JPH11200202A - リントフリー性の高いワイパー - Google Patents

リントフリー性の高いワイパー

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JPH11200202A
JPH11200202A JP985798A JP985798A JPH11200202A JP H11200202 A JPH11200202 A JP H11200202A JP 985798 A JP985798 A JP 985798A JP 985798 A JP985798 A JP 985798A JP H11200202 A JPH11200202 A JP H11200202A
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JP
Japan
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knitted fabric
lint
wiper
tubular
bag
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JP985798A
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English (en)
Inventor
Satoshi Hiraga
平賀  敏
Kazunari Nishiyama
和成 西山
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】クリーンルームやその他の制御された環境の微
少粒子による汚染を少なくし、その使用によるクリーン
ルームなどの制御された環境内の微少粒子の潜在的発生
源をなくし、かつ吸液性能や柔軟性(取扱性)などの機
能を損なわずに容易に経済的に製造することができる、
高品質で信頼性に優れたリフトフリー性の高いワイパー
を提供する。 【解決手段】(1) 筒状編物からなるワイパーであって、
該筒状編物の編地は筒状の袋状構造部を複数有し、これ
らの袋状構造部は筒状の一重構造部を介してそれぞれ連
結されているリントフリーワイパー。(2) 前記筒状編物
の末端の袋状構造部と一重構造部の連結部であって該筒
状編物の内側に、筒状の一重構造編地がさらに連結され
ているリントフリーワイパー。(3) 前記筒状編物の編地
が実質上2層構造であるリントフリーワイパー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はリントフリー性の高
いワイパーに関し、さらに詳しくは微少な塵、埃、繊維
状の屑などが忌避される工業用分野(例えば大規模集積
回路、電子機器・部品等に代表される精密機械部品や電
子部品等の製造工程)、医薬・医療分野(例えば医薬
品、医療用具等の製造工程)等に多く設置される、環境
が管理されたクリーンルームや工程で好適に用いられる
リントフリーワイパーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】クリーンルームや環境の管理された室内
で用いられる用品には、その環境の維持に必要な特別の
性能が要求される。特に、微少な塵や素材の欠片など
(以下、リントと言う)の発生が少ないことが要求され
る。良く知られているように、クリーンルーム内の汚染
や持ち込まれるリントは、作業者自身および作業者が使
用する用品からの発生によるものが多い。このことか
ら、作業衣やワイパーなどの用品に対して特別な注意が
払われ、その改良が続けられている。クリーンルーム内
の微粒子汚染の潜在的な源の一つは、その中で日常的に
行われる拭掃作業用ワイパーである。例えば半導体や集
積回路などの製造・組立の際には、その作業工程で汚れ
を拭き取るためにワイパーが用いられ、また種々の設
備、備品の表面の清掃、壁や部屋の内面清掃にもワイパ
ーが広く用いられている。このワイパーは高い吸液性と
柔軟性を必要とするため、周囲の環境内への微少粒子や
繊維屑の放出と発散を防止する構造上の妨げとなってい
る。
【0003】クリーンルームで用いられているワイパー
は、その室内に要求される清浄度合に応じて使いわけら
れ、編み物、織物、不織布、スポンジ、紙などが用途に
合わせて用いられている。清浄度の高い室内では特に合
成繊維からなる編物や織物が多く用いられ、比較的清浄
度の低い室内では、セルロース繊維を主成分とする不織
布が多く用いられている。従来から、清浄度の高いクリ
ーンルームで用いるワイパーの潜在リントを低減させる
ために種々の方法が提案されている。
【0004】例えば、特開平2−45017号公報(T
exwipe)では、熱可塑性布材料から成るシートを
所定の寸法に切断し、その周縁部に構成する熱可塑性繊
維の融合端縁を設け、布帛の切断面周辺からのリントの
発生を防止している。その際に単に切断面をヒートカッ
トするだけではリントの発生を抑えるには充分ではない
ので、一定以上の幅にわたって熱可塑性繊維を溶融して
接着することでリントの低減を図っている。この端の封
止部分は、熱可塑性繊維を熱で溶融させて再凝固させる
ためにフィルム状となり、樹脂の配向や結晶化が充分に
は行われにくく、その引裂強度や引張強度が低くなりや
すい。従って、その幅を一定以上に保って破れないよう
にすることが必要であった。これによって切断端面から
の微少なリントや脱落繊維の発生を充分に抑えることは
可能であるが、柔軟性や取扱性に劣り、端面がフィルム
状で硬く、四隅が尖っているため、柔らかい拭取対象物
を傷つけることが懸念され、使用上の注意を要するもの
であった。また、内部に吸液性の優れた素材や材料を挿
入してシート状物で内包した構造のものも同時に提案さ
れているが、これにより吸液性能は改善されるが、上記
した端縁部の問題は解決されない。
【0005】また米国特許第5069735号(Mil
liken)には、編み物からなるワイピングクロスの
切り方、具体的には編み物を所定の寸法に熱風やレーザ
ーを用いて切断する方法が提案されている。これによっ
てシートの周囲の縁に位置する熱可塑性繊維を熱で溶融
してリントの脱落を止めようとするものであり、縁部が
フィルム状になることは防げるので、拭取性や取扱性、
拭取対象物を傷つける心配などは軽減されるが、リント
発生の防止効果や引裂強度などの機械物性面の問題を内
在するものであった。また米国特許第3810810、
英国特許第1088861(Milliken)には、
熱ローラーなどを用いてシートの切断と縁のシールを行
う上記した特開平2−45017号公報と同様の方法が
提案されている。
【0006】また米国特許第5229181号(Amb
er Technologies)には、連続した筒状
の編み物を長手方向と直角の方向にヒートカットした袋
状の形態のワイパーが提案されている。この構造のワイ
パーは編地の2縁は編地が連続した構造であるが、他の
2縁は切断されており、切断部位からのリントや脱落繊
維の発生を防止するために熱圧着して繊維の端部を溶融
しながら切断することが行われている。従って、先の米
国特許第5069735、3810810、特開平2−
45017号公報等に提案されているワイパーと共通の
問題点があった。なお同時に、エンボスロールを用いて
袋状の編地を部分的に熱溶着してシート状のものにした
ワイパーも提案されている。これは吸液性は低下する
が、一枚のシート状の形態にすることができるために寸
法安定性や機械的な物性は向上する。
【0007】これらの先行技術のワイパーはいずれも、
そのリントや繊維の脱落を低減するという目的は一応達
成できるが、他の要求される機能、例えば吸液性、水や
有機溶剤に対する溶出性、使用者の実際の工程や作業に
際してのその取扱性や安全性については充分ではなかっ
た。また、いずれも編地を切断することが必要であり、
その編地を構成するヤーンは無数の切断点を有するもの
となり、その切断面からのリントや繊維の切断片の脱落
防止のために特別の処置が必要であった。その封止に熱
溶着法を用いるため、熱可塑性繊維またはその繊維を含
む複合繊維からなるもの使用が実質的に必要となり、吸
液性、耐溶剤性、溶出成分の少なさなどの点から最適な
素材の一つであるセルロース繊維が実質的に使えないと
いう問題があった。また同時に、使用上の扱い性を向上
させるためにシール部分を極力小さくしたり目立たなく
すると、微少の繊維片の脱落が起きやすい傾向となり、
使用者に不安を与えるものであった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、クリー
ンルームに用いられるワイパーは、その製品からの発塵
や微少な繊維の脱落を阻止する必要があるが、従来の方
法では、編み物などのシート状物を切断して所定の寸法
のワイパーを作るために、その切断面周辺からのリント
の発生や繊維の脱落を防止する処理を施すことが必要で
あった。その結果、製造工程や後処理工程が多くなると
ともに製造工程の環境等に特別の配慮が必要であった。
また、切断面を溶融させながら切断することで切断面か
らの発塵は減少させることができても、端部が硬くなり
手触りや取扱性、吸液性などが損なわれることが多いと
いう問題があった。また、編み物や織物、不織布の切断
面からの発塵と繊維の脱落を防ぐために、ワイパーの4
端面を熱溶着してフィルム状にしたり、ヒートシールを
して繊維の脱落を防止しているため、熱可塑性ポリマー
からなる繊維、特にフィラメントヤーンが従来から多用
されている。その最大の理由は、切断面からの発塵を抑
える為に編地の切断の際にヒートカッターや超音波カッ
ターを用いて切断された単糸を溶融して接着し脱落し難
くするためである。従ってセルロースなどの熱可塑性の
ないポリマーが使いにくいという制約があった。
【0009】また熱可塑性合成繊維、特にポリエステル
繊維などが用いられることから、その吸水性が低く、親
水加工処理などが施されるのが通常であるが、その際
は、吸水性は改善されるものの有機溶剤等での拭き取り
の際には溶出物が増大するなどの問題があった。セルロ
ース繊維は吸水性が高く、また、溶出物が少なく高温度
での使用にも耐えることから好適な素材であるが、熱可
塑性がなく、切断された布帛端面からの発塵と繊維の脱
落を熱接着によって防止することができないために用い
にくい素材であった。
【0010】本発明は、上記従来技術の問題点を解決
し、クリーンルームやその他の制御された環境の微少粒
子による汚染を少なくし、その使用によるクリーンルー
ムなどの制御された環境内の微少粒子の潜在的発生源を
なくし、かつ吸液性能や柔軟性(取扱性)などの機能を
損なわずに容易に経済的に製造することができる、高品
質で信頼性に優れたリフトフリー性の高いワイパーを提
供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
に鑑み、高清浄なクリーンルームなどで用いるワイパー
の適性や取扱性、製造上の問題点などを鋭意検討した結
果、切断面のない特定の構造を有する筒状編物を用いる
ことにより、使用時の発塵や脱落繊維を少なくし、かつ
取扱性能や吸液性能を向上させることができることを見
いだし、本発明に到達したものである。すなわち、本願
で特許請求される発明は以下の通りである。
【0012】(1)筒状編物からなるワイパーであっ
て、該筒状編物の編地は筒状の袋状構造部を複数有し、
これらの袋状構造部は筒状の一重構造部を介してそれぞ
れ連結されていることを特徴とするリントフリーワイパ
ー。 (2)前記袋状構造部と一重構造部が連続した編地で構
成されていることを特徴とする(1)記載のリントフリ
ーワイパー。 (3)前記筒状編物の末端の袋状構造部と一重構造部の
連結部であって該筒状編物の内側に、筒状の一重構造編
地がさらに連結されていることを特徴とする(1)また
は(2)記載のリントフリーワイパー。 (4)前記末端の袋状構造部と一重構造編地が連続した
編地で構成されていることを特徴とする(3)記載のリ
ントフリーワイパー。 (5)前記連結された一重構造編地がカールし、該編地
の糸端が該カールの内側に巻き込まれていることを特徴
とする(3)または(4)記載のリントフリーワイパ
ー。
【0013】(6)前記筒状編物の編地が実質上2層構
造であることを特徴とする(1)記載のリントフリーワ
イパー。 (7)前記実質上2層構造である編地の外側が実質的に
合成繊維からなり、内側が実質的にセルロース繊維から
なることを特徴とする(6)記載のリントフリーワイパ
ー。 (8)編地を構成する糸が長繊維から構成されているこ
とを特徴とする(1)ないし(7)のいずれかに記載の
リントフリーワイパー。 (9)編地を構成する糸が実質的にセルロースからなる
ことを特徴とする(1)ないし(8)のいずれかに記載
のリントフリーワイパー。
【0014】(10)編地を構成する糸がセルロース繊
維と合成繊維の複合繊維であることを特徴とする(1)
ないし(8)のいずれかに記載のリントフリーワイパ
ー。 (11)編地を構成する糸がセルロース繊維を芯部に有
し、鞘部が合成繊維からなる複合繊維であることを特徴
とする(10)記載のリントフリーワイパー。 (12)筒状編物を構成する繊維として合成繊維を有
し、該合成繊維が親水処理されていることを特徴とする
(1)ないし(11)のいずれかに記載のリントフリー
ワイパー。
【0015】本発明のワイパーは、筒状編物からなり、
編地面の切断部位を有しないため、ワイパーからの発塵
や繊維の脱落が生じない。一般に布帛が切断されると、
たとえ布帛が長繊維で構成されていてもその編目が切断
される際にループ状になった繊維が必ず切断され、その
結果極く短い繊維の切断物が大量に発生し、同時に刃物
などによって繊維が擦過されてリントが多量に発生する
が、本発明では切断部位がないためこのような問題を生
じることがない。また切断面の熱処理等が不要であり、
製造工程の短縮化を図ることができ、また吸液性や取扱
性を損なうことがない。特にセルロース繊維などの熱可
塑性のない繊維素材を使用することができるため、吸液
性などの性能を大幅に向上させることができる。
【0016】本発明における筒状編物の編地は、筒状の
袋状構造部を複数有し、これらの袋状構造部は筒状の一
重構造部を介してそれぞれ連結されている。袋状構造部
の数は、用途に合わせて適宜選定することができる。例
えば、ワイパーの寸法が大きいものや高い吸液能力が必
要な場合等には袋状構造部の数を増やすのが好ましい。
特に高い吸液能力が要求される場合には多数の小さな袋
状構造部分を有するものが好ましい。また、通常の手作
業での拭き取りに用いられるワイパーの場合は、2つの
袋状構造部を有するものでもよく、この場合は構造も単
純であり、簡便に製造できるので好ましい。
【0017】各袋状構造部の寸法(長さと幅)は使用条
件等に合わせて任意に設定することができる。例えば、
2つの袋状構造部を有するワイパーを連続して編成する
場合は、その長さが概ね同じになるように設定すると、
編み終わり部分をワイパー(筒状編物)の内側中央部付
近に位置させることができ、編地の解れの懸念を減少さ
せる点でも好ましい。この袋状構造部の長さは、通常、
ワイパーの長さの1/2より少し小さい寸法に設定する
のが好ましいが、比較的目付の小さいワイパーを作る場
合には、この袋状構造部の長さを小さくして一重構造部
(2つの袋状構造部を連結している部分)の長さを大き
くするのが好ましい。また、各袋状構造部の寸法を通常
用いるワイパーの寸法にすると、2枚のワイパーが連結
された構造のものとなり、多量の液の拭き取りなどに好
適なものとなる。また筒状の袋状構造部の円周(この円
周の1/2がワイパー幅となる)は編み機の釜の大きさ
に合わせて設定するのが、製造上の手間や設計が容易に
なるので好ましい。
【0018】各袋状構造部をそれぞれ連結する一重構造
部の長さは、各袋状構造部の連結を妨げない範囲で適宜
に設定することができるが、ワイパーの見かけ上の均一
性および厚み変化等を緩和する点を考慮し、袋状構造部
のそれぞれの大きさに合わせて設定するのが好ましい。
特に、2つの袋状構造部が1つの一重構造部で連結さ
れ、該連結部に、後述する一重構造編地がさらに編成さ
れる場合には、該一重構造編地の長さやカールの程度に
合わせて設定するのが好ましい。また筒状の一重構造部
の円周は糸の選択や編地の設計によっても変化するが、
袋状構造部と略同一になるように設定するのが好まし
い。
【0019】本発明において、前記筒状編物の末端の袋
状構造部と一重構造部の連結部であって該筒状編物の内
側に、筒状の一重構造編地(以下、単に「一重構造編
地」ということがある)がさらに連結されていることが
好ましい。このような構成とすることにより、袋状構造
部が解けにくくなる等の効果が得られる。末端の袋状構
造部の連結部が編み終わりの末端になると、該連結部の
端糸を引っ張ると袋状構造が解けてしまうことになる。
これを防止するために、この糸端を袋状構造部の連結部
から外すように該連結部にさらに一重構造編地を編成す
ることにより、編立て後の取扱や後処理(洗浄、乾燥、
袋つめ等)工程での取扱い時に端糸を引っかけたりして
もすぐには解けない袋状構造部を得ることができる。
【0020】また上記一重構造編地をカールさせ、編立
て後に切断される糸端を該カールの内側に巻き込ませる
ことが好ましい。これにより、糸端の露出や拭き取り面
への引っかかりを防止でき、糸端の解れ、リントや脱落
繊維の発生防止のみならず、ワイパー全体がカールしに
くくなり、取扱性が向上する。ここで「カール」とは、
編地を静置した時に、その編地の端片が中央部に向かっ
て巻き上がることをいい、その巻き上がりの角度や巻き
回数などには限定されるものではない。
【0021】上記連結部に編成された一重構造編地の長
さは約3〜10mm程度とするのが、内側にカールしや
すくし、かつヤーンの切断点が表面に露出すのを防止し
易くする点から好ましい。また該一重構造編地を構成す
る糸や編み設計を変更してにカールし易くすることもで
きる。なお、一重構造編地のカールの巻き回数は1〜5
回程度が好ましい。巻き回数が小さすぎると糸端の露出
を防止する効果が小さくなり、また、巻き回数が多すぎ
るとその部分の厚みが大きくなって取り扱いにくくな
る。従って、カールの程度は要求される特性や用途に合
わせて設定するのが好ましい。
【0022】さらに上記袋状構造部と一重構造部および
/または一重構造編地は、連続した編地で構成するの
が、連結の手間を省く点から好ましい。このような筒状
編地は、要求されるワイパーの寸法に合わせた筒編み機
の釜を用いて製造することができる。例えば、シングル
シリンダー編み機を用いた編成は、次のように行われ
る。袋状の開始部分において一本交互にシリンダー部の
針を持ち上げ、その間の部分で糸を一時保持させ、次の
コースすなわち編み目の配列からは通常に編成させる。
袋状にする部分の必要コースが編成されたら袋状開始部
分で保持していた糸を同時に編み込むことで連結され、
袋状構造部が形成される。その後、通常編成を続けるこ
とで袋状構造部と一重構造部を持つ編物が得られる。更
に、最初の袋状構造部を編成したのと同様の方法で再度
袋状構造部を編成して2つの袋状開始部分を有するもの
が得られる。多数の袋状構造部を有する編地は、これを
繰り返すことで得られる。
【0023】最後の袋状構造部の編地の連結後に、該袋
状構造部と一重構造部の連結部に更に一重構造編地を筒
状編物の内側に編成すれば、末端の袋状構造部の連結部
の一方から一重構造編地が更に編成された筒状編地が得
られる。この際に、取扱いや使用時に端糸が引っかかっ
たりして編地が解れることを防止するために、糸の切れ
端をできるだけ外表面に出さないようにすることが好ま
しく、そのために、例えば、複数本の糸を用いて編成す
る場合は編み終わりに際して各糸を順次切断することで
一本を除いて他の糸の糸端を編地のループ内に編み入れ
るのが好ましい。該一重構造編地はカールさせて最終的
に糸の切れ端を内側に巻き込むことによって糸端が外表
面に出ないようにすると一層好ましい。これは、ワイパ
ーからの発塵を少なくする効果もある。
【0024】さらに本発明における筒状編地は、その編
地が実質上2層構造であることが好ましい。これによ
り、内外層の機能を分けて設計し、使用条件に合わせた
適切な構造の製品を得ることが容易となる。ここで「編
地が実質上2層構造」とは、2層の編地面を有するもの
や編地の表裏面が構造や素材などの相違によって厳密に
区別されている構造に限定されず、いわゆるプレーティ
ング手法などによって表裏面の素材発現比率を変えた構
造などが含まれる。例えば、複数の種類の素材を用いた
編地の場合、片側面の素材の発現比率が100%のもの
に限定されず、表裏面の発現比率が異なっているものも
含む。プレーティング法などによって2種類以上の糸を
用いた編地で表面と裏面の素材が異なる場合は、表面部
分に耐摩耗性や強度の大きい合成繊維、裏面に吸液性な
どに優れる繊維、例えば再生セルロース繊維などを配し
た構造にすることが好ましい。これにより摩耗強度など
が比較的低い繊維素材も用いることが可能になる。
【0025】編地を2層構造にすると編地の強度を向上
させやすく、また種々の機能を付与することが容易にな
る。例えば2層構造の外側に疎水性繊維、内側に親水性
繊維が実質的に発現するように構成されたワイパーは、
液体を拭き取る際に疎水性部分を液体が通過して親水性
繊維部分に保持されやすくなるために、拭取面への濡れ
戻りが少なくなる。例えば、疎水性繊維としてポリエス
テルなどの合成繊維、親水性繊維としてセルロースなど
の繊維を用いられると好ましい。この際はセルロース繊
維の強度の懸念も合成繊維によって補強される効果が得
られる。また2層構造の外側に長繊維を、内側に短繊維
からなる紡績糸を用いる場合などでは表面に紡績糸の毛
羽や糸端が出にくいために脱落繊維を少なくすると共に
膨らみ感や吸液性を増すことができる効果が得られる。
【0026】上記2層構造は筒状編物の編地のうち特に
袋状構造部に設けることが好ましい。通常、ワイパーと
して使用される場合は実質的な拭き取り部は袋状部分で
あり、この部分の拭取性能がほとんどワイパー全体の拭
取性能を示すからである。上記の2層構造を編成する手
段としては、いわゆるプレーティング手法を用いるのが
簡便で好ましい。この場合、2層構造は編み始めおよび
袋状にするための連結部から少なくとも1コース以上離
して2層構造を編成することが好ましい。これは編み始
めおよび一重構造の編地部分まで2層構造で編成したも
のより糸端が編地表面に出にくい効果が得られるからで
ある。
【0027】本発明において、実質上2層構造である編
地の外側が実質的に合成繊維からなり、内側が実質的に
セルロース繊維からなるのが、機械的強度や耐摩耗性お
よび吸水性の点で好ましい。ここで「外側が実質的に合
成繊維からなり、内側が実質的にセルロース繊維からな
る」とは、外内の素材の発現比率がそれぞれ100%で
あるものに限定されるものではなく、製造工程での張力
の異常や撚り斑などによってループの反転などが希に発
生したりしたものも含むものであり、表面で観察される
素材の比率が概ね95%以上のものを言う。
【0028】さらに編立て後の筒状編物に、熱エンボス
ロールや接着剤などを用いて部分的に固定させてシート
状の形態として使用しても差し支えない。この場合に
は、編み始め部と編み終わり部の両方が内部に挟まれる
様に固定点を位置させるのが一層好ましい。また固定部
の大きさや数は、風合いや吸液性を損なわないように留
意するのが好ましい。さらに接着剤を用いる場合はさら
にその用途で用いられる溶剤などにより生じる溶出物な
どを充分留意して選択することが好ましい。さらに吸液
性をより高めるために得られた編物を親水加工処理した
り、予め親水処理加工を施して吸水性を高めた合成繊維
を用いてもよい。この場合は用途や条件によって溶出物
の発生や分解の懸念がないように留意するのが好まし
い。
【0029】本発明に用いるヤーンは、紡績糸(30〜
50mmの長さの短繊維を紡績してヤーンにしたものが通
常用いられている)、フィラメントヤーン(長繊維)、
それらの複合されたヤーンなどのいずれであってもよ
い。短繊維からなるヤーンを用いる場合は、例えば強く
撚糸したり、フィラメントヤーンで表層を覆うように複
合撚糸されたりして単糸の脱落を防止する工夫したもの
が好ましい。少なくとも拭き取り面はフィラメントヤー
ンからなるワイパーである方が、実際の拭き取り操作時
に単糸が引っかかって抜け落ちるのを防止する点から好
ましい。長繊維であれば1本の単糸が切断されても毛羽
になるだけであり、編物から脱落することが起こりにく
いからである。布帛を構成するヤーンがすべてフィラメ
ントヤーンから成るワイパーは布帛を構成する単繊維が
抜け落ちる懸念が極めて小さいので一層好ましい。
【0030】本発明に用いる繊維素材は、例えばポリエ
ステル、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリプロピ
レン、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリパラフ
ェニレンテレフタルアミドなどの合成繊維、例えばビス
コースレーヨン、キュプラアンモニウムレーヨン、綿、
麻などのセルロース繊維、または例えばアセテート繊
維、蛋白繊維、絹、ウールなどの合成繊維や天然繊維の
いずれを用いても良く、用途、使用する溶剤の種類など
に応じて適宜に選択することができる。本発明において
は、切断部がないため、熱可塑性を示さないポリマーか
らなる繊維のみを選択してもリントや脱落繊維の増大を
懸念する必要はない。
【0031】本発明において、編地を構成する糸が実質
的にセルロースからなるものは、耐溶剤性が高く、吸液
性が大きく向上するため好ましい。ここで「実質的にセ
ルロースからなる」とは、厳密にセルロースのみからな
るものに限定されるものではなく、通常の繊維製造工程
で用いられる添加剤や油剤など、織編工程等で用いられ
る糊材や染料、ポリマーの分解によって生成する微量の
物質などを含むものが含まれる。また、綿、麻などの天
然セルロース、ビスコースレーヨン、キュプラアンモニ
ウムレーヨンなどの再生セルロース等のいずれでも良
く、その製造方法の違いや形状、微細構造、結晶構造等
に制限されない。また編地を構成する糸がセルロース繊
維と合成繊維の複合繊維であるもの、さらには編地を構
成する糸がセルロース繊維を芯部に有し、鞘部が合成繊
維からなる複合繊維であるものは、編地の製造条件が容
易で簡単な機構で生産できる上、上記の合成繊維の長所
とセルロース繊維の長所を併せ持つワイパーが得られる
ので好ましい。
【0032】本発明に用いる繊維素材の形状、断面形状
は特に限定されず、形状が長さ方向に均一なものや太細
のあるものでもよく、断面は丸型、L型、T型、Y型、
W型、八葉型、扁平型、ドッグボーン型等の多角形型、
多葉型、中空型や不定形なものでもよい。本発明に用い
る繊維素材の形態は特に限定されるものではなく、特に
長繊維を用いる場合は、原糸、仮撚加工糸、撚糸等の形
態でもよい。さらに、本発明の目的を損なわない範囲に
おいて2種以上の繊維素材、例えば合成繊維と再生セル
ロース繊維とが混繊交絡、交撚、複合仮撚(伸度差仮撚
等)等、複合されていてもよい。
【0033】本発明に用いるヤーンの繊度は、用途や条
件などに応じて適宜選択されるが、5〜400dte
x、好ましくは10〜300dtex、さらに好ましく
は20〜200dtexである。ヤーンの繊度が5dt
ex未満であると編物の編成時に繊維が切断しやすく、
切断部から脱落繊維が発生しやすい。また、ヤーンの繊
度が400dtexを越えると目付が大きくなり過ぎる
傾向になる。
【0034】本発明に用いる単繊維の繊度は、目的の用
途や条件などに応じて適宜に選択されてよい。通常は
0.8〜5dtexの範囲のものを用いるとよい。単繊
維の繊度が大きいとゴワゴワした感触のワイパーとなる
傾向が強く、また、小さい繊度のものを用いると拭取性
能が高く、柔らかいものが得られる傾向であるが、一
方、引っ張り強度や摩耗強度が低下する傾向があるの
で、使用される目的、用途に応じて適正な選択をするこ
とが好ましい。繊度の異なる単繊維を混合したものを用
いても良い。本発明におけるワイパーの寸法、シートの
目付はその使用される用途に応じて適宜に設計されて良
い。一般的には3×3インチ〜12×12インチの寸
法、100〜200g/m2 の目付のものが使われる場
合が多い。
【0035】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施例を示す
ワイパーの一部断面説明図である。このワイパーは、編
地の切断部を有しない筒状編物1からなり、該筒状編物
1の編地は、2個の筒状の袋状構造部2と、これらの袋
状構造部2を連結する1個の筒状の一重構造部3と、該
連結部の一方にさらに連結された筒状の一重構造編地4
とからなる。該一重構造編地4は、袋状構造部2、一重
構造部3および袋状構造部2の順で編成した後に、さら
に袋状構造部2と一重構造部3の連結部の一方に筒状編
物の内側に編成されて設けられる。
【0036】図2は、一重構造編地4のカールの程度を
示す説明図であり、(A) は一重構造編地4がわずかにカ
ールしている場合、(B) は回転してカールしている場合
を示す。図3は、本発明の他の一実施例を示すワイパー
の筒状織物の編地の断面説明図である。このワイパー
は、8個の筒状の袋状構造部2と、これらを連結する7
個の筒状の一重構造部3とからなる。このような多数の
小さな袋状構造部を有するワイパーは吸液性に優れたも
のとなる。
【0037】以下に本発明のワイパーの製造方法の一例
について説明する。本発明の編地の切断部を有しない筒
状編物は、いわゆるシングルシリンダー編機等を用いて
製造することができる。編機の釜径(釜の直径)は製品
の要求機能、すなわち、ワイパーの寸法や用いる繊維素
材の性質、編み設計により適宜選択されるが、通常、釜
径は2〜20インチとされ、好ましくは4〜16インチ
である。編機のゲージ、すなわち1インチあたりの針本
数は、製品の要求性能により適宜選択されるが、通常2
0〜42ゲージとされ、好ましくは24〜36ゲージで
ある。また、編成に用いる口数、すなわち給糸数は、本
発明の目的である脱落繊維を減少させる点から少ない方
が好ましく、通常、1〜60口とされ、好ましくは1〜
24口である。
【0038】編み組織はニット、タック、ウエルトの組
み合わせで構成され、特に限定されないが、天竺組織、
1:1タック組織、1:3タック組織が好ましい。2種
以上の繊維素材を用いて2層構造編地を得るためにプレ
ーティングを行う場合は、天竺組織が好ましい。これは
素材の方向が制御されやすいからである。また、編地の
設計は、選択した編機の機能に合わせて用途やその性能
を考慮して適性に設計することが好ましい。特に拭取面
とその反対側面とで表層に占める繊維素材の割合を変え
る、例えば、拭取面側にポリエステル繊維、反対側面に
セルロース繊維が実質的に現れるように編み条件を設定
したり、部分的に度目を変えて連続した編地を作って伸
縮性や取扱性を向上させるなどによって機能を高めるこ
ともできる。
【0039】得られた編地(ワイパー)は、原糸油剤、
編み油剤、加工時の塵の付着などの除去のために洗濯を
充分に行うのが好ましい。用いる洗濯機は通常のタンブ
ラー洗濯機や流水洗濯機などを適宜に選択されてよい
が、用いる水、洗剤には充分な注意を払い、汚染を防ぐ
ことが好ましい。次いで、編地の形状の整体(必要に応
じてスチームセットやアイロンを施す)を行った後、乾
燥させる。乾燥方法は風乾、熱プレート乾燥、シリンダ
ー乾燥など適宜に採用されて良いが布帛面を擦過するこ
とは避ける方が好ましい。次いで常法に従って包装され
て製品とする。その際の包装材は熱可塑性の樹脂からな
るフィルムを用いてヒートシールされることが好まし
い。さらにリントの付着や汚染を防止するためには2重
に包装される事が好ましい。これらの洗浄、乾燥、整
体、包装の工程はリントの付着や不純物による汚染を防
止するためにクリーンルーム内で実施されることが望ま
しい。
【0040】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また例中の各性能評価は下記の方法で測定した。 (1)乾式リント数:試料を空気中に吊し、棒で120
回/分の頻度で叩く際に空気中に放出される粒子を粒子
測定器で測定し、1立方フィート当たりに換算して記録
する。 (2)湿式リント数:IES−RP−CC−004.2
(米国、環境科学研究所が推奨する測定方法)中に記載
された方法によって測定した。最小応力下で5分間水中
に浸して振った後に粒子数測定器によって測定する。試
料1m2 当たりに換算して記録する。
【0041】(3)吸液性:上述のIES−RP−CC
−004.2に従って測定し、単位質量当たりの吸収さ
れた容積として換算して記録する。 (4)脱落繊維:試料を300mlの純水に浸し、15
分間超音波を当てた後にワイパーを取り出す。この液を
黒色に着色された濾紙を用いて濾過し、濾紙上に残され
たファイバー状のワイパーからの脱落物を測定する。長
さが100μm以上のものを数えて、試料1m2 当たり
に換算して記録する。 (5)溶出物量:それぞれの液体800mlにワイパー
を50gの割合で浸し、24時間静置する。ワイパーを
取り出し、残りの液を蒸発完固させてその重量を試料ワ
イパー1m2 に換算して記録する。
【0042】実施例1 釜径4インチ、32ゲージのシングルシリンダー編み機
にて、ポリエステルフィラメントヤーン(83dtex
/36フィラメント)を4口で、連結部以外は天竺組織
で編成し、袋状編地2つを一重編地で連結させた構造を
連続して編み立て、ついで、連結部からさらに一重構造
編地を編成して筒状の編物を編成した。袋状構造部の円
周はいずれも20cm、長さは4cmであり、袋状構造
部を連結している一重構造部の円周は20cm、長さは
1cm、連結部にさらに編成された一重構造編地の円周
も20cm、長さは1cmであった。
【0043】得られた編物ワイパーをクリーンルーム内
に設置した洗濯機で洗浄して汚れや原糸油剤や編み立て
時に用いた油剤を洗浄除去した。その後、同じくクリー
ンルーム内で乾燥し、ポリオレフィンフィルムを用いて
包装してリントフリーワイパーを製作した。該ワイパー
の形状は図2(B) のようなものであった。このワイパー
の性能評価結果を表1に示したが、脱落繊維が少なく、
高清浄度クリーンルームに好適な物であった。
【0044】実施例2 釜径4インチ、28ゲージのシングルシリンダー編み機
にて、ポリエステルフィラメントヤーン(83dtex
/36フィラメント)を4口で、キュプラアンモニウム
レーヨンフィラメントヤーン(33dtex/24フィ
ラメント)を4口で編地外側にポリエステルが、内側に
キュプラが存在するようにプレーティング法で実質的に
2層構造で、連結部以外を天竺組織で編成し、袋状編地
2つを一重編地で連結させた構造を連続して編み立て、
ついで連結部から一重構造編地をさらに編成して、筒状
編物を編成した。袋状構造部の円周はいずれも20c
m、長さは4cmであり、袋状構造部を連結する一重構
造部の円周は20cm、長さは1cm、連結部からさら
に編成された一重構造編地の円周も20cm、長さ1c
mであった。
【0045】得られた編物ワイパーを実施例1と同様の
方法で処理し、リントフリーワイパーを製作した。該ワ
イパーの形状は図2(B) のようなものであった。得られ
たワイパーの性能評価結果を表1に示したが、脱落繊維
が少なく、優れた特性を有することがわかった。特に吸
液性が向上しており、液の拭き取りに好適な物であり、
高清浄度クリーンルームに好適に用いることができるこ
とがわかった。また編地の切断面の処理跡や糸端がワイ
パー表面に全く見られず、使用者に取扱性や発塵に対し
ての安心感を持たせるワイパーであった。
【0046】実施例3 鞘部がポリエステルフィラメントヤーン(83dtex
/36フィラメント)、芯部がキュプラアンモニウムレ
ーヨンフィラメントヤーン(33dtex/24フィラ
メント)で構成された複合繊維を用いた以外は実施例1
と同様の方法でリントフリーワイパーを製作した。得ら
れたワイパーの性能評価結果を表1に示したが、優れた
適性を示すものであり、高清浄度クリーンルームに好適
な物であった。
【0047】比較例1 高品質クリーンルームワイパーであるTEXWIPE社製TX
1010(ポリエステル100%編物で、編地を切断後
四方を熱溶着してある)を上記と同じ方法でその物性を
測定した結果を表1に示した。リントや溶出物量につい
ては使用上は問題のない値を示すが、多数の脱落繊維が
観察されるものであった。また、端面が硬く、ふき取り
の際に取り扱い性が良くない。デリケートな拭き取り対
象物に用いると商品に傷をつけることが懸念されるもの
であった。
【0048】
【表1】
【0049】
【発明の効果】本発明のリントフリーワイパーは、編地
面の切断箇所を全く有さず、リントや脱落繊維の発生が
少なく、高清浄度のクリーンルーム等で用いられると異
物や欠点発生源となる室内の微少塵埃の増加を来し難い
点で優れている。また、糸端がワイパーの外表面にない
構造のものも容易に作ることができるので、取り扱いや
発塵に対して安心感の高いものが供給できる点で優れて
いる。特に、熱可塑性がない繊維素材や切断面のリント
の発生防止が困難なために用い難かった素材、例えばセ
ルロース繊維等の素材を自由に選択して用いることがで
きるようになり、吸液性や有機溶媒抽出残渣等の向上し
たリントフリーワイパーが供給できる点で優れている。
さらに、熱融着やヒートシールなどを必要としないの
で、柔軟で拭き取り作業性が良く、かつ拭き取り対象物
に傷などをつける心配が少ないワイパーが提供できる点
で優れている。さらにまた、ワイパーの製造工程が大幅
に簡略化でき、一工程で編物ワイパーを製造することが
可能である。従来、細心の注意と技術および費用を要し
ていたシートの切断とその切断面の処理工程が不要であ
り、経済的にも優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すリントフリーワイパー
の一部断面説明図である。
【図2】図1の一重構造編地4のカールの程度を示す説
明図であり、(A) はカールの程度が小さく、(B) はカー
ルの程度が大きいものを示す。
【図3】本発明の他の一実施例を示すリントフリーワイ
パーの筒状編物の編地の断面斜視図である。
【符号の説明】
1…筒状編物、2…袋状構造部、3…一重構造部、4…
さらに連結された一重構造編地。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 筒状編物からなるワイパーであって、該
    筒状編物の編地は筒状の袋状構造部を複数有し、これら
    の袋状構造部は筒状の一重構造部を介してそれぞれ連結
    されていることを特徴とするリントフリーワイパー。
  2. 【請求項2】 前記袋状構造部と一重構造部が連続した
    編地で構成されていることを特徴とする請求項1記載の
    リントフリーワイパー。
  3. 【請求項3】 前記筒状編物の末端の袋状構造部と一重
    構造部の連結部であって該筒状編物の内側に、筒状の一
    重構造編地がさらに連結されていることを特徴とする請
    求項1または2記載のリントフリーワイパー。
  4. 【請求項4】 前記末端の袋状構造部と一重構造編地が
    連続した編地で構成されていることを特徴とする請求項
    3記載のリントフリーワイパー。
  5. 【請求項5】 前記連結された一重構造編地がカール
    し、該編地の糸端が該カールの内側に巻き込まれている
    ことを特徴とする請求項3または4記載のリントフリー
    ワイパー。
  6. 【請求項6】 前記筒状編物の編地が実質上2層構造で
    あることを特徴とする請求項1記載のリントフリーワイ
    パー。
  7. 【請求項7】 前記実質上2層構造である編地の外側が
    実質的に合成繊維からなり、内側が実質的にセルロース
    繊維からなることを特徴とする請求項6記載のリントフ
    リーワイパー。
  8. 【請求項8】 編地を構成する糸が長繊維から構成され
    ていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに
    記載のリントフリーワイパー。
  9. 【請求項9】 編地を構成する糸が実質的にセルロース
    からなることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか
    に記載のリントフリーワイパー。
  10. 【請求項10】 編地を構成する糸がセルロース繊維と
    合成繊維の複合繊維であることを特徴とする請求項1な
    いし8のいずれかに記載のリントフリーワイパー。
  11. 【請求項11】 編地を構成する糸がセルロース繊維を
    芯部に有し、鞘部が合成繊維からなる複合繊維であるこ
    とを特徴とする請求項10に記載のリントフリーワイパ
    ー。
  12. 【請求項12】 筒状編物を構成する繊維として合成繊
    維を有し、該合成繊維が親水処理されていることを特徴
    とする請求項1ないし11のいずれかに記載のリントフ
    リーワイパー。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014514464A (ja) * 2011-03-15 2014-06-19 ナイキ インターナショナル リミテッド ニット構成要素の製造方法
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