JPH11204166A - 高圧電線用キャップ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高圧電線への被冠装着作業性を向上させると
同時に、優れた防塵・防水効果及び高電圧のリーク防止
効果を得ることのできる高圧電線用キャップを提供す
る。 【解決手段】 絶縁性弾性材料により一体形成されて高
圧電線２の一端に被冠装着される高圧電線用キャップ１
２における基端筒部１４は、前記先端筒部５側が高圧電
線２の外径より小さい内径を有する緊密嵌合部１５と、
開口端側が高圧電線２の外径より大きい内径を有する接
着剤充填部１６とを備えている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、高圧電線の電気接
続部における防塵・防水及び高電圧のリーク防止のため
に、先端に電気接続端子が接続された高圧電線の一端に
被冠装着される高圧電線用キャップの改良に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】自動車等では、高圧電流を扱う点火コイ
ルとディストリビュータとの間、あるいはディストリビ
ュータと点火プラグとの間の電気接続に、高圧電線アッ
センブリーが使用されている。従来より、このような高
圧電線アッセンブリーの電気接続部では、防塵・防水及
び高電圧のリーク防止のために、図５に示すように、先
端に電気接続端子１が接続された高圧電線２の一端に高
圧電線用キャップ３を被冠装着している。

【０００３】前記高圧電線用キャップ３は、前記電気接
続端子１の周囲を覆う先端筒部５と、前記電気接続端子
１に続く高圧電線２の絶縁被覆２ａ上に係合する基端筒
部６とを、合成ゴム等の絶縁性弾性材料により一体形成
したものである。更に詳述すると、前記高圧電線用キャ
ップ３は、図６に示すように、その基端側から前記高圧
電線２の一端に接続された電気接続端子１を挿入するこ
とで、図５に示した被冠状態とされるものである。

【０００４】そして、被冠した状態では前記高圧電線用
キャップ３がガタつきなく高圧電線２に嵌合されるよう
に、前記基端筒部６の内径は前記高圧電線２の外径より
も適度に小さく設定されている。また、前記先端筒部５
は、前記電気接続端子１を収容する端子収容筒部５ａ
と、前記電気接続端子１が嵌合接続される相手側端子の
周囲を覆う接続部収容部５ｂとを有した構造であり、電
気接続端子１や相手側端子周囲の形状に応じて、穴径が
開口端に向かって徐々に拡大する形状に形成されてい
る。

【０００５】以上のように、高圧電線用キャップ３の基
端筒部６は、内径が高圧電線２の外径よりも小さく設定
されているために、適正に被冠装着作業が完了すれば、
基端筒部６の内周面が前記絶縁被覆２ａの外周面に密着
した緊密嵌合が得られ、その嵌合状態だけでも、ある程
度は、防塵・防水及び高電圧のリーク防止を達成するこ
とができる。

【０００６】しかし、前記電気接続端子１の基端筒部６
への挿入作業性を考慮すると、前記基端筒部６と絶縁被
覆２ａとの緊密度はそれほど高めることができず、両者
の嵌合によるシール性能にも限界がある。また、基端筒
部６の内周面や絶縁被覆２ａの外表面の微細な傷、或い
は高圧電線２に作用する曲げ荷重等によって微小な隙間
が不測に形成され、その不測の微小な隙間のために防塵
・防水効果及び高電圧のリーク防止効果が低下する虞も
ある。

【０００７】そこで、従来は高圧電線２の絶縁被覆２ａ
上に接着剤を塗布した後に前記高圧電線用キャップ３の
被冠装着作業を行ったり、あるいは、図７に示すよう
に、高圧電線２へ高圧電線用キャップ３を被冠させた後
に基端筒部６と絶縁被覆２ａとの間に接着剤８を注入
し、シール性能を維持している。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】ところが、前述した従
来の高圧電線用キャップ３の場合、基端筒部６の内径が
高圧電線２の外径よりも小さいため、予め絶縁被覆２ａ
の外表面に塗布しておいた接着剤が被冠装着作業時に拭
い取られたり、あるいは、後から接着剤を注入しようと
しても満足のできる注入ができず、結局、接着剤による
接着力が安定しないという問題があった。

【０００９】そこで、このような問題を解決するべく、
例えば図８に示すように、高圧電線２の絶縁被覆２ａ上
に係合する基端筒部６の内周面に、接着剤を溜める溝９
を設けた高圧電線用キャップ１０が提案されている（実
開昭５４−１１１６８９号公報参照）。しかし、この様
に高圧電線２の外径よりも内径の小さな基端筒部６の内
周面の一部に周方向の溝９を設けた構造の場合でも、予
め絶縁被覆２ａの外表面に塗布しておいた接着剤が被冠
装着作業時に拭い取られるという問題や、後から接着材
を注入することが困難になるという従来の問題を完全に
解決することはできない。

【００１０】また、前記溝９を基端筒部６の軸線方向に
沿って設ければ、後から接着剤を注入することは可能に
なるが、その場合には、接着剤によるシール層が周方向
に連続しないため、やはりシール性能を高めることが難
しい。そこで、本発明の目的は上記課題を解消すること
にあり、高圧電線への被冠装着作業性を向上させると同
時に、優れた防塵・防水効果及び高電圧のリーク防止効
果を得ることのできる高圧電線用キャップを提供するこ
とである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、高
圧電線の先端に接続された電気接続端子の周囲を覆う先
端筒部と、前記電気接続端子に続く高圧電線の絶縁被覆
上に係合する基端筒部とが絶縁性弾性材料により一体形
成されており、前記基端筒部側から高圧電線の一端に被
冠装着される高圧電線用キャップであって、前記基端筒
部は、前記先端筒部側が高圧電線の外径より小さい内径
を有する緊密嵌合部と、開口端側が高圧電線の外径より
大きい内径を有する接着剤充填部とを備えていることを
特徴とする高圧電線用キャップにより達成される。

【００１２】上記構成によれば、高圧電線用キャップを
高圧電線の一端に被冠装着し、適正に被冠装着作業が完
了すれば、基端筒部における緊密嵌合部の内周面が絶縁
被覆の外周面に密着した緊密嵌合によって、高圧電線用
キャップを高圧電線の所定位置に確実に保持固定するこ
とができる。又、高圧電線上に係合している前記基端筒
部の開口端側には、接着剤を充填する隙間を周方向に連
続して備えた接着剤充填部が形成されているため、被冠
装着作業後に、接着剤の充填作業を行うことで、高圧電
線の絶縁被覆と前記基端筒部の内周面との間に周方向に
連続した接着剤によるシール層を簡単に形成することが
できる。尚、好ましくは前記緊密嵌合部と前記接着剤充
填部との段差部に誘い込みテーパが設けられ、前記緊密
嵌合部内への電気接続端子の挿入作業性が高められる。
又、好ましくは高圧電線アッセンブリーが、前記高圧電
線用キャップにおける基端筒部の接着剤充填部と高圧電
線の絶縁被覆との間に、周方向に連続した接着剤による
シール層を備える。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づいて本発明
の一実施形態に係る高圧電線用キャップを詳細に説明す
る。図１は、本発明の一実施形態に係る高圧電線用キャ
ップを高圧電線に被冠装着する前の状態を示す部分破断
斜視図である。本実施形態の高圧電線用キャップ１２
は、自動車の点火コイルやディストリビュータ等の点火
系統の電気接続に使用される高圧電線２の一端に被冠装
着されるものである。前記高圧電線２は、点火コイルや
ディストリビュータ等の端子接続部に嵌合接続する電気
接続端子１が両端に接続され、高圧電線アッセンブリー
を構成している。

【００１４】前記高圧電線用キャップ１２は、前記電気
接続端子１の周囲を覆う先端筒部５と、前記電気接続端
子１に続く高圧電線２の絶縁被覆２ａ上に係合する基端
筒部１４とを絶縁ゴム等の絶縁性弾性材料により一体形
成した構成を有する。そして、前記高圧電線用キャップ
１２は、図１に矢印（イ）で示したように、前記基端筒
部１４側から高圧電線の一端に被冠装着されるものであ
り、先端筒部５の構成は図６に示した従来の高圧電線用
キャップ３における先端筒部５の構成と同様である。

【００１５】そして、前記高圧電線用キャップ１２にお
ける基端筒部１４は、前記先端筒部５側が高圧電線２の
外径より小さい内径を有する緊密嵌合部１５と、開口端
側が高圧電線２の外径より大きい内径を有する接着剤充
填部１６とを備えている。そこで、前記高圧電線用キャ
ップ１２を高圧電線２の一端に被冠装着し、適正に被冠
装着作業が完了すれば、図２に示すように、基端筒部１
４における緊密嵌合部１５の内周面が高圧電線２の絶縁
被覆２ａの外周面に密着した緊密嵌合によって、高圧電
線用キャップ１２を高圧電線２の所定位置に確実に保持
固定することができる。又、高圧電線２上に係合してい
る前記基端筒部１４の開口端側には、接着剤を充填する
隙間１８を周方向に連続して備えた接着剤充填部１６が
形成されているため、被冠装着作業後に、図３に示すよ
うに、前記接着剤充填部１６の隙間１８に接着剤の充填
作業を行うことで、前記絶縁被覆２ａと前記基端筒部１
４との間に周方向に連続した接着剤によるシール層１９
を簡単に形成することができる。

【００１６】従って、前記シール層１９により、高圧電
線用キャップ１２の高圧電線２への固定強度を高めると
同時に、防塵・防水効果及び高電圧のリーク防止効果等
の大きい高いシール性能を得ることができる。又、従来
のように前記基端筒部１４と前記高圧電線２との緊密嵌
合度を高めることによってシール性能の向上を図る必要
がないので、これら基端筒部１４と高圧電線２との緊密
嵌合度を適度に緩めて、高圧電線２への被冠装着作業性
を向上させると同時に、優れた防塵・防水効果及び高電
圧のリーク防止効果を得ることもできる。更に、基端筒
部１４の開口端側が高圧電線２の外径より大きい内径を
有するので、高圧電線用キャップ１２内への高圧電線２
の挿入作業性が良くなる。

【００１７】なお、本発明に係る高圧電線用キャップ
は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、種
々の形状を採りえることは言うまでもない。例えば、図
４に示した高圧電線用キャップ２１は、基端筒部１４に
おける緊密嵌合部１５と接着剤充填部１６との段差部に
誘い込みテーパ２０が設けられている。即ち、内径が異
なることにより生じる緊密嵌合部１５と接着剤充填部１
６との段差部に誘い込みテーパ２０を設けることによ
り、前記基端筒部１４側から高圧電線用キャップ１２内
に挿入される前記電気接続端子１の先端が前記段差部に
引っかかり難くなるので、緊密嵌合部１５内への電気接
続端子１の挿入作業性が高められ、高圧電線用キャップ
１２の被冠装着作業を更に容易にすることができる。

【００１８】

【発明の効果】本発明の高圧電線用キャップによれば、
高圧電線用キャップを高圧電線の一端に被冠装着し、適
正に被冠装着作業が完了すれば、基端筒部における緊密
嵌合部の内周面が絶縁被覆の外周面に密着した緊密嵌合
によって、高圧電線用キャップを高圧電線の所定位置に
確実に保持固定することができる。又、高圧電線上に係
合している前記基端筒部の開口端側には、接着剤を充填
する隙間を周方向に連続して備えた接着剤充填部が形成
されているため、被冠装着作業後に、接着剤の充填作業
を行うことで、高圧電線の絶縁被覆と前記基端筒部の内
周面との間に周方向に連続した接着剤によるシール層を
簡単に形成することができる。

【００１９】そこで、前記シール層により、高圧電線用
キャップの高圧電線への固定強度を高めると同時に、防
塵・防水効果及び高電圧のリーク防止効果等の大きい高
いシール性能を得ることができる。又、従来のように前
記基端筒部と前記高圧電線との緊密嵌合度を高めること
によってシール性能の向上を図る必要がないので、これ
ら基端筒部と高圧電線との緊密嵌合度を適度に緩めて、
高圧電線への被冠装着作業性を向上させると同時に、優
れた防塵・防水効果及び高電圧のリーク防止効果を得る
こともできる。更に、基端筒部の開口端側が高圧電線の
外径より大きい内径を有するので、高圧電線用キャップ
内への高圧電線の挿入作業性が良くなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態に係る高圧電線用キャップ
を高圧電線に被冠装着する前の状態を示す部分破断斜視
図である。

【図２】図１に示した高圧電線用キャップの高圧電線へ
の被冠装着直後の状態を示す縦断面図である。

【図３】図１に示した高圧電線用キャップの高圧電線へ
の被冠装着後の接着剤充填作業を説明する為の縦断面図
である。

【図４】本発明の他の実施形態に係る高圧電線用キャッ
プの要部縦断面図である。

【図５】従来の高圧電線用キャップを高圧電線に被冠装
着した状態の縦断面図である。

【図６】図５に示した高圧電線用キャップを高圧電線に
被冠装着する前の状態を示す縦断面図である。

【図７】図５に示した高圧電線用キャップの問題点を説
明する為の縦断面図である。

【図８】従来の別の高圧電線用キャップの要部縦断面図
である。

【符号の説明】

１ 電気接続端子 ２ 高圧電線 ２ａ 絶縁被覆 ５ 先端筒部 １２ 高圧電線用キャップ １４ 基端筒部 １５ 緊密嵌合部 １６ 接着剤充填部 １８ 隙間 １９ シール層

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 高圧電線の先端に接続された電気接続端
   子の周囲を覆う先端筒部と、前記電気接続端子に続く高
   圧電線の絶縁被覆上に係合する基端筒部とが絶縁性弾性
   材料により一体形成されており、前記基端筒部側から高
   圧電線の一端に被冠装着される高圧電線用キャップであ
   って、 前記基端筒部は、前記先端筒部側が高圧電線の外径より
   小さい内径を有する緊密嵌合部と、開口端側が高圧電線
   の外径より大きい内径を有する接着剤充填部とを備えて
   いることを特徴とする高圧電線用キャップ。
2. 【請求項２】 前記緊密嵌合部と前記接着剤充填部との
   段差部に誘い込みテーパが設けられていることを特徴と
   する請求項１記載の高圧電線用キャップ。
3. 【請求項３】 前記請求項１又は２に記載の高圧電線用
   キャップにおける基端筒部の接着剤充填部と高圧電線の
   絶縁被覆との間に、周方向に連続した接着剤によるシー
   ル層を設けたことを特徴とする高圧電線アッセンブリ
   ー。