でカップ状のシール部材S3を介して第4のシリンダ1dの孔1hに液密的摺動自在に支持されている。更に、第3のピストン20は、その軸方向に段付の中空部が形成されている。即ち、軸方向の両側に大径の中空部20b,20dが形成され、これらの間に小径の中空部20cが形成されている。また、ランド部20aの後方には、中空部20bに連通すると共に軸方向を長軸とする長穴20eが、図1の上下2箇所に形成されている。
【0018】
そして、本実施形態では補助ピストンたる第3のピストン20内に本発明の弁手段が構成されている。先ず、中空部20cにプランジャ22が液密的摺動自在に支持され、その前端に緩衝部材23が装着されている。この緩衝部材23は筒体で、その後端がプランジャ22の前端に係止され、緩衝部材23はスプリング24によってプランジャ22から離隔する方向に付勢されている。従って、緩衝部材23の動きが前方で阻止された場合にも、スプリング24の付勢力を越える力でプランジャ22が押圧されれば、プランジャ22のみが前方に移動し得る。また、ピン25が上下の長穴20eを貫通し、長穴20eの軸方向に移動可能に支持され、緩衝部材23の前方に配置されている。尚、緩衝部材23がピン25に当接したとき、圧力伝達室R3内のブレーキ液圧によって開閉弁26に作用する後方への圧力(弁座28への着座方向の圧力)がスプリング24の付勢力より大となるように設定されている。
【0019】
一方、中空部20b内のピン25の前方には、開閉弁26、及びこれを収容する有底筒体のケース27等から成る弁装置21が配置されている。開閉弁26は前方に鍔部を有する弁体で、ケース27内を軸方向に移動可能に支持され、その軸部後端がケース27から後方に延出してピン25に当接し得るように配置される。また、ケース27の後端には開閉弁26の鍔部が着座し得るように弁座28が配設されている。更に、開閉弁26の前方のケース27内にはスプリング29が配設され、開閉弁26の鍔部が弁座28に着座する方向に付勢されている。従って、ピン25が長穴20eの後端近傍にあるときには、開閉弁26の鍔部は弁座28に着座した状態に維持される。上記スプリング29の付勢力は前述のスプリング24の付勢力より小に設定されているので、開閉弁26が自由状態であるときにピン25を介して緩衝部材23によって押圧されると、スプリング24は圧縮されることなくスプリング29のみが圧縮されて、開閉弁26の鍔部が弁座28から離座する。
【0020】
上記の構成になる弁手段によれば、ブレーキ操作が行なわれていない図1の状態では、圧力伝達室R3はケース27の前方の開口端から弁座28、長穴20e、ポート1pを介して流路1rに連通しているが、ブレーキ操作が行なわれ、後述の液圧ブースタ40の作動により第3のピストン20が前進しピン25が長穴20e内を移動可能な状態となると、スプリング29の付勢力により開閉弁26の後端がピン25に当接した状態で後方に移動し、その鍔部が弁座28に着座すると圧力伝達室R3と流路1rとの連通が遮断される。このように、開閉弁26の鍔部が弁座28に着座した状態では、圧力伝達室R3はブレーキ液が充填された密閉空間となり、第2のピストン12と第3のピストン20が流体的に結合される。このとき、第3のピストン20のランド部20aの有効断面積が第2のピストン12の有効断面積より大であるので、第3のピストン20の前進移動に伴い第2のピストン12の後端面と第3のピストン20の前端面との間に間隙が形成され、圧力伝達室R3は図3に示すようになり、この状態で第2のピストン12と第3のピストン20が一体的に移動することとなる。
【0021】
一方、例えば第3のピストン20が停止した状態でブレーキ操作が行なわれ、プランジャ22が第3のピストン20に対して相対的に前進駆動されると、緩衝部材23がピン25に当接する。更にプランジャ22が前進駆動されると、緩衝部材23及びピン25を介して開閉弁26が前方に駆動され、開閉弁26の鍔部が弁座28から離座し、圧力伝達室R3は流路1rと連通し、図4に示す状態となる。
【0022】
更に、第3のピストン20の後方の中空部20dには、ブレーキペダル(図示せず)の操作量を伝達する第1の伝達部材31と、負圧ブースタ40(後述)による駆動力を伝達する第2の伝達部材32が収容されている。第1の伝達部材31はプランジャ22等と共に本発明のブレーキ入力伝達部材を構成するもので、前端がプランジャ22の後端に当接し後端が伝達ピン34(後述の反力ゴムディスク33を貫通)を介して後述のプランジャ45に連結するロッドで構成され、第2の伝達部材32は反力ゴムディスク33を介して駆動部材43に連結するように構成されている。
【0023】
次に、負圧ブースタ40は、図2に示すように、シェルと呼ばれる容器状のハウジング41a,41bが可動壁42を介して重合され、前方に定圧室(負圧室)CPが郭成され、後方に変圧室VPが郭成されている。定圧室CPはインレット(図示せず)を介して吸気マニホールド(図示せず)等の負圧源に連通接続されており、負圧が維持されている。可動壁42は受圧板42aとダイヤフラム42bから成り、その中央部に、パワーピストンとも呼ばれる円筒状の駆動部材43の一方の開口端部が気密的に固着され、駆動部材43の他方の開口端部はハウジング41bを貫通して後方に延出している。駆動部材43はシール部材S4を介してハウジング41bの開口部に対し摺動自在に支持されており、更にブーツBTによって囲繞されている。尚、ブーツBTは入力ロッド3に固定されているが、駆動部材43の開口端部に連通孔BTaが形成されている。そして、駆動部材43の前方端部と前方のハウジング41aの内面との間にはスプリング44が配設され、可動壁42が後方のハウジング41b方向に付勢されている。
【0024】
入力ロッド3は駆動部材43内の中心軸上に位置するように配置され、その先端に球継手を介してプランジャ45が接続されている。このプランジャ45は、駆動部材43内に形成された軸方向の連通孔43aに摺動自在に支持されている。連通孔43aの周囲には弁座43bが形成されており、この弁座43bを囲繞すると共に、弁座43bに当接するように環状の弁体46aを付勢して成る第1の制御弁機構46が駆動部材43内に構成されている。この第1の制御弁機構46はコントロールバルブと呼ばれるもので、更に、プランジャ45の後方端部に弁座45bを形成し、この弁座45bに当接するように環状の弁体47aを付勢して成る第2の制御弁機構47が連結されている。この第2の制御弁機構47はエアバルブと呼ばれるもので、円筒状の弾性部材の前端に弁体47aが形成され、後端に支持したスプリング48aによって弁座43b方向に付勢するように配置されている。第2の制御弁機構47を構成する弾性部材の後端もスプリング48bによって弁座43b方向に付勢するように配置されており、この付勢力によって、駆動部材43の内側に形成された段差43cに係止されている。
【0025】
プランジャ45の先端に形成された摺動部の後方には、環状の縮径部45aが形成されており、この縮径部45aに対し軸方向に所定距離移動し得るようにキー部材49が嵌合されている。キー部材49は駆動部材43の外周から突出し、ハウジング41bに係合してプランジャ45の後方への軸方向移動を規制するように配置されており、これにより可動壁42の復帰位置が規定される。駆動部材43の前方には凹部43dが形成されており、反力弾性部材たる反力ゴムディスク33を介装した状態で、第2の伝達部材32の後端部32bが凹部43dに嵌合されている。第1の伝達部材31の後端に当接する伝達ピン34は反力ゴムディスク33を貫通して後端でプランジャ45の先端面に当接するように配設され、軸方向に移動可能に支持されている。
【0026】
而して、負圧ブースタ40による助勢時には、変圧室VP内の圧力上昇により可動壁42の押圧力が所定値に達すると、反力ゴムディスク33がプランジャ45と対向する部分は後方に膨出してプランジャ45の先端面に当接し、このプランジャ45に対し、可動壁42の押圧力に比例した後方側への反力が加わり、この反力と入力ロッド3に加えられる操作力との差に応じて第1の制御弁機構46及び第2の制御弁機構47が制御される。
【0027】
次に、上記の構成になる液圧ブレーキ装置の全体作動を図1乃至図8を参照して説明する。図3及び図4は夫々助勢作動時と助勢作動失陥時の第2のピストン12及び第3のピストン20の関係を示し、図5乃至図8は液圧ブレーキ装置における弁手段等の作動状態を拡大して示している。尚、図5乃至図8では図1のケース27を省略し、開閉弁26、弁座28及びスプリング29を直接中空部20b内に配設した構造としているが、作動は同じである。先ず、ブレーキペダルが非操作状態にあるときには各構成部品は図1及び図2に示す状態にあり、弁手段等は図5に示す状態にある。従って、負圧ブースタ40は非作動の状態であり、第2の制御弁機構47は弁座45bに対して弁体47aが当接して閉弁状態にあり、変圧室VP内への大気の導入が阻止されている。このとき、第1の制御弁機構46には定圧室CP内の負圧のみが作用している。
【0028】
ブレーキペダルが操作され入力ロッド3に操作力が印加されると、負圧ブースタ40の第2の制御弁機構47の弁体47aが弁座45bから離座し、入力ロッド3への操作力と、変圧室VP内の圧力と定圧室CP内の圧力の差圧によって入力ロッド3を前方に付勢する力との和が、スプリング48bの付勢力を越えると、入力ロッド3及びプランジャ45が前方へ移動し、駆動部材43の弁座43bに対し第1の制御弁機構46の弁体46aが当接して変圧室VPと定圧室CPとの連通が遮断される。そして、第2の制御弁機構47の弁体47aが弁座45bから離座し、ブーツBTの連通孔BTaを介して大気が変圧室VP内に導入され、変圧室VP内の圧力が上昇する。これにより、可動壁42を前方に押圧する力が発生し、駆動部材43、反力ゴムディスク33及び第2の伝達部材32を介して第3のピストン20及び第2のピストン12が前方に駆動され、更に第1のピストン11が前方に駆動される。
【0029】
この場合において、第3のピストン20の前進移動に伴い、図3及び図6に示すように開閉弁26が弁座27に着座し、圧力伝達室R3内は密閉空間となる。この状態で負圧ブースタ40の助勢作動によって第3のピストン20が前進駆動されると、圧力伝達室R3内のブレーキ液圧によって開閉弁26に作用する後方への圧力(弁座27への着座方向の圧力)が大となる。従って、開閉弁26が弁座27に着座した状態が維持され、第2のピストン12の後端面と第3のピストン20の前端面との間に間隙が形成され、第3のピストン20の大径部20aの後方に液室R4が形成される。而して、第3のピストン20と第2のピストン12が圧力伝達室R3に充填されたブレーキ液を介して流体的に結合され、第3のピストン20及び第2のピストン12が一体となって前進し、第3のピストン20の大径のランド部20aの断面積に応じた液圧が出力される。このようにして負圧ブースタ40による助勢が行なわれ、図9の入出力特性を示すことになる。
【0030】
ここで、図9は、ブレーキペダルに対する踏力と出力(マスタシリンダ10の出力ブレーキ液圧)との関係を示すもので、実線が負圧ブースタ40による助勢作動時(上方の実線)、及び従来の失陥時(下方の実線)の特性を示し、破線が本実施形態における失陥時の特性を示す。図9において、ブレーキペダル踏力がa点に達すると、負圧ブースタ40による助勢作動が限界となる。
【0031】
更に、負圧ブースタ40の助勢限界(図9のa点)を越えてブレーキペダルが操作されると、ブレーキペダルの操作に応じて入力ロッド3が前進し、これに伴いプランジャ45、伝達ピン34、第1の伝達部材31、プランジャ22が前進する。そして、緩衝部材23がピン25に当接したとき、圧力伝達室R3内のブレーキ液圧によって開閉弁26に作用する後方への圧力(弁座28への着座方向の圧力)がスプリング24の付勢力より大となるように設定されているので、図7に示すように緩衝部材23がピン25に当接した状態でも、弁座27に着座した状態の開閉弁26の後端とピン25との間に間隙が形成された位置関係に維持される。この状態でプランジャ45がキー部材49に係合し、第3のピストン20と第2のピストン12が圧力伝達室R3に充填されたブレーキ液を介して一体となって前進する。而して、図9のa点以後の入出力特性を示すことになる。
【0032】
一方、負圧ブースタ40が失陥した場合には、第2の伝達部材32は前進せず、圧力伝達室R3内はポート1p、流路1r及びポート1jを介してリザーバ4に連通し大気圧となるので、ブレーキペダルの操作に応じて入力ロッド3が前進すると、第3のピストン20は第2のピストン12に当接し一体となって前進する。即ち、ブレーキペダルの操作に応じて入力ロッド3が前進すると、図8に示すように、緩衝部材23がピン25に当接してこれを押圧することになる。このとき、スプリング24の付勢力はスプリング29の付勢力より大に設定されているので、開閉弁26は弁座27から離座し、圧力伝達室R3内はリザーバ4に連通し、図4に示すように液室R4と同様大気圧となる。而して、第3のピストン20と第2のピストン12が当接した状態で一体となって前進するが、この場合に出力されるブレーキ液圧は、第3のピストン20の大径のランド部20aの有効断面積ではなく、第2のピストン12の有効断面積によって決まるので、図9の下方に破線で示す入出力特性となり、従前の特性に比べて増圧勾配が増大される。
【0033】
以上のように、上記の構成になる本実施形態の液圧ブレーキ装置においては、簡単な構成で、負圧ブースタ40の失陥時には図9に破線で示す入出力特性を得ることができる。即ち、万一負圧ブースタ40が失陥したときには、従来の失陥時より大きな制動力が出力されるので、失陥時においても適切な制動力を付与することができる。従って、緊急時の応答性の確保という点でも有効である。しかも、伝達ピン34は反力ゴムディスク33を貫通して前方に延出し、その先端で第1の伝達部材31の後端面に当接するように配設されているので、良好な応答性を以って円滑に失陥時のブレーキ作動に移行することができる。また、本実施形態においては第3のピストン20の中空部20b内に弁装置21が収容されるように構成されているので、容易に本発明の弁手段を構成することができる。
【0034】
更に、万一、圧力伝達室R3の前後のシール部材S1及びS2のシール性が損なわれた場合には、負圧ブースタ40が作動しても圧力伝達室R3内の圧力が保持されず第3のピストン20と第2のピストン12が当接した状態のままであるので直ちにシール性が損なわれたことが判別できる。また、負圧ブースタ40による助勢作動中にシール部材S1及びS2のシール性が損なわれた場合には、圧力伝達室R3内の圧力が消失して第3のピストン20が第2のピストン12に当接し、ブレーキペダル(図示せず)のストロークが大となるので直ちにシール性が損なわれたことが判別できる。このように、別途高価な圧力センサ等を設けることなく、シール性が損なわれたことを直ちに検出することができる。
【0035】
図10は本発明の他の実施形態に係る液圧ブレーキ装置のマスタシリンダ部の一部分を示す断面図である。本実施形態は、前述の図1及び図2の実施形態における第2のピストン12と第3のピストン20を二重筒構造としたものであり、本実施形態では、第3のピストン20の構成部分の一部が第2のピストン200で構成されている。即ち、本実施形態の第2のピストン200は、その前方にマスタピストンを構成するピストン部201が形成されているが、その後方の構造は図1の第3のピストン20の後方部分の構造に相当している。そして、本発明の補助ピストンを構成する第3のピストン220は円筒状で、その外径部分が図1の第3のピストン20の大径部20aに相当する。以下、これらについて詳細に説明するが、負圧ブースタ部分は前述の実施形態と同様であるので説明を省略する。尚、図1及び図2と実質的に同一の部分は同一の符合を付している。
【0036】
本実施形態においては、図1の第2のシリンダ1bに相当するシリンダ1xは、その後端の開口部内側にカップ状のシール部材S5が嵌着されており、これに対して液密的摺動自在に第3のピストン220が嵌合されている。また、図1の第4のシリンダ1dに相当するシリンダ1y内に、第2のピストン200の一部と第3のピストン220が収容されている。従って、本実施形態では、図1の第3のシリンダ1cに相当する固定シリンダはなく、第3のピストン220は、その中空部内に第2のピストン200を摺動自在に支持すると共に、それ自体シリンダ1x内を摺動する可動シリンダとしても機能するように構成されている。
【0037】
また、本実施形態では、シリンダ1xに対して液密的摺動自在に有底筒体の第4のピストン110が嵌合されており、この中に第1のピストン11が収容され、第4のピストン110と第2のピストン200との間にロッド14、リテーナ15及びスプリング16が介装されている。従って、図1の環状部材18は存在せず、シリンダ1xと第4のピストン110との間でリザーバ4との連通、遮断が行なわれるように構成されている。即ち、シリンダ1xの前端部内側には第1の環状溝101が形成されると共に、シリンダ1xの外側に第2の環状溝102が形成されており、第2の環状溝102は常時給液ポート1jに連通している。更にシリンダ1xには、第1の環状溝101と第2の環状溝102を連通する連通路103が形成されている。そして、第1の環状溝101の前後にシール部材S1が装着されている。
【0038】
第4のピストン110には、第2の圧力室R2内に開口し常時連通する第1の連通孔111と、常時は第1の環状溝101と連通し第4のピストン110の前進時に連通が遮断される第2の連通孔112が形成されている。而して、ブレーキペダル(図示せず)の非操作時には第2の圧力室R2内が第1の連通孔111、第2の連通孔112、第1の環状溝101、連通路103及び第2の環状溝102を介して給液ポート1jに連通し得るように構成されている。そして、ブレーキペダルが操作されて第4のピストン110が前進すると第2の連通孔112と第1の環状溝101の連通が遮断される。尚、本実施形態の出力ポート1nはシリンダ1xの前端と第1のシリンダ1aとの間隙及び第1の連通孔111を介して第2の圧力室R2に連通するように形成されている。
【0039】
そして、図10に示すように、第3のピストン220の前方の開口部内側にはカップ状のシール部材S6が嵌着されており、これに対して液密的摺動自在に第2のピストン200のピストン部201が嵌合されている。また、第3のピストン220とシリンダ1yとの間に環状の流路(液室)1rが形成されており、第3のピストン220の後端部には、図10に示す状態でも流路1rに連通するポート1pが形成されている。
【0040】
一方、第2のピストン200の中間部にはランド部202が形成されており、ランド部202の前方にカップ状のシール部材S2が配設され、第3のピストン220内に液密的摺動自在に収容される。これにより、第3のピストン220の内面と第2のピストン200の外面との間の空間であってシール部材S6とシール部材S2との間に圧力伝達室R3が郭成される。
【0041】
また、第2のピストン200は、ランド部202の後方でカップ状のシール部材S3を介してシリンダ1yの孔1hに液密的摺動自在に支持されている。更に、第2のピストン200には中空部203,204,205が形成されており、図1の第3のピストン20の中空部20b,20c,20dに対応している。ランド部202の後方には、中空部203に連通すると共に軸方向を長軸とする長穴206が上下2箇所に形成されている。
【0042】
そして、本実施形態では第2のピストン200内に弁手段が構成されている。即ち、中空部204にプランジャ22が液密的摺動自在に支持され、その前端に緩衝部材23が装着されている。また、ピン25が上下の長穴206を貫通し、長穴206の軸方向に移動可能に支持され、緩衝部材23の前方に配置されている。更に、中空部203の前方には、これに連通すると共に流路1rに連通する中空部207が形成されており、この中空部207内に開閉弁26が収容されている(本実施形態では図1のケース27を省略)。開閉弁26は前方に鍔部を有する弁体で、中空部207内を軸方向に移動可能に支持され、その軸部後端がピン25に当接し得るように配置される。また、中空部203と中空部207との間には弁座28が配設されている。更に、開閉弁26の前方にはスプリング29が配設され、開閉弁26の鍔部が弁座28に着座する方向に付勢されている。
【0043】
上記の構成になる弁手段によれば、ブレーキ操作が行なわれていない図10の状態では、圧力伝達室R3は中空部207から弁座28、長穴206、ポート1p及び流路1rを介してリザーバ4に連通しているが、ブレーキ操作が行なわれ、第2のピストン200が前進しピン25が長穴206内を移動可能な状態となると、スプリング29の付勢力により開閉弁26がピン25に当接した状態で後方に移動し、その鍔部が弁座28に着座すると圧力伝達室R3と流路1rとの連通が遮断される。そして、ピン25が長穴206後端近傍にあるときには、開閉弁26の鍔部は弁座28に着座した状態に維持される。このように、開閉弁26の鍔部が弁座28に着座した状態では、圧力伝達室R3はブレーキ液が充填された密閉空間となり、その状態で第2のピストン200と第3のピストン220が流体的に結合された状態となり、一体的に移動することとなる。
【0044】
これに対し、例えば第2のピストン200が停止した状態でブレーキ操作が行なわれ、プランジャ22が第3のピストン220に対して相対的に前進駆動されると、緩衝部材23がピン25に当接する。更にプランジャ22が前進駆動されると、緩衝部材23及びピン25を介して開閉弁26が前方に駆動され、開閉弁26の鍔部が弁座28から離座し、圧力伝達室R3が流路1rと連通することとなる。而して、本実施形態においても、簡単な構成で、負圧ブースタ40の失陥時には図9に破線で示す入出力特性を得ることができる。また、本実施形態においては、第2のピストン200の中空部内に開閉弁26等が収容されるように構成されているので、容易に本発明の弁手段を構成することができる。
【0045】
また、本実施形態においても、万一、圧力伝達室R3の前後のシール部材S6及びS2のシール性が損なわれた場合には、負圧ブースタ40が作動しても圧力伝達室R3内の圧力が保持されず第2のピストン200のみが前進するので直ちにシール性が損なわれたことが判別できる。また、負圧ブースタ40による助勢制御中にシール部材S6及びS2のシール性が損なわれた場合には、圧力伝達室R3内の圧力が消失して第2のピストン200のみが前進し、ブレーキペダル(図示せず)のストロークが大となるので、直ちにシール性が損なわれたことが判別できる。
【0046】
図11は本発明の更に他の実施形態に係る液圧ブレーキ装置のマスタシリンダ部を示す断面図で、一般的なタンデムマスタシリンダに本発明の圧力伝達室を付加すると共に、本発明の弁手段を電磁開閉弁400で構成したものである。従って、本実施形態では、第2のピストン120及び第3のピストン230には弁手段は構成されておらず、通常のマスタピストンの第2のピストン120の後方に第3のピストン230が配設され、圧力室R3が形成されている。第3のピストン230は図1の大径部20aと同様の大径部231を有する有底筒体で、その中空部に伝達部材300の前端部が収容されている。伝達部材300の後端部はを反力ゴムディスク330介して負圧ブースタ40(図11では省略)に接続されているが、前述の伝達ピン34は設けられていない。
【0047】
そして、第3のピストン230は、図11に示す初期位置でポート1oを介して流路1r(ひいてはリザーバ4)に連通している。更に、圧力室R3に連通するポート1uが形成されると共に、流路1rに連通するポート1vが形成されており、これらのポート1u,1vが連通管FPを介して連通接続され、この連通管FPに常閉の電磁開閉弁400が介装されている。更に、図示は省略するが、液圧センサ(図示せず)あるいはストロークセンサ(図示せず)を配設され、これらの検出結果に応じて電磁開閉弁400を開閉制御するコントローラ(図示せず)が設けられている。
【0048】
而して、本実施形態によれば、常時は電磁開閉弁400が閉位置とされ、連通管FPが遮断されている。ブレーキペダル(図示せず)が操作されると、負圧ブースタ40が作動し伝達部材300を介して第3のピストン230及び第2のピストン120が前方に駆動され、更に第1のピストン11が前方に駆動される。このとき、圧力伝達室R3内は密閉空間とされているので、負圧ブースタ40の助勢作動によって第3のピストン230が前進駆動されると、第2のピストン120の後端面と第3のピストン230の前端面との間に間隙が形成され、第3のピストン230の大径部231の後方に液室(図示せず)が形成される。これにより、第3のピストン230と第2のピストン120が圧力伝達室R3に充填されたブレーキ液を介して流体的に結合され、第3のピストン230及び第2のピストン120が一体となって前進し、ランド部231の断面積に応じた液圧が出力される。
【0049】
一方、液圧センサ(図示せず)によって負圧ブースタ40が失陥したことが検出された場合には、電磁開閉弁400が開位置とされ、連通管FPが連通される。これにより、圧力伝達室R3内がポート1u、電磁開閉弁400及びポート1vを介して流路1r(ひいてはリザーバ4)に連通し大気圧となり、第3のピストン230は第2のピストン120に当接し一体となって前進する。而して、本実施形態においては、電磁開閉弁400、液圧センサ(図示せず)等が必要となるので、前述の実施形態に比しコストアップとなるが、第3のピストン230と第2のピストン120とを適宜流体的に結合することができ、負圧ブースタ40の失陥時には図9に破線で示す入出力特性を得ることができる。
【0050】
尚、上記の実施形態においては、何れも助勢手段として負圧ブースタ40を用いて説明したが、液圧ブースタ、レギュレータ等の液圧助勢手段を用いることとしてもよい。
【0051】
【発明の効果】
本発明は上述のように構成されているので以下の効果を奏する。即ち、請求項1に記載の発明によれば、マスタピストンの有効断面積より大の有効断面積を有し、マスタピストンとの間に圧力伝達室を形成すると共に、助勢手段の助勢作動に連動し得る補助ピストンを備え、この補助ピストンを介して助勢手段によってマスタピストンを助勢するときには、弁手段によって圧力伝達室とリザーバとの連通を遮断し、助勢手段による助勢を行なわないときには圧力伝達室をリザーバに連通するように構成されているので、既存の液圧ブレーキ装置に対して実質的にマスタシリンダの構成を変更するだけで、助勢手段失陥時にも適切な入出力特性を確保することができる。
【0052】
前記弁手段は、請求項2に記載のように、補助ピストン又はマスタピストン内に構成することができるので、複雑な制御装置を必要とすることなく、確実に助勢手段失陥時の適切な入出力特性を確保することができる。しかも、万一、圧力伝達室のシール性が損なわれた場合には、直ちにシール性が損なわれたことを判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る液圧ブレーキ装置におけるマスタシリンダ部の断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る液圧ブレーキ装置における負圧ブースタ部の断面図である。
【図3】本発明の一実施形態において負圧ブースタによる助勢が行なわれているときの第2のピストンと第3のピストンの関係を示す断面図である。
【図4】本発明の一実施形態において負圧ブースタ失陥時の第2のピストンと第3のピストンの関係を示す断面図である。
【図5】本発明の一実施形態においてブレーキ操作が行なわれていない状態の弁手段部分を示す断面図である。
【図6】本発明の一実施形態において負圧ブースタによる助勢が行なわれているときの弁手段部分を示す断面図である。
【図7】本発明の一実施形態において負圧ブースタによる助勢限界に達したときの弁手段部分を示す断面図である。
【図8】本発明の一実施形態において負圧ブースタ失陥時の弁手段部分を示す断面図である。
【図9】本発明の一実施形態における入出力特性を示すグラフである。
【図10】本発明の他の実施形態に係る液圧ブレーキ装置のマスタシリンダ部の一部の断面図である。
【図11】本発明の更に他の実施形態に係る液圧ブレーキ装置のマスタシリンダ部を示す断面図である。
【符号の説明】
10 マスタシリンダ, 40 負圧ブースタ, 3 入力ロッド,
4 リザーバ, 11 第1のピストン, 12 第2のピストン,
20 第3のピストン, S1〜S6シール部材,
17,18 環状部材, R1,R2 圧力室, R3 圧力伝達室,
R4 液室, 1a〜1d シリンダ, 1r 流路,
21 弁装置, 22 プランジャ, 23 緩衝部材,
25 ピン, 26 開閉弁
Claims (2)
- ブレーキペダルの操作に応じてマスタピストンを前進駆動しリザーバのブレーキ液を圧力室で加圧して出力するマスタシリンダと、前記ブレーキペダルの操作に応じて前記マスタピストンを助勢する助勢手段を備えた車両の液圧ブレーキ装置において、前記マスタピストンの有効断面積より大の有効断面積を有し、前記マスタピストンとの間に圧力伝達室を形成すると共に、前記助勢手段の助勢作動に連動し得る補助ピストンと、該補助ピストンを介して前記助勢手段によって前記マスタピストンを助勢するときには前記圧力伝達室と前記リザーバとの連通を遮断し、前記圧力伝達室にブレーキ液が充填されて前記マスタピストンと前記補助ピストンとが流体的に結合され、前記助勢手段による助勢を行なわないときには前記圧力伝達室を前記リザーバに連通する弁手段とを備えたことを特徴とする車両の液圧ブレーキ装置。
- 前記補助ピストンは、前記マスタピストンの有効断面積より大の有効断面積の大径部を有し、前記マスタピストンの後方に同軸上に配置して前記大径部と前記マスタピストンとの間に前記圧力伝達室を形成し、前記補助ピストン内に前記弁手段を構成することを特徴とする請求項1記載の車両の液圧ブレーキ装置。
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