JPH11204853A - 圧電磁器トランス - Google Patents

圧電磁器トランス

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JPH11204853A
JPH11204853A JP10008276A JP827698A JPH11204853A JP H11204853 A JPH11204853 A JP H11204853A JP 10008276 A JP10008276 A JP 10008276A JP 827698 A JP827698 A JP 827698A JP H11204853 A JPH11204853 A JP H11204853A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】トランスの上下面を支持した場合においても、
トランスで発生した振動の損失を低減させ、また大電流
を取り扱う場合でもトランスの面積が小さくて済む。 【解決手段】電極層10〜50と板の厚み方向と垂直な
方向に一様に分極された圧電磁器板層101〜105が
交互に複数積層された積層体100を有し、電極層10
〜50の各々は、圧電磁器板層101〜105の厚み方
向に位置する両面に対向して配置されて励振させる一対
の入力電極と、同じく圧電磁器板層の厚み方向に位置す
る両面に対向し且つ一対の入力電極に並べて配置されて
圧電磁器板層の励振で誘起された交流電圧を取り出す一
対の出力電極を備える。積層体100の圧電磁器板層1
01〜104は任意の偶数、例えば4層に積層し、一層
毎に圧電磁器板層に発生する厚みすべり振動の変位が逆
向きとなるように積層することで、交流電圧の印加によ
る厚みすべり振動の励振時に、積層体100の厚み方向
の対向する面に変位を生じさせない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高周波帯で動作可
能な圧電磁器トランス、特に小型化、薄型化が要求され
るオンボード用スイッチング電源の圧電磁器トランスに
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器の小型化が求められ、こ
れに伴い、電源装置の小型化が求められている。電源装
置を小型化するためには、例えば、スイッチング電源装
置の場合には、スイッチング周波数の高周波化が図られ
る。スイッチング電源装置では、スイッチング周波数を
高周波化することで、スイッチング電源装置を構成して
いるトランス、コイル、コンデンサ等を小型化すること
が可能となり、従って、電源装置全体を小型化すること
が可能となる。
【0003】従来よりスイッチング電源装置には、電磁
トランスが用いられている。ところが、スイッチング周
波数を高くすると、電磁トランスに用いられている磁性
材料のヒステリシス損失、渦電流損失、巻線の表皮効果
による損失等が急激に増加し、トランスの効率が非常に
低下してしまう。このため、電磁トランスを用いたスイ
ッチング電源装置の実用的なスイッチング周波数帯域の
上限は、500KHz程度である。
【0004】これに対し、近年、高周波帯でのスイッチ
ング動作を可能とする圧電磁器トランスが注目されてい
る。圧電磁器トランスは共振状態で使用され、一般の電
磁トランスに比較して、(1)500KHz以上の高周
波数帯域でトランスの効率が高いこと、(2)不燃化が
図れること、(3)電磁誘導によるノイズが発生しない
こと等の長所を持っている。
【0005】このような圧電磁器トランスとして本願発
明者にあっては、例えば図6に示す厚みすべり振動型の
圧電磁器トランスを提案してしている(特願平9−31
9330号)。図6において、圧電磁器板1は図中矢印
17で示されるように、板厚方向と垂直に分極されてい
る。圧電磁器板1の上面には、6個の電極11〜16が
並べて設置されている。また、圧電磁器板1の下面に
は、上面の入力電極と対向する位置に6個の電極21〜
26が並べて設置されている。
【0006】図7は、図6に示した厚みすべり振動型の
圧電磁器トランスにリード端子を取り付けた例である。
ここでは、3つの入力電極対と3つの出力電極対をそれ
ぞれ並列に接続し、入出力インピーダンスを1対1とし
た場合を例にとっている。電極11,13及び15は入
力端子301に接続されており、電極21,23及び2
5はもう一方の入力端子302に接続されている。ま
た、電極12,14及び16は出力端子303に接続さ
れており、電極22,24及び26はもう一方の出力端
子304に接続されている。
【0007】この厚みすべり振動型の圧電磁器トランス
の動作原理を図8に示す。図8の入力端子301,30
2の間に圧電磁器板1の厚みすべり振動モードの共振周
波数近傍の周波数の交流電圧を印加すると、図6の圧電
磁器板1の領域A1,A3,A5には電気機械結合係数
15をもって厚みすべり振動(15)モードにより変位
が圧電磁器板1に生じて厚みすべり振動が励振され、こ
の振動によりトランス全体が励振させられる。
【0008】この時、図6の圧電磁器板1の出力部とな
る領域A2,A4,A6では電気機械結合係数k15をも
って厚みすべり振動(15)モードにより交流電圧が発
生し、この結果、図7の出力端子303,304の間か
ら交流電圧を取り出すことができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図6,7の
ような厚みすべり振動型の圧電磁器トランスは、図8
(A)のA点の交流電圧−Vが印加された時点で、厚み
すべり振動(15)モードの応力F1,F2が発生し、
図8(B)のように圧電磁器板の上下面の位置にずれが
生じるような変位が生じる。B点の交流電圧0Vの時点
では、図8(C)のように応力がなくなり、上下面の変
位もなくなる。C点の交流電圧+Vが印加された時点で
は、応力F3,F4が発生し、図8(D)のように、図
8(A)とは逆の方向に圧電磁器板の上下面が変位す
る。
【0010】このため、厚みすべり振動圧型の電磁器ト
ランスを機器に実装する場合、上下面を挟むように支持
すると、厚みすべり振動で発生した変位を阻害すること
になり、振動を著しく減衰させ、このため、圧電磁器ト
ランスの電力変換効率が著しく低下してしまうといった
問題点がある。また、厚みすべり振動圧電磁器トランス
では、大電流を取り扱う場合にはインピーダンスを小さ
くする必要があり、このためには、入出力の電極の面積
を大きくする必要があり、従って、厚みすべり振動圧電
磁器トランスの面積が大きくなって大型化する問題があ
る。
【0011】本発明の目的は、トランスの上下面を支持
した場合においてもトランスで発生した振動の損失を低
減させ、また大電流を取り扱う場合でもトランスの面積
が小さく済む厚みすべり振動型の圧電磁器トランスを提
供する。
【0012】
【問題点を解決しようとする手段】この目的を達成する
ため、本発明に係る積層厚みすべり振動型の圧電磁器ト
ランスは、電極層と板の厚み方向に垂直な方向に一様に
分極された圧電磁器板層とが交互に複数積層された積層
体を有し、電極層の各々は、圧電磁器板層の厚み方向に
位置する両面に対向して配置され、厚みすべり振動モー
ドの共振周波数近傍の交流電圧を印加することで圧電磁
器板層を励振させる入力電極対と、圧電磁器板の厚み方
向に位置する両面に対向し且つ一対の入力電極に並べて
配置され、入力電極対による圧電磁器板層の励振で誘起
された交流電圧を取り出す出力電極対を備えたことを特
徴とする。
【0013】ここで積層体の電磁器板層を任意の偶数で
あるn層に積層し、一層毎に圧電磁器板層に発生する厚
みすべり振動の変位が逆向きとなるように積層すること
で、交流電圧の印加により厚みすべり振動で励振されて
いる場合に、積層体の厚み方向の対向する外面(支持
面)に変位を生じさせない積層構造とする。また積層体
の圧電磁器板を任意の偶数であるn層に積層し、(n/
2)層の圧電磁器板層で発生した厚みすべり振動の変位
に対し、逆向きに厚みすべり振動の変位を生じさせるよ
うに残り(n/2)層の圧電磁器板層を積層すること
で、交流電圧の印加により厚みすべり振動が励振されて
いる場合に、積層体の厚み方向の対向する外面(支持
面)に変位を生じさせない積層構造としてもよい。
【0014】更に、積層体の電極構造の具体例として
は、n層の圧電磁器板層に対し入力電極と出力電極を備
えた(n+1)層の電極層を交互に配置し、(n+1)
層の電極層の入力電極につき1層置きに共通接続して一
対の入力端子に接続することにより入力電極対を構成
し、また(n+1)層の電極層の出力電極につき1層置
きに共通接続して一対の出力端子に接続することにより
出力電極対を構成する。
【0015】このような本発明の積層厚みすべり振動型
の圧電磁器トランによれば、トランスを機器に実装する
場合において、上下面を挟むように支持を行っても、厚
みすべり振動で発生した変位を阻害することがなくな
り、従って、振動を著しく減衰させることがない。つま
り、トランスを機器に実装する場合において従来の積層
厚みすべり振動圧電磁器トランスよりも電力伝送効率を
大きくすることが可能となる。
【0016】また、積層体とすることで、トランスのサ
イズに対して電極のサイズを大きくすることなく十分な
電極面積を確保してインピーダンスを小さくし、大電流
を取り扱うことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】図1は本発明による積層厚みすべ
り振動型の圧電磁器トランスの一実施形態を示した斜視
図である。図1において、本発明の圧電磁器トランス
は、電極層10,20,30,40,50と圧電磁器板
層101,102,103,104を交互に積層した積
層体100で構成される。ここで積層体100を構成す
る圧電磁器板層の層数をnとすると、層数nは任意の偶
数であり、図1の実施形態にあってはn=4層とした場
合を例にとっている。
【0018】また任意の偶数となるn層の圧電磁器板層
に対して設けられる電極層は(n+1)層となり、図1
の実施形態にあっては、電極層はn+1=5層となって
いる。圧電磁器板層101〜104は、この実施形態に
あっては、右側面の矢印で示すように板厚方向と垂直と
なる分極方向201,202,203,204に分極さ
れ、且つ同じ分極方向201,202,203,204
を向くように積層されている。
【0019】電極層10〜50は、例えば圧電磁器板層
101の上面の電極層10のように、6個の電極11,
12,13,14,15,16に分けて配置されてい
る。電極層10に対向する圧電磁器板層101の下面の
電極層20も、上面の6個の電極11〜16に対向して
6個の電極21〜26が並べて配置されている。この電
極21〜26は次の圧電磁器板層102の上面の6個の
電極と一体化している。
【0020】同様にして圧電磁器板層102,103の
間の電極層30についても、6個の電極31,32,3
3,34,35,36が並べて配置され、次の圧電磁器
板層103,104の間の電極層40も6個の電極4
1,42,43,44,45,46が並べて配置され、
更に積層体100の下面となる圧電磁器板層104の下
側にも6個の電極51,52,53,54,55,56
が並べて配置されている。
【0021】ここで電極層10〜50に配置した電極の
数を6個とした場合を例にとっているが、電極層に設け
る電極の数は必要に応じて適宜の数とすることができ
る。図2は、図1の圧電磁器トランスの積層体100に
対し入出力用のリード端子を取り付けた説明図である。
まず一方の入力端子301に対しては、積層体100の
上面に位置する電極層10の3つの電極11,13,1
5を並列接続している。この電極層10の電極11,1
3,15は、1つ間を置いた電極層30の中の対向位置
となる電極31,33,35のそれぞれに接続され、更
にもう1つ置いた下面に位置する電極層50の対向する
位置の電極51,53,55に接続している。また入力
端子302は下から2番目の電極層40の中の電極4
1,43,45に並列接続され、更に電極層40から1
つ間を置いた上の電極層20の3つの電極21,23,
25にそれぞれ接続している。
【0022】出力端子303は、上面の電極層10の電
極12,14,16に並列接続し、次に3番目の電極層
30の電極32,34,36に接続し、更に一番下の電
極層50の電極52,54,56に接続している。出力
端子304は、下から2番目に位置する電極層40の3
つの電極42,44,46に並列接続され、更に電極層
40から1つ間をおいた上の電極層20の電極22,2
4,26にそれぞれ接続している。
【0023】この図2に示すような入力端子301,3
02及び出力端子303,304に対する各電極層10
〜50の電極の接続により、図1の領域A1,A3,A
5に位置する電極を電気的に並列に接続して入力部と
し、また領域A2,A4,A6に位置する電極を電気的
に並列に接続して出力部とし、この場合の入力部と出力
部の電極面積は同じであり、入力と出力のインピーダン
スを1対1として用いることになる。
【0024】勿論、入力部と出力部の接続は図2の実施
例に限定されず、例えば入力部の電極を電気的に直列に
接続し、出力部の電極を並列に接続することで、入力部
を高インピーダンスに、出力部を低インピーダンスにす
ることもできる。逆に入力部の電極を電気的に並列に接
続し、出力部の電極を電気的に直列に接続することで、
入力部を低インピーダンスに、出力部を高インピーダン
スにすることもできる。
【0025】また図2の実施形態にあっては、電極層1
0〜50において入力部と出力部の電極を交互に配置し
ているが、配置を入れ替えてもよいし1か所にまとめて
グループ化してもよい。図1の実施形態における圧電磁
器板層101〜104のそれぞれは、材料にチタン酸ジ
ルコン亜鉛(PbTiO3 −PbZrO3 )系圧電磁器
材料を用いて製造している。もちろん圧電磁器材料とし
てはチタン酸ジルコン酸鉛系圧電磁器材料に限定する必
要はなく、厚みすべり振動の電気機械結合係数k15の値
が大きなものであれば他の材料を用いても構わない。
【0026】圧電磁器板層101〜104の製造は、ま
ず圧電磁器材料粉末にバインダを混合してプレス成形す
る。プレス成形された圧電磁器材料粉末を600℃で1
時間(昇温速度100℃/1時間)で脱バインダ処理を
行った後、1200℃で2時間焼成する。焼成された圧
電磁器板層101〜104を切断及び研磨することで、
圧電磁器板層101〜104とする。ここでは圧電磁器
板層101〜104は圧電磁器材料粉末をプレス成形、
焼成することで作成しているが、これ以外にドクタブレ
ード法を用いてグリーンシートを形成し焼成を行う方法
で作成しても構わない。
【0027】次に圧電磁器板層101〜104の対向す
る側面にAgペーストを塗布して焼成を行い、Ag電極
を焼き付ける。Ag電極を焼き付けた圧電磁器板層10
1〜104を120℃の絶縁油中において2.8KV/
mmの電圧をAg電極に加え、圧電磁器板層101〜1
04の厚み方向に直交する幅方向、即ち分極方向201
〜204となるように一様に分極する分極処理を施す。
【0028】分極処理が済んだならば、長さ方向の側面
に焼き付けたAg電極を研磨して除去する。ここではA
gペーストを用いて圧電磁器板層101〜104の対向
する側面に電極を形成したが、Agペーストに限定され
ることなく、導電性材料であれば電極形成には何を用い
ても構わない。続いて、スパッタ法を用いてAu薄膜で
圧電磁器板層101〜104の上面及び下面に6個の電
極を形成する。もちろん電極としてはAu薄膜に限定さ
れることなく、導電性材料であれば電極形成には何を用
いても構わない。
【0029】このようにして圧電磁器板層101〜10
4が形成できたならば、図1のように分極方向201〜
204を同一方向に揃えて積層し、間に位置する電極層
20,30,40については表面に半田ペーストや導電
性接着剤を塗布して積層した後に加熱することで溶着し
て、電気的且つ機械的に接続された電極層20,30,
40を形成する。最後に図2のように電極層10〜50
の電極11〜56を、入力端子301,302及び出力
端子303,304に接続する。
【0030】このようにして作成された図2の圧電磁器
トランスの入力端子301,302の間に、図3(B)
の入力電圧のように圧電磁器板層101〜104の厚み
すべり振動モードの共振周波数付近の周波数の交流電圧
を印加すると、図1の領域A1,A3,A5に対応した
圧電磁器板層101〜104には電気機械結合係数k 15
をもって厚みすべり振動が励振される。
【0031】図3(C)(D)(E)は、図3(B)の
入力電圧を印加した時の本発明の圧電磁器トランスを、
図3(A)のように側面から観察した様子を表わしてい
る。まず図3(A)の圧電磁器トランスにおいて、圧電
磁器板層101,103には図2のリード端子との接続
から明らかなように同じ極性の電圧が印加される。また
圧電磁器板層102,104には、圧電磁器板層10
1,103とは逆の電圧が印加される。ここで圧電磁器
板層101〜104は分極方向201〜204が全て同
じ向きであるため、1層ごとに相互に逆向きとなる厚み
すべり振動の変位を生ずることになる。
【0032】即ち図3(B)のA点の入力電圧−Vが加
わった場合には、図3(C)のように圧電磁器板層10
1,103は右に倒れる厚みすべり振動の変位を生じ、
これに対し圧電磁器板層102,104は逆に左に倒れ
る厚みすべり振動の変位を生ずる。ここで積層体100
の上面と下面を機器に対する実装で固定していたとする
と、圧電磁器板層101と102、また圧電磁器板層1
03と104のそれぞれにおいて上下面の横方向の変位
が打ち消される。このため、上下面を支持していてもト
ランスで発生した振動に損失は生じない。
【0033】図3(B)のB点の入力電圧0ボルトの場
合には、図3(D)のように圧電磁器板層101〜10
4は変位のない初期状態に戻る。次に図3(B)のC点
のように入力電圧+Vが印加されると、図3(E)のよ
うに圧電磁器板層101,103は左に倒れる厚みすべ
り振動の変位を生じ、これに対し圧電磁器板層102,
104は逆に右に倒れる厚みすべり振動の変位を生ず
る。
【0034】このため、圧電磁器板層101と102の
間及び圧電磁器板層103と104の間で上下面の変位
が打ち消されることになる。その結果、機器への実装に
よりトランスの上下面を固定していても、トランスで発
生した振動に損失を与えることがない。また本発明の圧
電磁器トランスにあっては、圧電磁器板層101〜10
4を積層した積層体100としたことで、積層数に応じ
て電極面積が大きくなっており、図6に示した単一層型
の圧電磁器トランスと比べ、同じトランスの実装面積で
あっても十分な電極面積を確保して入力インピーダンス
を小さくし、大電流を取り扱うことが容易にできる。
【0035】図4は本発明による圧電磁器トランスの他
の実施形態であり、図1の実施形態と同様、n=4層の
圧電磁器板層101〜104を用いた積層体100を例
にとっている。この実施形態の積層体100の圧電磁器
板層101〜104及びそれぞれの電極層10〜50、
更に電極層10〜50を構成するそれぞれ6個の電極に
対する入出力端子の接続は、図1及び図2と同じであ
る。
【0036】これに対し図4の実施形態にあっては、圧
電磁器板層101〜104の板厚方向と垂直に分極され
ている分極方向201,202,203,204が異な
っている。この実施形態において、上側2枚の圧電磁器
板層101,102の分極方向201,202は互いに
逆向きになるように積層され、また下側2層の圧電磁器
板層103,104も分極方向203,204のように
逆向きになるように積層されている。
【0037】即ち、上側2層の圧電磁器板層101,1
02の分極方向201,202の組合せと、下側2層の
圧電磁器板層103,104の分極方向203,204
の組合せとが、上下方向で対称となるように積層されて
いる。これを任意の偶数であるn層について一般形で表
すと、(n/2)層の圧電磁器板層で発生した厚みすべ
り振動の変位に対し、逆向きの厚みすべり振動の変位を
生じさせるように残り(n/2)層の圧電磁器板層を積
層しているということができる。
【0038】図5は、図4の実施形態について、図2の
ようにリード端子を接続した入力端子301,302の
間に厚みすべり振動モードの共振周波数近傍の周波数の
交流電圧を印加した場合の動作を示す。まず図5(B)
のような交流電圧が印加されると、図4の圧電磁器トラ
ンスは電気機械結合係数k15をもって厚みすべり振動が
励振される。
【0039】即ち、図2の入力端子301,302に対
する電極層10〜50の各電極の接続により、図4にお
ける圧電磁器板層101,103には同じ極性の電圧が
印加される。また圧電磁器板層102,104には圧電
磁器板層101,103に加えられた電圧とは逆の極性
の電圧が印加される。ここで圧電磁器板層101,10
2の分極方向201,202は互いに逆であるため、同
じ方向の変位が生ずる。
【0040】また圧電磁器板層103,104も分極方
向203,204が互いに逆であるため、同じ方向に変
位が生ずる。更に圧電磁器板層101,102の組合せ
と圧電磁器板層103,104の組合せは、分極方向2
01,202と分極方向203,204が対称となるよ
うに積層されているため、それぞれの組合せで生ずる変
位は逆になる。
【0041】具体的には、図5(A)の積層体100の
分極方向201〜204を示した端面について、図5
(B)のA点,B点,C点の電圧−V,0,+Vを印加
した時の図5(C)(D)(E)のような変位を生ず
る。即ち図5(B)のA点の入力電圧−Vを印加した際
には、図5(C)のように上半分の圧電磁器板層10
1,102は右に倒れる厚みすべり振動の変位を生じ、
これに対し下半分の圧電磁器板層103,104は逆に
左に倒れる厚みすべり振動の変位を生じ、トランス全体
としては上下面の変位が打ち消されることになる。
【0042】図5(B)のB点で入力電圧が0ボルトに
なると、図5(C)のように変位のない初期位置に戻
り、更に図5(B)のC点の+Vボルトが印加される
と、図5(E)のように変位する。即ち、上半分の圧電
磁器板層101,102は左に倒れる厚みすべり振動の
変位を生じ、これに対し下半分の圧電磁器板層103,
104は右に倒れる厚みすべり振動の変位を生じ、これ
によってトランス全体では上下面の変位が打ち消される
ことになる。
【0043】したがって図4の実施形態にあっても、積
層体100の上下面を機器への実装で支持固定していた
場合にあっても、交流電圧の印加による厚みすべり振動
による上下面の変位は打ち消され、このためトランスで
発生した振動に損失を生じさせないようにできる。更
に、積層を行っていることで、単層構造を持つ図6のト
ランスに比べ、同じトランス実装面積で電極面積を大き
くでき、例えば入力インピーダンスを小さくして大電流
を取り扱うことができる。
【0044】尚、図4の実施形態についても、圧電磁器
板層の数は4層に限定されず、それ以外の適宜の偶数と
できる。また電極層に設けている電極の数も必要に応じ
て適宜に定めることができる。
【0045】
【発明の効果】以上説明してきたように本発明の圧電磁
器トランスによれば、トランスを機器に実装する場合に
おいて、トランス上下面を挟むように支持固定を行って
も、厚みすべり振動で発生した変位を阻害することがな
く、機器実装によってトランス振動を著しく減衰させる
問題を解消でき、トランスの電力電送効率を大きくする
ことができる。
【0046】また積層構造をとったことで、トランスの
実装面積に対し圧電磁器板層に対し設ける電極面積を大
きくしてトランスのインピーダンスを小さくすることが
でき、同じ実装サイズを持った積層構造を持たない圧電
磁器トランスに比べ、少ない実装面積で十分小さなイン
ピーダンスを実現し、大電流を取扱うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による圧電磁器トランスの実施形態の斜
視図
【図2】図1の圧電磁器トランスにおける入出力のリー
ド端子接続の説明図
【図3】図1の圧電磁器トランスの動作説明図
【図4】本発明による圧電磁器トランスの他の実施形態
の斜視図
【図5】図4の圧電磁器トランスの動作説明図
【図6】本願発明者が提案している圧電磁器トランスの
斜視図
【図7】図6の圧電磁器トランスにおける入出力のリー
ド端子接続の説明図
【図8】図6の圧電磁器トランスの動作説明図
【符号の説明】
10,20,30,40,50:電極層 11〜16,21〜26,31〜36,41〜46,5
1〜56:電極 100:積層体 101〜104:圧電磁器板層 201〜204:分極方向 301,302:入力端子 303,304:出力端子

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電極層と板の厚み方向に垂直な方向に一様
    に分極された圧電磁器板層とが交互に複数積層された積
    層体を有し、 前記電極層の各々は、 前記圧電磁器板層の厚み方向に位置する両面に対向して
    配置され、厚みすべり振動モードの共振周波数近傍の交
    流電圧を印加することで前記圧電磁器板層を励振させる
    入力電極対と、 前記圧電磁器板層の厚み方向に位置する両面に対向し且
    つ前記入力電極対に並べて配置され、前記入力電極対に
    よる前記圧電磁器板層の励振で誘起された交流電圧を取
    り出す出力電極対と、を備えたことを特徴とする圧電磁
    器トランス。
  2. 【請求項2】請求項1記載の圧電磁器トランスに於い
    て、前記積層体は、前記圧電磁器板層を任意の偶数であ
    るn層に積層し、一層毎に前記圧電磁器板層に発生する
    厚みすべり振動の変位が逆向きとなるように積層するこ
    とで、前記交流電圧の印加により厚みすべり振動で励振
    されている場合に、前記積層体の厚み方向の対向する外
    面に変位を生じさせない積層構造としたことを特徴とす
    る圧電磁器トランス。
  3. 【請求項3】請求項1記載の圧電磁器トランスに於い
    て、前記圧電磁器板を任意の偶数であるn層に積層し、
    (n/2)層の圧電磁器板層で発生した厚みすべり振動
    の変位に対し、逆向きに厚みすべり振動の変位を生じさ
    せるように残り(n/2)層の圧電磁器板層を積層する
    ことで、前記交流電圧の印加により厚みすべり振動が励
    振されている場合に、前記積層体の厚み方向の対向する
    外面に変位を生じさせない積層構造としたことを特徴と
    する圧電磁器トランス。
  4. 【請求項4】請求項2又は3記載の圧電磁器トランスに
    於いて、前記n層の圧電磁器板層に対し入力電極と出力
    電極を備えた(n+1)層の電極層を交互に配置し、前
    記(n+1)層の電極層の入力電極につき1層置きに共
    通接続して一対の入力端子に接続することにより前記入
    力電極対を構成し、前記(n+1)層の電極層の出力電
    極につき1層置きに共通接続して一対の出力端子に接続
    することにより前記出力電極対を構成したことを特徴と
    する圧電磁器トランス。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109888086A (zh) * 2019-02-27 2019-06-14 北京信息科技大学 一种基于剪切振动的压电变压器及其制备方法

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