JPH11202902A - 振動相殺型サーボ制御方法と制御装置 - Google Patents
振動相殺型サーボ制御方法と制御装置Info
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- JPH11202902A JPH11202902A JP610698A JP610698A JPH11202902A JP H11202902 A JPH11202902 A JP H11202902A JP 610698 A JP610698 A JP 610698A JP 610698 A JP610698 A JP 610698A JP H11202902 A JPH11202902 A JP H11202902A
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- control
- feedforward
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- Feedback Control In General (AREA)
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 制御対象および/または該制御対象のアクチ
ュエータにばね特性を有する場合でも安定な制御を可能
にする。 【解決手段】 フィードフォワード(FF)制御演算部
14フィードバック(FB)制御演算部16の制御パラ
メータを、変数変換部40、最適極配置演算部50A共
振極推定部70において、バネ特性によって生ずる共振
特性を相殺するように、制御系のz座標系の零点の座標
で共振極を相殺するように、決定する。
ュエータにばね特性を有する場合でも安定な制御を可能
にする。 【解決手段】 フィードフォワード(FF)制御演算部
14フィードバック(FB)制御演算部16の制御パラ
メータを、変数変換部40、最適極配置演算部50A共
振極推定部70において、バネ特性によって生ずる共振
特性を相殺するように、制御系のz座標系の零点の座標
で共振極を相殺するように、決定する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は産業用ロボットや電
気回路基板の部品実装機など高速な位置決めの必要な駆
動系を有する機器のサーボ制御を行う制御方法およびそ
の装置に関するものであり、特に、本発明は駆動系にお
ける振動を相殺したサーボ制御方法とその装置に関す
る。本発明また、振動相殺型サーボ制御用パラメータ算
出方法に関する。
気回路基板の部品実装機など高速な位置決めの必要な駆
動系を有する機器のサーボ制御を行う制御方法およびそ
の装置に関するものであり、特に、本発明は駆動系にお
ける振動を相殺したサーボ制御方法とその装置に関す
る。本発明また、振動相殺型サーボ制御用パラメータ算
出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】比例(P)制御演算、積分(D)制御演
算および微分(I)制御演算を適宜組み合わせて電動機
(モータ)等のアクチュエータを駆動して制御対象を制
御するPID制御装置はよく知られている。
算および微分(I)制御演算を適宜組み合わせて電動機
(モータ)等のアクチュエータを駆動して制御対象を制
御するPID制御装置はよく知られている。
【0003】特開平8−171402号公報はそのよう
なPID制御をフィードバック制御およびフィードフォ
ワード制御に適用した制御装置を開示している。特に、
特開平8−171402号公報は、PID制御をフィー
ドバック制御およびフィードフォワード制御に適用した
場合にPID制御パラメータなどの種々のパラメータを
自動的に求め、求めたパラメータを用いて制御対象を制
御する方法と装置を開示している。
なPID制御をフィードバック制御およびフィードフォ
ワード制御に適用した制御装置を開示している。特に、
特開平8−171402号公報は、PID制御をフィー
ドバック制御およびフィードフォワード制御に適用した
場合にPID制御パラメータなどの種々のパラメータを
自動的に求め、求めたパラメータを用いて制御対象を制
御する方法と装置を開示している。
【0004】さらに具体的に述べると、特開平8−17
1402号公報に開示されている方法においてはサンプ
リング制御理論に基づく離散的な制御を行う観点から、
最適極配置演算部において制御系の伝達関数のz座標系
における極と零点を求め、それらを連続的な制御理論に
適用するため、変数変換部においてPID制御演算方式
における比例ゲイン、積分ゲイン、微分ゲインなどに変
換し、求めた比例ゲインなどをフィードバック制御部お
よびフィードフォワード制御部に設定して、設定した制
御パラメータを用いて制御対象を制御する。
1402号公報に開示されている方法においてはサンプ
リング制御理論に基づく離散的な制御を行う観点から、
最適極配置演算部において制御系の伝達関数のz座標系
における極と零点を求め、それらを連続的な制御理論に
適用するため、変数変換部においてPID制御演算方式
における比例ゲイン、積分ゲイン、微分ゲインなどに変
換し、求めた比例ゲインなどをフィードバック制御部お
よびフィードフォワード制御部に設定して、設定した制
御パラメータを用いて制御対象を制御する。
【0005】特開平8−171402号公報の制御方法
と装置によれば、制御パラメータを自動的に求めること
ができ、それらの制御パラメータをフィードフォワード
制御演算部およびフィードバック制御演算部に設定すれ
ば、比例動作、微分動作、積分動作の効果により、モー
タを介して制御対象を良好に制御できる。さらに試行錯
誤によらず、伝達関数のz座標系における極、零点の座
標および制御パラメータを求めることができ調整も容易
になる。
と装置によれば、制御パラメータを自動的に求めること
ができ、それらの制御パラメータをフィードフォワード
制御演算部およびフィードバック制御演算部に設定すれ
ば、比例動作、微分動作、積分動作の効果により、モー
タを介して制御対象を良好に制御できる。さらに試行錯
誤によらず、伝達関数のz座標系における極、零点の座
標および制御パラメータを求めることができ調整も容易
になる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】特開平8−17140
2号公報に開示された制御方法およびその装置は、制御
性能を向上するため上述した制御パラメータのみによっ
て制御対象を駆動している。しかしながら、実際の駆動
系においてはモータなどのばね要素などにより共振特性
を持つことが多く、この共振特性により制御対象が振動
することがある。振動が発生すると、特に目標位置での
整定時の振動は目標位置近辺での振動が持続するため、
振動が収まるまで次の動作に移ることができず、産業用
ロボットや実装機などのタクトタイムの短縮の大きな妨
げとなる。
2号公報に開示された制御方法およびその装置は、制御
性能を向上するため上述した制御パラメータのみによっ
て制御対象を駆動している。しかしながら、実際の駆動
系においてはモータなどのばね要素などにより共振特性
を持つことが多く、この共振特性により制御対象が振動
することがある。振動が発生すると、特に目標位置での
整定時の振動は目標位置近辺での振動が持続するため、
振動が収まるまで次の動作に移ることができず、産業用
ロボットや実装機などのタクトタイムの短縮の大きな妨
げとなる。
【0007】上述した不利益を克服するため、本願発明
者は共振特性を相殺する手段を制御演算部に組み込んだ
制御方法と装置を提案した(1997年12月19日出
願、特願平9−350647号)。
者は共振特性を相殺する手段を制御演算部に組み込んだ
制御方法と装置を提案した(1997年12月19日出
願、特願平9−350647号)。
【0008】本発明は上述した共振特性を相殺する手段
を設ける方法とは異なる方法で上述した特開平8−17
1402号公報における不利益を克服することを意図し
ている。本発明の目的は、ばね要素などにより振動性を
もつ制御対象についても高速動作時の振動を低減し、短
タクトタイムを実現できる制御方法および装置を提供す
ることにある。また本発明の他の目的は、上記制御方法
および装置で用いられる制御パラメータの調整方法およ
び調整手段を含む振動相殺型サーボ制御装置を提供する
ことにある。
を設ける方法とは異なる方法で上述した特開平8−17
1402号公報における不利益を克服することを意図し
ている。本発明の目的は、ばね要素などにより振動性を
もつ制御対象についても高速動作時の振動を低減し、短
タクトタイムを実現できる制御方法および装置を提供す
ることにある。また本発明の他の目的は、上記制御方法
および装置で用いられる制御パラメータの調整方法およ
び調整手段を含む振動相殺型サーボ制御装置を提供する
ことにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の観点によ
れば、制御対象および/または該制御対象のアクチュエ
ータにばね特性を有する制御系を離散時間方法で制御す
る制御装置において、目標指令信号と前記制御対象の位
置または角度検出信号との差を求める偏差算出部と、該
偏差算出部で算出した偏差に応じてフィードバック制御
演算を行うフィードバック制御演算部と、目標指令信号
についてフィードフォワード制御演算を行うフィードフ
ォワード制御演算部と、前記フィードバック制御演算部
における演算結果と前記フィードフォワード制御演算部
における演算結果とを加算してアクチュエータを駆動す
る加算回路とを有し、前記フィードバック制御演算部お
よび前記フィードフォワード制御演算部における制御パ
ラメータを、制御系の伝達関数の零点で駆動系共振極を
相殺するように決定し、決定した制御パラメータを用い
て制御対象を制御する振動相殺型サーボ制御装置が提供
される。
れば、制御対象および/または該制御対象のアクチュエ
ータにばね特性を有する制御系を離散時間方法で制御す
る制御装置において、目標指令信号と前記制御対象の位
置または角度検出信号との差を求める偏差算出部と、該
偏差算出部で算出した偏差に応じてフィードバック制御
演算を行うフィードバック制御演算部と、目標指令信号
についてフィードフォワード制御演算を行うフィードフ
ォワード制御演算部と、前記フィードバック制御演算部
における演算結果と前記フィードフォワード制御演算部
における演算結果とを加算してアクチュエータを駆動す
る加算回路とを有し、前記フィードバック制御演算部お
よび前記フィードフォワード制御演算部における制御パ
ラメータを、制御系の伝達関数の零点で駆動系共振極を
相殺するように決定し、決定した制御パラメータを用い
て制御対象を制御する振動相殺型サーボ制御装置が提供
される。
【0010】好ましくは、前記制御対象の制御則として
2自由度PID制御則を用い、前記フィードフォワード
制御演算および前記フィードフォワード制御演算によっ
て決まる制御系の零点が駆動系共振極を相殺する。
2自由度PID制御則を用い、前記フィードフォワード
制御演算および前記フィードフォワード制御演算によっ
て決まる制御系の零点が駆動系共振極を相殺する。
【0011】また好ましくは、前記フィードバック制御
演算部はPID制御パラメータを用いて表される制御ア
ルゴリズムに従って演算し、前記フィードバック制御演
算部は、PID制御パラメータおよびフィードフォワー
ド制御パラメータが表される制御アルゴリズムに従って
演算する。
演算部はPID制御パラメータを用いて表される制御ア
ルゴリズムに従って演算し、前記フィードバック制御演
算部は、PID制御パラメータおよびフィードフォワー
ド制御パラメータが表される制御アルゴリズムに従って
演算する。
【0012】さらに好ましくは、z座標系における伝達
関数の極点の座標および零点の座標の初期値を設定する
変数設定部と、前記変数設定部によって設定された初期
値からPID制御パラメータを算出する変数変換部と、
該変数変換部において算出したPID制御パラメータか
ら制御系の共振特性を推定して、制御系が安定するz座
標系の極および零点の座標の場合z座標系における極お
よび零点の座標を算出し、制御系が安定しないz座標系
の極および零点の座標の場合前記変数設定部で設定した
z座標系における極および零点の座標を変更した変数変
換部に入力して再びPID制御パラメータを算出させる
共振極推定部とをさらに有し、前記変数変換部は、前記
共振極推定部において共振特性に対する有効なz座標系
における極および零点の座標を推定したときフィードフ
ォワード制御パラメータを算出し、前記算出したPID
制御パラメータおよびフィードフォワード制御パラメー
タを前記フィードフォワード制御演算部に設定し、前記
算出したPID制御パラメータを前記フィードバック制
御演算部に設定する。
関数の極点の座標および零点の座標の初期値を設定する
変数設定部と、前記変数設定部によって設定された初期
値からPID制御パラメータを算出する変数変換部と、
該変数変換部において算出したPID制御パラメータか
ら制御系の共振特性を推定して、制御系が安定するz座
標系の極および零点の座標の場合z座標系における極お
よび零点の座標を算出し、制御系が安定しないz座標系
の極および零点の座標の場合前記変数設定部で設定した
z座標系における極および零点の座標を変更した変数変
換部に入力して再びPID制御パラメータを算出させる
共振極推定部とをさらに有し、前記変数変換部は、前記
共振極推定部において共振特性に対する有効なz座標系
における極および零点の座標を推定したときフィードフ
ォワード制御パラメータを算出し、前記算出したPID
制御パラメータおよびフィードフォワード制御パラメー
タを前記フィードフォワード制御演算部に設定し、前記
算出したPID制御パラメータを前記フィードバック制
御演算部に設定する。
【0013】特定的には、前記フィードフォワード制御
演算部における制御演算は下記第1式で規定され、前記
フィードバック制御演算部における制御演算は下記第2
式で規定される。
演算部における制御演算は下記第1式で規定され、前記
フィードバック制御演算部における制御演算は下記第2
式で規定される。
【0014】
【数5】
【0015】
【数6】
【0016】本発明の第2の観点によれば、制御対象お
よび/または該制御対象のアクチュエータにばね特性を
有する制御系をフィードフォワード制御演算およびフィ
ードバック制御演算を離散時間方法で制御するとき、前
記ばね特性の共振特性を相殺するように前記フィードフ
ォワード制御演算の制御パラメータおよび前記フィード
バック制御演算の制御パラメータを設定して、前記制御
対象および/またはアクチュエータのばね特性を相殺し
て制御する振動相殺型サーボ制御方法が提供される。
よび/または該制御対象のアクチュエータにばね特性を
有する制御系をフィードフォワード制御演算およびフィ
ードバック制御演算を離散時間方法で制御するとき、前
記ばね特性の共振特性を相殺するように前記フィードフ
ォワード制御演算の制御パラメータおよび前記フィード
バック制御演算の制御パラメータを設定して、前記制御
対象および/またはアクチュエータのばね特性を相殺し
て制御する振動相殺型サーボ制御方法が提供される。
【0017】本発明の第3の観点によれば、制御対象お
よび/または該制御対象のアクチュエータにばね特性を
有する制御系を離散時間方法で制御する制御方法であっ
て、該制御方法は、目標指令信号と前記制御対象の位置
または角度検出信号との差を求め、制御系の伝達関数の
零点で駆動系共振極を相殺するように決定された制御パ
ラメータを用いて該算出した偏差に応じてフィードバッ
ク制御演算を行い、制御系の伝達関数の零点で駆動系共
振極を相殺するように決定された制御パラメータを用い
て目標指令信号についてフィードフォワード制御演算を
行い、前記フィードバック制御演算結果と前記フィード
フォワード制御演算結果とを加算してアクチュエータを
駆動する振動相殺型サーボ制御方法が提供される。
よび/または該制御対象のアクチュエータにばね特性を
有する制御系を離散時間方法で制御する制御方法であっ
て、該制御方法は、目標指令信号と前記制御対象の位置
または角度検出信号との差を求め、制御系の伝達関数の
零点で駆動系共振極を相殺するように決定された制御パ
ラメータを用いて該算出した偏差に応じてフィードバッ
ク制御演算を行い、制御系の伝達関数の零点で駆動系共
振極を相殺するように決定された制御パラメータを用い
て目標指令信号についてフィードフォワード制御演算を
行い、前記フィードバック制御演算結果と前記フィード
フォワード制御演算結果とを加算してアクチュエータを
駆動する振動相殺型サーボ制御方法が提供される。
【0018】本発明の第4の観点によれば、制御対象お
よび/または該制御対象のアクチュエータにばね特性を
有する制御系をフィードフォワード制御およびフィード
バック制御を離散時間方法で制御する制御方法における
制御パラメータを算出する方法であって、PID制御パ
ラメータを算出するためのz座標系における伝達関数の
極点の座標および零点の座標の初期値を設定する初期値
設定工程と、前記変数設定部によって設定された初期値
からPID制御パラメータを算出する変数変換工程と、
該算出したPID制御パラメータから制御系の共振特性
を推定して、制御系が安定するz座標系の極および零点
の座標の場合z座標系における極および零点の座標を算
出し、制御系が安定しないz座標系の極および零点の座
標の場合前記設定されたz座標系における極および零点
の座標を変更した再度、変数変換部に入力して再びPI
D制御パラメータを算出させる共振極推定工程とを有す
る振動相殺型サーボ制御用パラメータ算出方法が提供さ
れる。
よび/または該制御対象のアクチュエータにばね特性を
有する制御系をフィードフォワード制御およびフィード
バック制御を離散時間方法で制御する制御方法における
制御パラメータを算出する方法であって、PID制御パ
ラメータを算出するためのz座標系における伝達関数の
極点の座標および零点の座標の初期値を設定する初期値
設定工程と、前記変数設定部によって設定された初期値
からPID制御パラメータを算出する変数変換工程と、
該算出したPID制御パラメータから制御系の共振特性
を推定して、制御系が安定するz座標系の極および零点
の座標の場合z座標系における極および零点の座標を算
出し、制御系が安定しないz座標系の極および零点の座
標の場合前記設定されたz座標系における極および零点
の座標を変更した再度、変数変換部に入力して再びPI
D制御パラメータを算出させる共振極推定工程とを有す
る振動相殺型サーボ制御用パラメータ算出方法が提供さ
れる。
【0019】本発明では駆動系に含まれるばね要素によ
って生じる駆動系先端での振動を軽減するために制御系
の伝達関数の零点で駆動系共振極を相殺することにより
振動を低減させる。すなわち、あらかじめ測定した、制
御対象である駆動部の時定数T0 およびゲインK、共振
極pr ±pi j、共振零点zr ±zi jに基づき、共振
極推定部で制御時の共振極の位置を推定する。次に変数
変換部で上記推定共振極と同じ位置に制御系零点を配置
するような制御パラメータを算出する。この制御パラメ
ータで動作制御を行うことで、従来なら駆動部の共振に
起因して非常に振動が大きくなる制御系共振周波数にお
いて、制御パラメータである目標値フィードフォワード
ゲインおよび目標速度フィードフォワードゲインによっ
て決まる制御系零点により制御系伝達関数が一種のノッ
チフィルタ特性を持ち、振動が著しく抑えられる。即
ち、制御系の零点により、共振による制御系共振極が相
殺され、駆動部先端までの伝達関数をみると駆動系共振
極がない場合と同じ伝達関数式となる。以上の効果によ
り駆動部先端はあたかも共振がないかのように挙動し、
駆動部先端での振動は従来に比べ著しく小さくなる。
って生じる駆動系先端での振動を軽減するために制御系
の伝達関数の零点で駆動系共振極を相殺することにより
振動を低減させる。すなわち、あらかじめ測定した、制
御対象である駆動部の時定数T0 およびゲインK、共振
極pr ±pi j、共振零点zr ±zi jに基づき、共振
極推定部で制御時の共振極の位置を推定する。次に変数
変換部で上記推定共振極と同じ位置に制御系零点を配置
するような制御パラメータを算出する。この制御パラメ
ータで動作制御を行うことで、従来なら駆動部の共振に
起因して非常に振動が大きくなる制御系共振周波数にお
いて、制御パラメータである目標値フィードフォワード
ゲインおよび目標速度フィードフォワードゲインによっ
て決まる制御系零点により制御系伝達関数が一種のノッ
チフィルタ特性を持ち、振動が著しく抑えられる。即
ち、制御系の零点により、共振による制御系共振極が相
殺され、駆動部先端までの伝達関数をみると駆動系共振
極がない場合と同じ伝達関数式となる。以上の効果によ
り駆動部先端はあたかも共振がないかのように挙動し、
駆動部先端での振動は従来に比べ著しく小さくなる。
【0020】好適には、制御則として2自由度PID制
御則を用い、目標値フィードフォワードおよび目標速度
フィードフォワードによって決まる制御系の零点が駆動
系共振極を相殺することにより振動を軽減させる。さら
に好ましくは、制御系の伝達関数の零点が駆動系共振極
を相殺するような目標値フィードフォワードゲイン、目
標速度フィードフォワードゲインを算出する算出方法に
従って目標値フィードフォワードゲイン、目標速度フィ
ードフォワードゲインを算出し、上記制御を行う。
御則を用い、目標値フィードフォワードおよび目標速度
フィードフォワードによって決まる制御系の零点が駆動
系共振極を相殺することにより振動を軽減させる。さら
に好ましくは、制御系の伝達関数の零点が駆動系共振極
を相殺するような目標値フィードフォワードゲイン、目
標速度フィードフォワードゲインを算出する算出方法に
従って目標値フィードフォワードゲイン、目標速度フィ
ードフォワードゲインを算出し、上記制御を行う。
【0021】好適には、制御時の駆動系共振極を制御モ
デルによる式から推定し、制御系零点が上記推定共振極
を相殺するよう目標値フィードフォワードゲインおよび
目標速度フィードフォワードゲインを算出し上記制御を
行う。
デルによる式から推定し、制御系零点が上記推定共振極
を相殺するよう目標値フィードフォワードゲインおよび
目標速度フィードフォワードゲインを算出し上記制御を
行う。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の振動相殺型サーボ
制御方法と装置の実施の形態を述べる。図1は本発明の
実施の形態としての振動相殺型サーボ制御装置の構成を
示す図である。図1に図解した振動相殺型サーボ制御装
置は、モータドライバ2を介してモータ1を駆動制御す
るため、制御器100およびエンコーダ200を有す
る。モータ1は図示しない制御対象、たとえば、産業用
ロボットのアーム、電子部品装着機の搬送機構などの制
御対象を駆動する。エンコーダ200は制御対象の位置
または角度、あるいは、モータ1の回転位置または回転
角度を検出する。本明細書においては、便宜的に、目標
指令が目標位置指令Pref として与えられ、エンコーダ
200はモータ1の回転角度を検出し、それを積分して
実際の位置信号を出力する場合を例示する。しかしなが
ら、エンコーダ200は回転角度そのものを検出し、そ
の値を出力する一方、目標指令は目標角度指令Aref と
して与えることも可能である。
制御方法と装置の実施の形態を述べる。図1は本発明の
実施の形態としての振動相殺型サーボ制御装置の構成を
示す図である。図1に図解した振動相殺型サーボ制御装
置は、モータドライバ2を介してモータ1を駆動制御す
るため、制御器100およびエンコーダ200を有す
る。モータ1は図示しない制御対象、たとえば、産業用
ロボットのアーム、電子部品装着機の搬送機構などの制
御対象を駆動する。エンコーダ200は制御対象の位置
または角度、あるいは、モータ1の回転位置または回転
角度を検出する。本明細書においては、便宜的に、目標
指令が目標位置指令Pref として与えられ、エンコーダ
200はモータ1の回転角度を検出し、それを積分して
実際の位置信号を出力する場合を例示する。しかしなが
ら、エンコーダ200は回転角度そのものを検出し、そ
の値を出力する一方、目標指令は目標角度指令Aref と
して与えることも可能である。
【0023】制御器100は、制御演算部10と、D/
A変換器20と、サンプリング回路30と、変数変換部
40と、変数設定部50と、共振極推定部70とを有す
る。制御演算部10は、減算器12、フィードフォワー
ド(FF)制御演算部14、フィードバック(FB)制
御演算部16、加算器18を有する。減算器12は、目
標位置指令Pref からエンコーダ200で検出した位置
信号を減算して位置偏差を算出する。フィードバック
(FB)制御演算部16は、減算器12で算出した位置
偏差について、下記式1で規定されるPID制御演算を
行う。FF制御演算部14は目標位置指令Pref につい
て下記式2で規定される制御演算を行う。加算器18
は、FB制御演算部16における演算結果とFF制御演
算部14における制御演算結果とを加算してD/A変換
器20に出力する。
A変換器20と、サンプリング回路30と、変数変換部
40と、変数設定部50と、共振極推定部70とを有す
る。制御演算部10は、減算器12、フィードフォワー
ド(FF)制御演算部14、フィードバック(FB)制
御演算部16、加算器18を有する。減算器12は、目
標位置指令Pref からエンコーダ200で検出した位置
信号を減算して位置偏差を算出する。フィードバック
(FB)制御演算部16は、減算器12で算出した位置
偏差について、下記式1で規定されるPID制御演算を
行う。FF制御演算部14は目標位置指令Pref につい
て下記式2で規定される制御演算を行う。加算器18
は、FB制御演算部16における演算結果とFF制御演
算部14における制御演算結果とを加算してD/A変換
器20に出力する。
【0024】
【数7】
【0025】
【数8】
【0026】D/A変換器20は、制御演算部10の加
算器18から出力されたディジタル形式の制御信号をア
ナログ形式の制御信号に変換してモータドライバ2に印
加する。モータドライバ2はD/A変換器20から与え
られた制御信号に従ってモータ1に供給する電力を調整
してモータ1の回転動作を制御する。モータ1は制御対
象を駆動させ、その制御対象の位置がエンコーダ200
によって検出される。サンプリング回路30は所定のサ
ンプリング周期Tでエンコーダ200の信号を制御演算
部10の減算器12に印加する。制御器100において
上述した制御演算が反復して行われる。
算器18から出力されたディジタル形式の制御信号をア
ナログ形式の制御信号に変換してモータドライバ2に印
加する。モータドライバ2はD/A変換器20から与え
られた制御信号に従ってモータ1に供給する電力を調整
してモータ1の回転動作を制御する。モータ1は制御対
象を駆動させ、その制御対象の位置がエンコーダ200
によって検出される。サンプリング回路30は所定のサ
ンプリング周期Tでエンコーダ200の信号を制御演算
部10の減算器12に印加する。制御器100において
上述した制御演算が反復して行われる。
【0027】制御器100の制御内容は、特開平8−1
71402号公報などに記載された制御方式、すなわ
ち、2自由度PID制御に類似している。ただし、特開
平8−171402号公報などに開示された従来の2自
由度PID制御においては、フィードフォワード(F
F)制御演算部において制御の高速化のための制御演算
を行うが、図1に図解した振動相殺型サーボ制御装置に
おけるフィードフォワード(FF)制御演算部14にお
いては、振動低減のための演算を行う。その詳細は後述
する。
71402号公報などに記載された制御方式、すなわ
ち、2自由度PID制御に類似している。ただし、特開
平8−171402号公報などに開示された従来の2自
由度PID制御においては、フィードフォワード(F
F)制御演算部において制御の高速化のための制御演算
を行うが、図1に図解した振動相殺型サーボ制御装置に
おけるフィードフォワード(FF)制御演算部14にお
いては、振動低減のための演算を行う。その詳細は後述
する。
【0028】変数変換部40、変数設定部50および共
振極推定部70は協動してPID制御パラメータ、すな
わち、比例ゲインkp 、積分ゲインki 、微分ゲインk
d 、0次フィードフォワードゲインα、一次(速度)フ
ィードフォワードゲインβを算出する。算出されたPI
D制御パラメータkp 、ki 、kd 、α、βは、FF制
御演算部14およびFB制御演算部16に設定される。
したがって、変数変換部40、変数設定部50および共
振極推定部70によってPID制御パラメータkp 、k
i 、kd 、α、βを適切な値に算出し、それらの制御パ
ラメータをFF制御演算部14およびFB制御演算部1
6に設定すれば、比例動作、微分動作、積分動作の効果
により、モータ1を介して制御対象を良好に制御でき
る。さらに、変数設定部50および共振極推定部70か
ら変数変換部40に入力する伝達関数のz座標系におけ
る極、零点の指令値a、b、c、f、gの算出結果によ
れば試行錯誤によらず、伝達関数のz座標系における
極、零点の指令値a、b、c、f、gおよびPID制御
パラメータkp 、ki 、kd 、α、βを求めることがで
き調整も容易になる。
振極推定部70は協動してPID制御パラメータ、すな
わち、比例ゲインkp 、積分ゲインki 、微分ゲインk
d 、0次フィードフォワードゲインα、一次(速度)フ
ィードフォワードゲインβを算出する。算出されたPI
D制御パラメータkp 、ki 、kd 、α、βは、FF制
御演算部14およびFB制御演算部16に設定される。
したがって、変数変換部40、変数設定部50および共
振極推定部70によってPID制御パラメータkp 、k
i 、kd 、α、βを適切な値に算出し、それらの制御パ
ラメータをFF制御演算部14およびFB制御演算部1
6に設定すれば、比例動作、微分動作、積分動作の効果
により、モータ1を介して制御対象を良好に制御でき
る。さらに、変数設定部50および共振極推定部70か
ら変数変換部40に入力する伝達関数のz座標系におけ
る極、零点の指令値a、b、c、f、gの算出結果によ
れば試行錯誤によらず、伝達関数のz座標系における
極、零点の指令値a、b、c、f、gおよびPID制御
パラメータkp 、ki 、kd 、α、βを求めることがで
き調整も容易になる。
【0029】変数変換部40、変数設定部50および共
振極推定部70の協動による制御パラメータkp 、
ki 、kd 、α、βの算出方法について述べる。変数変
換部40は、特開平8−171402号公報に記載した
内容と同様、z座標系における極および零点の座標から
制御パラメータkp 、ki 、kd 、α、βに変換する。
なお、特開平8−171402号公報においては最適極
配置演算部で算出したz座標系における極および零点を
変数変換部においてPID制御パラメータに変換するだ
けであったが、本実施例においては変数設定部50で比
例ゲインkp 、積分ゲインki および微分ゲインkd に
関係するz座標系における極および零点の座標を変数変
換部40に設定し、変数変換部40において比例ゲイン
kp 、積分ゲインki 、微分ゲインkd を算出し、共振
極推定部70が算出された比例ゲイン、積分ゲインおよ
び微分ゲインを用いて0次フィードフォワードゲインα
および1次(速度)フィードフォワードゲインβを算出
するためのz座標系の極および零点を算出して、変数変
換部40がそれら共振極推定部70で算出したパラメー
タを用いて0次フィードフォワードゲインαおよび1次
(速度)フィードフォワードゲインβを算出する。変数
変換部40において算出された比例ゲインkp 、積分ゲ
インki 、微分ゲインkd 、0次フィードフォワード・
ゲインα、速度フィードフォワード・ゲインβは制御演
算部10におけるFF制御演算部14およびFB制御演
算部16に設定されて実際の制御に使用される。
振極推定部70の協動による制御パラメータkp 、
ki 、kd 、α、βの算出方法について述べる。変数変
換部40は、特開平8−171402号公報に記載した
内容と同様、z座標系における極および零点の座標から
制御パラメータkp 、ki 、kd 、α、βに変換する。
なお、特開平8−171402号公報においては最適極
配置演算部で算出したz座標系における極および零点を
変数変換部においてPID制御パラメータに変換するだ
けであったが、本実施例においては変数設定部50で比
例ゲインkp 、積分ゲインki および微分ゲインkd に
関係するz座標系における極および零点の座標を変数変
換部40に設定し、変数変換部40において比例ゲイン
kp 、積分ゲインki 、微分ゲインkd を算出し、共振
極推定部70が算出された比例ゲイン、積分ゲインおよ
び微分ゲインを用いて0次フィードフォワードゲインα
および1次(速度)フィードフォワードゲインβを算出
するためのz座標系の極および零点を算出して、変数変
換部40がそれら共振極推定部70で算出したパラメー
タを用いて0次フィードフォワードゲインαおよび1次
(速度)フィードフォワードゲインβを算出する。変数
変換部40において算出された比例ゲインkp 、積分ゲ
インki 、微分ゲインkd 、0次フィードフォワード・
ゲインα、速度フィードフォワード・ゲインβは制御演
算部10におけるFF制御演算部14およびFB制御演
算部16に設定されて実際の制御に使用される。
【0030】変数変換部40、変数設定部50および共
振極推定部70における上述した制御パラメータの算出
方法を述べる前に、本発明の実施の形態において適用す
る制御演算の数学モデルについて述べる。なお、制御対
象の時定数をT0 とし、制御演算部10およびサンプリ
ング回路30のサンプリング間隔(サンプリング周期)
をTとする。一般的に述べると、図1に図解した振動相
殺型サーボ制御装置によって制御される制御系の閉ルー
プ伝達関数G(z)は下記式3で表すことができる。
振極推定部70における上述した制御パラメータの算出
方法を述べる前に、本発明の実施の形態において適用す
る制御演算の数学モデルについて述べる。なお、制御対
象の時定数をT0 とし、制御演算部10およびサンプリ
ング回路30のサンプリング間隔(サンプリング周期)
をTとする。一般的に述べると、図1に図解した振動相
殺型サーボ制御装置によって制御される制御系の閉ルー
プ伝達関数G(z)は下記式3で表すことができる。
【0031】
【数9】
【0032】ただし、式3における変数P,A,Bは下
記式4〜6で表される。
記式4〜6で表される。
【0033】
【数10】
【0034】
【数11】
【0035】
【数12】
【0036】式3に示した伝達関数G(z)の分母の多
項式は5次であり、分子の多項式は3次であるから、伝
達関数G(z)のz座標系における極点の座標:a±b
j,c,d,e、および、零点の座標:f±gj,−A
/Bの位置関係は、図2に図解したようになる。jは虚
数を表す演算子である。なお図2に図解した位置関係に
限らず、他の位置関係も可能であるが、図2に図解した
位置関係が現実的である。図2に図解した位置関係にお
いては、極点a±bjがz=1に最も近く、極点c,d
の順でz=1から遠ざかる。極点の1つは必ず実軸上に
位置し、実軸上の極点をeとする。零点−A/Bの位置
は制御パラメータの値によらず一定である。図2に図解
した極点および零点のz座標系を用いて式3を下記式7
のごとく書き換えることができる。
項式は5次であり、分子の多項式は3次であるから、伝
達関数G(z)のz座標系における極点の座標:a±b
j,c,d,e、および、零点の座標:f±gj,−A
/Bの位置関係は、図2に図解したようになる。jは虚
数を表す演算子である。なお図2に図解した位置関係に
限らず、他の位置関係も可能であるが、図2に図解した
位置関係が現実的である。図2に図解した位置関係にお
いては、極点a±bjがz=1に最も近く、極点c,d
の順でz=1から遠ざかる。極点の1つは必ず実軸上に
位置し、実軸上の極点をeとする。零点−A/Bの位置
は制御パラメータの値によらず一定である。図2に図解
した極点および零点のz座標系を用いて式3を下記式7
のごとく書き換えることができる。
【0037】
【数13】
【0038】式3と式7との分母の多項式の係数比較を
行うと下記の連立方程式が得られる。
行うと下記の連立方程式が得られる。
【0039】
【数14】
【0040】
【数15】
【0041】
【数16】
【0042】
【数17】
【0043】
【数18】
【0044】式8〜式12の連立方程式から極点配置に
関する変数変換部40における変数変換の式が得られ
る。すなわち、極点の位置を指定して制御演算部10に
おいて用いるPID制御パラメータ:比例ゲインkp 、
積分ゲインki 、微分ゲインkd が得られる。
関する変数変換部40における変数変換の式が得られ
る。すなわち、極点の位置を指定して制御演算部10に
おいて用いるPID制御パラメータ:比例ゲインkp 、
積分ゲインki 、微分ゲインkd が得られる。
【0045】式3と式7に示した分子の多項式の係数の
比較を行うと下記の式13〜14に示す連立方程式が得
られる。
比較を行うと下記の式13〜14に示す連立方程式が得
られる。
【0046】
【数19】
【0047】
【数20】
【0048】式13と式14とから零点配置に関する変
数変換の式が得られる。すなわち、零点の位置を指定し
て0次フィードフォワードゲインαと速度フィードフォ
ワードゲインβを求める式が得られる。すなわち、式8
〜式12から極点の配置に関する変数変換の式を得る。
数変換の式が得られる。すなわち、零点の位置を指定し
て0次フィードフォワードゲインαと速度フィードフォ
ワードゲインβを求める式が得られる。すなわち、式8
〜式12から極点の配置に関する変数変換の式を得る。
【0049】
【数21】
【0050】
【数22】
【0051】極点の座標からPID制御パラメータ
kp 、ki 、kd を算出するから、これら3つのPID
制御パラメータを変数とする。しかし、式8〜式12の
方程式が5つあるので変数を5つにする必要がある。そ
こで、極点d,eの座標を3つのPID制御パラメータ
に加えて、式7〜式11からPID制御パラメータ
kp 、ki 、kd を算出する。なお、図2に図解した極
点の位置は完全に独立しておらず、極点a±bj,c,
d,eのうち極点a,b,cの座標を指定すると座標
d,eの位置が定まる。この方法によって式8〜式12
を変形すると、PID制御パラメータkp 、ki 、kd
についての下記式17〜式19が得られる。
kp 、ki 、kd を算出するから、これら3つのPID
制御パラメータを変数とする。しかし、式8〜式12の
方程式が5つあるので変数を5つにする必要がある。そ
こで、極点d,eの座標を3つのPID制御パラメータ
に加えて、式7〜式11からPID制御パラメータ
kp 、ki 、kd を算出する。なお、図2に図解した極
点の位置は完全に独立しておらず、極点a±bj,c,
d,eのうち極点a,b,cの座標を指定すると座標
d,eの位置が定まる。この方法によって式8〜式12
を変形すると、PID制御パラメータkp 、ki 、kd
についての下記式17〜式19が得られる。
【0052】
【数23】
【0053】
【数24】
【0054】
【数25】
【0055】ただし、式17〜19における変数P,
A,Bは式4〜6に示したとおりである。下記に変数
P,A,Bの演算式を示す。
A,Bは式4〜6に示したとおりである。下記に変数
P,A,Bの演算式を示す。
【0056】
【数26】 P=exp(−T/T0 ) A=−T0 (P−1)−TP A=T0 (P−1)+T
【0057】2次方程式である式15を解くと2つの極
点dの位置を求めることができる。しかし極点dが1以
上のときは制御系が不安定になり、極点dが0以下だと
制御系が反応しなくなる。したがって、極点dは下記式
20で規定される。なお、式20を満足する解が存在し
ない場合は、希望する極点配置を満たすPID制御パラ
メータkp 、ki 、kd は存在しない。
点dの位置を求めることができる。しかし極点dが1以
上のときは制御系が不安定になり、極点dが0以下だと
制御系が反応しなくなる。したがって、極点dは下記式
20で規定される。なお、式20を満足する解が存在し
ない場合は、希望する極点配置を満たすPID制御パラ
メータkp 、ki 、kd は存在しない。
【0058】
【数27】 0<d≦1 (20)
【0059】以上のようにして得られた極点dの座標を
式16に代入すると極点eの座標が求められる。極点
d,eの座標を式17に代入すると比例ゲインkp が求
められる。極点d,eの座標および比例ゲインkp を式
18に代入すると積分ゲインki が求められる。極点
d,eの座標、比例ゲインkp および積分ゲインki を
式19に代入すると微分ゲインkd が求められる。以上
のように、極点a,b,cの座標を指定すると、極点
d,eの座標および比例ゲインkp 、積分ゲインki、
微分ゲインkd を求めることができる。
式16に代入すると極点eの座標が求められる。極点
d,eの座標を式17に代入すると比例ゲインkp が求
められる。極点d,eの座標および比例ゲインkp を式
18に代入すると積分ゲインki が求められる。極点
d,eの座標、比例ゲインkp および積分ゲインki を
式19に代入すると微分ゲインkd が求められる。以上
のように、極点a,b,cの座標を指定すると、極点
d,eの座標および比例ゲインkp 、積分ゲインki、
微分ゲインkd を求めることができる。
【0060】式13および式14から零点の配置に関す
る変数変換式を求める。式13および式14を変形して
得られる式にPID制御パラメータkp 、ki 、kd お
よび零点f,gの座標を代入すると、下記式21に示す
0次フィードフォワードゲインαおよび下記式22に示
す速度フィードフォワードゲインβを算出できる。な
お、一般的に言えば、零点f,gには制限はないから任
意の位置に零点f,gを配置することができるが、本実
施の形態においては、共振極推定部70において共振特
性を相殺する位置に選択する。
る変数変換式を求める。式13および式14を変形して
得られる式にPID制御パラメータkp 、ki 、kd お
よび零点f,gの座標を代入すると、下記式21に示す
0次フィードフォワードゲインαおよび下記式22に示
す速度フィードフォワードゲインβを算出できる。な
お、一般的に言えば、零点f,gには制限はないから任
意の位置に零点f,gを配置することができるが、本実
施の形態においては、共振極推定部70において共振特
性を相殺する位置に選択する。
【0061】
【数28】
【0062】
【数29】
【0063】変数変換部40、変数設定部50および共
振極推定部70は上述した処理を行う。
振極推定部70は上述した処理を行う。
【0064】図3および図6を参照してこれらの制御パ
ラメータの算出方法について述べる。まず、図3を参照
して制御演算部10の制御パラメータを算出する方法を
述べる。図3は制御パラメータを算出する処理を示すフ
ローチャートである。
ラメータの算出方法について述べる。まず、図3を参照
して制御演算部10の制御パラメータを算出する方法を
述べる。図3は制御パラメータを算出する処理を示すフ
ローチャートである。
【0065】ステップ1:振動相殺型サーボ制御装置の
設計を行う制御解析者は、事前に、極、零点の座標値
a、b、cの初期値を決定しておく。初期値決定方法と
しては、極の座標の初期値a、b、cを制御系への要求
仕様に従って適当に定める。通常はaおよびcは制御系
が発振しない程度の小さな負の値とし、振動性を抑える
ためb=0とすることが望ましい。制御解析者または制
御装置操作者は、このようにして決定した極、零点の座
標値a、b、cの初期値を、変数設定部50から変数変
換部40に入力する。
設計を行う制御解析者は、事前に、極、零点の座標値
a、b、cの初期値を決定しておく。初期値決定方法と
しては、極の座標の初期値a、b、cを制御系への要求
仕様に従って適当に定める。通常はaおよびcは制御系
が発振しない程度の小さな負の値とし、振動性を抑える
ためb=0とすることが望ましい。制御解析者または制
御装置操作者は、このようにして決定した極、零点の座
標値a、b、cの初期値を、変数設定部50から変数変
換部40に入力する。
【0066】ステップ2:変数変換部40において、
a、b、cを式15に代入して2次方程式を解き、2つ
の解のうち0<d≦1となるものをdとする。
a、b、cを式15に代入して2次方程式を解き、2つ
の解のうち0<d≦1となるものをdとする。
【0067】ステップ3:変数変換部40において、
a、b、c、dを式16に代入してeを求める。
a、b、c、dを式16に代入してeを求める。
【0068】ステップ4:変数変換部40において、
a、b、c、d、eを式17に代入して比例ゲインkp
を求める。
a、b、c、d、eを式17に代入して比例ゲインkp
を求める。
【0069】ステップ5:変数変換部40において、
a、b、c、d、e、kp を式18に代入して積分ゲイ
ンki を求める。
a、b、c、d、e、kp を式18に代入して積分ゲイ
ンki を求める。
【0070】ステップ6:変数変換部40において、
a、b、c、d、e、kp 、ki を式19に代入して微
分ゲインkd を求める。
a、b、c、d、e、kp 、ki を式19に代入して微
分ゲインkd を求める。
【0071】ステップ7:変数変換部40は、上述の方
法で得られた比例ゲインkp 、積分ゲインki 、微分ゲ
インkd を共振極推定部70に与える。
法で得られた比例ゲインkp 、積分ゲインki 、微分ゲ
インkd を共振極推定部70に与える。
【0072】共振極推定部70は、ゲインkp 、ki 、
kd の値によって決まる、図2に図解した制御系の共振
極の位置を推定し、この推定値を制御系の零点の指定座
標値をf±gjとする。すなわち、制御系の共振極を制
御系の零点を一致させ、その影響を相殺する。共振極推
定部70の詳細な処理内容については後述する。
kd の値によって決まる、図2に図解した制御系の共振
極の位置を推定し、この推定値を制御系の零点の指定座
標値をf±gjとする。すなわち、制御系の共振極を制
御系の零点を一致させ、その影響を相殺する。共振極推
定部70の詳細な処理内容については後述する。
【0073】ステップ8:変数変換部40は共振極推定
部70で算出されたパラメータf、g、および、すでに
求めた比例ゲインki を式21に代入して0次フィード
フォワードゲインαを求める。
部70で算出されたパラメータf、g、および、すでに
求めた比例ゲインki を式21に代入して0次フィード
フォワードゲインαを求める。
【0074】ステップ9:変数変換部40は、f、g、
ki 、kd を式22に代入して速度フィードフォワード
ゲインβを求める。
ki 、kd を式22に代入して速度フィードフォワード
ゲインβを求める。
【0075】ステップ10:変数変換部40は、算出し
たゲインkp 、ki 、kd 、α、βを制御演算部10の
FF制御演算部14およびFB制御演算部16に出力す
る。FF制御演算部14およびFB制御演算部16は変
数変換部40で算出した上記パラメータを用いて式1お
よび式2に従って制御演算を行う。
たゲインkp 、ki 、kd 、α、βを制御演算部10の
FF制御演算部14およびFB制御演算部16に出力す
る。FF制御演算部14およびFB制御演算部16は変
数変換部40で算出した上記パラメータを用いて式1お
よび式2に従って制御演算を行う。
【0076】共振極推定部70の処理内容について述べ
る。まず共振極推定部70による共振極の影響を相殺す
ることについて述べる。制御対象である駆動系および制
御装置からなる制御系では制御により駆動系の共振極と
は異なる位置に共振極がずれる。これに対応して共振極
推定部70は制御時の共振極を推定する。この推定値を
変数変換部40の零点の座標として入力する。これによ
りFF制御演算部14におけるフィードフォワード制御
による制御系の零点が制御時の駆動系共振極と一致し目
標値応答では駆動系共振極の影響が相殺される。
る。まず共振極推定部70による共振極の影響を相殺す
ることについて述べる。制御対象である駆動系および制
御装置からなる制御系では制御により駆動系の共振極と
は異なる位置に共振極がずれる。これに対応して共振極
推定部70は制御時の共振極を推定する。この推定値を
変数変換部40の零点の座標として入力する。これによ
りFF制御演算部14におけるフィードフォワード制御
による制御系の零点が制御時の駆動系共振極と一致し目
標値応答では駆動系共振極の影響が相殺される。
【0077】次いで共振極推定部70の処理内容の詳細
を述べる。ばね要素を有する駆動系は一般化して図4の
ような2慣性系として表される。図4において、2つの
慣性がばね要素を介して連結されている。上記駆動系の
伝達関数は一般に式23として表される。
を述べる。ばね要素を有する駆動系は一般化して図4の
ような2慣性系として表される。図4において、2つの
慣性がばね要素を介して連結されている。上記駆動系の
伝達関数は一般に式23として表される。
【0078】
【数30】
【0079】記号J1 は慣性1のイナーシャ、記号J2
は慣性2のイナーシャ、記号Kはばね要素、記号D1 は
慣性1の粘性摩擦、記号D2 は慣性2の粘性摩擦を表
す。
は慣性2のイナーシャ、記号Kはばね要素、記号D1 は
慣性1の粘性摩擦、記号D2 は慣性2の粘性摩擦を表
す。
【0080】図5(A)、(B)はそれぞれ上述した2
慣性系の周波数特性を示すグラフであり、図5(A)は
振幅特性を示すグラフであり、図5(B)は位相特性を
示すグラフである。図5(A)の曲線A0はばね要素が
ない場合の振幅特性を示し、曲線A1はばね要素がある
場合の振幅特性を示す。図5(B)の曲線P0はばね要
素がない場合の位相特性を示し、曲線P1はばね要素が
ある場合の位相特性を示す。ばね要素がない場合とは、
ばね要素の代わりに理想的な剛体で連結されていると仮
定した場合である。ばね要素がある場合は、ばね要素が
ない場合にくらべ共振特性の共振極による振幅極大値お
よび共振特性の共振零点による振幅極小値が見られる。
慣性系の周波数特性を示すグラフであり、図5(A)は
振幅特性を示すグラフであり、図5(B)は位相特性を
示すグラフである。図5(A)の曲線A0はばね要素が
ない場合の振幅特性を示し、曲線A1はばね要素がある
場合の振幅特性を示す。図5(B)の曲線P0はばね要
素がない場合の位相特性を示し、曲線P1はばね要素が
ある場合の位相特性を示す。ばね要素がない場合とは、
ばね要素の代わりに理想的な剛体で連結されていると仮
定した場合である。ばね要素がある場合は、ばね要素が
ない場合にくらべ共振特性の共振極による振幅極大値お
よび共振特性の共振零点による振幅極小値が見られる。
【0081】式23で示した伝達関数式は下記式24の
ように書き直せる。
ように書き直せる。
【0082】
【数31】
【0083】式24から式23に示した伝達関数は、一
慣性系:K/s(T0 s+1)に2次進み要素:(s+
zr +zi j)(s−zr −zi j)、2次遅れ要素:
1/(s−pr +pi j)(s−pr −pi j)および
ゲインKf を掛け合わせたものと考えることができる。
sはラプラス演算子を示す。Kf は式24と式23との
振幅周波数特性を同一とするような定数ゲインである。
慣性系:K/s(T0 s+1)に2次進み要素:(s+
zr +zi j)(s−zr −zi j)、2次遅れ要素:
1/(s−pr +pi j)(s−pr −pi j)および
ゲインKf を掛け合わせたものと考えることができる。
sはラプラス演算子を示す。Kf は式24と式23との
振幅周波数特性を同一とするような定数ゲインである。
【0084】上述のような伝達関数を持つ駆動部を、図
1に示す制御演算部10で制御したときの制御系全体の
伝達関数G(z)は式25で表すことができる。
1に示す制御演算部10で制御したときの制御系全体の
伝達関数G(z)は式25で表すことができる。
【0085】
【数32】
【0086】制御対象の伝達関数を下記式26に示す離
散系伝達関数として示す。式26におけるゲインK’f
は式26と式24の振幅周波数特性を同一とするような
定数ゲインである。
散系伝達関数として示す。式26におけるゲインK’f
は式26と式24の振幅周波数特性を同一とするような
定数ゲインである。
【0087】
【数33】
【0088】離散系での駆動部の共振極をPr ±Pi j
とし下記式27より求められる。離散系での駆動部の共
振零点をZr ±Zi jとし下記式28より求められる。
とし下記式27より求められる。離散系での駆動部の共
振零点をZr ±Zi jとし下記式28より求められる。
【0089】
【数34】
【0090】
【数35】
【0091】この制御系の伝達関数の極は下記式29で
表される特性方程式の根で与えられる。
表される特性方程式の根で与えられる。
【0092】
【数36】
【0093】ゲインkの極は式29から理解されるよう
に、制御演算部10において使用する制御パラメータk
p 、ki 、kd の値によって変化する。すなわち、制御
演算部10により駆動系の共振極の位置も変化する。こ
のとき、制御パラメータkp、ki 、kd は制御系が安
定となるように制御系の極の実部が負値となる値である
必要がある。このとき、上記制御系の極の中でもっとも
実部の絶対値の小さい極が応答の振動性が大きく駆動部
のばね要素による共振極と考えられる。そこで、共振極
推定部70においては変数変換部40において算出した
制御パラメータkp 、ki 、kd によって規定する式2
9の特性方程式の根のうち、実部の絶対値が最も小さい
ものを共振値として変数変換部40に出力する。このと
きの共振極推定部70における処理を図6にフローチャ
ートとして示す。図6を参照して共振極推定部70の処
理を述べる。
に、制御演算部10において使用する制御パラメータk
p 、ki 、kd の値によって変化する。すなわち、制御
演算部10により駆動系の共振極の位置も変化する。こ
のとき、制御パラメータkp、ki 、kd は制御系が安
定となるように制御系の極の実部が負値となる値である
必要がある。このとき、上記制御系の極の中でもっとも
実部の絶対値の小さい極が応答の振動性が大きく駆動部
のばね要素による共振極と考えられる。そこで、共振極
推定部70においては変数変換部40において算出した
制御パラメータkp 、ki 、kd によって規定する式2
9の特性方程式の根のうち、実部の絶対値が最も小さい
ものを共振値として変数変換部40に出力する。このと
きの共振極推定部70における処理を図6にフローチャ
ートとして示す。図6を参照して共振極推定部70の処
理を述べる。
【0094】ステップ21:共振極推定部70は、変数
変換部40で算出した制御パラメータkp 、ki 、kd
を入力する。
変換部40で算出した制御パラメータkp 、ki 、kd
を入力する。
【0095】ステップ22:共振極推定部70は式29
の特性方程式の根を求める。特性方程式の根を求める方
法としては、たとえば、式29を展開、整理し、コンパ
ニオン行列の固有値を求めるなど知られている方法を適
用できる。
の特性方程式の根を求める。特性方程式の根を求める方
法としては、たとえば、式29を展開、整理し、コンパ
ニオン行列の固有値を求めるなど知られている方法を適
用できる。
【0096】ステップ23:共振極推定部70は、制御
の安定を示す条件である、得られた根の実部がすべて負
の値であるかどうかを確認する。
の安定を示す条件である、得られた根の実部がすべて負
の値であるかどうかを確認する。
【0097】ステップ24〜25:実部が負でない極で
あったら制御系は安定ではない。制御系の安定状態にお
ける制御パラメータkp 、ki 、kd を見いだすため、
共振極推定部70は、変数設定部50で初期設定したパ
ラメータa、b、cの値を変更する。パラメータa,
b,cの値の更新(変更)方法としては、制御系が安定
に向かう方向にこれらのパラメータを少しずつ変更して
いく。
あったら制御系は安定ではない。制御系の安定状態にお
ける制御パラメータkp 、ki 、kd を見いだすため、
共振極推定部70は、変数設定部50で初期設定したパ
ラメータa、b、cの値を変更する。パラメータa,
b,cの値の更新(変更)方法としては、制御系が安定
に向かう方向にこれらのパラメータを少しずつ変更して
いく。
【0098】変数変換部40は変更されたパラメータ
a、b、cについて、図3を参照して述べた方法に従っ
て制御パラメータ制御パラメータkp 、ki 、kd を算
出しなおす。その後、ステップ21の処理に戻る。
a、b、cについて、図3を参照して述べた方法に従っ
て制御パラメータ制御パラメータkp 、ki 、kd を算
出しなおす。その後、ステップ21の処理に戻る。
【0099】ステップ26:制御系の安定状態を示す、
得られた根の実部が全て負の値である場合、共振極推定
部70は、得られた根のうち実部の絶対値が最小となる
極を選ぶ。
得られた根の実部が全て負の値である場合、共振極推定
部70は、得られた根のうち実部の絶対値が最小となる
極を選ぶ。
【0100】ステップ27:共振極推定部70は選択し
たパラメータf,gを変数変換部40に出力する。
たパラメータf,gを変数変換部40に出力する。
【0101】変数変換部40は共振極推定部70におい
て選択されたパラメータf,gを元に、式21および式
22に従って0次フィードフォワードゲインαおよび1
次(速度)フィードフォワードゲインβを算出する。
て選択されたパラメータf,gを元に、式21および式
22に従って0次フィードフォワードゲインαおよび1
次(速度)フィードフォワードゲインβを算出する。
【0102】フィードフォワード(FF)制御演算部1
4およびフィードバック(FB)制御演算部16は変数
変換部40から設定された上記制御パラメータkp 、k
i 、kd 、α、βを用いて式1および式2に規定された
制御演算を行う。
4およびフィードバック(FB)制御演算部16は変数
変換部40から設定された上記制御パラメータkp 、k
i 、kd 、α、βを用いて式1および式2に規定された
制御演算を行う。
【0103】以上のように、本実施の形態によれば、変
数変換部40、変数設定部50および共振極推定部70
によって、図1に図解したフィードフォワード(FF)
制御演算部14およびフィードバック(FB)制御演算
部16における制御パラメータを自動的に求めることが
できる。本実施の形態に基づいて求めた制御パラメータ
は制御系のばね特性の共振特性を相殺するように決定さ
れており、そのような制御パラメータを用いて制御対象
を制御すると、目標位置近傍で振動が発生せず、タクト
タイムを短縮できる。また本実施の形態によれば、ばね
特性を有する制御系におけるバネの振動の影響が少ない
ように振動相殺型サーボ制御用パラメータを算出するこ
とができる。この場合、特に、変数設定部50における
初期値の設定に厳しい条件はないから、作業が楽であ
る。
数変換部40、変数設定部50および共振極推定部70
によって、図1に図解したフィードフォワード(FF)
制御演算部14およびフィードバック(FB)制御演算
部16における制御パラメータを自動的に求めることが
できる。本実施の形態に基づいて求めた制御パラメータ
は制御系のばね特性の共振特性を相殺するように決定さ
れており、そのような制御パラメータを用いて制御対象
を制御すると、目標位置近傍で振動が発生せず、タクト
タイムを短縮できる。また本実施の形態によれば、ばね
特性を有する制御系におけるバネの振動の影響が少ない
ように振動相殺型サーボ制御用パラメータを算出するこ
とができる。この場合、特に、変数設定部50における
初期値の設定に厳しい条件はないから、作業が楽であ
る。
【0104】本発明の振動相殺型サーボ制御装置の実施
に際しては上述した振動相殺型サーボ制御装置に限ら
ず、種々の変形態様をとることができる。たとえば、図
1に例示したフィードフォワード(FF)制御演算部1
4の制御アルゴリズムは式1に例示したものに限らず、
種々のフィードフォワード制御アルゴリズムについて適
用できる。たとえば、式1のフィードフォワード制御演
算式について、加速度フィードフォワードゲインを付加
したり、式1の演算内容を変更することもできる。ま
た、図1に図解したフィードバック(FB)制御演算部
16の制御演算式も式2に限定されず、種々のPID制
御を行うことができる。
に際しては上述した振動相殺型サーボ制御装置に限ら
ず、種々の変形態様をとることができる。たとえば、図
1に例示したフィードフォワード(FF)制御演算部1
4の制御アルゴリズムは式1に例示したものに限らず、
種々のフィードフォワード制御アルゴリズムについて適
用できる。たとえば、式1のフィードフォワード制御演
算式について、加速度フィードフォワードゲインを付加
したり、式1の演算内容を変更することもできる。ま
た、図1に図解したフィードバック(FB)制御演算部
16の制御演算式も式2に限定されず、種々のPID制
御を行うことができる。
【0105】
【発明の効果】本発明の振動相殺型サーボ制御方法と装
置によれば、制御系零点が駆動系振動極を相殺すること
により、制御対象である駆動部にばね要素が存在する場
合、従来の2自由度PID制御系より振動の少ない動作
が可能となる。逆に言えば、同じ振幅の振動を許容する
なら従来より高速な動作が可能となる。
置によれば、制御系零点が駆動系振動極を相殺すること
により、制御対象である駆動部にばね要素が存在する場
合、従来の2自由度PID制御系より振動の少ない動作
が可能となる。逆に言えば、同じ振幅の振動を許容する
なら従来より高速な動作が可能となる。
【0106】さらに本発明においては、共振極推定部お
よび変数変換部により、駆動部の共振極、零点を推定す
ることで、加速度フィードフォワードゲインを簡便に得
ることができ試行錯誤による調整を避けることができ
る。このため調整に特別な知識や熟練が不要となり、調
整に時間をかけずに済む。
よび変数変換部により、駆動部の共振極、零点を推定す
ることで、加速度フィードフォワードゲインを簡便に得
ることができ試行錯誤による調整を避けることができ
る。このため調整に特別な知識や熟練が不要となり、調
整に時間をかけずに済む。
【図1】図1は本発明の振動相殺型サーボ制御装置の実
施の形態としての制御装置の構成図である。
施の形態としての制御装置の構成図である。
【図2】図1に示した振動相殺型サーボ制御装置によっ
て制御される制御系のz座標系における極と零点を示す
グラフである。
て制御される制御系のz座標系における極と零点を示す
グラフである。
【図3】図3は図1に図解した変数変換部の動作を示す
フローチャートである。
フローチャートである。
【図4】図1に図解した振動相殺型サーボ制御装置によ
って制御される制御対象の共振特性を2慣性モデルとし
て図解した図である。
って制御される制御対象の共振特性を2慣性モデルとし
て図解した図である。
【図5】図5(A)、(B)は2慣性系の周波数特性を
示すグラフであり、図5(A)は振幅特性を示すグラフ
であり、図5(B)は位相特性を示すグラフである。
示すグラフであり、図5(A)は振幅特性を示すグラフ
であり、図5(B)は位相特性を示すグラフである。
【図6】図1に図解した振動相殺型サーボ制御装置にお
ける共振極推定部の動作を示すフローチャートである。
ける共振極推定部の動作を示すフローチャートである。
1・・モータ 2・・モータドライバ 100・・制御器 10・・制御演算部 12・・減算器 14・・フィードフォワード(FF)制御演算部 16・・フィードバック(FB)制御演算部 18・・加算器 20・・D/A変換器 30・・サンプリング回路 200・・エンコーダ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G05D 3/12 305 G05D 3/12 305V
Claims (10)
- 【請求項1】制御対象および/または該制御対象のアク
チュエータにばね特性を有する制御系を離散時間方法で
制御する制御装置において、 目標指令信号と、前記制御対象の位置または角度につい
ての検出信号との差を求める偏差算出部と、 該偏差算出部で算出した偏差に応じてフィードバック制
御演算を行うフィードバック制御演算部と、 目標指令信号についてフィードフォワード制御演算を行
うフィードフォワード制御演算部と、 前記フィードバック制御演算部における演算結果と前記
フィードフォワード制御演算部における演算結果とを加
算してアクチュエータを駆動する加算回路とを有し、 前記フィードバック制御演算部および前記フィードフォ
ワード制御演算部における制御パラメータを、制御系の
伝達関数の零点で駆動系共振極を相殺するように決定
し、決定した制御パラメータを用いて制御対象を制御す
る振動相殺型サーボ制御装置。 - 【請求項2】前記制御対象の制御則として2自由度PI
D制御則を用い、前記フィードフォワード制御演算およ
び前記フィードフォワード制御演算によって決まる制御
系の零点が駆動系共振極を相殺する請求項1記載の制御
装置。 - 【請求項3】前記フィードバック制御演算部はPID制
御パラメータを用いて表される制御アルゴリズムに従っ
て演算し、 前記フィードバック制御演算部は、PID制御パラメー
タおよびフィードフォワード制御パラメータが表される
制御アルゴリズムに従って演算する請求項2記載の制御
装置。 - 【請求項4】z座標系における伝達関数の極点の座標お
よび零点の座標の初期値を設定する変数設定部と、 前記変数設定部によって設定された初期値からPID制
御パラメータを算出する変数変換部と、 該変数変換部において算出したPID制御パラメータか
ら制御系の共振特性を推定して、制御系が安定するz座
標系の極および零点の座標の場合z座標系における極お
よび零点の座標を算出し、制御系が安定しないz座標系
の極および零点の座標の場合前記変数設定部で設定した
z座標系における極および零点の座標を変更した変数変
換部に入力して再びPID制御パラメータを算出させる
共振極推定部とをさらに有し、 前記変数変換部は、前記共振極推定部において共振特性
に対する有効なz座標系における極および零点の座標を
推定したときフィードフォワード制御パラメータを算出
し、前記算出したPID制御パラメータおよびフィード
フォワード制御パラメータを前記フィードフォワード制
御演算部に設定し、前記算出したPID制御パラメータ
を前記フィードバック制御演算部に設定する請求項3記
載の振動相殺型サーボ制御装置。 - 【請求項5】前記フィードフォワード制御演算部におけ
る制御演算は下記第1式で規定され、 前記フィードバック制御演算部における制御演算は下記
第2式で規定される請求項1記載の振動相殺型サーボ制
御装置。 【数1】 【数2】 - 【請求項6】制御対象および/または該制御対象のアク
チュエータにばね特性を有する制御系をフィードフォワ
ード制御演算およびフィードバック制御演算を離散時間
方法で制御するとき、前記ばね特性の共振特性を相殺す
るように前記フィードフォワード制御演算の制御パラメ
ータおよび前記フィードバック制御演算の制御パラメー
タを設定して、前記制御対象および/またはアクチュエ
ータのばね特性を相殺して制御する振動相殺型サーボ制
御方法。 - 【請求項7】前記フィードフォワード制御演算は下記第
1式で規定され、 前記フィードバック制御演算は下記第2式で規定される
請求項1記載の振動相殺型サーボ制御装置。 【数3】 【数4】 - 【請求項8】制御対象および/または該制御対象のアク
チュエータにばね特性を有する制御系を離散時間方法で
制御する制御方法であって、該制御方法は、 目標指令信号と、前記制御対象の位置または角度につい
ての検出信号との差を求め、 制御系の伝達関数の零点で駆動系共振極を相殺するよう
に決定された制御パラメータを用いて該算出した偏差に
応じてフィードバック制御演算を行い、 制御系の伝達関数の零点で駆動系共振極を相殺するよう
に決定された制御パラメータを用いて目標指令信号につ
いてフィードフォワード制御演算を行い、 前記フィードバック制御演算結果と前記フィードフォワ
ード制御演算結果とを加算してアクチュエータを駆動す
る振動相殺型サーボ制御方法。 - 【請求項9】前記制御対象の制御則として2自由度PI
D制御則を用い、前記フィードフォワード制御演算およ
び前記フィードフォワード制御演算によって決まる制御
系の零点が駆動系共振極を相殺する請求項8記載の制御
方法。 - 【請求項10】制御対象および/または該制御対象のア
クチュエータにばね特性を有する制御系をフィードフォ
ワード制御およびフィードバック制御を離散時間方法で
制御する制御方法における制御パラメータを算出する方
法であって、 PID制御パラメータを算出するためのz座標系におけ
る伝達関数の極点の座標および零点の座標の初期値を設
定する初期値設定工程と、 前記変数設定部によって設定された初期値からPID制
御パラメータを算出する変数変換工程と、 該算出したPID制御パラメータから制御系の共振特性
を推定して、制御系が安定するz座標系の極および零点
の座標の場合z座標系における極および零点の座標を算
出し、制御系が安定しないz座標系の極および零点の座
標の場合前記設定されたz座標系における極および零点
の座標を変更した再度、変数変換部に入力して再びPI
D制御パラメータを算出させる共振極推定工程とを有す
る振動相殺型サーボ制御用パラメータ算出方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP610698A JPH11202902A (ja) | 1998-01-14 | 1998-01-14 | 振動相殺型サーボ制御方法と制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP610698A JPH11202902A (ja) | 1998-01-14 | 1998-01-14 | 振動相殺型サーボ制御方法と制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11202902A true JPH11202902A (ja) | 1999-07-30 |
Family
ID=11629261
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP610698A Pending JPH11202902A (ja) | 1998-01-14 | 1998-01-14 | 振動相殺型サーボ制御方法と制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11202902A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011125937A (ja) * | 2009-12-15 | 2011-06-30 | Toyota Motor Corp | ロボットの制御装置 |
-
1998
- 1998-01-14 JP JP610698A patent/JPH11202902A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011125937A (ja) * | 2009-12-15 | 2011-06-30 | Toyota Motor Corp | ロボットの制御装置 |
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