JP2757561B2 - 厚み縦振動圧電磁器トランスとその駆動方法 - Google Patents
厚み縦振動圧電磁器トランスとその駆動方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、高周波数帯で動作可能な圧電トランス、特
に小型化、低ノイズ化が要求されるオンボード用圧電ト
ランスに関する。
に小型化、低ノイズ化が要求されるオンボード用圧電ト
ランスに関する。
(従来の技術) 近年、電子装置の電源回路を小型にするために、スイ
ッチング電源のスイッチング周波数の高周波化が図られ
ている。従来より、このスイッチング電源には電磁トラ
ンスが用いられており、スイッチング電源の小型化には
周知のごとくスイッチング周波数の高周波化が望まし
い。しかしながら、スイッチング周波数を高くすると、
電磁トランスに用いられている磁性材料のヒステリシス
損失、渦電流損失や導線の表皮効果による損失が急激に
増大し、トランスの効率が非常に低くなる欠点があっ
た。このため、電磁トランスの実用的な周波数帯域の上
限はせいぜい500kHzであった。
ッチング電源のスイッチング周波数の高周波化が図られ
ている。従来より、このスイッチング電源には電磁トラ
ンスが用いられており、スイッチング電源の小型化には
周知のごとくスイッチング周波数の高周波化が望まし
い。しかしながら、スイッチング周波数を高くすると、
電磁トランスに用いられている磁性材料のヒステリシス
損失、渦電流損失や導線の表皮効果による損失が急激に
増大し、トランスの効率が非常に低くなる欠点があっ
た。このため、電磁トランスの実用的な周波数帯域の上
限はせいぜい500kHzであった。
これに対して、圧電トランスは、共振状態で使用さ
れ、一般の電磁トランスに比べて(1)同一周波数にお
いてエネルギー密度が高いため小型化が図れること、
(2)不燃化が図れること、(3)電磁誘導によるノイ
ズがでないこと、等数多くの長所を有している。
れ、一般の電磁トランスに比べて(1)同一周波数にお
いてエネルギー密度が高いため小型化が図れること、
(2)不燃化が図れること、(3)電磁誘導によるノイ
ズがでないこと、等数多くの長所を有している。
第5図に従来の代表的な圧電トランスであるローゼン
型圧電トランスの構造を示す。以下、図面に沿って説明
する。高電圧を取り出す場合、表面に電極が設けられた
圧電板において、51で示す部分は圧電トランスの比イン
ピーダンスの駆動部分であり、その上下面に電極53,54
が設けられており、この部分は図中56で示すように厚み
方向に分極されている。また、同様に52で示す部分は高
インピーダンスの発電部分であり、その端面に電極55が
設けられており、発電部分52は図中57で示すように圧電
板の長さ方向に分極されている。この圧電トランスの動
作は、駆動電極53,54に電圧が印加されると横効果31モ
ードで電気機械結合係数k31に依って縦振動が励振さ
れ、トランス全体が振動する。さらに発電部分52では、
電気機械結合系数k33に依って縦効果縦振動モード(33
モード)により、出力電極55から高電圧が取り出され
る。一方、高電圧を入力し、低電圧を出力させる場合に
は、縦効果の高インピーダンス部分52を入力側とし、横
効果の低インピーダンス部分51を出力側にすればよいこ
とは明らかである。他のタイプの圧電トランスも、いず
れもローゼン型と同じ平板の伸び振動や円板の半径方向
拡がり振動を利用したものであり、適用周波数は最高20
0kHz程度までである。
型圧電トランスの構造を示す。以下、図面に沿って説明
する。高電圧を取り出す場合、表面に電極が設けられた
圧電板において、51で示す部分は圧電トランスの比イン
ピーダンスの駆動部分であり、その上下面に電極53,54
が設けられており、この部分は図中56で示すように厚み
方向に分極されている。また、同様に52で示す部分は高
インピーダンスの発電部分であり、その端面に電極55が
設けられており、発電部分52は図中57で示すように圧電
板の長さ方向に分極されている。この圧電トランスの動
作は、駆動電極53,54に電圧が印加されると横効果31モ
ードで電気機械結合係数k31に依って縦振動が励振さ
れ、トランス全体が振動する。さらに発電部分52では、
電気機械結合系数k33に依って縦効果縦振動モード(33
モード)により、出力電極55から高電圧が取り出され
る。一方、高電圧を入力し、低電圧を出力させる場合に
は、縦効果の高インピーダンス部分52を入力側とし、横
効果の低インピーダンス部分51を出力側にすればよいこ
とは明らかである。他のタイプの圧電トランスも、いず
れもローゼン型と同じ平板の伸び振動や円板の半径方向
拡がり振動を利用したものであり、適用周波数は最高20
0kHz程度までである。
(発明が解決しようとする課題) 以上の従来例で示したように、圧電トランスの適用周
波数領域は、200kHz以下の低周波領域においてのみであ
った。また、ローゼン型の圧電トランスは、縦効果の電
気機械結合係数に比べて著しく小さい横効果縦振動モー
ドの電気機械結合係数k31を用いざるを得ないため、帯
域幅が小さいという欠点があった。
波数領域は、200kHz以下の低周波領域においてのみであ
った。また、ローゼン型の圧電トランスは、縦効果の電
気機械結合係数に比べて著しく小さい横効果縦振動モー
ドの電気機械結合係数k31を用いざるを得ないため、帯
域幅が小さいという欠点があった。
(課題を解決をするための手段) 第1の発明は、電極層と圧電磁器層とが交互に積層さ
れた積層体であり、複数の圧電磁器層を有する低インピ
ーダンス部と複数の圧電磁器層を有する高インピーダン
ス部より構成される厚み縦振動圧電磁器トランスにおい
て、低インピーダンス部では各内部電極を2つの外部電
気端子に交互に接続し、高インピーダンス部では両端に
位置する電極層はそれぞれ2つの外部電気端子に接続
し、両端以外の電極層は1つおきに隣接する電極層同士
を接続する構造を特徴とする厚み縦振動圧電磁器トラン
スである。
れた積層体であり、複数の圧電磁器層を有する低インピ
ーダンス部と複数の圧電磁器層を有する高インピーダン
ス部より構成される厚み縦振動圧電磁器トランスにおい
て、低インピーダンス部では各内部電極を2つの外部電
気端子に交互に接続し、高インピーダンス部では両端に
位置する電極層はそれぞれ2つの外部電気端子に接続
し、両端以外の電極層は1つおきに隣接する電極層同士
を接続する構造を特徴とする厚み縦振動圧電磁器トラン
スである。
第2の発明は、前記の厚み縦振動圧電磁器トランスに
おいて高インピーダンス部と低インピーダンス部の間
に、厚さが高インピーダンス部および低インピーダンス
分を構成する各圧電磁器層1層の厚さの整数倍であり、
分極の方向と向きが高インピーダンス部および低インピ
ーダンス部と同じである絶縁層を配置したことを特徴と
する厚み縦振動圧電磁器トランスである。
おいて高インピーダンス部と低インピーダンス部の間
に、厚さが高インピーダンス部および低インピーダンス
分を構成する各圧電磁器層1層の厚さの整数倍であり、
分極の方向と向きが高インピーダンス部および低インピ
ーダンス部と同じである絶縁層を配置したことを特徴と
する厚み縦振動圧電磁器トランスである。
第3の発明は、前記第1,第2の発明の厚み縦振動圧電
磁器トランスにおいて、2分の1波長が高インピーダン
ス部および低インピーダンス分を構成する各電圧磁器層
1層の厚さと同じになる厚み縦振動高次モードの共振周
波数で駆動することを特徴とする厚み縦振動圧電磁器ト
ランスの駆動方法である。
磁器トランスにおいて、2分の1波長が高インピーダン
ス部および低インピーダンス分を構成する各電圧磁器層
1層の厚さと同じになる厚み縦振動高次モードの共振周
波数で駆動することを特徴とする厚み縦振動圧電磁器ト
ランスの駆動方法である。
(作用) 本発明は1MHz以上の高周波において低損失で十分な機
能を有する圧電トランスを提供するためになされたもの
である。一例として高インピーダンス部、低インピーダ
ンス部共に5層づつとした場合の圧電トランスの断面お
よび厚み縦振動10次モードで使用できる結線図と厚み縦
振動10次モードの応力分布をそれぞれ第1図に示す。第
1図に示すように、本発明の圧電磁器トランスは、同じ
厚さでそれぞれが厚み方向に分極された圧電セラミック
ス板を多数積み重ねた構造になっている。積み重ねる際
に、全ての層(111〜125)の分極方向が揃っているのが
本発明の特徴である。
能を有する圧電トランスを提供するためになされたもの
である。一例として高インピーダンス部、低インピーダ
ンス部共に5層づつとした場合の圧電トランスの断面お
よび厚み縦振動10次モードで使用できる結線図と厚み縦
振動10次モードの応力分布をそれぞれ第1図に示す。第
1図に示すように、本発明の圧電磁器トランスは、同じ
厚さでそれぞれが厚み方向に分極された圧電セラミック
ス板を多数積み重ねた構造になっている。積み重ねる際
に、全ての層(111〜125)の分極方向が揃っているのが
本発明の特徴である。
第1図から明らかなように、本圧電磁器トランスにお
いては各層の厚さが同じで全体の厚さの10分の1である
ため、厚み縦振動10次モードでは各層毎に応力分布の符
号が反転している。ここで全ての層の分極方向が等しい
ため振動によって励起される荷電の符号も各層毎に反転
する。したがって、第1図の上の部分(11)の各層の境
界から互い違いに電極を取り出して並列に接続すると比
較的低インピーダンスの電気端子対13,14を得ることが
できる。それに対し、第1図の下の部分12においては応
力が正である部分122と124のそれぞれ上下面を導体16で
短絡しているのが本発明の特徴である。そのため外部端
子14,15間に電圧を印加すると、第1図で応力が負の部
分121,123,125には電界が加わるが、応力が正の部分12
2,124には電界が加わらない。それにより厚み縦振動10
次モードを強勢に励振することが可能であり、端子14,1
5間は比較的高インピーダンスとなる。第1図において
は14−15間のインピーダンスは13−14間のインピーダン
スの約15倍になっている。そのため端子14,15を入力13,
14を出力とすれば降圧トランスとして、また逆に端子1
3,14を入力、14,15を出力とすれば昇圧トランスとして
使用できる。
いては各層の厚さが同じで全体の厚さの10分の1である
ため、厚み縦振動10次モードでは各層毎に応力分布の符
号が反転している。ここで全ての層の分極方向が等しい
ため振動によって励起される荷電の符号も各層毎に反転
する。したがって、第1図の上の部分(11)の各層の境
界から互い違いに電極を取り出して並列に接続すると比
較的低インピーダンスの電気端子対13,14を得ることが
できる。それに対し、第1図の下の部分12においては応
力が正である部分122と124のそれぞれ上下面を導体16で
短絡しているのが本発明の特徴である。そのため外部端
子14,15間に電圧を印加すると、第1図で応力が負の部
分121,123,125には電界が加わるが、応力が正の部分12
2,124には電界が加わらない。それにより厚み縦振動10
次モードを強勢に励振することが可能であり、端子14,1
5間は比較的高インピーダンスとなる。第1図において
は14−15間のインピーダンスは13−14間のインピーダン
スの約15倍になっている。そのため端子14,15を入力13,
14を出力とすれば降圧トランスとして、また逆に端子1
3,14を入力、14,15を出力とすれば昇圧トランスとして
使用できる。
本発明の様に厚み縦振動を利用する圧電デバイスにお
いては、圧電縦効果である厚み縦振動を励振する電気機
械結合係数ktのみが大きい材料が望ましく、k31等圧電
横効果の電気機械結合係数が大きい材料では長さや幅方
向の振動あるいは輪郭振動によるスプリアスが問題とな
る。そのためkt/k31が小さいPZT系圧電材料よりもkt/k
31が大きいPbTiO3系材料の方が有利である。しかしなが
らPiTiO3系の材料は結晶格子異方性c/aが大きく同一デ
バイスの中で分極の向きが異なる領域が存在するとそこ
に歪が生じ、機械的に弱くなる。また作製の途中で分極
の向きを反転させる工程や圧電トランスの一部分だけを
分極する工程が存在すると、分極の向きが変化する際に
生ずる歪で電極の剥離等により分極時に破壊あるいは機
械的品質係数Qmが低下する恐れがある。それに対し、本
発明の圧電磁器トランスによれば各層の分極方向がすべ
て同一であるので上下主面間に高電圧を印加すれば1度
の工程で分極が完了する。そのため圧電トランスに歪が
加わらず、機械的な破壊や機械的品質係数Qmの低下の恐
れがない。
いては、圧電縦効果である厚み縦振動を励振する電気機
械結合係数ktのみが大きい材料が望ましく、k31等圧電
横効果の電気機械結合係数が大きい材料では長さや幅方
向の振動あるいは輪郭振動によるスプリアスが問題とな
る。そのためkt/k31が小さいPZT系圧電材料よりもkt/k
31が大きいPbTiO3系材料の方が有利である。しかしなが
らPiTiO3系の材料は結晶格子異方性c/aが大きく同一デ
バイスの中で分極の向きが異なる領域が存在するとそこ
に歪が生じ、機械的に弱くなる。また作製の途中で分極
の向きを反転させる工程や圧電トランスの一部分だけを
分極する工程が存在すると、分極の向きが変化する際に
生ずる歪で電極の剥離等により分極時に破壊あるいは機
械的品質係数Qmが低下する恐れがある。それに対し、本
発明の圧電磁器トランスによれば各層の分極方向がすべ
て同一であるので上下主面間に高電圧を印加すれば1度
の工程で分極が完了する。そのため圧電トランスに歪が
加わらず、機械的な破壊や機械的品質係数Qmの低下の恐
れがない。
本発明の圧電磁器トランスによれば、厚み縦振動の高
次モードを用るため、10MHz程度の高周波帯で使用する
圧電トランスが実現できる。厚み縦振動で動作する圧電
トランスの出力P(W)は、簡単なエネルギー的考察に
より、近似的に P=A・fr・εs 33・V・kt2 となる。ここに、Aは比例定数、εs 33は拘束誘電率、
Vは圧電トランスの体積、ktは厚み縦振動の電気機械結
合係数である。したがって圧電トランスは、圧電セラミ
ック材料の電気機械結合係数ktが大きいほど、共振周波
数frが高いほど、単位体積当りの出力が大きくなり、そ
れだけ小型化を図ることが可能となる。
次モードを用るため、10MHz程度の高周波帯で使用する
圧電トランスが実現できる。厚み縦振動で動作する圧電
トランスの出力P(W)は、簡単なエネルギー的考察に
より、近似的に P=A・fr・εs 33・V・kt2 となる。ここに、Aは比例定数、εs 33は拘束誘電率、
Vは圧電トランスの体積、ktは厚み縦振動の電気機械結
合係数である。したがって圧電トランスは、圧電セラミ
ック材料の電気機械結合係数ktが大きいほど、共振周波
数frが高いほど、単位体積当りの出力が大きくなり、そ
れだけ小型化を図ることが可能となる。
さらに第1図から明らかなように、本発明の圧電磁器
トランスにおいては比較的引っ張り強度の弱い内部電極
が存在する各層の境界部分には全く応力が加わらない構
造になっている。そのため高出力で駆動しても電極の部
分での剥離が生じないため、圧電セラミック材料本体の
引っ張り強度の限界まで圧電磁器トランスを振動させる
ことが可能となり一層の高出力化が図れる。
トランスにおいては比較的引っ張り強度の弱い内部電極
が存在する各層の境界部分には全く応力が加わらない構
造になっている。そのため高出力で駆動しても電極の部
分での剥離が生じないため、圧電セラミック材料本体の
引っ張り強度の限界まで圧電磁器トランスを振動させる
ことが可能となり一層の高出力化が図れる。
(実施例) 本発明の基づく圧電磁器トランスの実施例として、第
1図に示した圧電磁器トランスをグリーンシート法によ
り作製した。圧電磁器の材料はPbTiO3系圧電磁器(株式
会社トーキン製NEPEC−200(商品名))である。圧電磁
器トランスを構成する圧電磁器1層の厚さは約0.4mmと
し10枚積層した。Ptペーストをスクリーン印刷し圧電磁
器とともに一体焼結することによりPtの内部電極を形成
した。焼成した後に#3000の研磨材を用いて上下面に対
し平行平面研磨を行ない、圧電磁器トランスの上下面に
銀電極を焼成した。その後100℃の絶縁油中で5kV/mmの
直流高電圧を圧電磁器トランスの上下面に印加すること
により分極処理を施した。本実施例では、高インピーダ
ンス部の電気端子14,15から厚み縦10次モードを励振す
る高周波・高電圧信号を入力し、低インピーダンス部の
電気端子13,14から出力を取り出す降圧型のトランスと
して評価した。
1図に示した圧電磁器トランスをグリーンシート法によ
り作製した。圧電磁器の材料はPbTiO3系圧電磁器(株式
会社トーキン製NEPEC−200(商品名))である。圧電磁
器トランスを構成する圧電磁器1層の厚さは約0.4mmと
し10枚積層した。Ptペーストをスクリーン印刷し圧電磁
器とともに一体焼結することによりPtの内部電極を形成
した。焼成した後に#3000の研磨材を用いて上下面に対
し平行平面研磨を行ない、圧電磁器トランスの上下面に
銀電極を焼成した。その後100℃の絶縁油中で5kV/mmの
直流高電圧を圧電磁器トランスの上下面に印加すること
により分極処理を施した。本実施例では、高インピーダ
ンス部の電気端子14,15から厚み縦10次モードを励振す
る高周波・高電圧信号を入力し、低インピーダンス部の
電気端子13,14から出力を取り出す降圧型のトランスと
して評価した。
本圧電トランスの集中定数近似等価回路は第3図の様
になる。第3図においてCd1,Cd2はそれぞれ入力側、出
力側の制動容量、A1,A2は力係数、m,c,Rmは厚み縦振動1
0次モードに関する等価質量、等価コンプライアンス、
等価機械抵抗である。本圧電トランスは第3図に示した
等価回路に基でき、バターワース1次のフィルタとして
設計された。端子14,15を入力とし、端子13,14を出力と
して、圧電トランスの入出力側に適当な抵抗負荷で終端
した時の周波数−ゲイン、効率特性の実測値を第4図に
示す。共振周波数は5.8MHzでそのときのゲイン0.1、機
械的品質係数Qmは1000、最大効率は96%と非常に良好な
ものであった。
になる。第3図においてCd1,Cd2はそれぞれ入力側、出
力側の制動容量、A1,A2は力係数、m,c,Rmは厚み縦振動1
0次モードに関する等価質量、等価コンプライアンス、
等価機械抵抗である。本圧電トランスは第3図に示した
等価回路に基でき、バターワース1次のフィルタとして
設計された。端子14,15を入力とし、端子13,14を出力と
して、圧電トランスの入出力側に適当な抵抗負荷で終端
した時の周波数−ゲイン、効率特性の実測値を第4図に
示す。共振周波数は5.8MHzでそのときのゲイン0.1、機
械的品質係数Qmは1000、最大効率は96%と非常に良好な
ものであった。
もう一つの実施例として高インピーダンス部と低イン
ピーダンス部の間に絶縁層を挿入した場合について述べ
る。第2図に示したように高インピーダンス部11、低イ
ンピーダンス部12に一層0.4mmの圧電磁器をそれぞれ3
層(111〜113、121〜123)を配置し、その間の上下の一
層と同じ厚さの絶縁層21を配置している。したがってこ
の圧電磁器トランスでは第2図に応力分布を示したよう
に厚み縦振動7次モードの共振周波数で駆動すると低イ
ンピーダンス部11では各層で応力分布が交互になり、ま
た高インピーダンス部12では中の一層122の上下を導体1
6で短絡しているので応力が正の層121と123にのみ電界
が印加される。本実施例においても適当な抵抗負荷で終
端した場合に、5.8MHzで駆動したときの最大効率は97%
と良好なものであった。なお絶縁層は他の圧電磁器層の
整数倍の厚みであり、分極の向きも同一である必要があ
る。ただし厚みは5倍程度またはそれ以下が望ましい。
ピーダンス部の間に絶縁層を挿入した場合について述べ
る。第2図に示したように高インピーダンス部11、低イ
ンピーダンス部12に一層0.4mmの圧電磁器をそれぞれ3
層(111〜113、121〜123)を配置し、その間の上下の一
層と同じ厚さの絶縁層21を配置している。したがってこ
の圧電磁器トランスでは第2図に応力分布を示したよう
に厚み縦振動7次モードの共振周波数で駆動すると低イ
ンピーダンス部11では各層で応力分布が交互になり、ま
た高インピーダンス部12では中の一層122の上下を導体1
6で短絡しているので応力が正の層121と123にのみ電界
が印加される。本実施例においても適当な抵抗負荷で終
端した場合に、5.8MHzで駆動したときの最大効率は97%
と良好なものであった。なお絶縁層は他の圧電磁器層の
整数倍の厚みであり、分極の向きも同一である必要があ
る。ただし厚みは5倍程度またはそれ以下が望ましい。
尚、本実施例に用いた圧電トランスの材料は、厚み縦
振動の電気機械結合係数ktに比べて、アスプリアス振動
の原因となる横効果縦振動モードの電気機械結合係数k
31が十分小さいPbTiO3系の材料を用いた。しかしなが
ら、PZT系圧電セラミック材料を用いる場合は、k31がkt
の1/3〜1/2程度とかなり大きいので、k31に起因するス
プリアス共振周波数を、使用する厚み縦振動高次モード
の共振周波数から十分遠ざける様に幅、長さ寸法を定め
ることにより、良好な厚み縦振動高次モードの共振特性
を有する圧電トランスが実現できることは言うまでもな
い。
振動の電気機械結合係数ktに比べて、アスプリアス振動
の原因となる横効果縦振動モードの電気機械結合係数k
31が十分小さいPbTiO3系の材料を用いた。しかしなが
ら、PZT系圧電セラミック材料を用いる場合は、k31がkt
の1/3〜1/2程度とかなり大きいので、k31に起因するス
プリアス共振周波数を、使用する厚み縦振動高次モード
の共振周波数から十分遠ざける様に幅、長さ寸法を定め
ることにより、良好な厚み縦振動高次モードの共振特性
を有する圧電トランスが実現できることは言うまでもな
い。
本発明における圧電トランスでは共振周波数frは近似
的に となり、層数には依存しない。低インピーダンス部の層
数をm、高インピーダンス部の層数をnとすると、圧電
トランス全体の厚さは(n+m)tとなるため、同一周
波数で使用できるように、一層の厚さを変えずに層数を
極端に増やすと全体の厚さが大きくなり、小型、高出と
いう圧電トランスの長所が生かされない。
的に となり、層数には依存しない。低インピーダンス部の層
数をm、高インピーダンス部の層数をnとすると、圧電
トランス全体の厚さは(n+m)tとなるため、同一周
波数で使用できるように、一層の厚さを変えずに層数を
極端に増やすと全体の厚さが大きくなり、小型、高出と
いう圧電トランスの長所が生かされない。
逆に全体の厚さを変えずに層数を増やそうとすると1
層の厚さtが小さくなり、共振周波数が高くなる。例え
ば、全体の厚さを2mmとし、入出力ともに10層ずつ配置
すると1層の厚さが0.1mmとなり、これ以上層数を増や
すのは作製が困難となる。
層の厚さtが小さくなり、共振周波数が高くなる。例え
ば、全体の厚さを2mmとし、入出力ともに10層ずつ配置
すると1層の厚さが0.1mmとなり、これ以上層数を増や
すのは作製が困難となる。
これらの理由により、層数m,nは10以下が妥当なもの
である。
である。
以上の例では層数mとnが同じ場合を示したが、mと
nが異なる場合であってもかまわない。ただし電極層に
はさまれた圧電磁器層の厚さはすべて等しいことが必要
である。
nが異なる場合であってもかまわない。ただし電極層に
はさまれた圧電磁器層の厚さはすべて等しいことが必要
である。
(発明の効果) 以上詳述した如く、本発明に従った構成の圧電磁器ト
ランスは、1MHz以上の高周波帯で使用することができ、
かつ小型で高効率であるという従来の圧電トランスには
ない長所があり、工業的価値も多大である。
ランスは、1MHz以上の高周波帯で使用することができ、
かつ小型で高効率であるという従来の圧電トランスには
ない長所があり、工業的価値も多大である。
第1図、第2図は結線した本発明の実施例を示す圧電磁
器トランスの断面図、第3図は圧電磁器トランスの集中
定数等価回路図、第4図は圧電磁器トランスの周波数−
ゲイン、効率特性図、第5図は従来のローゼン型圧電ト
ランスの斜視図である。 図において、11……本発明の圧電磁器トランスの低イン
ピーダンス部、12……本発明の圧電磁器トランスの高イ
ンピーダンス部、111,112,113,114,115,121,122,123,12
4,125……低インピーダンス部高インピーダンス部を構
成する層、21……絶縁層、13,14,15,23,24,25,26……外
部電気端子、16……短絡用導体、51……従来のローゼン
型圧電トランスの低インピーダンス部、52……従来のロ
ーゼン型の圧電トランスの高インピーダンス部、53,54,
55は電極、56,57……分極方向。
器トランスの断面図、第3図は圧電磁器トランスの集中
定数等価回路図、第4図は圧電磁器トランスの周波数−
ゲイン、効率特性図、第5図は従来のローゼン型圧電ト
ランスの斜視図である。 図において、11……本発明の圧電磁器トランスの低イン
ピーダンス部、12……本発明の圧電磁器トランスの高イ
ンピーダンス部、111,112,113,114,115,121,122,123,12
4,125……低インピーダンス部高インピーダンス部を構
成する層、21……絶縁層、13,14,15,23,24,25,26……外
部電気端子、16……短絡用導体、51……従来のローゼン
型圧電トランスの低インピーダンス部、52……従来のロ
ーゼン型の圧電トランスの高インピーダンス部、53,54,
55は電極、56,57……分極方向。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩本 明夫 東京都港区芝5丁目7番1号 日本電気 株式会社内 (56)参考文献 特開 昭53−139484(JP,A) 特開 平3−173484(JP,A) 特開 平4−18776(JP,A) 実開 平2−9458(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 41/107
Claims (3)
- 【請求項1】電極層と圧電磁器層とが交互に積層された
積層体であり、複数の圧電磁器層を有する低インピーダ
ンス部と複数の圧電磁器層を有する高インピーダンス部
より構成される厚み縦振動圧電磁器トランスにおいて、
低インピーダンス部では各内部電極を2つの外部電気端
子に交互に接続し、高インピーダンス部では両端に位置
する電極層はそれぞれ2つの外部電気端子に接続し、両
端以外の電極層は1つおきに隣接する電極層同士を接続
する構造を特徴とする厚み縦振動圧電磁器トランス。 - 【請求項2】請求項(1)の厚み縦振動圧電磁器トラン
スにおいて高インピーダンス部と低インピーダンス部の
間に、厚さが高インピーダンス部および低インピーダン
ス部を構成する各圧電磁器層1層の厚さの整数倍であ
り、分極の方向と向きが高インピーダンス部および低イ
ンピーダンス部と同じである絶縁層を配置したことを特
徴とする厚み縦振動圧電磁器トランス。 - 【請求項3】請求項(1)(2)の厚み縦振動圧電磁器
トランスにおいて、2分の1波長が高インピーダンス部
および低インピーダンス分を構成する各電圧磁器層1層
の厚さと同じになる厚み縦振動高次モードの共振周波数
で駆動することを特徴とする厚み縦振動圧電磁器トラン
スの駆動方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2327912A JP2757561B2 (ja) | 1990-11-28 | 1990-11-28 | 厚み縦振動圧電磁器トランスとその駆動方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2327912A JP2757561B2 (ja) | 1990-11-28 | 1990-11-28 | 厚み縦振動圧電磁器トランスとその駆動方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04196493A JPH04196493A (ja) | 1992-07-16 |
JP2757561B2 true JP2757561B2 (ja) | 1998-05-25 |
Family
ID=18204387
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2327912A Expired - Fee Related JP2757561B2 (ja) | 1990-11-28 | 1990-11-28 | 厚み縦振動圧電磁器トランスとその駆動方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2757561B2 (ja) |
-
1990
- 1990-11-28 JP JP2327912A patent/JP2757561B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04196493A (ja) | 1992-07-16 |
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