JP2002053028A - 車両の液圧ブレーキ装置 - Google Patents

車両の液圧ブレーキ装置

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JP2002053028A
JP2002053028A JP2000243561A JP2000243561A JP2002053028A JP 2002053028 A JP2002053028 A JP 2002053028A JP 2000243561 A JP2000243561 A JP 2000243561A JP 2000243561 A JP2000243561 A JP 2000243561A JP 2002053028 A JP2002053028 A JP 2002053028A
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pressure
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valve
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Michiji Nishii
理治 西井
Satoshi Ishida
聡 石田
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Aisin Corp
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Aisin Seiki Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 助勢手段に対する変更を最小限に抑え、助勢
手段の助勢限界後にも適切な入出力特性を確保する。 【解決手段】 マスタピストン12の径より大径の大径
部を有する第1のピストン201、及びこれに連結しマ
スタピストンの有効断面積より小の有効断面積の小径部
及び略同等の有効断面積の同径部を有する第2のピスト
ン202を備えた補助ピストン20をマスタピストンの
後方に配置する。ブレーキペダルの操作に応じた助勢力
を直接マスタシリンダに伝達する出力伝達部(43)、
及びブレーキペダルに対しマスタシリンダからの反力を
伝達する反力伝達部(33)を有する助勢手段に対し、
補助ピストンの第1のピストンを出力伝達部に連結し、
第2のピストンを反力伝達部に連結する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は車両の液圧ブレーキ
装置に関し、ブレーキペダル操作に応じてマスタシリン
ダを助勢する助勢手段を備えた液圧ブレーキ装置に係
る。
【0002】
【従来の技術】米国特許第3910048号の明細書に
は、圧力比変換器を備えたパワーブレーキシステム用の
サーボモータが開示されている。このサーボモータは、
マスタシリンダに操作力を伝達する同軸の第1及び第2
ピストンが設けられ、差圧によって駆動される壁に第1
ピストンが連結され、この第1ピストン内に同軸に第2
ピストンが収容され、差圧発生用の制御弁を駆動する入
力を伝達すると共に、マスタシリンダ内に配置したロッ
ク弁を駆動するように構成されている。これにより、壁
の移動に応じて第1及び第2ピストンが共に移動する
と、流体がロック弁を介してロック室に流入する。そし
て、差圧によって発生し得る最大出力に達すると、第1
及び第2ピストンの同時移動が終了し、運転者によって
更に操作力が加えられると、第2ピストンが第1ピスト
ン内を移動し、ロック弁を閉成してロック室内の流体を
保持して第1ピストンの移動を禁止するように構成され
ている。
【0003】具体的には、第1及び第2ピストンが前進
すると、圧力室112及び146内に液圧が発生し、こ
の第1及び第2ピストンの出力はサーボモータ12内の
第2室32が大気圧となるまで図3の線188に従って
増加し、図3の点190で、ブレーキペダル20の入力
がプランジャ70及びスリーブ66を介して第2ピスト
ン60に伝達される。この入力によって第2ピストン6
0が独立して駆動され、スプリング130によって流路
120が閉成され、更に第2ピストン60が駆動される
と出力は図3の線192に示すようになる。一方、負圧
が消失した場合には、ブレーキペダル20に付与される
入力によって第2ピストン60が第1ピストン58内を
移動し、弁手段118によって直ちに流路120が閉成
され、パワー液圧が存在しないときに両ピストンが駆動
される場合の図3の線195に示す出力より大きな出力
となり、線196に示すようになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の米国特許第39
10048号に記載のサーボモータにおいては、昇圧し
た液圧をロック室に封じ込めることによって、図3の点
190以降は第2ピストン60の第1ピストン58内の
移動に応じて線192に従って出力されるように構成さ
れている。一方、助勢手段が失陥したとき、例えば負圧
消失時には第2ピストン60の第1ピストン58内の移
動に応じて線196に従って出力されるように構成され
ているが、これを達成するためには、同米国特許の図1
に示すように、助勢手段のサーボモータ12を、第2ピ
ストン60の第1ピストン58に対する十分な相対移動
量を確保し得るように構成する必要がある。従って、従
前のサーボモータの構成に対し大幅な変更が必要とな
り、コストの上昇は不可避である。同様に、サーボモー
タによる助勢限界後に更に制動力を増大する構成とする
際にも、上記米国特許の構成では従前のサーボモータの
変更が必要とされる。
【0005】更に、サーボモータによる助勢限界後に更
に制動力を増大する構成とすることができた場合でも、
それまでの増圧勾配を維持することは極めて困難である
ので、助勢手段の助勢限界も円滑に制動力を増大させる
ことは容易ではない。
【0006】そこで、本発明は、ブレーキペダル操作に
応じてマスタシリンダを駆動する助勢手段を備えた車両
の液圧ブレーキ装置において、助勢手段に対する変更を
最小限に抑え、実質的にマスタシリンダのみを所定の構
造とすることによって、助勢手段の助勢限界後にも適切
な入出力特性を確保し得るようにすることを課題とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明は請求項1に記載のように、ブレーキペダル
の操作に応じてマスタピストンを前進駆動しリザーバの
ブレーキ液を圧力室で加圧して出力するマスタシリンダ
と、前記ブレーキペダルの操作に応じて前記マスタピス
トンを助勢する助勢手段を備えた車両の液圧ブレーキ装
置において、前記助勢手段が、前記ブレーキペダルに対
し前記マスタシリンダからの反力を伝達する反力伝達
部、及び前記ブレーキペダルの操作に応じた助勢力を前
記反力伝達部を介することなく前記マスタシリンダに伝
達する出力伝達部を有し、前記マスタピストンの径より
大径の大径部を有する第1のピストン、及び該第1のピ
ストンに連結し前記マスタピストンの有効断面積より小
の有効断面積の小径部及び前記マスタピストンの有効断
面積と略同等の有効断面積の同径部を有する第2のピス
トンを備えた補助ピストンであって、前記マスタピスト
ンの後方に配置し、前記第1のピストンを前記出力伝達
部に連結すると共に、前記第2のピストンを前記反力伝
達部に連結し、前記大径部と前記マスタピストンとの間
に第1の圧力伝達室を形成すると共に、前記小径部と前
記マスタピストンとの間に第2の圧力伝達室を形成する
補助ピストンと、該補助ピストンを介して前記助勢手段
によって前記マスタピストンを助勢するときには前記第
1の圧力伝達室を密閉し、前記助勢手段による助勢を行
なわないときには前記第1の圧力伝達室を前記リザーバ
に連通する第1の弁手段と、前記補助ピストンを介して
前記助勢手段によって前記マスタピストンを助勢すると
きには前記第2の圧力伝達室を前記第1の圧力伝達室に
連通して増圧し、前記第1の圧力伝達室内の圧力が所定
圧に到達後は前記第2の圧力伝達室を密閉し、前記助勢
手段による助勢を行なわないときには前記第2の圧力伝
達室を前記第1の圧力伝達室に連通する第2の弁手段と
を備えることとしたものである。尚、前記所定圧は、前
記助勢手段による助勢限界直前の圧力に設定するとよ
い。
【0008】而して、前記助勢手段により前記補助ピス
トンを介して前記マスタピストンを助勢するときには、
前記第1の弁手段によって前記第1の圧力伝達室を密閉
して前記補助ピストンと前記マスタピストンとを流体的
に結合すると共に、前記第2の弁手段によって前記第2
の圧力伝達室を前記第1の圧力伝達室に連通して増圧
し、前記第1の圧力伝達室内の圧力が所定圧に到達後は
前記第2の圧力伝達室を密閉することができる。前記助
勢手段による助勢を行なわないときには、前記第1の弁
手段によって前記第1の圧力伝達室を前記リザーバに連
通して大気圧とし、且つ前記第2の弁手段によって前記
第2の圧力伝達室を前記第1の圧力伝達室に連通して大
気圧まで減圧することにより、前記補助ピストンと前記
マスタピストンとを機械的に結合することができる。
【0009】前記液圧ブレーキ装置において、請求項2
に記載のように、前記第1の圧力伝達室を前記リザーバ
に連通する第1の流路を前記補助ピストンに形成し、前
記第1の弁手段を、前記第1の流路に配置する第1の弁
座と、該第1の弁座に対して着座又は離座するように配
置し前記第1の流路を開閉する第1の弁部材と、該第1
の弁部材を前記第1の弁座方向に付勢する第1の付勢手
段と、前記助勢手段による助勢を行なわないときに前記
ブレーキペダルの操作に応じて前記第1の弁部材を駆動
するブレーキ入力伝達部材とを備えたものとするとよ
い。
【0010】前記液圧ブレーキ装置において、請求項3
に記載のように、前記第2の圧力伝達室を前記第1の圧
力伝達室に連通する第2の流路を前記補助ピストンに形
成し、前記第2の弁手段を、前記第2の流路に配置する
第2の弁座と、該第2の弁座に対して着座又は離座する
ように配置し前記第2の流路を開閉する第2の弁部材
と、該第2の弁部材を前記第2の弁座方向に付勢する第
2の付勢手段と、前記第1の圧力伝達室内の圧力に応じ
て前記第2の弁部材を前記第2の弁座から離隔する方向
に押圧する圧力応動部材と、該圧力応動部材に対して前
記第2の弁部材方向に前記第2の付勢手段より大の付勢
力で付勢する第3の付勢手段とを備えたものとするとよ
い。
【0011】尚、前記助勢手段としては、負圧式助勢手
段の負圧ブースタでも、液圧式助勢手段の液圧ブースタ
でもよい。また、前記助勢手段の反力伝達部は弾性部材
を備えたものとし、前記ブレーキ入力伝達部材は前記弾
性部材を介することなく前記ブレーキペダルに連結する
ように配設する構成とすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の望ましい実施形態
を図面を参照して説明する。図1及び図2は本発明の一
実施形態の液圧ブレーキ装置を示すもので、ブレーキペ
ダル(図示ず)に加えられた踏力が入力ロッド3を介し
てブレーキ作動力として伝えられ、これに応じて助勢手
段の負圧ブースタ40によって助勢されてマスタシリン
ダ10からブレーキ液圧が出力され、車両の各車輪に装
着されたホイールシリンダ(図示せず)に供給されるよ
うに構成されている。尚、図1にマスタシリンダ部を示
し、図2に負圧ブースタ部を示す。
【0013】マスタシリンダ10は、図1に示すよう
に、第1のシリンダ1aと、これに収容する第2のシリ
ンダ1b、第3のシリンダ1c及び第4のシリンダ1d
から成るシリンダボデー内に、二つのマスタピストン1
1,12と、四つのピストン201乃至204が組み合
わされた補助ピストン20が収容されて成る。第1のシ
リンダ1aは有底筒体で、開口部に向かって順次内径が
増加するように段付孔が形成されている。第2のシリン
ダ1bは略円筒体で、径が異なるシリンダボア1e及び
1fから成る段付孔が形成されており、その内周面の軸
方向に複数の溝1mが形成されている。
【0014】第3のシリンダ1c及び第4のシリンダ1
dは何れも筒体で、これらが重合され、両者間に環状の
流路(液室)1rが形成されている。第3のシリンダ1
cには、シリンダボア1e及び1fの内径より大の内径
を有するシリンダボア1gが形成され、側面には流路1
rに連通するポート1pが形成されている。また、第4
のシリンダ1dの底部には、シリンダボア1fの内径と
同径でシリンダボア1gより小径の孔1hが形成されて
いる。そして、第1のシリンダ1aには給液ポート1
i,1j及び出力ポート1k,1nが形成されており、
出力ポート1kは溝1mを介してシリンダボア1e内に
連通し、出力ポート1nは溝1mを介してシリンダボア
1f内に連通している。
【0015】第1のシリンダ1a内の第2のシリンダ1
b前端には、径方向に連通孔17aが形成された環状部
材17と、その両側に配設するカップ状のシール部材
(代表してS1で表す)が配設され、連通孔17aを介
してシリンダボア1e内が給液ポート1iに連通し得る
ように構成されている。また、第2のシリンダ1bと第
3のシリンダ1cとの間にも、径方向に連通孔18aが
形成された環状部材18と、その両側に配設するシール
部材S1が介装され、連通孔18aを介してシリンダボ
ア1f内が給液ポート1jに連通し得るように構成され
ている。
【0016】シリンダボア1e内には有底筒体のマスタ
ピストン11が収容され、環状部材17に対し液密的摺
動自在に支持されており、第1のシリンダ1aとマスタ
ピストン11との間に圧力室R1が郭成されている。ま
た、シリンダボア1f内にはマスタピストン12が収容
され、環状部材18に液密的摺動自在に支持されてお
り、マスタピストン11とマスタピストン12の間に圧
力室R2が郭成されている。マスタピストン11は、シ
リンダボア1eとシリンダボア1fの間の段差で後端位
置が規制され、非作動時の後端位置で、そのスカート部
に形成された連通孔11aが環状部材17の連通孔17
aと対向し、給液ポート1iを介して圧力室R1がリザ
ーバ4に連通するように構成されている。
【0017】第1のシリンダ1a内の先端面とマスタピ
ストン11の凹部底面との間にはスプリング13が張架
され、マスタピストン11が後方に付勢されている。マ
スタピストン12は両端に中空部12a,12bが形成
され、略中央の隔壁で分離されている。マスタピストン
12は、スプリング16によって付勢され、非作動時に
はマスタピストン12の後端面が補助ピストン20の一
部であるピストン202の前端面に当接するように付勢
されている。このように、マスタピストン12の後端位
置は補助ピストン20との関係において規制され、非作
動時にはその位置でマスタピストン12に形成された連
通孔12cが環状部材18の連通孔18aと対向し、給
液ポート1jを介して圧力室R2がリザーバ4に連通す
るように構成されている。更に、マスタピストン12の
後端面には中空部12bに連通する溝12dが形成され
ており、後述するように、ピストン202の前端面に当
接したときにもピストン202の中空部(図3の20
e)に連通する流路が確保されるように構成されてい
る。
【0018】補助ピストン20は、図3に拡大して示す
ように、ピストン201乃至204が組み合わされて段
付筒体に形成されたもので、各ピストンに中空部20a
乃至20iが形成されると共に、連通孔20p乃至20
r及び長穴20s,20tが形成されている。先ず、ピ
ストン201には段付孔の中空部が形成されており、そ
の小径の中空部はマスタピストン12の中空部12bと
同径で、その大径の中空部は環状部材17及び/又は1
8の内径と略等しくなるように設定されている。また、
ピストン202は、その外周にカップ状のシール部材S
2が配設され、シリンダボア1g内に液密的摺動自在に
収容される。
【0019】次に、ピストン202は、マスタピストン
12の有効断面積より小の有効断面積の小径部221
と、マスタピストン12の有効断面積と略同等の有効断
面積を有する同径部222が形成されている。前方の小
径部221はカップ状のシール部材S4を介してマスタ
ピストン12の中空部12bに液密的摺動自在に支持さ
れており、後方の同径部222はシール部材S5を介し
てピストン202の中空部に液密的摺動自在に支持され
ている。
【0020】而して、シリンダボア1gの内面とマスタ
ピストン12の外面との間でシール部材S1及びS2間
に第1の圧力伝達室R3が郭成され、ピストン201,
202後方のシリンダボア1g内に液室R5が郭成され
る。そして、マスタピストン12の中空部12bの内面
とシール部材S4との間に第2の圧力伝達室R4が郭成
されるが、これについては後述する。
【0021】一方、ピストン202の後端に、前端の鍔
部231が当接するように筒体のピストン203が配設
され、カップ状のシール部材S3を介して第4のシリン
ダ1dの孔1hに液密的摺動自在に支持されている。こ
のピストン203の中空部内に、筒体のピストン204
がカップ状のシール部材S6を介して液密的摺動自在に
収容され、更にピストン204の中空部内に、円柱状の
プランジャ27が液密的摺動自在に収容されている。プ
ランジャ27は、前端にピン27aが一体的に形成さ
れ、径方向に長穴27bが形成されている。ピストン2
03及びピストン204の側面には、液室R5に連通す
ると共に軸方向を長軸とする長穴20s,20tが、図
3の上下2箇所に形成されており、ピストン203及び
ピストン204の長穴20s,20tにピン28が挿通
され、プランジャ27が長穴27b,20s,20tに
対して軸方向に所定距離移動可能に支持されている。こ
の状態で、ピン27aは中空部20fを挿通して中空部
20e内に延出し得るように形成されている。
【0022】図1及び図2に示すように、ピストン20
3は本発明の出力伝達部を構成する駆動部材43に連結
されている。このピストン203の中空部20iには、
ブレーキペダル(図示せず)の操作量を伝達する第1の
伝達部材31と、本発明の反力伝達部を構成する反力ゴ
ムディスク33を介してブレーキペダル操作に応じた負
圧ブースタ40(後述)による助勢力を伝達する第2の
伝達部材32が収容されている。第1の伝達部材31は
プランジャ27等と共に本発明のブレーキ入力伝達部材
を構成するもので、ロッドで構成され、その前端がプラ
ンジャ27の後端に当接可能に配置され、後端が伝達ピ
ン34(反力ゴムディスク33を貫通)を介して後述の
プランジャ45に連結されている。一方、第2の伝達部
材32は後方に拡径部を有する筒体で、その中空部に伝
達ピン34の先端部及び第1の伝達部材31が収容され
ている。第2の伝達部材32は、その前端がピストン2
04に当接し、後端が反力ゴムディスク33を介して駆
動部材43に連結されている。従って、補助ピストン2
0を構成するピストン202はピストン204を介して
第2の伝達部材32に連結され、プランジャ27は第1
の伝達部材31及び伝達ピン34を介してプランジャ4
5に連結されている。
【0023】そして、図3に示すように、補助ピストン
20内には本発明の第1の弁手段及び第2の弁手段が構
成されている。先ず第1の弁手段に関して説明すると、
中空部20e内のピン27aの前方には、本発明の第1
の弁部材を構成する球状の弁体25、及び本発明の第1
の弁座を構成する中空部20f方向に弁体25を付勢し
本発明の第1の付勢手段を構成するスプリング26が配
設され、弁体25が中空部20fに着座する方向に付勢
されている。従って、ブレーキペダル非操作時でピン2
8が図3に示す位置にあるときには、弁体25はプラン
ジャ27のピン27aに当接し中空部20fから離座し
ているが、ピン28が長穴20s,20tの後端近傍に
位置しピン27aが後退しているときには、弁体25は
中空部20fに着座する。尚、中空部20eは連通孔2
0r及び溝12dを介して第1の圧力伝達室R3に常時
連通し、弁体25が離座しているときには、中空部20
f,20g、長穴20s,20t、液室R5、ポート1
p、流路1r、ポート1jを介してリザーバ4に連通し
ている。従って、これらの中空部20f等によって本発
明の第1の流路が形成されている。
【0024】一方、第2の弁手段は、ピストン202内
に構成されている。図3に示すように、中間に鍔部を有
し本発明の圧力応動部材を構成するプランジャ23が、
中空部20c内で軸方向に移動可能に支持され、その軸
部後端が中空部20dに摺動自在に支持されている。プ
ランジャ23の前端にはピン23aが一体的に形成され
ており、このピン23aは小径の中空部20bを挿通し
て中空部20a内に延出し得るように形成されている。
中空部20a内のピン23aの前方には、本発明の第2
の弁部材を構成する球状の弁体21、及び本発明の第2
の弁座を構成する中空部20b方向に弁体21を付勢し
本発明の第2の付勢手段を構成するスプリング22が配
設され、弁体21が中空部20bに着座する方向に付勢
されている。
【0025】これに対し、プランジャ23の鍔部と中空
部20cの底面との間には、本発明の第3の付勢手段を
構成するスプリング24が介装されており、このスプリ
ング24によってプランジャ23が弁体21方向に付勢
され、弁体21が中空部20bから離座する方向に付勢
されている。このスプリング24の付勢力はスプリング
22の付勢力より大に設定されている。従って、図3に
示すように弁体21及びプランジャ23が自由状態であ
るときには、スプリング24は圧縮されることなくスプ
リング22のみが圧縮されて、弁体21が中空部20b
から離座する。尚、中空部20cは、シール部材S4の
後方に開口する連通孔20q及び溝12dを介して第1
の圧力伝達室R3に常時連通し、弁体21が離座してい
るときには、第2の圧力伝達室R4は、連通孔20p及
び中空部20a,20b,20cを介して第1の圧力伝
達室R3に連通している。従って、これらの連通孔20
p等によって本発明の第2の流路が形成されている。
【0026】上記の構成になる第1及び第2の弁手段に
よれば、ブレーキ操作が行なわれていない図1乃至図3
の状態では、第1の圧力伝達室R3は溝12d、連通孔
20r、中空部20e,20f、長穴20s,20t、
ポート1pを介して流路1rに連通している。ブレーキ
操作が行なわれ、後述の負圧ブースタ40の作動により
補助ピストン20が前進(プランジャ27は相対的に後
退)し、スプリング26の付勢力により弁体25が中空
部20fに着座すると、第1の圧力伝達室R3と流路1
rとの連通が遮断される。このように、弁体25が中空
部20fに着座した状態では、第1の圧力伝達室R3は
ブレーキ液が充填された密閉空間となり、マスタピスト
ン12と補助ピストン20が流体的に結合される。この
とき、補助ピストン20を構成するピストン201の有
効断面積がマスタピストン12の有効断面積より大であ
るので、ピストン201の前進移動に伴いマスタピスト
ン12が前進して第2の圧力伝達室R4が拡張し図4に
示すようになり、この状態でマスタピストン12と補助
ピストン20が一体的に移動することとなる。
【0027】更に第1の圧力伝達室R3内が増圧され、
所定圧(負圧ブースタ40による助勢限界(死点)直前
の圧力)を越えるとスプリング24が圧縮されてプラン
ジャ23が後退し、弁体21が中空部20bに着座す
る。これにより第2の圧力伝達室R4はブレーキ液が充
填された密閉空間となり、この状態でマスタピストン1
2と補助ピストン20が一体的に移動することとなる。
【0028】ブレーキペダル(図示せず)が更に踏み込
まれ、負圧ブースタ40の助勢限界を越えると第1の伝
達部材31が前進するが、このとき図5に示すようにそ
の前端面がプランジャ27の後端面に当接して前進す
る。この結果、プランジャ27のピン27aによって弁
体25が中空部20fから離座し、第1の圧力伝達室R
3が連通孔20r、中空部20e,20f、長穴20
s,20t、ポート1pを介して流路1r、ひいてはリ
ザーバ4に連通し、第1の圧力伝達室R3内が減圧され
大気圧となる。これにより、プランジャ27がピン28
を介してピストン203ひいてはピストン201に機械
的に結合し、プランジャ27の押圧力がピン28を介し
てピストン201にそのまま伝達される。このとき、第
2の圧力伝達室R4内の圧力の方が第1の圧力伝達室R
3内の圧力より高いので、弁体21は中空部20bに着
座した状態に維持され、図5に示す密閉空間の第2の圧
力伝達室R4が維持される。
【0029】一方、例えば図3に示すように補助ピスト
ン20が停止した状態でブレーキ操作が行なわれ、プラ
ンジャ27がピストン204に対して相対的に前進駆動
されると、図5の右側に示すようにプランジャ27がピ
ン28に当接する。更にプランジャ27が前進駆動され
ると、ピン28を介して弁体25が前方に駆動され、弁
体25が中空部20fから離座し、図3の左側に示すよ
うに第1の圧力伝達室R3及び第2の圧力伝達室R4は
流路1rと連通した状態で、プランジャ27がピン28
を介してピストン203,201、ひいてはこれに当接
するマスタピストン12に機械的に結合し、プランジャ
27に付与される力がピン28を介してマスタピストン
12にそのまま伝達される。
【0030】次に、負圧ブースタ40は、図2に示すよ
うに、シェルと呼ばれる容器状のハウジング41a,4
1bが可動壁42を介して重合され、前方に定圧室(負
圧室)CPが郭成され、後方に変圧室VPが郭成されて
いる。定圧室CPはインレット(図示せず)を介して吸
気マニホールド(図示せず)等の負圧源に連通接続され
ており、負圧が維持されている。可動壁42は受圧板4
2aとダイヤフラム42bから成り、その中央部に、パ
ワーピストンとも呼ばれる円筒状の駆動部材43の一方
の開口端部が気密的に固着され、駆動部材43の他方の
開口端部はハウジング41bを貫通して後方に延出して
いる。駆動部材43はシール部材S5を介してハウジン
グ41bの開口部に対し摺動自在に支持されており、更
にブーツBTによって囲繞されている。尚、ブーツBT
は入力ロッド3に固定されているが、駆動部材43の開
口端部に連通孔BTaが形成されている。そして、駆動
部材43の前方端部と前方のハウジング41aの内面と
の間にはスプリング44が配設され、可動壁42が後方
のハウジング41b方向に付勢されている。
【0031】入力ロッド3は駆動部材43内の中心軸上
に位置するように配置され、その先端に球継手を介して
プランジャ45が接続されている。このプランジャ45
は、駆動部材43内に形成された軸方向の連通孔43a
に摺動自在に支持されている。連通孔43aの周囲には
弁座43bが形成されており、この弁座43bを囲繞す
ると共に、弁座43bに当接するように環状の弁体46
aを付勢して成る第1の制御弁機構46が駆動部材43
内に構成されている。この第1の制御弁機構46はコン
トロールバルブと呼ばれるもので、更に、プランジャ4
5の後方端部に弁座45bを形成し、この弁座45bに
当接するように環状の弁体47aを付勢して成る第2の
制御弁機構47が連結されている。この第2の制御弁機
構47はエアバルブと呼ばれるもので、円筒状の弾性部
材の前端に弁体47aが形成され、後端に支持したスプ
リング48aによって弁座43b方向に付勢するように
配置されている。第2の制御弁機構47を構成する弾性
部材の後端もスプリング48bによって弁座43b方向
に付勢するように配置されており、この付勢力によっ
て、駆動部材43の内側に形成された段差43cに係止
されている。
【0032】プランジャ45の先端に形成された摺動部
の後方には、環状の縮径部45aが形成されており、こ
の縮径部45aに対し軸方向に所定距離移動し得るよう
にキー部材49が嵌合されている。キー部材49は駆動
部材43の外周から突出し、ハウジング41bに係合し
てプランジャ45の後方への軸方向移動を規制するよう
に配置されており、これにより可動壁42の復帰位置が
規定される。駆動部材43の前方には凹部43dが形成
されており、反力弾性部材たる反力ゴムディスク33を
介装した状態で、第2の伝達部材32の後端部32bが
凹部43dに嵌合されている。第1の伝達部材31の後
端に当接する伝達ピン34は反力ゴムディスク33を貫
通して後端でプランジャ45の先端面に当接するように
配設され、軸方向に移動可能に支持されている。
【0033】而して、負圧ブースタ40による助勢時に
は、変圧室VP内の圧力上昇により可動壁42の押圧力
が所定値に達すると、反力ゴムディスク33がプランジ
ャ45と対向する部分は後方に膨出してプランジャ45
の先端面に当接し、このプランジャ45に対し、可動壁
42の押圧力に比例した後方側への反力が加わり、この
反力と入力ロッド3に加えられる操作力との差に応じて
第1の制御弁機構46及び第2の制御弁機構47が制御
される。
【0034】次に、上記の構成になる液圧ブレーキ装置
の全体作動を図1乃至図5を参照して説明する。図3乃
至図5は液圧ブレーキ装置における第1及び第2の弁手
段等の作動状態を拡大して示すもので、図3は図8の入
出力特性におけるa点からb点の非作動状態を示し、図
4はb点からc点の作動状態を示し、図5はd点からe
点の作動状態を夫々示す。ここで、図8は、ブレーキペ
ダル入力、即ちブレーキペダルに対する踏力と出力(マ
スタシリンダ10の出力ブレーキ液圧)との関係を示す
もので、実線が負圧ブースタ40による助勢作動時(上
方の実線)、及び従来の失陥時(下方の実線)の特性を
示し、破線が本実施形態における助勢限界後(上方の破
線)及び失陥時(下方の破線)の特性を示す。図8にお
いて、ブレーキペダル入力がd点に達すると、負圧ブー
スタ40による助勢作動が限界となる。
【0035】先ず、ブレーキペダルが非操作状態にある
ときには各構成部品は図1及び図2に示す状態にあり、
マスタピストン12の後端面は補助ピストン20のピス
トン202の前端面に当接し、第1及び第2の弁手段等
は図3に示す状態にある。また、負圧ブースタ40は非
作動の状態であり、図2に示すように、第2の制御弁機
構47は弁座45bに対して弁体47aが当接して閉弁
状態にあり、変圧室VP内への大気の導入が阻止されて
いる。このとき、第1の制御弁機構46には定圧室CP
内の負圧のみが作用している。そして、ブレーキペダル
(図示せず)が操作されると、各部品が作動を開始する
が、図8のa点からb点までは図3に示す状態にある。
【0036】ブレーキペダルが操作され入力ロッド3に
操作力が印加されると、負圧ブースタ40の第2の制御
弁機構47の弁体47aが弁座45bから離座し、入力
ロッド3への操作力と、変圧室VP内の圧力と定圧室C
P内の圧力の差圧によって入力ロッド3を前方に付勢す
る力との和が、スプリング48bの付勢力を越えると、
入力ロッド3及びプランジャ45が前方へ移動し、駆動
部材43の弁座43bに対し第1の制御弁機構46の弁
体46aが当接して変圧室VPと定圧室CPとの連通が
遮断される。そして、第2の制御弁機構47の弁体47
aが弁座45bから離座し、ブーツBTの連通孔BTa
を介して大気が変圧室VP内に導入され、変圧室VP内
の圧力が上昇する。これにより、可動壁42を前方に押
圧する力が発生し、駆動部材43から直接ピストン20
3及び201に伝達されると共に、反力ゴムディスク3
3及び第2の伝達部材32を介してピストン204,2
02に伝達され、マスタピストン12が前方に駆動さ
れ、更にマスタピストン11が前方に駆動される。
【0037】この場合において、ピストン202の前進
移動に伴い、図4に示すように弁体25が中空部20f
に着座し、第1の圧力伝達室R3内は密閉空間となる。
この状態で負圧ブースタ40の助勢作動によって補助ピ
ストン20が前進駆動されると、第1の圧力伝達室R3
内のブレーキ液圧によって弁体25に作用する後方への
圧力(中空部20fへの着座方向の圧力)が大となり、
弁体25が中空部20fに着座した状態が維持される。
そして、ピストン201の前進移動に伴い、前述のよう
に第2の圧力伝達室R4が拡張すると共に、液室R5が
拡張する。
【0038】而して、補助ピストン20とマスタピスト
ン12が第1の圧力伝達室R3及び第2の圧力伝達室R
4に充填されたブレーキ液を介して流体的に結合され、
補助ピストン20及びマスタピストン12が一体となっ
て前進し、補助ピストン20のピストン201の断面積
に応じた液圧が出力される。このようにして負圧ブース
タ40による助勢が行なわれ、図8のb点からc点の入
出力特性を示すことになる。
【0039】ブレーキペダル踏力が増大され、第1の圧
力伝達室R3内が更に増圧されて所定圧を越えると、ス
プリング24が圧縮されてプランジャ23が後退し、弁
体21は中空部20bに着座する。これにより第2の圧
力伝達室R4は加圧ブレーキ液が充填された密閉空間と
なり、マスタピストン12とピストン202が流体的に
結合され、この状態でマスタピストン12とピストン2
02が一体的に移動し、図8のc点からd点の入出力特
性を示すことになる。
【0040】そして、負圧ブースタ40の助勢限界(図
8のd点)に達し、これを越えてブレーキペダルが操作
されると、入力ロッド3の前進に伴いプランジャ45、
伝達ピン34、第1の伝達部材31が前進する。そし
て、図5に示すように第1の伝達部材31の前端面がプ
ランジャ27の後端面に当接してこれを前進駆動する。
この結果、プランジャ27のピン27aによって弁体2
5が中空部20fから離座し、第1の圧力伝達室R3内
が減圧される。これにより、プランジャ27がピン28
を介してピストン203,201に機械的に結合し、プ
ランジャ27の押圧力がピン28を介してピストン20
1にそのまま伝達される。このとき、第2の圧力伝達室
R4内の圧力と第1の圧力伝達室R3内の圧力との圧力
差により、弁体21は中空部20bに着座した状態に維
持され、図5に示す密閉空間の第2の圧力伝達室R4が
維持される。
【0041】而して、負圧ブースタ40の助勢限界後に
出力されるブレーキ液圧は、負圧ブースタ40による助
勢作動により補助ピストン20のピストン201の有効
断面積で決まるブレーキ液圧に加え、ブレーキペダル
(図示せず)の踏力に応じたマスタピストン12の有効
断面積によって決まるブレーキ液圧が付加されることに
なるので、図8のd点以後の破線で示すように、ブレー
キペダルの踏力に急激な変化が生ずることなく円滑な入
出力特性となる。仮に、第2の弁手段が設けられていな
ければ、助勢限界に達し図5の状態となったときには、
第1及び第2の圧力伝達室R3,R4内が大気圧となる
ため、ブレーキペダルのストロークが急激に増加し、所
謂ブレーキペダルの入り込みが生ずる。これに対し、本
実施形態によれば、上記の構成でブレーキペダルの入り
込みを確実に防止することができる。
【0042】上記のように図8のd点以後の破線で示す
特性とすることは、図8のd点に到達後の破線で示す特
性の勾配を、図8のd点に到達するまでの特性の勾配と
同一勾配とすることを意味するが、この条件について図
6及び図7を参照して説明する。図6は通常の助勢作動
時の状態(図4と同様の状態)を示し、図7は負圧ブー
スタ40の助勢限界後の状態(図5と同様の状態)を示
す。両図において、Aはマスタピストン12の断面積、
Bはピストン202の小径部221の断面積、Cはピス
トン201及び202の有効断面積の和、Dはピストン
202の大径部222の断面積、Gは負圧ブースタ40
のプランジャ45の断面積、Eは反力ゴムディスク33
の断面積を夫々表す。また、p1はマスタシリンダ10
の圧力室R2内の圧力、p2は第2の圧力伝達室R4内
の圧力、p3は第1の圧力伝達室R3内の圧力、p4は
反力ゴムディスク33の内圧を夫々表し、F1は負圧ブ
ースタ40の出力伝達部を構成する駆動部材43からピ
ストン203,201に直接伝達される力、F2は反力
伝達部を構成する反力ゴムディスク33を介してピスト
ン204,202に伝達される力、fはブレーキペダル
入力で負圧ブースタ40内のプランジャ45を介してプ
ランジャ27に伝達される力を夫々表す。
【0043】先ず負圧ブースタ40側における力関係
は、通常の助勢作動時の状態(図4)及び負圧ブースタ
40の助勢限界後の状態(図5)の何れの状態でも同じ
であり、従って図6及び図7においては以下の関係にあ
る。先ず、ピストン204及び202に対し、負圧ブー
スタ40によって反力ゴムディスク33及び第2の伝達
部材32を介してマスタシリンダ10に伝達される力
(F2)は次の式で表される。F2=p4・(E−G)
…(1)
【0044】また、ブレーキペダル入力とこれに対する
反力のバランスから、次式が成り立つ。f=p4・G
…(2)
【0045】上記(1)及び(2)式から、ブレーキペ
ダル入力(f)に応じて反力ゴムディスク33を介して
ピストン204,202に出力される力(F2)の関係
は次のようになる。F2/f=(E−G)/G …
(3)
【0046】上記(3)式を整理し、(E−G)/Gと
いう面積比をκで表すと、次式のように力F2が入力f
に比例する関係となる。即ち、F2=κ・f …(4)
【0047】次に、通常の助勢作動時における力関係
は、図6において弁体21が開位置にあり第2の圧力伝
達室R4と第1の圧力伝達室R3が連通しているので、
マスタピストン12に対する、圧力室R2内のブレーキ
液圧による力と第1の圧力伝達室R3内のブレーキ液圧
による力とのバランスから、p1・A=p3・Aが成り
立ち、両者は等しい。即ち、p1=p3 …(5)
【0048】また、ピストン204に対する第1の圧力
伝達室R3内のブレーキ液圧による力とピストン204
に対するブレーキペダル入力のバランスから、次式が成
り立つ。p3・D=F2+f …(6)
【0049】従って、上記(5)及び(6)式を整理
し、前述の(4)式を代入すると、次のようになる。即
ち、p1・D=(κ+1)・f …(7)
【0050】上記(7)式を整理すると、p1/f=
(κ+1)/Dとなるので、D=Aとなるように設計す
れば次式の関係となる。p1/f=(κ+1)/A …
(8)
【0051】一方、負圧ブースタ40の助勢限界後にお
ける力関係は、図7において弁体21が閉位置にあり第
2の圧力伝達室R4が密閉状態にあるので、マスタピス
トン12に対する、圧力室R2内のブレーキ液圧による
力と、第2の圧力伝達室R4内のブレーキ液圧及び第1
の圧力伝達室R3内のブレーキ液圧による力とのバラン
スから、次の式が成り立つ。即ち、p1・A=p2・B
+p3・(A−B)…(9)
【0052】また、ピストン204に対する、第2の圧
力伝達室R4内のブレーキ液圧及び第1の圧力伝達室R
3内のブレーキ液圧による力と、ブレーキペダル入力と
のバランスから次式が成り立つ。p2・B+p3・(D
−B)=F2+f …(10)
【0053】従って、上記(9)及び(10)式を整理
すると、次式のようになる。即ち、 p1・A=F2+f−p3・(D−A) …(11)
【0054】そしてD=Aとなるように設計すれば、上
記(11)式はp1・A=F2+fとなるので、前述の
(4)式を代入すると、p1・A=(κ+1)・fとな
り、次式の関係となる。p1/f=(κ+1)/A …
(12)
【0055】而して、(8)式と(12)式は同一とな
り、ブレーキペダル入力(f)に対するマスタシリンダ
液圧(圧力室R2内の液圧p1)の比、即ちp1/fの
勾配(増圧勾配)は通常の助勢作動時(図4)及び負圧
ブースタ40の助勢限界後の助勢作動時(図5)の何れ
の状態でも同一となる。つまり、負圧ブースタ40の助
勢限界の前後における増圧勾配は一定となる。尚、ピス
トン201の断面積(C)と負圧ブースタ40の駆動部
材43からピストン203,201に直接伝達される力
(F1)は、負圧ブースタ40の助勢限界後の助勢作動
条件を設定する際に必要となるが(即ち、p3(C−
D)=F1とする)、前述のようにブレーキペダル入力
に対するマスタシリンダ液圧の比(p1/f)を一定に
設定する際には、これらの値(C,F1)は用いられな
い。
【0056】そして、負圧ブースタ40が失陥した場合
には、第1の圧力伝達室R3内はポート1p、流路1r
及びポート1jを介してリザーバ4に連通し大気圧のま
まとなるので、ブレーキペダルの操作に応じて入力ロッ
ド3が前進すると、ピストン204はマスタピストン1
2に当接し一体となって前進する。即ち、図1乃至図3
の状態から、第2の伝達部材32が前進することなく、
ブレーキペダルの操作に応じて入力ロッド3のみが前進
すると、プランジャ27がピン28に当接してこれを押
圧することになる。これにより、弁体25は中空部20
fから離座し、第1の圧力伝達室R3及び第2の圧力伝
達室R4内はリザーバ4に連通し液室R5と同様大気圧
となる。
【0057】而して、補助ピストン20とマスタピスト
ン12が当接した状態で一体となって前進するが、この
場合に出力されるブレーキ液圧は、補助ピストン20の
大径のピストン202の有効断面積ではなく、マスタピ
ストン12の有効断面積によって決まるので、図8の下
方に破線で示す入出力特性となり、負圧ブースタ40の
失陥時にも従前の特性に比べて増圧勾配が増大される。
【0058】以上のように、上記の構成になる本実施形
態の液圧ブレーキ装置においては、簡単な構成で、図8
の上方に破線で示すように、負圧ブースタ40の助勢限
界後にも、それまでの増圧勾配を維持することができ、
円滑に制動力を増大させることができるので、適切な制
動力を付与することができる。尚、図8に2点鎖線で示
した細線は、例えば補助ピストン20が一体的に形成さ
れた場合の特性であり、これと比較すれば明らかなよう
に、本実施形態では増圧勾配が一定となる。
【0059】しかも、負圧ブースタ40の失陥時には図
8の下方に破線で示す入出力特性を得ることができる。
即ち、万一負圧ブースタ40が失陥したときには、従来
の失陥時より大きな制動力が出力されるので、失陥時に
おいても適切な制動力を付与することができる。更に、
伝達ピン34は反力ゴムディスク33を貫通して前方に
延出し、その先端で第1の伝達部材31の後端面に当接
するように配設されているので、良好な応答性を以って
円滑に失陥時のブレーキ作動に移行することができる。
また、本実施形態においては補助ピストン20を構成す
るピストン内に第1及び第2の弁手段が構成されている
ので、容易に製造、組付けを行なうことができる。尚、
上記の実施形態においては、何れも助勢手段として負圧
ブースタ40を用いて説明したが、液圧ブースタ、レギ
ュレータ等の液圧助勢手段を用いることとしてもよい。
【0060】
【発明の効果】本発明は上述のように構成されているの
で以下の効果を奏する。即ち、請求項1に記載の発明に
よれば、助勢手段が、ブレーキペダルに対しマスタシリ
ンダからの反力を伝達する反力伝達部、及びブレーキペ
ダルの操作に応じた助勢力を反力伝達部を介することな
くマスタシリンダに伝達する出力伝達部を有し、マスタ
ピストンの径より大径の大径部を有する第1のピスト
ン、及び第1のピストンに連結しマスタピストンの有効
断面積より小の有効断面積の小径部及びマスタピストン
の有効断面積と略同等の有効断面積の同径部を有する第
2のピストンを備えた補助ピストンであって、マスタピ
ストンの後方に配置し、第1のピストンを出力伝達部に
連結すると共に、第2のピストンを反力伝達部に連結
し、大径部とマスタピストンとの間に第1の圧力伝達室
を形成すると共に、小径部とマスタピストンとの間に第
2の圧力伝達室を形成する補助ピストンを備え、助勢手
段により補助ピストンを介してマスタピストンを助勢す
るときには、第1の弁手段によって第1の圧力伝達室を
密閉すると共に、第2の弁手段によって第2の圧力伝達
室を第1の圧力伝達室に連通して増圧し、第1の圧力伝
達室内の圧力が所定圧に到達後は第2の圧力伝達室を密
閉し、助勢手段による助勢を行なわないときには、第1
の弁手段によって第1の圧力伝達室をリザーバに連通
し、且つ第2の弁手段によって第2の圧力伝達室を第1
の圧力伝達室に連通するように構成されているので、既
存の液圧ブレーキ装置に対して実質的にマスタシリンダ
の構成を変更するだけで、助勢手段の助勢限界後も、そ
れまでの増圧勾配を維持することができ、円滑に制動力
を増大させることができる。
【0061】前記第1及び第2の弁手段は、請求項2又
は3に記載のように構成すれば、機械的な構成のみとす
ることができるので、簡単な構造で確実に、助勢手段の
助勢限界後、及び助勢手段失陥時の適切な入出力特性を
確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る液圧ブレーキ装置に
おけるマスタシリンダ部の断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る液圧ブレーキ装置に
おける負圧ブースタ部の断面図である。
【図3】本発明の一実施形態においてブレーキ操作が行
なわれていない状態の第2及び補助ピストン部分を示す
断面図である。
【図4】本発明の一実施形態において負圧ブースタによ
る助勢が行なわれているときの第2及び補助ピストン部
分を示す断面図である。
【図5】本発明の一実施形態において負圧ブースタによ
る助勢限界に達した後の第2及び補助ピストン部分を示
す断面図である。
【図6】通常の助勢作動時における力関係を説明するた
めの本発明の一実施形態の模式図である。
【図7】負圧ブースタの助勢限界後の助勢作動時におけ
る力関係を説明するための本発明の一実施形態の模式図
である。
【図8】本発明の一実施形態における入出力特性を示す
グラフである。
【符号の説明】
10 マスタシリンダ, 40 負圧ブースタ, 3
入力ロッド,4 リザーバ, 11,12 マスタピス
トン,17,18 環状部材, 20 補助ピストン,
21 弁体,23 プランジャ, 25 弁体, 2
7 プランジャ, 28 ピン,S1〜S6シール部
材, R1,R2 圧力室,R3 第1の圧力伝達室,
R4 第2の圧力伝達室, R5 液室,1a〜1d
シリンダ, 1r 流路

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブレーキペダルの操作に応じてマスタピ
    ストンを前進駆動しリザーバのブレーキ液を圧力室で加
    圧して出力するマスタシリンダと、前記ブレーキペダル
    の操作に応じて前記マスタピストンを助勢する助勢手段
    を備えた車両の液圧ブレーキ装置において、前記助勢手
    段が、前記ブレーキペダルに対し前記マスタシリンダか
    らの反力を伝達する反力伝達部、及び前記ブレーキペダ
    ルの操作に応じた助勢力を前記反力伝達部を介すること
    なく前記マスタシリンダに伝達する出力伝達部を有し、
    前記マスタピストンの径より大径の大径部を有する第1
    のピストン、及び該第1のピストンに連結し前記マスタ
    ピストンの有効断面積より小の有効断面積の小径部及び
    前記マスタピストンの有効断面積と略同等の有効断面積
    の同径部を有する第2のピストンを備えた補助ピストン
    であって、前記マスタピストンの後方に配置し、前記第
    1のピストンを前記出力伝達部に連結すると共に、前記
    第2のピストンを前記反力伝達部に連結し、前記大径部
    と前記マスタピストンとの間に第1の圧力伝達室を形成
    すると共に、前記小径部と前記マスタピストンとの間に
    第2の圧力伝達室を形成する補助ピストンと、該補助ピ
    ストンを介して前記助勢手段によって前記マスタピスト
    ンを助勢するときには前記第1の圧力伝達室を密閉し、
    前記助勢手段による助勢を行なわないときには前記第1
    の圧力伝達室を前記リザーバに連通する第1の弁手段
    と、前記補助ピストンを介して前記助勢手段によって前
    記マスタピストンを助勢するときには前記第2の圧力伝
    達室を前記第1の圧力伝達室に連通して増圧し、前記第
    1の圧力伝達室内の圧力が所定圧に到達後は前記第2の
    圧力伝達室を密閉し、前記助勢手段による助勢を行なわ
    ないときには前記第2の圧力伝達室を前記第1の圧力伝
    達室に連通する第2の弁手段とを備えたことを特徴とす
    る車両の液圧ブレーキ装置。
  2. 【請求項2】 前記第1の圧力伝達室を前記リザーバに
    連通する第1の流路を前記補助ピストンに形成し、前記
    第1の弁手段が、前記第1の流路に配置する第1の弁座
    と、該第1の弁座に対して着座又は離座するように配置
    し前記第1の流路を開閉する第1の弁部材と、該第1の
    弁部材を前記第1の弁座方向に付勢する第1の付勢手段
    と、前記助勢手段による助勢を行なわないときに前記ブ
    レーキペダルの操作に応じて前記第1の弁部材を駆動す
    るブレーキ入力伝達部材とを備えたことを特徴とする請
    求項1記載の車両の液圧ブレーキ装置。
  3. 【請求項3】 前記第2の圧力伝達室を前記第1の圧力
    伝達室に連通する第2の流路を前記補助ピストンに形成
    し、前記第2の弁手段が、前記第2の流路に配置する第
    2の弁座と、該第2の弁座に対して着座又は離座するよ
    うに配置し前記第2の流路を開閉する第2の弁部材と、
    該第2の弁部材を前記第2の弁座方向に付勢する第2の
    付勢手段と、前記第1の圧力伝達室内の圧力に応じて前
    記第2の弁部材を前記第2の弁座から離隔する方向に押
    圧する圧力応動部材と、該圧力応動部材に対して前記第
    2の弁部材方向に前記第2の付勢手段より大の付勢力で
    付勢する第3の付勢手段とを備えたことを特徴とする請
    求項2記載の車両の液圧ブレーキ装置。
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