JPH11199000A - シール部材 - Google Patents

シール部材

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JPH11199000A
JPH11199000A JP10218154A JP21815498A JPH11199000A JP H11199000 A JPH11199000 A JP H11199000A JP 10218154 A JP10218154 A JP 10218154A JP 21815498 A JP21815498 A JP 21815498A JP H11199000 A JPH11199000 A JP H11199000A
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seal
seal member
shaft
outer diameter
insertion hole
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JP10218154A
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Hiroki Okada
裕樹 岡田
Wataru Nagao
亘 永尾
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Tokico Ltd
Original Assignee
Tokico Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は軸と挿通孔との間をシールするシー
ル部材の摺動抵抗を軽減することを課題とする。 【解決手段】 シール部材46は、シール内径部46a
の内径寸法をシール溝41bの内径寸法よりも小さい寸
法とし、且つシール外径部46bの外径寸法をシール溝
41bの外径寸法よりも小さい寸法としてある。そのた
め、シール部材46は、膨潤により拡径されても摺動面
47を摺動するシール外径部46bの圧縮代を小さく抑
えることができ、摺動面47に対する摺動抵抗が膨潤に
よって増大することを防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は軸が摺動可能に挿通
される挿通孔と該軸との間に形成されたシール溝に装着
された状態で挿通孔と軸との間をシールするシール部材
に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、給油所等において使用される給
油ノズルには、ピストルのように指先で引金状のレバー
を回動させることにより内蔵された弁機構が開弁動作し
て給油が開始されるように構成されたピストル形の給油
ノズルがある。また、この種の給油ノズルでは、満タン
給油を行う際、ノズルレバーの開弁操作により弁機構の
弁体が開弁位置に係止され、液面の上昇が検知されると
自動閉弁機構の閉弁動作により給油が自動的に停止する
ように構成されている。このように給油ノズルに設けら
れた自動閉弁機構は、ベンチュリ効果、即ち油液の流速
によって負圧を生じさせる負圧発生部を有し、この負圧
発生部で生じた負圧によりダイヤフラムを変位させて弁
体を閉弁動作させるようになっている。
【0003】そして、給油中は、吐出パイプの先端近傍
に設けられた空気導入口から空気が吸引されており、こ
の吸引された空気が負圧発生部に供給されるようになっ
ている。そのため、液面の上昇により吐出パイプの先端
に開口する吐出口が液面に閉塞されると、吐出口からの
空気吸入が遮断されるため、負圧発生部で生じた負圧に
よりダイヤフラムが変位して弁体を閉弁動作させる。
【0004】また、上記のような構成とされた給油ノズ
ルにおいては、弁体と一体に設けられた弁軸がノズル本
体に形成された挿通孔に摺動可能に挿通されている。そ
して、弁軸と挿通孔との間は、断面形状がV字状又はU
字状とされたリップ形シール部材により液密にシールさ
れるシール構造となっている。シール部材は、弁軸の外
周に形成された環状凹部あるいは挿通孔の内壁に形成さ
れた環状凹部と摺動面とにより画成されたシール溝内に
装着される。
【0005】そのため、シール部材は、内周側リップ部
又は外周側リップ部のいずれか一方が弁体の開閉動作と
共に弁軸又は挿通孔を摺動するように取り付けられる。
よって、弁軸又は挿通孔に対するシール部材の圧着力
は、弁体を開閉動作させる際の摺動抵抗となる。特にピ
ストル形の給油ノズルの場合、人差し指のみでレバーを
操作する構成であるので、開弁操作時の負荷を軽減する
ため、弁体を閉弁方向に付勢するバネ部材のバネ力が比
較的小さく設定されている。そのため、シール部材によ
る摺動抵抗が大きくなると、その分弁体を閉弁方向に付
勢するバネ力が相対的に減少する。よって、ピストル形
の給油ノズルでは、シール部材による摺動抵抗が弁体を
閉弁方向に付勢するバネ力より大きい場合には、上記自
動閉弁機構による給油停止時の閉弁動作が確実に行われ
なくなる。
【0006】ここで、従来のピストル形の給油ノズルに
適用されたシール構造について図面と共に説明する。図
21(A)(B)は従来のピストル形の給油ノズルの弁
軸をシールするシール構造を拡大して示す縦断面図であ
る。尚、図21(A)(B)において、シール部材10
1は自由長寸法で示してあるので、シール部材101の
輪郭を示す線が収納部分を示す線と交差している。
【0007】図21(A)に示されるように、弁軸10
0の外周には、リップ形シール部材101(以下「シー
ル部材」と称す)が装着される環状凹部102が設けら
れている。そして、弁軸100は、給油ノズル本体に設
けられた挿通孔103に摺動可能に挿通されている。そ
のため、環状凹部102と挿通孔103との間に形成さ
れる空間がシール部材101を収容するためのシール溝
104となる。また、弁体が開閉動作する際、挿通孔1
03の内周がシール部材101の摺動面105となる。
【0008】従来のシール構造では、シール部材101
の内径の半径寸法Raが環状凹部102の半径Ra1
りも寸法δiだけ小さくなる(Ra<Ra1 )ように設
定されると共に、シール部材101の外径の半径寸法R
bが挿通孔103の半径Rb 1 よりも寸法δoだけ大き
く(Rb>Rb1 )なるように設定される。そのため、
シール部材101が環状凹部102に装着された状態で
弁軸100が挿通孔103に挿通された場合、シール部
材101の内周側リップ部101aが外周方向に寸法δ
iだけ拡径されると共に、シール部材101の外周側リ
ップ部101bが内周方向に寸法δoだけ圧縮される。
【0009】これにより、シール部材101は、内周側
リップ部101aが環状凹部102に密着し、シール部
材101の外周側リップ部101bが挿通孔103の摺
動面105に密着した状態となり、弁軸100と挿通孔
103との間をシールする。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来のシ
ール構造では、理論上、シール部材101の内周側リッ
プ部101aと外周側リップ部101bとで略同程度の
圧着力が作用するようにしている。しかしながら、実際
には、シール部材101が収容されるシール溝104に
油液が進入するため、シール部材101の溝101c内
には油液による圧力が作用する。
【0011】そのため、シール部材101の内周側リッ
プ部101a及び外周側リップ部101bは、給油ノズ
ル内の液圧により環状凹部102及び摺動面105に対
するシール性がより高まる。ところが、シール部材10
1は、合成ゴム材に成形されているので、油液に接触し
た状態が継続されると、次第に油液を吸収して膨潤す
る。そのため、シール部材101は、全体的に外径方向
に膨張した状態に拡大される。
【0012】図21(B)に示されるように、シール部
材101は上記シール溝104に収容された状態で膨潤
した場合、内周側リップ部101a及び外周側リップ部
101bが膨潤前に比べて内径の半径寸法Ra及び外径
の半径寸法Rbが共に大きくなる。そのため、シール部
材101は、膨潤による経時変化で内径の半径寸法Ra
がRa>Ra1 となり、外径の半径寸法RbがRb≫R
1 となる。
【0013】その結果、内周側リップ部101aが環状
凹部102から寸法Δiだけ離間すると共に、外周側リ
ップ部101bが摺動面105より外径方向に寸法δo
だけ膨潤する。これにより、シール部材101に対する
半径方向の圧縮代が膨潤前よりも拡大される。そのた
め、内周側リップ部101aの環状凹部102に対する
圧着力、及び外周側リップ部101bの摺動面105に
対する圧着力が当初よりも増大する。
【0014】よって、シール部材101が膨潤するのに
伴って弁軸100の摺動抵抗が増大する。従って、給油
ノズルにおいては、自動閉弁機構による閉弁動作が行わ
れる際、弁体を付勢するバネ力よりもシール部材101
による摺動抵抗が大きくなって弁体を弁座に着座させる
ことができなくなり、満タン給油完了時の自動閉弁動作
による給液停止の信頼性が低下するといった問題があ
る。
【0015】そこで、本発明は上記課題を解決したシー
ル部材を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は以下のような特徴を有する。上記請求項1
記載の発明は、軸が摺動可能に挿通される挿通孔と該軸
との間に形成されたシール溝に装着された状態で前記挿
通孔と前記軸との間をシールするシール部材において、
シール内径部の内径寸法を前記シール溝の内径寸法より
も小さい寸法とし、且つシール外径部の外径寸法を前記
シール溝の外径寸法よりも小さい寸法としたことを特徴
するものである。
【0017】従って、上記請求項1記載の発明によれ
ば、シール内径部の内径寸法をシール溝の内径寸法より
も小さい寸法とし、且つシール外径部の外径寸法をシー
ル溝の外径寸法よりも小さい寸法としたため、膨潤によ
り拡径されても摺動面を摺動するシール部分の圧縮代を
小さく抑えることができ、摺動面に対する摺動抵抗が膨
潤によって増大することを防止できる。
【0018】また、請求項2記載の発明は、上記請求項
1記載のシール部材であって、前記シール内径部が前記
軸の外周に形成されたシール溝に嵌合され、前記シール
外径部が前記挿通孔の内面に接触して前記挿通孔と前記
軸との間をシールすることを特徴するものである。従っ
て、上記請求項2記載の発明によれば、シール内径部が
軸の外周に形成されたシール溝に嵌合され、シール外径
部が挿通孔の内面に接触して挿通孔と軸との間をシール
するため、挿通孔の摺動面を摺動する際の摺動抵抗が膨
潤により増大することを防止できる。
【0019】また、請求項3記載の発明は、上記請求項
1記載のシール部材であって、前記シール内径部が前記
軸の外周に嵌合され、前記シール外径部が前記挿通孔に
形成されたシール溝に接触して前記挿通孔と前記軸との
間をシールすることを特徴するものである。従って、上
記請求項3記載の発明によれば、シール内径部が前記軸
の外周に嵌合され、シール外径部が挿通孔に形成された
シール溝に接触して挿通孔と軸との間をシールするた
め、軸の摺動面を摺動する際の摺動抵抗が膨潤により増
大することを防止できる。
【0020】また、請求項4記載の発明は、軸が摺動可
能に挿通される挿通孔と該軸との間に形成されたシール
溝に装着された状態で前記挿通孔と前記軸との間をシー
ルするシール部材において、シール内径部又はシール外
径部のうち高液圧側となる摺動面側に少なくとも一つの
凹部を全周に設けたことを特徴とするものである。
【0021】従って、上記請求項4記載の発明によれ
ば、シール内径部又はシール外径部のうち高液圧側とな
る摺動面側に少なくとも一つの凹部を全周に設けたた
め、シール部材の膨潤時あるいは高液圧作動時の摺動抵
抗を低減することができる。さらに、膨潤後の摺動面の
面圧が凹部の所で低くなるため、面圧の総圧値である摺
動抵抗の低減が可能になる。
【0022】また、請求項5記載の発明は、上記請求項
4記載のシール部材であって、前記シール内径部と前記
シール外径部との間に形成される軸方向の肉厚が前記凹
部を基点として低圧側より高圧側で小さくなるよう形成
されたことを特徴とするものである。従って、上記請求
項5記載の発明によれば、軸方向の肉厚が凹部を基点と
して低圧側より高圧側で小さくなるよう形成されている
ので、シール部材の膨潤時あるいは高液圧作動時の高圧
側での摺動抵抗を低減することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、図面と共に本発明の実施の
形態について説明する。図1は本発明になる給油ノズル
の一実施例の縦断面図である。また、図2は給油ノズル
の横断面図である。また、図3は給油ノズルの弁機構及
び自動閉弁機構を拡大して示す縦断面図である。また、
図4は給油ノズルの弁機構及び自動閉弁機構を拡大して
示す横断面図である。また、図5は弁軸の軸受け部を拡
大して示す縦断面図である。
【0024】図1乃至図4に示されるように、給油ノズ
ル11は、給油操作時に把持されるグリップ12がノズ
ル本体13の後部に設けられたピストル型給油ノズルで
ある。ノズル本体13は、左側面にホース継手14aが
回転自在に嵌合される流入口13aを有する。ホース継
手14aには、エルボ14bが回動自在に連結されてい
る。また、エルボ14bにはホース継手14cが回動自
在に連結され、ホース継手14cには給油ホース28が
締結されている。
【0025】ノズル本体13の先端側開口には、主弁の
弁座部材15と、吐出パイプ16が接続されるパイプ接
続部材17とが挿入されナット18の締め付けにより両
部材が保持されるとともに、弁座部材15及びパイプ接
続部材17内に形成された油通路19と油流路19内に
負圧発生部20及び主弁体21とからなる弁機構23が
収容されている。
【0026】また、給油ノズル11は、グリップ12の
前方にノズルレバー26が回動可能に設けられ、グリッ
プ12は前側にノズルレバー26の周囲にレバーガード
12bを有する。そして、ノズルレバー26は、弁機構
23を開閉駆動する弁軸40の係合孔40aに挿通さ
れ、C方向に回動操作させることにより主弁体21を開
弁方向に移動させることができる。また、ノズルレバー
26は、ピストルの引金と同様の形状に形成されてお
り、上端が軸26aにより回動自在に支持され、下端が
円弧状に湾曲された湾曲部26bとなっている。
【0027】また、弁軸40の係合孔40aに挿通され
たノズルレバー26の中間部分には、係合孔40aの内
壁に当接する当接部26cが設けられている。この当接
部26bは、ノズルレバー26が開弁方向(C方向)に
回動操作されても係合孔40aの内壁を開弁方向(B方
向)に押圧するように半円形状に突出している。従っ
て、給油操作を行う際は、グリップ12の把持部12a
を把持してノズルレバー26の湾曲部26bをC方向に
引くと弁軸40がB方向に摺動して弁機構23の主弁体
21が弁座部材15から離間して開弁する。これによ
り、給油が開始される。また、ノズルレバー26の下端
がレバーガード12bの掛止部(図示せず)に掛止され
ると、弁軸40及び主弁体21が全開位置に係止されて
満タン給油が行われる。
【0028】負圧発生部20は、弁座部材15の内部に
設けられ油液の吐出量に応じた負圧を発生させる構成で
あり、油流路19のテーパ状の内壁に開口する通路24
と、給油時内壁より離間して通路24を開き、給油停止
時コイルバネ25の押圧力により内壁に当接して通路2
4の開口部分を閉塞する弁体27とよりなる。弁体27
は、上記内壁に当接して油流路19を閉じるテーパ状の
当接部を有し、且つパイプ接続部材17内に穿設された
中央孔に摺動自在に挿入されている。また、吐出パイプ
16の内部通路16aには、空気吸引管33が挿通され
ている。空気吸引管33の一端は、吐出パイプ16の先
端に設けられた空気導入孔32に連通する接続され、空
気吸引管33の他端は、パイプ接続部材17内に穿設さ
れた下流側の中央孔29に挿通されている。
【0029】空気導入孔32は、満タン給油時に液面検
知部として機能するものであり、負圧発生部20で発生
した負圧により空気を吸引する。そして、空気導入孔3
2から吸引した空気は、吸引管33を通過して中央孔2
9に連通された通路34に至り、弁座部材15及びパイ
プ接続部材17の外周に形成された環状通路35に供給
される。尚、この環状通路35には、油流路19に連通
された通路24の他端が連通されている。
【0030】給油ノズル11のノズルレバー26がC方
向に操作されて弁機構23が弁開すると、弁体27は流
体圧力によりA方向に押圧されて開弁して給油が開始さ
れる。これにより、油液は油流路19を通過して吐出パ
イプ16へ吐出される。その際、負圧発生部20におい
ては、ベンチュリ効果、即ち油液の流速に応じた負圧が
発生し、油流路19の内壁に開口する通路24内の空気
が油流路19内に吸引される。また、給油停止時には、
弁機構23が閉弁し、且つ弁体27が油流路19を閉塞
するため、負圧が消滅し、通路24からの空気吸引も停
止する。
【0031】また、弁軸40は前側シャフト41と後側
シャフト42とが摺動自在に嵌合しており、ノズル本体
13内に設けられた軸受部43によりA,B方向に摺動
自在に軸支され、且つコイルバネ44,45のバネ力に
より主弁体21を弁座部材15に押圧している。そし
て、ノズルレバー26は、C方向に回動操作されると、
主弁体21と一体な前側シャフト41及び後側シャフト
42を開弁方向(B方向)に変位させる。これにより、
給油ホース(図示せず)を介して給油ノズル11に送液
された油液は、油流路19を通過して吐出パイプ16よ
り燃料タンクの給油口に給油される。
【0032】図3及び図5に示されるように、前側シャ
フト41の外周には、軸受部43の挿通孔43a内壁と
の間をシールするシール部材46が装着される環状凹部
41aが設けられている。そして、前側シャフト41に
設けられた環状凹部41aと軸受部43の挿通孔43a
内壁との間にシール溝41bが形成される。シール部材
46は、断面形状がV字状に形成されたリップ形パッキ
ンであり、合成ゴムにより一体成形されている。このシ
ール部材46は、前側シャフト41の環状凹部41aに
収容された状態に装着されるため、弁体27の開閉動作
により前側シャフト41が軸方向に摺動する際、軸受部
43の挿通孔43aの内壁を摺動する。そのため、シー
ル部材46の軸受部43に対する摺動抵抗が小さいほど
弁体27の開閉動作がスムーズに行えると共に、閉弁動
作が確実に行える。
【0033】また、吐出パイプ16内に挿通された吸引
管33は、給油時はノズル本体13内の上記パイプ接続
部材17内に形成された中央孔29及び通路34,35
を介して弁機構23の下流側に設けられた負圧発生部2
0と連通されている。弁機構23が開弁動作して油液が
油流路19から吐出パイプ16内の油流路16a内へ流
れると、油液の流出に伴って負圧発生部20のベンチュ
リ効果により負圧が発生し、通路24内の空気が油流路
19へ吸引される。
【0034】図2及び図4において、51は満タン給油
時の液面検知により閉弁動作する自動閉弁機構である。
この自動閉弁機構51は、通路52が連通されたダイヤ
フラム室53と、ダイヤフラム室53に装架されたダイ
ヤフラム54と、ダイヤフラム54の中心部に連結され
前側シャフト41の凹部41a及び後側シャフト42の
切欠42aに係合する係合部材55と、ダイヤフラム5
4を附勢するコイルバネ57と、ダイヤフラム室53を
閉蓋する蓋59とよりなる。
【0035】ダイヤフラム54は、外側周縁部がダイヤ
フラム室53の内壁に形成されたスリットに嵌合固定さ
れ、ダイヤフラム室53の圧力変化に応じて中心部分が
E,F方向に変位する。上記ダイヤフラム54及び流入
口13aは、ノズル本体13を側方からみてダイヤフラ
ム54の投影面積と流入口13aの投影面積とが重なる
ような位置に設けられている。
【0036】ダイヤフラム室53は、通路52及び3
5,24を介して負圧発生部20の油流路19に連通さ
れていると共に、通路52及び35,34を介して吸引
管33に連通されている。給油時は、負圧発生部20で
発生した負圧が通路24,35,34を介して吸引管3
3に導入されており、吐出パイプ16の先端に設けられ
た空気導入孔32から吸引された空気が吸引管33及び
通路34,35,24に供給されている。
【0037】そのため、ダイヤフラム室53の圧力は、
給油中一定であり、空気導入孔32が液面により閉塞さ
れて吸引管33からの空気供給が停止されるまで変化し
ない。このとき、ダイヤフラム室53に設けられたダイ
ヤフラム54は、コイルバネ57のバネ力によりF方向
に附勢されており、係合部材55のピン55aを前側シ
ャフト41の凹部41a及び後側シャフト42の切欠4
2aに係合させる弁軸係止位置に保持している。
【0038】さらに、後側シャフト42は、ノズルレバ
ー26が開弁操作によりB方向に変位した開弁位置に係
止されており、前側シャフト41は係合部材55のピン
55aを介して後側シャフト42に係止されている。こ
こで、吐出パイプ16の空気導入孔32が液面により閉
塞されると、空気導入孔32からの空気吸引が遮断され
て液面検知が行われる。すなわち、吸引管33から負圧
発生部20への空気供給が停止されると共に、通路52
を介してダイヤフラム室53の空気が負圧発生部20へ
吸引される。
【0039】その結果、ダイヤフラム室53の空気圧が
減圧され、ダイヤフラム54の中心部がコイルバネ57
のバネ力に抗してE方向に変位する。これにより、ダイ
ヤフラム54に設けられた係合部材55のピン55aが
後側シャフト42の切欠42aから離間して前側シャフ
ト41の係止を解除する。そして、前側シャフト41は
コイルバネ44のバネ力によりA方向に閉弁動作して主
弁体21を弁座部材15に当接させる。これで、油通路
19は、主弁体21により遮断されて油液の供給が停止
される。
【0040】このように、満タン給油を行う場合、主弁
体21はコイルバネ44のバネ力により閉弁動作するた
め、確実に閉弁させるには前側シャフト41の環状凹部
41aに装着されたシール部材46が軸受部43の挿通
孔43aを摺動する際の摺動抵抗がコイルバネ44のバ
ネ力よりも小さいことが重要である。図6(A)(B)
は本発明になるシール部材46の寸法形状を説明するた
めの縦断面図である。図7(A)(B)は本発明になる
シール部材46が環状凹部41aに装着された状態を説
明するための縦断面図である。尚、図6(A)(B)に
おいて、シール部材46は自由長寸法で示してあるの
で、シール部材46の輪郭を示す線が収納部分を示す線
と交差している。
【0041】図6(A)に示されるように、シール部材
46は、前側シャフト41の外周に設けられた環状凹部
41aに嵌合された状態で装着されるため、弁体が開閉
動作する際、挿通孔43aの内周がシール部材46の摺
動面47となる。本発明のシール構造では、シール部材
46の内径の半径寸法Ra’が環状凹部41aの半径R
1 よりも寸法δi’だけ小さくなる(Ra’<R
1 、Ra’<Ra、δi’>δi)ように設定される
と共に、シール部材46の外径の半径寸法Rb’が挿通
孔43aの半径Rb1 よりも寸法Δoだけ小さく(R
b’<Rb1 、Rb’<Rb)なるように設定される。
【0042】すなわち、δi’>Δo≧0となる。その
ため、シール部材46が環状凹部41aに装着された状
態で前側シャフト41が挿通孔43aに挿通された場
合、図7(A)に示されるように、シール部材46の内
周側リップ部46aが外周方向に寸法δi’(δi’>
δi)だけ拡径されるため、従来のものよりも大きく拡
径される。一方、シール部材46の外周側リップ部46
bは、内周側リップ部46aが拡径されるに伴って外周
方向に圧縮されるため、従来のものよりも圧縮代が小さ
い。
【0043】また、寸法Δoの隙間により圧縮代の大き
な場合でも内外径部の圧縮代の総和が小さくて済むた
め、シール部材46の摺動面47に対する接触面圧を小
さくすることができる。シール部材46は、内周側リッ
プ部46aが環状凹部41aに密着し、シール部材46
の外周側リップ部46bが挿通孔43aの摺動面47に
密着した状態となり、前側シャフト41と挿通孔43a
との間をシールする。
【0044】このように、シール部材46は、内周側リ
ップ部46aが環状凹部41aに嵌合された状態で外周
側に拡径されることにより、外周側リップ部46bが挿
通孔43aの摺動面47に密着する。ここで、シール部
材46が収容されるシール溝41bに油液が進入する
と、シール部材46の溝46c内に油液による圧力が作
用する。そのため、シール部材46の内周側リップ部4
6a及び外周側リップ部46bは、給油ノズル内の液圧
により環状凹部41a及び摺動面47に対するシール性
がより高まる。
【0045】そして、合成ゴム材に成形されたシール部
材46は、油液に接触した状態が継続されると、次第に
油液を吸収して膨潤する。そのため、シール部材46
は、全体的に外径方向に膨張した状態に拡大される。図
6(B)に示されるように、シール部材46は上記シー
ル溝41bに収容された状態で膨潤した場合、内周側リ
ップ部46a及び外周側リップ部46bが膨潤前に比べ
て内径の半径寸法Ra及び外径の半径寸法Rbが共に大
きくなる。そのため、シール部材46は、膨潤による経
時変化で内径の半径寸法Ra''がRa''>Ra' 、R
a''<Ra1 となり、外径の半径寸法Rb''がRb''>
Rb1 となる。
【0046】その結果、図7(B)に示されるように、
内周側リップ部46aが環状凹部41aに嵌合されて寸
法δi’だけ圧縮すると共に、外周側リップ部46bが
摺動面47より外径方向に寸法δo’だけ膨潤する。こ
の寸法δi’、δo’は、従来の寸法δi、δoと比べ
ると小さくなっている(δi’<δi、δo’<δ
o)。
【0047】膨潤後のシール部材46の内径の自由長寸
法と前側シャフト41の外径寸法との差の絶対値に相当
する内径側圧縮代または隙間|δi''|がシール部材4
6の自由長圧縮代δo''よりも小さくなるため、膨潤後
でも摺動面47に対する面圧を確保されると共に、従来
のシール部材よりも摺動面47に対する摺動抵抗を軽減
することができる。
【0048】このように、シール部材46に対する半径
方向の圧縮代は、膨潤前よりも拡大されているが、従来
のものよりもその割合いが小さい。そのため、内周側リ
ップ部46aの環状凹部41aに対する圧着力、及び外
周側リップ部46bの摺動面47に対する圧着力が軽減
されている。これにより、前側シャフト41の負荷が減
少して主弁体21の閉弁動作時の復帰性が向上する。
【0049】図8(A)(B)は前側シャフト41の摺
動動作に伴うシール部材46による摺動抵抗(接触面
圧)の変化を示すグラフである。図8(A)(B)に示
されるように、従来のシール部材の摺動抵抗(接触面
圧)を示すグラフIと、本発明のシール部材46の摺動
抵抗(接触面圧)を示すグラフIIとを比較すると、膨潤
前、膨潤後共に前側シャフト41の摺動距離に対し従来
のシール部材の摺動抵抗の方が大きいことが分かる。す
なわち、本発明のシール部材46の方が従来のシール部
材に比べて摺動抵抗が小さくなっており、その分弁軸4
0の負荷が軽減される。
【0050】よって、シール部材46が膨潤するのに伴
う前側シャフト41の摺動抵抗が軽減される。従って、
給油ノズルにおいては、自動閉弁機構による閉弁動作が
行われる際、弁体を付勢するバネ44のバネ力よりもシ
ール部材46による摺動抵抗が小さくなって主弁体21
を弁座部材15に確実に着座させることができる。その
ため、満タン給油完了時の自動閉弁動作による給液停止
の信頼性を向上させることができる。
【0051】このように、上記シール部材46により摺
動抵抗の小さいシール構造とすることができるので、給
油ノズル11において、小さな戻りバネ力で引かれたノ
ズルレバー26を元に戻すことが可能となり、給油操作
者は指による微妙なレバー引き力により給液量の微調整
やノズルレバー26の操作性が向上する。また、給油ノ
ズル11においては、上記シール部材46を用いた構成
とした場合、戻りバネ力が小さいために主弁21が閉じ
る際の衝撃が小さくて済み、給油ノズル11の耐久性が
向上する。
【0052】次に、本発明の変形例1について説明す
る。図9は弁軸40のシール構造の変形例1を示す縦断
面図である。図9に示されるように、弁軸40の前側シ
ャフト41が挿通される軸受部43の挿通孔43aに
は、環状凹部61が全周に設けられている。この環状凹
部61には、断面形状がV字状に形成されたリップ形パ
ッキンよりなるシール部材62が装着されている。
【0053】また、環状凹部61は、コイルバネ44が
当接する軸受部43のバネ受け部43bの近傍に設けら
れており、ゴム製のシール部材62を容易に組み付ける
ことが可能である。軸受部43の端面には、コイルバネ
44が当接する当接面43bが形成され、当接面43b
には環状に突出するガイド部43cが設けられている。
【0054】このように、軸受部43の挿通孔43aに
形成された環状凹部61にシール部材62を装着する構
成では、弁軸40が軸受部43に挿入される前にシール
部材62を装着でき、しかも前側シャフト41の外径よ
り大きく伸ばす必要もないので、シール部材62の組み
付け作業を能率良く、且つ破損のおそれもなく行うこと
ができる。
【0055】図10(A)(B)は変形例1のシール部
材62の寸法形状を説明するための縦断面図である。図
11(A)(B)は変形例1のシール部材62が環状凹
部61に装着された状態を説明するための縦断面図であ
る。尚、図10(A)(B)において、シール部材62
は自由長寸法で示してあるので、シール部材62の輪郭
を示す線が収納部分を示す線と交差している。
【0056】また、シール部材62の場合、軸受部43
に形成された環状凹部61に装着される構成であるの
で、前述したシール部材46の場合とは逆に前側シャフ
ト41の外周が摺動面となる。そのため、前側シャフト
41は、主弁体21の開閉動作によりシール部材62の
内周側を摺動する。尚、上記シール部材62の内径及び
外径は、前述したシール部材46と同一の方法で規定さ
れるため、ここではその説明を省略する。
【0057】また、シール部材62は、前側シャフト4
1に摺接する内周側リップ部62aと、環状凹部61に
密着する外周側リップ部62bでは軸方向への延在長さ
が異なる。図10(A)に示されるように、内周側リッ
プ部62aの軸方向長さLiが外周側リップ部62bの
軸方向長さLoよりも短く形成されている。さらに、シ
ール部材62の背面部62dは、内周側リップ部62a
及び外周側リップ部62bの接続部分で括れた形状とな
っている。
【0058】図11(A)に示されるように、膨潤前の
状態では内周側リップ部62aの接触長さLaと外周側
リップ部62bの接触長さLbとがほぼ同じ寸法(La
≒Lb)となる。環状凹部61内に装着されたシール部
材62は、背面部62dが前側シャフト41及び環状凹
部61内壁に接触しない状態で組み込まれている。図1
1(B)に示されるように、膨潤後の状態では外周側リ
ップ部62bの接触長さLb’が軸方向に延長されてL
b’>Lbとなるが、内周側リップ部62aの接触長さ
La’が膨潤前とほぼ同じ寸法(La≒La’)とな
る。そのため、シール部材62は、膨潤後も、膨潤前と
同様に摺動面となる前側シャフト41に対する摺動面積
が増大しない寸法形状に形成されている。
【0059】図12(A)(B)は前側シャフト41の
摺動動作に伴うシール部材62による摺動抵抗(接触面
圧)の変化を示すグラフである。図12(A)(B)に
示されるように、従来のシール部材の摺動抵抗(接触面
圧)を示すグラフIと、本発明のシール部材62の摺動
抵抗(接触面圧)を示すグラフIIとを比較すると、膨潤
前、膨潤後共に前側シャフト41の摺動距離に対し従来
のシール部材の摺動抵抗の方が大きいことが分かる。す
なわち、本発明のシール部材62の方が前側シャフト4
1に対する摺動面積が小さくなっている分、従来のシー
ル部材に比べて摺動抵抗が小さくなっている。そのた
め、シール部材62の摺動抵抗による弁軸40の負荷が
軽減される。
【0060】よって、シール部材62が膨潤するのに伴
う前側シャフト41の摺動抵抗が軽減される。従って、
給油ノズルにおいては、自動閉弁機構による閉弁動作が
行われる際、弁体を付勢するバネ44のバネ力よりもシ
ール部材62による摺動抵抗が小さくなって主弁体21
を弁座部材15に確実に着座させることができる。その
ため、満タン給油完了時の自動閉弁動作による給液停止
の信頼性を向上させることができる。
【0061】次に、本発明の変形例2について説明す
る。図13は本発明の変形例2の断面形状を拡大して示
す縦断面図である。図13に示されるように、シール部
材71は、摺動面側(図13の例ではシール外径側)の
全周に凹状の溝部72(凹部)が設けられている。ま
た、シール部材71は、前述したシール部材46と同様
(図5参照)前側シャフト41の環状凹部41aに装着
されており、外径側先端部71a、外径側中央部71
b、内径側先端部71c、内径側中央部71dを有す
る。そして、溝部72は、後述するように、外径側中央
部71bの位置、もしくは外径側先端部71aと外径側
中央部71bとの境目の位置に設けられている。尚、シ
ール部材71においては、溝部72は軸方向の長さLに
対し中心位置(L/2)よりも摺動面側先端に位置する
ように形成されている。
【0062】溝部72の断面形状としては、例えば半円
形状の凹部からなり、これ以外の形状としても良いのは
勿論である。また、溝部72の軸方向の幅寸法及び半径
方向の深さ寸法は、摺動面47に作用するシール面圧の
最大設定値及びシール面圧の分布パターンに応じて任意
に設定される。従って、溝部72の大きさを変更するこ
とによりシール性を確保しつつ、且つ前側シャフト41
の摺動抵抗を軽減するといった相反する技術的な課題を
両立させることが可能となる。
【0063】このように、シール部材71は、摺動面側
となる外径側中央部71bに溝部72が設けられている
ので、後述するように外径側中央部71bが摺動する軸
受部43に溝部72が対向することになり、溝部72に
おける軸受部43の摺動面47に対するシール面圧が軽
減され、その結果摺動抵抗が軽減される。ここで、シー
ル部材71の形状条件と該形状による摺動抵抗の低減に
ついて説明する。
【0064】図14(A)はシール部材71の膨潤前の
装着状態を拡大して示す縦断面図である。また、図14
(B)はシール部材71の膨潤後の装着状態を拡大して
示す縦断面図である。尚、図14(A)(B)において
は、上記溝部72は圧縮されているため、軸受部43の
摺動面47に接触している。図14(A)に示されるよ
うに、膨潤前では外径側先端部71aが主に接触して変
形するため、軸受部43の摺動面47に対するシール面
圧Bは前述したシール部材46に比較して若干低くな
る。しかし、外径側中央部71bの肉厚は変わらず、剛
性は確保されるため、シール性を損なうことはない。
【0065】この状態からシール部材71が膨潤する
と、外径側先端部71a及び外径側中央部71bの締め
代(圧縮代)が増す方向になるため、図14(B)に示
されるように外径側先端部71aがやや内側へ変形し、
主に外径側中央部71bが摺動面47に接触した状態に
変形する。前述した溝部72が設けられていないシール
部材46の場合、図14(B)中破線で示すように締め
代の増加による影響を避けることができないためシール
面圧Aが増大する。
【0066】しかしながら、本変形例のシール部材71
では、図14(B)中実線で示すように溝部72が対向
する箇所でシール面圧Bが小さくなるとともに、溝部7
2による肉薄部分によって摺動面47に接触する接触面
の径方向の長さが上記シール部材46の場合より短くな
る変形となる。よって、シール部材71は、摺動面47
に対する総圧値が小さくなり摺動抵抗を低減することが
できる。また、シール部材71においては、膨潤後の変
形を考慮して溝部72は外径側中央部71bの位置、も
しくは外径側先端部71aと外径側中央部71bとの境
目付近の位置に設ける方が望ましい。
【0067】尚、膨潤しないタイプのシール部材におい
ても、高液圧対応のシールについても同様の条件により
摺動抵抗の低減を図れる。この場合、図14(A)に示
す膨潤前の変形が低液圧作動時の変形状態に相当し、図
14(B)に示す膨潤後の変形が高液圧作動時の変形状
態にに相当する。次に、本発明の変形例3について説明
する。
【0068】上記変形例2では、シール部材71のシー
ル外径側が摺動面となる場合について説明したが、本変
形例3のようにシール内径側が摺動面となる場合につい
ても本発明を適用できる。図15(A)はシール内径側
が摺動面となる変形例3の膨潤前の装着状態を拡大して
示す縦断面図である。また、図15(B)はシール内径
側が摺動面となる変形例3の膨潤後の装着状態を拡大し
て示す縦断面図である。
【0069】図15(A)に示されるように、シール部
材75は、前述したシール部材62の場合と同様に軸受
部43の内周に形成された環状凹部61(図9参照のこ
と)に装着されており、内周側に前側シャフト41が摺
動可能に挿通され、前側シャフト41の外周との間をシ
ールように取り付けられている。このシール部材75で
は、シール内周側に半円形状の溝部76(凹部)が設け
られている。すなわち、溝部76は内径側中央部71d
の位置、もしくは内径側先端部71cと内径側中央部7
1dとの境目付近の位置に設けられている。
【0070】シール部材75は、膨潤前では図15
(A)に示すように、内径側先端部75cが主に接触す
るように変形するため、面圧は前述したシール部材46
に比較して若干低くなる。但し、上記変形例2と同様
に、内径側中央部75dの肉厚は変わらず、剛性は確保
されるため、シール性を損なうことはない。この装着状
態からシールが膨潤すると、やはり外径側の締め代も増
す影響で内径側先端部75cがやや内側へ変形すること
になり、主に内径側中央部75dが前側シャフト41の
外周に接触する変形となる。
【0071】この場合も、前述したシール部材46で
は、図15(B)中破線で示すように締め代の増加によ
る影響を避けることができないためシール面圧Aが増大
する。しかしながら、本変形例3のシール部材75で
は、図15(B)中実線で示すように溝部76の対向す
る箇所でシール面圧Bが小さくなるとともに、溝部76
による肉薄部分により接触面の径方向の長さが上記シー
ル部材46の場合より短くなる。そのため、シール部材
75では、前側シャフト41に対するシール面圧Bの総
圧値が小さくなり、その分前側シャフト41に対する摺
動抵抗が減少する。
【0072】このように、上記シール部材71により摺
動抵抗の小さいシール構造とすることができるので、給
油ノズル11において、小さな戻りバネ力で引かれたノ
ズルレバー26を元に戻すことが可能となり、給油操作
者は指による微妙なレバー引き力により給液量の微調整
やノズルレバー26の操作性が向上する。また、給油ノ
ズル11においては、上記シール部材71を用いた構成
とした場合、戻りバネ力が小さいために主弁21が閉じ
る際の衝撃が小さくて済み、給油ノズル11の耐久性が
向上する。
【0073】さらに、シール部材71は、非膨潤時、膨
潤時あるいは高液圧作動時ともにシール接触面圧値が小
さいため、摺動面の摩耗などによるシール性能低下を抑
えることができる。また、高液圧対応のシール部材につ
いても前述と同様に、図15(A)に示す膨潤前の変形
状態が低液圧作動時の変形状態に相当し、図15(B)
に示す膨潤後の変形状態が高液圧作動時の変形状態に相
当する。そのため、高液圧対応のシール部材の場合も、
上記シール部材75と同様の形状条件で摺動抵抗の低減
を図れる。
【0074】次に、本発明の変形例4について説明す
る。図16は変形例4のシール部材の断面形状を拡大し
て示す縦断面図である。また、図17は変形例4のシー
ル部材の膨潤後の装着状態を拡大して示す縦断面図であ
る。図16に示されるように、変形例4のシール部材8
1は、摺動面側(図16の例ではシール外径側)の全周
に複数の溝部82(凹部)が設けられている。また、シ
ール部材81は、前述したシール部材46と同様(図5
参照)前側シャフト41の環状凹部41aに装着されて
いる。
【0075】そして、複数(本変形例4では3本)の溝
部82は、外径側中央部81bから外径側先端部81a
にかけて所定間隔で平行に配置されている。また、溝部
82の断面形状は、上記溝部72と同様に半円形状とさ
れているが、溝部72よりも深さ、幅共に小さく設定さ
れている。各溝部82の断面形状としては、例えば半円
形状の凹部からなり、これ以外の形状としても良いし、
配置数もこれに限らないのは勿論である。シール部材8
1では、複数の溝部82が摺動面側先端部分に設けられ
ているので、軸方向のシール面圧を段階的に減少させる
ことができる。
【0076】このように、シール部材82は、摺動面側
となる外径側中央部81bから外径側先端部81aにか
けて所定間隔で平行に配置された複数の溝部82が設け
られているので、後述するように外径側中央部81bか
ら外径側先端部81aが摺動面47に複数の溝部82が
対向することになり、複数の溝部82における摺動面4
7に対するシール面圧Bが軽減され、その結果摺動抵抗
が軽減される。
【0077】図17に示されるように、膨潤後、シール
部材82は、複数の溝部82が摺動面47に圧着された
状態に変化し、上記シール部材71のように溝部72が
1つの場合の面圧分布図と比較すると、複数の溝部82
がある場合(図17中のシール面圧B’)の方が安定し
たシール面圧勾配になっておりシール性能の信頼性が高
くなる。
【0078】また、摺動面がシール内径側の場合でも、
前述と同様に内径摺動面に凹部82を複数個設けて、シ
ール性能の向上が図れる。次に、本発明の変形例5につ
いて説明する。図18は変形例5のシール部材の断面形
状を拡大して示す縦断面図である。図18に示されるよ
うに、変形例5のシール部材85は、軸方向における溝
部86の縁部となる始点Sa及び終点Sbにおいて、高
液圧側の方のリップ肉厚L inが低圧側の方のリップ肉厚
out よりも薄いリップ形状となっている(Lin<L
out )。
【0079】このようにシール部材85は、溝部86を
基点として溝部86より先端側の厚さ寸法が小さくなる
形状とされているため、例えば図19に示すようにL
out ≦Linとなるシール部材87と比較して、シール部
材85が膨潤する前のシール緊迫力が大きくなるため、
初期シール使用時のシール性能を向上できる。図20は
変形例6のシール部材の断面形状を拡大して示す縦断面
図である。
【0080】図20に示されるように、変形例6のシー
ル部材91では、摺動面側に形成された凹部92の底部
にフラット部92aを設けてあり、凹部92は軸方向に
幅広形状に形成されている。そのため、シール部材91
では、他の変形例に比べて凹部92の幅方向の寸法La
が大きいので、その分摺動面47に接する摺動面積が小
さくなり、面圧積分値が小さくなってシール膨潤後の摺
動抵抗を大幅に低減できる。
【0081】尚、実施例4〜6についても、高液圧対応
シールに適用できることは言うまでもない。即ち、各実
施例4〜6の膨潤前の変形状態が低液圧作動時の変形状
態に相当し、膨潤後の変形状態が高液圧作動時の変形状
態に相当し、同様の形状条件で摺動抵抗の低減を図れ
る。尚、上記実施例では、シール部材に断面形状がV字
状のリップ形パッキンを用いたシール構造を一例として
挙げた説明したが、これに限らず、断面形状がV字状以
外のリップ形パッキンあるいは断面形状が円形とされた
Oリング等にも適用できるのは勿論である。
【0082】また、上記実施例では、ダイヤフラムを有
する自動閉弁機構による閉弁動作する給油ノズルを一例
として説明したが、これに限らず、給油ノズル以外の弁
機構の弁軸のシール構造にも適用することができるのは
勿論である。
【0083】
【発明の効果】上述の如く、請求項1記載の発明によれ
ば、シール内径部の内径寸法をシール溝の内径寸法より
も小さい寸法とし、且つシール外径部の外径寸法をシー
ル溝の外径寸法よりも小さい寸法としたため、膨潤によ
り拡径されても摺動面を摺動するシール部分の圧縮代を
小さく抑えることができ、摺動面に対する摺動抵抗が膨
潤によって増大することを防止できる。
【0084】そのため、摺動抵抗の小さいシール構造と
することができるので、給油ノズルにおいて、小さな戻
りバネ力で引かれたノズルレバーを元に戻すことが可能
となり、給油操作者は指による微妙なレバー引き力によ
り給液量の微調整やノズルレバーの操作性が向上する。
また、給油ノズルにおいては、戻りバネ力が小さいため
に主弁が閉じる際の衝撃が小さくて済み、給油ノズルの
耐久性が向上する。さらに、シール部材は、非膨潤時、
膨潤時あるいは高液圧作動時ともにシール接触面圧値が
小さいため、摺動面の摩耗などによるシール性能低下を
抑えることができる。
【0085】また、請求項2記載の発明によれば、シー
ル内径部が軸の外周に形成されたシール溝に嵌合され、
シール外径部が挿通孔の内面に接触して挿通孔と軸との
間をシールするため、挿通孔の摺動面を摺動する際の摺
動抵抗が膨潤により増大することを防止できる。また、
請求項3記載の発明によれば、シール内径部が前記軸の
外周に嵌合され、シール外径部が挿通孔に形成されたシ
ール溝に接触して挿通孔と軸との間をシールするため、
軸の摺動面を摺動する際の摺動抵抗が膨潤により増大す
ることを防止できる。
【0086】また、請求項4記載の発明によれば、シー
ル内径部又はシール外径部のうち高液圧側となる摺動面
側に少なくとも一つの凹部を全周に設けたため、シール
部材の膨潤時あるいは高液圧作動時の摺動抵抗を低減す
ることができる。さらに、膨潤後の摺動面の面圧が凹部
の所で低くなるため、面圧の総圧値である摺動抵抗の低
減が可能になる。
【0087】また、請求項5記載の発明によれば、軸方
向の肉厚が凹部を基点として低圧側より高圧側で小さく
なるよう形成されているので、シール部材の膨潤時ある
いは高液圧作動時の高圧側での摺動抵抗を低減すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる給油ノズルの一実施例の縦断面図
である。
【図2】給油ノズルの横断面図である。
【図3】給油ノズルの弁機構及び自動閉弁機構を拡大し
て示す縦断面図である。
【図4】給油ノズルの弁機構及び自動閉弁機構を拡大し
て示す横断面図である。
【図5】弁軸の軸受け部を拡大して示す縦断面図であ
る。
【図6】本発明になるシール部材の寸法形状を説明する
ための縦断面図である。
【図7】本発明になるシール部材が環状凹部に装着され
た状態を説明するための縦断面図である。
【図8】前側シャフトの摺動動作に伴うシール部材によ
る摺動抵抗(接触面圧)の変化を示すグラフである。
【図9】弁軸のシール構造の変形例1を示す縦断面図で
ある。
【図10】変形例のシール部材の寸法形状を説明するた
めの縦断面図である。
【図11】変形例のシール部材が環状凹部に装着された
状態を説明するための縦断面図である。
【図12】前側シャフトの摺動動作に伴うシール部材に
よる摺動抵抗(接触面圧)の変化を示すグラフである。
【図13】本発明の変形例2の断面形状を拡大して示す
縦断面図である。
【図14】変形例2のシール部材の装着状態を拡大して
示す縦断面図である。
【図15】シール内径側が摺動面となる変形例3のシー
ル部材の装着状態を拡大して示す縦断面図である。
【図16】変形例4のシール部材の断面形状を拡大して
示す縦断面図である。
【図17】変形例4のシール部材の膨潤後の装着状態を
拡大して示す縦断面図である。
【図18】変形例5のシール部材の断面形状を拡大して
示す縦断面図である。
【図19】変形例5のシール部材と対比するためのシー
ル部材の断面形状を拡大して示す縦断面図である。
【図20】変形例6のシール部材の断面形状を拡大して
示す縦断面図である。
【図21】従来のピストル形の給油ノズルの弁軸をシー
ルするシール構造を拡大して示す縦断面図である。
【符号の説明】
11 給油ノズル 12 グリップ 13 ノズル本体 14 継手 15 弁座部材 16 吐出パイプ 17 パイプ接続部材 19 油通路 20 負圧発生部 21 主弁体 23 弁機構 26 ノズルレバー 27 弁体 28 給油ホース 32 空気導入孔 33 吸引管 40 弁軸 41 前側シャフト 41a,61 環状凹部 41b シール溝 42 後側シャフト 43 軸受部 43a 挿通孔 46,62,71,75,81,85,91 シール部
材 46a 内周側リップ部 46b 外周側リップ部 47 摺動面 51 自動閉弁機構 53 ダイヤフラム室 54 ダイヤフラム 55 係合部材 56 ピストン 62a 内周側リップ部 62b 外周側リップ部 62d 背面部 72,76,82,86,92 溝部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸が摺動可能に挿通される挿通孔と該軸
    との間に形成されたシール溝に装着された状態で前記挿
    通孔と前記軸との間をシールするシール部材において、 シール内径部の内径寸法を前記シール溝の内径寸法より
    も小さい寸法とし、且つシール外径部の外径寸法を前記
    シール溝の外径寸法よりも小さい寸法としたことを特徴
    するシール部材。
  2. 【請求項2】 上記請求項1記載のシール部材であっ
    て、 前記シール内径部が前記軸の外周に形成されたシール溝
    に嵌合され、前記シール外径部が前記挿通孔の内面に接
    触して前記挿通孔と前記軸との間をシールすることを特
    徴するシール部材。
  3. 【請求項3】 上記請求項1記載のシール部材であっ
    て、 前記シール内径部が前記軸の外周に嵌合され、前記シー
    ル外径部が前記挿通孔に形成されたシール溝に接触して
    前記挿通孔と前記軸との間をシールすることを特徴する
    シール部材。
  4. 【請求項4】 軸が摺動可能に挿通される挿通孔と該軸
    との間に形成されたシール溝に装着された状態で前記挿
    通孔と前記軸との間をシールするシール部材において、 シール内径部又はシール外径部のうち高液圧側となる摺
    動面側に少なくとも一つの凹部を全周に設けたことを特
    徴とするシール部材。
  5. 【請求項5】 上記請求項4記載のシール部材であっ
    て、 前記シール内径部と前記シール外径部との間に形成され
    る軸方向の肉厚が前記凹部を基点として低圧側より高圧
    側で小さくなるよう形成されたことを特徴とするシール
    部材。
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