JPH11199727A - 振動溶着用スチレン系樹脂組成物 - Google Patents

振動溶着用スチレン系樹脂組成物

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JPH11199727A
JPH11199727A JP286298A JP286298A JPH11199727A JP H11199727 A JPH11199727 A JP H11199727A JP 286298 A JP286298 A JP 286298A JP 286298 A JP286298 A JP 286298A JP H11199727 A JPH11199727 A JP H11199727A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 振動溶着用スチレン系樹脂組成物に対してア
クリル系樹脂を振動溶着で接合した際に、バリの倒れや
粉状物の発生が少なく、優れた接合面外観を得ることが
できる振動溶着用スチレン系樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 アクリル系樹脂を振動溶着する際に用い
る振動溶着用スチレン系樹脂組成物において、当該振動
溶着用スチレン系樹脂組成物は、ゴム変性スチレン樹脂
を含み、かつ当該振動溶着用スチレン系樹脂組成物のA
STM−D256準拠した曲げ弾性率を2.5GPa以
上の値とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アクリル系樹脂を
振動溶着する際に用いる、ゴム変性スチレン系樹脂を含
むスチレン系樹脂組成物であって、優れた接合面外観を
得ることが可能な振動溶着用スチレン系樹脂組成物に関
する。
【0002】
【従来の技術】スチレン系樹脂組成物(ゴム変性スチレ
ン系樹脂を含む。)あるいは当該スチレン系樹脂組成物
成型品は、アクリル系樹脂(アクリル系樹脂成型品を含
む。以下、同様である。)と組み合わせて(接合)、例
えば、二輪車および四輪車のランプハウジング、メータ
ーケース、バックパネル等に幅広く使用されている。こ
こで、ゴム変性スチレン系樹脂とアクリル系樹脂との接
合方法として、振動溶着と呼ばれる方法が近年用いられ
るようになってきた。
【0003】この方法によれば、スチレン系樹脂組成物
に対して、アクリル系樹脂を高速振動(一例として、振
幅1mm、振動数240Hz、室温)させながら、例え
ば1〜60秒間当接させることにより、この振動に起因
した摩擦熱を発生させ、そして、発生した摩擦熱により
ゴム変性スチレン系樹脂の一部を溶融させて、スチレン
系樹脂組成物とアクリル系樹脂とを融着接合させるもの
である。したがって、当該振動溶着方法を用いると、ス
チレン系樹脂組成物とアクリル系樹脂とを接合するため
の接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)を別途使用す
る必要がなくなるという利点が得られる。すなわち、ス
チレン系樹脂組成物等に接着剤を塗工する手間や、当該
接着剤が固化するまでの待ち時間等を省略することがで
きる。また、振動に起因した摩擦熱を利用するため、極
めて短時間(例えば、1〜60秒)で以てスチレン系樹
脂組成物を溶融させることができ、上述したランプハウ
ジング等の生産性に極めて優れている。
【0004】
【本発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来
の振動溶着方法に使用されてきたスチレン系樹脂組成物
(ゴム変性スチレン系樹脂を含む。)は、アクリル系樹
脂との接合時に、当該スチレン系樹脂組成物が溶融変形
した結果、アクリル系樹脂の周囲に形成されるバリ(側
壁部分)が倒れたり、異形に変形しやすいという問題が
見られた。したがって、アクリル系樹脂とスチレン系樹
脂組成物との接合面の外観が好ましくないという問題が
見られた。
【0005】また、スチレン系樹脂組成物に対して、ア
クリル系樹脂を高速振動させながら当接させる際に、従
来のスチレン系樹脂組成物は、当該スチレン系樹脂組成
物の一部が破損して、微小粒子径を有する粉状物を発生
させるという問題も見られた。したがって、発生した粉
状物が空中に一旦飛散し、それがアクリル系樹脂表面に
付着して、当該アクリル系樹脂の光透過性を低下させる
おそれがあった。極めて高い光透過性が要求される二輪
車および四輪車のランプハウジング、メーターケース、
バックパネル等においては、付着した粉状物によりアク
リル系樹脂の光透過性が低下するというのは、極めて深
刻な問題であった。
【0006】そこで、特開平8−115606号公報に
開示されているように、スチレン系樹脂組成物に溝(窪
み)を予め成型し、アクリル系樹脂との接合を溝の底部
のみで行うとし、発生する粉状物の飛散、付着および形
成されるバリの倒れを防ぐ方法が提案されている。しか
しながら、この開示された方法によれば、発生する粉状
物の飛散量を幾分か低下させ、形成されるバリの倒れを
ある程度防ぐことができるものの、粉状物の飛散等を防
止する上で、本質的な解決はなされていない。また、ゴ
ム変性スチレン系樹脂に溝を予め成型した場合、ゴム変
性スチレン系樹脂成形品の形状が複雑になるだけでな
く、上述したランプハウジング、メーターケース、バッ
クパネル等の外周部の幅が大きくなり、結果としてこれ
らのケース寸法が大きくなるという問題があった。
【0007】すなわち、アクリル系樹脂とゴム変性スチ
レン系樹脂とを振動溶着で以て接合する際に、優れた接
合面における外観が得られ、そして、接合時にバリの倒
れや粉状物の発生を少なくすることができる振動溶着用
スチレン系樹脂組成物が望まれていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、アクリル系樹
脂を振動溶着する際に用いる振動溶着用スチレン系樹脂
組成物であって、当該振動溶着用スチレン系樹脂組成物
は、ゴム変性スチレン樹脂を含み、かつ当該振動溶着用
スチレン系樹脂組成物のASTM−D256に準拠した
曲げ弾性率(以下、単に曲げ弾性率と称する場合があ
る。)を2.5GPa以上の値としてなる振動溶着用ス
チレン系樹脂組成物に関する。
【0009】また、本発明の振動溶着用スチレン系樹脂
組成物において、第1のスチレン系樹脂としてのスチレ
ン系樹脂をさらに含むことが好ましい。
【0010】また、本発明の振動溶着用スチレン系樹脂
組成物において、ゴム変性スチレン樹脂は、ゴム状物質
(A)および第2のスチレン系樹脂としてのスチレン系
樹脂(B)を含み、かつ、当該スチレン系樹脂(B)
は、芳香族ビニル化合物と、シアン化ビニル化合物とを
重合した共重合体であることが好ましい。
【0011】また、本発明の振動溶着用スチレン系樹脂
組成物において、スチレン系樹脂(B)は、さらにメタ
クリル酸エステルを重合した共重合体であることが好ま
しい。
【0012】また、本発明の振動溶着用スチレン系樹脂
組成物において、スチレン系樹脂(B)は、当該スチレ
ン系樹脂(B)および第1のスチレン系樹脂の全体量を
100重量部としたときに、シアン化ビニル化合物を1
5〜40重量部の割合で重合した共重合体であることが
好ましい。
【0013】また、本発明の振動溶着用スチレン系樹脂
組成物において、スチレン系樹脂(B)は、当該スチレ
ン系樹脂(B)および第1のスチレン系樹脂の全体量を
100重量部としたときに、さらに共重合可能な単量体
を0〜40(但し、0は含まない。)重量部の割合で重
合した共重合体であることが好ましい。
【0014】また、本発明の振動溶着用スチレン系樹脂
組成物において、ゴム状物質(A)が、アクリルゴム、
ブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴムおよびシリコ
ーンゴムからなる群から選択された少なくとも一つのゴ
ムであることが好ましい。
【0015】また、本発明の振動溶着用スチレン系樹脂
組成物において、ゴム状物質(A)がアクリルゴムを含
む複合ゴムであって、複合ゴムの全体量を100重量%
としたときに、アクリルゴムを5〜40重量%の範囲内
で含むことが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明のアクリル系樹脂を振動溶
着する際に用いる振動溶着用スチレン系樹脂組成物の実
施の形態について以下のとおり説明する。
【0017】1.曲げ弾性率(ASTM−D256準
拠) まず、本発明においては、振動溶着用スチレン系樹脂組
成物の曲げ弾性率は2.5GPa以上の値とされる。振
動溶着用スチレン系樹脂組成物の曲げ弾性率をこのよう
な範囲の値とすることにより、振動溶着法を用いた接合
時に、バリの倒れや粉状物の発生を少なくすることがで
きる。したがって、より確実にバリの倒れや粉状物の発
生を防止することができる点から、振動溶着用スチレン
系樹脂組成物の曲げ弾性率を2.6GPa以上の値とす
ることがより好ましい。
【0018】2.ゴム変性スチレン系樹脂 2−(1)ゴム状物質(A) 本発明におけるゴム変性スチレン系樹脂に用いるゴム状
物質(A)として、アクリルゴム、ブタジエンゴム、エ
チレンプロピレンゴム、シリコーンゴムおよびこれらの
複合ゴムの少なくとも一つを用いることができる。特
に、耐候性が優れ、振動溶着時のバリの発生が少ないこ
とから、アクリルゴムあるいは、当該アクリルゴムと他
のゴムを混合した複合ゴムが好ましい。より耐候性が優
れ、また、振動溶着時のバリの発生が少ないことから、
当該アクリルゴムを含む複合ゴムを使用した場合であっ
ても、当該複合ゴムの全体量を100重量%としたとき
に、当該アクリルゴムの含有量を5〜40重量%の範囲
内、より好ましくは、5〜20重量%の範囲内の値とす
ることである。
【0019】2−(2)スチレン系樹脂(B) ゴム変性スチレン系樹脂の製造に用いるスチレン系樹脂
(B)(第2のスチレン系樹脂と称する場合もある。)
は、ゴム変性スチレン系樹脂中のゴム状物質(A)に対
してグラフト重合(共重合)することにより構成するこ
とができる。
【0020】すなわち、スチレン系樹脂(B)として、
芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とを含んで
(二成分系)、あるいは、芳香族ビニル化合物と、シア
ン化ビニル化合物と、メタクリル酸エステルとを含んで
(三成分系)、あるいは、芳香族ビニル化合物とシアン
化ビニル化合物とメタクリル酸エステルと、これらの化
合物以外の共重合可能な単量体とを含んで(四成分
系)、これらを上記ゴム状物質(A)に対してグラフト
共重合させることにより得ることができる。但し、ゴム
変性スチレン系樹脂とは別工程で合成した、ゴムを含ま
ないスチレン系樹脂を混合しても良い。
【0021】また、第2のスチレン系樹脂としてのスチ
レン系樹脂(B)の重量平均分子量も特に限定されるも
のではないが、振動溶着用スチレン系樹脂組成物の曲げ
弾性率の値を低下させないように、当該重量平均分子量
の値を、10、000〜1、000、000の範囲内の
値とすることが好ましく、より好ましくは、50、00
0〜500、000の範囲内の値とされる。
【0022】ここで、スチレン系樹脂(B)に用いる芳
香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチ
レン、p−メチルスチレン、クロロスチレン、p−te
rtブチルスチレン等の、一種の単独使用または二種以
上の混合使用をすることができる。このうち、スチレン
およびα−メチルスチレンが、重合性、耐熱性、成形性
の観点から好ましい。
【0023】また、シアン化ビニル化合物としてはアク
リロニトリル、メタクリロニトリル等の、一種の単独使
用または二種以上の混合使用をすることができる。この
うち、アクリロニトリルが重合性、熱安定性の観点から
好ましい。
【0024】また、メタクリル酸エステルとしては、メ
チルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメ
タクリレート等の、一種の単独使用または二種以上の混
合使用をすることができる。このうち、メチルメタクリ
レートが耐熱性、成形性の観点から好ましい。
【0025】また、上記した化合物(単量体)以外の他
の共重合可能な単量体としては、マレイミド、N−フェ
ニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイ
ミド類、グルタルイミド、N−フェニルグルタルイミド
等のグルタルイミド類、メタクリル酸等が使用できる。
そして、このうち、N−フェニルマレイミドを使用する
ことが、耐熱性、経済性の観点から好ましい。
【0026】次に、スチレン系樹脂(B)における各構
成成分の含有量(使用量)について説明する。まず、ス
チレン系樹脂(B)中の芳香族ビニル化合物残基(重合
後の含有量)の量について言えば、スチレン系樹脂
(B)の全体量を100重量%としたときに、あるい
は、第1のスチレン系樹脂をさらに含む場合には、スチ
レン系樹脂(B)および第1のスチレン系樹脂の全体量
を100重量%としたときに、30〜85重量%の範囲
内の値とするのが好ましく、より好ましくは40〜80
重量%の範囲内の値であり、最適には50〜75重量%
の範囲内の値とすることである。芳香族ビニル化合物残
基の含有量が30重量%未満ではスチレン系樹脂(B)
部分、ひいてはゴム変性スチレン系樹脂の流動性が低下
するおそれがあり、一方、当該含有量が85重量%を越
えると振動溶着時のアクリル系樹脂に対する接着強度が
低下するおそれがあるためである。
【0027】また、シアン化ビニル化合物残基の量を、
スチレン系樹脂(B)を100重量%としたとき、ある
いは、第1のスチレン系樹脂をさらに含む場合には、ス
チレン系樹脂(B)および第1のスチレン系樹脂の全体
量を100重量%としたときに、15〜40重量%の範
囲内の値とするのが好ましく、より好ましくは、20〜
35重量%の範囲内の値であり、最適には25〜35重
量%の範囲内の値とすることである。シアン化ビニル化
合物残基の含有量が15重量%未満となると、振動溶着
時のアクリル系樹脂に対する接着強度が低下するおそれ
があり、一方、当該含有量が40重量%を越えるとスチ
レン系樹脂(B)部分、ひいてはゴム変性スチレン系樹
脂の流動性が低下するおそれがあるためである。
【0028】また、メタクリル酸エステルを含む場合に
は、当該メタクリル酸エステル残基の量を、スチレン系
樹脂(B)を100重量%としたとき、あるいは、第1
のスチレン系樹脂をさらに含む場合には、スチレン系樹
脂(B)および第1のスチレン系樹脂の全体量を100
重量%としたときに、0〜50重量%(但し、0は含ま
ない。)の範囲内の値とするのが好ましく、より好まし
くは0〜40重量%(但し、0は含まない。)の範囲内
の値であり、最適には、0〜30重量%(但し、0は含
まない。)の範囲内の値とすることである。メタクリル
酸エステル残基の含有量が50重量%を越えるとスチレ
ン系樹脂(B)部分、ひいてはゴム変性スチレン系樹脂
の耐熱性が低下するおそれが生じるためである。
【0029】さらに、芳香族ビニル化合物、シアン化ビ
ニル化合物およびメタクリル酸エステル以外の共重合可
能な単量体を含む場合には、当該単量体残基の量を、ス
チレン系樹脂(B)を100重量%としたとき、あるい
は、第1のスチレン系樹脂をさらに含む場合には、スチ
レン系樹脂(B)および第1のスチレン系樹脂の全体量
を100重量%としたときに、0〜30重量%(但し、
0は含まない。)の範囲内の値とするのが好ましく、よ
り好ましくは0〜20重量%(但し、0は含まない。)
の範囲内の値であり、最適には、0〜15重量%(但
し、0は含まない。)の範囲内の値とすることである。
この共重合可能な単量体残基の含有量が30重量%を越
えるとスチレン系樹脂(B)部分、ひいてはゴム変性ス
チレン系樹脂の耐衝撃性が低下するおそれがあるためで
ある。
【0030】2−(3)ゴム状物質(A)とスチレン系
樹脂(B)との配合比率 ゴム状物質(A)とスチレン系樹脂(B)との配合比率
を、(A)/(B)で以て表した場合に、5〜20重量
部/95〜80重量部、好ましくは10〜15重量部/
90〜85重量部の範囲内の値とするのが好ましい。ゴ
ム状物質(A)の配合比率が5重量部未満では、ゴム変
性スチレン系樹脂の耐衝撃性が低下するおそれがあり、
一方、20重量部を越えると振動溶着時の外観性が低下
するおそれがあるためである。
【0031】3.第1のスチレン系樹脂 本発明における振動溶着用スチレン系樹脂組成物には、
第1のスチレン系樹脂として、ゴム変性スチレン系樹脂
に含まれるスチレン系樹脂(B)(第2のスチレン系樹
脂)とは別のスチレン系樹脂を使用することができる。
このように第1のスチレン系樹脂をゴム変性スチレン系
樹脂に添加することにより、振動溶着用スチレン系樹脂
組成物の曲げ弾性率の値を容易に調節することができ
る。
【0032】ここで、第1のスチレン系樹脂としては、
第2のスチレン系樹脂(B)と同様の種類の単量体、構
成成分および含有量を採ることができる。したがって、
第1のスチレン系樹脂を芳香族ビニル化合物(単量体)
と、シアン化ビニル化合物(単量体)と、メタクリル酸
エステル(単量体)と、さらにこれら以外の共重合可能
な単量体とを共重合することにより得ることができる。
【0033】また、第1のスチレン系樹脂の重量平均分
子量も特に限定されるものではないが、添加使用した場
合に、振動溶着用スチレン系樹脂組成物の曲げ弾性率の
値を低下させないように、当該重量平均分子量の値を、
10、000〜1、000、000の範囲内の値とする
ことが好ましく、より好ましくは、50、000〜50
0、000の範囲内の値とされる。
【0034】4.添加剤 本発明の振動溶着用スチレン系樹脂組成物、あるいはそ
れに使用されるゴム変性スチレン系樹脂や第1のスチレ
ン系樹脂は、それぞれ一般的に常用されている着色剤、
安定剤、滑剤等の添加剤を含有することができる。但
し、種々の添加剤の内、滑剤および可塑剤については、
少量の添加で曲げ弾性率を低下させ、結果として振動溶
着時における外観低下の原因となるので可及的に少なく
するのが望ましい。具体的には、当該滑剤および可塑剤
の添加量を、全体量の3重量%未満、好ましくは、2重
量%未満、最適には、1重量%未満の値とするのが良
い。なお、具体的に問題となる滑剤の種類としてはエチ
レンビステアリルアミド等が挙げられ、および具体的に
問題となる可塑剤の種類としては、フタル酸ジイソデシ
ル等が挙げられる。したがって、曲げ弾性率を低下させ
ない限り、滑剤および可塑剤について所定量添加するこ
とができる。また、添加剤と本発明における振動溶着用
スチレン系樹脂組成物等との混合は、押出機、バンバリ
ーミキサー、ロール等の一般的に常用されている混合装
置を用いることができる。
【0035】
【実施例】以下実施例によって本発明をさらに詳細に説
明するが、当該実施例は本発明の一例を示すのみであ
り、本発明はこれらの記載に制限されるものではない。
また、以下の記載において「部」および「%」は、それ
ぞれ「重量部」および「重量%」を示す。
【0036】(実施例1)まず、複合ゴムラテックスを
製造し、次いで当該複合ゴムラテックスの存在下に第2
のスチレン系単量体のグラフト重合を行い、ゴム変性ス
チレン系樹脂(1)を製造した。そして、当該ゴム変性
スチレン系樹脂(1)に、別途重合した第1のスチレン
系樹脂(1)を添加し、振動溶着用スチレン系樹脂組成
物を構成した。
【0037】 (1)ゴム変性スチレン系樹脂(1)の製造 (1)−1 複合ゴムラテックスの製造 第1段階として、下記の配合組成(成分1〜4)で以
て、下記に示す重合操作により、複合ゴムラテックスを
製造した。
【0038】[配合組成] 成分1:ポリブタジエンラテックス(住友ダウ、SNX8
004):300部(固形分) 成分2:アクリル酸ブチル:700部 成分3:過硫酸カリウム:0.422部 亜硫酸ナトリウム:0.090部 KSソープ:7.72部(花王製、脂肪酸カリウム、乳
化剤) 脱イオン水:1156部 成分4:アリルメタクリレート:4.20部(成分2に
対して0.6重量%)
【0039】[重合操作]反応容器に成分1および均一
に溶解した成分3を仕込み、混合攪拌し、均一な混合溶
液とした。次いで、この成分1と成分3との混合溶液
に、成分2をさらに添加し、窒素置換後昇温させて、温
度60℃で以て重合を開始した。重合開始後4時間の時
点(重合率55%)で成分4を添加し、さらに、1時間
重合を継続した。その後反応容器全体を冷却し、重合を
停止させた。このようして得られた複合ゴムラテックス
の製造時における重合率は69%であった。
【0040】(1)−2 複合ゴムラテックス存在下の
グラフト重合 第2段階として、下記の配合組成(成分1〜4)で以
て、下記に示す重合操作により、上記重合操作で得られ
た複合ゴムラテックスに対して、第2のスチレン系樹脂
用のスチレン系単量体のグラフト重合を行った。
【0041】 [配合組成] 成分5 :脱イオン水:531部 KSソープ:2.93部 エマール2F:0.616部(花王製、ラウリル硫酸ナトリウム、乳 化剤) ぶどう糖:5.00部 亜硫酸ナトリウム:0.474部 炭酸カリウム:6.74部 成分6: スチレン:30.0部 アクリロニトリル:10.0部 キュメンハイト゛ロハ゜ーオキサイト゛:0.127部 ジビニルベンゼン:0.28部 成分7: 脱イオン水:100部 ロンガリット:2.56部 成分8: 脱イオン水:118部 ピロリン酸ナトリウム:5.00部 亜硫酸ナトリウム:0.241部 硫酸第1鉄:0.096部 成分9: 脱イオン水:395部 KSソープ:8.48部 成分10:αメチルスチレン:461.5部 スチレン:35.5部 アクリロニトリル:213.0部 キュメンハイト゛ロハ゜ーオキサイト゛:0.424部 ターシャリト゛テ゛シルメルカフ゜タン:2.39部 成分11:過硫酸カリウム:0.584部 脱イオン水:32部
【0042】[重合操作]均一に溶解した成分5を反応
容器に仕込み、均一に攪拌混合した後、上記(1)−1
で得た複合ゴムラテックス250部(固形分、グラフト
重合体ゴム、スチレンおよびアクリロニトリルの総量に
対し25%)を添加した。そして、窒素置換しながら更
に30分攪拌混合し、均一な混合溶液とした。次いで、
この混合溶液を40℃で30分間保温した後、成分7を
さらに添加した。そして、70℃に昇温させて重合を開
始した。当該温度に保持したまま2時間重合し、重合率
が62%となった時点で、均一に溶解した成分9および
成分10を、4時間かけて滴下しさらに30分間保温し
た。その後、温度80℃、1時間の条件で加熱し、さら
に冷却して、樹脂ラテックス溶液とした。この時の樹脂
ラテックスの重合率は97%であった。次いで、この樹
脂ラテックス溶液に硫酸アルミニウムを添加することに
より塩析を生じさせ、その後脱水乾燥してゴム変性スチ
レン系樹脂の樹脂粉末を得た。このようにして得られた
樹脂粉末におけるゴム変性スチレン系樹脂のアセトン可
溶分の分子量は、スチレン換算の重量平均分子量で16
万であった。
【0043】(2)第1のスチレン系樹脂(1)の製造 4リッターオートクレーブにイオン交換水1500g
と、10%のリン酸カルシウム水分散液30gと、1
2.5%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液
0.4gとを加え、均一に攪拌して混合液を得た。それ
から、この混合液に、スチレン1050gと、アクリロ
ニトリル450gと、ターシャリドデシルメルカプタン
3.0gと、ジラウロイルパーオキサイド7.5gと、
1、1-ヒ゛ス(t-フ゛チルハ゜ーオキシ)-3、3、5-トリメチルシクロヘキサン0.7
5gとの混合物をそれぞれ添加した。次いで、温度65
℃で以て8時間、さらに、温度110℃で以て2時間懸
濁重合し、その後懸濁物を冷却した。この懸濁物を脱水
乾燥し、第1のスチレン系樹脂(1)を得た。このよう
にして得られた第1のスチレン系樹脂(1)の分子量を
GPCを用いて測定したところ、スチレン換算の重量平
均分子量で以て18万であった。
【0044】(3)振動溶着用スチレン系樹脂組成物の
作成 ゴム変性スチレン系樹脂(1)500重量部と、第1の
スチレン系樹脂(1)500重量部とを押出機で以て溶
融混練、ペレット化し、さらに射出成形機によって振動
溶着用スチレン系樹脂組成物からなる試験片を作製し
た。そして、以下に示す方法で試験片の物性評価を行っ
た。
【0045】(3)−1 アイゾット衝撃強度 ASTM−D256に準拠して、アイゾット衝撃試験機
(東洋精機社製)を用いて、試験片のアイゾット衝撃強
度を測定した。なお、測定した試験片の厚さを1/8イ
ンチ、ノッチ付きとした。また、測定温度は23℃±2
℃で以て測定した。結果を表1に示す。
【0046】この結果から容易に理解されるように、実
施例1の振動溶着用スチレン系樹脂組成物は、80J/
mという高い値を示し、耐衝撃性に優れていることが確
認された。なお、振動溶着用スチレン系樹脂組成物のア
イゾット衝撃強度としては、少なくとも40J/m以上
の値を有することが好ましく、より好ましくは、50J
/m以上の値であり、最適には、70J/m以上の値で
ある。
【0047】(3)−2 曲げ弾性率及び曲げ強度 ASTM−D790に準拠して、オリエンテック株式会
社製UTM−III−500型の引っ張り試験機を用
い、2.5mm/分の試験速度で以て曲げ弾性率及び曲
げ強度(曲げ強さと称する場合もある。)を測定した。
なお、測定した試験片の厚さは1/6インチとした。結
果を表1に示す。
【0048】この結果から容易に理解されるように、実
施例1の振動溶着用スチレン系樹脂組成物は、2.81
GPaという高い曲げ弾性率の値を示すことが確認され
た。なお、振動溶着用スチレン系樹脂組成物の曲げ弾性
率としては、一部前述したように、接合面の外観性との
関係および接着容易性の観点から少なくとも2.5GP
a以上の値を有することが必要であり、より好ましくは
2.6〜3.6GPaの範囲内の値であり、最適には、
2.7〜3.5GPaの範囲内の値である。また、実施
例1の振動溶着用スチレン系樹脂組成物は、86MPa
という高い曲げ強度の値を示すことが確認された。な
お、振動溶着用スチレン系樹脂組成物の曲げ強度として
は、接合面の外観性との関係から少なくとも70MPa
以上の値を有することが好ましく、より好ましくは75
MPa以上の値であり、最適には、80MPa以上の値
である。
【0049】(3)−3 荷重たわみ温度 ASTM D−648−56に準拠して、試験片の荷重
たわみ温度を測定した。なお、測定した試験片は1/4
インチのものを用いた。また、荷重18.4kgf、昇
温速度2.0±2℃/分の測定条件で行い、試験片の変
形が0.26mmに達したときの温度を荷重たわみ温度
とした測定結果を表1に示した。
【0050】この結果から容易に理解されるように、実
施例1の振動溶着用スチレン系樹脂組成物は、100℃
という高い荷重たわみ温度の値を示し、耐熱性、耐クリ
ープ性に優れていることが確認された。なお、振動溶着
用スチレン系樹脂組成物の荷重たわみ温度としては、9
0℃以上の値を有することが好ましく、より好ましく
は、95℃以上の値であり、最適には、100℃以上の
値である。
【0051】(3)−4 引張り強度および伸び JIS K6319に準拠して、引張り試験機(オリエ
ンテック株式会社製UTM−III−500型)を用い
て、以下の測定条件で以て試験片の引張り強度および伸
びを測定した。結果を表1に示す。 試験条件:チャック間距離112mm±0.05mm 標線間距離50mm±0.05mm フルスケール200kg チャートスピード100mm/分 テストスピード20mm/分 測定温度23±2℃
【0052】この結果から容易に理解されるように、実
施例1の振動溶着用スチレン系樹脂組成物は、52MP
aという高い引張り強度の値を示し、耐熱性、耐機械特
性に優れていることが確認された。なお、振動溶着用ス
チレン系樹脂組成物の引張り強度としては、45MPa
以上の値を有することが好ましく、より好ましくは、5
0MPa以上の値である。また、振動溶着用スチレン系
樹脂組成物の伸びに関しても、34%という十分な値を
示した。なお、振動溶着用スチレン系樹脂組成物の伸び
としては、20%以上の値を有することが好ましく、よ
り好ましくは、30%以上の値である。
【0053】(3)−5 振動溶着時の外観 ブランソン製2406型振動溶着機を用い、図1(a)
および図1(b)に示すアクリル系樹脂製試験片10
(底板:縦150mm、横30mm、厚さ2mm、壁状
物の高さ:最大9mm、壁状物の幅:2mm、壁状物の
振動溶着用スチレン系樹脂組成物製試験片に対する接触
面積:592mm2、曲げ強度:120MPa、曲げ弾
性率:2.8GPa)を、下記に示す溶着条件で以て、
図2(a)および図2(b)に示す振動溶着用スチレン
系樹脂組成物製試験片16(縦160mm、横30m
m、厚さ2mm)に対して振動溶着した。そして、同様
の振動溶着を5回繰り返し、5個の評価サンプルを作製
した。それぞれ評価サンプルの外観(バリの倒れ、粉状
物の発生)を目視で観察し、以下の基準で評価した。 振幅:1mm 振動数:240Hz 振動時間:4〜5秒 環境温度:室温
【0054】(バリについての評価基準) 評価5:バリの倒れが5個とも全く観察されない。 評価4:わずかなバリの倒れが1〜2個観察された。 評価3:明らかなバリの倒れが1〜2個観察された。 評価2:明らかなバリの倒れが3〜4個観察された。 評価1:明らかなバリの倒れが5個とも観察された。
【0055】(粉状物の発生についての評価基準) 評価5:粉状物の発生が5個とも全く観察されない。 評価4:わずかな粉状物の発生が1〜2個観察された。 評価3:明らかな粉状物の発生が1〜2個観察された。 評価2:明らかな粉状物の発生が3〜4個観察された。 評価1:明らかな粉状物の発生が5個とも観察された。
【0056】(3)−5 振動溶着後の接着強度(引っ
張り強度) (3)−4において振動溶着時の外観を評価した評価サ
ンプルを接着強度測定用サンプルとして、当該サンプル
の接着強度(引っ張り強度)を、図3に示すような固定
治具18、20を用いて測定した。すなわち、図3を用
いて振動溶着後の接着強度の測定方法を説明すると、上
側固定治具18における上側突起部22に、接着強度測
定用サンプル26の上側の一部を引っかけ、一方、下側
固定治具20における下側突起部24に、接着強度測定
用サンプル26の下側の一部を引っかけ、図3において
矢印で示す方向に引張り試験機を用いて上側固定治具1
8および下側固定治具20を引っ張った。そして、接着
強度測定用サンプル26におけるアクリル樹脂製試験片
と振動溶着用スチレン系樹脂組成物製試験片との接合部
が破損するまでまでの引っ張り強度(引っ張り強さと称
する場合もある。)を測定した。
【0057】なお、引張り試験機としてはオリエンテッ
ク株式会社製UTM−III−500型を用い、以下の
測定条件で以て接着強度(引っ張り強度)を測定した。
また、接着強度は、得られた最大強度を、接着面積で以
て除算することにより算出した結果を表1に示した。 試験条件:テストスピード10mm/分 測定温度23±2℃
【0058】この結果から容易に理解されるように、実
施例1の振動溶着用スチレン系樹脂組成物を用いた接着
強度測定用サンプルは、平均値で48MPaという高い
接着強度の値を示し、アクリル樹脂製試験片と振動溶着
用スチレン系樹脂組成物製試験片とが強固に接着されて
いることが確認された。また、5回接着強度測定用サン
プルの接着強度を測定したが、各測定データ間で、極め
てデータのばらつきが少なく、均一なデータが得られ
た。なお、実用上、振動溶着用スチレン系樹脂組成物を
用いた接着強度測定用サンプルの接着強度としては、4
0MPa以上の値を示すことが好ましい。
【0059】(実施例2) (1)ゴム変性スチレン系樹脂(1)の製造 実施例1と同様の条件で以て、ゴム変性スチレン系樹脂
(1)を製造した。 (2)第1のスチレン系樹脂(1)の製造 実施例1と同様の条件で以て、第1のスチレン系樹脂
(1)を製造した。
【0060】(3)第1のスチレン系樹脂(2)の製造 4リッターオートクレーブにイオン交換水1500g
と、10%のリン酸カルシウム水分散液30gと、1
2.5%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液
0.4gとを加え、均一に攪拌して混合液を得た。それ
から、この混合液に、スチレン705gと、αメチルス
チレン300gと、N−フェニルマレイミド75gと、
アクリロニトリル420gと、ジラウロイルパーオキサ
イド15gと、1、1-ヒ゛ス(t-フ゛チルハ゜ーオキシ)-3、3、5-トリメチル
シクロヘキサン0.75gとの混合物を添加した。次いで、温
度70℃で以て8時間、さらに、温度110℃で以て2
時間懸濁重合し、その後懸濁物を冷却した。この懸濁物
を脱水乾燥し、スチレン系樹脂(2)を得た。このよう
にして得られたスチレン系樹脂(2)の分子量はスチレ
ン換算の重量平均分子量で40万であった。
【0061】(4)振動溶着用スチレン系樹脂組成物の
作製 上記ゴム変性スチレン系樹脂(1)500重量部と、上
記第1のスチレン系樹脂(1)250重量部と、上記第
1のスチレン系樹脂(2)250重量部とをそれぞれ押
出機で以て溶融混練、ペレット化し、さらに射出成形機
によって振動溶着用スチレン系樹脂組成物からなる試験
片を作製した。そして、実施例1と同様の条件で以て、
試験片のアイゾット衝撃強度、曲げ弾性率、曲げ強度、
荷重たわみ温度、引張り強度、伸びおよび振動溶着時の
外観並びに接着強度の測定結果を表1に示した。
【0062】この結果から容易に理解されるように、実
施例2の振動溶着用スチレン系樹脂組成物は、曲げ弾性
率が2.72GPaという高い値を示し、振動溶着時に
おける優れた外観性が得られた。また、接着強度につい
ても、47MPaという高い値を示し、しかも各測定デ
ータ間(5個)で、値のばらつきが少なかった。
【0063】(実施例3) (1)ゴム変性スチレン系樹脂(1)の製造 実施例1と同様の条件で以て、ゴム変性スチレン系樹脂
(1)を製造した。 (2)第1のスチレン系樹脂(2)の製造 実施例2と同様の条件で以て、第1のスチレン系樹脂
(2)を製造した。
【0064】(3)振動溶着用スチレン系樹脂組成物の
作製 上記ゴム変性スチレン系樹脂(1)500重量部と、上
記第1のスチレン系樹脂(2)500重量部とを押出機
で以て溶融混練、ペレット化し、射出成形機によって振
動溶着用スチレン系樹脂組成物からなる試験片を作製し
た。そして、実施例1と同様の条件で以て、試験片のア
イゾット衝撃強度、曲げ弾性率、曲げ強度、荷重たわみ
温度、引張り強度、伸びおよび振動溶着時の外観並びに
接着強度の測定結果を表1に示した。
【0065】この結果から容易に理解されるように、実
施例3の振動溶着用スチレン系樹脂組成物は、曲げ弾性
率が2.66GPaという高い値を示し、振動溶着時に
おける優れた外観性が得られた。また、接着強度につい
ても、48MPaという高い値を示し、しかも各測定デ
ータ間(5個)で、値のばらつきが少なかった。
【0066】(実施例4)実施例1に記載したと同様の
ゴム変性スチレン系樹脂(1)およびスチレン系樹脂
(1)とを用い、当該ゴム変性スチレン系樹脂(1)と
第1のスチレン系樹脂(1)との配合比率を代えて振動
溶着用スチレン系樹脂組成物の試験片を作製した。すな
わち、ゴム変性スチレン系樹脂(1)700重量部と、
第1のスチレン系樹脂(1)300重量部とを押出機で
以て溶融混練、ペレット化し、射出成形機によって振動
溶着用スチレン系樹脂組成物からなる試験片を作製し
た。そして、実施例1と同様の条件で以て、試験片のア
イゾット衝撃強度、曲げ弾性率、曲げ強度、荷重たわみ
温度、引張り強度、伸びおよび振動溶着時の外観並びに
接着強度の測定結果を表1に示した。
【0067】この結果から容易に理解されるように、実
施例4の振動溶着用スチレン系樹脂組成物は、曲げ弾性
率が2.55GPaという値を示し、実施例1〜3の振
動溶着時における外観性と比較すると若干劣るが、外観
性としては、実用上良好なものであった。また、接着強
度についても、47MPaという高い値を示し、しかも
各測定データ間(5個)で、値のばらつきが少なかっ
た。
【0068】(実施例5)実施例1に記載したと同様の
ゴム変性スチレン系樹脂(1)およびスチレン系樹脂
(1)を用い、当該ゴム変性スチレン系樹脂(1)と第
1のスチレン系樹脂(1)との配合比率を代えて振動溶
着用スチレン系樹脂組成物の試験片を作製した。すなわ
ち、ゴム変性スチレン系樹脂(1)300重量部と、第
1のスチレン系樹脂(1)700重量部とを押出機で以
て溶融混練、ペレット化し、射出成形機によって振動溶
着用スチレン系樹脂組成物からなる試験片を作製した。
そして、実施例1と同様の条件で以て、試験片のアイゾ
ット衝撃強度、曲げ弾性率、曲げ強度、荷重たわみ温
度、引張り強度、伸びおよび振動溶着時の外観並びに接
着強度の測定結果を表1に示した。
【0069】この結果から容易に理解されるように、実
施例5の振動溶着用スチレン系樹脂組成物は、曲げ弾性
率が3.22GPaという極めて高い値を示し、振動溶
着時における優れた外観性が得られた。また、接着強度
についても、46MPaという高い値を示し、しかも各
測定データ間(5個)で値のばらつきが少なかった。但
し、アイゾット衝撃強度や伸びについては、実施例1〜
3と比較すると若干劣る傾向が見られた。
【0070】(比較例1)実施例1に記載したと同様の
ゴム変性スチレン系樹脂(1)のみから振動溶着用スチ
レン系樹脂組成物の試験片を作製した。すなわち、ゴム
変性スチレン系樹脂(1)1000重量部を押出機で以
て溶融、ペレット化し、射出成形機によって試験片を作
製した。そして、実施例1と同様の条件で以て、試験片
のアイゾット衝撃強度、曲げ弾性率、曲げ強度、荷重た
わみ温度、引張り強度、伸びおよび振動溶着時の外観並
びに接着強度の測定結果を表1に示した。
【0071】この結果から容易に理解されるように、比
較例1の振動溶着用スチレン系樹脂組成物は、曲げ弾性
率が2.11GPaという低い値であり、また、振動溶
着時における外観性も劣っていることが確認された。さ
らに、接着強度の値としては、48MPaという比較的
高い値が得られたが、データ間のばらつきが大きい傾向
が見られた。
【0072】(比較例2)実施例1に記載したと同様の
ゴム変性スチレン系樹脂(1)に、添加剤(潤滑剤)と
してエチレンビステアリルアミドを添加して、振動溶着
用スチレン系樹脂組成物の試験片を作製した。すなわ
ち、ゴム変性スチレン系樹脂(1)500重量部と、ス
チレン系樹脂(1)500重量部と、エチレンビステア
リルアミドを30重量部とをそれぞれ押出機で以て溶融
混練、ペレット化し、射出成形機によって試験片を作製
した。そして、実施例1と同様の条件で以て、試験片の
アイゾット衝撃強度、曲げ弾性率、曲げ強度、荷重たわ
み温度、引張り強度、伸びおよび振動溶着時の外観並び
に接着強度の測定結果を表1に示した。
【0073】この結果から容易に理解されるように、比
較例2の振動溶着用スチレン系樹脂組成物は、曲げ弾性
率が2.33GPaという低い値であり、また、振動溶
着時における外観性も不十分であることが確認された。
さらに、接着強度の値として、47MPaという比較的
高い値が得られたが、データ間のばらつきが大きい傾向
が見られた。
【0074】(比較例3)実施例1に記載したと同様の
ゴム変性スチレン系樹脂(1)に、添加剤(可塑剤)と
してフタル酸ジイソデシルを添加して、振動溶着用スチ
レン系樹脂組成物の試験片を作製した。すなわち、ゴム
変性スチレン系樹脂(1)500重量部と、スチレン系
樹脂(1)500重量部と、フタル酸ジイソデシル30
重量部とをそれぞれ押出機で以て溶融混練、ペレット化
し、射出成形機によって試験片を作製した。そして、実
施例1と同様の条件で以て、試験片のアイゾット衝撃強
度、曲げ弾性率、曲げ強度、荷重たわみ温度、引張り強
度、伸びおよび振動溶着時の外観並びに接着強度の測定
結果を表1に示した。
【0075】この結果から容易に理解されるように、比
較例3の振動溶着用スチレン系樹脂組成物は、曲げ弾性
率が2.19GPaという低い値であり、また、振動溶
着時における外観性も不十分であることが確認された。
さらに、接着強度の値として、46MPaという比較的
高い値が得られたが、データ間のばらつきが大きい傾向
が見られた。
【0076】
【表1】
【0077】
【発明の効果】本発明の振動溶着用スチレン系樹脂組成
物において、ゴム変性スチレン樹脂を含み、かつ当該振
動溶着用スチレン系樹脂組成物のASTM−D256に
準拠した曲げ弾性率の値を一定範囲に調整することによ
り、当該振動溶着用スチレン系樹脂組成物に対してアク
リル系樹脂を振動溶着で接合した際に、バリの倒れや粉
状物の発生が少なく、優れた接合面外観を得ることがで
きるようになった。また、本発明の振動溶着用スチレン
系樹脂組成物に対するアクリル系樹脂の接着強度として
高い値が得られ、またその値のばらつきも小さかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、アクリル樹脂製試験片の正面図であ
る。(b)は、アクリル樹脂製試験片におけるA−A'
に相当する線で切断した場合の断面図である。
【図2】(a)は、振動溶着用スチレン系樹脂組成物製
試験片の正面図である。(b)は、振動溶着用スチレン
系樹脂組成物製試験片の側面図である。
【図3】接着強度の測定方法を示す概念図である。
【符号の説明】
10:アクリル樹脂製試験片 12:底板 14:壁状物 16:振動溶着用スチレン系樹脂組成物製試験片 18:上側固定治具 20:下側固定治具 22:上側突起部 24:下側突起部 26:接着強度測定用サンプル

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリル系樹脂を振動溶着する際に用い
    る振動溶着用スチレン系樹脂組成物であって、 当該振動溶着用スチレン系樹脂組成物は、ゴム変性スチ
    レン樹脂を含み、かつ当該振動溶着用スチレン系樹脂組
    成物のASTM−D256に準拠した曲げ弾性率を2.
    5GPa以上の値としてなる振動溶着用スチレン系樹脂
    組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の振動溶着用スチレン系
    樹脂組成物において、さらに第1のスチレン系樹脂とし
    てスチレン系樹脂を含むものである振動溶着用スチレン
    系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の振動溶着用ス
    チレン系樹脂組成物において、 ゴム変性スチレン樹脂は、ゴム状物質(A)および第2
    のスチレン系樹脂としてのスチレン系樹脂(B)を含
    み、 かつ、当該スチレン系樹脂(B)は、芳香族ビニル化合
    物と、シアン化ビニル化合物とを重合した共重合体であ
    る振動溶着用スチレン系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の振動溶着用スチレン系
    樹脂組成物において、スチレン系樹脂(B)は、さらに
    メタクリル酸エステルを重合した共重合体である振動溶
    着用スチレン系樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 請求項2〜4のいずれか1項に記載の振
    動溶着用スチレン系樹脂組成物において、スチレン系樹
    脂(B)は、当該スチレン系樹脂(B)および第1のス
    チレン系樹脂の全体量を100重量部としたときに、シ
    アン化ビニル化合物を15〜40重量部の割合で重合し
    た共重合体である振動溶着用スチレン系樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 請求項2〜5のいずれか1項に記載の振
    動溶着用スチレン系樹脂組成物において、スチレン系樹
    脂(B)は、さらに共重合可能な単量体を、当該スチレ
    ン系樹脂(B)および第1のスチレン系樹脂の全体量を
    100重量部としたときに、0〜30(但し、0は含ま
    ない。)重量部の割合で重合した共重合体である振動溶
    着用スチレン系樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 請求項2〜6のいずれか1項に記載の振
    動溶着用スチレン系樹脂組成物において、ゴム状物質
    (A)が、アクリルゴム、ブタジエンゴム、エチレンプ
    ロピレンゴム、シリコーンゴムからなる群から選択され
    た少なくとも一つのゴムである振動溶着用スチレン系樹
    脂組成物。
  8. 【請求項8】 請求項3〜7のいずれか1項に記載の振
    動溶着用スチレン系樹脂組成物において、ゴム状物質
    (A)がアクリルゴムを含む複合ゴムであって、当該複
    合ゴムの全体量を100重量%としたときに、アクリル
    ゴムを5〜40重量%の範囲内で含む振動溶着用スチレ
    ン系樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016188292A (ja) * 2015-03-30 2016-11-04 東レ株式会社 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品

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